JP2013173822A - ポリエステル樹脂組成物成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時のヒケが少なく、寸法安定性に優れた難燃性のポリエステル樹脂組成物成形体を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物成形体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物成形体に関するものであり、さらに詳しくは、特異なモルフォロジーを有し、成形時のヒケが少なく、寸法安定性に優れた難燃性のポリエステル樹脂組成物成形体に関するものである。
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び電気絶縁性等に優れており、また優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、電気電子機器部品、自動車部品その他の電装部品、機械部品等に広く用いられている。特に、電気電子機器分野では、火災に対する安全を確保するため難燃性が極めて重要である。
熱可塑性ポリエステル樹脂を難燃化するには、通常、ハロゲン系難燃剤や無機系難燃剤等が配合されるが、これらは熱可塑性ポリエステル樹脂の耐トラッキング性等の電気特性を低下させる傾向にある。
耐トラッキング性の改良を試みた材料としては、例えば、特許文献1には、熱可塑性ポリエステル樹脂、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体を含む樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、慣用の難燃剤、タルク、カオリン、シリカ等の充填剤、ガラス繊維等の繊維状充填剤を添加してもよいことが記載されており、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、フッ化エチレン系重合体、ポリオレフィン及びケイ酸金属塩系充填剤とガラス繊維からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3には、熱可塑性ポリエステル樹脂、圧縮微粉タルク、ハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤からなる樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、繊維状強化剤を添加してもよいことが記載されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物は、いずれも、成形時のヒケの問題があり、必ずしも充分に満足できるものではなかった。
特開平7−196859号公報 特開平10−67925号公報 特開平10−158486号公報
本発明は、成形時のヒケが少なく、寸法安定性に優れた難燃性ポリエステル樹脂組成物成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、種々のポリエステル樹脂組成物の組成とその成形体のモルフォロジーについて鋭意検討を重ねてきた結果、樹脂組成物成形体のモルフォロジーがヒケや難燃性の発現効果やその他の特性に大きく関係していることを見出し、臭素系難燃剤とアンチモン化合物をそれぞれ特定量含有するポリエステル樹脂組成物において、特定のモルフォロジーを有する成形体が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下のポリエステル樹脂組成物成形体が提供される。
[1]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物成形体。
[2]成形体コア部における臭素系難燃剤(B)分散相の平均径が5μm以下である上記[1]に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[3]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主成分が、ポリブチレンテレフタレートである上記[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[4]臭素系難燃剤(B)が、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレンからなる群より選ばれ少なくとも1種である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[5]アンチモン化合物(C)が、三酸化アンチモンである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、成形時のヒケが少なく、寸法安定性に優れ、難燃性が良好である。
このため、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、電気電子機器用の絶縁部品として、例えば、電子電気機器部品の筐体、コネクター、リレー、スィッチ、センサー、アクチュエーター、ターミナルスイッチ等に好適に使用することができる。
実施例1で得た成形体のコア部の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得た成形体のコア部の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得た成形体の表層部の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得た成形体の表層部の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得た成形体の表層部の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得た成形体の表層部の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得た成形体のコア部の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得た成形体の表層部の走査型電子顕微鏡写真である。
[1.発明の概要]
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とする。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、このように臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相が熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを形成することで、成形時のヒケの問題が生じにくいものと推察される。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
[2.熱可塑性ポリエステル樹脂(A)]
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体の主成分である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等のエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
なかでも好ましいのは、酸性分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートである。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、その主成分がポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
また、イソフタル酸、ダイマー酸、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が共重合されているものも好ましい。なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜30モル%である。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるのが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものが好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物成形体が機械強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。なお、熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
[3.臭素系難燃剤(B)]
本発明において、ポリエステル樹脂組成物が含有する臭素系難燃剤(B)としては、従来公知の任意の、熱可塑性ポリエステル樹脂に使用される臭素系難燃剤を用いることが出来る。この様な臭素系難燃剤としては、具体的には、例えば、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー等の臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、ペンタブロモポリベンジルアクリレート等の臭素化ベンジルポリ(メタ)アクリレート、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(EBTPI)等の臭素化イミド、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA等が挙げられる。
これらの中でも本発明のモルフォロジー構造を形成しやすい点及び熱安定性の良好な点から、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ及び臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化ポリカーボネート及び臭素化エポキシがより好ましい。
臭素化ポリカーボネートとしては、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は4−t−ブチルフェニル基や2,4,6−トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6−トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
また臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート繰り返し単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、通常、2〜30である。カーボネート繰り返し単位数の平均が小さいと、溶融時にポリエステル樹脂の分子量低下を引き起こす場合がある。逆に大きすぎてもポリカーボネートの溶融粘度が高くなり、成形体内の分散不良を引き起こし成形体外観、特に光沢性が低下する場合がある。よってこの繰り返し単位数の平均は、中でも3〜15、特に3〜10であることが好ましい。
上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲン又は有機基で置換されていてもよい。
臭素化エポキシとしては、例えば、臭素化ビスフェノール、好ましくはテトラブロモビスフェノールAを出発原料とし、その分子末端にエポキシ基を有する臭素化エポキシが代表的であり、オリゴマータイプやポリマータイプのものも好ましい。
このような臭素化エポキシは、従来公知の任意の方法により、合成することができ、例えば、臭素化ビスフェノールA、または必要に応じてビスフェノールAを併用し、これらにエピクロルヒドリンを縮合させて臭素化ビスフェノールAグリシジルエーテルとし、更にそのエポキシ基1当量に対して、臭素化ビスフェノールAをその水酸基が例えば0〜0.96当量になるように混合し、塩基性触媒、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリブチルアミン等の存在下で、100〜250℃程度の範囲で加熱反応させることにより得ることができる。
臭素化エポキシの質量平均分子量としては2,000〜60,000が好ましく、4,000〜40,000がより好ましく、6,000〜30,000がさらに好ましい。
臭素化ポリスチレンとしては、好ましくは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有する臭素化ポリスチレンが挙げられる。
(式(1)中、tは1〜5の整数であり、nは繰り返し単位の数である。)
なお、上記一般式(1)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニルモノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニルモノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
臭素化ポリスチレンの具体例としては、例えば、ポリ(4−ブロモスチレン)、ポリ(2−ブロモスチレン)、ポリ(3−ブロモスチレン)、ポリ(2,4−ジブロモスチレン)、ポリ(2,6−ジブロモスチレン)、ポリ(2,5−ジブロモスチレン)、ポリ(3,5−ジブロモスチレン)、ポリ(2,4,6−トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5−トリブロモスチレン)、ポリ(2,3,5−トリブロモスチレン)、ポリ(4−ブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,4−ジブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,5−ジブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,4,6−トリブロモ−α−メチルスチレン)およびポリ(2,4,5−トリブロモ−α−メチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(2,4,6−トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5−トリブロモスチレン)および平均2〜3個の臭素基をベンゼン環中に含有するポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレンが特に好ましく用いられる。
臭素化ポリスチレンは、通常、ポリスチレンを臭素化することにより製造される。例えば、臭素又は塩化臭素等とポリスチレンを、ルイス塩基酸触媒の存在下、塩化炭化水素溶媒(例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン等)中で反応させることで製造される。
また、一方、臭素化スチレンモノマー(例えば、2,4−ジブロモスチレン、2,6−ジブロモスチレン、2,5−ジブロモスチレン、3,5−ジブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,3,5−トリブロモスチレン等)を重合することにより製造することも可能である。
臭素化ポリスチレンは、上記臭素化反応によるもの或いは重合法によるものの何れであってもよいが、芳香環以外への臭素化反応の問題や遊離の臭素(原子又は化合物)の含有量が少なく、またその後の加熱や成形の過程で発生する遊離の臭素(原子又は化合物)が少ないので、重合法による臭素化ポリスチレンの方が好ましい。
臭素化ポリスチレンは、上記一般式(1)における繰り返し単位の数n(平均重合度)が30〜1,500であることが好ましく、より好ましくは150〜1,000、特に300〜800のものが好適である。平均重合度が30未満ではブルーミングが発生しやすく、一方1,500を超えると、分散不良を生じやすく、機械的性質が低下しやすい。また、臭素化ポリスチレンの質量平均分子量(Mw)としては、10,000〜200,000程度であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。
特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、質量平均分子量(Mw)は50,000〜70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、質量平均分子量(Mw)は10,000〜30,000程度であることが好ましい。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
臭素系難燃剤(B)の質量平均分子量(Mw)は、10,000〜200,000程度であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
臭素系難燃剤(B)は、臭素濃度が50〜70質量%であることが好ましく、51〜65質量%であることがより好ましく、52〜60質量%であることがさらに好ましい。臭素濃度をこのような範囲とすることにより、難燃性を良好に保つことが容易である。
また、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定される臭素系難燃剤(B)中の遊離臭素の含有量は、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。遊離臭素の含有量が2質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の遊離臭素量が多くなり、樹脂組成物の処理時や成形時等の高温になる際に脱離し、樹脂組成物成形体の耐熱変色性、色調及び耐光変色性を悪化させたり、成形時に金型等の金属腐食や金型汚染を引き起こす場合があり、さらに、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して製造しにくくなる傾向にある。また、遊離臭素の含有量を0質量%まで除去することは、経済性を度外視するような精製を必要とするので、含有量の下限は、通常0.001質量%であり、0.005質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.5質量%である。
また、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定される臭素系難燃剤(B)中の遊離塩素の含有量は、0.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.08質量%以下であることがさらに好ましく、0.03質量%以下であることが特に好ましい。臭素系難燃剤(B)中の塩素の含有量が0.2質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の塩素含有量が多くなりすぎ、耐トラッキング性、靭性、耐金属腐食性、耐金型汚染性が悪くなる傾向にあり、また、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して製造しにくくなる傾向にある。
さらに、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定される臭素系難燃剤(B)中の遊離硫黄の含有量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以下であることがさらに好ましい。臭素系難燃剤(B)中の硫黄の含有量が0.1質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の硫黄含有量が多くなりすぎ、耐トラッキング性、耐金属腐食性、耐金型汚染性が悪くなる傾向にあり、また、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して製造しにくくなる傾向にある。
なお、燃焼イオンクロマトグラフィー法による測定は、具体的には、三菱化学アナリテック(株)製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で臭素系難燃剤(B)加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス(株)製「ICS−90」を用いて定量することにより求めることができる。
臭素系難燃剤(B)中の不純物である塩素化合物の含有量は、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、さらには0.05質量%以下、特には0.03質量%以下とすることが好ましい。このような臭素系難燃剤を使用することにより、本発明で規定のモルフォロジー構造を安定して形成しやすくなる。
不純物である塩素化合物は、クロロベンゼン、塩素化スチレン、塩素化ビスフェノール化合物等であり、例えば、臭素系難燃剤(B)が臭素化ポリカーボネートや臭素化エポキシの場合は塩素化ビスフェノール化合物である。なお、塩素化合物含有量は、270℃で10分間加熱後に発生するガスを、ガスクロマトグラフィー法により分析し、デカン換算の値として定量することができる。
臭素系難燃剤(B)のSP値は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に近いことが好ましい。臭素系難燃剤(B)としては、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)のSP値との差が2以下であるものがより好ましく、1.5以下であるものがさらに好ましく、1.2以下であるものが特に好ましい。このような臭素系難燃剤(B)を用いることにより、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成しやすくなる。なお、SP値は、R.F.Fedors, Polymer Engineering and Science, February,1974, Vol.14,No.2,147−154に記載のFedor式による計算値である。
臭素系難燃剤(B)は、成形体中において、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中に分散して存在するモルフォロジー構造を構成することとなる。
臭素系難燃剤(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、3〜60質量部である。含有量が3質量部未満であると充分な難燃効果が得られず、また、60質量部を超えると機械的強度が低下する。臭素系難燃剤(B)の好ましい含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部、特に好ましくは15〜30質量部である。
[4.アンチモン化合物(C)]
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、難燃助剤であるアンチモン化合物(C)を含有する。
そして、アンチモン化合物(C)は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中に分散して存在しているモルフォロジーを構成し、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)とは、それぞれ独立して、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中に分散して存在している。
アンチモン化合物(C)としては、アンチモン化合物(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、三酸化アンチモンが好ましい。
アンチモン化合物(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、より好ましくは0.7〜18質量部、さらに好ましくは1〜15質量部、特には2〜10質量部、最も好ましくは3〜8質量部である。
ポリエステル樹脂組成物中の臭素系難燃剤(B)由来の臭素原子と、アンチモン化合物(C)由来のアンチモン原子の質量濃度は、両者の合計で通常3〜25質量%であり、4〜22質量%であることが好ましく、5〜16質量%であることがより好ましく、6〜15質量%であることがさらに好ましい。3質量%未満であると難燃性が低下する傾向があり、16質量%を超えると機械的強度や耐トラッキング特性が低下する場合がある。また、臭素原子とアンチモン原子の質量比(Br/Sb)は、0.3〜5であることが好ましく、0.3〜4であることがより好ましい。
[5.樹脂組成物成形体のモルフォロジー]
上記したように、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体のモルフォロジーの観察は、光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)などにより成形体断面を観察することで測定でき、好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される。
具体的には、SEM/EDX分析装置を用い、成形体断面のコア部(深さ0.2mm未満の表層部を除く部分で、断面の中心部、樹脂組成物流動方向に垂直な断面。)を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により観察される。
図1は、そのモルフォロジーの一例を示すものであって、本発明の実施例1で得られた成形体のコア部のSEM/EDX分析による反射電子像の写真(倍率10,000倍)である。図1中、連続相(マトリックス相)を構成しているのは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)であり、そのマトリックス中に、薄い色で存在する丸い島状のものが臭素系難燃剤(B)(図1では臭素化ポリカーボネート)の独立した分散相であり、明るく白くなった部分はアンチモン化合物(C)(図1では三酸化アンチモン)であり、これも独立して分散して存在していることが確認される。
また、図2は、本発明の実施例2で得られた成形体のコア部のSEM/EDX分析による反射電子像の写真(倍率10,000倍)である。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が連続相(マトリックス相)を形成し、そのマトリックス中に、同様に、薄い白色で存在する丸い島状のものが臭素系難燃剤(B)(図2では臭素化エポキシ)の分散相であり、明るく白くなった部分がアンチモン化合物(C)(図2では三酸化アンチモン)であり、いずれも独立して分散して存在していることが確認できる。
臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)がそれぞれ独立して分散して存在していることは、上記したSEM/EDXモードによる反射電子像の画像から、臭素原子(Br)でマッピングした画像とアンチモン原子(Sb)でマッピングした画像を対比することによっても確認することができる。
このような臭素系難燃剤(B)の成形体コア部における分散相の平均径は、通常10μm以下であり、8μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは4μm以下である。
また、成形体コア部におけるアンチモン化合物(C)の分散平均径は、4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、特には2μm以下である。
臭素系難燃剤(B)分散相やアンチモン化合物(C)相の粒径等は、反射電子像で得られた像に対し、コントラストを強調あるいは、明暗の調整または両方の調整を像に施すことにより読み取ることができる。
臭素系難燃剤(B)分散相やアンチモン化合物(C)相の粒径は、分散相の50個以上の粒子径を測定し、算術平均して算出される。分散相が円状でない場合は、長径と短径を測定し、平均値をその粒子の粒径とする。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、コア部に限らず、成形体の表層部においても、臭素系難燃剤(B)相及びアンチモン化合物(C)がそれぞれ分散して存在しており、臭素系難燃剤(C)が流れ方向に配向することがないのが好ましい。そしてこのことが成形時にヒケを起こしにくいという効果をよりもたらしやすい。ここで、「表層部」とは、成形体の表面から深さが0.2mm未満の部分をいう。
成形体の表層部のこのような好ましいモルフォロジーは、例えば、図3及び図4を観察することにより確認できる。図3及び図4は、本発明の実施例1で得られた成形体の表層部の反射電子像の写真(倍率5,000倍及び10,000倍)である。
図3において、成形時の樹脂の流れ方向は図3の上から下への方向であり、連続相(マトリックス相)を構成しているのは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)であり、その中に存在する薄い白色の島状のものが臭素系難燃剤(B)(図3では臭素化ポリカーボネート)の分散相であり、特に上下の流れ方向に伸びているような傾向は見られず、明るい白色のアンチモン化合物(C)(図3では三酸化アンチモン)も同様であり、配向していることは観察されない。また、図4は同じく表層部の写真(倍率10,000倍、樹脂の流れ方向は図4の左から右への方向)であり、臭素系難燃剤(B)分散相、アンチモン化合物(C)とも流れ方向あるいはその他の方向にも配向していることは観察されない。
このように、本発明の成形体は特異なモルフォロジーを有する。
図5及び図6は、本発明の実施例2で得られた成形体の表層部の反射電子像の写真(それぞれ、倍率5,000倍及び10,000倍)であり、臭素系難燃剤(B)が臭素化エポキシの場合も同様であった。
[6.成形体モルフォロジーの好ましい制御法]
本発明の成形体は、このようなモルフォロジー構造を有することによって、ヒケがない難燃性の成形体となる。
本発明の樹脂組成物成形体の製造に用いるポリエステル樹脂組成物は、押出機等の溶融混練機を用いた溶融混練法により製造することが好ましいが、ポリエステル樹脂組成物の原料各成分を混合して、単に混錬するだけでは、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成することは難しく、特別の方法により混錬することが推奨される。以下に、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成するための好ましい製造方法について、説明する。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)を所定の割合で混合後、ダイノズルが設けられた単軸又は二軸の押出機に供給後、溶融混錬し、ダイノズルから樹脂組成物を押出してストランド状とした後に、切断してペレットを製造する。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、20<(L/D)<100の関係を満足することが好ましく、30<(L/D)<70を満足することがより好ましい。かかる比が20以下では、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)が微分散しにくく、逆に100を超えても、臭素系難燃剤(B)の熱劣化が著しく、遊離臭素化合物の発生が増大し、微分散されにくくなる傾向があり好ましくない。
ダイノズルの形状も特に限定されないが、ペレット形状の点で、直径1〜10mmの円形ノズルが好ましく、直径2〜7mmの円形ノズルがより好ましい。
また、溶融混練時の樹脂組成物の溶融温度は200〜300℃であることが好ましく、210〜295℃であることがより好ましい。溶融温度が200℃未満では、溶融不十分となり、未溶融ゲルが多発しやすく、逆に300℃を超えると、樹脂組成物が熱劣化し、着色しやすくなる等好ましくない。
溶融混練時のスクリュー回転数は、100〜1,000rpmであることが好ましく、50〜800rpmがより好ましい。スクリュー回転数が100rpm未満であると、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)が微分散しにくい傾向にあり、逆に1,000rpmを超えても、アンチモン化合物(C)が凝集し、微分散しない傾向となり好ましくない。また、吐出量は5〜1,000kg/hrであることが好ましく、10〜900kg/hrがより好ましい。吐出量が5kg/hr未満であると、アンチモン化合物(C)の分散性が低下する傾向にあり、1,000kg/hrを超えても、アンチモン化合物の再凝集により、分散性が低下する傾向となり好ましくない。
ダイノズルにおける樹脂組成物のせん断速度は、10〜10,000sec-1であることが好ましく、50〜5,000sec-1であることがより好ましく、70〜1,000sec-1であることがさらに好ましい。せん断速度を上記の範囲とすることにより、アンチモン化合物(C)、臭素系難燃剤(B)の再凝集を抑制し、本発明で規定するモルフォロジーを安定して形成しやすい傾向にあり好ましい。かかるせん断速度は、一般的に樹脂組成物の吐出量とダイノズルの断面の形状より決定されるものであり、例えば、ダイノズルの断面が円形の時は、γ=4Q/πrにより算出することができる。ここで、γはせん断速度(sec-1)、Qはダイノズル1本当たりの樹脂組成物の吐出量(cc/sec)、rはダイノズル断面の半径(cm)をそれぞれ表す。
ダイノズルからストランド状に押し出された樹脂組成物は、ペレタイザー等により切断しペレット形状とするが、本発明においては、切断時のストランドの表面温度が60〜150℃、特に70〜150℃となるようにストランドを冷却することが好ましい。通常空冷、水冷等の方法により冷却されるが、冷却効率の点で、水冷することが好ましい。かかる水冷にあたっては、水を入れた水槽中にストランドを通して冷却すればよく、水温と冷却時間を調整することにより、所望のストランド表面温度とすることができる。このようにして製造されたペレットの形状は、円柱状の場合は径が好ましくは1〜8mm、より好ましくは2〜6mm、さらに好ましくは3〜5mm、長さが好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜6mm、さらに好ましくは3〜5mmである。
また、本発明においては、上記ダイノズルにおけるせん断速度γ(sec-1)と上記ストランド切断時のストランドの表面温度T(℃)との関係が、
1×10<(γ・T)<9.9×10
の関係を満足することにより、アンチモン化合物(C)が臭素系難燃剤(B)に包埋され、電気絶縁性、靱性、難燃性が向上する傾向にあり好ましい。(γ・T)の値を上記範囲とすることにより、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成しやすい傾向となる。また、樹脂組成物の各成分の分散不良による成形品表面の肌荒れ現象や、アンチモン化合物(C)、臭素系難燃剤(B)の再凝集による靱性の低下を抑制しやすく、さらに、機械的特性、難燃性及び絶縁特性等を良好に保つことが容易となる。(γ・T)の下限は1×10であることがより好ましく、上限は8.5×10であることがより好ましい。
(γ・T)の値を上記の範囲に調整するためには、上記のせん断速度とストランドの表面温度を調整すればよい。
本発明においては、上記の好ましい条件を単独でも、また複数を組み合わせて適用することにより、本発明で規定するモルフォロジー構造を有するポリエステル樹脂組成物を製造することができるが、中でも、(γ・T)の値が上記式を満たすような製造条件を採用することが効果的である。
このようなポリエステル樹脂組成物の製造方法を採用することにより、本発明で規定するモルフォロジー構造を有するポリエステル組成物成形体を安定して製造することができる。しかし、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造は、かかる方法に限られるものではなく、本発明が規定するモルフォロジー構造が得られる限り、他の方法を用いてもよい。
また、本発明のモルフォロジー構造を有する成形体を安定して形成しやすくするには、以下の1)〜4)の方法・条件を適用したポリエステル樹脂組成物を用いて成形体を製造することも好ましい。
1)臭素系難燃剤(B)として、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ又は臭素化ポリスチレンを、特には臭素化ポリカーボネート又は臭素化エポキシを使用する。これらのSP値はそれぞれ、23.6、24.4であり、熱可塑性ポリエステル樹脂とSP値が近く相溶性が良いので、分散性が向上し、微分散しやすい。
2)臭素系難燃剤(B)中の不純物である塩素化合物の含有量を、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、さらには0.05質量%以下、特には0.03質量%以下とすることが好ましい。このように制御することで、本発明で規定のモルフォロジー構造を安定して形成しやすくなる。
不純物である塩素化合物は、クロロベンゼン、塩素化スチレン、塩素化ビスフェノール化合物等であり、例えば、臭素系難燃剤(B)が臭素化ポリカーボネートや臭素化エポキシの場合は塩素化ビスフェノール化合物である。このような塩素化合物が上記量以上存在すると、本発明のモルフォロジー構造を安定して形成しにくくなる。なお、塩素化合物含有量は、270℃で10分間の加熱により発生したガスを、ガスクロマトグラフィー法により分析し、デカン換算の値として定量することができる。
3)ポリエステル樹脂組成物中の遊離の臭素、塩素、硫黄の量を特定量以下にすることもモルフォロジー構造を安定して形成しやする上で有効である。遊離の臭素の量は、800ppm以下とすることが好ましく、700ppm以下がより好ましく、650ppm以下がさらに好ましく、480ppm以下が特に好ましい。また、含有量を0ppmまでに除去することは、経済性を度外視するような精製を必要とするので、その下限量は、通常1ppmであり、好ましくは5ppmであり、より好ましくは10ppmである。
遊離の塩素の量は、500ppm以下とすることが好ましく、350ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましく、150ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の塩素含有量は、塩素がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。塩素は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気、樹脂の冷却水等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、500ppm以下と制御することが好ましい。
また、遊離の硫黄の量は、250ppm以下とすることが好ましく、200ppm以下がより好ましく、150ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の硫黄含有量は、硫黄がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。硫黄は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、250ppm以下と制御することが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂組成物中の遊離臭素、塩素、硫黄の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定することができる。具体的には、三菱化学アナリテック(株)製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で樹脂組成物を加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス(株)製「ICS−90」を用いて定量することにより求めることができる。
4)また、アンチモン化合物(C)として、三酸化アンチモンを使用する。
これら1)〜4)の方法・条件は、これを単独でも、また複数を組み合わせて適用することも好ましく、また前記した樹脂組成物の製造条件と組み合わせて適用することでもより可能となる。
[7.安定剤]
ポリエステル樹脂組成物は、さらに安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
特にリン系安定剤を含有すると、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と臭素系難燃剤(B)との相互の相溶性を格段に向上させることができ、さらに、意外なことに、厚肉成形体においてもヒケの少ない成形体が得られる。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3−nP(=O)OH
(式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)で表される化合物である。
より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA(株)の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
O−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤としては、前述したように、優れた相溶性を発揮し、ヒケの改善が顕著にみられるオクタデシルアシッドホスフェートが特に好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
安定剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜1質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.001〜0.7質量部であり、更に好ましくは、0.005〜0.5質量部である。
[8.その他の難燃剤]
ポリエステル樹脂組成物は、臭素系難燃剤(B)以外の他の難燃剤を含有することもできる。他の難燃剤としては、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等があげられ、リン系難燃剤が好ましい。
リン系難燃剤としては、例えば、エチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等の、(ジ)ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミンに代表されるメラミンとリン酸との反応生成物、リン酸エステル、ホスファゼン等が挙げられ、中でも、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、環状フェノキシホスファゼン、鎖状フェノキシホスファゼン、架橋フェノキシホスファゼン等のホスファゼンが熱安定性に優れる点から好ましい。
[9.無機充填材]
ポリエステル樹脂組成物には、無機充填材を含有させてその機械的特性を向上させることができる。無機充填材としては常用のものをいずれも用いることができる。具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維等の繊維状無機充填材が挙げられるが、中でもガラス繊維を用いることが好ましい。本発明においては、無機充填材は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、100質量部以下、中でも20〜80質量部を含有させることが好ましい。
[10.滴下防止剤]
ポリエステル樹脂組成物は、滴下防止剤を含有することも好ましい。滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。ポリテトラフルオロエチレンの具体例としては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より市販されている商品名「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業(株)より市販されている商品名「ポリフロン」あるいは旭硝子(株)より市販されている商品名「フルオン」等が挙げられる。
滴下防止剤の含有割合は、好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部である。滴下防止剤が0.1質量部未満では難燃性が不十分になりやすく、20質量部を超えると外観が悪くなりやすい。滴下防止剤の含有割合は、より好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
[11.離型剤]
ポリエステル樹脂組成物は、更に、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、金属膜密着性を阻害しにくいという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられ、中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、ポリエステル樹脂との相溶性等の点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイル等が挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基等が挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形体表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
[12.その他含有成分]
ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂組成物には、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することもできる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドエチレン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
[13.成形体]
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、その形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の成形方法自体は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられるが、特には射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法等の射出成形による方法が好ましく適用される。
射出成形において、本発明で規定するモルフォロジー構造を有する成形体とするためには、例えば、射出成形機のスクリュー構成、スクリューやシリンダー内壁の加工、ノズル径、金型構造等の成形機条件の選択、可塑化、計量、射出時等の成形条件の調整、成形材料への他成分の添加等、種々の方法が挙げられる。特に、可塑化、計量、射出時の条件として、例えば、シリンダー温度、背圧、スクリュー回転数、射出速度等を調整することが好ましい。例えば、シリンダー温度を調整する場合は、好ましくは230〜280℃、より好ましくは240〜270℃に設定する。背圧を調整する場合は、好ましくは2〜15MPa、より好ましくは4〜10MPaに設定する。スクリュー回転数を調整する場合は、好ましくは20〜300rpm、より好ましくは20〜250rpmに設定する。射出速度を調整する場合は、好ましくは10〜500mm/sec、より好ましくは20〜400m/secに設定することが好ましい。
このように、本発明の成形体は、ヒケの問題がなく、厚肉あるいは複雑な形状を必要とする用途にも広く採用することができ、電気機器、電子機器あるいはそれ等の絶縁性部品として特に好適である。
絶縁性部品としては、金属接点、銅版等と組み合わせることにより、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の有接点電気電子機器部品や電気電子機器の筐体として好ましく用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
(実施例1〜4)
以下の表1に記載の各成分を表2に記載の配合割合(質量部)になるように、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所(株)製「TEX30α」、スクリュー径32mm)、L/D=54.2)に25kg/hrにて供給した。押出機のバレル設定温度をC1〜C15、ダイを250℃、スクリュー回転数を200rpmとし、ノズル数4穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)211sec−1の条件下でストランドとして押出した。押出した直後のストランド温度は270℃であった。
押出されたストランドを、温度を30〜50℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で65℃まで冷却され(γ・T=1.4×10)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを、120℃で7時間加熱乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製「ネスタールSG75−SYCAP−M3A」)を用いてシリンダー温度250℃、金型温度60℃、射出圧150MPa、射出保圧時間15sec、冷却時間15sec、射出速度120mm/sec、背圧4MPa、スクリュー回転数80rpmの条件で、モルフォロジー観察用の60mm×60mm×厚さ3mmの平板状の試験片及び難燃性評価用の試験片を射出成形した。また、ヒケ評価用の大きさ60mm×60mm×6mm試験片は、上記乾燥後のペレットを、住友重機械工業社製「SE130DU−HP型」射出成形機を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒の条件で射出成形して作製した。
(比較例1)
以下の表1に記載の各成分を表2に記載の配合割合(質量部)になるように、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所(株)製「TEX44αII」、スクリュー径47mm、L/D=55.2)に300kg/hrにて供給した。押出機のバレル設定温度をC1〜C15、ダイを250℃、スクリュー回転数を230rpmとし、ノズル数10穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)1012sec−1の条件下でストランドとして押出した。押出した直後のストランド温度は290℃であった。
押出されたストランドを、温度を30〜50℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で125℃まで冷却され(γ・T=1.3×10)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを、120℃で7時間加熱乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製「ネスタールSG75−SYCAP−M3A」)を用いてシリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出圧150MPa、射出保圧時間15sec、冷却時間15sec、射出速度100mm/sec、背圧4MPa、スクリュー回転数100rpmの条件で、モルフォロジー観察用の60mm×60mm×厚さ3mmの平板状の試験片及び難燃性評価用の試験片を射出成形した。また、ヒケ評価用の大きさ60mm×60mm×6mm試験片は、上記乾燥後のペレットを、住友重機械工業社製「SE130DU−HP型」射出成形機を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で射出成形して作製した。
(1)モルフォロジー観察:
SEM/EDX分析装置を用い、得られた試験片断面のコア部(深さ0.2mm未満の表層部以外の部分で、断面の中心部の、樹脂組成物流動方向に垂直な断面)を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により観察し、臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)がそれぞれ独立して分散相を形成しているかどうかを観察した。また、臭素系難燃剤(B)分散相やアンチモン化合物(C)相の径は、各相の50個の粒子径を測定し、算術平均して算出した。なお、分散相が円状でない場合は、長径と短径を測定し、平均値をその径とした。
また、試験片表面から深さが0.2mmまでの表層部分について、加速電圧20kV、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により、臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)がそれぞれ独立して分散相を形成しているかどうかを観察した。
実施例1、2の成形体のコア部は、それぞれ図1、2に示すとおりであり、前述したように、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が連続相、臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)はそれぞれ独立して分散相を形成していることが確認できた。
さらに、前述したように、図3〜6から、表層部においても、臭素系難燃剤(B)相(白色部分)とアンチモン化合物(C)相(さらに白い部分)がそれぞれ独立して分散相を形成していることが確認できた。実施例3、4についても同様であった。
一方、比較例1の成形体コア部では、図7(倍率:3,000倍)に示すように、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が連続相、臭素系難燃剤(B)が分散相を形成し、アンチモン化合物(C)は臭素系難燃剤(B)分散相に包埋されているモルフォロジーを有することが確認できた。
さらに、比較例1の成形体表層部では、図8(倍率:3,000倍)に示すように、臭素系難燃剤(B)分散相(白色部分)が流れ方向に数珠状に伸び、この中にアンチモン相(さらに白い部分)が入り込んで包埋していることも確認できた。
さらに、以下の寸法安定性及び難燃性評価用の試験片についても、同様にモルフォロジー観察を行った結果、上記モルフォロジー観察用の60mm×60mm×厚さ3mmの試験片について行った場合と同様のモルフォロジー観察結果であることが確認された。
また、寸法安定性及び難燃性等の評価は以下のようにして行った。
(2)ヒケ:
上記記載の方法で得られた60mm×60mm×6mmの厚肉試験片中のヒケの有無を、目視にて観察した。ヒケが確認されなったものを「○」、ヒケが確認されたものを「×」として評価した。
(3)難燃性(UL94):
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み:0.75mm)を用いて難燃性を試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1及びV−2に分類した。V−0が最も難燃性が高い。
(4)臭素系難燃剤及び樹脂組成物中の遊離臭素、塩素、硫黄含有量:
燃焼イオンクロマトグラフィー法により定量した。三菱化学アナリテック(株)製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で臭素系難燃剤又はポリエステル樹脂組成物を加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス(株)製「ICS−90」を用いて測定した。
(5)臭素系難燃剤中の塩素化合物含有量:
臭素系難燃剤を約0.02g秤量し、サンプル管に入れ、島津製作所社製のTD−20、カラムUA1701を使用し、ヘリウム30ml/minの気流下、270℃で10分間熱処理し、−20℃に冷却したクライオトラップで発生ガス総量を捕集した。
条件としては、カラムUA1701(50℃×2分保持後、260℃まで10℃/10minで昇温後、さらに300℃まで5℃/10minで昇温)を使用し、注入口温度270℃で捕集したガスをGCに導入し、発生ガスのトータルイオンクロマトグラムを測定し、n−デカンを内部標準として検出量を作成し、塩素化合物含有量を定量した。
以上の評価結果を、表2に示す。
表2より以下のことが明白となる。即ち、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、ヒケが少ない難燃性の成形体であることが分かる。これに対し、本発明のモルフォロジーを有さない比較例の成形体は、本発明の効果を満足するものではないことが分かる。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、ヒケが少なく、寸法安定性に優れた難燃性成形体であるので、電気電子機器部品等における厚肉成形部品として特に好適に使用できる。また自動車部品や建材部品等にも好適に使用できるので、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (5)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、
    熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物成形体。
  2. 成形体コア部における臭素系難燃剤(B)分散相の平均径が5μm以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
  3. 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主成分が、ポリブチレンテレフタレートである請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
  4. 臭素系難燃剤(B)が、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレンからなる群より選ばれ少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
  5. アンチモン化合物(C)が、三酸化アンチモンである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
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