JP2013177620A - 炭化処理装置及び炭化処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる還元炭化処理システムを提供する。
【解決手段】一つのキルン2内で、有機物の乾燥と熱分解と蓄熱を行うようにした炭化処理装置であって、入口及び出口を有する回転可能キルン2と、入口からキルン2内に有機物を導入するための原料供給部と、キルン2を内部空間に有し、キルン2に外部から熱を供給する燃焼室と、を有し、含水率が高い有機物は、含水率の低い有機物よりもキルン2内における滞在時間が長くなるようにキルン2の内周面には、キルン2の長手方向に沿って螺旋状に延びる螺旋羽1aを有するとともに、内方に突出する攪拌羽1bを一以上有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、廃材や家畜糞、或いは汚泥等の廃棄物を含む有機物等を炭化する炭化処理装置及び炭化処理方法に係り、より詳細には、キルン内部の有機物等を外部から間接的に加熱することにより、低酸素雰囲気ないし還元雰囲気中で乾燥、熱分解、蓄熱を行う炭化処理装置及び炭化処理方法に関する。
特開2001−322809号公報
従来から、内部にスクリューコンベヤを設けた炭化管が燃焼炉内に設置され、炭化管の前段を乾燥ゾーン、中段を炭化ゾーン、後段を賦活ゾーンとして炭化炉が構成され、炭化管の端部入口に原料供給装置が設けられるとともに、炭化管の端部出口に活性炭化物排出装置が設けられ、原料供給装置から供給された炭化原料が炭化管内で間接加熱処理することによって、前段での乾燥と水蒸気の発生、中段での炭化と熱分解ガスの発生、後段での水蒸気及び熱分解ガスによる賦活・活性化によって活性炭化物を生成する活性炭化物の製造装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
尚、賦活・活性化工程におけるダイオキシン類を含む飛灰等は、炭化管とは別に内部にスクリューコンベヤを設けた脱塩素化管を経由して加熱処理することによってダイオキシン類を分解・無害化する際には、その灰を無害化(脱塩素化)する条件(ダイオキシン類の分解条件)として雰囲気ガスを還元もしくは低酸素雰囲気とされる。
ところが、上記の如く構成された活性炭化物の製造装置では、原料種類が限定されるばかりでなく、炭化反応と賦活反応の2段階の製造工程を経て得られる炭化物は、比表面積が小さい活性炭であり、燃料利用等には不向きで利用目的が限定されてしまううえ、炭化物(活性炭)のエネルギーも小さいという問題が生じていた。
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる還元炭化処理システムを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、一つのキルン内で、有機物の乾燥と熱分解と蓄熱を行うようにした炭化処理装置であって、
入口及び出口を有する回転可能キルンと、
該入口から該キルン内に有機物を導入するための原料供給部と、
該キルンを内部空間に有し、該キルンに外部から熱を供給する燃焼室と、
を有し、
含水率が高い有機物は、含水率の低い有機物よりもキルン内における滞在時間が長くなるようにしたことを特徴とする炭化処理装置である。
請求項1に記載の還元炭化処理システムによれば、一つのキルン内部で乾燥工程と炭化工程とを連続処理することができるうえ、一つのキルン内部に投入された有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、有機物等の間接加熱分解に伴う自燃を促進することができ、幅広い原料種類に関わらず、利用目的が広く且つ高エネルギーの再生炭を製造することができる。
本発明の炭化処理システムは、幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる。
本発明の一実施形態に係る炭化処理システムの説明図である。 本発明の一実施形態に係る炭化処理システムのシステムブロック図である。 本発明の一実施形態に係る炭化処理システムにおける前処理工程のシステムブロック図である。 本発明の実施形態に係る炭化処理システムにおける工程を示す概念図である。 有機物の滞在時間を調整するための他の構造を示す側面概念図及び長手方向垂直断面図である。 図5に示す構造の作用を説明するための概念図である。 再生炭(コーヒー豆カス炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(梅種炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(おから炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(牛糞炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(豚糞炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(汚泥炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(もみ殻炭)の顕微鏡写真である。 他の実施の形態に係る炭化装置を示す概念断面図である。
次に、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムについて、図面を参照して説明する。
なお、以下に示す実施例は本発明の還元炭化処理装置、炭化処理方法、籾殻炭油吸着材における好適な具体例であり、例えば、数値限定や材料限定等の技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
(形態例1)
図1は本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムの説明図、図2は本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムにおけるキルンの断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムに適用される還元炭化処理装置1は、一つの略円筒形状のキルン2の内部で、投入素材(籾殻P)の乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程を行うように構成されている。
また、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムに適用される還元炭化処理装置は、入口2in及び出口2outを有すると共に一連の内部空間2cで籾殻Pの乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱をこの順で行う一つのキルン2と、原料となる大量の籾殻Pを貯留し且つ入口2inから内部空間2cに籾殻Pを順次供給する供給部と、内部空間2cをキルン2の外部から加熱する燃焼室3と、供給部から入口2inに供給された籾殻Pに含まれる空気を排気する排気部5と、出口2outから排出された炭化後の籾殻炭Qを回収すると共に出口2outへの外気の侵入を防ぐように回収後の籾殻炭Qを一時的に滞留する回収部6と、を備えている。
供給部は、炭化対象である投入素材としての籾殻Pを貯留したホッパ14と、ホッパ14に接続されて入口2inから内部空間2cに一端が臨むようにエルボ状とされた供給配管15と、供給配管15の水平軸方向に沿って配置されて内部空間2cの入口2in側付近における無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持する供給スクリュー16と、を備えている。これにより、ホッパ14に貯留された籾殻Pは、供給スクリュー16の搬送によって内部空間2cへと供給される。
燃焼部は、キルン2の両端に形成された入口2inと出口2outとを除いた全体を囲む燃焼室3を形成する筐体状の本体と、燃焼室3に連通するように出口2outの上方付近に一端が接続された排気管3aと、排気管3aの他端が接続されて外部に連通する煙突部23と、煙突部23に一端が接続されかつ他端が入口2inの上方付近で燃焼室3と連通するように本体に接続された循環管24と、燃焼室に臨むバーナー等の加熱源4と、排気促進用のファン13と、を備えている。これにより、燃焼部は、内部空間2cに供給された籾殻Pを無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ籾殻Pに蓄熱して一つの内部空間2cの全体に熱を供給することができる。
排気部5は、籾殻Pの含水率を早期に低下させるように、キルン2の内部で発生した水蒸気を排水する水蒸気排管12と、排気促進用のファン13と、を備えている。これにより、排気部5は、その下方に配置された水蒸気排管12と本体の内部に配置された排気促進用のファン13との協働により、籾殻Pの含水率を早期に低下させることができ、乾燥・炭化時間の短縮化並びに自燃の促進化に貢献することができる。
回収部60の周囲には、例えば、冷却パイプ等の冷却装置(図示せず)が配置され、この冷却によって、籾殻Pを再生炭として生成(回収)することも可能である。この際、キルン2の出口2outと回収部60とは、内部空間2cの無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続されている。
具体的には、回収部60は、キルン2の出口2outの下方に配置されており、自重落下によって籾殻炭Qを回収するように接続されているとともに、図1の紙面奥行き方向に配管された第1排出配管18と、この第1排出配管18の下流端下方にキルン2の軸線方向と同方向に配管された第2排出配管17と、排出配管17,18に設けられた搬送スクリュー20,21とで構成することによって、各搬送スクリュー20,21で搬送される籾殻炭Qがキルン2の内部空間2cと外部(大気)とを遮断する。
キルン2は、その両端が燃焼室3の左右側壁に水平状態で架設される。また、キルン2は、燃焼室3内に配される金属管状の回転体であり、その入口2in側には、図示を略すが、駆動装置から延設されるチェーンが巻回されるスプロケットが設けられており、駆動装置の駆動により回動可能となっている。さらに、キルン2の入口2in側は、供給部30から入口2aに供給された籾殻Pに含まれる空気を排気すると同時に炭化処理により生じた蒸気を蒸気抜きパイプ22から逃がすための排気部5に覆われている。また、キルン2の出口2out側は、加熱されて炭化処理済みの籾殻炭Qを排出しかつ一次燃焼ガス(COを含んだ可燃性ガス)をガス抜きパイプ25から排出するための排出部(接続管)19に覆われている。
これにより、一つのキルン2の内部で乾燥工程と炭化工程とを連続処理することができるうえ、一つのキルン2の内部に投入された籾殻Pを無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、籾殻Pの間接加熱分解に伴う自燃を促進することができ、利用目的が広く且つ高エネルギーの籾殻炭Qを生成することができる。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置は、内部に螺旋羽と攪拌羽1を配置した回転する一つのキルン2と、この一つのキルン2の内部に投入された廃棄物を含む有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ有機物等に蓄熱して一つのキルン2の内部全体に熱を供給する燃焼室3と、燃焼室3内に臨むバーナー等の加熱源4と、キルン2の内部に投入された有機物等に含まれる水分を燃焼室3の間接加熱によって蒸発させるようにキルン2の内部にエリア設定された乾燥部2aと、乾燥部2aで乾燥処理された有機物等を間接加熱分解させることで炭化させるようにキルン2の内部にエリア設定された炭化部2bと、を備えている。
また、キルン2の内部空間2cには、図5、図6に示すように、螺旋羽1aと、図2に示すように、螺旋羽1aの間に位置してキルン2の内壁から中心軸に向かって突出した攪拌羽1bと、が設けられている。また、内部空間2cは、入口2inから出口2outに向かう搬送方向の上流側から下流側に向かって乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程を行う区間2a,2b,2dが設定されている。この際、螺旋羽1aのピッチ間隔を、各区間2a,2b,2dで異ならせ、搬送方向下流側に向かう程にピッチ間隔を狭くすることによって内部空間2cにおける籾殻Pの滞在時間が搬送方向下流側に向かう程長くなっている。なお、螺旋羽1aのピッチ間隔は、乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程順で各区間2a,2b,2dの単位で段階的に滞在時間が長くなるように設定されている。
乾燥部2aは、籾殻Pに含まれる水分を燃焼室3の間接加熱で蒸発させ、炭化できる状態にまで含水率を下げる乾燥肯定を行う乾燥区間である。
炭化部2bは、乾燥工程後の籾殻Pを燃焼室3の間接加熱による無酸素雰囲気で炭化(熱分解)する炭化工程を行う炭化区間である。
蓄熱部2dは、炭化後の籾殻炭Qを燃焼部4の間接加熱によって熱エネルギーを蓄積し、キルン2の内部での乾燥及び炭化の熱効率を高めるための蓄熱工程を行う蓄熱区間である。
図2に、キルン内において行われる各工程の基本的作用を示す。
最初の工程は乾燥工程である。この工程では、投入素材に含まれる水分を間接加熱で蒸発させ、炭化できる状態にまで含水率を下げることが行われる。
次の工程は炭化工程である。この工程では、乾燥された素材を間接加熱による無酸素雰囲気で炭化(熱分解)する工程である。
次の工程は蓄熱工程である。この工程では、炭化物内に間接加熱された熱エネルギーを蓄積し、キルン内部の乾燥及び炭化の熱効率を高めるための工程である。
また、本発明の炭化処理システムは、比重の違いを利用してキルン2の内部で発生した水蒸気とこの水蒸気よりも比重の軽い、または比重の重いガス等とを分離する連結された2連または3連の配管部を備えることが好ましい。
図1、図4あるいは図5に示すように、乾燥工程、炭化(熱分解)工程、蓄熱工程が一つのキルン内で行われる場合、上部には水蒸気、その下には乾留ガス、底部には炭化物が存在する。
図1で示した配管部5の下流側に、図4に示すように例えば、2連の配管を上下に接続すると、重力の差異に起因して、下側配管には乾留ガス流れ、上側配管には水蒸気と臭気ガスとが流れる。
この場合、脱臭すべきガスは、水蒸気と臭気ガスを主成分とする。すなわち、乾留ガスをほとんど含んでいない。従って、最小体積で脱臭処理を行うことが可能となる。その結果、低コストで脱臭処理が可能となる。
このような構成によれば、2連または3連の配管部5により比重の違いを利用してキルン2の内部で発生した水蒸気とこの水蒸気よりも比重の軽い、または比重の重いガス等とを分離することにより、水蒸気よりも軽い水素ガスや水蒸気よりも重い一酸化炭素・メタンガス・炭化水素ガス等を水蒸気から分離することができる。
また、キルン2の内部で発生した水蒸気を冷却することによってキルン2の内部で発生した水蒸気を臭気ガスと水とに分離する冷却部6と、冷却部6に連接されて分離された臭気ガスを脱臭する脱臭部7と、を備えている。
このような構成によれば、冷却部6によってキルン2の内部で発生した水蒸気を冷却することによってキルン2の内部で発生した水蒸気を臭気ガスと水とに分離することにより、臭気ガスの脱臭を脱臭部7で行うことができる。
また、炭化部2bでの炭化に伴う熱分解によってキルン2の内部で発生した乾留ガスを回収する乾留ガス回収部8を備え、この乾留ガス回収部8で回収した燃エネルギーを燃焼室3の熱源として再利用する。
このような構成によれば、乾留ガス回収部8によって炭化部2bでの炭化に伴う熱分解でキルン2の内部で発生した乾留ガスを回収することにより、この乾留ガス回収部8で回収した燃エネルギーを燃焼室3の熱源として再利用することができる。
また、乾留ガス回収部8内に回収した乾留ガスの熱量が不足している際に加熱するように乾留ガス回収部8の内部に補助加熱源9を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、乾留ガス回収部8に設けられた補助加熱源9により、乾留ガス回収部8に回収した乾留ガスの熱量が不足している際の熱量を補うことができる。
また、乾燥部2aの終端部付近又は炭化部2bの始端部付近での有機物等の炭化初期に発生した煙を回収する蒸気煙経路10と、回収した煙を冷却することで油化する油化部11と、を備えている。
このような構成によれば、蒸気煙経路10によって乾燥部2aの終端部付近又は炭化部2bの始端部付近での有機物等の炭化初期に発生した煙を回収した後に、油化部11によって回収した煙を冷却・油化してリサイクル油を生成することができる。
さらに、冷却部6は、有機物等の含水率を早期に低下させるように、キルン2の内部で発生した水蒸気を排気する配気管12と、排気促進用のファン13と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、冷却部6は、キルン2の内部で発生した水蒸気を排気する配気管12と、排気促進用のファン13と、を備えていることにより、有機物等の含水率を早期に低下させることができ、乾燥・炭化時間の短縮化並びに自燃の促進化に貢献することができる。
含水率が高い有機物は、含水率の低い有機物よりもキルン2内における滞在時間が長くなるようにするためには例えば次ぎの構造を用いればよい。
図5にその形態例を示す。
本例は、キルン2の内周面には、キルン2の長手方向に沿って螺旋状に延びる螺旋羽1aを有するとともに、内方に突出する攪拌羽1bを一以上有している。
螺旋羽1aは、帯状の薄板が螺旋をなしてキルン2の内周面に取り付けられて形成される。螺旋羽1aのキルン2の内周面からの突出量hは、乾燥部Bにおける突出量より分解部Cにおける突出量より大きくすることが好ましい。乾燥部Bにおいては、0.5〜0.7が好ましい。また、攪拌羽1bの突出量についても同様である。なお、乾燥部Bから分解部Cへ向かい漸次大きくしてもよい。
攪拌羽1bは、複数個設けてもよい。図5に示す例では3個設けてある。また、中心と結ぶ線に対して、傾けを向けておくことが好ましい。この傾きは、有機物の水分含有量によって適宜変化させればよい。図5に示す例では、中心と結ぶ線を基準として反時計回りに60゜の傾きを持たせてある。また、螺旋羽1aのピッチ間距離は上流側を下流側より大きくしておくことが好ましい。これにより、キルン内への有機物の供給量を最大化することができる。
攪拌羽1bは、キルン2の長手方向に、連続的に設けてもよくまた、間欠的に設けてもよい。製造上の容易性などを考慮して適宜選択すればよい。
図6に示すように、キルンが回転すると、周内面に設けられた攪拌羽1bによって有機物は、上に持ち上げられる。水分含有量が高い有機物は、粘着性が高い有機物であり、水分含有量が低い有機物は粘着性が低い有機物である。
従って、水分含有量が高い有機物は、水分含有量が低い有機物よりも高い位置まで持ち上げられる。図6(A)上段が水分含有量が高い場合であり、図6(B)下段が水分含有量が低い場合である。図6(A)の場合は、高い位置まで持ち上げられた後に有機物は落下する。それに対して図6(B)の場合は、低い位置において有機物は落下する。高い位置から落下した場合には、図6(A)に示すように後ろに戻る有機物は多い。その結果、乾燥工程に滞在する時間は長くなる。一方、低い位置から落下した場合には、後ろに戻る有機物は少ない。その結果、乾燥工程に滞在する時間は短くなる。
なお、この構造では、攪拌羽の長手方向の間隔は、上流側が下流側よりも大きくすればより滞在時間の差異を大きくすることができる。
また、この構造では、有機物の水分含有量のみならず、キルン内への有機物の供給量によって羽根の突出量を変化させることにより最適な再生炭を実現することができる。
(形態例2)
図14に他の形態例に係る装置を示す。
本例では、キルン2の上流側の開口端を外部から遮断するように覆うとともに、上流側の開口端からの水蒸気・乾留ガスを接続パイプ27を介して熱回収設備のガス回収部29に流すラインを設け、接続パイプ27の途中に吸気量を任意に調整することが可能な吸気ブロワを設けてある。
さらに、キルン2の下流側の開口端を外部から遮断するように覆うとともに、下流側の開口端からのガス(主に乾留ガス)を接続パイプ27を介して熱回収部のガス回収部29に流すラインを設け、
接続パイプ27とガス回収部29との間のラインは並列のラインとするとともに、並列のそれぞれのライン途中に排気量を調整できるダンパを設けてある。
含水率の高い素材を1本のキルン2内で乾燥・炭化を行なう場合、問題となるのは、多量の水蒸気の体積である。大気圧下では、1リットルの水は100。Cで、水蒸気の体積が約1,700リットルになる。また、373。Cでは、水蒸気の体積は約3,400リットルにもなる。
熱分解によって生じる乾留ガスに加えて、多量の水蒸気があると、スムーズなガスの排出が困難になる。この水蒸気を効率的にキルン2内から排出させ、熱回収燃焼設備に導くため、
吸気畳を任意に調整できる、吸気プロワの設置、乾留ガスを熱回収燃焼設備に導く排気管と、主に水蒸気を熱回収燃焼設備に導く排気管を並列に設置し、それぞれの排気量を調整できるダンパーを設置することが効果的である。
これによって、含水率の高い炭化素材に対し、吸気量を任意に調整し、効率的・速やかに水蒸気をキルン内から排出し、キルン内の炭化効率を高めることができる。
本例では、さらに、回収部60において第2排出管19の外部にウオータージャケットを設けてあり、また、熱回収燃焼設備の周囲にもウオータージャケットを設けて過熱の防止を図っている。
(実施例)
以下、本発明の還元炭化処理システムのより具体的な構成を説明する。廃棄物を含む有機物等Pは、ホッパ14から投入されて、キルン2の始端部側にキルン2の無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続された原料供給配管15の供給スクリュー16によってキルン2内へと供給される。
回転可能なキルン2は、公知の駆動系を経由して回転しつつ、キルン2の内表面に設けられた羽根の作用によって乾燥部2aから炭化部2bを経由して炭化され、キルン2の終端部にて炭化した再生炭Qが排出配管17を経由して排出(回収)される。
尚、排出配管17の周囲には、例えば、排水パイプ等の冷却装置18が配置され、この冷却によって、有機物等Pの種類に応じて有機炭化物や無機炭化物が再生炭として生成(回収)される。この際、キルン2の終端部と排出配管17とは、キルン2の無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続されている。
具体的には、排出配管17は、キルン2の終端部の下方に配置されており、自重落下によって炭化物を回収するように接続されているとともに、図1の紙面奥行き方向に配管された接続管19と、この接続管19内に設けられた搬送スクリュー20とを配置することによって、この搬送スクリュー20で搬送される炭化物がキルン2の内部と外部(大気)とを遮断する。尚、排出配管17の内部にも搬送スクリュー21を配置するのが好ましい。
一方、キルン2の始端部側と終端部側とには、還元管19が設けられており、この還元管19に脱臭部7を兼用する乾留ガス回収部8が接続され、この乾留ガス回収部8に回収された乾留ガスの一部は燃焼室3の熱源として再利用され、他の一部は排気管3aから排気される。
この際、キルン2の内部は、無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、有機物等の間接加熱分解に伴う自燃が発生(225〜500℃で自己着火)するため、この自燃が発生した以降は加熱源4の加熱は停止される。
これにより、キルン2の内部から回収した乾留ガスは、基本的には高温環境化にあるが、例えば、キルン2の内部温度を監視するセンサ等(図示せず)の検出結果に応じて、有機物等Pの種類(自己着火温度以上)に適した温度を維持するように、補助加熱源9の加熱によって乾留ガスの温度を上昇する。尚、加熱源4の加熱を併用しても良い。
また、キルン2の始端部側下方には、2連の配管部5を介して蒸気煙経路10を兼用(又は別途でも良い)の配水管12が設けられており、キルン2の内部で発生した水蒸気のうち、水分としての気散水を回収する。
気散水は、炭化する初期の段階で発生する煙を冷却することで得られる液体で、有機物等Pが主として木材チップの場合では、木材重量の25%の再生炭に対して、その再生炭の重量に対して20〜30%の気散水を採取することができる。
そして、この採取した気散水を冷却(例えば、1ヶ月以上)すると、木タール分と木酢液と軽油分とに分離してリサイクル燃料等を採取することができる。
尚、木酢液(酢液)は、アルコール類やフェノール類等の役200種類を超える成分が含まれており、消臭剤・し尿処理剤・医薬用・動物飼料添加剤・農林業等の商品や各種分野等で再利用を図ることができる。
また、木タールは、炭化水素(リグニン)の熱分解液で、気散水を冷却して約1ヶ月以上放置したときに発生する沈殿物で、殺菌力が強く、防臭剤等に利用が可能であるほか、そのまま燃料として、或いは、蒸留装置でさらに水分と油分とに分離することで軽油や重油質・ピッチに分けるここができる。
また、配管部5から脱臭部(消臭・無害化燃焼装置)7に導かれた臭気ガスは、850〜1000℃の環境下によってダイオキシンや臭気が除去される。尚、必要に応じて(例えば、有機物等Pの種類に応じて)、脱臭部7に連接して三次燃焼室22を配置し、この三次燃焼室22によって70〜120℃でエマルジョン浄化(低温無害化)を図っても良い。
尚、エマルジョン浄化(燃焼)は、高温の可燃性ガスや油の中に均一に分布させたミクロ単位の水滴を混合すると、熱伝達によって水滴が瞬間的に数千倍に急膨張するため、この際の水滴を取り除くガス(油滴)も微細化させて空気との混合を良くすることで、ガスや油を完全燃焼することができる。
したがって、このエマルジョン燃焼を実行することによって、エマルジョン燃焼時にガスや油分が超微粒化し、空気との接触面積が増大して完全燃焼することができ、未燃物の発生を大幅に減少して煤塵を顕著に低下することができる。
また、エマルジョン燃焼においては、微爆作用により、粒子が微粒子化するため、低O2燃焼運転を実現することができるうえ、より一層完全燃焼化に近づけることができることによって、排ガス中の煤塵量だけでなく、NOやSO等を大幅に削減することができる。
ところで、本発明における有機物Pとしては、例えば、図3に示すように、廃材・廃プラスチック、医療廃棄物(3cm以上)、木材チップ・おが屑(3cm未満)、家畜糞(含水率60%未満)、食品残渣物、家畜糞(含水率60%以上)、汚泥(濃縮・脱水後)といった広範囲の廃棄物を含む有機物等に適用することができ、各有機物Pを破砕(定量化)・混合・超脱水処理を施したうえで、キルン2に供給される。
また、キルン2内では、850℃という高温環境を実現し得て、2秒以上の滞留時間で燃焼を完了することができた。
尚、螺旋羽と攪拌羽1は、例えば、乾燥部2aと炭化部2bとで独立駆動可能に分離したり、スクリューピッチを乾燥側2aよりも炭化部2bの方を狭ピッチとする等によって、一つのキルン2の内部を明確に役割分担することも可能である。この際、螺旋羽を二重螺旋したり、その螺旋形状(角度や最大径)を変えるなど、適宜の設計変更や交換等は任意に行うことができる。
また、本発明の還元炭化処理システムでは、例えば、表1に示すように、キルン2の長さや本数を変えることによって、その処理能力を帰ることができ、使用する原料(有機物等P)に応じて、適宜能力の物を採用することができる。尚、キルン2の内径を500φとした場合、有機物等Pは、その大きさは3cm以下程度、含水率は10%〜60%、かさ比重0.5程度、炭化までの滞留時間30分以下、とするのが好ましい。
Figure 2013177620
なお、これらの各種条件を確認するためには、予め、乾留ガス概略計算書(図示せず)等や乾留ガスの燃焼特性表(自己着火温度一覧表)等を用いるのが好ましい。
そして、回収された各種の再生炭を調べた。
原材料:コーヒー豆カス(含水率65%)を炭化(50分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり7250Kcal/kg(固定炭素率81.0%)
原材料:ジャガイモの殻汚泥(含水率80%)を炭化(60分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり5440Kcal/kg(固定炭素率78.5%)
原材料:もみ殻(含水率2%)を炭化(15分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり4544Kcal/kg(固定炭素率46.6%、シリカ41.6%)
いずれも高エネルギーを有する再生炭を生成することができた。なお、試験はJIS−Z 7302−2に従って行った。
なお、参考のため述べるならば、石炭(コークス)の燃料発熱量は7,190Kcal/kg、木材の燃料発熱量は3,440Kcal/kgである。
このように、本発明の還元炭化処理システムによれば、一つのキルン2の内部に廃棄物を含む有機物等Pを投入し、一つのキルン2の内部に投入された有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ有機物等に蓄熱して含水率を低減したうえで、有機物等を間接加熱分解させることで炭化することにより、幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる。
上記再生炭の顕微鏡写真を図7〜図13に示す。
いずれの例においても多孔質状態及び繊維質状態を示しており、炭化が極めて良好に行われたことを示している。
以上のように、本発明によれば幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる還元炭化処理システムを提供することができる。
1a…螺旋状羽
1b 攪拌羽
2…キルン
2a 乾燥部
2b 炭化部
2d 蓄熱部
2c 内部空間
2in 入口
2out 出口
3…燃焼室
3a…排気管
4…加熱源
5…配管部
6…冷却部
7…脱臭部
8…乾留ガス回収部
9…補助加熱源
10…蒸気煙経路
11…油化部
12…配水管
13…ファン
14…ホッパ
15…原料供給配管
16…供給スクリュー
17…第2排出配管
18…冷却装置
19…接続管
20…搬送スクリュー
21…搬送スクリュー
22…蒸気抜きパイプ
23 煙突部
24 循環管
25 ガス抜きパイプ
30 接続部
60 回収部

Claims (1)

  1. 一つのキルン内で、有機物の乾燥と熱分解と蓄熱を行うようにした炭化処理装置であって、
    入口及び出口を有する回転可能キルンと、
    該入口から該キルン内に有機物を導入するための原料供給部と、
    該キルンを内部空間に有し、該キルンに外部から熱を供給する燃焼室と、
    を有し、
    含水率が高い有機物は、含水率の低い有機物よりもキルン内における滞在時間が長くなるようにしたことを特徴とする炭化処理装置。
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