JP2013178935A - リチウムイオン二次電池及びそれを用いた組電池並びに蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
大電流での充電する場合において、大電流による充電時に、リチウムイオン二次電池が過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能なリチウムイオン二次電池、及び組電池、並びに蓄電装置を提供する。
【解決手段】
リン酸遷移金属リチウムとリチウム含有遷移金属酸化物とを組み合わせた正極と、電解質にレドックスシャトル添加剤を含むことで、大電流での過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能なリチウムイオン二次電池、及び組電池、並びに蓄電装置を提供することができる。
【選択図】 図1
大電流での充電する場合において、大電流による充電時に、リチウムイオン二次電池が過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能なリチウムイオン二次電池、及び組電池、並びに蓄電装置を提供する。
【解決手段】
リン酸遷移金属リチウムとリチウム含有遷移金属酸化物とを組み合わせた正極と、電解質にレドックスシャトル添加剤を含むことで、大電流での過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能なリチウムイオン二次電池、及び組電池、並びに蓄電装置を提供することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池及びそれを用いた組電池並びに蓄電装置に関する。
EV自動車、自然エネルギー発電によるスマートグリッド、等の技術の中で、二次電池は蓄電装置として大きな役割を持つ。特に、リチウムイオン二次電池は、容量・出力ともにすぐれ、システムの小型化に大きく貢献している。近年では、より大容量のリチウムイオン二次電池が開発されている。
リチウムイオン二次電池において、最も重要な関心事の1つは安全性であり、特に、満充電された電池へ更なる充電がされてしまったリチウムイオン二次電池は、過充電状態にあり、不安全な可能性がある。例えば、金属酸化物をリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する場合で、過充電状態となると、金属酸化物から酸素が発生し、リチウムイオン二次電池の膨張が生じてしまうおそれがある。
一般的に過充電の対策としては、二通りに分けられる。第一は、リチウムイオン二次電池の外側に設置されるシステムとして提供され、所定の電圧範囲内になるようにリチウムイオン二次電池の電圧を監視し、充電をコントロールする対策方法。第二として、リチウムイオン二次電池自体に電気化学的な過充電保護機能を設ける対策法である。第二の対策法である電気化学的な手法は、通常、可逆的酸化還元剤とも呼ばれるレドックスシャトル添加剤を添加するものである。前記レドックスシャトル添加剤は、固有の電位にて酸化され、酸化された前記添加剤は電解質溶液中を負極へ移動し、そこで元の前記添加剤へと還元される。この固有の電位が、リチウムイオン二次電池の満充電状態となる電圧よりも少し高くなるように、リチウムイオン二次電池を設計することで、リチウムイオン二次電池が満充電状態となっても、レドックスシャトル添加剤が酸化還元を連続的に繰り返す電位付近で、リチウムイオン二次電池の電圧が安定し、リチウムイオン二次電池の安全が保たれる。
しかしながら、蓄電電池システムの大規模化、高効率化に伴い、大電流による充電が必要とされており、大電流での充電をおこなう場合には、従来のレドックスシャトル添加剤を用いた過充電保護機能では、十分な過充電対策とならない傾向がある。本発明者の検討によれば、たとえば、特許文献1に記載されるレドックスシャトル添加剤を用いた過充電対策手法では、0.3C(0.3Cは、未充電のリチウムイオン二次電池が約3時間20分で満充電となるような電流量)程度の低電流での過充電対策としては有効であるが、大電流での過充電には不十分であることがわかった。
特に、定置型向けやEV向けなどの大型のリチウムイオン二次電池においては、大電流での充放電が必要なため、より蓄熱しやすい傾向がある。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決すべく創出されたものであり、大電流による過充電状態においてもより安定的で安全なリチウムイオン二次電池及び蓄電装置を提供することである。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池は、第一の正極活物質と、第二の正極活物質と、電解質と、を含み、前記第一の正極活物質は、リン酸遷移金属リチウムであり、前記第二の正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であり、前記電解質は、レドックスシャトル添加剤を含むことを特徴とする。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池によれば、リン酸遷移金属リチウムの第一の正極活物質と、リチウム含有遷移金属酸化物の第二の正極活物質と、電解質にレドックスシャトル添加剤を含むことで、大電流(例えば3C)での充電による過充電状態でも安全な状態を保つことができる。
さらに、前記第一の正極活物質は、化学量論組成にてLiFePO4、LiMnPO4、LiVPO4、LiV2(PO4)3、LiVOPO4、LiNiPO4、LiCoPO4で表される材料群より選ばれる1種以上のリン酸遷移金属リチウムを含むことが望ましい。
この構成によれば、リン酸遷移金属リチウムを有する正極活物質として化学量論組成にてLiFePO4、LiMnPO4、LiVOPO4、LiNiPO4、LiCoPO4で表される材料群から選ぶことにより、より安全なリチウムイオン二次電池を提供することができる。
さらに、前記第二の正極活物質は、化学量論組成にてLi(Ni1-x-yCoxMny)O2(ただし、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)、Lia(Ni1-b-cCobAlc)O2(ただし、0.9≦a≦1.3、0<b≦0.5、0<c≦0.7)、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoO2で表される材料を含むことが望ましい。
この構成によれば、化学量論組成にてLi(Ni1-x-yCoxMny)O2(ただし、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)、Lia(Ni1-b-cCobAlc)O2(ただし、0.9≦a≦1.3、0<b≦0.5、0<c≦0.7)、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoO2で表される材料は、高出力・高入力に対応した材料であり、高出力・高入力のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
さらに、前記リチウムイオン二次電池を少なくとも2つ以上直列に接続された組電池とすることが望ましい。
この構成によれば、前記リチウムイオン二次電池を2つ以上直列に接続することにより、組電池中に過充電状態になってしまうリチウムイオン二次電池があった場合でも、安全に組電池を使用することができる。ここで、直列接続された電池に対し、さらにリチウムイオン二次電池が並列に接続されていてもよい。
また、組電池に、さらに電圧監視装置と、電流制御装置とを兼ね備えた蓄電装置とすることが望ましい。
この構成によれば、直列に接続された個々のリチウムイオン二次電池に対して、電圧監視装置及び電流制御装置を兼ね備えることで、個々のリチウムイオン二次電池が過充電状態になる可能性を低く抑えることができ、さらに安全な蓄電装置を提供することができる。
本発明によれば、大電流による充電時に、リチウムイオン二次電池が過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能である。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるリチウムイオン二次電池、及びそれを用いた組電池並びに蓄電装置の好適な実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池、及びそれを用いた組電池並びに蓄電装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1に、本実施形態のリチウムイオン二次電池10を模式的に示す。図1のリチウムイオン二次電池10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する材料(正極活物質,負極活物質)を含む正極20及び負極30と、正極と負極との間にあってリチウムイオン伝導性を有する電解質とレドックスシャトル添加剤とを含む電解質が保持されたセパレータ40から構成されている。その正極20は、正極集電体22の両面に正極活物質層21を備えて構成されており、負極30は、負極集電体32の両面に負極活物質層31を備えて構成されている。また、その正極20は、第一の正極活物質と、第二の正極活物質とを含んで構成されている。
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、第一の正極活物質と、第二の正極活物質と、電解質と、を含み、前記第一の正極活物質は、リン酸遷移金属リチウムであり、前記第二の正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であり、前記電解質は、レドックスシャトル添加剤を含むことを特徴としている。かかる構成のリチウムイオン二次電池によれば、リン酸遷移金属リチウムの正極活物質と、リチウム含有遷移金属酸化物の第二の正極活物質と、電解質にレドックスシャトル添加剤を含むことで、大電流(例えば3C)での充電による過充電状態でも安全な状態を保つことができる。
第一の正極活物質のリン酸遷移金属リチウムは、熱的に安定である材料というだけでなく、充放電時におけるリチウムイオン二次電池の温度上昇も低いという特徴を持つ材料であり、リン酸遷移金属リチウムは、化学量論組成にてLiFePO4、LiMnPO4、LiVPO4、LiV2(PO4)3、LiVOPO4、LiNiPO4、LiCoPO4で表される材料群より選ばれる1種以上の材料を含むことが望ましい。
第二の正極活物質としてのリチウム含有遷移金属酸化物は、エネルギー密度が高いだけでなく、出力密度が高いものが好ましい。第二の正極活物質のリチウム含有遷移金属酸化物は、化学量論組成にてLi(Ni1-x-yCoxMny)O2(ただし、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)(以下、「NCM」という。)、Lia(Ni1-b-cCobAlc)O2(ただし、0.9≦a≦1.3、0<b≦0.5、0<c≦0.7)(以下、「NCA」という。)、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoO2で表される材料群より選ばれる1種以上の材料を含むことが望ましい。
なお、第一の正極活物質と第二の正極活物質は、上述した材料組成に限られるものではなく、化学量論組成として表したときの表記であるため、酸素欠損等、一部に元素の欠損や変動が生じていても構わない。また、上述した材料組成を主成分として含む意味合いであるため一部の金属が置換され固溶体化されたものも含む表現である。
本実施形態のリチウムイオン二次電池10の正極活物質層21、及び負極活物質層31は、活物質材料と、バインダーと、導電助剤とを含む塗料を集電体に塗布することによって形成することができる。
バインダーには、ポリフッ化ビリニデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。また、これらバインダーを溶解させる溶媒には、N−メチルピロリドン(NMP)、純水などを用いることができる。
導電助剤には、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などを用いることができる。
正極集電体22、及び負極集電体32に用いる金属箔は、リチウムイオン二次電池に使用されている各種公知の材料を用いることができる。具体的には、負極集電体32としては銅箔が、正極集電体22としてはアルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極活物質層21は、2種類の正極活物質と、所定の導電助剤と、所定のバインダーとを混合して作製することができる。例えば、第一の正極活物質としてLiFePO4を、第二の正極活物質としてLi(Ni1-x-yCoxMny)O2(ただし、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)を、それぞれ選択した場合、導電助剤としてカーボンブラックあるいは黒鉛を、バインダーとしてPVDFを、溶媒であるNMPに分散させて混合し、正極塗料を作製する。この塗料を正極集電体22であるアルミニウム箔上に両面塗布し、乾燥させて正極20を作製する。
負極活物質層31は、負極活物質として天然黒鉛と、導電助剤としてカーボンブラックを、バインダーとしてPVDFを用い、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼ぶ。)に分散させて混合し、負極塗料を作製する。この塗料を負極集電体32である銅箔上に塗布し、乾燥させて負極30を作製する。
作製した正極と負極とは、セパレータを介して積層又は巻回され、電池要素として外装体の中に挿入される。セパレータには特に制限はなく、広く公知の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂の微多孔膜を用いることができる。
正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する外装体は、特に制限はなく、アルミニウムやステンレス製の缶、アルミニウムラミネート製の外装袋を適宜選択することができる。
この外装体の中に電池要素を挿入した後、レドックスシャトル添加剤を含む所定の電解質が加えられる。電解質は、非水電解液、ゲル状の電解質、無機物あるいは有機物の固体電解質を広く用いることができる。例えば、非水電解液は、溶媒と塩を含む物を用いることができ、またレドックスシャトル添加剤を含み、さらに、適宜その他の添加剤を含んでも良い。
この後、外装体を真空密封しリチウムイオン二次電池10を得ることができる。
レドックスシャトル添加剤は、公知の材料を用いることができ、定められた電位にて可逆的に酸化、還元を繰り返すという特徴を持つ。レドックスシャトル添加剤として、リチウムフルオロボーレートを選択した場合、酸化還元電位は、5V前後であって、4.2V程度を満充電電圧とする、一般的なリチウムイオン二次電池において、過充電領域となる範囲に設定される。本実施の形態では、レドックスシャトル添加剤として、Li2B12FsZ10−s(ただし、1≦s≦10)、またはLi2B12FtZ12−t(ただし、1≦t≦12)で表され、ZがH、Cl、Brまたは、ORであり、RがH、炭素数が1〜2のアルキルまたはフルオロアルキルである化合物から選択される1種類以上の材料を組み合わせて使用することが望ましい。
さらに、前記レドックスシャトル添加剤は、Li2B12F12、またはLi2B12FwH12−w(w=9、10、11)から選択される少なくとも1種のリチウムフルオロボーレートであることが望ましい。
また、上述したリチウムフルオロボーレートは、電解液に対して0.05mol/L〜1mol/Lの濃度で使用することが望ましい。このような濃度とすることで、リチウムイオン二次電池が過充電領域なっても、5V前後の酸化還元電位にて、連続的に酸化還元が起こり、電圧が保持されリチウムイオン二次電池の安全性が維持されることから望ましい。さらに大電流(たとえば3C)での充電の場合は、0.2mol/L〜1mol/Lの濃度で使用することが望ましい。
非水電解液の溶媒には、リチウムイオン伝導性のある溶媒が望ましい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、等の環状炭酸エステルを単体または適宜組み合わせて使用することができる。電気伝導度を高くし、かつ適切な粘度を有する電解液を得るため、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフルオロカーボネート(FEC)、等を併用してもよい。非水電解液中の塩には、LiPF6、LiBF4、LiClO4などを用いることができる。
LiPF6、LiBF4、LiClO4など塩は、リチウムイオン二次電池の出力特性を左右し、0.8mol/L〜2mol/L程度が望ましい。
また、リチウムフルオロボーレートのモル濃度は、LiPF6、LiBF4、LiClO4などの塩よりも小さいことが望ましい。
次に本実施形態の組電池及び蓄電装置を図2を用い説明する。図2には、単電池としてリチウムイオン二次電池62が3個以上直列に接続されている。そのうち1つの電池からは電圧監視装置70が並列に接続されており、さらに電流制御装置80が前記単電池と同様に直列に接続され蓄電装置50を構成している。このように、2つ以上の単電池を直列に接続して、組電池60とすることにより、組電池中に過充電状態になってしまうリチウムイオン二次電池があった場合でも、安全に組電池を使用することができるため、より安全な組電池を得ることができる。また、リチウムイオン二次電池に並列に電圧監視装置70を、直列に電流制御装置80を、有する蓄電装置とすることで、より安全に運用可能な蓄電装置50となり望ましい。
従来のリチウムイオン二次電池を単電池として用い、その単電池を2つ以上直列に接続した組電池の場合、個々のリチウムイオン二次電池の特性のばらつきや、劣化などに起因して、組電池中のいずれかの単電池が過充電状態になってしまう可能性が高くなってしまうが、本実施形態のリチウムイオン二次電池を用いることにより、一部の単電池が過充電状態となっても、安全な組電池として維持できる。
また、前記組電池60と、リチウムイオン二次電池62に並列に接続された電圧監視装置70と、リチウムイオン二次電池62に直列に接続された電流制御装置80と、を含む蓄電装置とした場合は、機器の故障などにより、リチウムイオン二次電池のいずれか1つ以上が、過充電状態となってもさらに確実に安全性を維持できることから望ましい。
なお、ここで電圧監視装置は、具体的に電圧計等を含む電圧を監視できる装置が例示でき、電流制御装置は、具体的にヒューズやブレーカー等を含む電流を制御する装置が例示できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
正極活物質にLiFePO4とNCMの二種類の正極活物質を用いた。LFPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を用いた。
正極活物質にLiFePO4とNCMの二種類の正極活物質を用いた。LFPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(以下、「NCM」という。)、LiFePO4(以下、「LFP」という。)の二種類を、導電助剤としてカーボンブラック(以下、「CB」という。)及び黒鉛(以下、「Gr」という。)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」という。)、を用い正極を作製した。NCMを425g、LFPを425g、CBを50g、黒鉛を50g、PVDFのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液(500g、10wt%)を加えて混合し塗料約1450gを作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で、集電体両面に塗布後、90℃で乾燥し、圧延し、正極を作製した。
〈正極の作製〉
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(以下、「NCM」という。)、LiFePO4(以下、「LFP」という。)の二種類を、導電助剤としてカーボンブラック(以下、「CB」という。)及び黒鉛(以下、「Gr」という。)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」という。)、を用い正極を作製した。NCMを425g、LFPを425g、CBを50g、黒鉛を50g、PVDFのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液(500g、10wt%)を加えて混合し塗料約1450gを作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で、集電体両面に塗布後、90℃で乾燥し、圧延し、正極を作製した。
〈負極の作製〉
負極活物質として天然黒鉛を450g、導電助剤としてCB25g、をドライミックス(乾式混合)した後に、バインダーとして正極と同じ前記PVDF溶液225gを加え、負極用の塗料を作製した。この塗料を集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で、集電体両面に塗布後、乾燥(90℃)、圧延し、負極を作製した。
負極活物質として天然黒鉛を450g、導電助剤としてCB25g、をドライミックス(乾式混合)した後に、バインダーとして正極と同じ前記PVDF溶液225gを加え、負極用の塗料を作製した。この塗料を集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で、集電体両面に塗布後、乾燥(90℃)、圧延し、負極を作製した。
〈電池の作製〉
作製した正極と負極とを所定の寸法に切断した。また、セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)を所定の寸法に切断した。正極、負極には、外部引き出し端子を溶接するために電極塗料(活物質+導電助剤+バインダー)を塗布しない部分を設けておいた。その後、負極、セパレータ、正極、(セパレータ、)をこの順序で積層した。積層数は、リチウムイオン二次電池の容量が2Ahになるように積層した。積層するときには、正極、負極、セパレータが、ずれないようにホットメルト接着剤(エチレン−メタアクリル酸共重合体、EMAA)を少量塗布し固定した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅20mm、長さ40mm、厚み500μm)、ニッケル箔(幅20mm、長さ40mm、厚み500μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。これは外部端子と外装体とのシール性を向上させるためである。正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する電池外装体はアルミニウムラミネート材料からなり、その構成は、PET/Al/PPのものを用意した。PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレンである。なお、PPが内側となるように製袋した。この外装体の中に電池要素を入れ電解液(エチレンカーボンネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=30:70vol%)にLiPF6を1mol/L、レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を0.5mol/L溶解させた)を適当量添加し、外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。その後、リチウムイオン二次電池を100mA(0.05C)にて10時間エージングした。
作製した正極と負極とを所定の寸法に切断した。また、セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)を所定の寸法に切断した。正極、負極には、外部引き出し端子を溶接するために電極塗料(活物質+導電助剤+バインダー)を塗布しない部分を設けておいた。その後、負極、セパレータ、正極、(セパレータ、)をこの順序で積層した。積層数は、リチウムイオン二次電池の容量が2Ahになるように積層した。積層するときには、正極、負極、セパレータが、ずれないようにホットメルト接着剤(エチレン−メタアクリル酸共重合体、EMAA)を少量塗布し固定した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅20mm、長さ40mm、厚み500μm)、ニッケル箔(幅20mm、長さ40mm、厚み500μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。これは外部端子と外装体とのシール性を向上させるためである。正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する電池外装体はアルミニウムラミネート材料からなり、その構成は、PET/Al/PPのものを用意した。PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレンである。なお、PPが内側となるように製袋した。この外装体の中に電池要素を入れ電解液(エチレンカーボンネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=30:70vol%)にLiPF6を1mol/L、レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を0.5mol/L溶解させた)を適当量添加し、外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。その後、リチウムイオン二次電池を100mA(0.05C)にて10時間エージングした。
この様に作製したリチウムイオン二次電池の初期の平均放電容量は約2Ahであった。また同様のリチウムイオン二次電池を10個作製した。
〈過充電試験〉
作製したリチウムイオン二次電池の安全性を確認するため、過充電試験を行った。はじめに、リチウムイオン二次電池を完全に放電させた、電池電圧は約2.8V程度を示した。次に、3C(3Cは完全に放電されたリチウムイオン二次電池が約20分で満充電に達する電流量)の電流を用いて1時間充電させた。充電に用いた電源の上限電圧は10Vに設定した。充電容量と電池電圧の関係を図3に示す。充電状態が300%に達した際に5V前後で安定していることを安全の基準として設定すると、本実施例のリチウムイオン二次電池は10個中10個安全と判断された。結果を表1に示す。
作製したリチウムイオン二次電池の安全性を確認するため、過充電試験を行った。はじめに、リチウムイオン二次電池を完全に放電させた、電池電圧は約2.8V程度を示した。次に、3C(3Cは完全に放電されたリチウムイオン二次電池が約20分で満充電に達する電流量)の電流を用いて1時間充電させた。充電に用いた電源の上限電圧は10Vに設定した。充電容量と電池電圧の関係を図3に示す。充電状態が300%に達した際に5V前後で安定していることを安全の基準として設定すると、本実施例のリチウムイオン二次電池は10個中10個安全と判断された。結果を表1に示す。
(実施例2)
正極活物質にLiVOPO4(以下、「LVP」という。)とNCMの二種類の正極活物質を用いた。LVPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質には、天然黒鉛を用い、レドックスシャトル添加剤としてはLi2B12F9H3を用いた。
正極活物質にLiVOPO4(以下、「LVP」という。)とNCMの二種類の正極活物質を用いた。LVPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質には、天然黒鉛を用い、レドックスシャトル添加剤としてはLi2B12F9H3を用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質として、LFPの代わりにLVPを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
正極活物質として、LFPの代わりにLVPを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
〈過充電試験〉
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
(実施例3)
正極活物質にLFPとLiNi0.8Co0.15Al0.05O2(以下、「NCA」という。)の二種類の正極活物質を用いた。LFPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
正極活物質にLFPとLiNi0.8Co0.15Al0.05O2(以下、「NCA」という。)の二種類の正極活物質を用いた。LFPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質として、NCMの代わりにNCAを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
正極活物質として、NCMの代わりにNCAを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
レドックスシャトル添加剤として、Li2B12F9H3の代わりにLi2B12F11Hを用いた以外は実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
レドックスシャトル添加剤として、Li2B12F9H3の代わりにLi2B12F11Hを用いた以外は実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
〈過充電試験〉
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
(実施例4)
正極活物質にLVPとNCAの二種類の正極活物質を用いた。LVPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
正極活物質にLVPとNCAの二種類の正極活物質を用いた。LVPは水熱合成法を用いて作製した。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質にLFPの代わりにLVPを、NCMの変わりにNCAを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
正極活物質にLFPの代わりにLVPを、NCMの変わりにNCAを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
レドックスシャトル添加剤として、Li2B12F9H3の代わりにLi2B12F11Hを用いた以外は実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
レドックスシャトル添加剤として、Li2B12F9H3の代わりにLi2B12F11Hを用いた以外は実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
〈過充電試験〉
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施した。10個中10個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
(比較例1)
正極活物質にNCMのみ用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を用いた。
正極活物質にNCMのみ用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F9H3を用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質にNCM850g用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
正極活物質にNCM850g用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
〈過充電試験〉
実施例1と同様に実施した。5V前後で安定していることを安全の基準として設定すると、本実施例のリチウムイオン二次電池は10個中10個安全と判断された。10個中1個の安全が確認できた。結果を表1に示す。安全が確認できなかったリチウムイオン二次電池の過充電試験の際の、充電容量と電池電圧の関係を図4に示す。リチウムイオン二次電池の電圧は、5V前後で安定することなく、充電状態が約170%程度にて電源電圧の上限(10V)に達してしまっているのが確認できた。
実施例1と同様に実施した。5V前後で安定していることを安全の基準として設定すると、本実施例のリチウムイオン二次電池は10個中10個安全と判断された。10個中1個の安全が確認できた。結果を表1に示す。安全が確認できなかったリチウムイオン二次電池の過充電試験の際の、充電容量と電池電圧の関係を図4に示す。リチウムイオン二次電池の電圧は、5V前後で安定することなく、充電状態が約170%程度にて電源電圧の上限(10V)に達してしまっているのが確認できた。
(比較例2)
正極活物質にNCAのみ用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
正極活物質にNCAのみ用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。レドックスシャトル添加剤としてLi2B12F11Hを用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
正極活物質にNCA850g用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
正極活物質にNCA850g用いた以外は、実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
〈過充電試験〉
実施例1と同様に実施した。10個中1個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
実施例1と同様に実施した。10個中1個の安全が確認できた。結果を表1に示す。
(比較例3)
正極活物質にLFPとNCMを用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。電解液はレドックスシャトル添加剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様のものを用いた。
正極活物質にLFPとNCMを用いた。負極活物質に天然黒鉛を用いた。電解液はレドックスシャトル添加剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様のものを用いた。
〈リチウムイオン二次電池の作製〉
〈正極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈負極の作製〉
実施例1と同様に作製した。
実施例1と同様に作製した。
〈電池の作製〉
レドックスシャトル添加剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
レドックスシャトル添加剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に作製し、2Ahのリチウムイオン二次電池10個を得た。
表1に示す結果にて明らかな様に、実施例1〜4及び比較例1〜3の対比から、第一の正極活物質であるリン酸遷移金属リチウムと、第二の正極活物質であるリチウム含有遷移金属酸化物と、電解質にレドックスシャトル添加剤を含むことで、大電流での充電による過充電状態でも安全な状態を保つことができることが確認された。
本発明は、大電流による充電時に、リチウムイオン二次電池が過充電に至る状況となっても、より安全に使用可能であるリチウムイオン二次電池の組電池及び蓄電装置の製造、使用に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
10 リチウムイオン二次電池
20 正極
21 正極活物質層
22 正極集電体
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
40 セパレータ
50 蓄電装置
60 組電池
62 リチウムイオン二次電池
70 電圧監視装置
80 電流制御装置
20 正極
21 正極活物質層
22 正極集電体
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
40 セパレータ
50 蓄電装置
60 組電池
62 リチウムイオン二次電池
70 電圧監視装置
80 電流制御装置
Claims (5)
- 第一の正極活物質と、第二の正極活物質と、電解質と、を含み、
前記第一の正極活物質は、リン酸遷移金属リチウムであり、
前記第二の正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であり、
前記電解質は、レドックスシャトル添加剤を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記第一の正極活物質は、化学量論組成としてLiFePO4、LiMnPO4、LiV2(PO4)3、LiVPO4、LiVOPO4、LiNiPO4、LiCoPO4で表される材料群から選ばれる1種以上のリン酸遷移金属リチウムを含む請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記第二の正極活物質は、化学量論組成としてLi(Ni1-x-yCoxMny)O2(ただし、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.5)、Lia(Ni1-b-cCobAlc)O2(ただし、0.9≦a≦1.3、0<b≦0.5、0<c≦0.7)、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoO2の群から選ばれる1種以上のリチウム含有遷移金属酸化物を含む請求項1〜2のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池を少なくとも2つ以上直列に接続された組電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池を少なくとも2つ以上用い、さらに電圧監視装置と電流制御装置とを兼ね備えた蓄電装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012041942A JP2013178935A (ja) | 2012-02-28 | 2012-02-28 | リチウムイオン二次電池及びそれを用いた組電池並びに蓄電装置 |
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-
2012
- 2012-02-28 JP JP2012041942A patent/JP2013178935A/ja active Pending
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