JP2013176782A - 金属材料の接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも接合面が金属Aから成る第1の部材1と、少なくとも接合面が金属Bから成る第2の部材2と接合するに際して、接合面間にインサート材3を介在させた状態で、相対的に加圧しつつ加熱して、金属A及び金属Bのそれぞれとインサート材3の間で共晶反応を生じさせ、この共晶反応溶融物を金属A、Bの酸化皮膜1f、2fと共に接合面から排出して第1及び第2の部材1,2を接合する。
【選択図】図1
Description
例えば、各種電池や電気・電子機器の部品においては、電気抵抗が小さい銅やアルミニウム系金属などが用いられ、これら金属間の接合や、接触抵抗低減を目的に金や銀から成るめっきを施した部品を含む接合が考えられる。
また、高温はんだを適用することによって、部品の使用温度を高めることができなくはないが、貴金属を含有するはんだを用いた場合には、高コスト化を招くと共に、その成分組成によっては、高温保持した場合に金属間化合物やカーケンダルボイドを生成して、強度や耐久性が損なわれることがある。したがって、上記のような金属材料同士をろう材を用いることなく、直接的に接合することが望ましい。
また、酸素雰囲気で接合が行われるため、特殊なチャンバーが必要となり、設備コストが増加する点にも問題があった。
そして、両部材を相対的に加圧した状態で、上記した共晶反応を生じる温度に加熱することによって、両部材の接合界面に、上記共晶反応による溶融物を生成させ、当該溶融物と共に、上記金属A及び/又は金属Bの表面に生成された酸化皮膜を接合界面から排出して両部材を接合する。
したがって、両金属の清浄面を接触させ、382℃以上に加熱保持すると反応(共晶溶融)が生じ、Al−95%Znが共晶組成となるが、共晶反応自体は合金成分に無関係な一定の変化であり、インサート材の組成は共晶反応の量を増減するに過ぎない。
すなわち、加圧によって材料表面の微視的な凸部同士が擦れ合うことから、一部の酸化皮膜の局所的な破壊によって母材とインサート材が接触した部分から母材とインサート材成分金属の間に共晶溶融が生じる。
共晶組成は相互拡散によって自発的達成されるため、組成のコントロールは必要なく、必須条件は母材とインサート材金属の間に、低融点の共晶反応が生成することである。
但し、被接合部材の一方の少なくとも接合面がAuを主成分とする金属の場合には、当該金属とZnの間に共晶反応が生じることはなく、その接合面に酸化皮膜は生成していないことから、酸化皮膜を除去するために共晶反応が生じる必要もない。
すなわち、第1及び第2の部材としては、部材全体が上記金属A及び金属Bから成るものであっても、他の金属から成る部材の少なくとも接合面に、めっきやスパッタリング、溶射などの手段によって、上記金属Aや金属Bから成る層を形成したものであってもよい。このとき、金属A及び金属Bの表面には酸化皮膜1f、2fが生成している。金属A及び金属Bの一方がAuを主成分とする金属の場合には酸化皮膜の生成はない。
このインサート材3としては、上記金属Aに含まれるAu以外、すなわちAl、Cu及びAgのうちの少なくとも1種の金属元素と、上記金属Bに含まれる同様の金属元素のそれぞれと共晶反応を生じる金属であるZnを含むものであって、例えば、Znを主成分とする金属(純亜鉛、亜鉛合金)が用いられる。
すなわち、ZnとAlを含む合金系の共晶温度は低く(Zn−Al系合金では382℃、Zn−Al−Mg系合金では330℃)、このような低い温度で、母材の軟化や変形を惹起することなく、接合を阻害する酸化皮膜を接合界面から除去して、両部材を接合することができる。
インサート材3の厚さが20μmに満たない場合、酸化皮膜の排出が不十分となったり、接合部のシール性が低下し、接合中に酸化が進み接合部の強度特性を低下させたりする。一方、200μmを超えると、余剰部分の排出のために高い加圧力が必要となったり、界面への残存が多くなり、継ぎ手性能を低下させたりすることがある。
これに対し、重ね接合やスポット接合の場合には、接合部分から押し出されて、その周囲に残存してシール部となり、接合部のシール性向上に寄与することになる。
もちろん、真空中で行うことも可能であるが、真空設備が必要となるばかりでなく、インサート材の溶融により真空計やゲートバルブを損傷する可能性があるので、大気中で行うことがコスト的にも有利である。
また、接合温度については、高過ぎると、母材が溶け込むために液相が過剰に発生し、液相が過多になると接合界面に残存し、強度が得られなくなる傾向がある。具体的には、インサート材の融点以上、融点+100℃までの温度範囲が好ましい。
なお、金属Aと金属Bの表面には、それぞれ酸化皮膜1f、2fが生成している。
すなわち、図3(a)に示すように、台形状断面の凹凸構造として、凸部先端を略平面とすれば、応力集中度は若干低下するとしても、応力集中手段の形成が容易となり、加工費を削減することができる。
さらに、図3(c)に示すように、四角錐を縦横方向に並列させた凹凸構造を採用することもでき、凹凸構造の凸部先端が点状となることから、さらに応力集中度を高めて、酸化皮膜の破断性能を向上させることができる。
なお、微細凹凸の寸法、形状としては、アスペクト比(高さ/幅):0.001以上、ピッチ:1μm以上で、アスペクト比については0.1以上、ピッチについては10μm以上程度であることが望ましい。
これにより、図2(b)に示すように、微細凹凸1rの凸部先端が接触した部位の応力が局所的に急激に上昇し、加圧力をさほど増すことなく、第2の部材2cの酸化被膜2fが機械的に破壊され、亀裂Cが入る。この実施形態においては、微細形状1rを形成したことにより、接合時の加圧力を低減することができ、加圧力は、1MPa以上、30MPa以下が望ましい。
そして、この共晶溶融範囲が接合界面全体に拡がっていくことにより、第1及び第2の部材1、2の酸化被膜1f、2fが表面から除去され、図2(c)に示すように、酸化皮膜1f、2fの欠片が共晶溶融相中に分散する。
これによって、図2(e)に示すように、第1及び第2の部材1、2の直接的な接合が達成される。このとき、共晶反応生成物や酸化皮膜、インサート材に由来する金属などを含む微量の混合物が接合界面に残存することがあり得るが、接合接合条件の調整によって最小限に減らすことができる。なお、第1及び第2の部材1、2の直接的な接合部が形成されている限り、強度上の問題となることはない。
さらに、微細凹凸は、インサート材3の片面あるいは両面に形成することもでき、こうすることによって、第1及び第2の部材に微細凹凸の形成工程を加える必要がなくなるので、低コストの接合が可能になる。
一方、第2の部材としては、アルミニウム合金(A6061)から成る径10mm、長さ25mmの丸棒(金属B)と、同一寸法の無酸素銅から成る丸棒(金属B)と、この無酸素銅から成る丸棒の端面に厚さ3μmの銀めっき(金属B)を施したものをそれぞれ用いた。
なお、これら合金箔については、それぞれの成分を有する合金溶湯を高速で回転する金属ロールに吹き付けることによって得られた厚さ約20μmの急冷箔帯をそれぞれ所要の厚さとなるように重ねて使用した。
その結果については、従来のSn−Ag−Cuはんだの平均的な接合強度の下限を30MPaとし、この強度を超えるものを「○」、20MPaを超え、30MPaに満たないものを「△」、20MPaを下回るものを「×」としてそれぞれ評価した。これらを接合条件と共に表1に示す。
純銅製の第1の部材(金属A)と、微細凹凸を備えたアルミニウム合金製の第2の部材(金属B)との間に、インサート材として、厚さ100μmのZn−Al合金箔を介在させ、10MPaの加圧力のもとで、420℃×1分間の接合を行い、当該実施例1による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Cu合金箔に変更し、接合時の加圧力を2MPaとしたこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例2による突き合わせ継手を得た。
接合時の加圧力を20MPaとしたこと以外は、上記実施例2と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例3による突き合わせ継手を得た。
第2の部材(金属B)として、微細凹凸を形成することなく、接合面を鏡面加工したものを用い、接合時の加圧力を25MPaとしたことを除いて、上記実施例2と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例4による突き合わせ継手を得た。
インサート材の厚さを300μmとし、接合時の加圧力を10MPaとしたこと以外は、上記実施例2と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例5による突き合わせ継手を得た。
インサート材の厚さを300μmから20μmに変更したこと以外は、上記実施例5と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例6による突き合わせ継手を得た。
第1の部材(金属A)として、純銅製の丸棒端面に銀めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例7による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Ag合金箔に変更したこと以外は、上記実施例7と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例8による突き合わせ継手を得た。
第1の部材(金属A)として、純銅製の丸棒端面に金めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例9による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Mg合金箔に変更し、接合温度を400℃としたこと以外は、上記実施例9と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例10による突き合わせ継手を得た。
第2の部材(金属B)として、無酸素銅から成る丸棒を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例11による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Cu合金箔に変更したこと以外は、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例12による突き合わせ継手を得た。
第2の部材(金属B)として、微細凹凸を設けることなく、接合面を鏡面加工したものを用い、接合時の加圧力を25MPaとしたことを除いて、上記実施例12と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例13による突き合わせ継手を得た。
第1の部材(金属A)として、純銅製の丸棒端面に銀めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例11と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例14による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Cu合金箔に変更したこと以外は、上記実施例14と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例15による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al−Ag合金箔に変更したこと以外は、上記実施例14と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例16による突き合わせ継手を得た。
第1の部材(金属A)として、純銅製の丸棒端面に金めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例14と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例17による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Mg合金箔に変更し、接合温度を400℃としたこと以外は、上記実施例17と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例18による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Cu合金箔に変更したこと以外は、上記実施例17と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例19による突き合わせ継手を得た。
第2の部材(金属B)として、無酸素銅製の丸棒端面に銀めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例14と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例20による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Ag合金箔に変更したこと以外は、上記実施例20と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例21による突き合わせ継手を得た。
第1の部材(金属A)として、純銅製の丸棒端面に金めっきを施したものを使用したことを除いて、上記実施例20と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例22による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Mg合金箔に変更し、接合温度を400℃としたこと以外は、上記実施例22と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例23による突き合わせ継手を得た。
インサート材をZn−Al合金箔からZn−Al−Ag合金箔に変更したこと以外は、上記実施例22と同様の操作を繰り返すことによって、当該実施例24による突き合わせ継手を得た。
純銅製の第1の部材(金属A)とアルミニウム合金から成る第2の部材(金属B)との接合に際して、第2の部材に微細凹凸を形成することも、インサート材を介在させることもなく、上記実施例1と同様の条件で接合を実施した。
純銅製の丸棒端面に銀めっきを施してなる第1の部材(金属A)と無酸素銅製の丸棒端面に銀めっきを施してなる第2の部材(金属B)とを接合するに際して、接合面間にSn−Ag−Cuはんだを介在させた状態で、260℃に5分間加熱することによって両部材をろう付けした。
また、この実施例の範囲内では、接合温度が高くて加圧力が低い場合や、接合面の表面粗さに対するインサート材の厚さが過大な場合に、接合強度が低下する傾向が認められた。
1f 酸化皮膜
1r 微細凹凸
2 第2の部材(金属B)
2f 酸化皮膜
3 インサート材
4 排出物
Claims (8)
- 少なくとも接合面がAl、Cu、Ag及びAuから成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とする金属Aから成る第1の部材と、少なくとも接合面がAl、Cu、Ag及びAuから成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とする金属Bから成る第2の部材とを接合する(但し、Alを主成分とする金属同士、Auを主成分とする金属同士の接合を除く)に際して、
上記両部材の接合面間に、上記金属Aに含まれるAu以外の少なくとも1種の金属と、上記金属Bに含まれるAu以外の少なくとも1種の金属とそれぞれ共晶反応を生じる金属としてZnを含むインサート材を介在させ、両部材を相対的に加圧した状態で、上記共晶反応を生じる温度に加熱して、両部材の接合界面に共晶反応による溶融物を生成させ、当該溶融物と共に、上記金属A及び/又は金属Bの表面に生成された酸化皮膜を接合界面から排出して両部材を接合することを特徴とする金属材料の接合方法。 - 上記インサート材がZnを主成分とする金属であることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
- 上記インサート材がZnと、Al、Mg、Cu、Ag及びSnから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属を主成分とする合金であることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
- 上記インサート材がZn及びAlを主成分とする合金であることを特徴とする請求項3に記載の接合方法。
- 上記インサート材がZn、Al及びMgを主成分とする合金であることを特徴とする請求項3に記載の接合方法。
- 上記金属Aと金属Bとが同種材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の接合方法。
- 上記インサート材の厚さが20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の接合方法。
- 上記接合面及びインサート材表面の少なくとも一部に微細凹凸を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の接合方法。
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