JP2013180414A - 化粧パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存の化粧パネル或いは化粧天板の表面にメラミン樹脂化粧板を上貼りすることを特徴とする化粧パネルの製造方法であり、メラミン樹脂化粧板が、表面層と芯材層とが積層された構造を有するメラミン樹脂化粧板であって、前記表面層は、意匠面となる第1の面側にメラミン樹脂を含有する樹脂を担持し、前記芯材層と接する第2の面側に熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分を担持する表面層基材からなる表面層材料で構成され、前記芯材層は、ガラスクロス又はガラスクロスを基材とするプリプレグからなる芯材層材料で構成されるものである化粧パネルの製造方法。
【選択図】 図1
Description
[1] 既存の化粧パネル或いは化粧天板の表面にメラミン樹脂化粧板を上貼りする化粧パネルの製造方法であって、前記メラミン樹脂化粧板は、表面層と芯材層とが積層された構造を有し、
前記表面層は、意匠面となる第1の面側にメラミン樹脂を含有する樹脂を担持し、前記芯材層と接する第2の面側に熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分を担持する表面層基材からなる表面層材料で構成され、
前記芯材層は、燃焼時貫通防止材料からなる芯材層材料で構成されるメラミン化粧板であることを特徴とする化粧パネルの製造方法。
[2] 前記燃焼時貫通防止材料が、ガラスクロス、ガラスクロスを基材とするプリプレグ又はアルミニウム箔である[1]に記載の化粧パネルの製造方法。
[3] 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、平均粒径が30〜100nmのエマルジョン樹脂粒子を含む、[1]又は[2]に記載の化粧パネルの製造方法。
[4] 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、非水溶性である、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
[5] 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、単一粒子内にアクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するウレタンアクリル複合粒子を含む、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
[6] 前記ウレタンアクリル複合粒子は、アクリル成分をコアとし、ウレタン成分をシェルとするコアシェル構造を有する水性クリヤータイプである、[5]に記載の化粧パネルの製造方法。
[7] 前記ガラスクロスを基材とするプリプレグは、熱可塑性樹脂を固形分で10〜50質量%含有する樹脂組成物をガラスクロスに含浸してなる、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
[8] 前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂及び/又はウレタン樹脂を含有する、[7]に記載の化粧パネルの製造方法。
[9] 既存の化粧パネル或いは化粧天板の表面が上貼りされる前に粗化される[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
本発明のメラミン樹脂化粧板の構成及びメラミン樹脂化粧板の製造方法の一例として、図2に、メラミン樹脂化粧板12の製造方法の一例を示す。図2に示す例では、メラミン樹脂化粧板12は、表面層材料15Aと芯材層材料16Aとを重ね合わせ、これを加熱加圧成形して積層することにより得られる。
表面層15は、表面層材料15Aで構成され、この表面層材料15Aは、本発明のメラミン樹脂化粧板12の意匠面(露出される側の面)側に配置される。表面層材料15Aは、意匠面となる第1の面側151にメラミン樹脂を含有する樹脂を担持し、前記芯材層16と接する第2の面側152に熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分を担持する表面層基材からなるものである。
なお、本発明において表面層基材が樹脂を担持するとは、樹脂が基材(担体)の表面に付着し、又は、基材内部の空隙部に含浸され、表面層材料の成形後に担持させた樹脂の性能を発現することを可能にする状態であることを意味する。なお、樹脂は基材の表面及び基材の内部に均一に分布していなくてもよい。
前記表面層基材の坪量は特に限定されないが、40〜150g/m2であることが好ましい。坪量が前記下限値未満であると、樹脂含浸工程での切れ、しわの問題から、塗工処理が困難であり、さらに第1の面と第2の面それぞれに担持させる樹脂含浸量を調整する事も困難である。一方、坪量が前記上限値を超えると、表面層基材が担持する樹脂の含浸量にムラが生じ、メラミン樹脂化粧板12の柔軟性を低下させると共に、生産性低下、コスト高の原因となるため好ましくない。
メラミン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メラミンとホルムアルデヒドを中性又は弱アルカリ下において反応させて得られるものを用いることができる。メラミンに対するホルムアルデヒドの反応モル比((ホルムアルデヒドのモル量)/(メラミンのモル量)の値であり、以下、単に「反応モル比」ということがある。)は、特に限定されないが、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、さらに好ましくは1.1〜1.8として、反応させて得られたものを好適に用いることができる。反応モル比が前記下限値未満であると、未反応成分が増加し保存性低下、コスト高となり、前記上限値を超えると硬化後の樹脂柔軟性低下が著しくなる。なお、メラミン樹脂としては、1種類が単独で含まれるもの用いることもできるし、反応モル比や重量平均分子量等が異なる2種類以上のメラミン樹脂を混合して含むものを用いることもできる。
また、メラミン樹脂としては、住友化学(株)製のメラミン樹脂等、市販のものを用いることもできる。
熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、エマルジョン樹脂粒子として存在する成分を含み、金属や各種素材との接着特性を有し、メラミン樹脂化粧板に柔軟性を付与する。従って、第2の面側152には、熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分が担持することにより、表面層15と芯材層16との接着強度を向上させることができるとともに、メラミン樹脂化粧板の曲げ加工性を向上させることができる。
また、熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分には、上記熱可塑性樹脂のエマルジョン粒子以外にも、必要に応じて少量の増粘剤、浸透促進剤、消泡剤等を含んでいても良い。
前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分(溶剤を除く全成分)は、特に限定されないが、前記熱可塑性エマルジョン樹脂の25〜60質量%が好ましく、特に30〜45質量%が好ましい。これにより、前記熱可塑性エマルジョン樹脂の基材への含浸性を向上できる。
メラミン樹脂化粧板12は、表面層15の第2の面側152に、芯材層16を積層してなる。
前記芯材層16は、日本建築総合試験場の業務標準「防耐火性能試験・評価業務方法書」4.10 不燃性能試験・評価方法における、(2)ii)4.10.2 の発熱性試験・評価方法において、裏面に達する亀裂・穴の発生を防止することのできる燃焼時貫通防止材料からなる芯材層材料16Aで構成される。このような燃焼時貫通防止材料としては、ガラスクロス、アルミニウム箔等の金属箔、金属線、金属メッシュ、カーボンファイバー、カーボンファイバークロス、アラミド繊維又はアラミド繊維クロス或いはこれらを基材とするプリプレグなどが挙げられる。これらの中でも、ガラスクロス、ガラスクロスを基材とするプリプレグ又はアルミニウム箔が好ましい。これにより、メラミン樹脂化粧板に、耐熱性、不燃性、剛性などを付与することができるとともに、リニューアルされた化粧パネルに不燃性を賦与することができる。
また、ガラスクロスを構成するガラスとしては、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもTガラスが好ましい。これにより、ガラスクロスの熱膨張係数を小さくすることができる。
芯材層に用いる金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
燃焼時貫通防止材料には、この他一般的な金属箔、金属箔を基材とするプリプレグ、金属線、金属線を基材とするプリプレグ、金属メッシュ、金属メッシュを基材とするプリプレグ、カーボンファイバー、カーボンファイバーを基材とするプリプレグ、カーボンファイバークロス、カーボンファイバークロスを基材とするプリプレグ、アラミド繊維、アラミド繊維を基材とするプリプレグ、アラミド繊維クロス又はアラミド繊維クロスを基材とするプリプレグなどを用いることができる。
メラミン樹脂化粧板12は、上述した表面層材料15Aと芯材層材料16Aとを、所定の順序で重ね合わせ、これを加熱加圧成形して積層することにより得られる。
メラミン樹脂化粧板12を加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度130〜150℃、圧力2〜8MPa、時間10〜60分間で実施することができる。
また、メラミン樹脂化粧板12の成形時に、表面層材料15Aの第1の面側に、鏡面仕上げ板を重ねることにより鏡面仕上げとすることができ、エンボス板又はエンボスフィルム等を重ねることにより、エンボス仕上げとすることができる。
すなわち、改修時のメラミン樹脂化粧板と被着体の接着方法としては、特に限定されるものではないが、
例えばアクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、合成ゴム系などの粘着フィルムを介して施工する方法、
エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、合成ゴム系、アクリル系、ポリウレタン系などのホットメルト接着フィルムもしくは接着剤を介して加熱施工する方法、
エポキシ系、アクリル系、ポリウレタン系、合成ゴム系などの接着剤を介して施工する方法などが挙げられる。
次に、既存パネルの表面粗化について説明する。一般的にも接着強度の安定維持のため、汚れ、埃りの除去は当然、実施される処置であるが、本発明では更に表面粗化が特に望まれる。既存化粧パネルをリニューアルする際、パネル表面には各種化粧材が残ったままであり、化粧素材毎に使用接着剤との相性(濡れ性、凝集力等)が異なる。化学的親和性が小さい場合では表面粗化による機械的強度が大切であり、同時に凹凸、汚れ除去が出来るので好都合である。但し、前述した通り、上貼り化粧板の厚みによって粗化度合いとパネル外観との調整には注意する必要がある。上貼りされる化粧板の厚みは、用途別に種々の制約が生じることが多く、特に木口エッジ処理が伴うケースでは、エッジ材仕様との兼ね合いをみて選定されることになる。制約のない汎用パネルでも、薄いほどリニューアルされた化粧パネルの厚みの変化が小さいので好ましく、1.0mm以下、更には0.8mm以下が実用的である。
表面層基材として坪量80g/m2の酸化チタン含有化粧紙(大日本印刷(株)製)を用い、前記酸化チタン含有化粧紙の第2の面側に、ウレタンアクリル複合粒子のエマルジョン(中央理化工業社製「SU−100」、平均粒径:84nm、分散媒:水)を固形分で40g/m2となるように塗工し、続いて前記化粧紙の第1の面側(意匠面側)に、メラミン樹脂(反応モル比1.4、樹脂固形分50質量%)を50g/m2となる様に塗工した後、120℃の熱風乾燥機にて90秒乾燥し、樹脂比率が53%、揮発分率3%の表面層材料を得た。なお、前記メラミン樹脂は反応釜に原料メラミンとホルマリンを所定配合比率で仕込み触媒添加後、沸点まで昇温して還流反応し、メラミン溶解が完了した事を確認した上で、反応終点に達したら脱水処理にて樹脂固形分を調整し冷却する方法により合成した。
得られた表面層材料の第2の面側に、芯材層として厚み0.2mmのガラスクロス(南亜プラスチック社製「WEA7628」)を重ね合わせ、140℃、2MPaの条件で40分間加熱加圧成形して、厚さ0.3mmのメラミン化粧板を得た。
厚さ0.2mmのガラスクロス(南亜プラスチック社製「WEA7628」)にウレタンアクリル複合粒子のエマルジョン(中央理化工業社製「SU−100」、平均粒径:84nm、分散媒:水)を固形分で70g/m2を塗工した後、120℃の熱風乾燥機にて150秒乾燥し、樹脂比率が25%、揮発分率3%のプリプレグを作製し、これを芯材層として用いたこと以外は、実施例と同様にして厚さ0.3mmのメラミン化粧板を得た。
実施例1で使用した表面層基材(坪量80g/m2)の酸化チタン含有化粧紙を用い、化粧紙の表裏面からディップ含浸方式で塗工し、汎用メラミン樹脂(反応モル比1.8、樹脂固形分52質量%)を樹脂固形分が100g/m2になる様に塗工した後、120℃の熱風乾燥機に90秒乾燥し、樹脂比率が55%、揮発分率6%の表面層材料を得た。
次に坪量200g/m2の晒しクラフト紙(東洋ファイバー(株)製「DLP−195」)に前記表面層に使用した汎用メラミン樹脂をディップ含浸方式で塗工した後、130℃の熱風乾燥機にて150秒乾燥し、樹脂比率が50%、揮発分率4%のプリプレグを作製した。得られたプリプレグを芯材層として用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.3mmのメラミン化粧板(3)を得た。
比較例1と同様の表面層材料を用い、芯材層として厚み0.2mmポリエステル不織布(旭化成工業社製、スパンボンド「アイエル」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ0.3mmのメラミン化粧板(4)を得た。
1.不燃性試験
日本建築総合試験場の業務標準「防耐火性能試験・評価業務方法書」4.10 不燃性能試験・評価方法における、(2)ii)4.10.2 の発熱性試験・評価方法 及び 4.10.3 のガス有害性試験・評価方法、により実施した。
上記業務標準「防耐火性能試験・評価業務方法書」の上記項目には、建築基準法第2条第9号(不燃材料)の規定に基づく認定に係わる性能評価方法について記載されている。
JIS K6902の曲げ成形性試験(A法)に準拠し、室温、10mmRにて外曲げ及び内曲げ成形を行い、化粧シート表面の割れの有無を確認した。
3.化粧パネルのクラック及び反り:化粧板を上貼りした化粧パネルを、下記条件にて処理した。処理後、化粧板のクラックの有無及び化粧パネルの反りの有無を目視にて観察した。
温度40℃,95%RH・96時間 → 温度60℃,30%RH・48時間
また、比較例1及び比較例2では、芯材層として、ガラスクロス又はガラスクロスを基材とするプリプレグを用いず、比較例1ではクラフト紙を基材としたプリプレグを用い、比較例2ではポリエステル不織布を用いたため、メラミン化粧板(4)は不燃性に劣った。
一方、実施例1〜2で得られたメラミン化粧板(1)及び(2)は、不燃性に優れ、薄膜化に対応でき、常温での曲げ加工性に優れていた。さらに、化粧板を上貼りした化粧パネルを、温度40℃,95%RH・96時間 → 温度60℃,30%RH・48時間処理した後、化粧板のクラックの有無及び化粧パネルの反りの有無を目視にて観察したところ、クラック及び反りの発生は見られなかった。
2 接着剤
3 リニューアルする既存化粧パネル
4 化粧材料
12 メラミン樹脂化粧板
15 表面層
15A 表面層材料
151 第1の面側
152 第2の面側
16 芯材層
16A 芯材層材料
Claims (9)
- 既存の化粧パネル或いは化粧天板の表面にメラミン樹脂化粧板を上貼りする化粧パネルの製造方法であって、前記メラミン樹脂化粧板は、表面層と芯材層とが積層された構造を有し、
前記表面層は、意匠面となる第1の面側にメラミン樹脂を含有する樹脂を担持し、前記芯材層と接する第2の面側に熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分を担持する表面層基材からなる表面層材料で構成され、
前記芯材層は、燃焼時貫通防止材料からなる芯材層材料で構成されるメラミン樹脂化粧板であることを特徴とする化粧パネルの製造方法。 - 前記燃焼時貫通防止材料が、ガラスクロス、ガラスクロスを基材とするプリプレグ又はアルミニウム箔である請求項1に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、平均粒径が30〜100nmのエマルジョン樹脂粒子を含む、請求項1又は2に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、非水溶性である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記熱可塑性エマルジョン樹脂の固形分は、単一粒子内にアクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するウレタンアクリル複合粒子を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記ウレタンアクリル複合粒子は、アクリル成分をコアとし、ウレタン成分をシェルとするコアシェル構造を有する水性クリヤータイプである、請求項5に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記ガラスクロスを基材とするプリプレグは、熱可塑性樹脂を固形分で10〜50質量%含有する樹脂組成物をガラスクロスに含浸してなる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂及び/又はウレタン樹脂を含有する、請求項7に記載の化粧パネルの製造方法。
- 既存の化粧パネル或いは化粧天板の表面が上貼りされる前に粗化される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化粧パネルの製造方法。
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