JPH0834729B2 - 薬液容器収納体 - Google Patents

薬液容器収納体

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JPH0834729B2
JPH0834729B2 JP4315634A JP31563492A JPH0834729B2 JP H0834729 B2 JPH0834729 B2 JP H0834729B2 JP 4315634 A JP4315634 A JP 4315634A JP 31563492 A JP31563492 A JP 31563492A JP H0834729 B2 JPH0834729 B2 JP H0834729B2
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container
oxygen
chemical
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chemical solution
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龍夫 鈴木
啓之介 磯野
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SHINSOZAI SOGO KENKYUSHO KK
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SHINSOZAI SOGO KENKYUSHO KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬液容器収納体に関す
る。特に、高圧蒸気滅菌及び長期に渡って薬液の変質す
ることのない長期間保存用薬液容器収納体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、輸液等の医療において、内容液が
外界と接触することを防止するためにクローズドシテス
ムが用いられるようになってきている。このクローズド
シテスムに用いられる医療用の薬液入り容器は、重力と
容器の構造と容器の素材の柔軟性によって内容液を排出
することが必要である。また、この種の医療用の薬液入
り容器は、内容液を滅菌するために高圧蒸気滅菌に耐え
る耐熱性を有する必要がある。さらに内容液を外部から
監視できるように、透明な材料で形成されていることが
好ましい。従来の薬液入り容器は、ガラス瓶やガラスア
ンプルが中心であったが、クローズドシテスムに用いる
ことができるようにプラスチック製の薬液入り容器が市
場に出ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の薬液入りプラ
スチック容器は、内容液を滅菌するために通常は高圧蒸
気滅菌される。常温では、ガス透過性が低いプラスチッ
ク材料、例えばポリ塩化ビニルでも高圧蒸気滅菌時には
ガス透過性が高くなり、雰囲気内に存在する酸素がプラ
スチック材料で形成された容器壁を通って容器内に侵入
しやすくなる。また、常温においてもプラスチック容器
は、ガラス瓶やガラスアンプルに比べて、ガス透過性が
高いのでプラスチック容器をガスバリヤー性の高い包装
材料で包装しているが、それでも長期間保存しておくと
その雰囲気内に存在する酸素が徐々に容器壁を透過し容
器内に侵入してくる。容器内の薬液が、トリプトファン
を含む高濃度アミノ酸輸液剤や輸液用脂肪乳剤や酸素の
存在により酸化あるいは加水分解されやすい抗生物質を
含む輸液剤等の酸素によって酸化等による変質が起こり
やすい成分を含む場合には変質や変色の恐れが多い。
【0004】
【課題を解決するための手段】薬液が充填された薬液容
器と脱酸素剤が包装容器に収容され密封されてなる薬液
容器収容体において、薬液は酸素によって変質し易い成
分を含んでおり、薬液容器内に該容器内と薬液中の酸素
を不活性ガスで置換した状態で充填され、該薬液容器は
耐熱性を有する柔軟なプラスチック材料で形成された少
なくとも一つ以上の排出口を有し、包装容器は高い酸素
ガス非透過性と耐熱性と透明性を有し、薬液容器または
薬液容器および包装容器は高圧蒸気滅菌処理されてお
り、脱酸素剤は少なくともその周囲に空間が存在するよ
うに包装容器内に収容され、該脱酸素剤により、薬液容
器の外側と包装容器の内側で構成される空間において包
装容器を透過する酸素を除脱し薬液容器内への酸素の侵
入を防ぎ、薬液の酸素除脱状態を維持することを特徴と
する酸素による薬液の変質を長期間防止する長期保存用
薬液容器収容体を提供することにより前記問題点を解決
した。
【0005】
【作用】本発明者らは、高圧蒸気滅菌時及び滅菌後も長
期に渡って薬液が変質することがない薬液容器収納体を
開発すべく種々検討した結果、耐熱性を有する柔軟なプ
ラスチック材料で形成された少なくとも一つ以上の排出
口を有する容器に薬液を入れたものと脱酸素剤をとも
に、少なくとも前記脱酸素剤の周囲に空間が存在するよ
うに耐熱性と高い酸素ガス非透過性を有する包装容器に
封入することにより、高圧蒸気滅菌時に包装材料が酸素
を透過しやすい状態になっても薬液が変質することがな
いこと、また、滅菌後も長期に渡って薬液が変質するこ
とがないこと等を見い出し本発明を完成するに至った。
【0006】本発明の薬液容器は、高圧蒸気滅菌に供さ
れるから、滅菌の温度に耐え得る耐熱性を有する柔軟な
プラスチック材料で形成する必要がある。さらに、強
度、耐水蒸気透過性及び透明性に優れていることが好ま
しい。このような条件を満足するプラスチック材料に
は、軟質ポリ塩化ビニル、架橋されたエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン等が含まれ
る。
【0007】上記プラスチック容器に収容される酸素に
よって変質しやすい成分を含む薬液には、少なくとも一
種の高カロリー液剤成分(経中心静脈栄養成分)特にト
リプトファンを含む高濃度アミノ酸輸液剤や脂肪乳剤、
また酸素の存在により酸化あるいは加水分解されやすい
抗生物質を含む輸液剤等が含まれる。
【0008】上記プラスチック容器に前記薬液を分注す
る。このとき、容器内及び薬液中を不活性ガスで置換し
て実質的に容器内及び薬液中に酸素が存在しないように
して封をするのが好ましい。例えば、プラスチック容器
に薬液を注入後、薬液内に不活性ガスをバブリングする
ことにより容器内及び薬液中に酸素が存在しないように
する方法でもよいし、また、予め不活性ガスで置換され
た薬液を不活性ガスと共に注入し、容器内及び薬液中に
酸素が存在しないようにする方法でもよい。また、用い
られる不活性ガスは種々あるが、コストの面から窒素ガ
スが好ましい。
【0009】次に、上記薬液容器を脱酸素剤とともに少
なくとも前記脱酸素剤の周囲に空間が存在するように、
耐熱性と高い酸素ガス非透過性を有する包装材料で包装
する(即ち、包装容器に封入する。)。前記脱酸素剤を
その周囲に空間が存在しないように包装材料で包装する
と、脱酸素剤の酸素除脱効果が悪くなり、高圧蒸気滅菌
時または保存時に、上記薬液容器内の薬液が酸素により
変質しやすくなる。前記脱酸素剤の周囲に空間を存在さ
せる方法は、上記薬液容器と脱酸素剤を包装容器に入れ
るとき、空気や不活性ガス等を入れる方法や、脱酸素剤
を片面から他面に連通する孔を有する構造体で覆う方法
や、凹凸を有する板の上に脱酸素剤と薬液容器を位置さ
せ包装容器に入れる方法や、包装容器に凸部を設ける方
法や、トレー部とシート状蓋体から構成される包装容器
を用いる方法等がある。
【0010】また、脱酸素剤を用いる量は、高圧蒸気滅
菌時及び長期保存中に、薬液中において、薬液の酸素で
の酸化等による変質が起こらない酸素濃度を保つことが
できる量が必要である。例えば、400mlの高濃度ア
ミノ酸輸液剤を入れた薬液容器の場合は、酸素吸収量が
10ml以上が必要であり、酸素吸収量が100ml以
上の脱酸素剤を用いることが好ましい。
【0011】前記脱酸素剤としては、鉄等の金属および
ハロゲン化金属からなる粉末状のもの、アスコルピン酸
やカテコールを主剤とした有機系のものが知られてい
る。これらの脱酸素剤は、三菱瓦斯化学(株)[商品
名:エージレス]やその他のメーカー数社から市販され
ている。これら脱酸素剤のなかには、酸素吸収のみを行
うものと、酸素吸収と同時に炭酸ガスを放出するものが
ある。トレー部とシート状蓋体から構成される包装容器
を用いるときには、酸素吸収と同時に炭酸ガスを放出す
る脱酸素剤を用いるのが好ましい。すなわち、脱酸素剤
により包装容器内の酸素を除脱すると包装容器内の圧が
下がり、ピンホールの発生等の問題が生じる危険性があ
るので、酸素吸収と同時に炭酸ガスを放出すれば包装容
器内の圧力を一定に保つことができるからである。
【0012】また、脱酸素剤の作用としては、前記包装
容器を透過した酸素を除脱し薬液容器内に酸素が侵入し
ないようにする作用と、高圧蒸気滅菌前に薬液容器内と
薬液中の酸素を薬液容器壁を経て除脱する作用がある。
【0013】前記耐熱性と高い酸素ガス非透過性を有す
る包装容器の材料は、エチレン−ビニルアルコール共重
合体フィルムやポリ塩化ビニリデンフィルムの層を有す
る三層ラミネートフィルムやアルミニウム層を有するラ
ミネートフィルムがある。アルミニウム層を有するラミ
ネートフィルムは不透明であるが、その酸素ガス非透過
性能は湿度による影響を受けない。また、前記合成樹脂
製の三層ラミネートフィルムは、透明であるので包装材
料内の薬液の異物検査や変質度合いの検査等を容易に行
うことができるが、その酸素ガス非透過性能は湿度によ
る影響を受けやすい。そこで、上記薬液容器を包装容器
に封入後、高圧蒸気滅菌するときには、この三層ラミネ
ートフィルムの外層は、ポリアミド樹脂等の耐熱性があ
り比較的水蒸気透過性の高い樹脂をラミネートすること
が好ましい。すなわち、後述の高圧蒸気滅菌時に中間層
のエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムやポリ
塩化ビニリデンフィルムの層が吸湿し酸素ガスを透過し
やすくなるので、外層に比較的水蒸気透過性の高い樹脂
を用いることにより短時間で吸湿した水分を蒸散させや
すくすることができ、その結果短時間でもとの高い酸素
ガス非透過性に復元するからである。この三層ラミネー
トフィルムの内層には、水蒸気透過性の低い樹脂をラミ
ネートすることが好ましい。すなわち、上記薬液容器内
の薬液が容器壁を透過しても、このシートの内層が水蒸
気透過性の低い樹脂であれば、中間層のエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体フィルムやポリ塩化ビニリデンフ
ィルムがほとんど吸湿することがなく、この包装容器は
高い酸素ガス非透過性を保つことができるからである。
この内層には未延伸ポリプロピレンフィルムや未延伸ポ
リエチレンフィルムをラミネートすることが好ましく、
熱溶着性が良好となる。
【0014】さらに、高圧蒸気滅菌後、オーブン等の乾
燥機内で前述の三層ラミネートフィルムが吸湿した水分
を積極的に蒸散させることが好ましい。さらに、前述の
乾燥を不活性ガス雰囲気中で行うのがより好ましい。す
なわち、三層ラミネートフィルムの酸素ガス非透過性が
短時間で復元するので、薬液の酸素での酸化等による変
質を、より確実に、より長時間防止することができる。
【0015】また、上述の三層ラミネートフィルムを包
装容器の片面に、あるいはトレー部とシート状蓋体から
構成される包装容器にあっては該三層ラミネートフィル
ムをトレー部またはシート状蓋体に用い、一方他の面あ
るいはトレー部またはシート状蓋体の残部には上述のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体フィルムのかわりに
アルミニウム層を有するラミネートフィルムを用いても
よい。このようにすれば、包装容器の片面あるいはトレ
ー部またはシート状蓋体のどちらか一方が透明になるの
で、包装容器内の薬液の異物検査や変質度合いの検査等
を容易に行うことができ、また酸素ガス非透過性能の湿
度による影響を少なくすることができる。
【0016】また、上述の透明な三層ラミネートフィル
ムを用いる場合、薬液によっては紫外線によって変質し
やすいものがあるので、三層ラミネートフィルムの少な
くとも一層には、ベンゾフェノン系やサリチル酸フェニ
ル系等の紫外線吸収剤を含有させたり、あるいは紫外線
を透過させにくくするために着色したりすることが好ま
しい。
【0017】次に、上記のごとく包装材料で包装した薬
液容器収納体を高圧蒸気滅菌する。滅菌方法としては、
オートクレーブ、タワーオートクレーブ、ロートマット
等が用いられる。高圧蒸気滅菌時にその雰囲気中に酸素
ガスが存在し前記包装材料が酸素ガスを透過しやすい状
態にあっても、前記脱酸素剤によって前記包装材料を透
過した酸素を除脱するので、プラスチック容器内の薬液
は酸素によって変質することはない。また、オートクレ
ーブの場合、高圧蒸気滅菌時の圧力をその雰囲気中に不
活性ガスを導入することによって維持することがより好
ましい。タワーオートクレーブ及びロートマットの場
合、水中を不活性ガスで置換し酸素が実質的に存在しな
い状態にすることがより好ましい。用いる不活性ガスは
窒素ガスが好ましい。
【0018】このようにして製造された薬液容器収納体
は、薬液容器内の薬液は実質的に無酸素状態でかつ滅菌
されており、更に、薬液容器と包装容器の間の空間は実
質的に無酸素状態でかつ滅菌されたバリアー層となって
いるため、長期間の保存においても内部の薬液の酸素で
の酸化等による変質が殆ど起こらない。
【0019】また、別の方法で酸素による薬液の変質を
防止する薬液容器収納体を製造することができる。ま
ず、上記のように薬液容器を作製する。次に、この薬液
容器を高圧蒸気滅菌する。滅菌方法としては、前述のよ
うにオートクレーブ、タワーオートクレーブ及びロート
マット等が用いられる。オートクレーブの場合、高圧蒸
気滅菌時及び滅菌後の冷却時の圧力をその雰囲気中に不
活性ガスを導入することによって維持する。タワーオー
トクレーブ及びロートマットの場合、水中を不活性ガス
で置換し、薬液容器内に酸素が侵入しないようにする。
用いる不活性ガスは窒素ガスが好ましい。
【0020】滅菌後、上記薬液容器を脱酸素剤ととも
に、少なくとも前記脱酸素剤の周囲に空間が存在するよ
うに、高い酸素ガス非透過性を有する包装材料で包装す
る。脱酸素剤をその周囲に空間が存在しないように包装
材料で包装すると、前述のように脱酸素剤の酸素除脱効
果が悪くなり、滅菌後の保存時に薬液容器内の薬液が酸
素での酸化等による変質が起こりやすくなる。また、前
記脱酸素剤の周囲に空間を存在させる方法は、前述のよ
うに上記薬液容器と脱酸素剤を包装材料に入れるとき
に、同時に空気や不活性ガスを入れる方法や、脱酸素剤
を片面から他面に連通する孔を有する構造体で覆う方法
や、凹凸を有する板の上に脱酸素剤と薬液容器を乗せ包
装材料に入れる方法や、包装材料に凸部を設ける方法
や、トレー部とシート状蓋体から構成される包装材料を
用いる方法等がある。
【0021】前記高い酸素ガス非透過性を有する包装材
料には、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム
やポリ塩化ビニリデンフィルムの層を有する三層ラミネ
ートフィルムや、アルミニウム層を有するラミネートフ
ィルムがある。透明性を有する三層ラミネートフィルム
では、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムの
内層には、未延伸のポリプロピレンフィルムや未延伸ポ
リエチレンフィルムをラミネートすることが好ましく熱
融着性が良好となる。さらにエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体フィルムの外層には、外部雰囲気中の水分の
影響を少なくするために、二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム、ポリエチレンフィルム等をラミネートすることが
好ましい。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオ
レフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリア
ミド等の厚みの大きな包装材料を用いることもできる。
この方法によれば、プラスチック容器の原料として包装
材料とブロッキングが起こりやすい架橋されたエチレン
−酢酸ビニル共重合体を用いることができる。
【0022】以上のようにして製造された本発明による
薬液入りプラスチック容器は、長期の保存にも内部の薬
液の酸素での酸化等による変質が殆ど起こらない。
【0023】
【実施例】次に、図面に基づいて本発明を詳細に説明す
る。図1に示すように、本発明の薬液容器収納体11
は、薬液容器12、包装容器13、脱酸素容器14、薬
液15から構成される。薬液容器12は、既述の柔軟な
プラスチック材料で作製されるが、なかでも水蒸気透過
性の低い直鎖状低密度ポリエチレンが適している。この
薬液容器12は、種々の方法で作製される。例えば、直
鎖状低密度ポリエチレンのインフレーション成形によっ
て得たチューブ状のシートの一方の開放端は熱溶着し薬
液容器を懸垂するための懸垂口を設け、他方の開放端に
排出口を挿入し熱溶着する方法、直鎖状低密度ポリエチ
レンの押出成形によって得られたシート二枚を重ね合わ
せ、その周縁部を熱溶着する方法、直鎖状低密度ポリエ
チレンで上端部に小口径の排出口とそれに続く容器部を
有するブロー成形品を成形し、そのブロー成形品の側方
周縁部または/及び下方周縁部の近傍を熱溶着すること
によって得る方法等がある。これらの方法のうち、ブロ
ー成形品を用いる方法が排出口部を熱溶着していないの
で、漏れの危険性が無いので最適であり、本実施例では
この方法を用いた。既述の薬液15を排出口16から注
入する。このとき、注入する薬液15は実質的に酸素が
存在しないようにしてあり、注入する直前に薬液容器1
2内を窒素置換し、その直後薬液と窒素ガスを同時に注
入する。注入後、排出口16の開口部をプラスチック材
料で密封しゴム栓を装着し、さらにゴム栓外表面に無菌
維持するために、使用時に容易に剥離することができる
ようにプラスチックフィルムをシールする。
【0024】次に薬液15を収容した薬液容器12を脱
酸素剤14とともに、既述の包装容器13に入れる。こ
のとき、脱酸素剤14を片面から他面に連通する孔を有
する構造体17で覆って一緒に入れ封入する。また、包
装容器13内の気体に少なくとも50%以上の湿度をも
たせた。
【0025】次に、この薬液容器収納体11を実質的に
酸素の存在しない水蒸気よりなる雰囲気中で高圧蒸気滅
菌する。この滅菌は、例えばオートクレーブによって行
われる。薬液容器収納体11を複数個の単位でオートク
レーブ内に収容する。ついで、ボイラーからスチームを
オートクレーブ内に所定時間導入してオートクレーブ内
の空気を排出する。排出後、所定温度のスチームをオー
トクレーブ内に導入し滅菌する。滅菌中のオートクレー
ブ内の圧力を確保するために、不活性ガスを適宜導入す
る。滅菌後、オートクレーブ内に所定量の冷却水を導入
し薬液を充分に冷却し取り出す。
【0026】図2に、本発明の別の薬液容器収納体21
を示す。薬液容器収納体21は、薬液容器22、包装容
器23、脱酸素剤24、薬液25から構成される。薬液
容器22は、図1のものと同様にブロー成形品を用いて
作製した。さらに、排出口26から薬液25を注入する
方法も図1のものと同様にして行った。
【0027】次に、薬液25を収容した薬液容器22を
実質的に酸素の存在しない水蒸気よりなる雰囲気中で高
圧蒸気滅菌する。この滅菌は、例えばオートクレーブに
よって行われる。薬液容器を複数個の単位でオートクレ
ーブ内に収容する。ついで、ボイラーからスチームをオ
ートクレーブ内に所定時間導入してオートクレーブ内の
空気を排出する。排出後、所定温度のスチームをオート
クレーブ内に導入し滅菌する。滅菌中のオートクレーブ
内の圧力を確保するために、不活性ガスを適宜導入す
る。滅菌後、オートクレーブ内に所定量の冷却水を導入
し薬液を充分に冷却する。
【0028】冷却後、既述の包装容器23に薬液容器を
入れる。このとき、窒素ガスを充填して封入する。
【0029】また図3(a),(b)に示すように、凹
凸を有する板37の上に、脱酸素剤34と薬液容器を乗
せ、包装容器33に入れることにより、脱酸素剤34の
酸素除脱効果を高めることもできる。
【0030】実施例1 必須アミノ酸を主成分とする濃度12%のアミノ酸輸液
を、直鎖状低密度ポリエチレン製のバッグに充填した。
アミノ酸輸液中及びバッグ内を窒素置換し実質的に酸素
が存在しない状態にし、排出口を直鎖状低密度ポリエチ
レンフィルムで密封しゴム栓を装着して、その上をポリ
プロピレンとポリエチレンをブレンドした樹脂をラミネ
ートしたポリエステルフィルムで封をした。
【0031】この薬液入りバッグを、二軸延伸ナイロン
フィルム(厚さ20μm)を外層としエチレン−ビニル
アルコール共重合体フィルム(厚さ20μm)を中間層
とし未延伸ポリプロピレンフィルムを内層とする三層ラ
ミネートフィルムで包装した。このとき、脱酸素剤(商
品名:エージレス 三菱瓦斯化学(株)製)を同封し、
窒素ガスを充填して脱酸素剤が薬液入りバッグと包装材
料に密着しないように封入した。この包装材料で包装さ
れた薬液入りバッグを115℃で40分間高圧蒸気滅菌
をした。滅菌時及び冷却時に圧力を保持するために、オ
ートクレーブ内に窒素ガスを所定量導入した。冷却後、
包装材料で包装された薬液入りバッグを取り出した。こ
のようにして、所望の薬液バッグ収納体を破袋すること
なく得た。
【0032】実施例2 実施例1と同様にして薬液入りバッグを作製した。この
薬液入りバッグを115℃で40分間高圧蒸気滅菌をし
た。滅菌時及び冷却時に圧力を保持するために、オート
クレーブ内に窒素ガスを所定量導入した。冷却後、この
薬液入りバッグを、二軸延伸ポリプロピレンフィルム
(厚さ20μm)を外層としポリ塩化ビニリデンをコー
ティングしたポリアミドフィルム(20μm)を中間層
とし未延伸ポリプロピレンフィルムを内層とする三層ラ
ミネートフィルムで包装した。このとき、脱酸素剤(商
品名:エージレス 三菱瓦斯化学(株)製)を湿度60
%の空気とともに封入して所望の薬液バッグ収納体を得
た。
【0033】比較例1 脱酸素剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に
して薬液バッグ収納体を得た。
【0034】比較例2 脱酸素剤が薬液入りバッグと包装材料に密着するような
形態で封入したこと以外は、実施例1と同様にして薬液
バッグ収納体を得た。
【0035】比較例3 脱酸素剤が薬液入りバッグと包装材料に密着するような
形態で封入したこと以外は、実施例2と同様にして薬液
バッグ収納体を得た。
【0036】比較例4 包装材料として、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚
さ20μm)を外層としエチレン−ビニルアルコール共
重合体フィルム(厚さ20μm)を中間層とし未延伸ポ
リプロピレンフィルムを内層とする三層ラミネートフィ
ルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして薬液バ
ッグ収納体を得た。
【0037】以上のようにして得られた薬液バッグ収納
体内の薬液の変質の度合いを調べるために可視光(42
0nm)の透過率を測定し、その結果を下記に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
(1)滅菌中及び滅菌後の保存中に酸素による容器内の
薬液の変質を防止し、安定な状態で薬液を保存すること
ができる。 (2)プラスチック製であるので、軽く運搬に便利であ
る。 (3)柔軟な薬液入りプラスチック容器は、クローズド
システムに用いることができ、空気感染を防止できる。 (4)包装材料は透明性を有するので、異物検査や保存
状態の観察等を行うのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素による薬液の変質を防止する薬液
容器収納体の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明の酸素による薬液の変質を防止する薬液
容器収納体の別の実施例を示す正面図である。
【図3】(a)は本発明の酸素による薬液の変質を防止
する薬液容器収納体の別の実施例を示す正面図であり、
(b)は同実施例のIII −III 横断面図である。
【符号の説明】
11,21,31 薬液容器収納体 12,22,32 薬液容器 13,23,33 包装容器 14,24,34 脱酸素剤 15,25,35 薬液 16,26,36 排出口 17 連通する孔を有する構造体 37 凹凸を有する板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬液が充填された薬液容器と脱酸素剤が
    包装容器に収容され密封されてなる薬液容器収容体にお
    いて、薬液は酸素によって変質し易い成分を含んでお
    り、薬液容器内に該容器内と薬液中の酸素を不活性ガス
    で置換した状態で充填され、該薬液容器は耐熱性を有す
    る柔軟なプラスチック材料で形成され少なくとも一つ以
    上の排出口を有し、包装容器は高い酸素ガス非透過性と
    耐熱性と透明性を有し、薬液容器または薬液容器および
    包装容器は高圧蒸気滅菌処理されており、脱酸素剤は
    なくともその固囲に空間が存在するように包装容器内に
    収容され、該脱酸素剤により、薬液容器の外側と包装容
    器の内側で構成される空間において包装容器を透過する
    酸素を除脱し薬液容器内への酸素の侵入を防ぎ、薬液の
    酸素除脱状態を維持することを特徴とする酸素による
    液の変質を長期間防止する長期保存用薬液容器収容体。
  2. 【請求項2】 脱酸素剤が、片面から他面に連通する孔
    を有する構造体で覆われていることを特徴とする請求項
    1に記載の長期保存用薬液容器収容耐。
  3. 【請求項3】 脱酸素剤、凹凸を有する板上に位置す
    るように包装容器に封入されていることを特徴とする請
    求項1に記載の長期保存用薬液容器収容体。
  4. 【請求項4】 包装容器内に不活性ガスが封入されてい
    ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載
    長期保存用薬液容器収容体。
  5. 【請求項5】 包装容器が、トレー部とシート状蓋体か
    ら構成されている請求項1乃至4いずれか一項に記載の
    長期保存用薬液容器収容体。
  6. 【請求項6】 脱酸素剤が、酸素ガスを除脱し炭酸ガス
    を放出するものであることを特徴とする請求項1乃至5
    いずれか一項に記載の長期保存用薬液容器収容体。
  7. 【請求項7】 酸素によって変質し易い成分を含んでい
    る薬液が、トリプトファンを含む高濃度アミノ酸輸液
    剤、脂肪乳剤、または酸素の存在により酸化あるいは加
    水分解され易い抗生物質を含む輸液剤から選ばれる請求
    項1乃至6に記載の長期保存用薬液容器収容体。
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