JP2013165645A - 食品の加熱殺菌剤および加熱殺菌方法 - Google Patents

食品の加熱殺菌剤および加熱殺菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
pH5以上の食品の色調、風味に影響を与えずに、80〜100℃の常圧低温殺菌においても、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果を示す食品用加熱殺菌剤および加熱殺菌方法を提供する。
【解決手段】
pH5以上の食品に、L−アスコルビン酸を0.05〜0.2質量%およびクエン酸三ナトリウムを0.1〜0.3質量%を含有させ、80〜100℃で加熱殺菌する。
【選択図】なし

Description

本発明は食品の加熱殺菌剤および加熱殺菌方法に関する。さらに詳しくは、pH5以上の食品の色調、風味に影響を与えずに、80〜100℃の常圧低温殺菌においても、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果を示す食品用加熱殺菌剤および加熱殺菌方法に関する。
従来から、加工食品の製造時や保存中における、腐敗に関与する菌の発生や、その増殖を抑制するために、加熱処理が施される。しかし、100℃以上で加熱殺菌する場合は、高温高圧殺菌装置が必要とされ、食品の形態が限られてしまうほか、食品の風味、色調等への影響も大きい。一方、100℃以下の常圧低温殺菌では、十分な殺菌効果が得られず、残存するバチルス属菌の菌数が多ければ多いほど、静菌剤を多量に添加する必要があり、食品に静菌剤由来の風味を与えてしまうという問題があった。
また、食品等に酵素、または微生物培養物より分離した酵素様活性蛋白を接触、低温処理後に加熱処理する方法や、アラニンを接触後にナイシン等のバクテリオシンを添加する方法(特許文献1、2、3)、惣菜にL−アスコルビン酸ナトリウムと塩化カルシウムを添加し、調理・殺菌する方法(特許文献4)、白ねぎに食塩、クエン酸、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムを加えてpH3.8〜4.5に調整した後、80〜100℃で加熱殺菌する方法(特許文献5)等が知られている。
特開昭49−031838号公報 特開平09−266781号公報 特開2002−330740号公報 特開平08−308523号公報 特開平07−132044号公報
しかしながら、特許文献1、2、3では、十分な殺菌効果を得るために必要な処理時間が60分〜4時間必要であり、実用的な殺菌効果を発揮させることは困難であった。また、特許文献4では、L−アスコルビン酸ナトリウムは、色調変化、食感的軟化の防止目的で使用されており、殺菌温度は140℃の高温高圧殺菌で実施されている。特許文献5においてもL−アスコルビン酸ナトリウムは、風味・食感の劣化、褐変の防止目的で使用されており、L−アスコルビン酸とクエン酸の添加によってバチルス属菌が生育できないpH3.8〜4.5に調整されている。
これまでバチルス属菌が生育可能なpH5以上の食品において、100℃以下の常圧低温殺菌のみで、バチルス属菌に対して100℃以上の高温高圧殺菌と同等の加熱殺菌効果の得られる汎用性の高い技術は存在せず、新しい技術が望まれていた。
本発明者らは、鋭意研究の結果、pH5以上の食品にL−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを含有させ、80〜100℃で加熱処理することによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
項1.L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを含有することを特徴とするバチルス属菌の加熱殺菌剤。
項2.L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを食品に含有させ、80〜100℃で加熱処理することを特徴とするバチルス属菌の加熱殺菌方法。
項3.L−アスコルビン酸を0.05〜0.2質量%およびクエン酸三ナトリウムを0.1〜0.3質量%を食品に含有させることを特徴とする請求項2記載のバチルス属菌の加熱殺菌方法。
項4.pH5以上の食品を対象とすることを特徴とする項2または3記載のバチルス属菌の加熱殺菌方法。
項5.L−アスコルビン酸ナトリウム0.05〜0.2質量%およびクエン酸三ナトリウム0.1〜0.3質量%を含有させて加熱殺菌処理した食品。
項6.項1に記載の加熱殺菌剤を含有する静菌剤。
本発明によれば、pH5以上の食品の色調、風味に影響を与えずに、80〜100℃の常圧低温殺菌においても、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果を示す食品用加熱殺菌剤および加熱殺菌方法を提供することができる。
本発明の加熱殺菌剤とは、食品を加熱する際に殺菌効果を発揮する製剤のことであり、従来の静菌剤とはまったく異なる作用を有するものである。本発明は、L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを含有することを特徴とする加熱殺菌剤に関するものである。
本発明の加熱殺菌方法が対象とする菌は、100℃程度の加熱処理によっても死滅しないバチルス属菌である。バチルス属菌は、例えば、加工食品などの各種製品の製造において一般的な加熱処理(80℃20分)では死滅せずに残存し、保存中に増殖して、製品のpH低下、異臭発生、または外観変化などの腐敗をもたらす細菌である。かかるバチルス属菌には、Bacillus stearothermophilus、B.subtilis、B.cereus、B.coagulansなどが含まれる。食品の保存前に加熱等の処理によってバチルス属菌の菌数をなるべく低減する方法が必要である。
本発明に用いるL−アスコルビン酸ナトリウムは、酸化防止剤として広く用いられている食品添加物であり、天然素材に由来するものであっても差し支えない。本発明には市販されているものを用いればよい。
本発明に用いるクエン酸三ナトリウムは、酸味料やpH調整剤等として広く用いられている食品添加物であり、天然素材に由来するものであっても差し支えない。本発明には市販されているものを用いればよい。
L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムの添加濃度は、対象とする食品に対してL−アスコルビン酸ナトリウムは0.05〜0.2質量%、好ましくは0.05〜0.1質量%、クエン酸三ナトリウムは0.1〜0.3質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%で行なうのがよい。上記下限濃度以下では加熱殺菌効果が十分ではなく、逆に上記上限濃度以上となると、食品によってはL−アスコルビン酸ナトリウムの色調への影響、クエン酸三ナトリウムの風味への影響が問題となる。また、食品を加熱殺菌する際の温度は、80〜100℃で行うのが好ましい。80℃未満では加熱殺菌効果が十分ではなく、逆に100℃以上では食品の風味・色調に影響を与える可能性がある。
本発明では、加熱殺菌剤としてL−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを含有する食品に、酢酸ナトリウム、グリシン、リゾチーム等の日持向上剤、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤をはじめとする静菌剤を添加しておくことができる。これら静菌剤の効果は、加熱直後の菌数によって大きく影響を受けるため、静菌剤の添加量が同量でも、加熱殺菌剤の効果で加熱直後の菌数が少なくなればなるほど静菌剤の効果は強くなる。本発明の加熱殺菌剤は、これら静菌剤の効果を強める目的で使用することも出来る。
本発明の対象となるpH5以上の食品には、特に制限はないが、例えば無糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、コーヒー牛乳等のコーヒー飲料、ミルクティー、紅茶、ストレートティー、レモンティー等の紅茶飲料、緑茶、ウーロン茶、ブレンド茶等の茶系飲料、牛乳、ミルクセーキ等の乳飲料、ココア、ホットチョコレート等のカカオ飲料、しるこ、甘酒、飴湯、生姜湯の飲料等のpHが5以上の中性飲料、ドーナツ、スポンジケーキ、マドレーヌ、蒸しパン、あんパン、クリームパン、ホットケーキ、シュークリーム等の菓子類、アイスクリーム、プリン、ババロア、フルーツゼリー、コーヒーゼリー、杏仁豆腐等のデザート類、卵サラダ、マカロニサラダ、ポテトサラダ等のサラダ類、ソーセージ、ハム、焼き豚、豚カツ、鶏唐揚、ミートボール、しゅうまい、餃子等の畜肉加工品、ドレッシング等の調味料類、蒲鉾、竹輪、はんぺん等の水産加工品、浅漬け等の漬物類、カスタードクリーム、小豆あん、フラワーペースト等の餡類、大判焼、あんまん、肉まん、パン、ドーナツ、カステラ等の製菓類、イチゴジャム、マーマレード等のジャム類、卵焼き、オムレツ、スクランブルエッグ等の卵加工品、うどん、そば、焼そば等の麺類、赤飯おむすび、鮭おむすび等のおむすび類、イカ佃煮、のり佃煮等の佃煮類、おでん、昆布煮、野菜の煮物等の煮物類、エビフライ、カキフライ、コロッケ等のフライ揚げ物食品類、豆腐、厚揚げ、薄揚げ等の豆腐加工食品類、ブランチング野菜等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実験例1 L−アスコルビン酸ナトリウムと他の静菌剤の加熱殺菌効果について
1)Bacillus cereus NBRC 15305芽胞菌液を調整(2.0×10CFU/mL)し、50mLずつ小分けする。
2)表1に記載の各添加物を最終濃度0.1%となるように菌液に添加した。
3)90℃湯浴にて20分加熱後、菌数測定した。
なお、菌数測定は、各検体を標準寒天培地(日水製薬製、pH7.0)に植菌して、35℃48時間培養後の菌数をカウントすることで行った。殺菌率は、100−(加熱後菌数÷接種菌数×100)で算出した(以下同様)。
Figure 2013165645
静菌剤として代表的な酢酸ナトリウム、グリシンなどには無添加と同等の効果しかなかったが、L−アスコルビン酸ナトリウムのみバチルス属菌に対して高い加熱殺菌効果を示した。これは、L−アスコルビン酸ナトリウムが、酢酸ナトリウム、グリシンなどの静菌剤にはない、バチルス属菌の加熱殺菌効率を向上させる効果を持つためと考えられる。
実験例2 非加熱条件下の抗菌試験における、L−アスコルビン酸ナトリウムと他の静菌剤の静菌効果について
1)標準寒天培地(日水製薬製、pH7.0)に、表2に記載の各添加物を最終濃度0.5%、1.0%となるように添加し、Bacillus cereus NBRC 15305芽胞菌液を接種(2.0×10CFU/プレート)した。
2)35℃48時間培養後に判定した。
Figure 2013165645
L−アスコルビン酸ナトリウムと、酢酸ナトリウム等の代表的な静菌剤を0.5%、または1.0%添加しても無添加と菌数に差がなく、バチルス属菌に対する静菌効果は認められなかった。表1、2の結果から、L−アスコルビン酸ナトリウムにはバチルス属菌に対する静菌効果はなく、L−アスコルビン酸ナトリウムが加熱時にのみ特異的に作用することで、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果が高まると考えられる。したがって、バチルス属菌に対する静菌効果と加熱殺菌効果は全く別の作用によるものと推測される。
実験例3 L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量と加熱殺菌効果について
表3に記載の添加量となるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加し、実験例1と同様の試験を行った。
Figure 2013165645
L−アスコルビン酸ナトリウムのバチルス属菌に対する加熱殺菌効果は、0.03%で無添加の2倍以上であり、0.3%以上で顕著な加熱殺菌効果が得られた。しかし、L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量が0.3%以上で、加熱後の溶液に黄変がみられたことから、L−アスコルビン酸ナトリウムは食品に黄変や褐変を生じさせる可能性があることから、より低濃度のL−アスコルビン酸ナトリウムでも加熱殺菌効果が得られるように、相乗効果を有する物質が必要と考えられる。
実験例4 L−アスコルビン酸ナトリウムとの併用物質について
表4に記載の添加量となるようにL−アスコルビン酸ナトリウムと各併用物質を添加し、実験例1と同様の試験を行った。殺菌率(L−アスコルビン酸ナトリウム0.1%添加時との差)は、100−(各添加物添加時の残存菌数÷L−アスコルビン酸ナトリウム0.1%添加時の残存菌数×100)で算出した。
Figure 2013165645
L−アスコルビン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムを併用することで、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果を向上させることが出来た。しかし、L−アスコルビン酸ナトリウムに静菌剤である酢酸ナトリウム、グリシン、リゾチームなどを併用しても、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果は併用前とほぼ同等であり、特に大きな阻害はみられなかった。したがって、加熱殺菌剤とこれらの静菌剤とを併用して用いても問題は生じないと考えられる。
実験例5 加熱温度による加熱殺菌効果について
表5に記載の添加量となるようにL−アスコルビン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムを添加し、実験例1と同様の試験を行った。ただし、加熱温度は、70、80、90および100℃で行った。
Figure 2013165645
L−アスコルビン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムのバチルス属菌に対する加熱殺菌効果は、70℃では効果がないが、80〜100℃では顕著な効果が確認できた。
実験例6 卵焼きにおける、本発明の加熱殺菌剤による静菌剤の効力向上について
1)液卵108部、砂糖5.3部、澱粉3部、だし3部、水 30.7部を混合したものに表6に記載の各添加物を添加、醸造酢でpH調整し、B. cereus IFO 15305芽胞菌液を接種(液卵菌数:1.0×10CFU/g)した。
2)フライパンにて焼成後、湯浴上、または高温高圧殺菌装置にて表5に記載のとおり二次加熱を行った。
3)経日的に菌数測定を行い、30℃保存可能日数を調べた。
4)二次加熱直後と30℃3日後の卵焼きの状態観察を行い、二次加熱直後と比べて風味、色調の差異を確認した。
Figure 2013165645
加熱殺菌剤の効果を比較するため、静菌剤はすべて同添加量とした。加熱殺菌剤としてクエン酸三ナトリウム0.3%のみでは、卵焼きを90℃20分で二次加熱してもバチルス属菌に対する加熱殺菌効果が弱く、多くのバチルス属菌が残存してしまうため、静菌剤で静菌できず30℃1日しか日持ちしなかった。また、L−アスコルビン酸ナトリウム0.5%を加熱殺菌剤として使用すると、加熱殺菌効果が高くなり、残存するバチルス属菌数が少なくなるため、静菌剤の効力がアップし、30℃3日以上の保存が可能だが、保存時に褐変があり商品価値を失ってしまった。クエン酸三ナトリウム0.2%を加熱殺菌剤として使用し、110℃5分で二次加熱した卵焼きについては、加熱殺菌効果が高いため、30℃3日以上の保存が可能であるが、高温高圧殺菌装置が必要であり、高温高圧殺菌により風味、色調の劣化がみられた。一方、加熱殺菌剤としてL−アスコルビン酸ナトリウム0.05%とクエン酸三ナトリウム0.2%を併用した卵焼きを90℃20分で二次加熱すると、加熱による風味、色調の変化もなく、110℃5分で二次加熱した卵焼きと同等の保存日数となった。これは、L−アスコルビン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムを併用により、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果が高まり、残存するバチルス属菌の菌数が少なくなり、同量の静菌剤でも十分効果を発揮することが出来たためと考えられる。
実験例7 ゆで卵水煮における本発明の加熱殺菌剤による静菌剤の効力向上について
1)0.3%塩水に、表7に記載の各添加物を添加したものをゆで卵浸漬液とした。
2)ゆで卵浸漬液にB. cereus IFO 15305芽胞菌液を接種(浸漬液菌数:1.0×10CFU/mL)した。
3)ポリ容器に、ゆで卵浸漬液50mLとゆで卵1個を入れて、湯浴上、または高温高圧殺菌装置にて表6に記載のとおり二次加熱を行った。
4)経日的に菌数測定を行い、15℃保存可能日数を調べた。
5)二次加熱直後と15℃8日後のゆで卵水煮の状態観察を行い、二次加熱直後と比べて風味、色調、卵の弾力の差異を確認した。
Figure 2013165645
加熱殺菌剤としてクエン酸三ナトリウム0.5%のみでは加熱殺菌効果が弱く、15℃保存可能日数が9日しかないが、加熱殺菌剤としてL−アスコルビン酸ナトリウム0.3%とクエン酸三ナトリウム0.2%を併用して80℃15分の二次加熱をかけることで、加熱殺菌剤としてクエン酸三ナトリウム0.5%添加し110℃5分で二次加熱したゆで卵水煮と同等の保存日数が得られた。しかし、110℃5分の二次加熱を行ったゆで卵は、高温加熱によるゆで卵表面の硬化がみられた。
実験例8 ハンバーグにおける本発明の加熱殺菌剤による静菌剤の効力向上について
1)合いびき肉66.9部、玉葱15部、パン粉8.3部、食塩0.5部、砂糖0.5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.2部、ホワイトペッパー末0.05部、水8.55部に、表8に記載の各添加物を添加、醸造酢でpH調整した。
2)成型後、フライパンにて焼成し、ポリ袋に包装した。
3)湯浴上、または高温高圧殺菌装置にて表7に記載のとおり二次加熱を行った。
4)経日的に菌数測定を行い、30℃保存可能日数を調べた。
5)二次加熱直後と30℃4日後のハンバーグの状態観察を行い、二次加熱直後と比べて風味、色調の差異を確認した。
Figure 2013165645
ハンバーグのような畜肉食品においても、加熱殺菌剤としてL−アスコルビン酸ナトリウム0.15%とクエン酸三ナトリウム0.1%を併用して90℃20分の加熱をかけることで、静菌剤の添加量を削減しても、二次加熱110℃5分と同等の保存日数が得られた。しかし、110℃5分の加熱を行うと、ハンバーグの風味、色調に影響が及んだ。また、加熱殺菌剤を併用しない場合、90℃20分の二次加熱だけでは加熱殺菌効果が弱く、静菌剤の効果も発揮されずに腐敗が生じた。
表6、7、8から、バチルス属菌が問題となる食品pH5以上の食品において、加熱殺菌剤としてL−アスコルビン酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウムの併用は有効であり、同時に添加する静菌剤の効力を向上させ、静菌剤も特に種類を選ばないことが分かった。
本発明によれば、pH5以上の食品の色調、風味に影響を与えずに、80〜100℃の常圧低温殺菌においても、バチルス属菌に対する加熱殺菌効果を示す食品用加熱殺菌剤および加熱殺菌方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを含有することを特徴とするバチルス属菌の加熱殺菌剤。
  2. L−アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムを食品に含有させ、80〜100℃で加熱処理することを特徴とするバチルス属菌の加熱殺菌方法。
  3. L−アスコルビン酸を0.05〜0.2質量%およびクエン酸三ナトリウムを0.1〜0.3質量%を食品に含有させることを特徴とする請求項2記載のバチルス属菌の加熱殺菌方法。
  4. pH5以上の食品を対象とすることを特徴とする請求項2または3記載のバチルス属菌の加熱殺菌方法。
  5. L−アスコルビン酸ナトリウム0.05〜0.2質量%およびクエン酸三ナトリウム0.1〜0.3質量%を含有させて加熱殺菌処理した食品。
  6. 請求項1に記載の加熱殺菌剤を含有する静菌剤。
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