以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
(スクリュー型分離装置の構成)
図1は、本実施形態に係るスクリュー型分離装置の一部断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るスクリュー型分離装置1は、ケージング10、スクリュー軸12、スクリュー羽根部14、隔壁部20、流量調整槽22、投入部24、傾斜調整部25、及び制御部26を有している。スクリュー型分離装置1は、後述する対象物投入口32Aからケージング10内に投入された前対象物A0を脱水して、脱水した後の対象物Aを、後述する対象物排出口32Bから排出する。そして、スクリュー型分離装置1は、脱水により前対象物A0から分離された分離液Cを、後述する分離液排出口32Cから排出する。この前対象物A0は、含水率が高い下水や工場排水等の汚泥である。前対象物A0は、スクリュー型分離装置1に脱水される前の対象物であり、本実施形態では、含水率が高い下水や工場排水等の汚泥である。さらに言えば、前対象物A0は、凝集剤が添加された汚泥であり、フロック化された固形成分と水分とを含有する汚泥である。本実施形態においては、スクリュー型分離装置1の前段に設けられた装置により、例えば凝集剤を添加することで、固形物成分をフロック化して、固形物に液体成分が含まれた前対象物A0を生成する。ただし、前対象物A0の性状は任意であり、例えば、凝集剤が添加されずにフロック化されていない汚泥であってもよい。
以下、地表Gに平行な方向、すなわち水平方向を、X方向とする。そして、X方向のうちの一方の方向を、X1方向とし、X方向のうちの他方の方向、すなわちX1方向と反対の方向を、X2方向とする。また、X方向に直交する方向であって、地表Gにも直交する方向、すなわち鉛直方向を、Z方向とする。そして、Z方向のうちの一方の方向を、Z1方向とし、Z方向のうちの他方の方向、すなわちZ1方向と反対の方向を、Z2方向とする。Z1方向は、鉛直方向の上方に向かう方向、すなわち地表Gと離れる方向であり、Z2方向は、鉛直方向の下方に向かう方向、すなわち地表G側に向かう方向である。
図1に示すように、ケージング10は、延在方向Eに沿って一方の端部30Cから他方の端部30Bまで延在し、内部に空間が設けられる筒状の部材である。ケージング10は、円筒状の部材であるが、他方の端部30B側が縮径されている。ケージング10は、縮径されていない箇所の直径が例えば20cm以上50cm以下程度であるが、その大きさは任意である。延在方向Eは、ケージング10の軸方向である。延在方向Eは、一方の端部30C側から他方の端部30B側に向かうに従って、X1方向に対してZ2方向側に傾斜している。すなわち、ケージング10は、延在方向Eに沿った中心軸が、他方の端部30B(方向X1側)に向かうに従って、Z2方向側に移動する(位置する)向きで、傾斜している。従って、ケージング10は、他方の端部30Bが、一方の端部30Cよりも、Z2方向側、すなわち鉛直方向の下方に位置している。ケージング10は、傾斜角度θが、20°以上90°以下であることが好ましく、30°以上45°以下であることがより好ましい。傾斜角度θは、ケージング10の延在方向Eに沿った中心軸の、水平方向X(地表G)に対する傾斜角度である。
ケージング10は、一方の端部30Cに、分離液排出口32Cが開口している。また、ケージング10は、他方の端部30Bに、対象物排出口32Bが開口している。分離液排出口32Cは、スクリュー軸12が通る穴とは別の開口であり、スクリュー軸12よりも方向Z2側に設けられている。ただし、分離液排出口32Cは、対象物排出口32Bよりも一方の端部30C側に位置していればよい。分離液排出口32Cは、例えば一方の端部30Cのスクリュー軸12よりも方向Z1側に設けられていてもよく、スクリュー軸12と同じ位置に設けられて内部にスクリュー軸12を貫通可能になっていてもよい。また、分離液排出口32Cは、例えば、後述する分離液搬送区間KCにおけるケージング10の外周面(側面)に設けられていてもよい。また、分離液排出口32Cは、対象物排出口32Bよりも他方の端部30B側に位置していればよい。さらに言えば、対象物排出口32Bは、分離液排出口32Cよりも、Z2方向側、すなわち鉛直方向の下方に位置している。本実施形態において、対象物排出口32Bは、スクリュー軸12が内部を貫通可能になっているが、スクリュー軸12が貫通しない構成であってもよい。
また、ケージング10は、中間部30Aに、対象物投入口32Aが開口している。中間部30Aは、延在方向Eに沿った一方の端部30Cと他方の端部30Bとの間の箇所であり、言い換えれば、延在方向Eに沿った分離液排出口32Cと対象物排出口32Bとの間の箇所である。中間部30Aは、延在方向Eに沿ったケージング10の中央に位置しているが、延在方向Eに沿った一方の端部30Cと他方の端部30Bとの間の任意の位置にあてよい。例えば、ケージング10は、一方の端部30Cから中間部30Aまでの延在方向Eに沿った長さが、延在方向Eに沿ったケージング10の全長に対し、30%以上70%以下であることが好ましい。対象物投入口32Aは、中間部30Aの位置におけるケージング10の外周面に開口している。
ケージング10は、このように、対象物投入口32A、対象物排出口32B、及び分離液排出口32Cが開口している筒状の部材である。ケージング10は、対象物投入口32A、対象物排出口32B、及び分離液排出口32C以外には、内部と外部とを連通する穴が形成されていないが、対象物投入口32A、対象物排出口32B、及び分離液排出口32C以外にも開口が形成されていてもよい。ただし、ケージング10は、メッシュ及びパンチングプレートなどのスクリーンとは異なり、全域にわたり多数の開口が形成される構造ではないといえる。
スクリュー軸12は、円柱形状を有しており、ケージング10の内部に設けられて延在方向Eに沿って延在している。スクリュー軸12は、ケージング10の内部において、延在方向Eに沿ってケージング10を貫通するように設けられている。すなわち、スクリュー軸12の一方の端部12Cは、ケージング10の一方の端部30C側に位置しており、ケージング10の一方の端部30Cから、ケージング10の外側に突出している。同様に、スクリュー軸12の他方の端部12Bは、ケージング10の他方の端部30B側に位置しており、ケージング10の他方の端部30Bから、ケージング10の外側に突出している。スクリュー軸12は、一方の端部12C又は他方の端部12Bの少なくともいずれかが、軸受けによって軸支持されたモータ(いずれも図示せず)に連結されている。スクリュー軸12は、このモータが制御部26によって駆動されることにより、延在方向Eを軸中心として、方向Dに回転される。本実施形態では、方向Dは、一方の端部12C側から見て、反時計回りの方向であるが、それに限られない。
スクリュー羽根部14は、ケージング10の内部において、延在方向Eに沿ってスクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する部材である。本実施形態において、スクリュー羽根部14は、複数のスクリュー羽根を備えている。スクリュー羽根部14は、ケージング10の延在方向Eに沿った区間毎に、スクリュー羽根の数が異なることで、区間毎にピッチが異なるように構成されている。なお、ここでのピッチとは、延在方向Eにおいて隣り合う2つのスクリュー羽根同士の間の長さを指す。
本実施形態において、スクリュー羽根部14は、複数のスクリュー羽根として、第1スクリュー羽根16及び第2スクリュー羽根18を備えている。第1スクリュー羽根16は、ケージング10の内部において、延在方向Eに沿ってスクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第1スクリュー羽根16は、一方の端部16Cから他方の端部16Bまで、螺旋状に延在する。一方の端部16Cは、第1スクリュー羽根16の巻回が開始される位置であり、ケージング10の一方の端部30C側(分離液排出口32C側)の端部、すなわち方向X2側の端部である。また、他方の端部16Bは、第1スクリュー羽根16の巻回が終わる位置であり、ケージング10の他方の端部30B側(対象物排出口32B側)の端部、すなわち方向X1側の端部である。従って、第1スクリュー羽根16は、一方の端部16Cから、延在方向Eを中心軸とした放射方向から見た場合に対象物投入口32Aと重なる箇所を経て、他方の端部16Bまで延在する。
第1スクリュー羽根16は、一方の端部16Cから他方の端部16Bに向かって、スクリュー軸12の回転方向である方向Dと反対方向に巻回されている。すなわち、スクリュー軸12の回転方向(方向D)が、一方の端部12C側から見て反時計回りの場合は、第1スクリュー羽根16は、いわゆるZ巻き(右手)の螺旋状(スパイラル状)に設けられる。反対に、スクリュー軸12の回転方向(方向D)が、一方の端部12C側から見て時計回りの場合は、第1スクリュー羽根16は、いわゆるS巻き(左手)の螺旋状に設けられる。第1スクリュー羽根16は、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。なお、第1スクリュー羽根16のピッチP1、すなわち延在方向Eにおいて隣り合う第1スクリュー羽根16同士の間の距離は、任意に設定してよい。
第2スクリュー羽根18は、ケージング10の内部において、延在方向Eに沿ってスクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根18は、第1スクリュー羽根16に対して、延在方向Eに沿って所定間隔を隔ててずれた位置に設けられており、第1スクリュー羽根16と同じ巻回方向で巻回されている。第2スクリュー羽根18も、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。さらに言えば、第2スクリュー羽根18は、一方の端部18Cから他方の端部18Bまで、螺旋状に延在する。一方の端部18Cは、第2スクリュー羽根18の巻回が開始される位置であり、延在方向Eにおいて、第1スクリュー羽根16の一方の端部16Cと、対象物投入口32Aとの間に位置している。他方の端部18Bは、第2スクリュー羽根18の巻回が終わる位置であり、延在方向Eにおいて、第1スクリュー羽根16の他方の端部16Bと、対象物投入口32Aとの間に位置している。従って、第2スクリュー羽根18は、一方の端部18Cから、延在方向Eを中心軸とした放射方向から見た場合に対象物投入口32Aと重なる箇所を経て、他方の端部18Bまで延在する。なお、本実施形態では、第2スクリュー羽根18のピッチP2、すなわち延在方向Eにおいて隣り合う第2スクリュー羽根18同士の間の距離は、第1スクリュー羽根16のピッチP1と同じとなっている。ただし、ピッチP2は、ピッチP1と異なる長さであってもよい。
このように、第2スクリュー羽根18は、一方の端部18Cから他方の端部18Bまで延在しており、第1スクリュー羽根16は、一方の端部16Cから他方の端部16Bまで延在している。従って、第2スクリュー羽根18の一方の端部18Cから、第2スクリュー羽根18の他方の端部18Bまでの延在方向Eに沿った区間(以下、この区間を搬送区間KAとする)では、第1スクリュー羽根16と第2スクリュー羽根18との両方が設けられている。また、第2スクリュー羽根18の他方の端部18Bから第1スクリュー羽根16の他方の端部16Bまでの延在方向Eに沿った区間(以下、この区間を対象物搬送区間KBとする)と、第2スクリュー羽根18の一方の端部18Cから第1スクリュー羽根16の一方の端部16Cまでの延在方向Eに沿った区間(以下、この区間を分離液搬送区間KCとする)とには、第1スクリュー羽根16が設けられ、第2スクリュー羽根18が設けられてない。
搬送促進区間KAは、延在方向Eにおいて、対象物搬送区間KBと分離液搬送区間KCとの間の区間である。搬送促進区間KAは、延在方向Eを中心軸としたケージング10の放射方向から見て、少なくとも一部の区間において、対象物投入口32Aに重なるように設定されている。言い換えれば、搬送促進区間KAは、少なくとも一部の区間が、延在方向Eにおいて、対象物投入口32Aと同じ位置となっている。また、対象物搬送区間KBは、ケージング10の他方の端部30B側、すなわち対象物排出口32B側の区間である。対象物搬送区間KBは、搬送促進区間KAよりも、他方の端部30B側、すなわち対象物排出口32B側にある区間であるといえる。また、分離液搬送区間KCは、ケージング10の一方の端部30C側、すなわち分離液排出口32C側の区間である。分離液搬送区間KCは、搬送促進区間KAよりも、一方の端部30C側、すなわち分離液排出口32C側にある区間であるといえる。対象物搬送区間KBと分離液搬送区間KCとは、延在方向Eを中心軸としたケージング10の放射方向から見て、対象物投入口32Aに重ならない。すなわち、対象物搬送区間KBは、延在方向Eにおいて、対象物投入口32Aよりも他方の端部30B側に位置し、分離液搬送区間KCは、延在方向Eにおいて、対象物投入口32Aよりも一方の端部30C側に位置している。なお、延在方向Eに沿った搬送促進区間KAの長さは、任意であるが、例えば、ケージング10の延在方向に沿った全長の30%以上70%以下であることが好ましい。
また、対象物搬送区間KB及び分離液搬送区間KCは、第1スクリュー羽根16のみが設けられた区間である。従って、対象物搬送区間KB及び分離液搬送区間KCにおけるスクリュー羽根部14のピッチは、延在方向Eに隣り合う第1スクリュー羽根16同士の間の距離であるピッチP1となる。一方、搬送促進区間KAは、第1スクリュー羽根16及び第2スクリュー羽根18の両方が設けられた区間である。従って、搬送促進区間KAにおいては、第1スクリュー羽根16と第2スクリュー羽根18とが、延在方向Eにおいて隣り合う。そのため、搬送促進区間KAにおけるスクリュー羽根部14のピッチは、延在方向Eにおいて隣り合う第1スクリュー羽根16と第2スクリュー羽根18との距離であるピッチP3となる。ピッチP3は、ピッチP1より短い(小さい)。従って、スクリュー羽根部14は、搬送促進区間KAにおけるピッチが、分離液搬送区間KC及び対象物搬送区間KBにおけるピッチよりも、短くなっているといえる。なお、ピッチP3は、例えば、ピッチP1に対して、30%以上70%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態では、複数のスクリュー羽根として、第1スクリュー羽根16と第2スクリュー羽根18との2つが設けられていたが、スクリュー羽根の数は任意である。例えば、スクリュー羽根部14は、3つ以上のスクリュー羽根を有していてもよい。3つのスクリュー羽根を有する場合、スクリュー羽根部14は、搬送促進区間KAにおいて3つのスクリュー羽根を設けて、分離液搬送区間KC及び対象物搬送区間KBにおいて1つのスクリュー羽根を設けてもよい。あるいは、スクリュー羽根部14は、搬送促進区間KAにおいて3つのスクリュー羽根を設けて、分離液搬送区間KC及び対象物搬送区間KBにおいて2つのスクリュー羽根を設けてもよい。さらに別の例として、スクリュー羽根部14は、3つのスクリュー羽根がある区間と2つのスクリュー羽根がある区間と1つのスクリュー羽根がある区間とを設けて、搬送促進区間KAから遠ざかるに従って、スクリュー羽根の数を徐々に減らしてもよい。すなわち、スクリュー羽根部14は、搬送促進区間KAにおけるスクリュー羽根の数が、対象物搬送区間KBにおけるスクリュー羽根の数より多いといえ、さらに言えば、搬送促進区間KAにおけるスクリュー羽根の数が、分離液搬送区間KC及び対象物搬送区間KBにおけるスクリュー羽根の数より多いといえる。なお、スクリュー羽根部14は、スクリュー羽根が1つであってもよいが、その例については後述する。
また、第1スクリュー羽根16の先端部(外周部)16Sは、ケージング10の内周面との間に、間隙Hが生じるように構成されている。すなわち、第1スクリュー羽根16の先端部16Sは、ケージング10の内周面とは接触せず、間隙Hを隔てて離間している。同様に、第2スクリュー羽根18の先端部18Sは、ケージング10の内周面との間に、間隙Hが生じるように構成されている。すなわち、第2スクリュー羽根18の先端部18Sは、ケージング10の内周面とは接触せず、間隙Hを隔てて離間している。この間隙Hは、微小な隙間であり、対象物Aの少なくとも一部の通過を抑制する(せき止める)程度の大きさとなっている。また、間隙Hは、分離液Cなどの液体成分が通過可能な大きさである。間隙Hは、具体的には、例えば1~2mm程度の隙間である。
隔壁部20は、スクリュー羽根部14に設けられて、対象物Aの流出を抑制するバッフルである。隔壁部20は、延在方向Eにおいて、第2スクリュー羽根18の一方の端部18Cと同じ位置に設けられている。さらに言えば、本実施形態においては、隔壁部20は、第2スクリュー羽根18の一方の端部18Cの方向X1側の面に設けられる隔壁部20Aと、第2スクリュー羽根18の一方の端部18Cの方向X2側の面に設けられる隔壁部20Bとを有している。従って、隔壁部20は、搬送促進区間KAと分離液搬送区間KCとの間の位置、すなわち搬送促進区間KAと分離液搬送区間KCとの境界位置に設けられているといえる。ただし、隔壁部20は、延在方向Eにおいて、ケージング10の一方の端部30Cと中間部30Aとの間、すなわち分離液排出口32Cと対象物投入口32Aとの間に位置していればよい。
図2は、本実施形態に係るスクリュー型分離装置の断面の一部拡大図である。図2は、隔壁部20を正面から見た場合を示している。図2に示すように、第2スクリュー羽根18の方向X1側の面を、面18T1とし、方向X2側の面を、面18T2とする。そして、面18T1の方向X1に位置して、面18T1と対向する第1スクリュー羽根16の面を、面16T1とする。また、面18T2の方向X2側に位置して、面18T2に対向する第1スクリュー羽根16の面を、面16T2とする。そして、面16T1と面18T1との間に形成される領域と、面16T2と面18T2との間に形成される領域とを、それぞれ領域Rとする。領域Rは、第1スクリュー羽根16の面(面16T1又は面16T2)と、第1スクリュー羽根16の面に対向する第2スクリュー羽根18の面(面18T1又は面18T2)と、スクリュー軸12の外周面と、第1スクリュー羽根16の先端部16Sと第2スクリュー羽根18の先端部18Sとを結んだ線と、で区画される(囲われる)領域ともいえる。
具体的には、隔壁部20Aは、一方の側部20T1が第1スクリュー羽根16の面16T1に接続され、他方の側部20T2が第2スクリュー羽根の面18T1に接続され、一方の側部20T1から他方の側部20T2まで、延在方向Eに向けて延びている。また、隔壁部20Aは、底部20T3がスクリュー軸12の外周面に接続されており、底部20T3から先端部20T4まで、延在方向Eを中心軸とした放射方向の外側に向けて延びている。隔壁部20Aの先端部20T4は、第1スクリュー羽根16の先端部16S及び第2スクリュー羽根18の先端部18Sよりも、延在方向Eを中心軸とした放射方向の内側に位置している。なお、隔壁部20Aは、一方の側部20T1から他方の側部20T2までにわたって連続して形成されており、言い換えれば、一方の側部20T1と他方の側部20T2との間に、開口が形成されていない。また、隔壁部20Aは、底部20T3から先端部20T4までにわたって連続して形成されており、言い換えれば、底部20T3から先端部20T4との間に、開口が形成されていない。なお、隔壁部20Bについても、隔壁部20Aと同様である。
隔壁部20は、以上のように構成されるため、領域Rのうち、放射方向内側の領域R1に重なっている。また、隔壁部20は、領域R1よりも放射方向外側には設けられていないため、領域Rのうち、領域R1よりも放射方向外側の領域R2に重なっていない。すなわち、隔壁部20は、領域Rのうち、放射方向内側の領域R1に重なり、放射方向外側の領域R2を開放しているといえる。隔壁部20は、本実施形態ではこのように領域Rのうち放射方向内側の領域R1に重なっているが、領域Rの一部に重なり他の一部を開放するものであれば、領域R1に重なって領域R2を開放する形状に限られず、任意の形状であってよい。例えば、隔壁部20は、先端部16S及び先端部18Sの位置まで、先端部20T4が伸びており、底部20T3と先端部20T4との間に開口を形成することで、開口が形成される領域を開放し、それ以外の領域に重なる構成であってよい。また、隔壁部20は、本実施形態では2つ設けられているが、隔壁部20の数は、スクリュー羽根の数と同じであればよい。
ここで、搬送促進区間KAにおいて、延在方向Eに隣り合う第1スクリュー羽根16と第2スクリュー羽根18とで形成される空間を、搬送促進空間TAとする。また、対象物搬送区間KBにおいて、延在方向Eに隣り合う第1スクリュー羽根16同士の間で形成される空間を、対象物搬送空間TBとする。また、分離液搬送区間KCにおいて、延在方向Eに隣り合う第1スクリュー羽根16同士の間で形成される空間を、分離液搬送空間TCとする。上述のように、隔壁部20は、搬送促進区間KAと分離液搬送区間KCとの間に設けられているから、隔壁部20は、分離液搬送空間TCと搬送促進空間TAとの間に設けられているといえる。従って、分離液搬送空間T1と搬送促進空間TAとは、隔壁部20が設けられる領域R1では、遮断され、隔壁部20が設けられない領域R2では、連通している。一方、対象物搬送区間KBと搬送促進空間TAとの間には、隔壁部が設けられていないため、対象物搬送区間KBと搬送促進空間TAとは、遮断されずに連通している。なお、隔壁部20は、搬送促進空間TA内の対象物Aが対象物搬送区間KB内に進入することを抑制するために設けられるものであるが、必ずしも設けられていなくてもよい。
流量調整槽22は、対象物排出口32Bに接続されている槽である。流量調整槽22は、対象物排出口32Bから排出された脱水された後の対象物Aを貯留して、排出抑制部として、脱水前の対象物Aや分離液Cが対象物排出口32Bから外部へ排出されることをせき止め、分離液Cをケージング10内に留める。流量調整槽22は、底面部22Aと上面部22Bとを有する容器であり、内部に空間を有している。底面部22Aは、流量調整槽22の方向Z2側の端面であり、上面部22Bは、流量調整槽22の方向Z1側の端面である。流量調整槽22は、対象物排出口32Bよりも方向Z1側に位置しており、言い換えれば、少なくとも上面部22Bが、対象物排出口32Bよりも方向Z1側に位置している。また、流量調整槽22は、接続口49と流量調整排出口50とが開口している。接続口49は、流量調整槽22の側面の方向Z2側(底面部22A側)に設けられた開口である。接続口49は、ケージング10の対象物排出口32Bに連通している。流量調整排出口50は、流量調整槽22の側面の方向Z1側(上面部22B側)に設けられた開口である。流量調整排出口50は、方向Zにおいて、ケージング10の分離液排出口32Cと同じ位置に設けられていることが好ましい。ただし、流量調整排出口50は、対象物排出口32Bに連通する接続口49よりも方向Z1側に設けられていれば、その位置は任意である。このように、流量調整槽22は、対象物排出口32Bに接続されており、対象物排出口32Bから排出された脱水された後の対象物Aを内部に貯留することで、脱水前の対象物Aの排出をせき止め、貯留した脱水後の対象物Aを、流量調整排出口50から排出可能となっている。ただし、流量調整槽22は、脱水前の対象物Aや分離液Cが対象物排出口32Bから外部へ排出されることをせき止め可能であれば、容積は小さくてもよい。
また、流量調整槽22は、流量調整排出口50に調整堰部51が取り付けられていてもよい。調整堰部51は、流量調整排出口50よりも方向Z2側に設けられ、制御部26の制御により方向Zに沿って可動する。調整堰部51は、方向Z1側に移動することで、流量調整排出口50の方向Z2側の領域の少なくとも一部を覆う。また、調整堰部51は、方向Z2側に移動することで、流量調整排出口50を開放する。調整堰部51は、ケージング10内での分離液Cの水位に合わせて可動する。
なお、流量調整槽22は、必ずしも設けられていなくてもよい。流量調整槽22の代わりに、対象物排出口32Bに接続されて、対象物排出口32Bからの対象物Aの排出量を調整可能なポンプを設けてもよい。
投入部24は、対象物投入口32Aに接続されており、ケージング10内への前対象物A0の投入量を制御する装置である。投入部24は、例えば開閉弁であり、開くことで前対象物A0をケージング10内に投入し、閉じることで前対象物A0のケージング10内への投入を停止する。また、投入部24は、開度を調整することで、前対象物A0の投入量を調整することも可能である。投入部24は、制御部26の制御により、前対象物A0のケージング10内への投入量を制御する。ただし、投入部24は、前対象物A0のケージング10内への投入量を制御するものであれば、開閉弁に限られず、例えば汚泥を搬送するポンプであってもよい。
傾斜調整部25は、ケージング10に取付けられている。傾斜調整部25は、制御部26の制御により、ケージング10の傾斜角度θを変化させる。ただし、傾斜調整部25は必ずしも設けられていなくてもよく、傾斜角度θは一定であってもよい。
制御部26は、スクリュー型分離装置1の動作を制御する制御装置である。制御部26は、スクリュー軸12の回転、投入部24による前対象物A0の投入量、及び傾斜調整部25による傾斜角度θの変化を制御する。
(スクリュー型分離装置の動作)
次に、上述のように構成されたスクリュー型分離装置1の動作および対象物の挙動について説明する。図3は、本実施形態に係るスクリュー型分離装置の動作を説明するための模式図である。
図3に示すように、制御部26は、投入部24を制御して、対象物投入口302Cから、ケージング10内に前対象物A0を投入する。対象物投入口32Aの位置は搬送促進空間TA(搬送促進区間KA)に重なるため、対象物投入口32Aからの前対象物A0は、搬送促進空間TA内に投入される。また、制御部26は、スクリュー軸12を回転させる。従って、搬送促進空間TA内に投入された前対象物A0は、搬送促進空間TA内の第1スクリュー羽根16の面及び第2スクリュー羽根18の面に押されて、対象物排出口32B側に移動する。より詳しくは、前対象物A0は、固形成分A1と液体成分とを含んでいる。固形成分A1は、第1スクリュー羽根16の面及び第2スクリュー羽根18の面との間で摩擦力が生じやすいため、第1スクリュー羽根16の面及び第2スクリュー羽根18の面に押されて、搬送促進空間TA内を対象物排出口32B側に移動し、搬送促進空間TAから対象物搬送空間TBに進入する。一方、前対象物A0に含まれる液体成分は、搬送促進空間TA内の第1スクリュー羽根16の面及び第2スクリュー羽根18の面との摩擦力が生じにくく、第1スクリュー羽根16の面及び第2スクリュー羽根18の面に押されにくい。従って、対象物搬送空間TBには、液体成分よりも固形成分A1が優先的に進入し、固形成分A1は、液体成分と分離された状態で、対象物Aとして対象物搬送空間TB内に供給される。
さらに言えば、搬送促進空間TAは、第1スクリュー羽根16及び第2スクリュー羽根18を有してピッチが小さくなっているため、スクリュー羽根の数が多いといえる。従って、スクリュー型分離装置1は、搬送促進空間TAにおいてスクリュー羽根の面と固形成分A1との接触面積を大きくして、固形成分A1の対象物搬送空間TBへの供給効率を向上させている。一方、液体成分が分離された対象物Aは、含水率が低下しているため、スクリュー羽根の面に対して滑ってしまい、スクリュー羽根の面で押す場合の搬送効率が低下するおそれがある。また、スクリュー羽根のピッチが小さいと、対象物Aが搬送される通路面積が小さくなって、対象物Aの詰りが生じるおそれが高くなる。それに対し、スクリュー型分離装置1は、対象物Aが供給される対象物搬送空間TBにおいては、第1スクリュー羽根16のみを設けてピッチを大きくしている。これにより、スクリュー型分離装置1は、対象物搬送空間TB内において、対象物搬送空間TB内に溜まった対象物Aをケージング10の内周面10Aに接触させて、内周面10Aとの摩擦力で、対象物Aを対象物排出口32B側に好適に搬送することが可能となる。すなわち、スクリュー型分離装置1は、対象物搬送空間TB内においては、スクリュー羽根の面の代わりに、ケージング10の内周面10Aでの搬送を、好適に行わせている。さらに、スクリュー型分離装置1は、対象物搬送空間TBにおけるスクリュー羽根のピッチを大きくすることで、通路面積を大きく保って対象物Aの詰りを抑制している。また、対象物Aは、対象物搬送空間TB内において、搬送及び自重により、さらに脱水が進み、脱水によって分離された液体成分は、分離液Cとして、間隙Hを介して搬送促進空間TA内に戻る。
対象物搬送空間TB内で対象物排出口32B側に搬送された対象物Aは、対象物搬送空間TBに連通する対象物排出口32Bから、ケージング10の外部に排出され、流量調整槽22内に供給される。流量調整槽22は、対象物Aが堆積することにより、脱水前の前対象物A0や分離液Cをケージング10内にせき止め、脱水前の前対象物A0や分離液Cが対象物排出口32Bから外部に排出されることを抑制している。流量調整槽22に堆積した対象物Aは、流量調整排出口50から外部に排出される。
一方、前対象物A0に含まれる液体成分は、上述のように第1スクリュー羽根16及び第2スクリュー羽根18の面に押されにくいため、対象物搬送空間TBに向かうことが抑制され、固形成分A1と分離された分離液Cとして、搬送促進空間TA内に溜まっていく。固形成分A1と分離された分離液Cは、溜まることで水位上昇し、間隙Hを通って搬送促進空間TAから分離液搬送空間TCに進入する。分離液搬送空間TCに進入した分離液Cは、分離液搬送空間TCに連通する分離液排出口32Cから、ケージング10の外部に排出される。ここで、分離液搬送空間TCは、第1スクリュー羽根16のみを有してピッチが大きい空間であるため、スクリュー羽根が少ない空間であるといえる。スクリュー型分離装置1は、このように分離液搬送空間TCでのスクリュー羽根のピッチを大きくすることで、分離液排出口32Cから分離液Cが排出される速度を抑制する。これにより、スクリュー型分離装置1は、もし分離液搬送空間TCに固形成分A1が混入したとしても、固形成分A1が、分離液Cと共に分離液排出口32Cから排出されることを抑制し、固形成分A1を沈降させ易くして、分離液Cの分離効率の低下を抑制することができる。
さらに、分離液搬送空間TCと搬送促進空間TAとの間には、隔壁部20が設けられている。スクリュー型分離装置1は、隔壁部20を設けることで、搬送促進空間TAから分離液搬送空間TCへの固形成分A1の侵入を抑制することができる。また、隔壁部20は、搬送促進空間TAと分離液搬送空間TCとの間の領域Rの一部の領域R1のみを覆い、領域R2を開放しているため、もし分離液搬送空間TCに固形成分A1が混入したとしても、混入した固形成分A1は、分離液搬送空間TC内を沈降して、領域R2を通って搬送促進空間TAに戻ることが可能となる。従って、スクリュー型分離装置1は、混入した固形成分A1を好適に搬送促進空間TAに戻すことが可能となり、分離液Cの分離効率の低下を抑制し、さらに、固形成分A1が分離液搬送空間TCと搬送促進空間TAとの間の間隙Hなどに詰まることを抑制することができる。このように、隔壁部20は、一部の領域R1を覆うことで、固形成分A1の分離液搬送空間TCへの侵入を抑制しつつ、他の一部の領域R2を開放することで、分離液搬送空間TCへ進入してしまった固形成分A1を搬送促進空間TAに好適に戻している。さらに言えば、固形成分A1は、搬送促進空間TA内において、放射方向内側(スクリュー軸12側)で搬送される。隔壁部20は、固形成分A1が搬送される放射方向内側の領域でなく、放射方向外側の領域R2を開放することで、搬送促進空間TA内の固形成分A1が、開放されている領域R2から分離液搬送空間TCに出ていくことを抑制することができる。また、隔壁部20は、放射方向外側の領域R2を開放することで、放射方向外側にある間隙Hが狭くなることを抑えて、間隙Hへの固形成分A1の詰りをより好適に抑制している。
以上説明したように、本実施形態に係るスクリュー型分離装置1は、ケージング10と、スクリュー軸12と、スクリュー羽根部14とを有する。ケージング10は、分離液排出口32Cと、対象物排出口32Bと、対象物投入口32Aとを有する。分離液排出口32Cは、ケージング10の一方の端部30C側に設けられ、脱水により前対象物A0から分離された分離液Cを排出する。対象物排出口32Bは、ケージング10の他方の端部30B側に設けられ、脱水した対象物Aを排出する。対象物投入口32Aは、分離液排出口32Cと対象物排出口32Bとの間に設けられ、前対象物A0が投入される。スクリュー軸12は、ケージング10の内部に設けられ、一方の端部30Cから他方の端部30Bへの延在方向Eに沿って延在する。スクリュー羽根部14は、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。スクリュー羽根部14は、ケージング10の放射方向から見て対象物投入口32Aに重畳する箇所を含む搬送促進区間KAのピッチP3が、搬送促進区間KAに対して対象物排出口32B側の区間である対象物搬送区間KBのピッチP1よりも、短い。スクリュー型分離装置1は、スクリュー軸12を回転させることで、対象物投入口32Aから投入された前対象物A0を、搬送促進区間KA(搬送促進空間TA)及び対象物搬送区間KB(対象物搬送空間TB)を通って対象物排出口32Bまで移動させつつ脱水する。スクリュー型分離装置1は、脱水した対象物Aを、対象物排出口32Bから排出し、分離液Cを、分離液排出口32Cから排出する。
本実施形態に係るスクリュー型分離装置1は、脱水前の前対象物A0が投入される搬送促進区間KA(搬送促進空間TA)におけるスクリュー羽根のピッチを短くし、搬送促進区間KA(搬送促進空間TA)に対して対象物排出口32B側の区間である対象物搬送区間KB(対象物搬送空間TB)におけるスクリュー羽根のピッチを長くしている。スクリュー型分離装置1は、搬送促進区間KAのスクリュー羽根のピッチを短くすることで、脱水前の前対象物A0に含まれる固形成分A1を、スクリュー羽根の面によって対象物搬送区間KBに移動させて、液体成分の対象物搬送区間KBへの移動を抑制する。これにより、スクリュー型分離装置1は、前対象物A0を好適に脱水することが可能となる。さらに、スクリュー型分離装置1は、対象物搬送区間KBのピッチを長くすることで、脱水された対象物Aの詰りを抑制しながら、対象物A好適に対象物排出口32Bから排出することを可能としている。従って、本実施形態に係るスクリュー型分離装置1は、液体を含む前対象物A0から液体成分を効率良く分離でき、かつ、脱水された対象物Aの詰りを抑制することで、低コストでの維持管理を可能とする。
また、スクリュー羽根部14は、搬送促進区間KA(搬送促進空間TA)のピッチが、搬送促進区間K3よりも分離液排出口32C側の分離液搬送区間KC(分離液搬送空間TC)のピッチよりも、短い。スクリュー型分離装置1は、分離液搬送区間KCのピッチを長くすることで、分離液搬送空間TCに固形成分A1が混入したとしても、固形成分A1を沈降させ易くして、分離液Cの分離効率の低下を抑制することができる。
また、スクリュー羽根部14は、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在し、延在方向に沿って所定間隔で隔てて設けられる複数のスクリュー羽根を有している。搬送促進区間KAにおけるスクリュー羽根の数は、対象物搬送区間KBにおけるスクリュー羽根の数よりも、多い。スクリュー型分離装置1は、搬送促進区間KAのスクリュー羽根の数を多くすることで、搬送促進区間KAにおけるピッチを好適に短くすることが可能となり、前対象物A0から液体成分を効率良く分離できる。
また、スクリュー羽根部14は、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在し、互いに延在方向Eに沿って所定間隔で隔てて設けられる複数のスクリュー羽根を有している。搬送促進区間KAにおけるスクリュー羽根の数は、対象物搬送区間KB及び分離液搬送区間KCにおけるスクリュー羽根の数よりも、多い。スクリュー型分離装置1は、搬送促進区間KAのスクリュー羽根の数を多くし、対象物搬送区間KB及び分離液搬送区間KCのスクリュー羽根の数を小さくすることで、搬送促進区間KAにおけるピッチを好適に短くすることが可能となり、前対象物A0から液体成分を効率良く分離できる。
また、スクリュー型分離装置1は、隔壁部20を有する。隔壁部20は、延在方向Eにおいて対象物投入口32Aと分離液排出口32Cとの間に配置され、延在方向Eにおいて隣り合うスクリュー羽根同士の間で形成される領域Rの一部に重なるように設けられる。この隔壁部20は、対象物投入口32Aと分離液排出口32Cとの間において、領域Rの一部を覆うため、固形成分A1の分離液搬送区間KCへの侵入を抑制しつつ、分離液搬送区間KCへ進入してしまった固形成分A1を搬送促進区間KAに好適に戻すことが可能となる。
また、隔壁部20は、延在方向Eにおいて隣り合うスクリュー羽根同士の間で形成される領域Rのうち、スクリュー羽根の放射方向外側の先端部(先端部16S、18S)よりも放射方向内側の領域R1に重なり、領域R1よりも放射方向外側の領域R2を開放する。この隔壁部20は、放射方向外側の領域R2を開放することで、間隙Hに固形成分A1が詰ることを好適に抑制できる。
以下、本実施形態の他の例について説明する。図4は、本実施形態の他の例に係るスクリュー型分離装置の一部断面図である。図4のスクリュー型分離装置1aに示すように、分離液搬送区間KCは、設けられなくてもよい。具体的には、図4に示すように、スクリュー羽根部14aが有する第2スクリュー羽根18aは、一方の端部18aCが、図1と異なり、第1スクリュー羽根16の一方の端部16Cとほぼ同じ位置にあり、他方の端部18aBが、図1と同様に、第1スクリュー羽根16の他方の端部16Bと対象物投入口32Aとの間に位置している。従って、スクリュー型分離装置1aにおいては、一方の端部18aC(又は一方の端部16C)から他方の端部18aBまでの区間が搬送促進区間KAとなり、他方の端部18aBから他方の端部16Bまでの区間が、対象物搬送区間KBとなる。スクリュー型分離装置1aは、分離液搬送区間KCを有していなくても、搬送促進区間KAと対象物搬送区間KBを有しているため、前対象物A0を好適に脱水しつつ、低コストでの維持管理を可能とすることができる。
図5は、本実施形態の他の例に係るスクリュー型分離装置の一部断面図である。図5のスクリュー型分離装置1bに示すように、スクリュー羽根部は、複数でなく1つのスクリュー羽根を有していてもよい。すなわち、図5に示すスクリュー羽根部14bは、1つのスクリュー羽根16bを有しており、スクリュー羽根16bが、延在方向Eにおける位置毎にピッチが異なる点で、図1とは異なる。スクリュー羽根16bは、中間部16Dbから中間部16Ebまでの区間(搬送促進区間KA)のピッチP3bが、中間部16Ebから他方の端部16Bbまでの区間(対象物搬送区間KB)のピッチ、及び、一方の端部16Cbから中間部16Dbまでの区間(分離液搬送区間KC)のピッチよりも、短い。中間部16Dbは、延在方向Eにおいて一方の端部16Cbと対象物投入口32Aとの間の箇所であり、中間部16Ebは、延在方向Eにおいて対象物投入口32Aと他方の端部16Bbとの間の箇所である。なお、スクリュー型分離装置1bのように1つのスクリュー羽根を有する場合でも、図4で説明したように、分離液搬送区間KCを設けなくてもよい。
図6は、本実施形態の他の例に係るスクリュー型分離装置の一部断面図である。図6のスクリュー型分離装置1cに示すように、スクリュー羽根部は、延在方向Eに沿った全区間において、ピッチが同じであってもよい。具体的には、図6に示すように、スクリュー型分離装置1cは、スクリュー羽根部14cと隔壁部20cとを有する。図6に示すスクリュー羽根部14cは、等ピッチの第1スクリュー羽根16のみを備えているため、延在方向Eに沿った全区間でピッチが等しくなっている。スクリュー羽根部14cは、全区間のピッチが等しい点で、区間毎にピッチが異なる図1のスクリュー羽根部14とは異なる。隔壁部20cは、分離液排出口32Cと対象物投入口32Aとの間に位置しており、延在方向Eにおいて隣り合うスクリュー羽根部14c同士の間に設けられる。隔壁部20cは、隣り合うスクリュー羽根部14c同士の間に形成される領域Rに重なっており、より好ましくは、図1及び図2に示した隔壁部20A、20Bと同様に、一部の領域R1に重なっている。なお、図6の例では、スクリュー羽根部14cは、1つの第1スクリュー羽根16のみを有しているが、延在方向Eに沿った全区間において複数のスクリュー羽根を設け、複数のスクリュー羽根の間のピッチを、延在方向Eに沿った全区間で等しくしてもよい。
このように、スクリュー型分離装置1cは、ケージング10と、スクリュー軸12と、スクリュー羽根部14cと、隔壁部20cとを有する。隔壁部20cは、延在方向Eにおいて対象物投入口32Aと分離液排出口32Cとの間に配置され、延在方向Eにおいて隣り合うスクリュー羽根同士の間で形成される領域Rに重なるように設けられる。スクリュー型分離装置1cは、スクリュー軸12を回転させることで、対象物投入口32Aから投入された前対象物A0を、対象物排出口32Bまで移動させつつ脱水して、脱水した対象物Aを対象物排出口32Bから排出し、分離液Cを分離液排出口32Cから排出する。隔壁部20cは、スクリュー羽根部14cのピッチが等しい場合でも、対象物投入口32Aと分離液排出口32Cとの間に配置されることで、固形成分A1の分離液排出口32C側への侵入を抑制しつつ、分離液排出口32C側へ進入してしまった固形成分A1を対象物排出口32Bに戻すという効果を奏することができる。従って、スクリュー型分離装置は、対象物投入口32Aと分離液排出口32Cとの間に隔壁部を設けることにより、固形成分A1の分離液Cへの混入を抑制することで、液体成分を効率良く分離でき、低コストでの維持管理を可能とすることができる。
(第1の実施例)
次に、上述したスクリュー型分離装置1、1aを備えた第1の実施例としての排水処理システムについて説明する。図7は、第1の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。
図7に示すように、この第1の実施例による排水処理システム100は、沈殿池101、沈殿池101の前段に配設された前段設備102、沈殿池101の後段に配設された後段設備103、引き抜きポンプ104、およびスクリュー型分離装置1(1a)を備える。沈殿池101は、前段設備102から供給された被処理水を、分離液と汚泥とに沈降分離する固液分離槽である。前段設備102は、例えば下水などの有機性排水を処理する、反応槽などの種々の処理槽を有して構成される設備である。後段設備103は、例えば焼却炉等を備え、スクリュー型分離装置1から排出された汚泥(濃縮汚泥)に対して、焼却処理や廃棄処理を行う設備である。引き抜きポンプ104は、沈殿池101から汚泥を引き抜いてスクリュー型分離装置1に供給するための汚泥引き抜き手段である。スクリュー型分離装置1は、沈殿池101よりも鉛直方向の上方(地表から離れる方向)に設けられている。
この排水処理システム100においては、前段設備102から排出された被処理水の少なくとも一部は、沈殿池101に供給される。沈殿池101においては、供給された被処理水を分離液と汚泥とに沈降分離させる。そして、分離された汚泥は、引き抜きポンプ104によって沈殿池101の下部から引き抜かれて、スクリュー型分離装置1に供給される。引き抜かれた汚泥は、対象物投入口32A(図1参照)を通じて、前対象物A0としてスクリュー型分離装置1の内部に搬入される。
スクリュー型分離装置1においては、上述した実施形態と同様にして分離液Cを分離させる。分離された分離液Cは、沈殿池101に返送される。分離された後(脱水された後)の対象物Aは、濃縮汚泥として後段設備103に搬送され、焼却処理や廃棄処理が行われる。以上により、この第1の実施例による排水処理が実行される。
以上説明した第1の実施例によれば、上述した実施形態によるスクリュー型分離装置1を用いて、沈殿池101から引き抜いた前対象物A0を濃縮し、分離液Cを沈殿池101に返送している。これにより、対象物Aの濃縮濃度を改善できるとともに、沈殿池101の維持管理性を大幅に改善できる。すなわち、沈殿池101内において多くの場合、中間水が存在する。このような中間水が存在すると、汚泥(前対象物A0)の引き抜き時に汚泥(前対象物A0)よりも水分の方が優先的に引き抜かれてしまう。そのため、汚泥(前対象物A0)を圧縮しても濃縮濃度が増加しないという問題がある。この問題に対して上述した第1の実施例によれば、沈殿池101の後段にスクリュー型分離装置1を配設していることにより、引き抜いた汚泥(前対象物A0)から中間水だけを分離して沈殿池101に返送できる。そのため、汚泥(前対象物A0)の濃縮濃度を向上させることができるので、従来のように沈殿池101内において中間水が含まれた状態であっても汚泥(前対象物A0)の濃縮濃度を向上できる。その上、上述したスクリュー型分離装置1は低コストで製造できるので、排水処理システム100も低コストで実現できる。さらに、汚泥(前対象物A0)がケージング10内において目詰まりした場合であっても、スクリュー軸12を方向Dに対して逆回転させれば、目詰まりを容易に除去することができる。
(第1の実施例の第1変形例)
次に、上述した第1の実施例の変形例について説明する。図8は、第1の実施例の変形例を説明するための沈殿池を示す略線図である。図8に示すように第1変形例においては、沈殿池101の下部に一実施形態によるスクリュー型分離装置1を設ける。そして、沈殿池101の下部に沈降した汚泥を、漏斗などの汚泥回収装置(図示せず)を用いて、対象物投入口32A(図1参照)を通じてスクリュー型分離装置1の内部に、前対象物A0として供給する。スクリュー型分離装置1は、濃縮した汚泥(対象物A)を外部に排出し、分離した分離液Cを配管(図示せず)などによって内部または外部を通じて、沈殿池101内に返送する。なお、分離液Cを外部に排出することも可能である。その他の構成は、上述した第1の実施例と同様である。
(第1の実施例の第2変形例)
また、第2変形例として、スクリュー型分離装置1の前段に沈殿池101などの重力沈降槽を設けた場合、沈殿池101内に、汚泥を掻き寄せるレーキの上辺に直立させた棒状部材からなる、ピケットフェンス(図示せず)を設けることも可能である。ピケットフェンスを設けることにより、沈殿池101内において汚泥の沈降を促進でき、いわゆる凝集が促進される。したがって、スクリュー型分離装置1による対象物Aと分離液Cとの分離をより一層効率化でき、固液分離性を大きく改善できる。
(第2の実施例)
次に、上述した一実施形態によるスクリュー型分離装置1を備えた第2の実施例としての排水処理システムについて説明する。図9は、第2の実施例による排水処理システムの一部を示す構成図である。
図9に示すように、この第2の実施例による排水処理システム200は、反応槽201、反応槽201の前段に配設された前段設備202、反応槽201の後段に配設された沈殿池204、引き抜きポンプ203a,203b、およびスクリュー型分離装置1を備える。スクリュー型分離装置1は、反応槽201及び沈殿池204よりも鉛直方向の上方(地表から離れる方向)に設けられている。
反応槽201は、例えば複数の生物反応槽から構成される。反応槽201を構成する生物反応槽は、例えば嫌気槽、無酸素槽、および好気槽などの種々の生物反応槽である。前段設備202は、例えば下水などの有機性排水を処理する、沈砂池や傾斜板沈殿池などを有して構成される設備である。引き抜きポンプ203aは、反応槽201から活性汚泥などの汚泥を引き抜いて、前対象物A0としてスクリュー型分離装置1に供給するための汚泥引き抜き手段である。同様に引き抜きポンプ203bは、反応槽201から汚泥を引き抜いて、後段の沈殿池204に供給するための汚泥引き抜き手段である。沈殿池204は、反応槽201やスクリュー型分離装置1からそれぞれ供給される被処理水や分離液Cを、分離液Cと汚泥(対象物A)とに沈降分離する固液分離槽である。
この第2の実施例による排水処理システム200においては、前段設備202から排出された被処理水の少なくとも一部は、反応槽201に供給される。反応槽201においては、被処理水に対して硝化処理や脱窒処理などの生物処理を行う。反応槽201内の活性汚泥は、引き抜きポンプ203a,203bにより引き抜かれる。引き抜きポンプ203aにより引き抜かれた汚泥は、前対象物A0としてスクリュー型分離装置1に供給され、対象物投入口32A(図1参照)を通じて内部に搬入される。
スクリュー型分離装置1においては、搬入された汚泥(前対象物A0)が濃縮されて分離液Cが分離される。分離された分離液Cは、後段の沈殿池204に供給される。一方、反応槽201から引き抜きポンプ203bにより引き抜かれた汚泥および被処理水は、沈殿池204に供給される。沈殿池204においては、第1の実施例と同様に重力沈降による固液分離処理が実行される。以上により、この第2の実施例による排水処理が実行される。
以上説明した第2の実施例によれば、スクリュー型分離装置1を用いて、反応槽201から汚泥(前対象物A0)を引き抜いて圧縮濃縮し、圧縮濃縮した汚泥(対象物A)を反応槽201に返送するとともに、分離液Cを固液分離槽としての沈殿池204に供給している。これにより、次のような問題点を解決することができる。
すなわち、従来、沈殿池204から反応槽201に向けて汚泥(対象物A)を返送するための返送ポンプ(図示せず)の稼働に使用する電力は極めて大きかった。これに対し、この第2の実施例によれば、スクリュー型分離装置1を用いて圧縮濃縮した汚泥(対象物A)を反応槽201に返送できるので、汚泥(対象物A)の返送に要する電力を大幅に低減できる。さらに、このスクリュー型分離装置1を用いることによって、十分に固液分離を行うことができる。これにより、沈殿池204における汚泥の引き抜きの頻度を低減することができるので、排水処理システム200において電力を削減して省エネルギー化を図ることができる。
また、従来、反応槽201内に分離膜を設ける構成の場合、初期コストおよび設備のメンテナンスに要する負担が大きいという問題があった。これに対し、分離膜に代えて、低コストのスクリュー型分離装置1を導入することができるので、初期のコストを低減できる。また、スクリュー型分離装置1の維持管理が容易であることから、メンテナンスの負担を低減できるので、メンテナンスコストを低減できる。
さらに、この第2の実施例によれば、反応槽201を高MLSS化することができるので、沈殿池204における負荷を低減でき、反応槽201からの汚泥の引き抜きに使用する引き抜きポンプ203a,203bの消費電力を低減することができる。したがって、排水処理システム200において省エネルギー化を図ることができる。
また、各実施例において、スクリュー型分離装置1に投入される汚泥(前対象物A0)は、凝集剤が添加されたものではなく、凝集剤を含有しない。すなわち、沈殿池101の汚泥には、凝集剤が添加されておらず、反応槽201の汚泥にも、凝集剤が添加されていない。このスクリュー型分離装置1は、重力により分離を行うため、凝集剤を含有しない汚泥に対しても、分離効率の低下を抑制することができる。ただし、上述のように、汚泥(前対象物A0)は、凝集剤が添加されたものであってもよい。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
上述の実施形態においては、スクリュー軸12を円柱状の軸から構成しているが、必ずしもこの形状に限定されるものではない。例えば、スクリュー軸12を、ケージング10の一方の端部30Cから他方の端部30B側に向けて径が徐々に大きくなる、いわゆる拡径形状にすることも可能である。
また、上述の実施形態においては、汚泥を固形分と水分とに分離する固液分離装置を例にしているが、必ずしも汚泥の固液分離に限定されるものではなく、固体と液体とを分離する種々の方法に適用することも可能である。
また、上述の実施形態において、分離液排出口32Cの位置は種々変更可能な構成にすることも可能である。
また、上述の実施形態においては、分離液Cの移動は間隙Hを通じて行われているが、必ずしも間隙Hの構成に限定されるものではない。例えば、第1スクリュー羽根16や第2スクリュー羽根18の少なくとも一部に、メッシュ状や多数の微小孔を有するろ過手段を併せて設け、分離液Cを移動可能に構成してもよい。
また、上述した実施形態によるスクリュー型分離装置1を、脱水機の前濃縮機、民需用簡易濃縮機、および合流改善スクリーンなどとして利用することも可能である。
上述の一実施形態における第1の実施例においては、引き抜きポンプ104により引き抜かれる汚泥を、沈殿池101内に沈降した汚泥としているが、必ずしも沈降した汚泥に限定されない。例えば、夏季などに沈殿池101内では浮上汚泥が発生しやすくなるが、この浮上汚泥を引き抜きポンプ104によって引き抜いて、スクリュー型分離装置1に供給することも可能である。
また、上述の第1の実施例においては、一実施形態によるスクリュー型分離装置1を沈殿池101と組み合わせた例について説明したが、必ずしもこの形態に限定されない。具体的に例えば、ろ過濃縮装置とスクリュー型分離装置1とを組み合わせることも可能である。この場合、ろ過濃縮装置における汚泥を引き抜くラインやろ過濃縮装置の底部に、上述したスクリュー型分離装置1を設置することが可能である。ここで、ろ過濃縮装置においては、運転が間欠運転であるため、濃縮された汚泥はろ過濃縮装置内に一時的に貯留され、汚泥の引き抜きは下部から行われる。そのため、この一時的に貯留された時に汚泥の上部に貯留される上澄み液が濃縮された汚泥とともに引き抜かれる。これにより、上述した第1の実施例における問題と同様の問題が存在するが、この一実施形態によるスクリュー型分離装置1を用いることにより、汚泥を引き抜く際に、上澄み液(上澄み水)を分離することができるので、濃縮された汚泥の濃縮濃度を安定的に高濃度化することが可能になる。
以上、本発明の実施形態、実施例及び変形例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。