JP2013169976A - ガスバリア性包装方法および包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
内容物に対してガスバリア性の包装を施すガスバリア性包装方法は、内容物を、湿熱処理でガスバリア性を発揮するフィルムを用いて形成され、対象ガスの進入または抜けを検知するバリアインジケーターが設けられた包装袋で包装する包装工程S10と、包装袋および包装された内容物を所定の条件で湿熱処理して滅菌処理する滅菌工程S20とを備え、フィルムは、所定の条件で湿熱処理することによりガスバリア性を発揮することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このため、より低コストで、かつ確実に滅菌処理済であることおよびバリア性が保持されていることを確認できる包装方法が求められている。
本発明の他の目的は、上記ガスバリア性包装方法に好適に使用できる包装袋を提供することである。
前記湿熱処理としては、レトルト処理やボイル処理が好ましい。
前記バリアインジケーターは、印刷により前記前面部および前記後面部の少なくとも一方に設けられるのが好ましい。
本実施形態は、L−トリプトファンを含むアミノ酸輸液を内容物とし、この内容物にガスバリア性の包装を施す例である。
ベセーラの酸素透過度は、湿熱処理前は酸素バリア性を有するとは必ずしも言えない水準であるが、ボイル、レトルト処理等の所定条件の湿熱処理を施すと、コーティング層に生じた金属イオンがカルボン酸系樹脂層に移行し、樹脂を架橋させることによりガスバリア性を発現する。
湿熱処理の条件は70℃を超えることが必要であり、80℃以上が好ましい。温度の上限は特にないが、フィルムが耐えられる135℃前後が実質的上限となる。処理時間は内容物の殺菌、滅菌の要求により、10〜90分程度の範囲内で適宜設定してよい。
本実施形態のような目的の場合、ガスバリア性の指標としての酸素バリア性は、10cc/m2・day・MPa(30℃、70%RH)以下が好ましく、5cc/m2・day・MPa(30℃、70%RH)以下がより好ましい。
図2に当該包装袋の一例を示す。包装袋1はベセーラを含んで形成された前面部10および後面部20と、前面部10に設けられたバリアインジケーター11とを備えている。
滅菌工程S20の前に包装袋1内に存在する対象ガスは、公知の方法で除去しておくことが好ましい。たとえば、対象ガスが酸素の場合は、脱酸素剤を包装袋内に封入したり、窒素などの不活性ガスにより包装袋内のガスを置換したり、あるいは包装工程S10を無酸素環境下で行ったりすればよい。
また、ピンホール等の別の理由により包装袋1のバリア性が破綻している場合も、バリアインジケーター11に変化が生じるため、不良品として識別される。
したがって、本実施形態の包装方法によれば、ベセーラを含んで形成された包装袋1を用いて包装工程S10を行うことで、滅菌工程S20における滅菌のための熱処理と、他の目的の熱処理や意図しない熱履歴(例えば、輸送・保管中に高温にさらされる等)とを的確に区別して、滅菌のための熱処理の有無を確実に見分けることができる。
また、熱インジケーターが不要となり、バリアインジケーターのみ包装袋に設ければよいため、より低コストでありながら、信頼性は高く維持されたガスバリア性の包装を行うことができる。
(実施例)
包装袋1の前面部10および後面部20を形成するフィルムとして、凸版印刷株式会社製の商品名ベセーラET−140Rを準備した。前面部となるフィルムのコーティング層が形成された面に、メチレンブルーとアスコルビン酸を主成分とする酸素インジケーターをグラビア印刷法により設けた。フィルムの他の箇所には、同時に絵柄の印刷も施した。
適当なサイズの長方形に切断した2枚の上述の積層体を、シーラント層を対向させて重ねあわせ、三辺をヒートシールにより接合して、一辺が開口した本実施形態の包装袋を得た。
上述の実施例の包装袋を用いて様々な状態のサンプルを作成し、加熱処理や包装袋の状態とバリアインジケーターの色変化との関係について検討した。なお、実施例のバリアインジケーターは、無酸素下ではピンク色であり、酸素の存在下では青紫色となる。
各サンプルの作製手順を以下に示す。
窒素ガス雰囲気下で、包装袋に生理食塩水を密封包装したポリプロピレン製の輸液バッグを内容物として入れ、開口部をヒートシールにより密封した。したがって、この時点では包装袋内に酸素は殆ど存在していない。
密封した包装袋に対して湿熱処理(ボイル処理、70℃×10分)を施した。
(サンプル2)
湿熱処理の条件を、ボイル処理、90℃×30分とした以外は、サンプル1と同様に作製した。
(サンプル3)
湿熱処理の条件を、熱水式レトルト、120℃×30分とした以外は、サンプル1と同様に作製した。
(サンプル4)
湿熱処理の条件を、熱水式レトルト、135℃×90分とした以外は、サンプル1と同様に作製した。
(サンプル5)
サンプル2と同一条件で作製した包装袋の前面部に、針でピンホールを形成した。
(サンプル6)
サンプル3と同一条件で作製した包装袋の前面部に、針でピンホールを形成した。
(サンプル7)
サンプル1と同様の手順で密封した包装袋を90℃、20%RHの恒温恒湿槽に30分間保存して乾熱処理を施した。
(サンプル8)
サンプル1と同様の手順で密封した包装袋を処理せずそのまま使用した。
さらに、サンプル5および6では、包装袋を構成する積層体はガスバリア性を発現したものの、ピンホールから空気が進入したため、包装袋としてはガスバリア性が破綻し、バリアインジケーターの色が青紫色となった。
このような場合、バリアインジケーターとしては、pHインジケーターが用いられるが、上述の例と同様に、pHインジケーターのみで滅菌・消毒等の処理済みであることおよびガスバリア性が保持されていることの両方を確認することが可能である。
10 前面部
11 バリアインジケーター
20 後面部
S10 包装工程
S20 滅菌工程
Claims (4)
- 内容物に対してガスバリア性の包装を施すガスバリア性包装方法であって、
前記内容物を、湿熱処理でガスバリア性を発揮するフィルムを用いて形成され、対象ガスの進入または抜けを検知するバリアインジケーターが設けられた包装袋で包装する包装工程と、
前記包装袋および包装された前記内容物を所定の条件で湿熱処理して滅菌処理する滅菌工程と、
を備え、
前記フィルムは、前記所定の条件で湿熱処理することにより前記ガスバリア性を発揮することを特徴とするガスバリア性包装方法。 - 前記湿熱処理が、レトルト処理またはボイル処理であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性包装方法。
- 湿熱処理でガスバリア性を発揮するフィルムを用いて形成された前面部および後面部を有する包装袋であって、
前記前面部および前記後面部の少なくとも一方に設けられ、または前記包装袋内に配置されて対象ガスの進入または抜けを検知するバリアインジケーターを備えることを特徴とするガスバリア性包装袋。 - 前記バリアインジケーターは、印刷により前記前面部および前記後面部の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のガスバリア性包装袋。
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