JP2013163775A - 粘着テープ - Google Patents

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剛志 土生
Katsutoshi Kamei
勝利 亀井
Nobusuke Ikushima
伸祐 生島
Fumiteru Asai
文輝 浅井
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Abstract

【課題】粘着力と剥離性とのバランスおよび段差追従性に優れ、かつ、共押し出し成形により製造し得る粘着テープを提供すること。
【解決手段】本発明の粘着テープは、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む樹脂組成物から構成される粘着剤層を備える粘着テープであって、30μmの段差を有する被着体に貼着した際に、該段差の下部近傍で該粘着テープが浮いて、該粘着テープと該被着体とが接さない部分の幅が650μm以下であり、シリコン製半導体ミラーウエハに対する、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した粘着力が2.0N/20mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着テープに関する。
シリコン、ガリウム、砒素などからなる半導体ウエハは、大径の状態で製造され、表面にパターンを形成した後、裏面を研削して、通常、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで薄くし、さらに素子小片に切断分離(ダイシング)され、さらにマウント工程に移される。
半導体ウエハの裏面を研削する工程(裏面研削工程)においては、半導体ウエハのパターン面を保護するために粘着テープが用いられている。当該粘着テープは、通常、裏面研削工程後に剥離される。このような目的で用いられる粘着テープは、裏面研削工程中に剥離しない程度の粘着力が必要である一方、裏面研削工程後には、容易に剥離でき、また半導体ウエハを破損しない程度の低い粘着力であることが要求される。
従来、このような粘着テープとして、基材上に粘着剤が塗布された粘着テープが用いられ、例えば、ポリエチレン系樹脂を含む基材上に、アクリル系粘着剤が塗布された粘着剤層を設けた粘着テープが提案されている(特許文献1)。しかし、このような粘着テープの製造においては、基材を成膜する工程や粘着剤溶液の塗工の工程など、多数の工程が必要とされ、製造コストが高い。また、多くのCOを排出するという問題がある。さらに、上記製造方法においては、粘着剤溶液を塗布した後に乾燥によって有機溶剤を除去する必要があるため、有機溶剤の揮散に起因する環境負荷の面で問題がある。
このような問題を解決する方法として、基材形成材料と粘着剤形成材料とを共押し出しする方法が挙げられる。しかし、共押し出しに供し得る材料は熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂を用いた場合、適度な粘着力と半導体ウエハパターンの凹凸に対する追従性(段差追従性)とを両立することが困難である。すなわち、容易に剥離できる程度の粘着力に調整された粘着テープは、粘着剤が硬くなりすぎて段差追従性が十分ではなく、半導体ウエハを保護するという目的を十分に達成することができない。一方、良好な段差追従性を発揮するべく調整された粘着テープは、粘着力が強すぎて、剥離時に半導体ウエハを破損させたり、半導体ウエハに粘着剤が残るという問題がある。
国際公開WO2007/116856号パンフレット
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、粘着力と剥離性とのバランスおよび段差追従性に優れ、かつ、共押し出し成形により製造し得る粘着テープを提供することにある。
本発明の粘着テープは、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む樹脂組成物から構成される粘着剤層を備える粘着テープであって、30μmの段差を有する被着体に貼着した際に、該段差の近傍で該粘着テープが浮いて、該粘着テープと該被着体とが接さない部分の幅が650μm以下であり、シリコン製半導体ミラーウエハに対する、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した粘着力が2.0N/20mm以下である。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層の20℃における貯蔵弾性率(G’)が2.0MPa以下である。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層のナノインデンターによる1000nm押し込み時のインデンテーション硬さが0.8MPa以上である。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、上記樹脂組成物が非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体と結晶性樹脂とを含み、該結晶性樹脂が結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体および/または結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体である。
好ましい実施形態においては、上記樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合が、該樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、5重量%以上である。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、粘着テープ厚みが5μm〜1000μmである。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、基材層をさらに備え、粘着剤層形成材料と基材層形成材料とを共押し出し成形して得られる。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、半導体ウエハ加工用である。
本発明によれば、特定の共重合体を含む粘着剤層を備えることにより、粘着力と剥離性とのバランスおよび段差追従性に優れた粘着テープを提供することができる。このような粘着テープは、特に、半導体ウエハ加工用粘着テープとして好適である。また、本発明によれば、共押し出し成形により製造することにより、有機溶剤を使用することなく、少ない工程数で生産し得る粘着テープを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による粘着テープの概略断面図である。 本発明の粘着テープの段差追従性の指標となる「浮き幅」を説明する図である。
A.粘着テープの全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による粘着テープの概略断面図である。粘着テープ100は、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む樹脂組成物から形成されている粘着剤層10を備える。粘着テープ100は、好ましくは、基材層20をさらに備える。
粘着テープ100の厚みは、好ましくは5μm〜1000μmであり、さらに好ましくは100μm〜300μmであり、特に好ましくは130μm〜250μmである。
粘着剤層10の厚みは、好ましくは2μm〜100μmであり、さらに好ましくは20μm〜80μmであり、特に好ましくは30μm〜60μmである。
基材層20の厚みは、好ましくは3μm〜900μmであり、さらに好ましくは20μm〜220μmであり、特に好ましくは70μm〜190μmである。
本発明の粘着テープは、さらに任意の適切な他の層を備え得る。他の層としては、例えば、基材層の粘着剤層とは反対側に備えられ、粘着テープに耐熱性を付与し得る表面層が挙げられる。
本明細書において、粘着テープの段差追従性の指標として、「浮き幅」を用いる。「浮き幅」とは、図2に示すように、段差xを有する被着体200に粘着テープ100を貼着した際に、当該段差の近傍で当該粘着テープが浮いて被着体200と接さない部分の幅aを意味する。当該浮き幅が小さいということは、粘着テープが段差追従性に優れ被着体の凹凸を良好に埋め得ることを意味する。
本発明の粘着テープをシリコン製半導体ミラーウエハに貼着した際の、貼着直後における、本発明の粘着テープの段差30μmの被着体に対する浮き幅は、好ましくは650μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下であり、特に好ましくは450μm以下である。本発明の粘着テープの段差30μmの被着体に対する浮き幅の下限値は、本発明の効果が得られる限りにおいて小さければ小さいほど好ましく、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。本発明の粘着テープは、浮き幅が小さく、すなわち、被着体の凹凸(例えば、半導体ウエハのパターン)に対して追従性がよく、当該凹凸を良好に埋めることができる。このような粘着テープが半導体ウエハ加工時のパターン面保護に用いられる場合、裏面研削工程時に、半導体ウエハに圧力が均一にかかり、半導体ウエハの裏面にパターン面の凹凸の影響がでることなく、平滑に研削することができる。また、半導体ウエハの割れを防止することができる。さらに、半導体ウエハと粘着テープとの間に研削水が浸入することを防止することができる。
本発明の粘着テープをシリコン製半導体ミラーウエハに貼着した際の、貼着後の1時間における、段差30μmに対する浮き幅の増加量は、好ましくは10%以内であり、さらに好ましくは5%以内である。このような範囲であれば、粘着テープを半導体ウエハに貼着した後、所定時間経過してから、半導体ウエハが裏面研削工程に供される場合にも、半導体ウエハのパターン面の凹凸を良好に埋めた状態を維持し、上記のように平滑に裏面を研削し得、また、半導体ウエハの割れを防ぐことができる。上記粘着テープは、貼着してから1時間経過した以降は、浮き幅が増加しないことが特に好ましい。
本発明の粘着テープをシリコン製半導体ミラーウエハに貼着した際の、貼着して1時間経過後における、本発明の粘着テープの段差30μmの被着体に対する浮き幅は、経時により浮き幅が大きくならないことが好ましい。
本発明の粘着テープは、半導体ミラーウエハ(シリコン製)を試験板として、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した粘着力が、2.0N/20mm以下であり、好ましくは0.1N/20mm〜2.0N/20mmであり、さらに好ましくは0.15N/20mm〜1.5N/20mmであり、より好ましくは0.15N/20mm〜1.0N/20mmであり、特に好ましくは0.25N/20mm〜1.0N/20mmである。このような範囲であれば、粘着力と剥離性が両立でき、例えば、半導体ウエハの裏面研削工程における研削加工中には剥離せず、研削加工後には容易に剥離することができる粘着テープを得ることができる。本発明においては、例えば、粘着剤層に主成分として非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含有させて粘着力を発現させ、さらに結晶性樹脂を添加することにより粘着力を調整することができる。粘着剤層の構成成分の詳細は後述する。
本発明の粘着テープは、ポリイミドコートウエハを試験板として、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定したポリイミドコート面に対する粘着力が、好ましくは0.1N/20mm〜3.5N/20mmであり、さらに好ましくは0.3N/20mm〜2.0N/20mmであり、より好ましくは0.3N/20mm〜1.5N/20mmであり、特に好ましくは0.5N/20mm〜1.2N/20mmである。
本発明の粘着テープを4インチ半導体ウエハのミラー面に貼着し、23℃、相対湿度50%の環境下で1時間経過後に剥離した際の、当該ミラー面上の粒径0.28μm以上のパーティクル数は、好ましくは0個/cm〜500個/cmであり、さらに好ましくは0個/cm〜100個/cmであり、特に好ましくは0個/cm〜50個/cmであり、最も好ましくは0個/cm〜20個/cmである。パーティクル数の測定はパーティクルカウンターを用いて測定することができる。また、本発明の粘着テープを半導体ウエハのミラー面に貼着し、40℃、相対湿度50%の環境下で1日間経過後に剥離した際の、ウエハ表面の炭素原子の増加量(すなわち、ウエハ上に転写した有機物の量)は、粘着テープ貼着前に対して、好ましくは1atomic%〜45atomic%であり、さらに好ましくは1atomic%〜30atomic%である。ウエハ表面の炭素原子の量は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いて測定することができる。ウエハ表面の炭素原子の増加量(すなわち、ウエハ上に転写した有機物の量)は、具体的には、粘着テープを貼着していない半導体ウエハのミラー面上の炭素原子の量、および上記のように貼着、剥離した後の半導体ウエハのミラー面上の炭素原子量を測定し、これらの差から算出される。ESCA装置としては、例えば、アルバックファイ社製の商品名「model5400」が用いられ得る。
本発明の粘着テープは、セパレータにより保護されて提供され得る。本発明の粘着テープは、セパレータにより保護された状態で、ロール状に巻き取ることができる。セパレータは、実用に供するまで粘着テープを保護する保護材としての機能を有する。セパレータとしては、例えば、シリコン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン)フィルム、不織布または紙などが挙げられる。
本発明の粘着テープは、例えば、セパレータにより保護されていない場合、粘着剤層とは反対側の最外層に、背面処理を行っていても良い。背面処理は、例えば、シリコン系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤を用いて行うことができる。本発明の粘着テープは、背面処理を行うことにより、ロール状に巻き取ることができる。
B.粘着剤層
上記粘着剤層は、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む樹脂組成物から形成される。このような粘着剤層であれば、基材層との共押し出し成形により粘着テープを製造することが可能であり、少ない工程数で、かつ、有機溶剤を使用することなく粘着テープを得ることができる。なお、本明細書において、「非晶質」とは、結晶質のように明確な融点を有さない性質をいう。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体における、1−ブテン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは1重量%〜40重量%、より好ましくは2重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは2重量%〜10重量%であり、特に好ましくは2重量%〜5重量%である。このような範囲であれば、1−ブテンがプロピレンの結晶化を阻害して非晶質を保ち柔軟性に優れるため、上記段差追従性に優れた粘着テープを得ることができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体における、プロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは60重量%〜99重量%、より好ましくは70重量%〜98重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜98重量%であり、特に好ましくは95重量%〜98重量%である。このような範囲であれば、1−ブテンが多くなり分子鎖が広がることで粘着剤層が柔らかくなりすぎることなく、テープ剥離時には安定して剥離ができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の重量平均分子量(Mw)は200,000以上であり、好ましくは200,000〜500,000であり、さらに好ましくは200,000〜300,000である。非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の重量平均分子量(Mw)がこのような範囲であれば、一般的なスチレン系熱可塑性樹脂、アクリル系熱可塑性樹脂(Mwが100,000以下)と比較して、低分子量成分が少なく、被着体の汚染を防止し得る粘着テープを得ることができる。また、共押し出し成形の際、加工不良なく粘着剤層を形成することができ、かつ、適切な粘着力を得ることができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他のモノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが挙げられる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、メタロセン触媒を用いて、プロピレンと1−ブテンとを重合することにより得ることが好ましい。例えば、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、メタロセン触媒を用いてプロピレンと1−ブテンとを重合させる重合工程を行い、当該重合工程の後、触媒残さ除去工程、異物除去工程等の後処理工程を行うことにより、得ることができる。非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、このような工程を経て、パウダー状、ペレット状等の形状で得られる。メタロセン触媒としては、例えば、メタロセン化合物とアルミノキサンとを含むメタロセン均一混合触媒、微粒子状の担体上にメタロセン化合物が担持されたメタロセン担持型触媒等が挙げられる。
上記のようにメタロセン触媒を用いて重合された非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、狭い分子量分布を示す。上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1.1〜2であり、特に好ましくは1.2〜1.9である。分子量分布が狭い非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は低分子量成分が少ないので、このような非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を用いれば、低分子量成分のブリードによる被着体の汚染を防止し得る粘着テープを得ることができる。このような粘着テープは、例えば、半導体ウエハ加工用として好適に用いられる。
上記樹脂組成物は、好ましくは、結晶性樹脂をさらに含む。樹脂組成物に結晶性樹脂を含ませることにより、粘着剤層の粘着力(結果として、上記粘着テープの粘着力)を低下させることができる。上記結晶性樹脂は、好ましくは結晶性α−オレフィン系樹脂であり、より好ましくは1−ブテン由来の構成単位を有する結晶性の単重合体または共重合体であり、特に好ましくは結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体または結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体である。これらの結晶性樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。1−ブテン由来の構成単位を有する結晶性樹脂を用いれば、結晶性樹脂を添加することによる粘着剤層の弾性率上昇を抑制しつつ(すなわち、段差追従性の低下を抑制しつつ)、粘着剤層の粘着力を低下させることができる。
上記結晶性樹脂の結晶化度は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。結晶化度は、代表的には、示差走査熱量分析(DSC)またはX線回折により求められる。
上記結晶性樹脂は、好ましくは、上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体同様、メタロセン触媒を用いて重合することにより得られる。このようにして得られた結晶性樹脂を用いれば、低分子量成分のブリードによる被着体の汚染を防止することができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体と上記結晶性樹脂との重量比(非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体:結晶性樹脂)は、好ましくは90:10〜50:50であり、さらに好ましくは90:10〜60:40であり、特に好ましくは90:10〜70:30である。このような範囲であれば、粘着剤層の硬さ(貯蔵弾性率)を適度な範囲に調節することができ、半導体ウエハの保護により適した粘着力および段差追従性を有し、かつ剥離性に優れる粘着テープを得ることができる。
上記樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合は、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%〜40重量%であり、より好ましくは5重量%〜30重量%であり、特に好ましくは5重量%〜10重量%であり、最も好ましくは8重量%〜10重量%である。このような範囲であれば、粘着剤層の硬さ(貯蔵弾性率)を適度な範囲に調節することができ、半導体ウエハの保護により適した粘着力および段差追従性を有し、かつ剥離性に優れる粘着テープを得ることができる。このような効果は、1−ブテン由来の構成単位を有する結晶性樹脂を樹脂組成物中に含ませて、樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合を上記範囲に調整することにより、より顕著となる。なお、本明細書において、「樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合」とは、樹脂組成物中のすべての樹脂が有する1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合を意味する。具体的には、上記樹脂組成物中、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の他に、1−ブテン由来の構成単位を有する結晶性樹脂(例えば、結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体、結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体)を含む場合は、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体中の1−ブテン由来の構成単位と結晶性樹脂中の1−ブテン由来の構成単位との合計含有割合を意味する。
上記樹脂組成物のの230℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは1g/10min〜50g/10minであり、さらに好ましくは5g/10min〜30g/10minであり、特に好ましくは5g/10min〜20g/10minである。上記樹脂組成物のメルトフローレートがこのような範囲であれば、共押し出し成形により、加工不良なく厚みの均一な粘着剤層を形成することができる。メルトフローレートは、JISK7210に準じた方法により測定することができる。
上記粘着剤層の20℃における貯蔵弾性率(G’)は、好ましくは2.0MPa以下であり、さらに好ましくは0.5MPa〜2.0MPaであり、より好ましくは0.5MPa〜1.8MPaであり、特に好ましくは0.5MPa〜1.6MPaである。上記粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)がこのような範囲であれば、半導体ウエハの保護に適した段差追従性を得ることができる。このような本発明の粘着テープは、半導体ウエハの保護に用いた際、半導体ウエハパターンの凹凸を良好に埋めて半導体ウエハの裏面研削における優れた研削精度の達成に寄与し得、かつ、研削加工中の水侵入による半導体ウエハの汚染または破損を防止することができる。さらに、貯蔵弾性率(G’)が上記範囲であれば、粘着力および剥離性のバランスに優れた粘着テープを得ることができる。より詳細には、本発明の粘着テープは、粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)が上記のように比較的小さくとも、粘着力が高くなりすぎず、粘着力および剥離性のバランスに優れる。このような粘着テープは、裏面研削においては半導体ウエハの表面を十分に保護するとともに、上記の効果(優れた研削精度、水侵入の防止)を得ることができ、さらに、研削加工後には容易に剥離でき、半導体ウエハの破損を防止することができる。このように貯蔵弾性率(G’)および粘着力がともに低い粘着剤層は、例えば、上記樹脂組成物中に1−ブテン由来の構成単位を有する結晶性樹脂を含ませて粘着剤層の粘着力を調整することにより、貯蔵弾性率(G’)の上昇は抑制しながら粘着力を低下させて、得ることができる。なお、本発明における貯蔵弾性率(G’)は、動的粘弾性スペクトル測定により、測定することができる。
上記粘着剤層のナノインデンターによる1000nm押し込み時のインデンテーション硬さは、好ましくは0.8MPa以上であり、さらに好ましくは0.8MPa〜3.5MPaであり、特に好ましくは0.8MPa〜3.0MPaであり、最も好ましくは0.8MPa〜1.5MPaである。このような範囲であれば、半導体ウエハの保護に適した粘着力、剥離性および段差追従性を有する粘着テープを得ることができる。より具体的には、ナノインデンターによる1000nm押し込み時のインデンテーション硬さが0.8MPa以上であれば、ウエハ表面の極微小な凹凸(例えば、PI保護膜、回路パターン等によるナノレベルの凹凸)にまで粘着テープが追従して強固に粘着することを防止でき、剥離性に優れる粘着テープを得ることができる。上記粘着剤層は、貯蔵弾性率(G’)が上記範囲にあり、かつ、ナノインデンターによる1000nm押し込み時のインデンテーション硬さが上記範囲にあることが、特に好ましい。本発明によれば、粘着剤層全体は柔らかくありながら、粘着剤層の表面は比較的硬い粘着テープを得ることができる。このような粘着剤層を備える粘着テープは、半導体ウエハの保護に適した段差追従性および粘着力を有する。なお、ナノインデンターによる硬さはナノインデンター(例えば、HYSITRON社製)を用いて測定することができる。
好ましくは、上記粘着剤層は、F、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、NH を実質的に含まない。被着体を当該イオンで汚染することを防止することができるからである。このような粘着剤層を備える粘着テープは、例えば、半導体ウエハ加工用に用いられる場合、回路の断線または短絡等を生じさせることがない。上記イオンを含まない粘着剤層は、例えば、当該粘着剤層に含まれる非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を上記のようにメタロセン触媒を用いて溶液重合することにより得ることができる。当該メタロセン触媒を用いた溶液重合においては、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、重合溶媒とは異なる貧溶媒を用いて析出単離(再沈殿法)を繰り返して、精製することができるので、上記イオンを含まない粘着剤層を得ることができる。なお、本明細書において、「F、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、NH を実質的に含まない」とは、標準的なイオンクロマトグラフ分析(例えば、ダイオネクス社製、商品名「DX−320」、「DX−500」を用いたイオンクロマトグラフ分析)において検出限界未満であることをいう。具体的には、粘着剤層1gに対して、F、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−およびKがそれぞれ0.49μg以下、LiおよびNaがそれぞれ0.20μg以下、Mg2+およびCa2+がそれぞれ0.97μg以下、NH が0.5μg以下である場合をいう。
上記粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。当該その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤等が挙げられる。その他の成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。
C.基材層
上記基材層は、任意の適切な樹脂により形成される。好ましくは、共押し出し成形が可能な熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMA)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック重合体(SEBS)、高分子量ポリエチレン(HDPE)、低分子量ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低分子量ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜200,000であり、さらに好ましくは30,000〜190,000である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量(Mw)がこのような範囲であれば、共押し出し成形の際、加工不良なく基材層を形成することができる。
上記基材層を形成する樹脂の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは2g/10min〜20g/10minであり、さらに好ましくは5g/10min〜15g/10minであり、特に好ましくは7g/10min〜12g/10minである。エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートがこのような範囲であれば、共押し出し成形により、加工不良なく基材層を形成することができる。
上記基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。当該その他の成分としては、例えば、上記B項で説明した粘着剤層に含まれ得るその他の成分と同様の成分が用いられ得る。
D.粘着テープの製造方法
本発明の粘着テープは、好ましくは、上記粘着剤層および上記基材層の形成材料が共押し出し成形されて製造される。共押し出し成形により、層間の接着性が良好な粘着テープを、少ない工程数で、かつ、有機溶剤を使用することなく製造することができる。なお、本明細書において「粘着剤層の形成材料(粘着剤層形成材料)」とは、上記樹脂組成物と上記その他の成分との混合物を意味する。
上記共押し出し成形において、上記粘着剤層および上記基材層の形成材料は、上記の各層の成分を任意の適切な方法で混合した材料が用いられ得る。
上記共押し出し成形の具体的方法としては、例えば、ダイスに連結した少なくとも2台の押出し機のうち、1台に粘着剤層形成材料を、別の1台に基材層形成材料を、それぞれ供給し、溶融後、押出し、タッチロール成形法により引き取り、積層体を成形する方法が挙げられる。押し出しの際、各形成材料が合流する部分は、ダイス出口(ダイスリップ)に近いほど好ましい。ダイス内で各形成材料の合流不良が生じ難いからである。したがって、上記ダイスとしては、マルチマニホールド形式のダイスが好ましく用いられる。なお、合流不良が生じた場合、合流ムラ等の外観不良、具体的には押し出された粘着剤層と基材層との間で波状の外観ムラが発生して好ましくない。また、合流不良は、例えば、異種形成材料のダイス内における流動性(溶融粘度)の差が大きいこと、および各層の形成材料のせん断速度の差が大きいことを原因として生じるので、マルチマニホールド形式のダイスを用いれば、流動性の差がある異種形成材料について、他の形式(例えば、フィードブロック形式)よりも、材料選択の範囲が拡がる。各形成材料の溶融に用いる押出し機のスクリュータイプは単軸または2軸であってもよい。押し出し機は、3台以上であってもよい。押し出し機が3台以上の場合、さらにその他の層の形成材料を供給することができる。また、3台以上の押し出し機を用いて、2層構造(基材層+粘着剤層)の粘着テープを製造する場合、同一の形成材料を隣り合う2台以上の押し出し機に供給すればよく、例えば、3台の押し出し機を用いる場合は、隣り合う2台の押し出し機に同一の形成材料が供給され得る。
上記共押し出し成形における成形温度は、好ましくは160℃〜220℃であり、さらに好ましくは170℃〜200℃である。このような範囲であれば、成形安定性に優れる。
上記粘着剤層形成材料と上記基材層形成材料との、温度180℃、せん断速度100sec−1におけるせん断粘度の差(粘着剤形成材料−基材層形成材料)は、好ましくは−150Pa・s〜600Pa・s以下であり、さらに好ましくは−100Pa・s〜550Pa・sであり、特に好ましくは−50Pa・s〜500Pa・sである。このような範囲であれば、上記粘着剤形成材料および基材層形成材料のダイス内での流動性が近く、合流不良の発生を防止することができる。なお、せん断粘度は、ツインキャピラリー型の伸長粘度計により測定することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、部は重量部を意味する。
[実施例1]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)90部、および結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーXM7070」、1−ブテン由来の構成単位:34重量%)10部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:5.2重量%)を用いた。
基材層形成材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポン社製、商品名「エバフレックスP−1007」)を用いた。
上記粘着剤形成材料と、基材層形成材料とをそれぞれの押し出し機に投入し、Tダイ溶融共押し出し(押し出し機:ジー・エム・エンジニアリング社製、商品名「GM30−28」/Tダイ:フィードブロック方式;押出温度180℃)を行い、溶融状態の樹脂とタッチロール成形部へ通紙したSi塗布PETセパレータ(三菱化学社製、商品名「ダイアホイルMRF」:38μm)とを積層した後、冷却し、粘着剤層の厚みが30μm、基材層の厚みが100μmの粘着テープを得た。なお、各層の厚みは、Tダイ出口の形状により制御した。
[実施例2]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)80部、および結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーXM7070」、1−ブテン由来の構成単位:34重量%)20部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:8.4重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[実施例3]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)70部、および結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーXM7070」、1−ブテン由来の構成単位:34重量%)30部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:11.6重量%)を用い、粘着剤層の厚みを45μmとし、基材層の厚みを160μmとした以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[実施例4]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)60部、および結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーXM7070」、1−ブテン由来の構成単位:34重量%)40部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:14.8重量%)を用い、粘着剤層の厚みを45μmとし、基材層の厚みを160μmとした以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[実施例5]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)80部、および結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーBL3450」、1−ブテン由来の構成単位:87重量%)40部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:19重量%)を用い、粘着剤層の厚みを45μmとし、基材層の厚みを160μmとした以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[実施例6]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)70部、および結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーBL3450」、1−ブテン由来の構成単位:87重量%)30部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:27.5重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[実施例7]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)60部、および結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーBL3450」、1−ブテン由来の構成単位:87重量%)40部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:36重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例1]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)100部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:2重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例2]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)90部、およびメタロセン触媒により重合した結晶性ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロピレン社製、商品名「WINTEC WFX4」)10部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:1.8重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例3]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)80部、およびメタロセン触媒により重合した結晶性ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロピレン社製、商品名「WINTEC WFX4」)20部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:1.6重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例4]
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学社製、商品名「タフセレンH5002」、1−ブテン由来の構成単位:2重量%)70部、およびメタロセン触媒により重合した結晶性ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロピレン社製、商品名「WINTEC WFX4」)30部を含む樹脂組成物(樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合:1.4重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[評価]
実施例および比較例で得られた粘着テープを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)インデンテーション硬さ
粘着剤層のインデンテーション硬さはナノインデンター(HYSITRON社製)を用いて、室温25℃環境下でバーコビッチ型圧子を粘着剤表面に速度100nm/secで1000nm押しこんだ時の荷μN(Pmax)から下記式より算出した。
インデンテーション硬さ=(Pmax)/A;接触投影面積
(2)貯蔵弾性率(G’)
粘着剤層の20℃における貯蔵弾性率は、動的スペクトル測定器(レオメトリックサイエンティフィック社製、商品名「ARES」)を用いて、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で―50℃〜100℃の範囲で測定した。
(3)粘着力(対シリコン)
得られた粘着テープの4インチ半導体ウエハのミラー面(シリコン製)に対する粘着力を、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した。
(4)粘着力(対ポリイミド)
得られた粘着テープのポリイミドコートウエハのポリイミドコート面に対する粘着力を、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した。
(5)段差追従性(浮き幅)
半導体ウエハ8インチ(シリコン製)上に、厚さ30μm幅2cmのアルミプレートを置いた。このアルミプレートを横切るように、テープ貼付装置DR−3000II(日東精機(株)製)を用いて粘着テープを貼りつけ、段差30μmに対する浮き幅を顕微鏡にて観察して測定した。
(6)剥離性
粘着テープを半導体ウエハ8インチ(シリコン製)に貼付し、バックグラインド装置DFG8560((株)ディスコ製)を用いて100μmまで研削した後、テープ剥離装置MA3000III(日東精機(株))を用いてテープ剥離を行った。1回で剥離できたものを○、できなかったものを×とし、評価した。
Figure 2013163775
実施例から明らかなように、本願発明によれば、粘着力と剥離性とのバランスおよび段差追従性に優れた粘着テープを得ることができる。
本発明の粘着テープは、例えば、半導体装置製造の際のワーク(半導体ウエハ等)の保護に好適に用いることができる。
10 粘着剤層
20 基材層
100 粘着テープ

Claims (8)

  1. 非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む樹脂組成物から構成される粘着剤層を備える粘着テープであって、
    30μmの段差を有する被着体に貼着した際に、該段差の近傍で該粘着テープが浮いて、該粘着テープと該被着体とが接さない部分の幅が650μm以下であり、
    シリコン製半導体ミラーウエハに対する、JIS Z 0237(2000)に準じた方法(貼り合わせ条件:2kgローラー1往復、剥離速度:300mm/min、剥離角度180°)により測定した粘着力が2.0N/20mm以下である、
    粘着テープ。
  2. 前記粘着剤層の20℃における貯蔵弾性率(G’)が2.0MPa以下である、請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層のナノインデンターによる1000nm押し込み時のインデンテーション硬さが0.8MPa以上である、請求項1または2に記載の粘着テープ。
  4. 前記樹脂組成物が非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体と結晶性樹脂とを含み、
    該結晶性樹脂が結晶性プロピレン−(1−ブテン)共重合体および/または結晶性エチレン−(1−ブテン)共重合体である、請求項1から3のいずれかに記載の粘着テープ。
  5. 前記樹脂組成物中の1−ブテン由来の構成単位の合計含有割合が、該樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、5重量%以上である、請求項1から4のいずれかに記載の粘着テープ。
  6. 粘着テープ厚みが5μm〜1000μmである、請求項1から5のいずれかに記載の粘着テープ。
  7. 基材層をさらに備え、粘着剤層形成材料と基材層形成材料とを共押し出し成形して得られる、請求項1から6のいずれかに記載の粘着テープ。
  8. 半導体ウエハ加工用である、請求項1から7のいずれかに記載の粘着テープ。


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