JP2013163619A - 光学ガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制した光学ガラスの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明によると、少なくともバッチ原料混合物との接触部分に、金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用し、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を950℃以下で溶融して溶融ガラスを製造することを特徴とする光学ガラスの製造方法光学ガラスの製造方法が提供される。また、金属材料は、強化材を分散させた金属材料からなってもよい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によると、少なくともバッチ原料混合物との接触部分に、金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用し、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を950℃以下で溶融して溶融ガラスを製造することを特徴とする光学ガラスの製造方法光学ガラスの製造方法が提供される。また、金属材料は、強化材を分散させた金属材料からなってもよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学ガラスの製造方法に関する。特に、ビスマス(Bi)を含有する光学ガラスの製造方法に関する。
鉛を主成分としない低温軟化特性を有する光学ガラスして、Bi2O3やTeO2を多量に含有するガラスが知られている。一般に、ガラス転移点の低い光学ガラスを製造する場合、石英や白金、白金合金、強化白金等の耐熱容器内で原料を溶融することによってガラス化する方法が採用されている。
しかし、従来の石英容器では、硝酸を使用する原料の溶融工程において、石英容器からケイ素が溶け出して溶融ガラスに混入するため、光学ガラスの屈折率が低下してしまう。
また、Bi2O3やTeO2を多量に含有する光学ガラスは、一般に、様々な原因により可視光線透過性が悪くなりやすいという欠点があり、光学ガラスとして使用するには困難を伴うことが多い。特に上記ガラスを溶融する際及び成形する際に、溶融ガラスと溶融槽や流路材料として通常使用されている白金族合金と溶融ガラスとの間で反応を起こし、ガラスが着色することが多かった。これら着色は光学ガラス用途においては著しい不利益となる。また、これら溶融ガラスと白金族合金との反応は、着色性悪化による不利益のみならず、溶融部材の劣化を促進するためガラス漏れ等の危険性があり、安定な生産を阻害する要因ともなっていた。
白金族合金を用いることの問題を解決する方法の一つとして、特許文献1には、構成成分としてBi2O3を含有する低融点ガラスを製造するに際し、原料バッチの溶融ガラス化を、金(Au)又はAu合金から作製された耐熱容器内で行うことが開示されている。
しかし、特許文献1の方法は、加熱時の耐熱容器の強度が不十分であるため、多量の温度、圧力等の負荷がかかる大量生産時には不向きであった。そこで、本発明者らによる特許文献2には、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有する光学ガラスを、金を90質量%以上含有しかつ強化材を分散させた金属材料からなる部材を使用して、溶融及び/又は成形する工程を含む光学ガラスの製造方法が開示されている。
一方、光学ガラスの製造においては、原料を溶融して製品となる光学ガラスを製造するわけではない。すなわち、バッチ原料混合物を溶融して溶融ガラスからガラスの粉末やカレットを製造し、所望の光学特性を得るために複数種類のガラスを混合して再溶融することにより、光学ガラスを製造する必要がある。しかし、封着ガラスの製造方法である特許文献1では、バッチ原料混合物を溶融して溶融ガラスを製造するときに、溶融ガラス中に金が1〜1000ppm程度混入する。このような溶融ガラスへの金の混入は光学ガラスに要求される光学特性を十分に満たすことができない。
本発明は、上述の問題を解決するものであって、ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制した光学ガラスの製造方法を提供するものである。
本発明の一実施形態によると、少なくともバッチ原料混合物との接触部分に、金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用し、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を950℃以下で溶融して溶融ガラスを製造することを特徴とする光学ガラスの製造方法が提供される。
前記光学ガラスの製造方法において、前記バッチ原料混合物を950℃以下で溶融してもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記金属材料が、強化材を分散させた金属材料からなってもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記溶融ガラスを製造することは、前記バッチ原料混合物と硝酸塩とを加熱することを含んでもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記強化材が金属又は金属酸化物であってもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記金属酸化物が、Ti、Zr、Hf、Y、Nb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される1種以上の金属の酸化物であってもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記金属酸化物が、金の全質量に対し0.01質量%以上含有されてもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、屈折率の異なる2種類以上の前記溶融ガラスを混合して溶融することさらに備えてもよい。
前記光学ガラスの製造方法において、前記溶融ガラスを冷却してカレットを製造し、前記カレットを溶解して均質化することさらに備えてもよい。
本発明によると、ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制した光学ガラスの製造方法が提供される。
上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物から溶融ガラスを製造する工程に、金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用するとともに、製造条件を調整すること、および、その後の光学ガラスを溶融及び/又は成形する工程においても金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用することにより、ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制した光学ガラスを製造可能であることを見出した。
以下に本発明の光学ガラスの製造方法について、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明の光学ガラスの製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[光学ガラスの製造に用いる部材]
本発明の実施形態に係る光学ガラスの製造に用いる器具の部材は、金を90質量%以上含有する金属材料からなる。本実施形態に係る金属材料は、金を主成分として90質量%以上含有し、物理的強度を高めるために、強化材を分散させた金属材料(以下、本明細書中において「強化金」とする)であることが好ましい。金属材料の金の含有量は、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが最も好ましい。金の含有量が90質量%より低いと、光学ガラスに対する着色抑制が十分でなく、光学ガラスとしては透明性が低下し、不適格な材料となりやすい。
本発明の実施形態に係る光学ガラスの製造に用いる器具の部材は、金を90質量%以上含有する金属材料からなる。本実施形態に係る金属材料は、金を主成分として90質量%以上含有し、物理的強度を高めるために、強化材を分散させた金属材料(以下、本明細書中において「強化金」とする)であることが好ましい。金属材料の金の含有量は、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが最も好ましい。金の含有量が90質量%より低いと、光学ガラスに対する着色抑制が十分でなく、光学ガラスとしては透明性が低下し、不適格な材料となりやすい。
本実施形態に係る金属材料は、金を90質量%以上含有するものであれば、純金に強化材を分散させたものでも、金と他の金属、例えば、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウムとの合金に強化材を分散させたものでも適用可能である。本実施形態に係る金属材料は、金を90質量%以上含有し、強化材を分散させた金属材料であるため、白金との合金であっても、光学ガラスに対する十分な着色抑制と、光学ガラスに要求される透明性を得ることができる。
本実施形態に係る金属材料に分散させる強化材としては、金属又は金属酸化物が好ましく、例えば、Ti、Zr、Hf、Y、Nb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される1種以上の金属の酸化物を好適に用いることができる。特に、強化材としてTi、Zr、Hf、Yのいずれか1種以上の酸化物を用いることがより好ましく、酸化ジルコニウムは最も好ましい。本実施形態に係る金属材料は、強化材を金の全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.08質量%以上、最も好ましくは0.10質量%以上分散される。金属材料は、強化材が少なすぎると、物理的強度が不十分になりやすい。このような金属酸化物を強化材として分散させた強化金を使用することにより、溶融ガラスとの接触による磨耗の減少、加熱時の変形抑制などの効果を得ることができる。
本実施形態に係る金属材料は、光学ガラスの製造に用いる器具の部材、特に溶融ガラスや光学ガラスに接触する部材全般に用いることが好ましい。特に、バッチ原料混合物を溶融する溶融槽(坩堝)、攪拌用スターラー、溶融槽に接続された流路、成形型、また、溶融ガラスを再溶融(本溶融)する溶融槽(坩堝)、攪拌用スターラー、溶融槽に接続された流路、成形型に本実施形態に係る金属材料を用いることにより、光学ガラスに対する十分な着色抑制と、光学ガラスに要求される透明性を得ることができる。本実施形態に係る金属材料は、これらの部材の少なくともガラスと接触する面、すなわち内壁に用いることが好ましいが、各部材を製作する便宜から、各部材全体を本実施形態に係る金属材料で作製することが好ましい。
本明細書中において「流路」とは、溶融槽に接続され、溶融ガラスや溶融された光学ガラスを型に流出させる際の、ガラス流が通過する流路全体及び流出口を含む概念である。つまりいわゆるパイプ、オリフィス、ノズルはすべて「流路」に含まれることとなる。
[光学ガラスの組成]
本発明を用いて製造する光学ガラスは、Bi2O3やTeO2を多量に含有する光学ガラスである。特に、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を溶融して製造する光学ガラスである。本実施形態に係る部材は、好ましくは、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を35質量%以上、とりわけ40質量%以上含む光学ガラス製造において、顕著な効果を奏する。ここで、本明細書中において「酸化物基準」とは、ガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、生成する酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
本発明を用いて製造する光学ガラスは、Bi2O3やTeO2を多量に含有する光学ガラスである。特に、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を溶融して製造する光学ガラスである。本実施形態に係る部材は、好ましくは、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を35質量%以上、とりわけ40質量%以上含む光学ガラス製造において、顕著な効果を奏する。ここで、本明細書中において「酸化物基準」とは、ガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、生成する酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
[光学ガラスの製造方法]
以下に、本発明に係る光学ガラスの製造方法について説明する。本実施形態に係る光学ガラスの製造方法においては、要求される光学特性を有する高品質の光学ガラスを製造するために、バッチ原料混合物を溶融して溶融ガラスを製造する工程(以下、バッチ溶解という)と、屈折率の異なる2種類以上の溶融ガラスを混合して溶融する工程(以下、本溶解という)の2つ溶融工程を備えることが好ましい。
以下に、本発明に係る光学ガラスの製造方法について説明する。本実施形態に係る光学ガラスの製造方法においては、要求される光学特性を有する高品質の光学ガラスを製造するために、バッチ原料混合物を溶融して溶融ガラスを製造する工程(以下、バッチ溶解という)と、屈折率の異なる2種類以上の溶融ガラスを混合して溶融する工程(以下、本溶解という)の2つ溶融工程を備えることが好ましい。
バッチ原料混合物を溶融する1回の溶解工程で光学ガラスを製造することも可能であるが、高屈折率ガラスを製造するには、屈折率の高いガラスと屈折率の低いガラスとを本溶解工程で混合することにより、屈折率を所望の屈折率となるように調整することが好ましい。このため、バッチ溶解から本溶解、光学ガラスの成形までの全工程において、ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制することが重要である。したがって、本実施形態に係る光学ガラスの製造方法においては、上述した本実施形態に係る金属材料を、光学ガラスの製造に用いる部材、特に溶融ガラスや光学ガラスに接触する部材全般に用いることが好ましい。
[バッチ溶解工程]
バッチ溶解工程は、バッチ原料混合物を粗溶融する工程である。本実施形態においては、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の光学ガラス用のバッチ原料混合物を、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上の所定の含有量となるように秤量し、混合する。本実施形態に係るバッチ溶解工程においては、金を90質量%以上含有する金属材料からなる溶融槽を用い、これらのバッチ原料混合物を950℃以下、より好ましくは800℃以下の温度で溶解する。溶融槽内が酸性条件となるバッチ溶解工程では、950℃を超える高温でバッチ原料混合物を溶解すると、溶融槽から金が溶出して、溶融ガラスに混入するため好ましくない。上述したように、本実施形態に係るバッチ溶解工程においては、溶融槽の物理的強度を高めるために、金属材料として強化材を分散させた強化金を用いることが好ましい。
バッチ溶解工程は、バッチ原料混合物を粗溶融する工程である。本実施形態においては、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の光学ガラス用のバッチ原料混合物を、酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上の所定の含有量となるように秤量し、混合する。本実施形態に係るバッチ溶解工程においては、金を90質量%以上含有する金属材料からなる溶融槽を用い、これらのバッチ原料混合物を950℃以下、より好ましくは800℃以下の温度で溶解する。溶融槽内が酸性条件となるバッチ溶解工程では、950℃を超える高温でバッチ原料混合物を溶解すると、溶融槽から金が溶出して、溶融ガラスに混入するため好ましくない。上述したように、本実施形態に係るバッチ溶解工程においては、溶融槽の物理的強度を高めるために、金属材料として強化材を分散させた強化金を用いることが好ましい。
本実施形態においては、バッチ原料混合物を粗溶融する温度が950℃以下の低温であるため、バッチ原料混合物を溶融するために必要な時間は、従来の溶融時間よりも長くなる。また、バッチ原料混合物を溶融する時の昇温速度及び溶解後の降温速度を従来よりも遅くすることが好ましい。本実施形態に係るバッチ溶解工程は、従来の方法よりも緩やか条件で行うことにより、溶融槽からの金の溶出を抑制することができる。
また、本実施形態に係る酸化ビスマス含有ガラスは、バッチ溶解工程において、溶融槽内の残存酸素濃度を1%以上にすることが好ましく、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上である。溶融槽内の残存酸素濃度が低すぎると、ガラスが着色する傾向にある。
溶融槽内の残存酸素濃度を1%以上にするためには、溶融槽内に酸素を吹き込みながら溶融を行う方法、溶融槽内を酸素濃度1%以上の気体と置換し溶融を行う方法等を挙げることができるが、特に限定されない。
また、透過率の良い光学ガラスを得る為には、バッチ原料混合物に酸化剤を含有させることが効果的である。酸化剤としては酸化アンチモン、硝酸塩等などを挙げることができる。これらの含有割合として重量%で1%以上含有することが好ましく、さらに好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上含有することが好ましい。
また、バッチ溶解工程において、ガラスを酸化させるガスを吹き込みながらバッチ原料混合物を溶解することもできる。ガラスを酸化させるガスを吹き込むことにより、酸化ビスマス含有ガラスの溶融性を高め、かつ着色も抑えることができる。
本実施形態においては、ガスの吹き込み器具にも金を90質量%以上含有する金属材料を使用することが好ましい。さらに、液面に上昇してくる気泡を確認できるように吹き込み器具を配置することが好ましい。また、バブリングの強さは、周囲にガラスが飛散しない程度に調節することが好ましく、ガスの供給量は0.1 l/min以上10 l/min以下であることが好ましい。バブリングの時期は、バッチ原料混合物の投入が終了してから、成形(キャスト)までの時間が好ましく、必要に応じて攪拌などの均質化や清澄化を行うことが好ましい。
ガラスを酸化させるガスとしては、特に限定されないが、例えば、酸素、ハロゲン化酸素などを用いることができる。
本実施形態においては、本溶解工程を行うため、バッチ溶解工程で得た溶融ガラスを冷却してカレットを製造することが好ましい。溶融ガラスを冷却する工程に用いる器具の部材には、金を90質量%以上含有する金属材料を用い、器具に起因する成分の混入を抑制する。また、この工程には、例えば、炉と一体化し原料を連続的に溶融させ、カレットを作製する管状器具、いわゆる傾斜管などを用いることも可能であり、この場合には、傾斜管などの部材にも本実施形態に係る金属材料を用いる。なお、本実施形態に係るバッチ溶解工程においては、上述したガスの吹き込み器具、攪拌用スターラー、溶融槽に接続された流路、成形型等の溶融ガラスと接触する部材には、物理的強度を高めるために、金属材料として強化材を分散させた強化金を用いることが好ましい。
[本溶解工程]
本溶解工程は、所望の屈折率となるように屈折率の異なる2種類以上の溶融ガラスを混合して溶融する工程である。本溶解工程においては、カレットを溶解して、清澄および均質化する。清澄および均質化する工程においては、非金属製の溶融槽および器具を使用すると、泡やすじ、脈理等が発生し、高屈折率の光学ガラスを得ることができない。従って、清澄および均質化させる工程においては、本実施形態に係る金属材料製の坩堝や器具を使用して溶解することが最も好ましい。
本溶解工程は、所望の屈折率となるように屈折率の異なる2種類以上の溶融ガラスを混合して溶融する工程である。本溶解工程においては、カレットを溶解して、清澄および均質化する。清澄および均質化する工程においては、非金属製の溶融槽および器具を使用すると、泡やすじ、脈理等が発生し、高屈折率の光学ガラスを得ることができない。従って、清澄および均質化させる工程においては、本実施形態に係る金属材料製の坩堝や器具を使用して溶解することが最も好ましい。
本溶解工程により溶解した光学ガラスは、成形及び冷却する。本実施形態に係る光学ガラスの成形工程及び冷却工程に用いる器具の部材には、金を90質量%以上含有する金属材料を用い、器具に起因する成分の混入を抑制する。このように、本実施形態に係る光学ガラスの製造法によると、ケイ素や白金、金等の容器に起因する成分の混入を抑制した光学ガラスを製造することができる。なお、本実施形態に係る本溶解工程においては、上述したカレットを溶解する溶融槽、攪拌用スターラー、溶融槽に接続された流路、成形型等のカレットを溶解した溶融ガラスと接触する部材には、物理的強度を高めるために、金属材料として強化材を分散させた強化金を用いることが好ましい。
上述した本発明に係る光学ガラスの製造方法について、実施例を示して、さらに詳述する。酸化物基準で、Bi2O3を約83質量%、TeO2を約1質量%、B2O3を約12質量%、を有するガラス組成となるように酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の通常のガラス原料を所定量秤量し、均一に混合してバッチ原料混合物を準備した。
(実施例)
上記のバッチ原料混合物を、酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ800mm、高さ60mm、厚み1.0mm)に入れ、850℃で1時間粗溶解して溶融ガラスを得た。その後、溶融ガラスを冷却して、カレットを製造した。このバッチ溶解工程で得たカレットを、酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ100mm、高さ100mm、厚み1.0mm)に入れ、850℃で2時間加熱・保温して溶融して本溶解工程を行い、750℃に温度を変更し1時間保温後、成形して本実施例に係る光学ガラスを得た。
上記のバッチ原料混合物を、酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ800mm、高さ60mm、厚み1.0mm)に入れ、850℃で1時間粗溶解して溶融ガラスを得た。その後、溶融ガラスを冷却して、カレットを製造した。このバッチ溶解工程で得たカレットを、酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ100mm、高さ100mm、厚み1.0mm)に入れ、850℃で2時間加熱・保温して溶融して本溶解工程を行い、750℃に温度を変更し1時間保温後、成形して本実施例に係る光学ガラスを得た。
(比較例)
比較例として、バッチ溶解工程に石英坩堝を用い、上記のバッチ原料混合物を850℃で1時間粗溶解して溶融ガラスを得た。その後、溶融ガラスを冷却して、カレットを製造した。本溶解工程は、実施例と同様の条件で酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ800mm、高さ60mm、厚み1.0mm)を用いてカレットを溶融し、成形して比較例の光学ガラスを得た。
比較例として、バッチ溶解工程に石英坩堝を用い、上記のバッチ原料混合物を850℃で1時間粗溶解して溶融ガラスを得た。その後、溶融ガラスを冷却して、カレットを製造した。本溶解工程は、実施例と同様の条件で酸化ジルコニウムを0.1%分散させた強化金製の坩堝(Φ800mm、高さ60mm、厚み1.0mm)を用いてカレットを溶融し、成形して比較例の光学ガラスを得た。
Claims (9)
- 少なくともバッチ原料混合物との接触部分に、金を90質量%以上含有する金属材料からなる部材を使用し、
酸化物基準でBi2O3及び/又はTeO2を30質量%以上含有するバッチ原料混合物を950℃以下で溶融して溶融ガラスを製造することを特徴とする光学ガラスの製造方法。 - 前記バッチ原料混合物を950℃以下で溶融することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記金属材料が、強化材を分散させた金属材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記溶融ガラスを製造することは、前記バッチ原料混合物と硝酸塩とを加熱することを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記強化材が金属又は金属酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記金属酸化物が、Ti、Zr、Hf、Y、Nb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記金属酸化物が、金の全質量に対し0.01質量%以上含有されることを特徴とする請求項5又は6に記載の光学ガラスの製造方法。
- 屈折率の異なる2種類以上の前記溶融ガラスを混合して溶融することさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の光学ガラスの製造方法。
- 前記溶融ガラスを冷却してカレットを製造し、前記カレットを溶解して均質化することさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光学ガラスの製造方法。
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