JP2012224677A - 湿潤バイオマスの炭化処理システム及び炭化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 湿潤バイオマスを好気性発酵により乾燥させることで乾燥バイオマスを得る手段と、前記乾燥バイオマスを乾留する炭化炉と、前記炭化炉から炭化物を回収する手段と当該炭化炉から発生した揮発成分を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉にて発生した熱風を前記炭化炉の間接加熱源として利用することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
バイオマスには含水率の低い林業系の木質廃材、稲わら、麦わら、トウモロコシ、もみ殻等の農業系廃材及び建築廃材等の乾燥系バイオマスと、
含水率が50質量%以上と高い、茶かす、コーヒーかす等の食品加工残渣、食品廃棄物、家畜糞尿、漁業残渣及び下水汚泥等の湿潤系バイオマスに区分される。
乾燥系バイオマスは水分が低く、直接的な燃焼や炭化処理が比較的容易であるのに対して、水分の高い湿潤系バイオマスは乾燥工程を経た後でないと上記のようなエネルギー利用ができないために、これまで乾燥のためのエネルギー消費が多くバイオマスとしての資源利用価値が小さかった。
そこで、高水分であることを積極的に利用すべくメタン発酵(特許文献1)や堆肥化が検討されている。
しかし、メタン発酵は処理設備に多大な費用がかかるのみならず、消化液及び残渣物の利用方法が問題であった。
また、堆肥化は需要の時期が限られるだけでなく、処理時間が長い、広い処理スペースが必要、臭気が発生するといった問題があった。
前記燃焼炉にて発生した熱風を前記炭化炉の間接加熱源として利用することを特徴とする。
ここで、前記炭化炉は、熱分解温度350〜500℃の低温炭化炉であるのが好ましく、さらに、前記炭化炉は、間接加熱型ロータリーキルン炉であるのが好ましい。
燃焼温度が高いとNOXが発生しやすくなるからである。
本発明に用いる湿潤バイオマスの好気性発酵による乾燥方法は、以下全て質量%で含水率40%以下、好ましくは25〜35%、さらに望ましくは26〜32%になる方法であれば、公知の好気性微生物を用いることができるが、特許文献3に記載した方法を取り込むのが好ましい。
例えば、湿潤バイオマスに嵩密度0.1〜0.4の木材、樹皮、茎、及び果皮等の副資材を容積比で0.5〜4倍、好ましくは2〜3倍混合し、2〜4mの高さに堆積山を形成し、通風パイプ等を介して湿潤バイオマス1m3当たり、0.5〜2m3/時間の空気を送る。
発酵中は60〜80℃に保ちバイオマスの内部温度が40〜50℃に低下したら、水分量が40%以下に乾燥されている。
乾燥後は篩分けにより副資材を回収し、再利用できる。
参考に、図2に浄化センターから入手した汚泥に木質チップを混合し、好気性発酵による水分の経時変化を調査した結果を示した。
図2は、好気性発酵した4ロットの汚泥の水分含有率の変化をそれぞれ示す。
概ね、30日目位で水分含有率が30%近くになる。
従来は、500℃超〜600℃の比較的高温にて熱分解するのが一般的であった。
ところが、本発明者が調査した結果、図3に上記の方法で得られた乾燥バイオマスの熱分解による重量変化(有機成分のみの無水無灰基準による重量変化)を示し、図4にその時の発生ガス(非凝縮性)の分析結果を示すように350〜400℃から急激に揮発分が発生し、400℃〜500℃の間でタール成分が揮発していた。
さらに詳細に説明すると、汚泥をそのまま熱分解した場合に発生するタール成分よりも汚泥を好気性発酵した乾燥バイオマスを熱分解した場合に発生するタール成分の方が低沸点成分の割合が多く、発酵により軽質なタールの生成が促進されることが明らかになった。
また、熱分解温度(炭化温度)による炭化物及び全タール分の発生割合を調査すると、300〜350℃では炭化物の割合が多く、タール分が少ないことから未分解物が多いことが分かり、400℃以上〜500℃では全タール分の割合が多く相対的に炭化物の割合が少なかった。
そこで、この範囲で乾留すればタール成分を燃料として有効に利用し、乾留の熱源に用いることでエネルギー的に自立が成立した。
その場合には、おが粉、木屑、乾燥系有機廃棄物等の有機系副資材を混合して高位発熱量を3,700kcal/kg以上に調整するのがよい。
湿潤バイオマスは水分含有率が質量にて50%以上有する。
例えば、下水又は排水汚泥はフィルタープレス後の水分含有率は75〜85%である。
また、食品残渣物は60〜90%の水分含有率である。
これらの湿潤バイオマスに木質チップ等の副資材を混合する。
一定量の堆積山を形成し、定期的に切り返しを行い、好気性発酵を促進する。
堆積山の内部は発酵熱で80℃を越え、水分が蒸発する。
発酵開始から、35〜60日間位で水分含有率40%以下の乾燥バイオマスになる。
乾燥が終了すると篩分けにより副資材と乾燥バイオマスに分離する。
炭化処理装置は350〜500℃熱分解条件にて乾留でき、その際に発生した揮発成分を回収し、燃焼炉で燃焼させることで得られた熱風を炭化炉の外熱に利用できるものであれば炭化炉の方式及び構造に限定はない。
図1は、連続的に炭化処理できるロータリーキルン式の炭化炉(炭化装置)の例を示す。
回転キルン11は、ローラーで回転支持されたつば部15a、15bを有し、図示を省略した電動機を用いて回転キルン11が回転制御される。
回転キルン11は、原料の供給側隔壁14a及び炭化物の排出側隔壁14bにて回転摺接可能な状態で、外部と遮断されている。
また、回転キルン11の外周側には加熱用の熱風がふき込まれる外周加熱室12を有し、回転キルン11の内部には円筒又は多角形筒の加熱筒13を有する。
回転キルン11の加熱に用いられる熱風は、回転キルン11の炉内11aで発生した揮発成分をこの回転キルン11の排出側隔壁14b付近に設けた揮発成分排出口16を介して配管により揮発成分供給口20bを経由して燃焼炉20に送り込まれ、そこで発生した燃焼ガスを用いる。
燃焼炉20は、下部に水冷式の自動スクリューからなる灰の排出装置20cを有し、揮発成分の燃焼により発生した灰が排出口20dから炉外に排出される。
また、燃焼時のNOX発生を抑えるべく、一次燃焼用のエアー供給ファン24aと二次燃焼用のエアー供給ファン24bを有する二段燃焼炉になっている。
次に、炭化処理の流れに沿って周辺装置の構成を説明する。
湿潤バイオマスを好気性発酵させた原料(乾燥バイオマス)をホッパー1に投入する。
ホッパー1に投入された原料はコンベアー1a等を介して供給装置2に移送され、フィーダ2aを介して回転キルン11の炉内11aに供給される。
炭化炉10の操業開始時は、燃焼炉20に燃料タンク23に貯留したA重油等の燃料をポンプ22を用いてメインバーナー21に供給し、エアーを一次ファン24a及び二次ファン24bにて送り込みながら燃焼させる。
なお、図1の例では補助ポンプ22a及び補助バーナー21aを設けた例になっている。
燃焼炉20により発生した熱風(燃焼ガス)G1は外周加熱室12に原料の供給側からふき込まれ回転キルン11を外周側から加熱する。
外周加熱室12に吹き込まれた熱風は、炭化物排出側から加熱筒13の炭化物排出側に配管を介して供給される(G2)。
加熱筒13を通過する熱風にて原材料を主に幅射熱によって、内側から加熱する。
加熱された乾燥バイオマスは水分が水蒸気として放出され、さらに、350〜500℃の範囲で加熱されることで有機物が熱分解し揮発成分が排出側隔壁付近に設けた揮発成分排出口16から配管により燃焼炉20に送り込まれる。
揮発成分の取り出し口を排出側隔壁付近に設けたので、炉内11aが排出側まで水蒸気が充満しているので、炉内11aに外部の空気が入り込む恐れがなくなる。
揮発成分には水蒸気の他に多くの燃焼性ガス及びタール成分Fが含まれる。
これらの燃焼性成分Fが燃焼炉にて燃焼し始めると、メインバーナー21を停止し、補助バーナー21aに切り換える。
燃焼ガス温度センサー20aの測定データに基づいて補助バーナー21aを徐々に絞り込む。
従来一般的に乾留条件として採用している熱分解条件を600℃付近に設定すると、補助バーナー21aの使用を止めることができなかったが、熱分解条件を350〜500℃の範囲に制御すると補助バーナー21aを完全に止めて炭化炉の操業が可能であり、A重油等の外部燃料が全く不要であった。
なお、エネルギー的に自立させるには乾燥バイオマスの原料としての発熱量も重要であり、後述する。
なお、水冷熱交換器31にて得られた温水は、暖房用等のエネルギーとして使用可能である。
減温塔32にて減温されたガスG5は必要に応じて消石灰等により中和され、バグフィルタ33にて固体微粒子を除去したガスG6は誘引ファン34等を用いて煙突35から大気中に放出される。
乾留が進行し、得られた炭化物Cは炭化物排出口17から排出され、水冷式搬出コンベア3及びコンベア4等を経由してヤード5に炭化物Cが貯留される。
水分含有率約80質量%の下水汚泥(湿潤バイオマス)に木質チップ(副資材)を混合し、2〜4mの堆積山を形成し、底部から送風し、好気性発酵を行い、7〜10日毎に切り返しを行った。
約2ヶ月後に乾燥バイオマスと木質チップを篩分けし、乾燥バイオマスの水分量を測定したら、水分含有率31.3%であった。
また、臭気も発生していなかった。
なお、回収した木質チップは副資材として再利用する。
このようにして得られた乾燥バイオマス(炭化原料)1,000kgを1,000kg/hの速度で図1に示したロータリーキルン式炭化炉に投入した。
定常状態では、炭化温度(熱分解温度)430℃に設定した。
その結果、定常状態でA重油の使用は全く不要であった。
得られた炭化物収量は、353kgであったことから乾燥ベースの収率は50.6%となる。
図5に、炭化原料に用いた好気性発酵材(乾燥バイオマス)と上記にて得られた炭化物の物性を比較した表を示す。
表中、炭化物の水分は、冷却及び発火防止の為に水を噴霧したので参考値である。
また、灰分及び揮発分は無水ベースの値である。
そこで、下水汚泥を好気性発酵により堆肥状に充分に乾燥させたものにセルロース系の廃棄物を混合したもの及び牛糞を乾燥させたものをそれぞれ約1,000kg/hを投入し、炭化処理の操業実験をした。
これに対して実験1は安定であり、高位発熱量が3,700kcal/kg以上であると安定したエネルギー自立操業が可能であることが明らかになった。
また、実験4の牛糞堆肥の場合に高位発熱量が3,017kcal/kgと低いためにA重油の補助燃料が必要であった。
そこで、牛糞におが粉及び木屑を混合し、高位発熱量が3,700kcal/kg以上になるように調整し、同様操業実験を行うとエネルギー的に自立可能であった。
11 回転キルン
11a 炉内
12 外周加熱室
13 加熱筒
14a 供給側隔壁
14b 排出側隔壁
20 燃焼炉
Claims (13)
- 湿潤バイオマスを好気性発酵により乾燥させることで乾燥バイオマスを得る手段と、
前記乾燥バイオマスを乾留する炭化炉と、
前記炭化炉から炭化物を回収する手段と当該炭化炉から発生した揮発成分を燃焼させる燃焼炉と、
前記燃焼炉にて発生した熱風を前記炭化炉の間接加熱源として利用することを特徴とする湿潤バイオマスの炭化処理システム。 - 前記炭化炉は、熱分解温度350〜500℃の低温炭化炉であることを特徴とする請求項1記載の湿潤バイオマスの炭化処理システム。
- 前記炭化炉は、間接加熱型ロータリーキルン炉であることを特徴とする請求項1又は2記載の湿潤バイオマスの炭化処理システム。
- 前記燃焼炉は、下部に水冷式の灰排出装置を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の湿潤バイオマスの炭化処理システム。
- 前記燃焼炉は、一次と二次とに分けてエアーを供給する二段燃焼炉であることを特徴とする請求項4記載の湿潤バイオマスの炭化処理システム。
- 請求項1〜5のいずれかの炭化処理システムを用いて、含水率50〜90質量%の廃棄物系湿潤バイオマスを好気性発酵させることで含水率40質量%以下の乾燥バイオマスにするステップと、
熱分解温度350〜500℃の範囲にて乾留するステップとを有し、
乾留時に発生する揮発成分を燃焼させて得られた熱風を乾留の熱源に用いることを特徴とする湿潤バイオマスの炭化処理方法。 - 前記乾燥バイオマスは、含水率が25〜35%であることを特徴とする請求項6記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 前記乾燥バイオマスは、含水率が26〜32%であることを特徴とする請求項7記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 前記乾燥バイオマスは、原料としての高位発熱量が3,700kcal/kg以上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 前記乾燥バイオマスは、原料としての高位発熱量が3,800kcal/kg以上であることを特徴とする請求項9記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 前記乾燥バイオマスに有機系副資材を混合することで、原料としての高位発熱量が3,700kcal/kg以上又は3,800kcal/kg以上に調整することを特徴とする請求項9又は10記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 廃棄物系湿潤バイオマスに容積比で0.5〜4倍の副資材を混合して好気性発酵させることを特徴とする請求項6記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
- 廃棄物系湿潤バイオマスに容積比で2〜3倍の副資材を混合して好気性発酵させることを特徴とする請求項12記載の湿潤バイオマスの炭化処理方法。
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