JP6431469B2 - 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材 - Google Patents

油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材 Download PDF

Info

Publication number
JP6431469B2
JP6431469B2 JP2015231103A JP2015231103A JP6431469B2 JP 6431469 B2 JP6431469 B2 JP 6431469B2 JP 2015231103 A JP2015231103 A JP 2015231103A JP 2015231103 A JP2015231103 A JP 2015231103A JP 6431469 B2 JP6431469 B2 JP 6431469B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
carbonization
kiln
rice husk
carbonized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015231103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016093811A (ja
Inventor
千真 梅木
千真 梅木
信和 田口
信和 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GAIA INSTITUTE OF ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY, INC.
Original Assignee
GAIA INSTITUTE OF ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY, INC.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GAIA INSTITUTE OF ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY, INC. filed Critical GAIA INSTITUTE OF ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY, INC.
Publication of JP2016093811A publication Critical patent/JP2016093811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6431469B2 publication Critical patent/JP6431469B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J20/00Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof
    • B01J20/28Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties
    • B01J20/28054Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties characterised by their surface properties or porosity
    • B01J20/28078Pore diameter
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J20/00Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof
    • B01J20/02Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof comprising inorganic material
    • B01J20/20Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof comprising inorganic material comprising free carbon; comprising carbon obtained by carbonising processes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J20/00Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof
    • B01J20/28Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties
    • B01J20/28054Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties characterised by their surface properties or porosity
    • B01J20/28057Surface area, e.g. B.E.T specific surface area
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J20/00Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof
    • B01J20/28Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties
    • B01J20/28054Solid sorbent compositions or filter aid compositions; Sorbents for chromatography; Processes for preparing, regenerating or reactivating thereof characterised by their form or physical properties characterised by their surface properties or porosity
    • B01J20/28069Pore volume, e.g. total pore volume, mesopore volume, micropore volume
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/05Preparation or purification of carbon not covered by groups C01B32/15, C01B32/20, C01B32/25, C01B32/30

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Mixers With Rotating Receptacles And Mixers With Vibration Mechanisms (AREA)

Description

本発明は、油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材に係り、より詳細には、植物由来や動物由来の有機廃棄物(例えば、国内に豊富に賦存する廃棄物である籾殻、おがくず等)を利用した油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材に関する。
例えば、籾殻を例にとって説明すると、従来から、国内に豊富に賦存する廃棄物である籾殻は、炭化することにより油吸着材として利用することができることが周知である。
この籾殻炭は、細孔を発達させるため、水蒸気や二酸化炭素、或いは、酸素等の酸化性ガスを用いて800〜1000℃の環境下で熱処理を行う賦活工程(活性化)を経て炭化(活性炭)することが必要であった(特許文献1〜3参照)。
そこで、このような賦活工程を省くものとして、還元雰囲気中で炭化を行なうことにより高機能の油吸着材を製造する方法も提案されている(非特許文献1参照)。
ところが、上述した非特許文献1に開示の技術では、単に、還元雰囲気中で炭化を行うため、連続的な製造には不向きであり、大量の籾殻炭を製造することが困難で、商用化はなされていないのが実情であった。
一方、炭化装置に関しては次の通りである。
従来から、内部にスクリューコンベヤを設けた炭化管が燃焼炉内に設置され、炭化管の前段を乾燥ゾーン、中段を炭化ゾーン、後段を賦活ゾーンとして炭化炉が構成され、炭化管の端部入口に原料供給装置が設けられるとともに、炭化管の端部出口に活性炭化物排出装置が設けられ、原料供給装置から供給された炭化原料が炭化管内で間接加熱処理することによって、前段での乾燥と水蒸気の発生、中段での炭化と熱分解ガスの発生、後段での水蒸気及び熱分解ガスによる賦活・活性化によって活性炭化物を生成する活性炭化物の製造装置が知られている(例えば特許文献4参照。)。
尚、賦活・活性化工程におけるダイオキシン類を含む飛灰等は、炭化管とは別に内部にスクリューコンベヤを設けた脱塩素化管を経由して加熱処理することによってダイオキシン類を分解・無害化する際には、その灰を無害化(脱塩素化)する条件(ダイオキシン類の分解条件)として雰囲気ガスを還元もしくは低酸素雰囲気とされる。
しかし、上記従来技術においては、炭化工程において素材の持つ多孔質構造が失われ炭素固定率が低くエネルギーも小さいという問題が生じる。
また、賦活を行って活性炭と無酸素雰囲気で安定的に炭化物を製造することが難しい。また、高い炭素固定率が得がたく、素材のもつ多孔質構造も壊れてしまう。また、賦活を行って活性炭とするには、薬品や高温蒸気による工程が必要となってしまう。
この点を改良した炭化装置及び炭化方法として特許文献5が提供されている。すなわち、特許文献5においては、炭化反応を経ても多孔質構造が失われず、高炭素固定率の高品質な炭化物を得ることができる。すなわち、賦活工程を経ずに素材の多孔質を保った比表面積の大きい炭化物を得ることができる。なお、特許文献5は、本出願の優先日において出願中ではあるが一般には未だ未公開である。
特許文献5に係る技術は、図1に示す構造を有している。
すなわち、入口2in及び出口2outを有すると共に一連の内部空間2cで籾殻Pの乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱をこの順で行う一つのキルン2と、原料となる大量の籾殻Pを貯留し且つ入口2inから内部空間2cに籾殻Pを順次供給する供給部と、内部空間2cをキルン2の外部から加熱する燃焼室3と、供給部から入口2inに供給された籾殻Pに含まれる空気を排気する排気部5と、出口2outから排出された炭化後の籾殻炭Qを回収すると共に出口2outへの外気の侵入を防ぐように回収後の籾殻炭Qを一時的に滞留する回収部6と、を備えている。詳細は後述する。
この装置によれば、高エネルギーの再生炭を生成することができる。
特開平08−067509号公報 特開2003−144918号公報 特開2003−225562号公報 特開2001−322809号公報
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 平成18年度産業技術研究助成事業 研究成果報告書『籾殻活性炭による燃料油中難脱硫化合物の吸着除去』(秋田県立大学 熊谷 誠治著<作成年月日:平成19年5月31日>
本発明は、例えば籾殻やおがくず等の有機物を連続的な炭化により製造することが可能であり、優れた油吸着性やガス吸着性を有する油乃至ガス吸着材を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、炭化後において被炭化原料の骨格組織が残存した細孔構造を有し、炭化後におけるpHが6.73以上9.56未満であり、アンモニアの除去率が89.2%を超える吸着特性を有する籾殻の炭化物からなる油乃至ガスの吸着材であって、前記pHは、前記炭化後の籾殻1gを精製水200mLに入れ、スターラーで数分間撹拌し、pH値が落ち着いた時点で測定した値であり、前記アンモニアの除去率は、前記炭化後の籾殻1gを5Lテドラーバックに入れて密閉した後にシリンジを用いて脱気し、10w/v%のアンモニア水を20Lテドラーバックに注入して室温で1時間以上静置し、前記20Lテドラーバックより前記5Lテドラーバックへアンモニアガスを導入し、その導入直後よりの経過時間が180分となった時にガス検知管を用いて前記5Lテドラーバック内のガス濃度を測定して求めた値である、油乃至ガスの吸着材である。
請求項2に係る発明は、炭化後において被炭化原料の骨格組織が残存した細孔構造を有し、炭化後におけるpHが5.87以上7.87未満であり、アンモニアの除去率が91.7%を超える吸着特性を有する桐の炭化物からなるガスの吸着材であって、前記pHは、前記炭化後の桐1gを精製水200mLに入れ、スターラーで数分間撹拌し、pH値が落ち着いた時点で測定した値であり、前記アンモニアの除去率は、前記炭化後の桐1gを5Lテドラーバックに入れて密閉した後にシリンジを用いて脱気し、10w/v%のアンモニア水を20Lテドラーバックに注入して室温で1時間以上静置し、前記20Lテドラーバックより前記5Lテドラーバックへアンモニアガスを導入し、その導入直後よりの経過時間が180分となった時にガス検知管を用いて前記5Lテドラーバック内のガス濃度を測定して求めた値である、ガスの吸着材である。
ここで、被炭化原料としては、有機物が用いられ、植物由来、動物由来のどちらの原料でもよい。具体的には、例えば、コーヒー豆カス、梅種、おから、牛糞、豚糞、汚泥、籾殻、桐、杉間伐材、おがくず、その他の有機原料があげられる。特に、多孔質度が高い材料が好ましい。植物由来が好ましく、植物由来の中でも籾殻、桐、杉がより好ましい。
本発明は、有機物を連続的な炭化により製造することが可能であり、優れた油吸着性やガス吸着性を有する油乃至ガス吸着材を製造することが可能な油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る炭化処理システムの説明図である。 本発明の一実施形態に係る炭化処理システムのシステムブロック図である。 本発明の一実施形態に係る炭化処理システムにおける前処理工程のシステムブロック図である。 本発明の実施形態に係る炭化処理システムにおける工程を示す概念図である。 有機物の滞在時間を調整するための他の構造を示す側面概念図及び長手方向垂直断面図である。 図5に示す構造の作用を説明するための概念図である。 本発明の他の実施形態に係る炭化処理システムの説明図である。 再生炭(コーヒー豆カス炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(梅種炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(おから炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(牛糞炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(豚糞炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(汚泥炭)の顕微鏡写真である。 再生炭(もみ殻炭)の顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて、300℃で炭化させた籾殻炭の拡大図(代用写真)である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて、400℃で炭化させた籾殻炭の拡大図(代用写真)である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて、500℃で炭化させた籾殻炭の拡大図(代用写真)である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて、600℃で炭化させた籾殻炭の拡大図(代用写真)である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて各温度で炭化させた籾殻炭の特性を示し、(A)は籾殻炭の油吸着試験(重量)の図表、(B)は籾殻炭の油吸着試験(重量)のグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて各温度で炭化させた籾殻炭の特性を示し、(A)は籾殻炭の油吸着試験(体積)の図表、(B)は籾殻炭の油吸着試験(体積)のグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて各温度で炭化させた籾殻炭の特性を示し、(A)は籾殻炭の簡易元素分析(重量)の図表、(B)は籾殻炭の簡易元素分析(重量)のグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置を用いて各温度で炭化させた籾殻炭の特性を示し、(A)は籾殻炭の簡易元素分析(原子量)の図表、(B)は籾殻炭の簡易元素分析(原子)のグラフ図である。 本発明の実施例2に係り、籾殻炭によるエチレンガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例2に係り、桐炭によるエチレンガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例2及び比較例に係り、各種吸着材によるエチレンガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例3に係り、籾殻炭によるアンモニアガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例3に係り、桐殻炭によるエチレンガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例4に係り、籾殻炭による酢酸ガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例4に係り、桐炭による酢酸ガスの吸着を示すグラフである。 本発明の実施例5に係り、炭化温度とpHとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例6に係り、籾殻炭についての炭化温度と比表面積との関係を示すグラフである。 本発明の実施例6に係り、籾殻炭についての炭化温度と比表面積・細孔分布との関係を示すグラフである。 本発明の実施例6に係り、桐炭についての炭化温度と比表面積との関係を示すグラフである。 本発明の実施例6に係り、桐炭についての炭化温度と比表面積・細孔分布との関係を示すグラフである。
1a…螺旋状羽
1b 攪拌羽
2…キルン
2a 乾燥部
2b 炭化部
2d 蓄熱部
2c 内部空間
2in 入口
2out 出口
3…燃焼室
3a…排気管
4…加熱源
5…配管部
6…冷却部
7…脱臭部
8…乾留ガス回収部
9…補助加熱源
10…蒸気煙経路
11…油化部
12…配水管
13…ファン
14…ホッパ
15…原料供給配管
16…供給スクリュー
17…第2排出配管
18…冷却装置
19…接続管(下流側排ガス管)
19a 下流側排ガス管上管
19b 下流側排ガス管下管
20…搬送スクリュー
21…搬送スクリュー
22…蒸気抜きパイプ(上流側排ガス管)
22a 上流側排ガス管上管
22b 上流側排ガス管下管
23 煙突部
24 循環管
25 ガス抜きパイプ
30 接続部
60 回収部
次に、本発明の一実施形態において使用する還元炭化処理装置について、図面を参照して説明する。
なお、以下に示す実施の形態例は本発明の油乃至ガス吸着材の製造方法における好適な具体例であり、例えば、数値限定や材料限定等の技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
(使用装置例1)
図1は本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムの説明図、図2は本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムにおけるキルンの断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムに適用される還元炭化処理装置1は、一つの略円筒形状のキルン2の内部で、投入素材(籾殻P)の乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程を行うように構成されている。
また、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理システムに適用される還元炭化処理装置は、入口2in及び出口2outを有すると共に一連の内部空間2cで籾殻Pの乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱をこの順で行う一つのキルン2と、原料となる大量の籾殻Pを貯留し且つ入口2inから内部空間2cに籾殻Pを順次供給する供給部と、内部空間2cをキルン2の外部から加熱する燃焼室3と、供給部から入口2inに供給された籾殻Pに含まれる空気を排気する排気部5と、出口2outから排出された炭化後の籾殻炭Qを回収すると共に出口2outへの外気の侵入を防ぐように回収後の籾殻炭Qを一時的に滞留する回収部6と、を備えている。
供給部は、炭化対象である投入素材としての籾殻Pを貯留したホッパ14と、ホッパ14に接続されて入口2inから内部空間2cに一端が臨むようにエルボ状とされた供給配管15と、供給配管15の水平軸方向に沿って配置されて内部空間2cの入口2in側付近における無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持する供給スクリュー16と、を備えている。これにより、ホッパ14に貯留された籾殻Pは、供給スクリュー16の搬送によって内部空間2cへと供給される。
燃焼部は、キルン2の両端に形成された入口2inと出口2outとを除いた全体を囲む燃焼室3を形成する筐体状の本体と、燃焼室3に連通するように出口2outの上方付近に一端が接続された排気管3aと、排気管3aの他端が接続されて外部に連通する煙突部23と、煙突部23に一端が接続されかつ他端が入口2inの上方付近で燃焼室3と連通するように本体に接続された循環管24と、燃焼室に臨むバーナー等の加熱源4と、排気促進用のファン13と、を備えている。これにより、燃焼部は、内部空間2cに供給された籾殻Pを無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ籾殻Pに蓄熱して一つの内部空間2cの全体に熱を供給することができる。
排気部5は、籾殻Pの含水率を早期に低下させるように、キルン2の内部で発生した水蒸気を排水する水蒸気排管12と、排気促進用のファン13と、を備えている。これにより、排気部5は、その下方に配置された水蒸気排管12と本体の内部に配置された排気促進用のファン13との協働により、籾殻Pの含水率を早期に低下させることができ、乾燥・炭化時間の短縮化並びに自燃の促進化に貢献することができる。
回収部60の周囲には、例えば、冷却パイプ等の冷却装置(図示せず)が配置され、この冷却によって、籾殻Pを再生炭として生成(回収)することも可能である。この際、キルン2の出口2outと回収部60とは、内部空間2cの無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続されている。
具体的には、回収部60は、キルン2の出口2outの下方に配置されており、自重落下によって籾殻炭Qを回収するように接続されているとともに、図1の紙面奥行き方向に配管された第1排出配管18と、この第1排出配管18の下流端下方にキルン2の軸線方向と同方向に配管された第2排出配管17と、排出配管17,18に設けられた搬送スクリュー20,21とで構成することによって、各搬送スクリュー20,21で搬送される籾殻炭Qがキルン2の内部空間2cと外部(大気)とを遮断する。
キルン2は、その両端が燃焼室3の左右側壁に水平状態で架設される。また、キルン2は、燃焼室3内に配される金属管状の回転体であり、その入口2in側には、図示を略すが、駆動装置から延設されるチェーンが巻回されるスプロケットが設けられており、駆動装置の駆動により回動可能となっている。さらに、キルン2の入口2in側は、供給部30から入口2inに供給された籾殻Pに含まれる空気を排気すると同時に炭化処理により生じた蒸気を蒸気抜きパイプ22から逃がすための排気部5に覆われている。また、キルン2の出口2out側は、加熱されて炭化処理済みの籾殻炭Qを排出しかつ一次燃焼ガス(COを含んだ可燃性ガス)をガス抜きパイプ25から排出するための排出部(接続管)19に覆われている。
これにより、一つのキルン2の内部で乾燥工程と炭化工程とを連続処理することができるうえ、一つのキルン2の内部に投入された籾殻Pを無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、籾殻Pの間接加熱分解に伴う自燃を促進することができ、利用目的が広く且つ高エネルギーの籾殻炭Qを生成することができる。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る還元炭化処理装置は、内部に螺旋羽と攪拌羽1を配置した回転する一つのキルン2と、この一つのキルン2の内部に投入された廃棄物を含む有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ有機物等に蓄熱して一つのキルン2の内部全体に熱を供給する燃焼室3と、燃焼室3内に臨むバーナー等の加熱源4と、キルン2の内部に投入された有機物等に含まれる水分を燃焼室3の間接加熱によって蒸発させるようにキルン2の内部にエリア設定された乾燥部2aと、乾燥部2aで乾燥処理された有機物等を間接加熱分解させることで炭化させるようにキルン2の内
部にエリア設定された炭化部2bと、を備えている。
また、キルン2の内部空間2cには、図5、図6に示すように、螺旋羽1aと、螺旋羽1aの間に位置してキルン2の内壁から内方に向かって突出した攪拌羽1bと、が設けられている。
また、内部空間2cは、入口2inから出口2outに向かう搬送方向の上流側から下流側に向かって乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程を行う区間2a,2b,2dが設定されている。この際、螺旋羽1aのピッチ間隔を、各区間2a,2b,2dで異ならせ、搬送方向下流側に向かう程にピッチ間隔を狭くすることによって内部空間2cにおける籾殻Pの滞在時間が搬送方向下流側に向かう程長くなっている。なお、螺旋羽1aのピッチ間隔は、乾燥・熱分解(炭化)・蓄熱の各工程順で各区間2a,2b,2dの単位で段階的に滞在時間が長くなるように設定されている。
乾燥部2aは、籾殻Pに含まれる水分を燃焼室3の間接加熱で蒸発させ、炭化できる状態にまで含水率を下げる乾燥工程を行う乾燥区間である。
炭化部2bは、乾燥工程後の籾殻Pを燃焼室3の間接加熱による無酸素雰囲気で炭化(熱分解)する炭化工程を行う炭化区間である。
蓄熱部2dは、炭化後の籾殻炭Qを燃焼部4の間接加熱によって熱エネルギーを蓄積し、キルン2の内部での乾燥及び炭化の熱効率を高めるための蓄熱工程を行う蓄熱区間である。
図2に、キルン内において行われる各工程の基本的作用を示す。
最初の工程は乾燥工程である。この工程では、投入素材に含まれる水分を間接加熱で蒸発させ、炭化できる状態にまで含水率を下げることが行われる。
次の工程は炭化工程である。この工程では、乾燥された素材を間接加熱による無酸素雰囲気で炭化(熱分解)する工程である。
次の工程は蓄熱工程である。この工程では、炭化物内に間接加熱された熱エネルギーを蓄積し、キルン内部の乾燥及び炭化の熱効率を高めるための工程である。
また、本例の炭化処理システムは、比重の違いを利用してキルン2の内部で発生した水蒸気とこの水蒸気よりも比重の軽い、または比重の重いガス等とを分離する連結された2連または3連の配管部を備えることが好ましい。
図4では、かかる配管部を上流側(炭化素材投入口側)と下流側(炭化物取出し口側)に下流側排ガス管19と上流側排ガス管22として設けてある。
下流側排ガス管19は下流側排ガス管上管19aと下流側排ガス管下管19bとに分かれ、下流側排ガス管上管19aには水蒸気・臭気ガスが流れ、下流側排ガス管下管19bには主に乾留ガスが流れる。
図4に示す例では、下流側のみならず、上流側にも排ガス管が設けられている。上流側排ガス管22は上流側排ガス管上管22aと上流側排ガス管下管22bとに分かれ、上流側排ガス管上管22aには水蒸気・臭気ガスが流れ、上流側排ガス管下管22bには主に乾留ガスが流れる。下流側排ガス管上管19aと上流側排ガス管上管22aとは合流し、
水蒸気冷却タンクを通り燃焼炉で脱臭が行われる。また、下流側排ガス管下管19bと上流側排ガス管下管22bとは合流し、乾留ガス燃焼炉で燃焼後その廃熱を炭化のための熱源として再利用するようにしてある。
図4に示す例では、下流側のみならず、上流側にも排ガス管が設けられているため、水蒸気はいち早くキルン外部に排出されてしまう。したがって、キルン内における水蒸気圧を低くすることができ、その結果炭化素材の乾燥時間を著しく短縮することができる。さには、キルンの全長を短くすることができ、装置の小型化を達成させる。
2b 上流側排ガス管下管
図1、図4あるいは図5に示すように、乾燥工程、炭化(熱分解)工程、蓄熱工程が一つのキルン内で行われる場合、上部には水蒸気、その下には乾留ガス、底部には炭化物が存在する。
図4に示すように例えば、2連の配管を上下に接続すると、重力の差異に起因して、下側配管には乾留ガス流れ、上側配管には水蒸気と臭気ガスとが流れる。
この場合、脱臭すべきガスは、水蒸気と臭気ガスを主成分とする。すなわち、乾留ガスをほとんど含んでいない。従って、最小体積で脱臭処理を行うことが可能となる。その結果、低コストで脱臭処理が可能となる。
このような構成によれば、2連または3連の配管部5により比重の違いを利用してキルン2の内部で発生した水蒸気とこの水蒸気よりも比重の軽い、または比重の重いガス等とを分離することにより、水蒸気よりも軽い水素ガスや水蒸気よりも重い一酸化炭素・メタンガス・炭化水素ガス等を水蒸気から分離することができる。
また、キルン2の内部で発生した水蒸気を冷却することによってキルン2の内部で発生した水蒸気を臭気ガスと水とに分離する冷却部6と、冷却部6に連接されて分離された臭気ガスを脱臭する脱臭部7と、を備えている。
このような構成によれば、冷却部6によってキルン2の内部で発生した水蒸気を冷却することによってキルン2の内部で発生した水蒸気を臭気ガスと水とに分離することにより、臭気ガスの脱臭を脱臭部7で行うことができる。
また、炭化部2bでの炭化に伴う熱分解によってキルン2の内部で発生した乾留ガスを回収する乾留ガス回収部8を備え、この乾留ガス回収部8で回収した燃エネルギーを燃焼室3の熱源として再利用する。
このような構成によれば、乾留ガス回収部8によって炭化部2bでの炭化に伴う熱分解でキルン2の内部で発生した乾留ガスを回収することにより、この乾留ガス回収部8で回収した燃エネルギーを燃焼室3の熱源として再利用することができる。
また、乾留ガス回収部8内に回収した乾留ガスの熱量が不足している際に加熱するように乾留ガス回収部8の内部に補助加熱源9を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、乾留ガス回収部8に設けられた補助加熱源9により、乾留ガス回収部8に回収した乾留ガスの熱量が不足している際の熱量を補うことができる。
また、乾燥部2aの終端部付近又は炭化部2bの始端部付近での有機物等の炭化初期に発生した煙を回収する蒸気煙経路10と、回収した煙を冷却することで油化する油化部11と、を備えている。
このような構成によれば、蒸気煙経路10によって乾燥部2aの終端部付近又は炭化部2bの始端部付近での有機物等の炭化初期に発生した煙を回収した後に、油化部11によって回収した煙を冷却・油化してリサイクル油を生成することができる。
さらに、冷却部6は、有機物等の含水率を早期に低下させるように、キルン2の内部で発生した水蒸気を排気する配気管12と、排気促進用のファン13と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、冷却部6は、キルン2の内部で発生した水蒸気を排気する配気管12と、排気促進用のファン13と、を備えていることにより、有機物等の含水率を早期に低下させることができ、乾燥・炭化時間の短縮化並びに自燃の促進化に貢献することができる。
含水率が高い有機物は、含水率の低い有機物よりもキルン2内における滞在時間が長くなるようにするためには例えば次ぎの構造を用いればよい。
図5にその形態例を示す。
本例は、キルン2の内周面には、キルン2の長手方向に沿って螺旋状に延びる螺旋羽1aを有するとともに、内方に突出する攪拌羽1bを一以上有している。
本例では、キルン2は反時計方向に回転させている。
螺旋羽1aは、帯状の薄板が螺旋をなしてキルン2の内周面に取り付けられて形成される。螺旋羽1aのキルン2の内周面からの突出量hは、乾燥部2aにおける突出量より炭化部2bにおける突出量より大きくすることが好ましい。乾燥部2aにおいては、0.5〜0.7が好ましい。また、攪拌羽1bの突出量についても同様である。なお、乾燥部Bから分解部Cへ向かい漸次大きくしてもよい。
攪拌羽1bは、複数個設けてもよい。図5に示す例では3個設けてある。また、傾きθを設けておく。なお、θは接線との間の角度としてある8図6)。この傾きθは、有機物の水分含有量によって適宜変化させればよい。図5に示す例では、θ=60゜としてある。撹拌羽1bが傾きを有しない場合(すなわち、θ=90°の場合)には、 撹拌羽で救い上げた炭化素材(例えば籾殻P)はその水分含有量に関係なく必ず水平位置まで持ち上げられる。すなわち、水分含有量がほとんど無くとも水平位置にいたるまで炭化素材は落下しない。また、θ=90°の場合には、含水率に関係なく、戻り量は一定の値になってしまう。特に、乾燥の必要がない炭化素材も戻るため、必要以上の乾燥が行われてしまう。その分炭化途中でキルンから出てしまい品質の劣化した炭化物が生成されるおそれが生じる。
それに対して、含水量あるいは炭化素材の種類に応じた粘着力に応じてθを適宜の値に設定すれば、戻し量を任意の量に制御することが可能となる。乾燥しずらいものはθを大きくとればよい。
なお、θは、鋭角に限らず鈍角としてもよい。戻し量に対応したθを設定する。戻し量とθとの関係は予め実験などにより求めておけばよい。
なお、含水量が多い場合には、炭化素材をすくい上げてから頂点に達しても落下しないようにする場合もある。なお、好ましくは、30°<θ<90°である。
また、下流にいくほど含水量は減少するため上流側より下流側のθを小さくすればより短時間での炭化物の製造が可能となる。
また、螺旋羽1aのピッチ間距離は上流側を下流側より大きくしておくことが好ましい。これにより、キルン内への有機物の供給量を最大化することができる。
螺旋羽1aのキルン内面からの突出量は、上流から下流に向かうに従って減少するように設定することが好ましい。これにより、上流側においては有機物の搬送量を多くすることができる。下流側では、有機物の量は漸次減少するため螺旋羽1aの突出量は小さくても足りる。突出量を少なくすると中空面積が大きくなる。また、キルン内におけるガスの
攪拌羽1bは、キルン2の長手方向に、連続的に設けてもよくまた、間欠的に設けてもよい。製造上の容易性などを考慮して適宜選択すればよい。
図6に示すように、キルンが回転すると、周内面に設けられた攪拌羽1bによって有機物は、上に持ち上げられる。水分含有量が高い有機物は、粘着性が高い有機物であり、水分含有量が低い有機物は粘着性が低い有機物である。
従って、水分含有量が高い有機物は、水分含有量が低い有機物よりも高い位置まで持ち上げられる。図6(A)上段が水分含有量が高い場合であり、図6(B)下段が水分含有量が低い場合である。図6(A)の場合は、高い位置まで持ち上げられた後に有機物は落下する。それに対して図6(B)の場合は、低い位置において有機物は落下する。高い位置から落下した場合には、図6(A)に示すように後ろに戻る有機物は多い。その結果、乾燥工程に滞在する時間は長くなる。一方、低い位置から落下した場合には、後ろに戻る有機物は少ない。その結果、乾燥工程に滞在する時間は短くなる。
なお、この構造では、攪拌羽の長手方向の間隔は、上流側が下流側よりも大きくすればより滞在時間の差異を大きくすることができる。
また、この構造では、有機物の水分含有量のみならず、キルン内への有機物の供給量によって羽根の突出量を変化させることにより最適な再生炭を実現することができる。
(使用装置例2)
(形態例2)
図7に他の形態例に係る装置を示す。
本例では、キルン2の上流側の開口端を外部から遮断するように覆うとともに、上流側の開口端からの水蒸気・乾留ガスを接続パイプ27を介して熱回収設備のガス回収部29に流すラインを設け、接続パイプ27の途中に吸気量を任意に調整することが可能な吸気ブロワを設けてある。
さらに、キルン2の下流側の開口端を外部から遮断するように覆うとともに、下流側の開口端からのガス(主に乾留ガス)を接続パイプ27を介して熱回収部のガス回収部29に流すラインを設け、
接続パイプ27とガス回収部29との間のラインは並列のラインとするとともに、並列のそれぞれのライン途中に排気量を調整できるダンパを設けてある。
含水率の高い素材を1本のキルン2内で乾燥・炭化を行なう場合、問題となるのは、多量の水蒸気の体積である。大気圧下では、1リットルの水は100℃で、水蒸気の体積が約1,700リットルになる。また、373℃では、水蒸気の体積は約3,400リットルにもなる。
熱分解によって生じる乾留ガスに加えて、多量の水蒸気があると、スムーズなガスの排出が困難になる。この水蒸気を効率的にキルン2内から排出させ、熱回収燃焼設備に導くため、吸気量を任意に調整できる、吸気ブロワの設置、乾留ガスを熱回収燃焼設備に導く排気管と、主に水蒸気を熱回収燃焼設備に導く排気管を並列に設置し、それぞれの排気量を調整できるダンパーを設置することが効果的である。
これによって、含水率の高い炭化素材に対し、吸気量を任意に調整し、効率的・速やかに水蒸気をキルン内から排出し、キルン内の炭化効率を高めることができる。
本例では、さらに、回収部60において第2排出管19の外部にウォータージャケットを設けてあり、また、熱回収燃焼設備の周囲にもウォータージャケットを設けて過熱の防止を図っている。
(装置の使用試験例)
以下、本発明の還元炭化処理システムのより具体的な構成を説明する。廃棄物を含む有機物等Pは、ホッパ14から投入されて、キルン2の始端部側にキルン2の無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続された原料供給配管15の供給スクリュー16によってキルン2内へと供給される。
回転可能なキルン2は、公知の駆動系を経由して回転しつつ、キルン2の内表面に設けられた羽根の作用によって乾燥部2aから炭化部2bを経由して炭化され、キルン2の終端部にて炭化した再生炭Qが排出配管17を経由して排出(回収)される。
尚、排出配管17の周囲には、例えば、排水パイプ等の冷却装置18が配置され、この冷却によって、有機物等Pの種類に応じて有機炭化物や無機炭化物が再生炭として生成回収)される。この際、キルン2の終端部と排出配管17とは、キルン2の無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続されている。
具体的には、排出配管17は、キルン2の終端部の下方に配置されており、自重落下によって炭化物を回収するように接続されているとともに、図1の紙面奥行き方向に配管された接続管19と、この接続管19内に設けられた搬送スクリュー20とを配置することによって、この搬送スクリュー20で搬送される炭化物がキルン2の内部と外部(大気)とを遮断する。尚、排出配管17の内部にも搬送スクリュー21を配置するのが好ましい。すなわち、搬送スクリュー20を設けることにより気体の流れを排出口側への一方向とすることができ空気の侵入を防止する。
一方、キルン2の始端部側と終端部側とには、還元管19が設けられており、この還元管19に脱臭部7を兼用する乾留ガス回収部8が接続され、この乾留ガス回収部8に回収された乾留ガスの一部は燃焼室3の熱源として再利用され、他の一部は排気管3aから排気される。
この際、キルン2の内部は、無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、有機物等の間接加熱分解に伴う自燃が発生(225〜500℃で自己着火)するため、この自燃が発生した以降は加熱源4の加熱は停止される。
これにより、キルン2の内部から回収した乾留ガスは、基本的には高温環境化にあるが、例えば、キルン2の内部温度を監視するセンサ等(図示せず)の検出結果に応じて、有機物等Pの種類(自己着火温度以上)に適した温度を維持するように、補助加熱源9の加熱によって乾留ガスの温度を上昇する。尚、加熱源4の加熱を併用しても良い。
また、キルン2の始端部側下方には、2連の配管部5を介して蒸気煙経路10を兼用(又は別途でも良い)の配水管12が設けられており、キルン2の内部で発生した水蒸気のうち、水分としての気散水を回収する。
気散水は、炭化する初期の段階で発生する煙を冷却することで得られる液体で、有機物等Pが主として木材チップの場合では、木材重量の25%の再生炭に対して、その再生炭の重量に対して20〜30%の気散水を採取することができる。
そして、この採取した気散水を冷却(例えば、1ヶ月以上)すると、木タール分と木酢液と軽油分とに分離してリサイクル燃料等を採取することができる。
尚、木酢液(酢液)は、アルコール類やフェノール類等の役200種類を超える成分が含まれており、消臭剤・し尿処理剤・医薬用・動物飼料添加剤・農林業等の商品や各種分野等で再利用を図ることができる。
また、木タールは、炭化水素(リグニン)の熱分解液で、気散水を冷却して約1ヶ月以上放置したときに発生する沈殿物で、殺菌力が強く、防臭剤等に利用が可能であるほか、そのまま燃料として、或いは、蒸留装置でさらに水分と油分とに分離することで軽油や重油質・ピッチに分けるここができる。
また、配管部5から脱臭部(消臭・無害化燃焼装置)7に導かれた臭気ガスは、850〜1000℃の環境下によってダイオキシンや臭気が除去される。尚、必要に応じて(例えば、有機物等Pの種類に応じて)、脱臭部7に連接して三次燃焼室22を配置し、この三次燃焼室22によって70〜120℃でエマルジョン浄化(低温無害化)を図っても良い。
尚、エマルジョン浄化(燃焼)は、高温の可燃性ガスや油の中に均一に分布させたミクロ単位の水滴を混合すると、熱伝達によって水滴が瞬間的に数千倍に急膨張するため、この際の水滴を取り除くガス(油滴)も微細化させて空気との混合を良くすることで、ガスや油を完全燃焼することができる。
したがって、このエマルジョン燃焼を実行することによって、エマルジョン燃焼時にガスや油分が超微粒化し、空気との接触面積が増大して完全燃焼することができ、未燃物の発生を大幅に減少して煤塵を顕著に低下することができる。
また、エマルジョン燃焼においては、微爆作用により、粒子が微粒子化するため、低O2燃焼運転を実現することができるうえ、より一層完全燃焼化に近づけることができることによって、排ガス中の煤塵量だけでなく、NOxやSOx等を大幅に削減することができる。
ところで、本発明における有機物Pとしては、例えば、図3に示すように、廃材・廃プラスチック、医療廃棄物(3cm以上)、木材チップ・おが屑(3cm未満)、家畜糞(含水率60%未満)、食品残渣物、家畜糞(含水率60%以上)、汚泥(濃縮・脱水後)といった広範囲の廃棄物を含む有機物等に適用することができ、各有機物Pを破砕(定量化)・混合・超脱水処理を施したうえで、キルン2に供給される。
また、キルン2内では、850℃という高温環境を実現し得て、2秒以上の滞留時間で燃焼を完了することができた。
尚、螺旋羽と攪拌羽1は、例えば、乾燥部2aと炭化部2bとで独立駆動可能に分離したり、スクリューピッチを乾燥側2aよりも炭化部2bの方を狭ピッチとする等によって、一つのキルン2の内部を明確に役割分担することも可能である。この際、螺旋羽を二重螺旋したり、その螺旋形状(角度や最大径)を変えるなど、適宜の設計変更や交換等は任意に行うことができる。
また、本発明の還元炭化処理システムでは、例えば、表1に示すように、キルン2の長さや本数を変えることによって、その処理能力を変えることができ、使用する原料(有機物等P)に応じて、適宜能力の物を採用することができる。尚、キルン2の内径を500φとした場合、有機物等Pは、その大きさは3cm以下程度、含水率は10〜60%、かさ比重0.5程度、炭化までの滞留時間30分以下、とするのが好ましい。
Figure 0006431469
なお、これらの各種条件を確認するためには、予め、乾留ガス概略計算書(図示せず)等や乾留ガスの燃焼特性表(自己着火温度一覧表)等を用いるのが好ましい。
そして、回収された各種の再生炭を調べた。
原材料:コーヒー豆カス(含水率65%)を炭化(50分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり7250Kcal/kg(固定炭素率81.0%)
原材料:ジャガイモの殻汚泥(含水率80%)を炭化(60分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり5440Kcal/kg(固定炭素率78.5%)
原材料:もみ殻(含水率2%)を炭化(15分)したところ、燃料発熱量は1kg当たり4544Kcal/kg(固定炭素率46.6%、シリカ41.6%)
いずれも高エネルギーを有する再生炭を生成することができた。なお、試験はJIS−Z 7302−2に従って行った。
なお、参考のため述べるならば、石炭(コークス)の燃料発熱量は7,190Kcal/kg、木材の燃料発熱量は3,440Kcal/kgである。
このように、本発明の還元炭化処理システムによれば、一つのキルン2の内部に廃棄物を含む有機物等Pを投入し、一つのキルン2の内部に投入された有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ有機物等に蓄熱して含水率を低減したうえで、有機物等を間接加熱分解させることで炭化することにより、幅広い原料を用いて高エネルギーの再生炭を生成することができる。
上記再生炭の顕微鏡写真を図8〜図14に示す。
いずれの例においても多孔質状態及び繊維質状態を示しており、炭化が極めて良好に行われたことを示している。
(実施例1)
以下、本発明の還元炭化処理システムのより具体的な構成を説明する。廃棄物を含む籾殻Pは、ホッパ7から投入されて、キルン2の入口にキルン2の無酸素雰囲気(低酸素雰囲気を含む)を維持するように接続された原料供給配管8の供給スクリュー9によってキルン2内へと供給される。
回転可能なキルン2は、公知の駆動系を経由して回転しつつ、キルン2の内表面に設けられた螺旋羽25と攪拌羽26との作用によって乾燥区間Aから炭化区間Bを経由して炭化され、キルン2の出口から炭化した籾殻炭Qが排出部24の下端に接続された回収部6を経由して排出(回収)される。
一方、キルン2の入口と出口とには、接続パイプ27が設けられており、この接続パイプ27に還元管28を介して乾留ガス回収部29が接続され、この乾留ガス回収部29に回収された乾留ガスの一部が循環管14を経由して燃焼室10の熱源として再利用され、他の一部は煙突部13から排気される。
この際、キルン2の内部は、無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱することによって、籾殻Pの間接加熱分解に伴う自燃が発生(225〜500℃で自己着火)するため、この自燃が発生した以降は加熱源15の加熱は停止される。
これにより、キルン2の内部から回収した乾留ガスは、基本的には高温環境化にあるが、例えば、キルン2の内部温度を監視するセンサ等(図示せず)の検出結果に応じて、籾殻Pの種類(自己着火温度以上)に適した温度を維持するように、補助加熱源30の加熱によって乾留ガスの温度を上昇する。尚、加熱源15の加熱を併用しても良い。
また、乾留ガス回収部29(消臭・無害化燃焼装置)に導かれた臭気ガスは、850〜1000℃の環境下によってダイオキシンや臭気が除去される。
ところで、本発明における籾殻Pは、所謂、活性化(賦活)工程を施すことなく、キルン2の内部へと供給される。
また、キルン2の内部では、500℃という高温環境を実現し得て、2秒以上の滞留時間で燃焼を完了することができ、短時間での連続製造を実現することができた。
この際、籾殻炭の油吸着性能を高めるためには、籾殻の骨格組織が炭化したときに残る細孔構造をきれいな状態で残す必要がある。
そこで、内部空間における炭化温度を、300〜600℃の範囲で100℃単位で変化させ、その炭化後の細孔構造を、拡大して確認したところ、図15〜図18に示すように、400℃、500℃、600℃において、概ね良好な細孔構造を得ることが確認できた。
また、これら各温度で得られた籾殻炭を用いて油吸着性能を確認したところ、図19及び図20に示すように、灯油・A重油・サラダ油のそれぞれにおいて、500℃で得られた籾殻炭が重量(図19)並びに体積(図20)の何れにおいても、良好な油吸着性能を得ることが判明した。
尚、図21、図22は、これら各温度で得られた籾殻炭の元素分析結果を示す。
本発明の方法によれば、良好な吸着材を連続的に製造することができる。
このように、本発明の方法によれば、賦活等の多段階の工程を経て籾殻炭を製造せずとも、適切にコントロールされた還元炭化を行うことによって、油吸着性能の高い籾殻炭吸着剤を得ることができる。特に炭化処理温度は、450〜550℃の範囲においてより優れた吸着能を示している。
以下、具体的な実験結果を示す。
(油吸着性能評価)
<実験試料>
油:灯油、サラダオイル、A重油
籾殻炭:300℃、400℃、500℃、600℃のそれぞれの温度で炭化させた籾殻炭
<実験方法>
非特許文献1の実験結果に準じ、各温度の籾殻炭1gを不織布(ポリエチレン・ポリプロピレン)製のティーパックに入れ、各油中に5分間浸漬した後、ティーパックを引き上げて油切台で吸着油以外の油を落としてから、試料を含む袋全体の重量を電子天秤で測定する。
次に、試料を入れずに、袋のみを油中に浸漬した場合の質量との差を取り吸着量を算出した。1条件の実験値は3回の測定を行った平均値である。
<実験結果>
図19、20に、サラダ油、A重油、灯油の籾殻炭の炭化温度に対する吸着量を示す。いずれのグラフ(図19(B)及び図20(B))においても、500℃で炭化した籾殻炭において、吸着量が最大となった。この際、油の種類による吸着量の違いは油の粘性に起因するものである。図21〜図22は、500℃で炭化した籾殻炭に対する、それぞれの油種の吸着量を粘性係数との相関で示したグラフである。
これら各図のグラフから明らかなように、吸着量と粘性係数には一次の相関性があることが判る。尚、非特許文献1の実験結果はB重油による実験であるため、本実験結果との比較のため、粘性係数との相関からB重油(粘性係数:43.3[mPa・s])の吸着量を推定する。グラフから、吸着量と粘性係数の関係は、
(吸着量 [g])=0.0712×(粘性係数 [mPa・s])+2.6311
であるから、本籾殻炭(500℃)のB重油吸着量は5.7g程度であると推定される。これは、同一条件の実験結果として、秋田県立大による結果より4割以上も吸着量が多いことになる。また、同大の実験では、炭化前に籾殻を高温高圧水蒸気中でやわらかくした後、つぶして繊維に沿って開く解繊処理を行って籾殻の表面積を増やし、その結果として油吸着性能を向上させている。本実験結果から、本製造方法によって作成した籾殻炭は、何ら前処理等を行わなくとも、それに匹敵する吸着性能を有することが判明した。
(実施例2)
本例では、籾殻炭・桐炭について、中性ガスであるエチレンガスの吸着性能を調べた。
<実験手順>
吸着性能は次の手順により実験を行った。
(1)20Lテドラーバックに後述の通り調整した対象ガスを封入し、室温(エアコン制御)で1時間以上静置
(2)1gの籾殻炭を5Lテドラーバックに入れて密閉した後、シリンジを用いて脱気
(3)20Lテドラーバックより、5Lテドラーバックへ対象ガスを導入
導入直後より一定時間毎にガス検知管を用いて、5Lテドラーバック内のガス濃度を測定
<ガス調整等>
ガス調整方法:窒素ベースエチレンガス標準ガス(100ppm)による。
ガス検知管:GASTEC社製・エチレン検知管(172L)
サンプル炭化物:もみ殻炭(炭化処理温度300〜700℃)、桐炭(300〜700℃)
備考:市販のエチレン吸着材「エチレンコントロール」、粒状パラジウム活性炭「脱臭炭・野菜室用」(エステー株式会社製)、中国製くん炭との比較も行なった。
<実験結果>
実験結果を表2から表4及び図23〜図25に示す。

Figure 0006431469
Figure 0006431469
Figure 0006431469
本発明方法で製造した「籾殻炭」「桐炭」のいずれとも、良好なエチレンガス吸着力を有していることが判明した。もみ殻炭においては500〜700℃(図23)、桐炭においては600〜700℃(図24)で炭化したサンプルが最も良い結果であった。
図25に示した吸着力比較では、籾殻炭、桐炭とも、鮮度保持材として最も一般的である「エチレンコントロール」には及ばなかったものの、脱臭や鮮度保持に活用されている市販の活性炭「脱臭炭・野菜室用」を凌ぐ吸着力を有していることが確認された。
本発明方法は、現在は廃棄物として処理されているもみ殻等を原料として、連続的かつ低消費エネルギーで、賦活工程を経ずに良質な炭化物を製造することができる。従って、従来の活性炭等と比較して、非常に安価に供給することが可能である。絶対的な性能では「エチレンコントロール」に軍配が上がるが、安価な炭化物をある程度早いサイクルで使用することにより、圧倒的な費用対効果を得ることができる。
(実施例3)
本例では、エチレンガスの吸着に代えて、アルカリ性ガスであるアンモニアガス吸着を実験した。
実験手順などは実施例2と同様に行った。
<ガスの調整など>
ガス調整方法:アンモニア水(10 w/v%)を20Lテドラーバックに注入
ガス検知管:GASTEC社製・アンモニア検知管(3La)
サンプル炭化物:もみ殻炭(300〜700℃)、桐炭(300〜700℃)
備考:実験毎のアンモニアガス濃度を一致させることが難しいため、ガス除去率で比較を行なった。
ガス除去率 [%] =(1−ガス濃度/ブランク濃度)×100
<実験結果>
実験結果を表5から表8及び図26〜図27に示す。
Figure 0006431469
Figure 0006431469
Figure 0006431469
Figure 0006431469
上記した結果から、「籾殻炭」「桐炭」ともに優秀なアンモニアガス吸着力を有していることが判明した。特に300℃、400℃で炭化した場合がより好ましい結果が得られた。
(実施例4)
本例では、エチレンガスの吸着に代えて酸性ガスである酢酸ガス吸着を実験した。
実験手順などは実施例2と同様に行った。
<ガスの調整など>
ガス調整方法:酢酸試薬(10μL)を20Lテドラーバックに注入
ガス検知管:GASTEC社製・酢酸ガス検知管(81、81L)
サンプル炭化物:もみ殻炭(300〜700℃)、桐炭(300〜700℃)
備考:実験毎の酢酸ガス濃度を一致させることが難しいため、ガス除去率で比較を行なった。また、市販の活性炭(ノンスメル)との比較も行なった。
ガス除去率 [%] =(1−ガス濃度/ブランク濃度)×100
<実験結果>
実験結果を表9から表12及び図28、図29に示す。
籾殻炭による酢酸ガス吸着実験結果(酢酸ガス濃度 [ppm])
Figure 0006431469
Figure 0006431469
Figure 0006431469
Figure 0006431469
悪臭やフィルムの劣化を引き起す酢酸ガスの吸着実験では、上記した結果から、両炭ともに優秀な酢酸ガス吸着力を有していることが判明した。「籾殻炭」は700℃、「桐炭」は500℃以下で炭化した場合が最も良い結果を示した。また、桐炭における比較実験では、300〜700℃で炭化した全てのサンプルが、市販の活性炭(ノンスメル:商標)を上回る吸着力を有していることが判明した。
(実施例5)
本例では、炭化処理温度と炭化物のpHとの関係を測定する実験を行った。
<実験方法>
精製水200mLに炭化物1gを入れ、スターラーで数分間撹拌し、pH値が落着いた時点で測定した。
<実験結果>
実験結果を表13及び図30に示す。

Figure 0006431469
表13及び図30からわかるように、本発明方法により作成した炭化物は炭化処理温度によりそのpHが異なることが見いだされた。
すなわち、炭化温度には明確なpH依存性が認められた。このような性質を利用して、使用目的別の炭化物を温度制御によって製造することも可能であるし、また、異なる炭化温度で製造した炭化物をミックスし、複合脱臭材として製品化することも考えられる。
従って、対象処理ガスのpH(酸性、中性、アルカリ性)に応じて、炭化処理温度を変化させればより有効に処理ガスを吸着することが可能となる。
各炭化物のpHは、低温で炭化するほど低い値となる。これは、低温では材料中の有機物が完全に分解せず、炭化物表面に解離基(COOH)として残るためだと推察される。一方のアンモニアガスは塩基性であるため、比較的低pHである低炭化温度のサンプルと化学吸着を生じているものと推定する。
(実施例6)
本例では、炭化温度と比表面積、細孔分布との関係について調べた。
なお、図31から図34において、図1に示す還元滅菌炭化加工機を「SUMIX」と略記する。
試料は、図1に示す還元滅菌炭化加工機(「SUMIX」と略記する。)によって製造したものと、マッフル炉(「MUFFLE」と略記する。)とによって窒素ガス雰囲気中(流量:1L / min.)で製造したものをそれぞれ用いた。
マッフル炉による炭化は、所定の温度で30分間保持した後、同じく窒素ガス雰囲気中で自然冷却を行って炭化物を製造した。
測定は株式会社日本ベル社製・BELSORP-mini II、前処理は同社製・BELSORP-vac IIを用いて行った。
籾殻についての結果を図31、32に示す。また、桐についての結果を図33、34に示す。
もみ殻炭の場合、SUMIX、MUFFLE炉共に300℃では比表面積は活性炭などと比較して非常に小さいが、炭化温度が上がるに従って比表面積は大きくなり、概ね300〜350m2/g程度で最大に達する。これは一般的な活性炭の3分の一程度の値である。
油吸着やガス吸着実験においては、本もみ殻炭は活性炭を上回る性能を示した。
また、SUMIXの場合、炭化温度500℃で260(BET法)〜330(t法)m2/gの比表面積を有しており、MUFFLE炉によって同温度で炭化した試料と比較して2倍弱の比表面積を有している。これはSUMIXの場合、バッチ式のマッフル炉と比較して、炭化時にキルン内で撹拌が加わるため熱伝導に優れ、より低温で高性能の炭化物が製造できるものと考えられる。これはランニングコスト及び原材料に対する炭化物の収率の両面でも好ましい。
一方、桐炭においては、SUMIXとMUFFLE炉の炭化物は、炭化温度と比表面積の関係が互いに全く逆の相関を示す。SUMIXにより300℃で炭化した試料は600m2/g以上の比表面積を有している。これは活性炭に肉薄する数値である。このような性質を示すメカニズムは現時点では不明であるが、前述の通り、キルン内での撹拌や乾留ガスが影響するものと推察する。
桐の場合、熱分解時に比較的大量の可燃性の乾留ガスが発生するため、300℃程度では、ほとんど外部から加熱することなく炭化物を製造することができる。また、もみ殻炭以上に収率の面でも有利である。
本発明方法で製造した炭化物は、性質の異なる3種のガスについて良好な吸着力を有していることが判明し、鮮度保持材、消臭材、劣化防止材等として充分に利用できることが示された。
籾殻炭においては、高品質の吸着剤を比較的低温において製造することが可能である。
桐炭においては、低温炭化であっても高品質の吸着剤を製造することが可能である。低温炭化であるため、低エネルギー、高収率で製造することができる。
炭化温度を制御することにより炭化物(ひいては吸着剤)のを任意の値にすることができるため例えば、アルカリガスの脱臭に適した吸着剤として製造することも可能である。
低温炭化物と中・高温炭化物とをミックスさせて吸着剤とすることにより、化学吸着と物理吸着を併せ持つ吸着剤とすることが可能であり、複合的な臭気ガスに対応することができる脱臭剤として使用することも可能である。
アルカリ性の炭化物だけを用いた吸着剤の場合には、吸着剤は臭気ガスを吸着する一方でアンモニアガスの生成を促進してしまうが、適宜選択したあるpH(例えば低pH)の炭化物とそれ以外のpH(例えばそれよりより高いpH)の炭化物とをミックスすることにより、例えば、アルカリ性のアンモニアガスを化学吸着し、全体的に脱臭することが可能となる。
なお、吸着剤に酸(例えば希塩酸)を転化しておけば、アルカリで活性化するアンモニアガス生成菌の活動を抑制することが可能となる。
本発明の油乃至ガスの吸着材は、油透過性あるいはガス透過性の包装、容器、パックあるいはカプセル等の中に収納して使用することもできる。
また、シート中に折り込んで使用することもできる。
吸着対象となるガスとしては、エチレン、アンモニア、酢酸ガスの外にも硫化水素(HS)その他のガスが挙げられる。臭気ガスの吸着により脱臭材として用いることもできる。
漆喰その他の壁原料中に混合して用いた場合であってもガス吸着能は保持される。従って、かかる場合、シックハウスの原因ガスの吸着を行うことができ、シックハウス症の防止も可能となる。のみならず、部屋中の湿気分の吸着が行われ調湿効果を持たせることができる。
肥料乃至土壌中に混合させておけば、微生物その他により発生するガスを吸着し、脱臭効果を発揮させることができる。
図書館の適宜の場所にガスの吸着材を配置しておけば、館内の水分を吸着するため、印刷に使用する硫酸アルミニウムと水分との反応によって硫酸を生じ、硫酸の脱水作用による印刷物の劣化を防止することが可能となる。また、酢酸ガスも紙の劣化原因であるので、その点からも本願のガス吸着材は蔵書の劣化防止に有効性を発揮する。なお、薄いシート間に吸着材を挟み込みそれを本のカバーシートとして用いてもよい。

Claims (2)

  1. 炭化後において被炭化原料の骨格組織が残存した細孔構造を有し、炭化後におけるpHが6.73以上9.56未満であり、アンモニアの除去率が89.2%を超える吸着特性を有する籾殻の炭化物からなる油乃至ガスの吸着材であって、
    前記pHは、前記炭化後の籾殻1gを精製水200mLに入れ、スターラーで数分間撹拌し、pH値が落ち着いた時点で測定した値であり、
    前記アンモニアの除去率は、前記炭化後の籾殻1gを5Lテドラーバックに入れて密閉した後にシリンジを用いて脱気し、10w/v%のアンモニア水を20Lテドラーバックに注入して室温で1時間以上静置し、前記20Lテドラーバックより前記5Lテドラーバックへアンモニアガスを導入し、その導入直後よりの経過時間が180分となった時にガス検知管を用いて前記5Lテドラーバック内のガス濃度を測定して求めた値である、油乃至ガスの吸着材。
  2. 炭化後において被炭化原料の骨格組織が残存した細孔構造を有し、炭化後におけるpHが5.87以上7.87未満であり、アンモニアの除去率が91.7%を超える吸着特性を有する桐の炭化物からなるガスの吸着材であって、
    前記pHは、前記炭化後の桐1gを精製水200mLに入れ、スターラーで数分間撹拌し、pH値が落ち着いた時点で測定した値であり、
    前記アンモニアの除去率は、前記炭化後の桐1gを5Lテドラーバックに入れて密閉した後にシリンジを用いて脱気し、10w/v%のアンモニア水を20Lテドラーバックに注入して室温で1時間以上静置し、前記20Lテドラーバックより前記5Lテドラーバックへアンモニアガスを導入し、その導入直後よりの経過時間が180分となった時にガス検知管を用いて前記5Lテドラーバック内のガス濃度を測定して求めた値である、ガスの吸着材。
JP2015231103A 2010-02-02 2015-11-26 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材 Active JP6431469B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010021341 2010-02-02
JP2010021341 2010-02-02

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011552803A Division JP6002877B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016093811A JP2016093811A (ja) 2016-05-26
JP6431469B2 true JP6431469B2 (ja) 2018-11-28

Family

ID=44355439

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011552803A Active JP6002877B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材
JP2015231103A Active JP6431469B2 (ja) 2010-02-02 2015-11-26 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011552803A Active JP6002877B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP6002877B2 (ja)
WO (1) WO2011096444A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111981854A (zh) * 2020-08-24 2020-11-24 青岛南墅瑞英石墨有限公司 一种用于石墨高温提纯炉的进料装置

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013117524A (ja) * 2011-10-31 2013-06-13 Gaia Institute Of Environmental Technology Inc 放射性物質を吸収及びろ過する炭化物の製造方法及びその利用方法、並びに浄水器、及び水処理装置、及び機能性食品
JP5945121B2 (ja) * 2012-01-27 2016-07-05 株式会社ガイア環境技術研究所 ゴム補強材、およびゴム組成物
JP6216163B2 (ja) * 2012-11-22 2017-10-18 株式会社ガイア環境技術研究所 多孔質炭の凝集助剤、多孔質炭のろ過助剤及びこれらの製造方法、並びに水処理方法
EP3153469A4 (en) * 2014-06-03 2017-11-29 Gaia Institute Of Environmental Technology, Inc. Amorphous silicon for use in foods, drugs, cosmetics and feed, and production method and production device thereof
CN110603229B (zh) 2017-02-27 2022-03-08 格兰里斯水系统公司 活化的稻壳过滤器、过滤介质和方法
KR101986132B1 (ko) * 2018-06-26 2019-06-05 에이엠나노텍 주식회사 왕겨 연소산화장치

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02275710A (ja) * 1989-04-14 1990-11-09 Asao Tekkosho:Kk 有機化合物の微細な炭化粉末
JPH1156988A (ja) * 1997-06-10 1999-03-02 Morisaki Kogei Kk 調湿剤とそれを配置した家具類
JP4118379B2 (ja) * 1998-04-06 2008-07-16 株式会社ナカタ技研 炭化炉
JP3530516B2 (ja) * 2001-12-17 2004-05-24 株式会社 ア−ルテック 空気浄化用吸着材及び空気浄化装置
JP2003213269A (ja) * 2002-01-28 2003-07-30 Ebara Corp 高温炭化装置および高温炭化方法
JP2003292964A (ja) * 2002-04-02 2003-10-15 Meidensha Corp 加熱処理装置及び施設
JP4724032B2 (ja) * 2006-03-28 2011-07-13 株式会社東芝 有機性廃棄物処理システム
JP2008106221A (ja) * 2006-09-29 2008-05-08 Shinten Kogyo Kk 炭化装置
JP2007131529A (ja) * 2006-12-28 2007-05-31 Hinomaru Carbo Techno Co Ltd 活性化木炭の製造方法
JP5300221B2 (ja) * 2007-07-23 2013-09-25 株式会社一芯 中空活性炭及びその製造方法
MY156263A (en) * 2008-10-20 2016-01-29 Gaia Inst Of Environmental Technology Inc Carbonization apparatus and carbonization method

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111981854A (zh) * 2020-08-24 2020-11-24 青岛南墅瑞英石墨有限公司 一种用于石墨高温提纯炉的进料装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016093811A (ja) 2016-05-26
WO2011096444A1 (ja) 2011-08-11
JP6002877B2 (ja) 2016-10-05
JPWO2011096444A1 (ja) 2013-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6431469B2 (ja) 油乃至ガス吸着材の製造方法及び油乃至ガス吸着材
JP5632504B2 (ja) 炭化処理装置及び炭化処理方法
Yıldız et al. Pyrolysis and optimization of chicken manure wastes in fluidized bed reactor: CO2 capture in activated bio-chars
MX2014013561A (es) Carbon biogenico activado y metodos de fabricacion y uso del mismo.
DK2390301T3 (en) Reactor systems and method for the production of carbon-enriched solid product by increasing the carbon content
CN109679672A (zh) 一种催化热解有机固体废弃物制取气体燃料的反应系统及其方法
KR20090025212A (ko) 폐플라스틱·유기물의 분해방법, 분해장치 및 분해 시스템
CN106277667A (zh) 一种城市生活污泥资源化利用工艺
DK2507346T3 (en) DEVICE AND PROCEDURE FOR THERMOCHEMICAL HARMONIZATION AND GASATION OF MOISTURIZED BIOMASS
CN103663896A (zh) 一种利用污泥热解稳定重金属的方法与装置
JP2007075807A (ja) 有機物の連続再資源化装置及び排水処理装置
CN110092557A (zh) 一种污泥资源化利用处理系统及方法
JP4662338B2 (ja) 廃棄物複合ガス化処理システム及び方法
JP7344805B2 (ja) 吸着システム、および吸着方法
JP7117118B2 (ja) ガス化装置、有機物質製造装置、合成ガスの製造方法および有機物質の製造方法
Lee et al. Reduction of odor-causing compounds in wastewater using biochar: A review
JP2003286021A (ja) 高比表面積炭素材料の製造装置
JP5232212B2 (ja) 感染性廃棄物の処理装置
JP2012206011A (ja) 浄水材及びその使用方法、ならびにその製造方法
CN201625658U (zh) 带新型尾气处理装置的有机废弃物裂解碳化系统
CN110129077A (zh) 热解工艺
JP5901005B2 (ja) 桐炭サプリメント
JP2005058841A (ja) 脱硫装置、脱硫方法
JP2011068824A (ja) 有機性含水廃棄物の炭化設備
AU2018200824A1 (en) Valuable materials from solid organic waste (vmw)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160817

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20161017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170524

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170928

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20171122

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20180112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6431469

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250