JP2013170147A - ショ糖芳香族モノカルボン酸エステル - Google Patents

ショ糖芳香族モノカルボン酸エステル Download PDF

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Abstract

【課題】非晶性樹脂や結晶性樹脂との相溶解性に優れ、それらの成形加工性、物性、柔軟性、耐衝撃性等を向上させるショ糖芳香族モノカルボン酸エステルであって、加熱による着色を抑えることのできる、熱安定性に優れたものを提供する。
【解決手段】ショ糖と、一般式(I)
Figure 2013170147

(式中、R1〜R5は、独立に、水素原子、アルキル基およびアルコキシ基から選択される基である。)
で示される芳香族モノカルボン酸とのエステルであって、6置換体以下の置換体の含有量が5重量%以上、かつ、ハロゲンの含有量が100ppm以下であるショ糖芳香族モノカルボン酸エステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、非晶性樹脂や結晶性樹脂との相溶解性に優れ、それらの成形加工性、物性、柔軟性、耐衝撃性等を向上させる、樹脂改質剤として有用なショ糖芳香族モノカルボン酸エステルであって、加熱による着色を抑えることのできる、熱安定性に優れたショ糖芳香族モノカルボン酸エステルに関する。
樹脂改質剤としては、ショ糖誘導体、例えば、ショ糖ベンゾエートが公知であり、非晶性樹脂、例えば、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの成形加工性、物性を向上させたり、結晶性ポリエステルの柔軟性、耐衝撃性を向上させることが知られている(特許文献1〜3)。
しかしながら、ショ糖ベンゾエートは、ショ糖誘導体であるが故に、これを改質剤として添加した場合、これら樹脂からなる製品の色相や、色相の熱安定性に課題があった。すなわち、ショ糖ベンゾエートは、一般的に有機溶媒を使用して製造されるが、まずその製造過程における、有機溶媒を除去する加熱工程で、着色が起こる。より具体的には、ショ糖ベンゾエートの融点が80〜90℃であることから、その製造過程で使用した有機溶媒の除去には、通常、100℃以上、好ましくは110℃以上の加熱が必要となるが、このような100℃以上の加熱条件においては、ショ糖ベンゾエートの着色が進行する。そして、この着色の程度は、ショ糖ベンゾエート中のエステル化度が低い成分の割合が増える、あるいは、平均エステル置換度が低くなるほど顕著になる傾向にある。また、仮に、特殊な処理設備(例えば薄膜蒸留装置)を用いて処理時間の短縮に努め、有機溶媒を除去する際のショ糖ベンゾエートの熱履歴を抑えることにより、可能な限り着色を抑制したとしても、ショ糖ベンゾエートを樹脂に添加した後に、該樹脂を加工、成形する際の熱履歴により、着色が起きてしまうという問題があった。
このため、ショ糖ベンゾエートは、光学的透明性が要求される樹脂の改質剤としては、決して満足のいくものではなかった。
特開昭52−81362号公報 特公昭62−15582号公報 特開平6−255274号公報
本発明は、非晶性樹脂や結晶性樹脂との相溶解性に優れ、それらの成形加工性、物性、柔軟性、耐衝撃性等を向上させる、樹脂改質剤として有用なショ糖芳香族モノカルボン酸エステルであって、加熱による着色を抑えることのできる、熱安定性に優れたショ糖芳香族モノカルボン酸エステルを提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意研究を進めた結果、ショ糖芳香族モノカルボン酸エステル中のハロゲンの含有量を低く抑えることにより、熱履歴を受けた際の着色を抑制できることを見出し、更に検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
ショ糖と、一般式(I)
Figure 2013170147
(式中、R1〜R5は、独立に、水素原子、アルキル基およびアルコキシ基から選択される基である。)
で示される芳香族モノカルボン酸とのエステルであって、6置換体以下の置換体の含有量が5重量%以上、かつ、ハロゲンの含有量が100ppm以下であるショ糖芳香族モノカルボン酸エステルに関する。
前記ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、平均置換度が5.0以上であるものが好ましい。
前記ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下であるものが好ましい。
前記ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、110℃、12時間加熱後の50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下であるものが好ましい。
また、本発明は、前記ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルを含んでなる樹脂改質剤に関する。
さらに、本発明は、50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下であるショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの製造方法であって、ハロゲンの含有量を100ppm以下とする工程を含んでなるショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの製造方法に関する。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、非晶性樹脂や結晶性樹脂との相溶解性に優れ、それらの成形加工性、物性、柔軟性、耐衝撃性等を向上させることができる一方、加熱による着色を抑えることができるという優れた特長を併せ持つ。したがって、光学的透明性が要求される樹脂の改質剤として用いることができる。
また、本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、ショ糖のアルコール部分のエステル化の割合が少なくとも、すなわち、低置換体の割合が比較的多くとも、熱安定性に優れた特性を示すという特長をも示すものである。
さらに、本発明の製造方法によれば、このような優れた特性を示すショ糖芳香族モノカルボン酸エステルを、特殊な処理設備(例えば薄膜蒸留装置)を使用することなく、簡便に製造することができるため、製造コスト面などにおいて工業的に有利である。
<目的物>
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの芳香族モノカルボン酸(I)において、R1〜R5は、それぞれ、独立に水素原子またはアルキル基であるものが好ましく、全てが水素原子である安息香酸またはその一つ(好ましくは、R3)がアルキル基で残りが水素原子であるものがより好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが挙げられ、このうち、炭素数1〜5のものが好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。アルコキシ基としては、炭素数炭素数1〜20のものが挙げられ、このうち、炭素数1〜5のものが好ましく、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基またはイソプロピルオキシ基である。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、ショ糖のアルコール部分のエステル化の割合が少なくとも、すなわち、例えば、低置換体の割合が比較的多くとも、優れた熱安定性を示すが、6置換体以下の置換体の割合は、例えば、95重量%以下であることが好ましく、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。なお、ここで6置換体とは、ショ糖の合計8個の水酸基のうち6個の水酸基が芳香族モノカルボン酸によるエステル化を受けたものをいう。本明細書においては、便宜上、6置換体以下の置換体を低置換体という。
また、本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、ショ糖のアルコール部分のエステル化の割合の平均値(以下、「平均エステル置換度」または「平均置換度」という)が小さくとも熱安定性に優れた特徴を示すが、平均エステル置換度は、例えば、5.0以上であり、好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上である。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおいて、ハロゲンの含有量は100ppm以下である。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、中でも、塩素の含有量が大きな影響を及ぼす。
好ましいハロゲンの含有量は、90ppm以下であり、より好ましくは60ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。好ましい塩素の含有量は、80ppm以下、より好ましくは55ppm以下、さらに好ましくは25ppm以下、さらに好ましくは17ppm以下である。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおいて、50%トルエン溶液における色相は30以下であることが好ましいが、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下である。また、本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおいて、110℃、12時間加熱後の、50%トルエン溶液における色相は30以下であることが好ましいが、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下である。色相が30を超えると樹脂改質剤として用いた際、該樹脂の外観(色相)、光学的透明性を低下させる傾向がある。
<製法>
(ハロゲン除去工程)
本発明に係るショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、ハロゲンの含有量を100ppm以下とする工程を含んでなる製造方法により、製造することができる。
ハロゲンの含有量を100ppm以下とする工程としては、当該目的を達しうる限り、通常この分野で用いられる如何なる方法も使用することができるが、そのような方法の具体例としては、例えば、ショ糖と芳香族モノカルボン酸とをエステル化反応に付して得られるエステル体を、水洗に付すことが挙げられる。当該水洗は常法により実施することができ、例えば、エステル化反応終了後の混合物に、水を加え、湯浴しながら攪拌した後、静置して水相を分離させ、これを除去することにより実施することができる。湯浴温度は、40〜60℃であることが好ましい。40℃以下では洗浄不足となる傾向があり、60℃以上ではエステルの分解が進む傾向がある。攪拌は、水相に、ハロゲン化物イオンやその他ハロゲンを含む化合物が移動するのに充分な時間であれば特に制限はなく、通常、30分程度行えば充分である。水洗の回数は、使用する原料、エステル反応条件などにより異なるが、不純物の少ない高純度な原料(例えば、高純度塩化ベンゾイル(>99.5%)など)を用いる場合には、通常、5回程度行えば充分である。
また、本発明において、ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおけるハロゲンの含有量を100ppm以下とするには、予めハロゲン含有量の少ない原料を使用することが有効である。したがって、エステル化剤として、高純度のハロゲン化芳香族モノカルボン酸を用いることが好ましい。そのような高純度のハロゲン化芳香族モノカルボン酸としては、例えば、高純度塩化ベンゾイル(>99.5%)(川口薬品(株)製)などが挙げられる。
上記のとおり、ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおけるハロゲンの含有量を100ppm以下とする工程を経た後、エステル化反応に用いた溶媒を常法により留去することにより、本発明の目的物を得ることができる。この場合において、ハロゲンの含有量が予め100ppm以下となっていることから、本発明においては、特殊な処理設備(例えば薄膜蒸留装置)などを用いることなく、常法により溶媒を留去しても、着色の抑制された、目的物を得ることができる。
(エステル合成)
本発明において、ショ糖と芳香族モノカルボン酸とのエステル化反応は、常法により実施することができ、例えば、特開昭61−4839号記載の蔗糖ベンゾエートの製造方法に準じて、製造することができる。
すなわち、原料であるショ糖と芳香族モノカルボン酸の塩化物とを、親水性溶媒と水との混液中、アルカリ性化合物の存在下、エステル化反応に付すことにより製造することができる。親水性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジオキサン、テトラハイドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、三級ブタノール等のアルコール系溶媒をいずれも好適に用いることができる。
アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
親水性溶媒と水との混合比率は、両者からなる均一液層の含水率が7〜80%となるようにすることが好ましい。なぜなら、これら親水性溶媒は、原料の一方である芳香族モノカルボン酸の塩化物や生成物であるエステルは溶解するものの、原料のもう一方であるショ糖は、単独では全く溶かさないかまたは反応効率の観点から実用に供さない程度にしか溶かさないところ、ショ糖の良溶媒である水を混合させることにより、該混液が実用に供する程度のショ糖を溶解することができるようになるからである。したがって、親水性溶媒のこのような性質を利用することにより、ショ糖と芳香族モノカルボン酸塩化物の反応速度を律することができ、その結果、ショ糖/芳香族モノカルボン酸の塩化物の仕込み量(モル比)に応じて、低置換体の割合や平均エステル置換度の異なるエステルを製造することができる。例えば、芳香族モノカルボン酸塩化物の仕込量をショ糖の仕込量に対して多くすることにより、低置換体の割合の相対的に少ないまたは平均エステル置換度の相対的に大きいエステル体を得ることができ、反対に、芳香族モノカルボン酸塩化物の仕込量をショ糖の仕込量に対して少なくすることにより、低置換体の割合の相対的に多いまたは平均エステル置換度の相対的に小さいエステル体を得ることができる。
反応の方法としては、親水性溶媒と水からなる混液に、ショ糖および芳香族モノカルボン酸塩化物を溶解または懸濁させ、芳香族モノカルボン酸塩化物と等量ないしは若干過剰のアルカリ性化合物を滴下するか、または混液にショ糖とアルカリ性化合物を溶解または懸濁させ、芳香族モノカルボン酸塩化物を滴下するか、または混液にショ糖を溶解または懸濁させ、芳香族モノカルボン酸塩化物とアルカリ性化合物とを同時または交互に滴下することができる。
反応温度は、−15℃〜100℃まで採用することができるが、より好ましくは、−10℃〜30℃である。ただし、全反応原料を滴下し終えた後は、反応の完結を促進させるため、高温域で加熱してもよい。
反応中のpHは弱アルカリ性に保つことが望ましい。一方、強アルカリ性下(例えば、反応温度等にもよるが、pH13以上など)では、芳香族モノカルボン酸の加水分解の副反応が著しいため、たとえば、pH8〜13程度で行うことが好ましい。
反応時間としては、原料同士の反応が十分反応を完結できる限り特に限定はない。具体的な時間は、原料化合物の量や種々の条件に依存するが、通常、1時間程度行えば十分である。
<用途>
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、樹脂改質剤として有用であり、特に、加熱による着色を抑えることができるという優れた特長を併せ持つので、光学的透明性が要求される樹脂の改質剤として用いることができる。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルを加える樹脂としては、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の非晶性樹脂の他、結晶性ポリエステル樹脂などの結晶性樹脂が挙げられる。樹脂はその用途に応じて適宜選択することができる。また、樹脂に添加する本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、樹脂の種類・用途に応じて、低置換体の割合やエステル置換度において、より相応しいものを適宜選択することができる。
ABS樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリル系ゴム(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等)と、アクリルニトリル、スチレン、アクリル酸、アクリル酸アマイド、2−クロロエチルビニルエーテル等との共重合体等ゴム状重合体に、アクリルニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、メタアクリル酸メチル等をグラフト重合させて得られるものが挙げられ、さらには、アクリルニトリル−ポリブタジエン−スチレン系のグラフト共重合体などが挙げられる。ABS樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル単量体と共重合し得るすべての単量体のうち1つ以上とランダム共重合あるいはブロック共重合して得られる塩化ビニル共重合樹脂(例えば酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等)、また上記の樹脂に水酸基などの官能基をグラフトさせて得られる樹脂やこうした官能基と反応性化合物を反応せしめグラフト結合させたものを挙げあることができる。ポリ塩化ビニル樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキルエポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等を挙げることができる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸またはその無水物とグリコールの付加反応または脱水縮合反応によって合成されるものである。また飽和ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸またはその無水物あるいはカルボン酸と反応するジシクロペンタジエンなども併用することができる。α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸の例としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。これらα,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と併用されるジカルボン酸の例としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸無水物、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸などが挙げられる。これらの中で、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸としてフマル酸、及びジカルボン酸としてイソフタル酸を併用することが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリ−1,4−ブチレンジフェニル−4,4’−ジカルボキシレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ−1,3−プロピレンテレフタレート、ポリ−1,6−ヘキシレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルが挙げられ、このうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナノフタレートが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、これら樹脂には、必要に応じて、衝撃強度改質剤、安定剤、滑剤、充填剤、顔料、発泡剤、紫外線安定剤等の各種添加剤を添加することができる。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの樹脂への配合割合は、樹脂100部に対して、1〜40部が好ましく、1〜30部がさらに好ましい。1部未満では、目的とする性能が得られない傾向があり、40部より多い場合には、長期保存などによるブリードアウトの可能性が高くなる。
本明細書において、単に「部」というときは、「重量部」を意味する。
ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルにおける「平均置換度」は、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)によって求めた値である。また、「低置換体」の割合を算出する際の各置換体の割合は、液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)によって求めた値である。また、ハロゲンの含有量(ppm)は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)により測定した値である。
実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<使用した原料>
ショ糖: ≧99.9%、新光製糖(株)製
塩化ベンゾイル(1):高純度品(>99.5%)、川口薬品(株)製
塩化ベンゾイル(2):通常品>99.0%、Jiangsu Qiangsheng Chemical Co., Ltd.製)
1.合成
実施例1
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:93.5%)>
撹拌棒、温度計、冷却コンデンサー、滴下漏斗、pHメーターに接続したpH電極を備えた1L五つ口フラスコにショ糖34.2部と水70部を仕込み溶解させた後、水浴で10℃以下に冷却しながら塩化ベンゾイル(1)75.0部を含むシクロヘキサノン100部を徐々に加えた。その後、20℃以下の温度に保ちながら、48%苛性ソーダ水溶液48.5部を滴下漏斗よりpHが10〜11に保たれるような速度で加えた。水浴を取り去り20〜30℃の室温で1時間撹拌を続け熟成して反応を完結させた後、若干量の炭酸ソーダを加え加熱して、微量に残っている塩化ベンゾイルを安息香酸ソーダに変換した。その後、約30分間静置させて、水相を分離させ、除去した。
新たに水70部を加え、湯浴で40〜50℃に昇温させ、30分撹拌した後、約30分間静置させて、水相を分離させ、除去した。同操作をさらに2回繰り返した後(合計の水洗回数:3回)、120℃に昇温し、減圧下溶媒を留去し、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
平均置換度、各置換体の割合および6置換体以下の割合、並びにハロゲン含有量を測定した(以下の実施例および比較例の目的物において同じ)。
実施例2
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:83.5%)>
塩化ベンゾイル(1) 82.1部および48%苛性ソーダ水溶液 53.1部を用い、さらに水洗回数を4回としたこと以外は実施例1と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
実施例3
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:49.8%)>
塩化ベンゾイル(1) 93.7部および48%苛性ソーダ水溶液 60.6部を用い、さらに水洗回数を2としたこと以外は実施例1と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
実施例4
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:9.0%)>
塩化ベンゾイル(1) 106.7部および48%苛性ソーダ水溶液 69.0部を用い、さらに水洗回数を4回としたこと以外は実施例1と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
比較例1
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:9.0%)>
水洗回数を1回としたこと以外は実施例4と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
比較例2
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:9.6%)>
塩化ベンゾイル(1)に代えて塩化ベンゾイル(2)を用い、さらに水洗回数を8回としたこと以外は実施例4と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
比較例3
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:9.6%)>
水洗回数を3回としたこと以外は比較例2と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
比較例4
<ショ糖ベンゾエート(6置換体以下の割合:6.0%)>
塩化ベンゾイル(1) 111.0部および48%苛性ソーダ水溶液 71.8部を用い、さらに水洗を行わなかったこと以外は実施例1と同様に処理して、標記ショ糖ベンゾエートを得た。
2.評価
<色相>
上記実施例および比較例で得た各エステル25gについて、JIS K2421記載の方法に準じて、その色相を判定した。すなわち、各サンプルをトルエンで50%に希釈し、該希釈液の色相が、肉眼で比べた場合において、同じと判断されるAPHA標準液の数値(ハーゼン色数:APHA)を記録した。
<色相安定性>
試験管に、上記実施例および比較例で得た各エステル5gを入れ、110℃のオイルバス中で12時間加熱した。こうして得た各サンプルについて、上記<色相>の項に記載したのと同じ方法で、その色相を判定した。
結果を表1および表2に示す。
Figure 2013170147
Figure 2013170147
表1に記載のとおり、本発明の実施例1〜4においては、製品色相がいずれもAPHA30以下と優れているのみならず、その後110℃で12時間加熱した後も、色相(APHA)に変化が見られず、高い熱安定性を示した。これに対し、上記表2に記載のとおり、比較例1〜4においては、加熱前後において、色相の大きな変化が観察され、しかもその程度は、ハロゲンの含有量が多い程、変化が大きくなる傾向が観察された。
本発明のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルは、非晶性樹脂や結晶性樹脂との相溶解性に優れ、それらの成形加工性、物性、柔軟性、耐衝撃性等を向上させることができる一方、加熱による着色を抑えることができるという優れた特長を併せ持つので、樹脂、特に光学的透明性が要求される樹脂の改質剤として、有用である。

Claims (6)

  1. ショ糖と、一般式(I)
    Figure 2013170147
    (式中、R1〜R5は、独立に、水素原子、アルキル基およびアルコキシ基から選択される基である。)
    で示される芳香族モノカルボン酸とのエステルであって、6置換体以下の置換体の含有量が5重量%以上、かつ、ハロゲンの含有量が100ppm以下であるショ糖芳香族モノカルボン酸エステル。
  2. 平均置換度が5.0以上である請求項1記載のショ糖芳香族モノカルボン酸エステル。
  3. 50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下である請求項1または2記載のショ糖芳香族モノカルボン酸エステル。
  4. 110℃、12時間加熱後の50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のショ糖芳香族モノカルボン酸エステル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のショ糖芳香族モノカルボン酸エステルを含んでなる樹脂改質剤。
  6. 50%トルエン溶液における色相がAPHA30以下であるショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの製造方法であって、ハロゲンの含有量を100ppm以下とする工程を含んでなるものである、ショ糖芳香族モノカルボン酸エステルの製造方法。
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