JP2013183098A - 太陽電池用保護シートおよびその製造方法、ならびに太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用保護シートおよびその製造方法、ならびに太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】電気絶縁性に優れる太陽電池用保護シート、そのシートの製造方法、およびかかる太陽電池用保護シートを備える太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】基材11、および基材11の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性層12を備えた太陽電池用保護シート1であって、熱可塑性層12は、熱可塑性樹脂と有機化処理された層状鉱物とを含有し、好ましい一態様ではさらに酸変性重合体を含有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールの表面保護シートまたは裏面保護シートとして用いられる太陽電池用保護シートおよびその製造方法、ならびに当該太陽電池用保護シートを用いた太陽電池モジュールに関するものである。
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールは、大気汚染や地球温暖化などの環境問題に対応して、二酸化炭素を排出せずに発電できるクリーンなエネルギー源として注目されている。
一般に、太陽電池モジュールは、結晶シリコン、アモルファスシリコンなどからなり光電変換を行う太陽電池セルと、太陽電池セルを封止する電気絶縁体からなる封止材と、封止材の表面(受光面)に積層された表面保護シート(フロントシート)と、封止材の裏面に積層された裏面保護シート(バックシート)とから構成されている。
近年の太陽電池モジュールの高性能化により、太陽電池モジュールのシステム電圧は1000V以上が標準となりつつあり、太陽電池モジュール用保護シートにも高い電気絶縁性が要求されている。従来の太陽電池用保護シートでは、電気絶縁性を高めるために、白色プラスティックフィルムとガスバリア性蒸着フィルムとを接着する接着剤層に気泡を含むものが提案されている(特許文献1参照)。
また、電気絶縁体に層状鉱物を含有させることにより絶縁性が向上することが知られているが、絶縁体と層状鉱物との界面に形成された空隙に部分放電が発生し、絶縁性が低下するといった問題点があった。
特開2008−270238号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている太陽電池用保護シートの電気絶縁性は未だ不十分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電気絶縁性に優れる太陽電池用保護シート、そのシートの製造方法、およびかかる太陽電池用保護シートを備える太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために提供される本発明は、第1に、基材、および前記基材の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性層を備えた太陽電池用保護シートであって、前記熱可塑性層は、熱可塑性樹脂と有機化処理された層状鉱物とを含有することを特徴とする太陽電池用保護シートを提供する(発明1)。
層状鉱物は有機化処理されているため、熱可塑性樹脂に基づく成分と層状鉱物との界面に空隙部が熱可塑性層中に生じにくい。それゆえ、本発明に係る太陽電池用保護シートの絶縁性に優れる。
上記の発明(発明1)において、前記熱可塑性層は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して前記有機化処理された層状鉱物を0.5質量部以上50質量部以下含有していることが好ましい(発明2)。有機化処理された層状鉱物の含有量がこの範囲にあることで、絶縁性に優れる太陽電池用保護シートを得ることがより容易となる。
上記の発明(発明1,2)において、前記熱可塑性層は、さらに、酸変性重合体を含有することが好ましい(発明3)。酸変性重合体を含有することにより、熱可塑性樹脂に基づく成分と層状鉱物との界面に空隙部がさらに生じにくくなる。
上記の発明(発明3)において、前記熱可塑性層は、前記酸変性重合体を、前記有機化処理された層状鉱物100質量部に対して100質量部以上500質量部以下含有することが好ましい(発明4)。酸変性重合体の含有量が上記範囲であることにより、酸変性重合体を含有させたことに基づく効果をより安定的に得ることができる。
上記の発明(発明3,4)において、前記酸変性重合体は、その酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい(発明5)。酸変性重合体の酸価が上記範囲であることにより、酸変性重合体を含有させたことに基づく効果をより安定的に得ることができる。
上記の発明(発明1〜5)において、前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂であることが好ましい(発明6)。ポリオレフィン系樹脂を熱可塑性樹脂として含有する熱可塑性層は熱融着性を有するため、封止材などの太陽電池モジュールを構成する他の部材から太陽電池用保護シートが剥離する可能性をさらに低減させることができる。また、ポリオレフィン系樹脂を含有する材料を用いて、生産性に優れる押出コーティングすることで太陽電池用保護シートを製造することができる。
上記の発明(発明1〜6)において、前記酸変性重合体は酸変性ポリオレフィン鎖を含むポリオレフィン系オリゴマーであることが好ましい(発明7)。そのような材料を含有する熱可塑性層は封止材などに対する熱融着性を有することができる。
上記の発明(発明1〜7)において、前記基材における前記熱可塑性層が積層される面には易接着処理が施されていることが好ましい(発明8)。基材に易接着処理が施されていることにより、基材と熱可塑性層との間で剥離が生じる可能性を低減させることができる。
上記の発明(発明1〜8)において、前記熱可塑性層は、押出コーティングにより前記基材の一方の面に積層されたものであることが好ましい(発明9)。押出コーティングは生産性に優れるうえに、熱可塑性層を形成するための材料が溶融した状態で基材の一方の面に接するため、コーティング工程中に上記材料と基材の当該面に存在する物質とが相互作用しやすい。それゆえ、押出コーティングにより製造された太陽電池用保護シートは、基材と熱可塑性層との間で剥離が生じる可能性が低減されている。
上記の発明(発明1〜8)において、前記基材と前記熱可塑性層との間に、これらに対する接着性を有する接着性材料からなるタイ層を備えることが好ましい(発明10)。タイ層を有することにより、熱可塑性層が基材から剥離する可能性がさらに低減される。
上記の発明(発明10)において、前記接着性材料は、エチレンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を主成分としてもよい(発明11)。基材はポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂を主成分とする場合には、接着性材料が上記の共重合体を主成分とすることで、基材に対する接着性に優れるタイ層を得ることができる。
上記の発明(発明10,11)において、前記熱可塑性層および前記タイ層は、共押出コーティングにより前記基材の一方の面に積層されたものであることが好ましい(発明12)。共押出コーティングを行うことにより、熱可塑性層およびタイ層を同時に基材上に形成することができる。また、樹脂層とタイ層との間で剥離が生じる可能性が低減される。
上記の発明(発明1〜12)において、前記熱可塑性層は、太陽電池モジュールを構成する封止材に積層される層であってもよい(発明13)。その場合には、太陽電池用保護シートを封止材に積層することにより、封止材、その内部の太陽電池セルなどが経時的に品質劣化することを抑制することができる。
本発明は、第2に、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性層とを備えた太陽電池用保護シートの製造方法であって、上記の発明1から7のいずれかに係る熱可塑性層を形成するための材料を、前記基材の少なくとも一方の面に押出コーティングして、前記熱可塑性層を形成することを特徴とする太陽電池用保護シートの製造方法を提供する(発明14)。
押出コーティングは生産性に優れるうえ、得られた太陽電池用保護シートにおいて、基材と熱可塑性層との間に剥離が生じる可能性を低減させることができる。
本発明は、第3に、基材と、熱可塑性層と、前記基材および前記熱可塑性層に対する接着性を有する接着性材料からなり前記基材の一方の面および前記熱可塑性層の一方の面の間に積層されたタイ層とを備えた太陽電池用保護シートの製造方法であって、記の発明1から7のいずれかに係る熱可塑性層を形成するための材料と、前記接着性材料とを、前記基材の少なくとも一方の面に共押出コーティングして、前記タイ層および前記熱可塑性層を形成することを特徴とする太陽電池用保護シートの製造方法を提供する(発明15)。
押出コーティングは生産性に優れるうえ、得られた太陽電池用保護シートにおいて、基材とタイ層との間での剥離、およびタイ層と熱可塑性層との間での剥離が生じる可能性を低減させることができる。
上記の発明(発明15)において、前記接着性材料は、エチレンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を主成分としてもよい(発明16)。接着性材料が上記の共重合体を主成分とすることで、熱可塑性層に対する接着性に優れるタイ層を得ることができる。また、基材がポリエステル系樹脂を主成分とする場合には、基材に対する接着性に優れるタイ層とすることもできる。
本発明は、第4に、上記の発明13に係る太陽電池用保護シートを備える太陽電池モジュールを提供する(発明17)。かかる太陽電池用保護シートと、当該シートに積層された封止材とを備える太陽電池モジュールは、太陽電池用保護シートが封止材、その内部の太陽電池セルなどを長期にわたり保護するため、経時的な品質劣化が生じにくい。
本発明は、第5に、太陽電池セル、前記太陽電池セルを包容する封止材、および前記封止材の主面のそれぞれに積層される二つの保護部材を備える太陽電池モジュールであって、前記保護部材の少なくとも一方は上記の発明1から12のいずれかに係る太陽電池用保護シートからなり、前記太陽電池用保護シートが備える前記熱可塑性層は前記封止材の一部または全部をなすことを特徴とする太陽電池モジュールを提供する(発明18)。かかる太陽電池モジュールは、太陽電池用保護シートが太陽電池セルなどを長期にわたり保護するため、経時的な品質劣化が生じにくい。
本発明に係る太陽電池用保護シートは、熱可塑性層に含有される層状鉱物が有機化処理されたものであるため、熱可塑性層に含有される熱可塑性樹脂に基づく成分と層状鉱物との界面に空隙部が生じにくい。このため、本発明に係る太陽電池用保護シートは絶縁性に優れる。
本発明の一実施形態に係る太陽電池用保護シートの概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る、タイ層を備える太陽電池用保護シートの概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る、フッ素樹脂層を備える太陽電池用保護シートの概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る、蒸着層を備える太陽電池用保護シートの概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る、接着層および金属シートを備える太陽電池用保護シートの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る、フロントシートおよびバックシートが本実施形態に係る太陽電池用保護シートからなる太陽電池モジュールの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.太陽電池用保護シート
図1に示すように、本実施形態に係る太陽電池用保護シート1は、基材11と、基材11の一方の面(図1中では上面)に積層された熱可塑性層12とを備えている。この太陽電池用保護シート1は、一具体例において、熱可塑性層12が、封止材に太陽電池用保護シート1が積層されたときにこれらの剥離の可能性を低減させるための層として機能し、太陽電池モジュールの表面保護シート(フロントシート)または裏面保護シート(バックシート)として用いられるものである。また、別の一具体例において、太陽電池用保護シート1は熱可塑性層12が実質的に封止材の機能も有し、封止材とフロントシートとの一体化シートまたは封止材とバックシートとの一体化シートとして用いられるものである。以下、太陽電池用保護シート1がフロントシートまたはバックシートとして用いられる場合について主として説明し、熱可塑性層12が実質的に封止材の機能も有する場合についても適宜説明する。
(1)基材
基材11としては、電気絶縁性を有し、かつ熱可塑性層12が積層可能なものであればよく、通常は、樹脂フィルムを主体とするものが用いられる。
基材11に用いられる樹脂フィルムとしては、一般に太陽電池モジュール用バックシートにおける樹脂フィルムとして用いられているものが選択される。このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ナイロン(商品名)などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアクリロニトリル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂;ポリビニルブチラール系樹脂;フッ素系樹脂などの樹脂からなるフィルムまたはシートが用いられる。これらの樹脂フィルムのなかでも、ポリエステル系樹脂からなるフィルムが好ましく、特にPETフィルムが好ましい。
なお、基材11は、必要に応じて、顔料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系等が挙げられる。
ここで、本実施形態に係る太陽電池用保護シート1を太陽電池モジュールのバックシートとして使用する場合には、基材11は、可視光を反射させる顔料を含有することが好ましい。また、本実施形態に係る太陽電池用保護シート1を太陽電池モジュールのフロントシートとして使用する場合は、可視光領域の光の透過率を低下させる顔料を含有しないことが好ましく、耐候性の向上を目的として紫外線吸収剤を含有することがより好ましい。
基材11の熱可塑性層12が積層される側の面には、熱可塑性層12との密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の表面処理、すなわち易接着処理を施すことが好ましい。
基材11の厚さは、太陽電池モジュールに要求される電気絶縁性に基づいて適宜設定される。例えば、基材11が樹脂フィルムである場合、その厚さは10μm以上300μm以下であることが好ましい。より具体的に説明すれば、基材11がPETフィルムである場合には、電気絶縁性および軽量化の観点から、その厚さは10μm以上300μm以下であることが好ましく、20μm以上250μm以下であることがより好ましく、30μm以上200μm以下であることが特に好ましい。本実施形態に係る太陽電池用保護シート1は、後述するように熱可塑性層12が有機化処理された層状鉱物を含有するため、熱可塑性層12における電気絶縁性が高い。このため、太陽電池用保護シート1が適切な電気絶縁性を確保するという観点で求められる基材11の厚さが相対的に薄い。このため、基材11の厚さを従来技術に係る太陽電池用保護シートにおける基材よりも薄くすることができる。
(2)熱可塑性層
本実施形態における熱可塑性層12は、その一具体例において、封止材に積層されて、基材11を含む太陽電池用保護シート1が太陽電池モジュールから剥離する可能性を低減させるためのものである。別の一具体例において、熱可塑性層12は実質的に封止材の機能を有し、太陽電池セルなどを包容してこれらを保護しつつ、他の封止材、他の保護シートにおける基材などの構成部材に対して積層されるためのものである。
熱可塑性層12の厚さは、被着体に対して適切に積層され、被着体から基材11が剥離する可能性を低減させる機能を適切に有する限り、特に制限されない。具体的には、熱可塑性層12の厚さは、1μm以上200μm以下であることが好ましく、電絶縁性および軽量化などの観点から、10μm以上180μm以下であることがより好ましく、50μm以上150μm以下であることがさらに好ましく、80μm以上120μm以下であることが特に好ましい。本実施形態に係る熱可塑性層12は優れた電気絶縁性を有することから、従来技術に係る熱可塑性層に比べてその厚さを薄くすることができる。
なお、熱可塑性層12を封止材としても使用する場合には、その厚さは最大1mm程度になってもよい。
本実施形態における熱可塑性層12は熱可塑性樹脂と層状鉱物とを含有し、好適態様においてはさらに酸変性重合体を含有する。以下、これらの成分およびその他の成分について説明する。
i)熱可塑性樹脂
熱可塑性層12が含有する熱可塑性樹脂は、熱可塑性層12に熱可塑性をもたらす材料の一つである。熱可塑性樹脂を構成する樹脂の種類は特に限定されない。かかる樹脂の具体例を示せば、ポリオレフィン系樹脂;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;エポキシ化などにより変性した各種熱可塑性エラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン46、芳香族ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂などを挙げることができる。シリコーン系熱可塑性エラストマーのように有機・無機複合樹脂も熱可塑性樹脂として例示される。熱可塑性樹脂は一種類の樹脂により構成されていてもよいし、複数種類の樹脂により構成されていてもよい。
これらの樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、すなわち、オレフィンからなる単量体から構成されるホモポリマーおよびコポリマー、ならびにオレフィンとオレフィン以外の分子とからなる単量体から構成されるコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である熱可塑性樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、その優れた熱融着作用により、熱可塑性層12が被着体に対して直接積層される場合は特に、封止材などの太陽電池モジュールを構成する他の部材から太陽電池用保護シートが剥離する可能性をさらに低減させることができる。
ポリオレフィン系樹脂の具体例として、高密度ポリエチレン(HDPE,密度:942kg/m以上)、中密度ポリエチレン(MDPE,密度:930kg/m以上、942kg/m未満)、低密度ポリエチレン(LDPE,密度:910kg/m以上、930kg/m未満)、超低密度ポリエチレン(VLDPE,密度:870kg/m以上、910kg/m未満)、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン−ポリプロピレン重合体、オレフィン系エラストマー(TPO)、シクロオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
また、熱可塑性層12に係る熱可塑性樹脂は、当該樹脂を構成する重合体の一部が架橋剤と反応してなる架橋構造を有していてもよい。この架橋構造を与える架橋剤は任意であり、架橋構造をもたらす架橋剤の種類は任意であり、ジクミルパーオキサイドのような有機過酸化物やエポキシ基を有する化合物やイソシアネート基を有する化合物が典型的である。架橋構造の存在密度、すなわち架橋の程度は任意であるが、存在密度が過度に高まると熱可塑性層12は熱可塑性を失うことが懸念されるため、このような問題が発生しないようにすることが好ましい。
ii)層状鉱物
本実施形態における熱可塑性層12は有機化処理された層状鉱物を含有する。本実施形態において「層状鉱物」とは、層状の結晶構造を有する無機系材料であり、典型的には層状ケイ酸塩が例示される。そのような層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト等のスメクタイト族、ベントナイト(モンモリロナイトを主成分とし、石英、α−クリストバライト等の遊離ケイ酸鉱物、長石などのケイ酸塩鉱物等を夾雑する混合物)、バーミキュライト、ハロイサイト、マイカ、フッ素化マイカ、カオリナイト、パイロフィロライトなどが挙げられる。熱可塑性層12が含有する層状鉱物は、一種類から構成されていてもよいし、複数種類の混合物から構成されていてもよい。
本実施形態における熱可塑性層12が含有する層状鉱物が施された有機化処理とは、各種の有機化剤を用いて層状鉱物に有機物系イオンを結合させる処理である。有機化剤の種類は限定されず、例示すれば、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩等の有機オニウム塩、シランカップリング剤等が挙げられる。
有機オニウム塩としては有機アンモニウム塩が好ましく、特に4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩の具体例としては、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。
この有機化剤に基づく有機物系イオンが層状鉱物にインターカレートされると、層状鉱物における層間距離は大きくなり、その層状鉱物を構成する各層が離間した状態となり、分散性が向上する。分散性が向上することにより、熱可塑性層12内において絶縁性が局所的に低下する領域が生じにくくなって、樹脂層12の電気絶縁性は向上する。
また、各層に結合した有機物系イオンの有機部分により、各層の親油性が向上する。それゆえ、有機化処理された層状鉱物は、その鉱物を構成する各層も、その凝集物も、熱可塑性層12に含有される熱可塑性樹脂に対する濡れ性が高く、層状鉱物と熱可塑性樹脂との界面に空隙部が生じにくい。
ここで、層状鉱物と樹脂との混合物において、これらの界面に生じる空隙部は相対的に誘電率が低い部分となる。このため、その混合物からなる部材(例えばシート状部材)に対して直流電圧を印加すると、この空隙部に電界が集中し、この空隙部を伝って電荷移動が生じやすくなる。それゆえ、この空隙部を多く含む部材はIEC61730−2に規定される部分放電電圧が低下しやすい。本実施形態に係る熱可塑性層12はこの空隙部の発生が抑制されているため、上記の部分放電電圧が高くなり、熱可塑性層12の電気絶縁性は向上する。
有機化処理された層状鉱物の形状は特に限定されないが、各層に分散された状態においても過度に大きい場合には、熱可塑性層12の形成加工を困難にしたり、熱可塑性層12の厚さのばらつきを大きくしたりすることが懸念される。このため、各層に分散された状態において、最大長さが10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。
熱可塑性層12に含有される有機化された層状鉱物の含有量は、熱可塑性層12に含有される熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上50質量部以下とすることが好ましい。この含有量が過度に少ない場合には、層状鉱物を含有させたことに基づく絶縁性の向上を得ることが困難となる。絶縁性の向上の程度は熱可塑性層12の厚さにも関連するためその含有量の下限のさらなる好適範囲は確定的には設定されないが、2質量部以上とすれば絶縁性の向上の効果を安定的に享受できる場合が多く、5質量部以上とすれば絶縁性の向上がさらに安定的に実現される。一方、上記の層状鉱物の含有量が過度に多い場合には、熱可塑性層12の形成加工の困難さが高まることが懸念される。この形成加工を容易にする観点から、40質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがさらに好ましい。
なお、上記の層状鉱物を含有させることにより、熱可塑性層12のヤング率は向上し、この傾向は含有率が高いほど顕著となる。熱可塑性層12のヤング率が向上することによって、当該熱可塑性層12を備えた太陽電池用保護シート1の厚さが薄くても、太陽電池用保護シート1のハンドリング性が向上し、生産性が高まる。このヤング率向上に基づく効果が安定的に得られる層状鉱物の含有量の下限は、熱可塑性層12に含有される他の成分等の影響もあるため確定的には決定されないが、熱可塑性層12に含有される熱可塑性樹脂100質量部に対して通常3質量部以上含有させることが好ましい。
iii)酸変性重合体
熱可塑性層12は、酸変性重合体を含有することが好ましい。ここで、「酸変性重合体」とは、重合体を酸変性させたものをいう。また、「酸変性」とは、重合体に、例えば、カルボン酸基含有モノマー、カルボン酸エステル基含有モノマー、または酸無水物基含有モノマー等の酸性の官能基を有する単量体を重合させることを意味する。この重合の具体例として、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシドなどの有機過酸化物などのラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させる方法が挙げられる。
熱可塑性層12が酸変性重合体を含有すると、この酸変性重合体は有機化処理された層状鉱物と相互作用し、層状鉱物の熱可塑性樹脂に対する濡れ性がさらに向上する。このため、層状鉱物と熱可塑性樹脂との界面に空隙部がさらに生じにくくなり、熱可塑性層12を備える太陽電池用保護シート1の電気絶縁性がさらに向上する。また、熱可塑性層12が酸変性重合体を含有することにより、層状鉱物の熱可塑性樹脂に対する分散性が向上する。
酸変性重合体の分子量は限定されない。重量平均分子量が10,000程度以下のオリゴマーであってもよいし、重量平均分子量が10,000程度以上のポリマーであってもよい。有機化処理された層状鉱物との相互作用のしやすさおよび有機化処理された層状鉱物の分散性を向上させる程度を高める観点から、酸変性重合体はオリゴマーであることが好ましく、その重量平均分子量は3,000以上50,000以下であることがより好ましい。
酸変性重合体における酸変性を受ける重合体の種類は任意であるが、熱可塑性を有するものであることが、上述の熱可塑性樹脂に対する相溶性が高まり、かつ押出コーティングが容易となるため好ましく、上述の熱可塑性樹脂と同種の材料、つまり酸変性を受ける重合体の構造が上述の熱化成樹脂の重合体の構造と同種であることがさらに好ましい。
酸変性重合体の好ましい具体例として、酸無水物(典型的にはα,β−不飽和カルボン酸無水物、好適な具体例としては無水マレイン酸、無水アクリル酸等)でグラフト変性された酸変性ポリオレフィン鎖を含むポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
酸変性重合体はその酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が過度に低い場合には有機化処理された層状鉱物との相互作用が生じにくくなり、空隙部の発生を抑制する機能が得られにくくなることが懸念される。一方、酸価が過度に高い場合には熱可塑性樹脂への相溶性が低下し、やはり空隙部の発生を抑制する機能が得られにくくなることが懸念される。空隙部の発生を抑制する機能を安定的に得る観点から、酸変性重合体の酸価は25mgKOH/g以上90mgKOH/g以下とすることが好ましく、30mgKOH/g以上75mgKOH/g以下とすることがさらに好ましい。
酸変性重合体の熱可塑性層12中の含有量は、有機化処理された層状鉱物100質量部に対して100質量部以上500質量部以下とすることが好ましい。酸変性重合体の含有量が過度に低い場合には、空隙部の発生を抑制する機能が得られにくくなることが懸念される。一方、かかる含有量が過度に高い場合には、有機化処理された層状鉱物と相互作用しない酸変性重合体が多数存在することになるため、経済的観点から好ましくない。経済的な観点での不利益を回避しつつ空隙部の発生を安定的に抑制する観点から、酸変性重合体の含有量は有機化処理された層状鉱物100質量部に対して150質量部以上450質量部以下とすることが好ましく、200質量部以上400質量部以下とすることがさらに好ましい。
iv)その他の成分
熱可塑性層12は、必要に応じて、二酸化チタンなどの着色材料、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、紫外線安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
なお、熱可塑性層12が二酸化チタンなどの着色材料を含有する場合には太陽電池用保護シート1はバックシートとして用いられることが多く、そのとき、太陽電池用保護シート1の反射率は高いことが好ましい。この点に関し、本実施形態に係る太陽電池用保護シート1は、熱可塑性層12が有機化処理された層状鉱物を含有することにより反射率が高まり、反射率の向上の程度は有機化処理された層状鉱物の含有量が高ければ高いほど顕著となる。
本実施形態における熱可塑性層12は、単層であっても優れた絶縁性を有する太陽電池用保護シート1を得ることができるため、材料コストおよび製造コストの面からも単層であることが好ましい。
また、熱可塑性層12は、JIS K7210:1999(ISO 1133:1997)に準拠した、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレートの値が、1g/10min以上20g/10min以下であることが加工性等の観点から好ましい。特に、押出コーティングにより熱可塑性層12の加工を安定的に行う場合には、このメルトマスフローレートは2g/10min以上10g/10min以下であることが好ましい。
(3)タイ層(tie layer)
本発明に係る太陽電池用保護シート1は、他の一実施形態として、図2に示されるように、基材11と熱可塑性層12との間に、これらのそれぞれに対する接着性を有する接着性材料からなるタイ層12’を備えていてもよい。換言すれば、この形態において、タイ層12’は、基材11の一方の面および熱可塑性層12の一方の面の間に積層されている。
タイ層12’は、エチレンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「共重合体F」ということがある。)を主成分とすることが好ましい。ここで、「主成分とする」とは、共重合体Fに由来する特性がタイ層12’の特性にとって支配的になる程度に共重合体Fを含有していることを意味する。具体的な共重合体Fの接着性材料中の含有量は他の成分の影響もあるため確定的に決定されないが、一例を挙げれば、共重合体Fの接着性材料中の含有量が50質量%超であり、この含有量は高ければ高いほど好ましい。上記材料からなるタイ層12’は、基材11、特に樹脂フィルムからなる基材11、さらにはPETフィルムからなる基材11に対する接着力が高い。
タイ層12’は、上記共重合体Fを主成分とし、好ましくは、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、またはエチレンと酢酸ビニルとの共重合体を主成分とし、特に好ましくは、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、またはエチレンと酢酸ビニルとの共重合体を主成分とし、それら共重合体の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1以上18以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシルおよびメタアクリル酸メチルが好ましく、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記共重合体F中における単量体単位としての(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルの合計含有量は、3.5モル%以上15モル%以下であることが好ましく、4モル%以上14モル%以下であることがより好ましい。すなわち、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体では(メタ)アクリル酸の含有量、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体では(メタ)アクリル酸エステルの含有量、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体では酢酸ビニルの含有量は、3.5モル%以上15モル%以下であることが好ましく、4モル%以上14モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルまたは酢酸ビニルの含有量が上記範囲内にあることで、前述した基材11に対するタイ層12’の接着力が安定的に高まる。なお、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルの含有量が3.5モル%未満の場合は、基材11および熱可塑性層12に対する接着力が低くなる場合があり、15モル%以上の場合は、十分な凝集力が得られず、太陽電池用保護シート1を巻き取ったときに、巻きずれが発生するおそれがある。
タイ層12’は、上記共重合体Fを主成分として含有していればよく、具体的には、当該共重合体Fを60質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがさらに好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましい。タイ層12’は、当然、共重合体Fのみからなるものであってもよい。
タイ層12’の厚さは、基材11に対する所望の接着性を発揮するとともに、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。具体的には、タイ層12’の厚さは、5μm以上150μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、15μm以上75μm以下であることが特に好ましい。
(4)フッ素樹脂層
本実施形態に係る太陽電池用保護シート1は、図3に示すように、基材11における上記熱可塑性層12が積層されない側の面(図3中では下面)には、フッ素樹脂層13が設けられていてもよい。このようにフッ素樹脂層13を設けることで、太陽電池用保護シート1の耐候性および耐薬品性が向上する。なお、基材11が樹脂フィルムからなる場合には、当該樹脂フィルムのフッ素樹脂層13が積層される側の面は、フッ素樹脂層13との密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の表面処理が施されることが好ましい。
フッ素樹脂層13は、フッ素を含む層であれば特に制限されず、例えば、フッ素含有樹脂を有するシート(フッ素含有樹脂シート)や、フッ素含有樹脂を含む塗料を塗布してなる塗膜などによって構成される。これらの中でも、太陽電池用保護シート1の軽量化のため、フッ素樹脂層13をより薄くする観点から、フッ素含有樹脂を有する塗料を塗布してなる塗膜が好ましい。
フッ素含有樹脂シートとしては、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)またはエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を主成分とする樹脂をシート状に加工したものが用いられる。PVFを主成分とする樹脂としては、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company社製の「Tedlar」(商品名)が挙げられる。ECTFEを主成分とする樹脂としては、例えば、Solvay Solexis社製の「Halar」(商品名)が挙げられる。ETFEを主成分とする樹脂としては、例えば、旭硝子社製の「Fluon」(商品名)が挙げられる。
フッ素樹脂層13がフッ素含有樹脂シートである場合、接着剤を含む層を介して、基材11にフッ素樹脂層13が積層される。接着剤を含む層は、基材11およびフッ素含有樹脂シートに対して接着性を有する接着剤から構成される。かかる接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤などが用いられる。これらの接着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、フッ素樹脂層13がフッ素含有樹脂を有する塗料を塗布してなる塗膜である場合、通常、接着剤を含む層を介することなく、フッ素含有樹脂を含有した塗料を基材11に直接塗布することにより、基材11にフッ素樹脂層13が積層される。
フッ素含有樹脂を含有する塗料としては、有機溶媒に溶解または水に分散されたものであって、塗布可能なものであれば特に限定されない。
塗料に含まれるフッ素含有樹脂としては、本発明の効果を損なわず、フッ素を含有する樹脂であれば特に限定されないが、通常、塗料の溶媒(有機溶媒または水)に溶解し、架橋可能であるものが用いられる。フッ素含有樹脂としては、架橋性官能基を有するフルオロオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
架橋性官能基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基などが挙げられる。フルオロオレフィン樹脂の具体例としては、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどのフルオロオレフィンに由来する構成単位を有する重合体が挙げられる。
架橋性官能基を有するフルオロオレフィン樹脂の具体例としては、旭硝子社製の「LUMIFLON」(商品名)、セントラル硝子社製の「CEFRAL COAT」(商品名)、DIC社製の「FLUONATE」(商品名)などのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類、ダイキン工業社製の「ZEFFLE」(商品名)などのテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類などが挙げられる。
塗料は、上述したフッ素含有樹脂の他に、架橋剤、架橋触媒、溶媒等を含んでいてもよく、さらに必要であれば、酸化チタン、シリカ等の微粒子を含んでいてもよい。
フッ素含有樹脂の塗膜は、耐候性および耐擦傷性を向上させるため、架橋剤により架橋していることが好ましい。架橋剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、金属キレート類、シラン類、イソシアネート類またはメラミン類が好適に用いられる。太陽電池用保護シート1を屋外において長期間使用することを想定した場合、耐候性の観点から、架橋剤としては、脂肪族のイソシアネート類が好ましい。
塗料を基材11に塗布する方法としては、公知の方法が用いられ、例えば、バーコート法、ダイコート法、グラビアコート法等によって、得られるフッ素樹脂層13が所望の厚さになるように塗布すればよい。
フッ素樹脂層13の厚さは、耐候性、軽量化などを考慮して設定され、5μm以上50μm以下であることが好ましく、特に10μm以上30μm以下であることが好ましい。
(5)蒸着層、金属シート
本実施形態に係る太陽電池用保護シート1は、基材11における上記熱可塑性層12が積層されない側の面には、図4に示すように、基材11とフッ素樹脂層13との間に蒸着層14が設けられてもよいし、図5に示すように、接着層15を介して金属シート16が積層されてもよいし、さらに蒸着層14または金属シート16の表面(図4および図5中では下面)には、上述したフッ素樹脂層13が設けられてもよい。このように蒸着層14または金属シート16を設けることで、太陽電池用保護シート1の防湿性および耐候性を向上させることができる。なお、本実施形態において「金属シート」とは、金属系材料(すなわち金属元素を含む材料)からなるシート状の部材を意味する。
なお、基材11が樹脂フィルムからなる場合、当該樹脂フィルムの蒸着層14または接着層15が積層される側の面は、蒸着層14または接着層15との密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の表面処理が施されることが好ましい。
蒸着層14は、金属もしくは半金属、または金属もしくは半金属の酸化物、窒化物、珪化物などの無機材料から構成され、かかる材料から構成されることで、基材11(太陽電池用保護シート1)に防湿性(水蒸気バリア性)および耐候性を付与することができる。
蒸着層14を形成する蒸着方法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法などの化学気相法、または真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理気相法が用いられる。これらの方法の中でも、操作性や層厚の制御性を考慮した場合、真空蒸着法が好ましい。
この蒸着層14の原料となる金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトウリム(Na)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)などが挙げられる。半金属としては、例えば、ケイ素(Si)、ホウ素(B)などが挙げられる。これらの金属または半金属の酸化物、窒化物、酸窒化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウムなどが挙げられる。
蒸着層14は、一種の無機材料からなるものであっても、複数種の無機材料からなるものであってもよい。蒸着層14が複数種の無機材料からなる場合、各無機材料からなる層が順に蒸着された積層構造の蒸着層であってもよいし、複数種の無機材料が同時に蒸着された蒸着層であってもよい。
蒸着層14の厚さは、水蒸気バリア性を考慮して適宜設定され、用いる無機材料の種類や蒸着密度などによって変更される。通常、蒸着層14の厚さは、5nm以上200nm以下であることが好ましく、特に10nm以上100nm以下であることが好ましい。
一方、金属シート16も、上記蒸着層14と同様に、基材11(太陽電池用保護シート1)に防湿性(水蒸気バリア性)および耐候性を付与することができる。金属シート16の材料としては、かかる機能を有するものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム−鉄合金等のアルミニウム合金などの金属が挙げられる。
金属シート16の厚さは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、ピンホール発生頻度の低さ、機械強度の強さ、水蒸気バリア性の高さ、および軽量化などの観点から、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
接着層15は、基材11および金属シート16に対して接着性を有する接着剤から構成される。接着層15を構成する接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤などが用いられる。これらの接着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着層15の厚さは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、通常は、1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下であることが特に好ましい。
なお、以上の実施形態では、基材11の一方の面に熱可塑性層12が積層された太陽電池用保護シート1を例示したが、本発明の太陽電池用保護シートはこれに限定されず、基材11の他方の面(上記一方の面とは反対側の面)にも熱可塑性層が積層されてもよい。
2.太陽電池用保護シートの製造方法
本実施形態に係る太陽電池用保護シート1(一例として図1に示す太陽電池用保護シート1)を製造する方法は特に限定されないが、上記熱可塑性層12を形成するための材料を、基材11の少なくとも一方の面(この面は易接着処理が施されていることが好ましい。)に押出コーティングして、基材11に熱可塑性層12を形成することが好ましい。このような押出コーティング法によれば、高い生産性で安価に太陽電池用保護シート1を製造することができる。また、太陽電池モジュールの封止材に対して太陽電池用保護シート1を接着するための接着剤層を別途設ける必要がないため、当該接着剤の分解等による経時劣化を防止することができる。
具体的には、Tダイ押出機を使用して、熱可塑性樹脂および層状鉱物ならびに必要に応じ酸変性重合体などを含有し熱可塑性層12を形成するための材料である樹脂含有材料を溶融・混練し、基材11を一定の速度にて移動させながら、その基材11の一方の面に、溶融した樹脂含有材料を押し出して積層することによって、基材11上に熱可塑性層12を形成し、太陽電池用保護シート1を得る。
図2に示すように、基材11の一方の面上にタイ層12’および熱可塑性層12の積層体を積層するためには、まず上記の押出コーティングによって基材11の一方の面上にタイ層12’を与える接着性材料からなる層を積層してタイ層12’を形成し、その基材11側と反対側の露出する面上に、上記の樹脂含有材料を押し出して積層することによって、タイ層12’上に熱可塑性層12を形成してもよい。あるいは、接着性材料と樹脂含有材料とを平行した2つのスリットから共に押出し(このとき、接着性材料の吐出口の方が基材11に近位となるように配置される。)、各材料からなる層(タイ層12’および熱可塑性層12)を同時に基材11上に形成してもよい。
この共押出コーティングは、一回の積層工程で太陽電池用保護シート1が得られるという製造工程上の利点に加え、共押出しされた直後は、タイ層12’を与える接着性材料と熱可塑性層12を与える樹脂含有材料とが溶融状態で接するため、相互作用が容易に生じ、得られたタイ層12’と熱可塑性層12との密着力が高まるという利点もある。したがって、図2に示される構造を備える太陽電池用保護シート1を製造する場合には、共押出コーティングにより製造することが好ましい。
図3から図5に示すように、基材11に他の層が形成されている場合には、基材11の当該他の層が形成されていない側の面に、熱可塑性層12および/またはタイ層12’を形成すればよい。
熱可塑性層12を与える樹脂含有材料を溶融する温度および必要に応じ用いられるタイ層12’を与える接着性材料を溶融する温度は、これらの材料が溶融状態にあり、かつ溶融状態にあるこれらの材料の熱によって基材11が変形しない程度とし、80℃以上350℃以下であることが好ましく、150℃以上300℃以下であることが特に好ましい。また、樹脂含有材料および/または接着性材料が変質しやすい場合には、変質の影響を最小限にするよう、温度の上限を低下させることが好ましい。
3.太陽電池モジュール
図6は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの概略断面図である。本実施形態に係る太陽電池モジュール10は、光電変換素子である結晶シリコン、アモルファスシリコン等からなる複数の太陽電池セル2と、太陽電池セル2を封止する電気絶縁体からなる封止材3と、封止材3の表面(図6中では上面)に積層されたガラス板4と、封止材3の裏面(図6中では下面)に積層された、裏面保護シート(バックシート)としての太陽電池用保護シート1とから構成されている。
太陽電池用保護シート1は、熱可塑性層12が封止材3側となるように、封止材3に積層されており、かかる熱可塑性層12によって、封止材3から剥離しにくいものとなっている。また、熱可塑性層12は有機化処理された層状鉱物を含有するため、本実施形態における太陽電池用保護シート1は絶縁性に優れる。
封止材3の材料は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール、シリコーンなどが用いられるが、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、例えば、熱可塑性層12に含有される熱可塑性樹脂を構成するポリオレフィン系樹脂として例示したものであることが好ましい。これらの樹脂の中でも、酸素等に対するガスバリア性が高いこと、架橋が容易であること、入手のし易さ等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であることが特に好ましい。封止材3の材料がポリオレフィン系樹脂であると、ポリオレフィン系樹脂である熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性層12との親和性が大きくなり、熱可塑性層12と封止材3とが接する場合には、これらの間の接着力が高くなる。
上記太陽電池モジュール10を製造する方法は特に限定されず、例えば、封止材3を構成する2枚のシートで太陽電池セル2をサンドイッチし、当該シートの一方の露出面に太陽電池用保護シート1、他方の露出面にガラス板4を設置し、それらを真空状態で加熱しながらプレスして一体化することにより、太陽電池モジュール10を製造することができる。このとき、太陽電池用保護シート1は、例えば熱可塑性層12と封止材3との熱融着などにより、封止材3に対して積層されることとなる。
なお、図7に示すように、ガラス板4に代えて、太陽電池用保護シート1を表面保護シート(フロントシート)として使用することもできる。この場合、太陽電池セルにフレキシブル基板を用いれば、フレキシブル性を有する太陽電池モジュールを得ることができる。このように、太陽電池モジュールをフレキシブル化することにより、ロール・トゥ・ロールで大量生産することが可能となる。また、フレキシブル性を有する太陽電池モジュールは、アーチ状や放物線状の壁面を有する物体にもフィットさせることができるので、ドーム状の建築物や高速道路の防音壁などに設置することが可能となる。
あるいは、太陽電池用保護シート1における熱可塑性層12が封止材の機能を有していてもよい。この場合には、太陽電池モジュール1は、太陽電池セル2、太陽電池セル2を包容する封止材3、および封止材3の主面のそれぞれに積層される二つの保護部材を備える構成となる。これらの保護部材の少なくとも一方は太陽電池用保護シート1から構成され、この太陽電池用保護シート1が備える熱可塑性層12は、封止材3の一部または全部をなしている。熱可塑性層12が封止材3の一部をなしている場合には、太陽電池用保護シート1は封止材3に対して積層される。熱可塑性層12が封止材3の全部をなしている場合には、上記の保護部材の他方に相当するガラス板4(図6の構成)または他の太陽電池用保護シート1(図7の構成)に対して積層される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
共押出コーティングに供する2種類の材料の一方として、エチレン―アクリル酸ブチル共重合体(アルケマ社製Lotryl17BA07、アクリ酸ブチル17質量%、MFR7g/10min、密度930Kg/m)からなる接着性材料を調製した。
共押出コーティングに供する2種類の材料の他方として、熱可塑性樹脂としての直鎖状超低密度ポリエチレン(住友化学社製、Excellen VL700、密度905Kg/m、MFR10g/10min)を100質量部、ジステアリルジメチルアンモニウム塩を含む有機化剤により有機化処理されたベントナイト(ホージュン社製、S−BEN NX)を有機化処理された層状鉱物として10質量部、および二酸化チタン(デュポン社製、Ti−Pure R−105)を10質量部が二軸混練されてなる樹脂含有材料を調製した。
基材として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー X10S)の一方の面にコロナ処理を施した。上記の接着性材料および樹脂含有材料を、Tダイ製膜機(シリンダー温度:230〜280℃,Tダイ温度:300℃)を用いて2種2層方式の共押出コーティングによって、上記の基材におけるこのコロナ処理が施された面に積層した。この共押出コーティングでは、接着性材料の吐出口を基材に近位になるように配置した。
その結果、基材上に厚さ20μmのタイ層および厚さ100μmの熱可塑性層からなる積層体が、タイ層が基材に接するように形成され、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例2〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される有機化処理されたベントナイトの含有量を10質量部から5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例3〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される有機化処理された層状鉱物を、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩で有機化処理されたベントナイト(ホージュン社製、S−BEN NZ)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例4〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される有機化処理された層状鉱物を、アルキルトリアルコキシシランで表面処理したベントナイト(ホージュン社製、BEN−GEL SH)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例5〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される有機化処理された層状鉱物を、トリオクチルメチルアンモニウム塩により有機化処理されたマイカ(コープケミカル社製、ソマシフ MTE)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例6〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される熱可塑性樹脂を他の直鎖状超低密度ポリエチレン(東ソー社製ルミタック43−1、密度905kg/m)に変更したした以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例7〕
実施例2において、樹脂含有材料に、酸変性重合体としての無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(三洋化成工業社製、ユーメックス1010、重量平均分子量30,000、酸価52mgKOH/g)を15質量部さらに含有させた以外は、実施例2と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔実施例8〕
実施例2において、樹脂含有材料に含有される熱可塑性樹脂をホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、F−704NP、密度900Kg/m、MFR7g/10min)に変更し、樹脂含有材料における二酸化チタンの含有量を10質量部から5質量部に変更し、酸変性重合体(三洋化成工業社製、ユーメックス1010、無水マレイン酸変性グラフトポリプロピレン、重量平均分子量30,000、酸価52mgKOH/g)の15質量部を樹脂含有材料にさらに含有させた以外は、実施例2と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、有機化処理された層状鉱物を含有させずに樹脂含有材料を調製した以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において、樹脂含有材料に含有される有機化処理された層状鉱物を、有機化処理されたベントナイトに代えて、未処理のモンモリロナイト(クニミネ工業社製 クニピアF)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、図2に示す構成の太陽電池用保護シートを得た。
〔試験例1〕<電気絶縁性評価>
実施例または比較例で作製した太陽電池モジュール用保護シートを用いて、部分放電試験を行った。試験器として菊水電子工業社製KPD2050を用いて、IEC61730−2 MST15に規定される部分放電電圧を測定した。具体的な試験条件は次のとおりであった。
最大印可電圧:1.5kV
最大印可電圧時間:5秒
昇圧時間:10秒
電荷しきい値:1pC
結果を表1に示す。
〔試験例2〕<反射率>
実施例または比較例で作製した保護シートを30mm×50mmの大きさに切断し、分光光度計(島津製作所社製UV−3600)を用いて、熱可塑性層側から入射させた光の反射率を測定した。本測定において、反射率は、各種タイプの太陽電池の分光感度への適用を考慮して、次の2つの波長範囲の分光反射率を測定し、その平均値を算出した。
(1)波長450〜800nmの範囲
(2)波長800〜1200nmの範囲
評価結果を表1に示す。
Figure 2013183098
表1から分かるように、本発明の条件を満たす実施例の太陽電池用保護シートは部分放電開始電圧が高く、電気絶縁性に優れる。
本発明に係る太陽電池用保護シートは、例えば太陽電池モジュールのバックシートまたはフロントシートとして好適に用いられる。
1…太陽電池用保護シート
11…基材
12…熱可塑性層
12’…タイ層
13…フッ素樹脂層
14…蒸着層
15…接着層
16…金属シート
2…太陽電池セル
3…封止材
4…ガラス板
10…太陽電池モジュール

Claims (18)

  1. 基材、および前記基材の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性層を備えた太陽電池用保護シートであって、
    前記熱可塑性層は、熱可塑性樹脂と有機化処理された層状鉱物とを含有すること
    を特徴とする太陽電池用保護シート。
  2. 前記熱可塑性層は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して前記有機化処理された層状鉱物を0.5質量部以上50質量部以下含有する請求項1に記載の太陽電池用保護シート。
  3. 前記熱可塑性層は、さらに、酸変性重合体を含有する請求項1または2に記載の太陽電池用保護シート。
  4. 前記熱可塑性層は、前記酸変性重合体を、前記有機化処理された層状鉱物100質量部に対して100質量部以上500質量部以下含有する請求項3に記載の太陽電池用保護シート。
  5. 前記酸変性重合体は、その酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である請求項3または4に記載の太陽電池用保護シート。
  6. 前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂である請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  7. 前記酸変性重合体は酸変性ポリオレフィン鎖を含むポリオレフィン系オリゴマーである請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  8. 前記基材における前記熱可塑性層が積層される面には易接着処理が施されている請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  9. 前記熱可塑性層は、押出コーティングにより前記基材の一方の面に積層されたものである請求項1から8のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  10. 前記基材と前記熱可塑性層との間に、これらに対する接着性を有する接着性材料からなるタイ層を備える1から8のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  11. 前記接着性材料は、エチレンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を主成分とする請求項10に記載の太陽電池用保護シート。
  12. 前記熱可塑性層および前記タイ層は、共押出コーティングにより前記基材の一方の面に積層されたものである請求項10または11に記載の太陽電池用保護シート。
  13. 前記熱可塑性層は、太陽電池モジュールを構成する封止材に積層される層である請求項1から12のいずれか一項に記載の太陽電池用保護シート。
  14. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性層とを備えた太陽電池用保護シートの製造方法であって、
    請求項1から7のいずれか一項に記載される熱可塑性層を形成するための材料を、前記基材の少なくとも一方の面に押出コーティングして、前記熱可塑性層を形成すること
    を特徴とする太陽電池用保護シートの製造方法。
  15. 基材と、熱可塑性層と、前記基材および前記熱可塑性層に対する接着性を有する接着性材料からなり前記基材の一方の面および前記熱可塑性層の一方の面の間に積層されたタイ層とを備えた太陽電池用保護シートの製造方法であって、
    請求項1から7のいずれか一項に記載される熱可塑性層を形成するための材料と、前記接着性材料とを、前記基材の少なくとも一方の面に共押出コーティングして、前記タイ層および前記熱可塑性層を形成すること
    を特徴とする太陽電池用保護シートの製造方法。
  16. 前記接着性材料は、エチレンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体を主成分とする請求項15に記載の太陽電池用保護シート。
  17. 請求項13に記載される太陽電池用保護シートを備える太陽電池モジュール。
  18. 太陽電池セル、前記太陽電池セルを包容する封止材、および前記封止材の主面のそれぞれに積層される二つの保護部材を備える太陽電池モジュールであって、
    前記保護部材の少なくとも一方は請求項1から12のいずれか一項に記載される太陽電池用保護シートからなり、
    前記太陽電池用保護シートが備える前記熱可塑性層は前記封止材の一部または全部をなすことを特徴とする太陽電池モジュール。
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