JP2013180980A - 架橋性フラーレン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラーレン構造の含有率が高い架橋高分子を形成することができ、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れたフォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜を形成することができる架橋性フラーレン組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される構造を有するフラーレン誘導体と、メチロール基又は保護されたメチロール基と反応可能な部位を有する化合物とを含有する架橋性フラーレン組成物。
Figure 2013180980

(FLNはフラーレン骨格、Rは、−A−(CH(3−a)−(OX)で表される置換基(Aは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Oは酸素原子、Xは水素原子又はアルコール性水酸基の保護基。aは1又は2、bは1〜5の整数。)、Rは、水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の有機基、mは2〜20の整数、nは0〜20の整数。)
【選択図】なし

Description

本発明は架橋性フラーレン組成物に関するものであり、詳しくは架橋性反応基を有するフラーレン誘導体を含有する架橋性フラーレン組成物に関するものである。
本発明はまた、この架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解してなる架橋性フラーレン組成物溶液と、この架橋性フラーレン組成物を含むフラーレン含有膜、フォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料、並びにこの架橋性フラーレン組成物を架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体に関する。
フォトレジスト膜は、通常、フォトレジスト膜形成材料を溶媒に溶解させた塗布液を用いて塗膜を形成し、その後、フォトレジスト膜形成材料を架橋させて架橋高分子として不溶化し、未架橋の可溶部分を除去して(ただし、ネガ/ポジパターンは反転する)形成される。即ち、架橋高分子は分子鎖の動きが三次元方向に拘束されているため、通常、同種の線状高分子よりも強度、耐熱性、耐溶剤性等に優れる。そのため、フォトレジストの下層膜などを形成する際、主剤に架橋剤や酸発生剤などを配合した組成物を用いて架橋高分子膜を成膜することが行われている(例えば特許第4496432号公報、特開2010−26221号公報)。
近年、ICの高集積化に伴い、フォトレジスト膜形成材料には、より細密なパターン形性能力が要求されているが、微細パターンの形成では、「パターンのゆらぎ」、即ち「ウィグリング(wiggling)」が問題となっている。
このウィグリングは、膜中の水素原子濃度(以下「水素濃度」と称す。)が高いほど発生しやすいとの報告があり、ウィグリング耐性を高めるために、より高炭素原子濃度(以下「炭素濃度」と称す。)で低水素濃度のフォトレジスト膜形成材料が求められている。(2005 Dry Process International Symposium 2-05「Sub-55nm Etch Process Using Stacked Mask Process」)。
しかしながら、従来法では、架橋性高分子を得るために、主剤に対して架橋剤を比較的多く必要とする。例えば、特許第4498432号公報ではフラーレン誘導体10重量部とポリヒドロキシスチレン系ポリマーなどのベースポリマー10重量部よりなる主剤20重量部に対して、後掲の「CR1」(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル)等の架橋剤を10重量部必要とする。一般的な架橋剤は耐熱性が低く、炭素濃度も低いため、このように、架橋剤を多く用いた架橋高分子では、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性を向上させるために添加したフラーレン誘導体の効果が十分に得られない可能性がある。
一方、ノボラックフェノール樹脂を高機能化する例として、フルオレン骨格などの剛直な骨格を導入することで耐熱性を向上させた難燃性樹脂原料(特開2003−226727号公報等)や、メチロール基を有するビスフェノールフルオレンを用いて効率良くフルオレン骨格を導入した耐熱性、耐エッチング性に優れた感光性樹脂原料(特開2008−273844号公報等)、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格などを導入することで耐熱性や機械的強度を高めた熱硬化性樹脂成形材料(特開2009−286888号公報等)などが提案されているが、これらの骨格構造に比べて、フラーレン構造は更に炭素濃度が高く、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れることから、フラーレン誘導体使用量を十分に高めた上で、架橋構造を導入する技術の開発が望まれている。
特許第4496432号公報 特開2010−26221号公報 特開2003−226727号公報 特開2008−273844号公報 特開2009−286888号公報
2005 Dry Process International Symposium 2-05「Sub-55nm Etch Process Using Stacked Mask Process」
本発明は、フラーレン構造の含有率が高い架橋高分子を形成することができ、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れたフォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜を形成することができる架橋性フラーレン組成物と、この架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解してなる架橋性フラーレン組成物溶液と、この架橋性フラーレン組成物を含むフラーレン含有膜、フォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料、並びにこの架橋性フラーレン組成物を架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フラーレン誘導体に架橋性反応基を導入し、フラーレン誘導体自体を架橋剤として機能させることにより、高炭素濃度/低水素濃度の架橋高分子を得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 下記式(1)で表される構造を有するフラーレン誘導体(以下「フラーレン誘導体(1)」と称す。)と、メチロール基又は保護されたメチロール基と反応可能な部位(以下「メチロール反応部」と称す。)を有する化合物(以下「メチロール反応性化合物」と称す。)とを含有することを特徴とする架橋性フラーレン組成物。
Figure 2013180980
(但し、上記式(1)中、FLNはフラーレン骨格を表し、Rは、−A−(CH(3−a)−(OX)で表される置換基(但し、Aは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Oは酸素原子、Xは水素原子又はアルコール性水酸基の保護基であり、aは1又は2、bは1〜5の整数である。)を表し、Rは、水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の有機基を表し、mは2〜20の整数、nは0〜20の整数である。なお、個々のR、Rはそれぞれ相互に異なっていても同一でもよい。)
[2] 前記フラーレン誘導体(1)のフラーレン骨格が、C60、C70、C76、C82、C84、及びC90フラーレンから選ばれる少なくとも1種のフラーレン骨格であることを特徴とする[1]に記載の架橋性フラーレン組成物。
[3] 前記式(1)のRにおけるAが置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の架橋性フラーレン組成物。
[4] 前記式(1)のRにおけるXが水素原子又は炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基であることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[5] 前記式(1)のRにおけるXが炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基であって、該アルコール性水酸基の保護基が、その炭素鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリルエーテル基、アシル基、及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は環状構造を構成する原子数が5〜12のヘテロ環状基であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[6] 前記式(1)のRにおけるAがフェニレン基で、かつa=1、b=1であることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[7] 前記メチロール反応性化合物のメチロール反応部が、縮合反応可能な部位であることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[8] 前記メチロール反応性化合物が、フェノール性水酸基を有する化合物である[7]に記載の架橋性フラーレン組成物。
[9] 前記メチロール反応性化合物のメチロール反応部が、付加反応可能な部位であることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[10] 前記メチロール反応性化合物が、エポキシ基を有する化合物である[9]に記載の架橋性フラーレン組成物。
[11] 架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)の含有割合が、組成物100重量%あたり0.01重量%以上、95重量%以下であることを特徴とする[1]ないし[10]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物。
[12] [1]ないし[11]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解してなることを特徴とする架橋性フラーレン組成物溶液。
[13] [1]ないし[11]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物を含むフラーレン含有膜。
[14] [1]ないし[11]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物を含有してなるフォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料。
[15] [1]ないし[11]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)と前記メチロール反応性化合物とを、酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体。
[16] [1]ないし[11]のいずれかに記載の架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)と前記メチロール反応性化合物とを、加熱により架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体。
本発明の架橋性フラーレン組成物は、フラーレン誘導体を主剤として用いるだけではなく、架橋剤としても使用するものであり、架橋剤を多量に配合することによる炭素濃度の低下の問題がなく、以下のような優れた効果のもとに、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れた架橋高分子を形成することができる。
(1) 本発明で用いるフラーレン誘導体は、ラジカルトラップ性能を有し、それ自体が架橋剤、耐熱性付与剤、酸化防止剤の機能を有するため、これらの添加剤を不要とすることができる。また、耐熱性が高いために耐熱性付与剤等の添加が不要である。即ち、一般的に耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性を低下させる要因となる添加剤を用いることなく、或いはこれらの添加剤の配合量を著しく少なくすることができる。
(2) 本発明で用いるフラーレン誘導体は、架橋性反応基を高密度に導入することができ、例えば、1nm程度の分子中に5〜16個程度の架橋性反応基を有するものとすることが可能であるため、架橋密度が高く、炭素濃度の高い架橋高分子を形成することができる。
(3) 耐熱性が高いために、高温条件下でも分解物生成の問題がない。
本発明の架橋性フラーレン組成物により形成される、炭素濃度が高く、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れた架橋高分子膜は、特に、フォトレジスト膜やフォトレジスト下層膜として有用である。
フラーレン誘導体H350のIR吸収スペクトルを示すチャートである。 フラーレン誘導体H351とo−クレゾールとの反応生成物のIR吸収スペクトルを示すチャートである。 フラーレン誘導体H351、H350と、架橋剤CR1のTG測定結果を示すグラフである。
以下本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
〔架橋性フラーレン組成物〕
本発明の架橋性フラーレン組成物は、下記式(1)で表される構造を有するフラーレン誘導体(以下「フラーレン誘導体(1)」と称す。)と、メチロール基又は保護されたメチロール基と反応可能な部位(以下「メチロール反応部」と称す。)を有する化合物(以下「メチロール反応性化合物」と称す。)とを含有することを特徴とするものであり、特に、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れた架橋高分子膜を形成することができることから、フォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料として好適に用いることができる。
Figure 2013180980
(但し、上記式(1)中、FLNはフラーレン骨格を表し、Rは、−A−(CH(3−a)−(OX)で表される置換基(但し、Aは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Oは酸素原子、Xは水素原子又はアルコール性水酸基の保護基であり、aは1又は2、bは1〜5の整数である。)を表し、Rは、水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の有機基を表し、mは2〜20の整数、nは0〜20の整数である。なお、個々のR、Rはそれぞれ相互に異なっていても同一でもよい。)
[フラーレン誘導体(1)]
まず、フラーレン誘導体(1)について説明する。
<フラーレン骨格>
「フラーレン」とは、閉殻構造を有する炭素クラスターである。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数である。フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスターを挙げることができる。なお、本明細書では、炭素数i(ここでiは任意の自然数を表す。)のフラーレン骨格を適宜、一般式「Ci」で表す。
また、「フラーレン誘導体」とは、フラーレン骨格を有する化合物又は組成物の総称である。即ち、フラーレン誘導体には、フラーレン骨格上に置換基を有するものの他、フラーレン骨格の内部に金属や化合物等を内包するもの及び他の金属原子や化合物と錯体を形成したもの等も含まれる。
本発明に係るフラーレン誘導体(1)が有するフラーレン骨格は制限されないが、C60、C70、C76、C82、C84、及びC90から選ばれる少なくとも1種が好ましく、中でもC60又はC70が好ましく、C60がより好ましい。C60及びC70はフラーレンの製造時に主生成物として得られるので、入手が容易であるという利点がある。即ち、本発明に係るフラーレン誘導体(1)は、C60又はC70或いはその混合物の誘導体であることが好ましく、C60の誘導体であることがより好ましい。
フラーレン誘導体(1)を表す前記式(1)におけるmは、フラーレン骨格に結合した置換基R1の数である。mは2〜30の整数であり、好ましくは3〜16であり、より好ましくは5〜10である。
なお、m個の置換基R1は、同一の構造でもよいし、異なる構造であってもよい。例えば1種類の化合物を原料として用いた場合は同一置換基を有する構造となり、複数の化合物の混合物を原料に用いれば通常異なった構造の誘導体が得られる。目的とする用途に応じて複数の置換基を導入できる。
フラーレン誘導体(1)において、置換基Rに含まれるAの置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基の具体的な例としては、b=1で、Rが−A−CH(3−a)−(OX)の場合、A基としてはフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、ジヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシメチルフェニレン基、エチルヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシジメチルフェニレン基、アセチルフェニレン基、フッ化フェニレン基、クロロフェニレン基、ブロモフェニレン基、t−ブチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、ヒドロキシナフチレン基、メトキシナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントラセニレン基、ピレニレン基等の2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
この中でも、フェニレン基、ナフチレン基又はアントラセニレン基が好ましく、特にフェニレン基が好ましい。
bが2〜5の場合、上記の2価の芳香族炭化水素基に対応する3〜6価の芳香族炭化水素基が挙げられ、その好ましいものも同様である。
Xは水素原子、又はアルコール性水酸基の保護基であり、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基である。
Xが、水素原子、又は炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基であると、加熱等により容易に脱離することができるため、その末端にはアルキロール基が生成する。該アルキロール基は、自己反応性を有し、分子間反応による縮合物を得ることができるだけでなく、さらに置換基R1が複数(m≧2)であることにより架橋性も有するものとなる。
アルコール性水酸基の保護基の中でも、炭素数1〜12で炭素鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリルエーテル基、アシル基、アラルキル基又は環状構造を構成する原子数が5〜12であるヘテロ環状基であることが好ましい。
炭素数1〜12で炭素鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリルエーテル基、アシル基、アラルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、ベンジルメチル基、ベンジルオキシアルキル基、トリメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等が挙げられる。
環状構造を構成する原子数が5〜12であるヘテロ環状基として具体的には、テトラヒドロピラニル基が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基の保護基は特に上記のものに限定されるものではなく、公知の保護基が対象となる。例えば、THEODRA W. GREENE「PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS」(WILEY−INTERSCIENCE THIRD EDITION) p23−200に記載されている保護基等も有効である。
中でも、Xとしては水素原子が好ましく、アルコール性水酸基の保護基である場合では、メチル基、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基が好ましく、特にテトラヒドロピラニル基が好ましい。
フラーレン誘導体(1)は、上記置換基R1以外に、置換基R2を有していてもよい。
置換基R2は、水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の有機基である。有機基としてはアルキル基、アルケニル基、アリル基又はアリール基等が挙げられる。また、上記式(1)に示すフラーレン骨格に結合した置換基R2の数を示すnは、0〜20の整数であり、好ましくは0〜15である。nが2以上である場合は、個々のR2は相互に異なっていても同一でもよい。なお、n=0は、置換基R2が存在しないことを示す。
2は水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はアルケニル基である。
フラーレン誘導体(1)の中でも、置換基RのAがフェニレン基で、a=1、b=1の「−A−CH−OX」の構造となるフラーレン誘導体が好ましい。
このようなフラーレン誘導体の中でも、特にフラーレン骨格がC60又はC70、mが5〜10の整数、かつXが水素原子、メチル基又はテトラヒドロピラニル基であることが好ましい。
フラーレン誘導体(1)の製造方法については、後掲の合成例1にその代表例を示す。
本発明の架橋性フラーレン組成物には、このようなフラーレン誘導体(1)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上のフラーレン誘導体(1)が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。
[メチロール反応性化合物]
上述のような架橋反応性のフラーレン誘導体(1)と反応する、メチロール基又は保護されたメチロール基と反応可能な部位(メチロール反応部)を有するメチロール反応性化合物としては、フラーレン誘導体(1)のメチロール基又は保護されたメチロール基と反応し得るメチロール反応部を有するものであればよく、特に制限はないが、例えば次のようなものが挙げられる。
(I) メチロール反応部として、フラーレン誘導体(1)のメチロール基又は保護されたメチロール基と縮合反応可能な部位を有するメチロール反応性化合物(以下「メチロール反応性化合物(I)」と称す場合がある。)
(II) メチロール反応部として、フラーレン誘導体(1)のメチロール基又は保護されたメチロール基と付加反応可能な部位を有するメチロール反応性化合物(以下「メチロール反応性化合物(II)」と称す場合がある。)
上記メチロール反応性化合物(I)としては、フェノール性水酸基を有し、フェノール性水酸基に隣接する炭素(オルト位の炭素)が反応点となり得る化合物が挙げられる。このような化合物としては、結晶性フェノール誘導体と称される化合物などがあり、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドエロキシフェニル)−シクロヘキシル]プロパン等の低分子量(例えば分子量200〜800程度)のフェノール化合物、フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、フェノール性水酸基を有するフラーレン誘導体などが好ましいものとして挙げられる。その他カリックスアレーンやNoria(文献:H.Kudo,R.Hayashi,K.Mitani,T.Yokozawa,N.C.Kasuga,T.Nishikubo.Angew,Chem,lnt,Ed.,45,7948−7952(2006))等を用いることもできる。
一方、上記メチロール反応性化合物(II)としては、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、テトラグリシジル4,4−ジアミノジフェニルメタン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、イソシアヌル酸トリス(2,3−エポキシプロピル)等のエポキシ基を有する低分子量(例えば分子量200〜800程度)のエポキシ化合物やエポキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。その他TETRAD−X(メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂 三菱ガス化学株式会社製)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂(三菱ガス化学株式会社製)等を用いることもできる。
これらのメチロール反応性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
[添加剤]
本発明の架橋性フラーレン組成物は、上記フラーレン誘導体(1)及びメチロール反応性化合物以外の成分を添加剤として含有していてもよい。本発明の架橋性フラーレン組成物が含有し得る添加剤としては、次のようなものが挙げられる。
<酸触媒>
酸触媒としては、無機/有機酸や熱/光酸発生剤などがある。酸もしくは酸発生剤は、架橋性フラーレン誘導体のメチロール基に作用するものであり、p−トルエンスルホン酸やメタンスルホン酸等の有機酸やシクロヘキシル−4−メチルベンゼンスルホネート(WPAG618 和光純薬工業株式会社製)などの熱酸発生剤、トリフェニルスルフォニウム トリフルオロメタンスルフォネート(WPAG−281 和光純薬工業株式会社製)などの光酸発生剤などがあり、これらの酸触媒を1種又は2種以上を用いることができる。
<アルカリ触媒>
アルカリ触媒としては、無機/有機塩基や熱/光塩基発生剤などがある。架橋性フラーレン誘導体のメチロール基に作用するものであり、トリエタノールアミンやテトラエチルアンモニウムヒジドロキサイドなどの有機塩基や4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジンなどの光塩基発生剤、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾールなどの熱塩基発生剤などがあり、これらの塩基触媒を1種又は2種以上を用いることができる。
<その他の添加剤>
本発明の架橋性フラーレン組成物は、更に、各種の界面活性剤、分散剤、バインダー樹脂、放射線吸収剤、保存安定剤、消泡剤、接着助剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
[架橋性フラーレン組成物の組成]
本発明の架橋性フラーレン組成物は、フラーレン誘導体(1)を、組成物100重量%あたり0.01重量%以上、95重量%以下含有することが好ましい。
組成物中のフラーレン誘導体(1)の含有割合が少な過ぎると高炭素濃度の架橋高分子を形成し得ず、多過ぎると相対的にメチロール反応性化合物の含有割合が少なくなって、好適な架橋構造を形成し得ない。架橋性フラーレン組成物中のフラーレン誘導体(1)の含有量はより好ましくは5〜85重量%である。
また、本発明の架橋性フラーレン組成物におけるメチロール反応性化合物とフラーレン誘導体(1)との含有割合は、メチロール反応性化合物100重量部に対してフラーレン誘導体(1)が5〜500重量部、特に10〜100重量部であることが好ましい。メチロール反応性化合物に対するフラーレン誘導体(1)の含有量が多過ぎても少な過ぎても、良好な架橋構造を形成し得ず、特に、フラーレン誘導体(1)の含有量が少な過ぎると、高炭素濃度の架橋高分子を形成し得ない。
本発明の架橋性フラーレン組成物が酸発生剤(酸触媒)又はアルカリ発生剤(アルカリ触媒)を含有する場合、その含有量が少な過ぎるとこれらを含有することによる触媒効果を十分に得ることができず、多過ぎると架橋物が不均一となるので、酸発生剤(酸触媒)又はアルカリ発生剤(アルカリ触媒)はメチロール反応性化合物100重量部に対して0.5〜100重量部、特に1〜50重量部の割合で用いることが好ましい。
[架橋性フラーレン組成物の製造方法]
本発明の架橋性フラーレン組成物は、フラーレン誘導体(1)、メチロール反応性化合物及び必要に応じて用いられるその他の添加剤を所定の割合で混合することにより製造されるが、一般的には、後述の溶媒を用い、溶媒中でこれらの成分を混合して、本発明の架橋性フラーレン組成物溶液として製造される。
〔架橋性フラーレン組成物溶液〕
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液は、上述の本発明の架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解させてなるものである。
架橋性フラーレン組成物を溶解させる溶媒としては、フラーレン誘導体(1)及びメチロール反応性化合物が十分な溶解度を有し、常圧下又は減圧下で室温又は加熱することにより揮発させることのできる溶媒であれば特に限定することなく用いることができ、入手の容易さ、価格、毒性ないしは有害性、安全性等を考慮して適宜選択すればよい。
この溶媒としては、例えば1価又は多価のアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、芳香族ハロゲン化炭化水素類、複素環化合物系溶媒、アルカン系溶媒、ハロアルカン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ニトロメタン、ニトロエタン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)および水を挙げることができる。
1価又は多価のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールを挙げることができる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、2−ヘプタノン、メチルイソプロピルケトン、MIBK(メチルイソブチルケトン)、シクロヘキサノン(CHN)を挙げることができる。
エーテル類としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、GBL(γ−ブチロラクトン)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等を挙げることができる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1−フェニルナフタレンなどが挙げられる。
芳香族ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどが挙げられる。
複素環化合物系溶媒としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、2−メチルチオフェン、ピリジン、キノリン、チオフェン等を挙げることができる。
アルカン系溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、デカリン、cis−デカリン、trans−デカリン等を挙げることができる。
ハロアルカン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等を挙げることができる。
これらの溶媒の中でも、より好ましく用いられる溶媒の例としては、PGMEA、PGME、乳酸エチル、2−ヘプタノン、CHN、MEK、GBL、NMP等が挙げられる。
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液において、溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液の固形分濃度は、フラーレン誘導体(1)やメチロール反応性化合物の溶媒への溶解度、これを製膜材料として用いる場合に形成する膜の膜厚等により異なるため一義的に定めることは困難であるが、架橋性フラーレン組成物溶液中のフラーレン誘導体(1)の濃度は、通常0.1〜20重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。架橋性フラーレン組成物溶液のフラーレン誘導体(1)濃度が上記下限未満では、多量の溶媒を必要とし不経済であるとともに膜厚の厚い膜を製膜するためには繰り返して塗布を行う必要が生じる。また、フラーレン誘導体(1)の濃度が上記上限を超えると、溶液の粘性が高くなるため取扱いが困難になり、均一な膜厚の塗膜を得ることが困難になる。また、架橋性フラーレン組成物溶液において、フラーレン誘導体(1)は溶媒に完全に溶解していることが好ましいが、一部溶解せずに懸濁していてもよく、或いは塗布時に再分散して分散液とすることができる限り、その一部が沈降していても構わない。
また、本発明の架橋性フラーレン組成物溶液は、フラーレン誘導体(1)とメチロール反応性化合物と、必要に応じて配合されるその他の添加剤を合計した全固形分濃度は1〜50重量%、特に5〜25重量%であることが好ましい。
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液の製造方法に制限はないが、通常、所定の装置で攪拌しながら本発明の架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解させる方法、超音波を照射する方法などで製造することができる。この際のフラーレン誘導体(1)、メチロール反応性化合物及び溶媒、並びに必要に応じて用いられる添加剤の混合順序も、特に制限はない。
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液は、安定性や操作性の観点から通常室温(25℃程度)で製造されるが、溶媒の沸点以下であれば、加熱しながら溶解させて保管することもできる。また、フラーレン誘導体(1)の溶解度に問題がなければ、25℃以下の低温下で製造、保管することもできる。
〔フラーレン含有膜〕
本発明のフラーレン含有膜は、本発明の架橋性フラーレン組成物を含むものであり、通常、本発明の架橋性フラーレン組成物溶液を用いて湿式製膜し、形成された塗膜から溶媒を除去することにより製造される。
本発明の架橋性フラーレン組成物溶液の湿式製膜は、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法等の、任意の方法により行うことができる。
架橋性フラーレン組成物溶液を湿式製膜する基材の形状としては、板状およびフィルム状、球状、塊状、繊維状等が挙げられる。また、基材の材質としては、次の加熱処理の際に熱分解や変形を起こさない限り特に限定することなく任意の材質のものを用いることができる。例えば、ガラス、シリコン等の半導体、金属、コンクリート等の無機系材料を用いることができる。
架橋性フラーレン組成物溶液の湿式製膜により形成する塗膜の膜厚は、架橋性フラーレン組成物溶液の濃度や基材への付着量を調節することにより、用途等に応じて数nm〜数十μmの範囲内で適宜調整することができる。膜厚の下限は、好ましくは10nm、より好ましくは50nmである。膜厚の上限は、繰り返して湿式製膜を行えば理論上制限がないが、好ましくは1μm、より好ましくは500nmである。この膜厚は公知の膜厚測定方法により測定することができる。
塗膜の膜厚が厚すぎると、次の加熱による架橋反応時に膜質が悪化する可能性があり、薄すぎるとピンホール等の膜の不均質の問題が起きる可能性がある。
上記塗膜中に残留した溶媒を除去するための乾燥処理を行う場合、乾燥処理は、用いた溶媒の沸点、揮発性等に応じて任意の方法により行うことができる。乾燥方法としては、室温、大気圧下での風乾、室温、減圧下での減圧乾燥、大気圧又は減圧下での加熱等が挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。加熱による乾燥の場合、均一に含有溶媒を除去するため300℃以下、好ましくは200℃以下で行うことが好適であり、溶媒の突沸等による塗膜の劣化を防止するため150℃以下で行うことがより好ましい。さらに、酸化による膜質の変化を抑制するために不活性雰囲気下で行ってもよいが、通常は大気中で行うことができる。なお、加熱乾燥は、後述の架橋反応のための加熱処理と同時に行ってもよい。減圧による乾燥の場合、好ましい減圧条件は1.33×10Pa(1torr)以上1.01×10Pa(760torr)未満である。
乾燥を不活性雰囲気下で行う際に使用できる不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
特に、塗膜の乾燥は大気中にて、50〜150℃の温度で5秒〜60分程度行うことが好ましい。
本発明の架橋性フラーレン組成物を用いることにより、耐熱性、エッチング耐性、ウィグリング耐性に優れた架橋高分子膜を形成することができることから、本発明の架橋性フラーレン組成物を含む本発明のフラーレン含有膜は、特に、フォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜として有効に適用することができる。
〔フラーレン誘導体含有架橋体〕
本発明のフラーレン誘導体含有架橋体は、本発明の架橋性フラーレン組成物中のフラーレン誘導体(1)とメチロール反応性化合物とを架橋させてなるものであり、具体的には、酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に、即ち、前述の酸発生剤又はアルカリ発生剤の作用により、或いは加熱により、架橋させてなるものである。
加熱によりフラーレン誘導体(1)とメチロール反応性化合物とを架橋反応させる場合、加熱処理は50℃以上、500℃以下の温度で行うことが好ましい。加熱処理温度が上記下限よりも低いと、架橋反応を十分に進行させることができない。加熱処理温度が高過ぎると樹脂等のメチロール反応性化合物が分解する可能性があり、基材の耐熱性や加熱コスト、加熱設備等に制約を受ける点においても好ましくない。加熱処理は、特に80〜400℃、とりわけ100〜300℃で行うことが好ましい。
加熱処理時間については、目的とするフラーレン誘導体含有架橋体が得られる時間であればよく、特に制限はないが、通常1〜300分、好ましくは1〜30分である。
加熱処理の雰囲気については、乾燥雰囲気と同様の不活性ガス雰囲気であってもよく、大気中であってもよい。
なお、酸触媒又はアルカリ触媒により架橋反応を進行させる場合には、必ずしも加熱を行う必要はないが、加熱を行うことにより、架橋反応を効率的に進行させることができ、好ましい。
〔フォトレジスト用途〕
前述の如く、本発明の架橋性フラーレン組成物はフォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料として好適である。
本発明の架橋性フラーレン組成物を用いて、これらの膜を形成する場合、具体的には、前述の本発明の架橋性フラーレン組成物溶液を前述の方法で基材に湿式製膜で形成した塗膜を必要に応じて乾燥させた後、前述の加熱処理条件で加熱してフラーレン誘導体含有架橋体膜とする。形成されるフラーレン誘導体含有架橋体膜の膜厚については、その用途に応じて適宜設計されるが、通常50nm〜100μm、特に100nm〜1μmであることが好ましい。フラーレン誘導体含有架橋体膜の膜厚が上記範囲よりも薄いと、例えばエッチング処理時に膜が消滅してしまうことがあり、逆に厚いと架橋反応が均一に進行し難く、均質な膜を形成することが難しい場合がある。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
以下において、各種の化合物や測定法等の略号は次の通りである。
THP:テトラヒドロピラニル
ODCB:o−ジクロルベンゼン
THF:テトラヒドロフラン
MeI:ヨウ化メチル
CDCl3:重水素化クロロホルム
CHN:シクロヘキサノン
Me:メチル基
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
NMR:核磁気共鳴
IR:赤外線吸収スペクトル
TG:熱重量分析
[合成例1:フラーレン誘導体の合成]
臭化銅(I)(7.32g、51.0mmol)のTHF懸濁液(75mL)を5℃まで冷却した後、(4−THP)OCH2−C64Brから合成したグリニャール試薬である(4−THP)OCH2−C64MgBr/THF溶液(0.7mol/L;68mL)を加え、25℃まで昇温した。そこにC60(3.0g、4.17mmol)のODCB溶液(135mL)を加え、2時間攪拌した。ここに、MeI(3.9mL、62.6mmol)を加えさらに8時間攪拌した。反応液を濾過し、THFを除去した後、トルエンで希釈し、シリカカラムクロマトグラフィー(展開液:トルエン及び酢酸エチル)を行った。溶液を濃縮し、2−プロパノール(500mL)で晶析を行い、100℃で真空乾燥を行うことでフラーレン誘導体:C60{(4−THP)OCH2−C645(−CH3)をオレンジ色固体(6.01g、3.56mmol、収率84.5%)の生成物として得た。
得られた生成物を1H−NMR及びHPLCにて測定した。なお、1H−NMRはCDCl3を溶媒とし、400MHzにて測定した。また、HPLCは、0.5mg/mLのTHF溶液を調製し、以下の測定条件で測定した。
カラム種類:ODS(オクタデシルシリル基 (C1837Si−) で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲル)
カラムサイズ:150mm×4.6mmφ
溶離液:トルエン/メタノール=4/6
検出器:UV290nm
HPLC測定の結果、保持時間4.40minに、89.9(Area%)で観測された。
また、1H−NMRの測定結果は、以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)>
7.78ppm(d,Ph,4H),7.68ppm(d,Ph,4H),7.30ppm(t,Ph,8H),7.19ppm(d,Ph,2H),7.06ppm(d,Ph,2H),4.83〜4.80ppm(m,PhCH2,4H),4.70ppm(s,PhCH2,4H),4.6ppm(m,PhCH2,2H),4.5ppm(t,PhCH2−O−CH,4H),4.3ppm(d,PhCH2−O−CH,1H),3.9〜3.8ppm(m,THP(O−CH2),5H),3.6〜3.5ppm(m,THP(O−CH2),5H),2.0〜1.4ppm(m,C60Me+THP(CH2),33H)
以上の結果から、得られた生成物が下記構造式で表される、C60{(4−THP)OCH2−C645(−CH3)であることが確認された。このフラーレン誘導体を「H351」と称す。
Figure 2013180980
[実施例1:実施例膜No.1の形成]
ポリヒドロキシスチレン(日本曹達株式会社製「VP−15000」)100重量部に対して、H351を10重量部、熱酸発生剤(シクロヘキシル−4−メチルベンゼンスルホネート)(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を1.5重量部、CHNを1150重量部添加して塗布液1を調製した。
次いで、塗布液1をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて、500rpmで10秒間、その後1500rpmで40秒間回転させる条件で、シリコンウエハ上に塗布液1を塗布した。
次いで、塗布液1を塗布したシリコンウエハを、空気中、ホットプレート上で110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.1−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.1−180、1−200、1−220、1−240、1−270を形成した。
[実施例2:実施例膜No.2の形成]
ポリヒドロキシスチレン(日本曹達株式会社製「VP−15000」)100重量部に対して、H351を20重量部、熱酸発生剤(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を3重量部、CHNを1150重量部添加して塗布液2を調製した。
この塗布液2を、実施例1と同様にシリコンウエハ上に塗布し、同様に110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.2−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.2−180、2−200、2−220、2−240、2−270を形成した。
[実施例3:実施例膜No.3の形成]
下記構造式で表されるフラーレン誘導体「nanom spectra H200」(フロンティアカーボン株式会社製)100重量部に対して、H351を10重量部、熱酸発生剤(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を1.5重量部、CHNを1000重量部添加して塗布液3を調製した。
Figure 2013180980
この塗布液3を、実施例1と同様にシリコンウエハ上に塗布し、同様に110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.3−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.3−180、3−200、3−220、3−240、3−270を形成した。
[実施例4:実施例膜No.4の形成]
上記のフラーレン誘導体「nanom spectraH200」(フロンティアカーボン株式会社製)100重量部に対して、H351を20重量部、熱酸発生剤(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を3重量部、CHNを1000重量部添加して塗布液4を調製した。
この塗布液4を、実施例1と同様にシリコンウエハ上に塗布し、同様に110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.4−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.4−180、4−200、4−220、4−240、4−270を形成した。
[実施例5:実施例膜No.5の形成]
ノボラック樹脂(旭有機材料株式会社製「SP1010」)100重量部に対して、H351を10重量部、熱酸発生剤(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を1.5重量部、CHNを1900重量部添加して塗布液5を調製した。
この塗布液5を、実施例1と同様にシリコンウエハ上に塗布し、同様に110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.5−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.5−180、5−200、5−220、5−240、5−270を形成した。
[実施例6:実施例膜No.6の形成]
ノボラック樹脂(旭有機材料株式会社製「SP1010」)100重量部に対して、H351を20重量部、熱酸発生剤(和光純薬株式会社製「WPAG618」)を3重量部、CHNを1900重量部添加して塗布液6を調製した。
この塗布液6を、実施例1と同様にシリコンウエハ上に塗布し、同様に110℃で60秒加熱乾燥後、150℃で60秒加熱することで、シリコンウエハ上に実施例膜No.6−150を形成した。
また、上記と同様の手順で塗布膜を作成し、110℃で乾燥後の加熱温度を、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃の条件としたこと以外は同様にして、各々実施例膜No.6−180、6−200、6−220、6−240、6−270を形成した。
[比較例1:比較例膜No.1の形成]
実施例1において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.1−150、1−180、1−200、1−220、1−240、1−270に対応する比較例膜No.1−150、1−180、1−200、1−220、1−240、1−270を形成した。
[比較例2:比較例膜No.2の形成]
実施例2において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.2−150、2−180、2−200、2−220、2−240、2−270に対応する比較例膜No.2−150、2−180、2−200、2−220、2−240、2−270を形成した。
[比較例3:比較例膜No.3の形成]
実施例3において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.3−150、3−180、3−200、3−220、3−240、3−270に対応する比較例膜No.3−150、3−180、3−200、3−220、3−240、3−270を形成した。
[比較例4:比較例膜No.4の形成]
実施例4において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.4−150、4−180、4−200、4−220、4−240、4−270に対応する比較例膜No.4−150、4−180、4−200、4−220、4−240、4−270を形成した。
[比較例5:比較例膜No.5の形成]
実施例5において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.5−150、5−180、5−200、5−220、5−240、5−270に対応する比較例膜No.5−150、5−180、5−200、5−220、5−240、5−270を形成した。
[比較例6:比較例膜No.6の形成]
実施例6において、H351を用いなかったこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.6−150、6−180、6−200、6−220、6−240、6−270に対応する比較例膜No.6−150、6−180、6−200、6−220、6−240、6−270を形成した。
[比較例7:比較例膜No.7の形成]
実施例1において、H351と熱酸発生剤を用いず、ポリヒドロキシスチレンにCHNを添加したこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.1−150、1−180、1−200、1−220、1−240、1−270に対応する比較例膜No.7−150、7−180、7−200、7−220、7−240、7−270を形成した。
[比較例8:比較例膜No.8の形成]
実施例3において、H351と熱酸発生剤を用いず、フラーレン誘導体「nanom spectra H200」にCHNを添加したこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.3−150、3−180、3−200、3−220、3−240、3−270に対応する比較例膜No.8−150、8−180、8−200、8−220、8−240、8−270を形成した。
[比較例9:比較例膜No.9の形成]
実施例5において、H351と熱酸発生剤を用いず、ノボラック樹脂にCHNを添加したこと以外は同様にして塗布液を調製し、同様に塗布乾燥を行って、それぞれ同様に150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、270℃で加熱処理して、実施例膜No.5−150、5−180、5−200、5−220、5−240、5−270に対応する比較例膜No.9−150、9−180、9−200、9−220、9−240、9−270を形成した。
[膜の耐溶剤性の評価]
実施例1〜6及び比較例1〜9で形成した膜を、それぞれテトラヒドロフラン中に1分間浸漬させることにより、膜の耐溶剤性(溶解性)を評価した。耐溶剤性は、浸漬後の膜を目視で観察し、膜が残っているか否かで判断し、下記評価基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:溶解無く、表面も平滑で均一
△:溶解はしないが、表面に凹凸が生成した
×:完全に溶解
Figure 2013180980
表1より次のことが判る。
H351をポリヒドロキシスチレンに添加して150℃以上の温度で加熱することで、耐溶剤性が確認され、H351とポリヒドロキシスチレンとの架橋反応が進行したと考えられる(実施例1,2)。
また、H351をフラーレン誘導体「nanom spectra H200」に所定の割合で添加して180℃以上の温度で加熱することで、耐溶剤性が発現し、H351とフラーレン誘導体「nanom spectra H200」と架橋反応が進行したと考えられる(実施例3,4)。ノボラック樹脂についても同様に架橋反応が進行したと考えられる(実施例5,6)。
これに対して、H351を用いていない比較例1〜4,7,8では、耐溶剤性は得られない。
なお、比較例5,6,9では、220℃以上の加熱で耐溶剤性が得られるが、ノボラック樹脂を単独で用いたため、150℃以上に加熱した膜は表面が不均一(凹凸)になっていることより、この耐溶剤性は樹脂自体の加熱による酸化・分解などの影響である可能性がある。
[架橋反応の確認]
H351とフェノール性水酸基を有する化合物との反応性を確認するために、以下の方法でH351とo−クレゾールとの反応を実施した。
H351を1重量部、o−クレゾールを0.6重量部、酸触媒としてP−トルエンスルホン酸・1水和物を0.6重量部、o−ジクロロベンゼンを100重量部添加し、85℃で5時間反応させた。沈殿物を濾過後、濾過残分に水を100重量部加え、水相のpHが7になるまで洗浄操作を行った後、80℃で8時間減圧乾燥を行った。得られた反応生成物は、テトラヒドロフランに溶解せず、またIR分析より、C−H伸縮を表すピークの増加とC−O伸縮の波数値が1020cm−1付近(1級アルコール)から1200cm−1付近(フェノール性水酸基)に変化していることより、H351とo−クレゾールの反応が確認された。なお、H351は酸を添加することによりTHP保護基が外れH350となる。H350のIRチャートを図1に、H351とo−クレゾールとの反応生成物のIRチャートを図2に示す。
[耐熱性の評価]
H351、下記構造式で表されるフラーレン誘導体「H350」、及び特許第4496432号公報に記載される、下記構造式で表される架橋剤「CR1」(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル)の耐熱性を評価するために、TG測定により熱分解速度の評価を行った。
TG測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差熱熱重量同時測定装置「TG−DTA6200」を使用して窒素雰囲気下(流速200mL/分)、昇温速度10℃/分の条件で行った。
Figure 2013180980
Figure 2013180980
結果を図3に示す。
図3より、CR1に比べて、H351、H350は著しく耐熱性に優れることが分かる。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表される構造を有するフラーレン誘導体(以下「フラーレン誘導体(1)」と称す。)と、メチロール基又は保護されたメチロール基と反応可能な部位(以下「メチロール反応部」と称す。)を有する化合物(以下「メチロール反応性化合物」と称す。)とを含有することを特徴とする架橋性フラーレン組成物。
    Figure 2013180980
    (但し、上記式(1)中、FLNはフラーレン骨格を表し、Rは、−A−(CH(3−a)−(OX)で表される置換基(但し、Aは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、Oは酸素原子、Xは水素原子又はアルコール性水酸基の保護基であり、aは1又は2、bは1〜5の整数である。)を表し、Rは、水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の有機基を表し、mは2〜20の整数、nは0〜20の整数である。なお、個々のR、Rはそれぞれ相互に異なっていても同一でもよい。)
  2. 前記フラーレン誘導体(1)のフラーレン骨格が、C60、C70、C76、C82、C84、及びC90フラーレンから選ばれる少なくとも1種のフラーレン骨格であることを特徴とする請求項1に記載の架橋性フラーレン組成物。
  3. 前記式(1)のRにおけるAが置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架橋性フラーレン組成物。
  4. 前記式(1)のRにおけるXが水素原子又は炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  5. 前記式(1)のRにおけるXが炭素数1〜12のアルコール性水酸基の保護基であって、該アルコール性水酸基の保護基が、その炭素鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリルエーテル基、アシル基、及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、又は環状構造を構成する原子数が5〜12のヘテロ環状基であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  6. 前記式(1)のRにおけるAがフェニレン基で、かつa=1、b=1であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  7. 前記メチロール反応性化合物のメチロール反応部が、縮合反応可能な部位であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  8. 前記メチロール反応性化合物が、フェノール性水酸基を有する化合物である請求項7に記載の架橋性フラーレン組成物。
  9. 前記メチロール反応性化合物のメチロール反応部が、付加反応可能な部位であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  10. 前記メチロール反応性化合物が、エポキシ基を有する化合物である請求項9に記載の架橋性フラーレン組成物。
  11. 架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)の含有割合が、組成物100重量%あたり0.01重量%以上、95重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物を溶媒に溶解してなることを特徴とする架橋性フラーレン組成物溶液。
  13. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物を含むフラーレン含有膜。
  14. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物を含有してなるフォトレジスト膜又はフォトレジスト下層膜の形成材料。
  15. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)と前記メチロール反応性化合物とを、酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体。
  16. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の架橋性フラーレン組成物中の前記フラーレン誘導体(1)と前記メチロール反応性化合物とを、加熱により架橋させてなるフラーレン誘導体含有架橋体。
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