JP2013161871A - 印刷装置及びそれを用いた太陽電池セルの製造方法 - Google Patents

印刷装置及びそれを用いた太陽電池セルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スキージを用いて所定の位置に開口部を有する印刷マスクからペーストをテーブルに固定した被印刷物の所定の位置に転写する太陽電池セルなどの配線の製造方法において、印刷マスクの開口部における開口面積の大小に関わらず、精度良く安定して印刷することを実現する。
【解決手段】スキージ1L先端の一方の角に円弧状の凹形状を形成し、円弧状の凹形状部8Lを含むスキージ1Lの先端部分の表面を撥液性を有する膜103で被覆して、所望のパターン開口部12を有する印刷マスク11にペースト9を充填、転写する際、撥液性を有する膜103で被覆した円弧状の凹形状部8Lペースト9のローリングを促進し、印刷マスク11のパターン開口部12へのペースト9の充填性を促進させて、太陽電池セルなどの配線を製造する。
【選択図】図5B

Description

本発明は、被印刷物に対し所定の開口パターンを有する印刷マスクを介して粘性印刷材料を被印刷物にスキージを用いて印刷する印刷装置及びそれを用いた太陽電池セルの製造方法に関する。
スクリーン印刷とは、インクなどのペースト(印刷剤)をスキージング(スキージでペースト(印刷剤)を押し出すこと)により開口パターンを有する印刷マスクを通過させて被印刷物に所望のパターンを転写する孔版印刷方式の一種であり、IC基板の回路配線形成や、FDP(Flat Display Panel)のパターン形成(電極形成や蛍光体充填)など様々な用途に利用されている。
スクリーン印刷は、例えば、プリント配線基板上への電子部品の実装作業に先行して行われるハンダペーストの印刷にも用いられる。ハンダペーストはハンダ合金粉末と高粘度液状フラックスとを混合してクリーム状にしたものであり、所定の開口パターンを有する印刷マスクを介して基板上に転写される。この印刷には機械的強度等の点で優れた金属製の印刷マスクおよびメタルスキージが広く用いられている。
以下、現行のハンダ印刷について、印刷マスクをメタルマスク、スキージをメタルスキージ、ハンダペーストをペーストと称して説明する。
メタルスキージは、その先端部をメタルマスクの印刷マスク面に対して所定のアタック角度(例えば70度)に傾斜させた状態で、表面にペーストが供給された印刷マスク面に圧力(印圧)を加えながら印刷方向に摺動させることにより、メタルマスクに形成した開口パターンを介して被印刷物上にペーストによるパターンを転写するものである。
ペースト印刷工程に導入されるプリント配線基板の印刷面には、その前工程において施されたソルダレジストや電極配線等による20μm〜80μm程度の凹凸が存在するため、ステンレス鋼から成る厚さ約100μmのメタルマスクは、印刷時にこれらプリント配線基板の凹凸により局所的に上方へと押し上げられメタルマスクとプリント配線基板との間に隙間が形成される。そこで、プリント配線基板の印刷面の凸部により盛り上がったメタルマスクの凸部をメタルスキージが通過すると、両者の間にギャップが生じることになり、印刷不良を引き起こす原因となる。
これを防ぐために、メタルスキージに大きな印圧を加えながら印刷を行わせることにより、上記ギャップを小さく抑制するようにしている。そのため、従来のメタルスキージは、耐摩耗性に優れた特殊鋼(超硬合金)で製造し、その耐久性を高めている。
また、これらの解決策として、特開平10−100374号公報(特許文献1)には、メタルスキージの印刷方向とは逆側の先端部に、エッチングによりテーパ面を形成し、弾性変形し易くすることにより小さな印圧でも安定した印刷が可能になり、メタルマスクの印刷マスク面に対するダメージを低減することが記されている。
被印刷物の段差による印刷不良解決策およびメタルマスクのダメージ低減策として、メタルスキージの代わりに樹脂製のスキージを用いて印刷する方法が採用されている。
以下、樹脂製のスキージを用いたスクリーン印刷について、印刷マスクをメッシュマスク、スキージをウレタンスキージと称して説明する。
従来のウレタンスキージには、平スキージ、角スキージ、剣スキージ等がある。
平スキージで問題となっているアタック角度を安定化する方法として、実開平3−055230号公報(特許文献2)に記載されているように、ガラスエポキシ樹脂を支持体としたウレタン製ゴムからなるスキージが提案されている。このスキージは、基端部がホルダに取り付けられる支持体と、該支持体の基端部と対向する先端部に該先端部を覆うように、一体に固着されたスキージ部とからなっている。上記支持体の材質は、弾性復元力を有するガラスエポキシ樹脂製とするとともに、その形状を平板状としている。
また、スキージ部は、その材質をウレタンゴム製としており、スキージングするスキージ先端部と対向するスキージ他端部に幅方向に亙って溝部を設けており、支持体の先端部を狭持するように、一体に固着するようになっている。
この従来例によれば、このような構成のスキージを用い、その基端部側でホルダに固定することにより、印刷マスク面上をスキージングすることができる。この際、長時間に亙ってスキージングしていくと、スキージ部の先端部がインク(ペースト)に含まれる溶剤によって変化(膨潤)しても、支持体の材質をガラスエポキシ樹脂製としているので、スキージ全体の腰力は変化せず、安定してスキージングをすることができる。
また、実開平1−91536号公報(特許文献3)には、スキージに金属製芯材を内蔵させてスキージが曲折変形するのを回避することが記載されている。
印刷に用いられるメタルマスクとして、印刷マスク版枠内の空間にメタル板を配置し、前記メタル板を、このメタル板と前記印刷マスク版枠との間にその全周にわたって設けられたテンションメッシュを介して緊張状態で前記印刷マスク版枠に支持されたコンビネーションメッシュ型のものがある。
この印刷マスクは、前記メタル板に、その上を移動されるスキージの移動エリアに対応する印刷有効領域内に所定のパターンの開口を形成した印刷マスクを製版してスクリーン印刷に使用されるものである。
メタルマスクの下面に被印刷物の上面を対向させ、メタルマスクの上面でスキージを摺動させることによって、メタルマスクに設けられた開口部にペーストを充填した後、メタルマスクから被印刷物を離すことによって印刷材料を被印刷物上へ転写させるのに用いられる。
前記メタル板には、印刷有効領域内に所定のパターンの開口を、レーザ加工、メッキ法、エッチング法などで形成する。
例えば、エッチング法では、前記メタル板の全域にフォトレジストを両面に塗布し、そのレジスト膜を、所定パターンの露光マスクを用いて露光処理した後にエッチング処理することにより形成される。
なお、スクリーン印刷法は、例えば、電子デバイス、プリント配線基板への電極配線の印刷、液晶ディスプレイ用基板への枠状シール材の印刷、プラズマディスプレイ用基板への誘電体層、画素間隔壁や電極配線および蛍光材料の印刷等、様々な印刷に利用されており、前記メッシュマスクの大きさ、つまりメッシュの面積や印刷マスク版枠の寸法およびテンションメッシュの幅等は、その用途に応じて設計されている。
特開平10−100374号公報 実開平3−055230号公報 実開平1−91536号公報
ところで、近年の表面実装部品の小型化に伴って、プリント配線板のパッドの面積は小さくなってきており、それに伴って印刷マスクの開口部の面積も小さくなっている。
このように、開口面積の小さい開口部に対して、特許文献1に記載のスキージ、すなわち、エッチングによりテーパ面を形成したメタルスキージでは、ペーストを印刷マスクの開口部に押し込む力が不足するため、プリント配線板のパッドと開口部内のペーストとの接着性が不十分になり、その結果、印刷マスクの開口部にペーストが残ってしまい、プリント配線板のパッドにペーストが印刷(転写)できない、または印刷されたペーストの量が不足するといった不具合が生じる場合がある。
一般的に、メタルスキージは、ウレタン製のゴムスキージに比べて、ペーストを印刷マスクの開口部に押し込む力が弱く、上述した不具合が生じたものと考えられる。
また、一般にメタルスキージの先端部には、高い精度の平坦度・平面度が要求されるのであるが、上述した従来のメタルスキージは、その生産に際して、素材(原材料)も含めて、スキージ先端部の微細加工を放電加工等で行っているので、非常に高コストであるという問題がある。さらに、スキージ先端部には、摩擦抵抗を小さくして安定な印刷を行わせるために、テフロン(登録商標)で広く知られるポリテトラフルオロエチレン等のコーティング処理が施されるのであるが、これもまた、メタルスキージを高コストとしている原因となっている。
さらに、超硬合金製のメタルスキージにより高い印圧でもって摺接作用を受けるメタルマスクの印刷マスク面においては、その傷みは大きく、特に上述したようなプリント配線基板側から盛り上げられた突部において著しい。すなわち、従来のメタルスキージを用いて安定な印刷を行わせるにはメタルマスク側のダメージが大きいという問題がある。
一般的に、スキージはスキージ部とスキージホルダに取り付けられるホルダ取り付け部からなる。スキージホルダは、スキージのホルダ取り付け部を取り付けることにより、スキージを固定する。スキージホルダは、印刷面に対して所定の角度を持っている。このスキージホルダのプリンタベースへの取り付け角度は、所望の角度に調整可能である。
スキージ部がメッシュにスクリーン印刷に適した印圧を与えながら、スクリーン印刷に適した速度でメッシュの表面に沿って移動するよう制御する。スキージ部とメッシュが当接する点には、印圧がかかる。スキージ部とメッシュが当接する点において、メッシュは、被印刷物の表面に向かって押し下げられ印刷マスク上に形成された開口パターンのイメージが被印刷物の表面に印刷される。そのため、高品質のスクリーン印刷を行うには、メッシュが印刷マスク版枠に均等にバランスよく引き延ばされ、ピンと張られていることが重要である。また、スキージと印刷マスクは、線接触することが望ましい。更に、接触する線は、直線であることが望ましい。
スキージは、一定の角度を持って印刷面に当接し、印刷面に対して印圧がかけられている。そのため、スキージの先端部がしなることにより、スキージと印刷面との角度(アタック角度という)が一定の角度を保つことができないという不都合があった。すなわち、従来の平スキージでは、印刷中にアタック角度が変化するという問題点があった。しかし、被印刷物(例えば、前述のプリント配線基板)が凹凸を有しているような場合には、平スキージのしなりによって、その凹凸を追従するというメリットがある。
従来の平スキージにおいては、スキージ部全体が一様の弾性を持っており、腰力がないことから、印刷装置に取り付けるホルダ取り付け部に金属を用いてスキージの形状を安定させ、腰力又は硬度を保たせていた。また、スキージ部全体が一様の弾性を持っていることから、アタック角度を一定に保つことが難しいという欠点があった。
また、従来の角スキージや剣スキージにおいては、機械研磨ができず、印刷面とスキージの当接面の直線性を得ることが難しいという問題点があった。
また、特許文献2に記載のスキージ、すなわち、ガラスエポキシ樹脂を支持体としたウレタン製ゴムからなるスキージ及び特許文献3に記載されている金属製芯材を内蔵させたスキージでは、平スキージで問題となっている全体的なしなりを抑制することが可能であるが、印刷時にスキージの側面をペーストがせり上がるため、ペーストを印刷マスクの開口部に押し込む力が不足し、プリント配線板のパッドと開口部内のペーストとの接着性が不十分になり、その結果、印刷マスクの開口部にペーストが残ってしまい、プリント配線板のパッドにペーストが印刷(転写)できない、または印刷されたペーストの量が不足するといった不具合が生じる場合がある。
一般的に、メッシュマスクを用いたスクリーン印刷は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷とは異なり、スキージによる印刷の前に、印刷マスク上(スキージ面側)にスクレッパによるペーストのコートを必要とする。すなわち、ペーストをコートして印刷マスク(メッシュマスク)の開口部内に存在するメッシュを利用してペーストを保持し、スキージによる印刷の際に、ペーストの吐出量を多くすることができる。逆に、メタルマスクは、パターン開口部内に保持する部材が存在しないことから印刷マスク上にペーストをコートすることができない。
メタルマスクを使用する場合には、一方向の動作で印刷が完了するため、印刷にかかる時間は、ペーストのコートを必要とするメッシュマスクに比べ、短くすることが可能である。
メッシュマスクは、印刷マスクと被印刷物との間にクリアランス(隙間)を設けて印刷マスクを被印刷物に近接させ、印刷とほぼ同時に版離れを行うことが可能である。
一方、メタルマスクは、印刷マスクと被印刷物とを密着させて、クリアランス(隙間)を設けることが無いため、印刷後に版離れ工程(印刷マスクと被印刷物とを離す工程)が必要になる。
そこで、メッシュマスクを使用しても、メタルマスクと同様に一方向の動作で印刷を完了させることが重要である。そのためには、スキージ先端に、印刷マスクの開口パターンへの充填性を向上するためのペーストのコートと印刷マスクから被印刷物への転写を行う印刷の機能を同時に満足することが可能な構造および表面状態を有することが課題である。
また、一般的に、ペーストはシェア(せん断力)が加わることにより流動性が良くなることから、ローリングすることにより粘度が低下し、流動性が向上する。スキージを用いて印刷すると同時に、スキージからのペーストの離型性を向上することによりペーストのローリング性を向上し、印刷性(充填性・転写性)を向上することも課題である。
さらに、スキージを用いてペーストを印刷する際、ペーストには印刷マスクと逆側のスキージ側面に沿ってせり上がるため、印刷マスクへのペーストの充填が不足することも課題である。
このような課題を解決しうる特長を併せ持つスキージ先端の構造および表面状態を見出すことが課題である。
また、ペーストはスキージの先端部により、印刷マスクに形成した開口パターンへ充填されるため、スキージの先端部の形状が印刷マスクへのペースト充填性を左右することになるため、充填性を従来のスキージより向上することが可能なスキージ先端の構造および表面状態が課題である。特に、スキージの先端と被印刷物の印刷面とのアタック角度により、ペーストに加わる力の方向が変わるため、印刷マスクに形成した開口パターンへほぼ垂直方向からペーストを充填することが課題である。
一方、スキージには印圧による荷重が加わるため、先端部が変形する。上述のように、ウレタン製の平スキージは、全体的にしなりが生じるため、スキージ先端のアタック角度は非常に小さくなり、被印刷物の段差によりそのアタック角度が変動することになる。アタック角度が変動すると、印刷マスクの開口部への充填性が変わることになるため、充填性のバラツキを低減することが課題である。
印刷対象物によって、印刷マスクには、メタルマスク、メッシュマスク等使い分けを行うことがある。どのような印刷マスクに対しても対応可能なスキージとすることが課題である。
また、印刷物の微細化に伴い、印刷マスクに形成した開口部の大きさが小さくなってきており、その開口部の大きさにより被印刷物へのペーストの転写厚さが少なくなることが懸念される。印刷マスクとしては、印刷後に印刷マスク内の開口パターン部のメッシュおよび乳剤に付着して残存するペーストを極力少なくし、ペーストを被印刷物に所望の量を安定して転写することが課題である。
さらに、印刷対象物によって使用するペーストは異なる。ペーストは固形分と液体分を混合した高粘性物質であり、目的に応じて、その固形分がハンダ組成の粒子、銀粒子、燐片状銀粒子、ニッケルを主成分とする粒子、金属で被覆した樹脂粒子、セラミックス粒子、ガラス粒子のうち少なくとも1種の材料を主成分とするペーストが使用可能なスキージとすることが課題である。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、印刷マスクの開口部における開口面積の大小に関わらず、ペーストを精度良く安定して印刷又は微細なスルーホールパターンの内部に重点することができる印刷装置及びそれを用いた太陽電池セルの製造方法を提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
印刷機へのスキージの取り付けには、印刷方向と逆方向にスキージを傾斜させる場合と、印刷方向にスキージを傾斜させる場合とがある。印刷方向と逆方向にスキージを傾斜させる場合には、ペーストが接するスキージ面の方向とスキージの取り付け角度とが実質的に垂直である。一方、印刷方向にスキージを傾斜せる場合には、ペーストが接するスキージ面の方向とスキージの取り付け角度とが実質的に同じである。
スキージの取り付け方法がいずれの場合においても、スキージを用いて所定の位置に開口部を有する印刷マスクからペーストをテーブルに固定した被印刷物の所定の位置に転写する印刷装置において、スキージ先端の一方の角が円弧状の凹形状を有し、スキージの取り付け角度よりスキージと前記被印刷物の印刷面とのアタック角度の方を小さくすることに特徴がある。
それにより、スキージ先端の円弧状の凹形状部内でペーストが閉じ込められ、スキージング(スキージが印刷マスクのスクリーン面に圧力(印圧)を加えながら印刷方向に摺動させる)による工程でペーストがスキージ先端の円弧状の凹形状に沿ってローリングすることができる。
さらに、少なくとも円弧状の凹形状部を含むペーストが接触するスキージ先端部の表面が撥液性を有していることにより、ペーストとスキージ表面との摩擦力が低減され、ローリング性が向上する。ローリング性が向上すると、シェア速度が大きくなり、ペーストの粘度が低下し、より一層ペーストが流動しやすくなる。
ここで、撥液性を定量化する手法として、基材表面に液滴を落とし、液滴外周部の基材とが接触している点における液滴の角度(接触角)を用いる。接触角が小さいと、基材表面に液滴が濡れ広がった状態を示し、逆に、接触角が大きいと、基材表面に液滴が盛り上がった形状になり、液滴がはじいている状態を示している。
スキージ表面の撥液性は、ペーストに含有する溶剤で評価する必要がある。ペーストに含有する溶剤をスキージ表面に落とし、その接触角が45度より小さい場合は、スキージの表面に沿って、ペーストが盛り上がり、ローリングする速度が低下する。接触角が45度以上であれば、スキージ表面の撥液性が向上し、スキージ表面にペーストが濡れ広がりにくくなり、ペーストのローリング性が向上する。接触角は大きいほど良好である。
撥液性を有する膜としては、ペーストに含有する溶剤に溶解するものは好ましくない。ペーストに含有する溶剤に対し抵抗力があり、また、撥液性を有する材料として、SiO、フッ素樹脂、炭化水素、フッ素含有炭化水素が上げられる。
アタック角度を小さくするために、スキージの取り付け角度を小さくすると、印圧を加えるスキージヘッドのハウジングとスキージ先端が印刷マスクと接する箇所とが相対的な位置ずれを生じることになり、印圧がスキージ先端部に有効に加わらなくなる。すなわち、力点に相対的な位置ずれを生じると回転モーメントが働き、この場合には、印圧を高くするほどスキージ先端に印圧とは逆方向の力となる。
そのため、スキージヘッドに印圧を加える方向とスキージ先端部の印刷マスクとの接触点は、同一方向であることが望ましい。
スキージ先端円弧状の凹形状の一方が印刷マスクに接触した状態で、スキージ先端の円弧状の凹形状の他方と印刷マスクとの隙間が使用するペーストの平均粒径の10倍以上であることに特徴がある。スキージ先端の円弧状の凹形状の他方とは、スキージ先端の円弧状に加工した凹形状で印刷マスクに接していない先端部を意味する。
この先端部と印刷マスクとの隙間は、使用するペーストに含有する固形物の粒子の大きさに関連する。スキージが印刷マスクに接すると、印刷マスクの開口部にペーストを充填するのみではなく、印刷マスクの被印刷物側に吐出する可能性がある。その後、本来印刷に寄与するスキージの先端が印刷マスクの開口部に到達するため、2度印刷した状況を生み出すことになる。
印刷マスクの開口パターン部へのペーストの充填と同様に、ペースト中の固形分の粒径に対し、開口パターン部は少なくとも10倍以上の大きさが必要である。それより開口パターン部が小さい場合は、ペーストの流動性を阻害することになり、開口パターン部にペースト中の粒子による目詰まりが生じ、良好にペーストを透過させることができなくなる。そのため、スキージと印刷マスクとの隙間は、少なくとも使用するペーストの平均粒径の10倍以上隙間を開ける必要がある。
一方、スキージ先端部分と印刷マスクとの隙間が小さいほど、ペーストに加わる力が大きくなり、印刷マスクの開口パターン部への充填性が向上する。
このように印刷マスクと接触するスキージ先端部分を特殊形状に加工することにより、ペーストを印刷マスク上に所定量の厚さにコートする機能と、ペーストをローリングする機能と、ペーストを印刷マスクの開口部に充填する機能とを有することが可能である。
ここで、使用するスキージの材質がウレタンを主成分とする樹脂であり、その硬度が80度以上であることを特徴とする。硬度が低いと、スキージの変形を抑制する支持体をサポートとして使用しても、スキージ先端が印刷時の印圧により変形し、スキージと印刷面とのアタック角度が安定しなくなる。
メタルスキージであれば、非常に硬度が高いものが作成可能であるが、プリント配線基板の印刷面には、その前工程において施されたソルダレジストや電極配線等により形成された凹凸があり、スキージの先端には柔軟性が要求される。
また、太陽電池用セルの表面には、テクスチャーと呼ばれる凹凸が形成され、その上に透明導電膜、透明絶縁層等が成膜されており、透明導電膜、透明絶縁層等の薄膜やテクスチャー保護のため、スキージ先端の柔軟性が要求される。
そこで、スキージに形状保持性と柔軟性を兼ね備えるために、スキージの中心部分に芯材を用いた。芯材は導電性を有するものが良く、特に、ステンレスからなる材料が良好である。芯材は、プラズマ処理による撥液性の膜を形成するための電極として使用することが出来る。
また、本発明の印刷装置に搭載するスキージは、印刷マスクとして、所定の開口部を有する金属板を有することを特徴とする印刷マスク(メタルマスク)が使用可能であり、さらに、その金属板の被印刷物面側に有機物の層を有することを特徴とする印刷マスクが使用可能である。
さらに、本発明の印刷装置に搭載するスキージは、印刷マスクとして、パターン形成エリアが少なくとも金属メッシュと有機物からなる乳剤で構成され、乳剤に所定の開口部を有することを特徴とする印刷マスク(メッシュマスク)が使用可能である。印刷マスクとして、金属メッシュを使用する場合には、有機物からなる柔軟性を有する乳剤で開口部パターンを形成するため、乳剤により金属メッシュを被印刷物から浮かせることができ、スキージによる被印刷物表面へのダメージを低減するとともに、安定した印刷膜厚を形成することが可能である。
また、ここで使用する印刷マスクとしては、ペーストを被印刷物に効率よく転写する必要があり、上記スキージと同様に撥液性を付与することにより被印刷物に効率よく転写することが可能である。
メタルマスクを使用する場合は、印刷後にペーストをメタルマスクの開口部から効率よく転写し、被印刷物に形成した印刷物のにじみを防止する必要があることから、開口パターンを形成した穴壁面および被印刷物側の面に撥液性の膜を形成することが有効である。スキージが接する面にも撥液性を付与しても構わない。
また、メッシュマスクを使用する場合には、印刷後に印刷マスク開口部に露出しているメッシュおよび乳剤の壁面に付着して残存するペーストがあると、被印刷物に転写するペーストの量が安定しなくなることが考えられる。そこでこの問題を解決する方法としては、ペーストが付着すると考えられる印刷マスク開口部に露出しているメッシュおよび乳剤の壁面と、被印刷物側の乳剤面に撥液性を付与することが有効である。被印刷物側の乳剤面に撥液性を付与するのは、被印刷物に形成した印刷物のにじみを防止する必要があるためである。スキージが接する面にも撥液性を付与しても構わない。
即ち、本発明は、試料にパターンを印刷する印刷装置を、印刷用のマスクを保持するマスク保持手段と、試料を載置するテーブル手段と、マスクを介してテーブル手段に載置された基板に印刷用ペーストのパターンを印刷するスキージを備えたスキージ手段と、このスキージ手段のスキージをマスクに沿って往復移動させるスキージ駆動手段とを備えて構成し、マスクの試料と対向する面は、印刷用ペーストに対して撥液性を有しており、スキージ手段のスキージは、印刷時にスキージがマスクに押し当てられた状態でスキージ駆動手段で駆動されたときにマスクとの間に印刷用ペーストを溜め込む凹部が形成され、少なくとも凹部を含むスキージ先端部の表面が印刷用ペーストに対して撥液性を有しているように構成した。
これにより、スキージ先端の印刷マスクと接触する角部に形成した凹形状部を含むスキージの先端部分の表面を撥液性を有する膜で被覆したことにより、所望のパターン開口部を有する印刷マスクにペーストを充填、転写する際、撥液性を有する膜で被覆したスキージの先端部分の凹形状部と印刷マスクとで形成される領域の内部でペーストのローリングを促進することにより、微細なパターンを精度よく印刷できるようにし、かつ、微細なスルーホールへのペーストの充填性を促進させたものである。
また、本発明は、印刷マスク上に導電性のペーストを供給する供給工程と、印刷マスク上に供給された導電性のペーストをスキージを用いて太陽電池セルの表面に印刷することにより太陽電池セルの表面に配線パターンを転写する転写工程と、太陽電池セルの表面に転写された配線パターンを形成する導電性のペーストを乾燥させる乾燥工程とを含む太陽電池セルの製造方法において、転写工程では、スキージとして印刷マスクと接触する箇所に凹部が形成されてこの凹部の内面が導電性のペーストに対して撥液性を有するスキージを用いて太陽電池セルの表面に配線パターンを形成するようにした。
また、上記目的を達成するために、本発明では、印刷マスク上に供給された導電性のペーストをスキージを用いて太陽電池セルの表面に印刷することにより太陽電池セルの基板に形成された貫通孔に導電性のペーストを充填する充填工程を含む太陽電池セルの製造方法において、充填工程は、スキージとして印刷マスクと接触する箇所に凹部が形成されてこの凹部の内面が導電性のペーストに対して撥液性を有するスキージを用い、導電性のペーストを供給した印刷マスクを太陽電池セルに近接させた状態でスキージを印刷マスクに接触させながら走査させることにより太陽電池セルの基板に設けられた貫通孔に導電性のペーストを充填するようにした。
本発明の印刷装置に搭載するスキージを使用する印刷マスクとしては、ここで説明したメタルマスク、メッシュマスクなどに限定するものではない。
本発明は、印刷によりパターンを印刷する装置、例えば、電子デバイス、太陽電池用セル表面への電極配線の印刷、プリント配線基板への電極配線の印刷、液晶ディスプレイ用基板への枠状シール材の印刷、プラズマディスプレイ用基板への誘電体層、画素間隔壁や電極配線および蛍光材料の充填印刷、バックコンタクト型太陽電池用セル貫通穴内への導体材料の充填印刷、半導体凹部開口部内への絶縁性材料の充填印刷、半導体パッド上への高アスペクト導電性ピラー形成印刷、半導体表面への絶縁層形成印刷、再配線印刷等、様々な分野の印刷装置で、従来技術では不可能であった微細なパターンや高アスペクト開口部への充填等の印刷を行うことができる。
本発明の印刷装置によれば、印刷マスクの開口部における開口面積の大小に関わらず、ペーストを精度良く安定して印刷することができる。
また、本発明の印刷装置を用いることにより、太陽電池のセルの電極パターンを印刷工程で製造することが可能になる。更に、バックコンタクト型太陽電池セルをスルーホール内部への導電性材料の充填も含めて、表裏両面の電極パターンを印刷工程で製造することが可能になる。
実施例1のスキージを用いて印刷している状況を模擬した断面図である。 実施例1のスキージに電源接続端子の接続を説明する第一例の平面図である。 実施例1のスキージを搭載する印刷装置の概略の構成を示すブロック図である。 実施例1のスキージを搭載する印刷装置で印刷を行う処理の流れを示すフロー図である。 実施例1のスキージ機構の概略の構成を示すスキージ機構の側面図である。 実施例1のスキージ機構で印刷したときのマスクに対するスキージの動きとスキージ先端部分におけるペーストの流れの状態を説明する図である。 実施例1のスキージ機構で印刷したときのスキージ先端部分におけるペーストの流れの状態を説明する図である。 実施例1に使用する1対のスキージ機構の概略の構成を示すスキージ機構の側面図である。 実施例1に使用するスキージ機構の先端部分の拡大図である。 実施例1に使用するスキージ機構の先端部分に形成された凹形状部の拡大図である。 実施例1で評価実験に用いた各種スキージ先端形状の概略図である。 実施例1の変形例で、スキージの先端部分にマスクと平行な面を形成したスキージの先端形状の概略図である。 実施例4に使用するスキージ機構の概略の構成を示すスキージ機構の側面図である。 実施例4で評価実験に用いた各種スキージ先端形状の概略図である。 実施例4に使用するスキージ機構の先端部分の拡大図である。 実施例6で検討する太陽電池セル表面に形成する電極配線概要図である。 実施例6の比較例で太陽電池セル表面に電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの被印刷物側から見た局部的に拡大した平面概要図である。 実施例6の比較例で太陽電池セル表面にバス電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの図14Aの14A−X−14A−X’断面図である。 実施例6の比較例で太陽電池セル表面にグリッド電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの図14Aの14A−Y−14A−Y’断面図である。 実施例6の比較例に示すグリッド電極配線の印刷状況を説明するプロセス概要図である。 実施例6の比較例に示すバス電極配線の印刷状況を説明するプロセス概要図である。 実施例6の本実施例で太陽電池セル表面に電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの被印刷物側から見た局部的に拡大した平面概要図である。 実施例6の本実施例で太陽電池セル表面にバス電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの図17Aの17A−X−17A−X’断面図である。 実施例6の本実施例で太陽電池セル表面にグリッド電極配線を印刷するために使用する印刷マスクの図17Aの17A−Y−17A−Y’断面図である。 実施例6の本実施例に示すグリッド電極配線の印刷状況を説明するプロセス概要図である。 実施例6の本実施例に示すバス電極配線の印刷状況を説明するプロセス概要図である。 実施例7で検討するバックコンタクト型太陽電池セル表面に形成する電極配線概要図である。 実施例7で検討するバックコンタクト型太陽電池セル断面の表裏面コンタクト用の貫通孔を説明するための局部的に拡大した断面概要図である。 実施例7の比較例に示す貫通孔へのペースト充填印刷状況を説明するプロセス概要図である。 実施例7の本実施例で貫通孔へのペーストの充填性を検討するペースト吐出性評価治具の斜視概要図である。 実施例7の比較例で、従来のスキージを用いてペースト吐出性評価治具へスクリーン印刷した結果を示すペースト吐出性評価治具の一部を拡大した正面図である。 実施例7において本発明によるスキージを用いてペースト吐出性評価治具へスクリーン印刷した結果を示すペースト吐出性評価治具の一部を拡大した正面図である。 実施例7におけるバックコンタクト型太陽電池セルの両面に配線パターンを形成すると共に、スルーホール内にペーストを充填させることにより両面の配線パターンを電気的に導通させるスクリーン印刷のプロセスのうち、裏面電極であるバス電極パターン形成とスルーホール内部にペーストを充填させる工程を説明する図である。 実施例7におけるバックコンタクト型太陽電池セルの両面に配線パターンを形成すると共に、スルーホール内にペーストを充填させることにより両面の配線パターンを電気的に導通させるスクリーン印刷のプロセスのうち、内部にペーストを充填させたスルーホールに接続する表面電極であるグリッド電極パターンを形成する工程を説明する図である。
本発明は、スキージを用いて所定の位置に開口部を有する印刷マスクからペーストをテーブルに固定した被印刷物の所定の位置に転写する印刷装置において、微細なパターンを精度良く安定して印刷でき、かつ、微細なスルーホールの内部にも確実にペーストを充填できる印刷を実現するために、スキージ先端部分の印刷マスクと接触する部分を凹形状に形成し、この凹形状部を含むスキージの先端部分の表面を撥液性を有する膜で被覆して、所望のパターン開口部が形成された印刷マスクにペーストを充填させて、被印刷物の所定の位置に転写する際、撥液性を有する膜で被覆したスキージの先端部分の凹形状部と印刷マスクとで形成される領域の内部でペーストのローリングを促進することにより、微細なパターンを精度よく印刷できるようにし、かつ、微細なスルーホールへのペーストの充填性を促進させるようにしたものである。以下に、具体的な例を挙げて本発明を説明する。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1に係るスキージ1の構成を、図1を用いて説明する。図1は本実施例1のスキージ1を用いて印刷している状況を模擬した断面図である。図1は簡素化のために、印刷装置にスキージ1を固定するホルダ、印刷マスク11に形成されている開口部などの表記を省略している。
スキージ1は、芯材102の周囲にウレタン樹脂101で覆われ、その表面に撥液性の膜103が形成されている。また、スキージ1の先端には、円弧状の凹形状部8が形成されている。印刷する際には、スキージ1に印圧が付与され、印刷マスク11の印刷マスク表面5に押し付けられた状態で、スキージ1を印刷方向2に動作することにより、ペースト9を印刷することが出来る。
本実施例1のスキージ1の製造方法の一例を説明する。
まず、前工程として、スキージ1の基となる構造物を作成する。
所定の寸法に加工された金型を用い、芯材102となるステンレスの角材をセットし、ウレタン樹脂101の原料となる溶液を金型に流し込む。適正な温度プロファイルで熱を加え、ウレタン樹脂101を硬化させる。温度が下がった段階で、金型からスキージ1を取り出すことにより、芯材102の周りにウレタン樹脂101が形成されたスキージ1の構造物を作製した。このようにして、硬度が80度以上のウレタン樹脂101を形成する。一例として、スキージ先端を所定の形状(円弧状の凹形状部8)になるように、スキージ研磨機で加工を施す。予備のため、スキージ先端への所定の形状(円弧状の凹形状部8)の研磨は、スキージ1の対角にも形成する場合がある。
スキージ表面の撥液処理の一例として、炭化水素の膜を形成する方法を説明する。
炭化水素の膜は、プラズマ処理により行う。まず、前工程にて作製したスキージ1に、マスキングを行い、炭化水素の膜を成膜する箇所のみを露出させる。
図2に、一例として芯材102を内蔵したスキージ1に電源接続端子を接続する方法を説明するための第一例の平面図である。図2は簡素化のために、電源接続端子、マスキングなどの表記を省略している。スキージ1の長手方向の両端に露出した芯材102に形成した電源接続端子を接続するための穴104に電源接続端子(図示せず)を取り付け、図示していない成膜装置チャンバー内に入れて材料ガスとして含炭素化合物ガスを導入した状態で電源接続端子を介して芯材102に高周波電力を印加する。これにより成膜装置のチャンバー内にプラズマが発生してウレタン樹脂101の表面にダイヤモンドライクの炭化水素の膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)が形成される。芯材102に形成した電源接続端子を接続するための穴104は、電源を導入することが出来れば構わないため、片側のみでも良い。
このようにして、スキージ1のウレタン樹脂101の表面に撥液性の膜103であるダイヤモンドライクカーボンを形成した。
実施例1に係るスキージ1を搭載する印刷装置100の構成を、図3を用いて説明する。図3は本実施例1のスキージ1を搭載した印刷装置100の正面図である。図3は簡略化のために、装置の架台や側壁、支柱、支持部材などの表示を省略している。
印刷装置100は、印刷マスク部110、被印刷物支持テーブル部23、1対のスキージ部120Lと120R、スキージ駆動機構部130、および制御部21を備えている。
印刷マスク部110は、被印刷物(例えばプリント配線基板)6の所望の回路パターンに対応して穿設されたパターン開口部が設けられたメタルマスク11と、メタルマスク11を囲むテンションメッシュで緊張状態を保持した平面視矩形状の版枠22と、この版枠を支持する支持部材111とを備えて構成されている。被印刷物支持テーブル部23は、被印刷物6を載置するテーブル231、テーブル231に載置された被印刷物6を固定するチャック部232、テーブル231を上下に駆動する上下駆動部233を備えている。スキージ部120Lは、スキージ1L、スキージホルダ3L、スキージホルダ固定治具16L、スキージヘッド15Lエアシリンダ24Lを備えている。スキージ部120Rも同様に、スキージ1R、スキージホルダ3R、スキージホルダ固定治具16R、スキージヘッド15Rおよびエアシリンダ24Rを備えている。
エアシリンダ24Lと24Rとは支持部材25に固定されており、エアシリンダ24Lと24Rとそれぞれ接続しているスキージ部120Lとスキージ部120Rとを上下に駆動する。また、支持部材25は、駆動軸27と係合している軸受け部26Lと26Rとで支持されている。駆動軸27はボールねじで構成され、モータ30で回転駆動されることにより駆動軸27と係合している軸受け部26Lと26Rとが図の左右方向に移動し、スキージ部120Lとスキージ部120Rとがガイド軸28に沿って図の左右方向に移動する。駆動軸27とガイド軸28とは、左右1対の固定板29Lと29Rとで支持されている。
制御部21は、印刷装置100の各部の動作を制御する。まず、制御部21からの制御信号で1対のエアシリンダ24Lと24Rとを駆動するエアシリンダ駆動部31を制御することにより、1対のエアシリンダ24Lと24Rとをそれぞれ駆動する。また制御部21からの制御信号により、モータ30のドライバ部32を制御してモータ30を正逆方向に回転させる。更に、制御部21からの制御信号により、被印刷物支持テーブル部23のチャック部232を駆動するチャック駆動部34を制御してテーブル231に載置された被印刷物6を固定するチャック部232の開閉動作を行わせる。更にまた、制御部21からの制御信号により被印刷物支持テーブル部23の上下駆動部233を駆動するテーブル駆動部33を制御して、テーブル231を上下に移動させる。更にまた、制御部21からの制御信号により被印刷物支持テーブル部23のチャック232の駆動部34を制御してチャック232の開閉を行う。
以上の構成を備えた印刷装置の動作について図4のフロー図を用いて説明する。
まず、図示していない搬送手段により被印刷物6を搬送して被印刷物支持テーブル23上に載置し(S201)、チャック部232で被印刷物6を被印刷物支持テーブル23上に固定して保持する。次に、テーブル駆動部32で上下駆動部233を駆動してテーブル231を上昇させ(S202)、被印刷物6を印刷マスク部110のメタルマスク11に密着させる。次にエアシリンダ駆動部31でエアシリンダ24Lを駆動してスキージヘッド15Lを下降させ(S203)、スキージ1Lをメタルマスク11に密着させる(S204)。このとき、1対のスキージ部120Lと120Rとは、図3の左端の部分に位置している。
次に、この状態で図示していないペースト供給手段によりスキージ1Lの近傍にペーストを供給する(S205)。ペーストが供給されたら、ドライバ部32を制御してモータ30を駆動し、ボールねじで構成された駆動軸27を回転させることにより1対のスキージ部120Lと120Rとその先端に取り付けたスキージ1Lをメタルマスク11に押し付けた状態でメタルマスク11に沿って図3の左側から右側に向けて移動させることによりペーストによるメタルマスク11のパターンを被印刷物6上に印刷する(S206)。スキージ1Lが所定の距離移動した後、ドライバ部32はモータ30の駆動を停止してスキージ1Lの移動を停止させる。
次にエアシリンダ駆動部31でエアシリンダ24Lを駆動してスキージヘッド15Lを上昇させ(S207)、スキージ1Lをメタルマスク11から引き離す。次に、テーブル駆動部33で上下駆動部233を制御してテーブル231を下降させ(S208)、チャック部232で保持された被印刷物6をメタルマスク11から引き剥がす。テーブル231が下降端に達したら上下駆動部233によるテーブル231の加工は停止し、チャック駆動部34を制御して被印刷物6を保持しているチャック部232を開放し、図示していないハンドリング手段により被印刷物6をテーブル231から取り外す(S209)。この取り出した基盤が処理する最後の基板であるか否かを判定し(S210)、最後の場合には処理を終了する。
一方、次に処理する基板が有る場合には、S201からの処理フローを再び実行する。ただし、この場合には、S203でスキージヘッド15Rを下降させ、S204、S206、S207ではスキージ1Lを1Rに置き換えた処理を行う。また、メタルマスク11に密着させたスキージ1Rを図1の右側から左側に向けて移動させてスクリーン印刷を行う。このように、スキージ1Lと1Rとを交互に用いてスクリーン印刷を行うことにより供給されたペーストは常にメタルマスクと密着しているスキージの進行方向に対して前方に有ることになり、ペーストを有効に使うことができる。
つぎに、1対のスキージ部120Lと120Rとの構成について、いくつかの具体例を説明する。
まず、スキージ部120Lの構造の第1の例について、図5Aを用いて説明する。なお、スキージ部120Rの構造はスキージ部120Lと対象になっているだけで、基本的には同じ構造になっている。スキージ1Lは、印刷方向2に対し逆方向に傾斜するようにスキージホルダ3Lにスキージホルダ押さえ板4Lによって固定される。スキージホルダ3Lには、スキージ1Lを印刷マスク表面5、被印刷物6の印刷面或いは被印刷物支持テーブル(図3の231)の被印刷物支持面(上面)に対して所定角度に傾斜して支持するためのスキージ取り付け面7Lが設けられている。スキージ1Lには、その先端部の印刷マスク(メタルマスク)11と接する方の角に円弧状の凹形状部8Lが形成されている。
印刷する際には、ペースト9は最初にスキージ1Lの取り付け面7Lの角度と本質的に垂直なスキージのペースト初期接触面10Lに接触し、メタルマスク11上にペースト9をコートすると同時に、メタルマスク11に形成された印刷マスク開口部12にペースト9が挿入される。さらに、スキージ先端の円弧状の凹形状部8Lでペースト9がローリングし、メタルマスク11に形成された印刷マスクのパターン開口部12を介して被印刷物6上の電極パッド13に到達するまでペースト9が充填される。被印刷物6には、ソルダレジスト14により電極パッド13の所定パターン開口以外をカバーしている。
スキージ1L先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lでペースト9がローリングして印刷マスクのパターン開口部12を介して被印刷物6上の電極パッド14に到達することについて、図5BおよびCを用いて詳細に説明する。
先ず、図5Bを用いて、スキージ1Lをメタルマスク11に押し当てながら矢印2の方向に移動させたときに、ペースト9がスキージ先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lからメタルマスク11に形成された印刷マスクのパターン開口部12を介して被印刷物6上の電極パッド13上に充填される様子を(a)〜(e)まで時系列的に並べて模式的に説明する。
(a)は、スキージ1L先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lが、まだメタルマスク11に形成された印刷マスクのパターン開口部12に到達する前の状態を示している。スキージ1Lの先端の角部81Lがメタルマスク11の表面5に押し当てられた状態で矢印2の方向に移動すると、スキージ1Lの進行方向前面に供給されたペースト9はスキージ1Lのペースト初期接触面10Lで押されてスキージ1Lと同じ方向に移動し、一部がスキージ1L先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの先端のメタルマスク11の側に突き出している角部82Lとメタルマスク11との間の隙間Gから円弧状の凹形状部8Lの内側に入り込み(イ)、メタルマスク11の表面5に押し当てられているスキージ1Lの先端の角部81Lに突き当たって上方に逃げ(ロ)、更に表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの上面に沿って隙間Gからスキージ1Lのペースト初期接触面10Lの側に押出される(ハ)。
スキージ1Lが矢印の方向に更に進んで(b)のようにスキージ1L先端の円弧状の凹形状部8Lの先端の角部82Lがメタルマスク11に形成された印刷マスクのパターン開口部12の上方に到達すると、表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの上面に沿って隙間Gからスキージ1Lのペースト初期接触面10Lの側に押出されていたペーストの一部が印刷マスクのパターン開口部12に押し込まれる(ニ)。
スキージ1Lが矢印の方向に更に進んで(c)のようにスキージ1L先端の円弧状の凹形状部8Lがメタルマスク11に形成された印刷マスクのパターン開口部12の上方に到達すると、ペーストを印刷マスクのパターン開口部12に押し込み力が作用しなくなり、(a)の状態と同じようにスキージ1L先端の円弧状の凹形状部8Lの先端の角部82Lとメタルマスク11との間の隙間Gから円弧状の凹形状部8Lの内側に入り込んだペースト9は表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの上面に沿って隙間Gからスキージ1Lのペースト初期接触面10Lの側に押出される(ハ)。
スキージ1Lが矢印の方向に更に進んで(d)のようにメタルマスク11に押し付けられているスキージ1L先端の円弧状の凹形状部8Lの角部81Lが印刷マスクのパターン開口部12の上方に到達すると、表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの内部で角部81Lに突き当ったペーストの一部は印刷マスクのパターン開口部12に押し込まれ(ホ)、残りは上方に逃げて(ロ)、円弧状の凹形状部8Lの上面に沿って隙間Gからスキージ1Lのペースト初期接触面10Lの側に押出される(ハ)。
スキージ1Lが矢印の方向に更に進んで(d)のように、スキージ1L先端の円弧状の凹形状部8Lの角部81Lが印刷マスクのパターン開口部12を通り過ぎるとパターン開口部12によるスクリーン印刷は、終了する。
ここで、図5Bの(b)においてペーストが表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの内部でローリングしてその一部が印刷マスクのパターン開口部12の内部に押し込められる状態について図5Cを用いて更に詳しく説明する。
図5Cでは、スキージ1L先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lにおけるペースト9のスキージ1Lとの相対的な位置の変化を、矢印で示す。なお、図5Cにおいてペースト9の動きを示す矢印に付した(イ)〜(ト)は、図6Bに記載した(イ)〜(ホ)とは直接的には関連しない。
スキージ1Lの下端のエッジ部81Lがメタルマスク11に押し付けられた状態で、スキージ駆動機構130で駆動されて矢印2の方向に進むとき、スキージ1Lの前方に供給されたペースト9は、(イ)の位置からスキージ1Lに形成された凹部8Lのメタルマスク11と接触している側と反対側の端部82Lとメタルマスク11との間の隙間Gから表面に撥液性の膜103が形成された凹部8Lの内部に入り込む(ロ)。
スキージ1Lが更に矢印2の方向に進むと、凹部8Lの内部に入り込んだペースト9は凹部8Lの端部81Lがメタルマスク11と接触しているために端部81Lで上方に押し上げられ(ハ)、逆方向に押し戻される(ニ)。
スキージ1Lが更に矢印2の方向に進むと、ペースト9は凹部8Lの壁面に形成された撥液性の膜103に沿って端部82Lの方向に下向きに流れ(ホ)、端部82Lの先端部で更に下向きに流れてその一部はメタルマスク11に形成された開口部12の内部に押し込まれて(ヘ)、開口部12の内部がペースト9で充填され、被印刷物6上の電極パッド13と接続する。
開口部12に入りきれなかったペースト9は端部82Lとメタルマスク11との隙間Gからスキージのペースト初期接触面10Lの側に排出される(ト)。即ち、凹部8Lの内部に入り込んだペースト9が凹部8Lの内部でローリングして再び凹部8Lの外部に排出される。
このようにして、スキージ1Lが矢印2の方向に進むときにスキージ1Lに形成された凹部8Lの端部82Lとメタルマスク11との間の隙間Gから凹部8Lの内部に入り込んだペースト9は、表面に撥液性の膜103が形成された凹部8Lの内部でローリングして端部82Lとメタルマスク11との間の隙間Gから凹部8Lの外側に排出されるときに、その一部がメタルマスク11に形成された開口部12の内部に押し込まれることにより、開口部12の内部に確実にペーストが充填される。
印刷に用いられる印刷マスク110は、印刷マスク版枠22内の空間にメタル板11を配置し、前記メタル板11を、このメタル板11と前記印刷マスク版枠22との間にその全周にわたって設けられたテンションメッシュ(図示せず)を介して緊張状態で前記印刷マスク版枠22に支持されたコンビネーションメッシュ型のものである。
この印刷マスク110は、前記メタル板11に、その上を移動されるスキージ1Lの移動エリアに対応する印刷有効領域内に所定のパターンの開口12を形成し、製版して印刷に使用されるものである。
本実施例1のスキージを搭載する印刷装置100におけるスキージ機構について、図6を用いて説明する。図5Aで説明したように、スキージ1Lを固定したスキージホルダ3Lは、スキージヘッド15Lに固定され、独立して移動する対を成す他方のスキージヘッド15Rが対向するように設置さられている。スキージヘッド15Lと15Rとは、メタルマスク11の表面5とスキージ1Lおよび1Rとの所定のアタック角を得るために、スキージホルダ取付け角度設定治具20Lおよび20Rを用いて角度を設定し、スキージホルダ3Lおよび3Rをスキージホルダ固定治具16Lおよび16Rによって固定する。
印刷装置100に搭載する本実施例1のスキージ先端構造について、スキージ1Lを例にとって図8Aを用いて説明する。スキージ1Lは、スキージホルダ3L(図4参照)に取り付け角17(水平方向に対する角度)で取り付けられている。本実施例1では、スキージ1Lのスキージホルダ3Lへの取り付け角17は30°から45°の間に設定した。
スキージ1Lの先端部には、印刷マスク11と接する方の角部81に円弧状の凹形状部8Lが形成されている。この円弧状の凹形状部8Lは、スキージ1Lが取り付け角17Lでスキージホルダ3Lに取り付けられた状態で角部81を印刷マスク11と接触させたときに、円弧状の凹形状部8Lの印刷マスク11の側に突き出ている他端82Lと印刷マスク11の表面5との間にギャップGが生じるように形成されている。
図5Bおよび図5Cを用いて説明したように、表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの内部でローリングしたペースト9が円弧状の凹形状部8Lの他端82Lと印刷マスク11の表面5との間のギャップGを通ってスキージ1Lのペースト初期接触面10Lの側に排出されるときにスキージ1Lに押し付ける力を発生させるためには、ギャップGを通るときにペースト9に下向きの流れを作る必要がある。そのためには、円弧状の凹形状部8Lの他端82Lの条件として、図8Bに示した他端82Lにおける円弧状の凹形状部8Lの接線のメタルマスク11の表面5に対する角度θが5度から80度の範囲の値になるように円弧状の凹形状部8Lを形成すればよい。
スキージ1Lのスキージホルダ3Lへの取り付け角17Lの角度と本質的に垂直なスキージのペースト初期接触面10Lと印刷マスク表面5(スキージ接触面)、被印刷物6の印刷面或いは被印刷物支持テーブル231の被印刷物6支持面との角度はペースト初期接触面角18Lである。本実施例1では、ペースト初期接触面角18Lは45°から60°の間である。
一方、スキージ1Lが印刷マスク11と接する位置81Lにおいて、スキージ1Lと印刷マスク表面5のスキージ接触面との角度はアタック角19Lである。本実施例1では、アタック角19Lを振って印刷状況を検証した。
ペースト初期接触面角18Lを用いて、印刷マスク11の表面5上にペースト9をコートすると同時に、印刷マスク11に形成されたパターン開口部12にペースト9を挿入することができる。さらに、スキージ1Lの先端の表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lの内側でペースト9が強制的にローリングし、ペースト9に印刷マスク11に形成されたパターン開口部12に対して垂直方向に力が加わり、アタック角19Lで印刷マスク11に形成されたパターン開口部を介して被印刷物6上の電極パッド13に到達するまでペースト9を充填することができる。
本実施例のスキージ1Lの特徴は、スキージ1Lの先端に表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Lを有し、ペースト初期接触面角18Lに比べアタック角19Lが小さいことにある。なお、スキージ1Rについても先端に表面に撥液性の膜103が形成された円弧状の凹形状部8Rを設けることにより、スキージ1Lの場合と同様の効果を得ることができる。
実施例1の検証実験で使用するペーストとして、(A):LF−204−15((株)タムラ化研製、ハンダ粒子の粒径:1〜12μm)および(B):M705−BPS7−T1J(千住金属工業(株)製、ハンダ粒子の粒径:1〜6μm)を用い、ウレタンを主成分とする樹脂のスキージを用いて、印刷マスク11に、厚さ70μmのメタル板に直径50μm〜200μmのパターン開口部12を形成したメタルマスクを使用してスクリーン印刷を行った。
印刷方向と逆方向にスキージ1を傾斜させており、スキージ1のスキージホルダ取り付け角は30°から45°の間で、ペースト初期接触面角18(スキージが先行してペーストに接するスキージ面の方向の角度)は45°から60°の範囲とした。
また、検証に用いるスキージとしては、同一形状で、本実施例で作製した表面に撥液性の膜103が形成されて撥液性を付与したスキージと表面に撥液性の膜が形成されておらず撥液処理をしていないスキージを用いて、比較検討した。
パターン開口部12において、図5Aに示すように直径がDで深さがHのパターン開口部12の壁面の面積(πDH)をパターン開口部の面積(πD/4)で割った値(4H/D)が印刷難易度指標である。すなわち、この印刷難易度指標が2.8以上でペーストの良好な転写ができることを目標とした。
実験の結果、ペーストとして、上記した(A)を使用した場合には、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部82Lと印刷マスク表面5との隙間Gが0.12mmより狭くなると、ペースト9がスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。この現象は、撥液処理をしていないスキージで印刷した場合の方がより顕著に現れた。
また、ペーストとして上記した(B)を用いた場合には、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部82と印刷マスク表面5との隙間Gが0.06mmより狭くなると、ペースト9がスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。この現象についても、撥液処理をしていないスキージで印刷した場合の方がより顕著に現れた。
一方、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部82Lと印刷マスク表面5との隙間Gが1mmより広くすると、印刷時にスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8内にペーストを閉じ込めることができなくなり、円弧状の凹形状部8内から漏れ出し、印刷マスク11のパターン開口部12に充填するペースト9に加わる力が弱まることから充填量および転写量が不足した。この現象についても、撥液処理をしていないスキージで印刷した場合の方がより顕著に現れた。
ただし、この隙間Gが1mmというのは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8の形状によるものであって、実験に用いたスキージ1の場合には1mmが限界であったが、隙間Gを1mm以上にしても円弧状の凹形状部8の先端部82の接線の方向が印刷マスク表面5の方向に向いて円弧状の凹形状部8の内部にペースト9を一部閉じ込める空間ができていれば、円弧状の凹形状部8内にペーストを閉じ込めることができ、十分な量の充填および転写を行うことができる。
この実験の結果から、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8Lの一方81Lが印刷マスク表面5に接触した状態で、スキージ先端の円弧状の凹形状部8Lの他方82Lと印刷マスク表面5との隙間Gが使用するペーストの平均粒径の10倍以上であることが必要であることがわかる。スキージ先端の円弧状の凹形状部8Lの他方とは、スキージ先端の円弧状に加工した凹形状で印刷マスク表面5に接していない先端部82Lを意味する。
いずれの場合においても、本実施例で作製した撥液性を付与したスキージの方が、撥液処理をしていないスキージに比べ、転写量が多くなった。これは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8のスキージ面が撥液性を有しているため、ペースト9のローリング性を阻害することが無く、ペースト9の粘度が低い状態に保てたことが要因であると考えられる。
また、比較例として図8に示すような、スキージ先端に加工を加えていないスキージおよび直線状の斜め研磨加工を施したスキージを用いた際の印刷実験も行った。この場合においても、同一形状で、撥液性を付与したスキージと撥液処理をしていないスキージを用いて、比較検討した。
その結果、図8の(b)に示した先端部分の加工を施していないスキージを用いて場合は、パターンの開口部12の径が150μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。撥液性を付与したスキージでは、スキージ表面におけるペースト9の滑りが良くなり、印刷マスク11の開口部12への充填量が低下し、撥液性を付与していないスキージより印刷性が悪化し、180μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。
また、図8の(c)に示したように先端部を加工したスキージを用いた場合は、パターンの開口部12の径が120μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。この場合には、撥液性を付与したスキージでも、スキージ表面におけるペースト9の滑りが良くなったにも拘らず、印刷マスク11の開口部12への充填量が良好で、撥液性を付与していないスキージと同等の印刷性が得られたが、120μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。
一方、図8(d)のように、複数の面で凹形状を形成したスキージを用いて印刷をした場合、図8(a)に示した本実施例による断面を円弧で凹形状を形成したスキージを用いて印刷をした場合とほぼ同等の結果が得られ、メタルマスクに形成した直径50μm〜200μmのパターン開口部12の全てのパターンを良好にスクリーン印刷することができた。撥液性を付与したスキージの方が、撥液処理をしていないスキージに比べ、転写量が多く、転写量のばらつきが小さくなったことから、さらに良好であった。
このように、本実施例1のスキージを印刷装置に搭載することにより、印刷マスク11の開口部における開口面積の大小に関わらず、ペースト9を精度良く安定して印刷することができる。そのためには、スキージ先端部を特殊な形状に加工し、少なくともペースト9が接触するスキージ先端部への撥液性を付与することにより、所望の開口部を有する印刷マスク11のパターン開口部12へのペースト9の充填、被印刷物へのペースト9の転写に際し、ペースト9のローリングを促進し、印刷マスク11の開口部12へのペースト9の充填性を促進するとともに、ペースト9に対し印刷マスク11の開口部12にほぼ垂直方向に充填する力を付加することができた。
上記に説明した例においては、スキージ1の先端部の一方の角部に凹形状部8を形成していたが、本実施例はこれに限らず、例えば、スキージ1’として図9に示すような構成にしても良い。図9に示した構成においては、図5Aに示すようにスキージ1’をスキージホルダ押さえ板4によりスキージホルダ3に取付けた状態で、スキージ1の先端部に印刷マスク11と平行になるような面90を形成し、面90とペースト初期接触面10との間に、面90の一端981からペースト初期接触面10の端面982にかけて図5A乃至図7で説明したような構成の凹形状部98を形成した。このように、面90を形成することにより、印刷マスク11とスキージ1’との接触面積を増加させてスキージ1’の磨耗による凹形状部98の変形量を減少させることができ、スキージ1’の長寿命化を図ることができる。
また、面90を印刷マスク11に対してわずかに傾けて形成して、面90の一端981だけが印刷マスク11に当接するように形成しても良い。
本実施例2は、スキージ1の表面に形成する撥液性の膜103として、SiO又はフッ素樹脂を使用する以外は、上記実施例1と同様である。
まず、スキージ1の表面に形成する撥液性の膜103として、SiOを用いた。スキージ1の少なくともペースト9が接触する部分にアルコキシシラン含有溶液をスプレー法により塗布した。その後乾燥することにより、スキージ1の表面に撥液性を有するSiOを形成することが出来た。
ここで用いたアルコキシシランから生成された膜はペースト9に含有する各種溶剤に対して汚染されることが無く、安定であり、水や溶剤に対する撥液性が優れていた。
ここでは、成膜方法としては、スプレー法を用いたが、アルコキシシラン含有溶液をエアロゾルデポジション法或いはディップ法により塗布し、乾燥することにより撥液性の膜103を形成することが可能である。
このようにして、少なくともペースト9が接触する部分にSiOからなる撥液性の膜103を有する本実施例2で使用するスキージ1を作成することが出来た。
つぎに、スキージ1の表面に形成する撥液性の膜103として、フッ素樹脂を用いた。スキージ1の少なくともペースト9が接触する部分にテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)をウレタン樹脂に混合し、スプレー法により塗布した。その後スキージの硬化と同様の温度プロファイルで加熱硬化することにより、スキージ1の表面に撥液性を有するテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)を全面に均一に分散した膜を形成することが出来た。
撥液性を有するフッ素樹脂として、PFA以外に、PTFE、FEP、ETFE等があるが、耐有機溶剤性に優れ、接触角が大きく、摩擦係数が小さいものとしては、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)からなる膜が最も良好であった。
ここでは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体を有する膜を形成する方法として、ウレタン樹脂に混合し、スプレー法により塗布し、加熱硬化して撥液性の膜103を形成したが、ディップ法により塗布し、硬化することにより撥液性の膜103を形成することが可能である。
このようにして、少なくともペースト9が接触する部分にテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体を分散した撥液性の膜103を有する本実施例2で使用するスキージ1を作成することが出来た。
本実施例2で印刷状況を検証した結果は、実施例1で印刷状況を検証した結果とほぼ同様の結果が得られた。
このように、本実施例2に使用したスキージ1を搭載した印刷装置は、印刷マスク11の開口部12における開口面積の大小に関わらず、ペーストを精度良く安定して印刷することができる。そのためには、スキージ先端部を特殊な形状に加工し、少なくともペースト9が接触するスキージ先端部への撥液性を付与することにより、所望の開口部を有する印刷マスク11の開口パターン部12へのペーストの充填、被印刷物へのペーストの転写に際し、ペーストのローリングを促進し、印刷マスク11の開口部12へのペーストの充填性を促進するとともに、ペーストに対し印刷マスク11の開口部12にほぼ垂直方向に充填する力を付加することができた。
本実施例3は、印刷マスク11にメッシュマスクを使用する以外は、上記実施例1および2と同様である。
本実施の形態3では、印刷マスク11に金属メッシュを使用する。金属メッシュとしては、線径16μm、紗厚35μmの高強度線材を用いた#325平織りを使用した。この金属メッシュに、厚さ35μmおよび厚さ55μmの乳剤により直径50μm〜200μmのパターン開口部を形成した金属メッシュマスク(以下、単にメッシュマスクと記す)を使用した。
メッシュテンションを用いて印刷マスク11と被印刷物6との版離れを行うため、印刷マスクのテンションを0.2mm以下(プロテック(株)製テンションゲージSTG−80NAで測定)とした。
本実施の形態3で用いる印刷マスク11に使用する金属メッシュが40%以上の開口率を有し、金属メッシュに使用する線径が金属メッシュの開口幅の半分より小さい必要があった。
メッシュマスクに形成したパターン開口部12(図6A参照)において、パターン開口部12の壁面の面積(πDH)をパターン開口部の面積(πD/4)で割った値(4H/D)が印刷難易度指標である。すなわち、本実施の形態3の目標としては、この印刷難易度指標が2.8以上でペーストの良好な転写ができることとした。
実施例3では、メッシュマスクと被印刷物6との隙間があるため、実施例1および2で使用したメタルマスクを用いたコンタクト印刷とは異なり、スキージ先端に形成した円弧状凹形状部8Lの一方81L(図8A参照)が印刷マスク11の表面5に接触した状態で、メッシュマスクが水平ではなく傾斜した状態となる。そのため、スキージ1Lの先端の円弧状の凹形状部8Lの他方82Lと印刷マスク表面5との隙間Gが小さくなる。
スキージ先端の円弧状凹形状部8Lの他方82Lと印刷マスク表面5との隙間G(図8A参照)は、使用するペーストの平均粒径の10倍以上であることが必要である。スキージ先端の円弧状凹形状部8の他方とは、スキージ1Lの先端の円弧状に加工した凹形状部8Lでメッシュマスクに接していない先端部82Lを意味する。
本実施例3で使用するペースト9のハンダ粒子の粒径が実施例1および2の場合と同様に12μm以下であることから、メッシュマスクと接しない方のスキージ先端部82と印刷マスク表面5との隙間Gは、0.6mmとした。スキージがメッシュマスクに接すると、メッシュマスクの開口部にペーストを充填するのみではなく、メッシュマスクの被印刷物側に吐出してしまい、その後、本来印刷に寄与するスキージの先端がメッシュマスクの開口部に到達した際に、2度印刷した状況となった。そのため、メッシュマスクと被印刷物との間にペーストが浸み出し、にじみを生じた。
ペーストとして、(A)のLF−204−15を使用した場合には、メッシュマスクと接しない方のスキージ1Lの先端部82Lと印刷マスクとの隙間が0.12mmより狭くなると、ペースト9がスキージ1Lの先端に形成した円弧状の凹形状部8L内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。
また、(B)のM705−BPS7−T1Jを用いた場合には、メッシュマスクと接しない方のスキージ先端部82Lと印刷マスク表面5との隙間Gが0.06mmより狭くなると、ペーストがスキージ1Lの先端に形成した円弧状の凹形状部8内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。
一方、メッシュマスクと接しない方のスキージ1Lの先端部82と印刷マスク表面5との隙間Gが1mmより広くすると、印刷時にスキージ1Lの先端に形成した円弧状の凹形状部8L内にペーストを閉じ込めることができなくなり、円弧状の凹形状部8内から漏れ出し、メッシュマスクのパターン開口部12に充填するペーストに加わる力が弱まることから充填量および転写量が不足した。
ただし、この隙間Gが1mmというのは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8Lの形状によるものであって、実験に用いたスキージ1Lの場合には1mmが限界であったが、隙間Gを1mm以上にしても円弧状の凹形状部8Lの先端部82Lの接線の方向が印刷マスク表面5の方向に向いて円弧状の凹形状部8Lの内部にペースト9を一部閉じ込める空間ができていれば、円弧状の凹形状部8L内にペーストを閉じ込めることができ、十分な量の充填および転写を行うことができる。
いずれの場合においても、本実施例1および2で作製した撥液性を付与したスキージの方が、撥液処理をしていないスキージに比べ、転写量が多くなった。これは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8のスキージ面が撥液性を有しているため、ペースト9のローリング性を阻害することが無く、ペースト9の粘度が低い状態に保てたことが要因であると考えられる。
本実施例3では、左右に同等のスキージ1LおよびRを配する印刷機について検討したが、メッシュマスクを用いた印刷機では、片方を印刷マスク11の開口部12および印刷マスク表面5にペースト9をコートするために使用するスクッレッパ(図示せず)を搭載した印刷機がある。ここで使用するスクレッパは、ステンレス製の板状のものを使用することが多く、用いるペースト9によっては、このスクレッパにペースト9が付着し、作業中にペースト9を印刷マスク11上に落とすことが必要な場合があった。
実施例1および2で作製したスキージ1と同様に、スクレッパの表面に撥液性を付与することにより、ペーストを落とす作業が必要なくなった。また、ペースト9が接触するスクレッパの先端部分にウレタン樹脂を形成することにより、スクレッパによる印刷マスク表面5へのダメージを低減することもできた。さらに、スクレッパ先端部分のウレタン樹脂にも撥液性を付与することにより、さらに印刷マスク表面5のダメージが低減した。
本実施例3で印刷状況を検証した結果は、実施例1〜2で印刷状況を検証した結果と同様の結果が得られた。すなわち、メッシュマスクに形成した直径50μm〜200μmのパターン開口部12の全てのパターンを良好にスクリーン印刷することができた。
このように、本実施の形態1および2のスキージを印刷装置に搭載することにより、印刷マスク11の開口部12における開口面積の大小に関わらず、ペースト9を精度良く安定して印刷することができる。そのためには、スキージ先端部を特殊な形状に加工し、少なくともペースト9が接触するスキージ先端部への撥液性を付与することにより、所望の開口部を有する印刷マスク11のパターン開口部12へのペースト9の充填、被印刷物へのペースト9の転写に際し、ペースト9のローリングを促進し、印刷マスク11の開口部12へのペースト9の充填性を促進するとともに、ペースト9に対し印刷マスク11の開口部12にほぼ垂直方向に充填する力を付加することができた。
本実施例4の印刷装置に搭載するスキージ構造について、図10及び図11を用いて説明する。本実施例4で使用したスキージは、平スキージ、ガラスエポキシ樹脂板727を支持体としてスキージ中心に挿入したスキージ71を用いた。
また、検証に用いるスキージとしては、同一形状で、本実施例で作製した撥液性を付与したスキージと撥液処理をしていないスキージを用いて、比較検討した。
本実施例4で使用したスキージ71の先端形状の概略図を図11に示す。図11には、スキージ71の先端形状を説明するため、平スキージを例にとり、スキージ構造の要部拡大図を示したものである。そのため、スキージ表面処理状況は図示していない。
本実施例4では、スキージ71の取り付け方向を実施例1〜3の場合と逆方向にし、印刷方向2と同一方向にスキージ1を傾斜させた。スキージ71の形状を変えた以外は、上記実施例1および2と同様である。
実施例4において使用する印刷装置の構成は、基本的には図4で説明した構成と同じであり、図4のスキージ部120Lと120Rとを図10に示した構成およびそれと対を成す構成のものと置き換えたものであるので、全体構成図の説明は省略する。
スキージの取り付けには、使用する印刷装置によって、実施例1〜3のように印刷方向2と逆方向にスキージ1を傾斜する場合と、本実施例4のように印刷方向2にスキージ71を傾斜する場合とがある。
実施例1〜3のように印刷方向2と逆方向にスキージ1を傾斜する場合には、ペースト9が接するスキージ1の面10(図8参照)とスキージ1の取り付け角度17とが実質的に垂直である。一方、本実施例4では、図11に示すように、印刷方向2にスキージ71を傾斜する場合には、ペースト9が接するスキージ71の面710の印刷マスク表面5に対する角度718とスキージ71の取り付け角度717とが実質的に同じである。
本実施例においても、図10に示すように、スキージ71を用いて所定の位置に開口部12を有する印刷マスク11からペースト9をテーブル231に固定した被印刷物6の所定の位置に転写する印刷装置において、スキージ71の先端の一方の角が円弧状の凹形状78を有し、スキージ71の取り付け角度718よりスキージ71と前記被印刷物6の印刷面とのアタック角度719(図11参照)の方を小さくすることに特徴がある。
それにより、スキージ71の先端の円弧状の凹形状78の部内でペーストが閉じ込められ、スキージング(スキージ71が印刷マスク11のスクリーン面に圧力(印圧)を加えながら印刷方向に摺動させる)による工程でペースト9がスキージ71の先端の円弧状の凹形状部78に沿ってローリングすることができた。
本実施例4で使用するスキージは、ウレタンを主成分とする樹脂を用いた。
図11に示したように、アタック角度719を小さくするためにスキージ71の取り付け角度717を小さくすると、印圧を加えるスキージヘッド715とスキージ71の先端が印刷マスク表面5と接する箇所781とが相対的な位置ずれを生じたため、印圧がスキージ71の先端部に有効に加わらなかった。すなわち、力点に相対的な位置ずれを生じると回転モーメントが働き、この場合には、印圧を高くするほどスキージ先端に印圧とは逆方向の力となる。
そのため、スキージヘッド715に印圧を加える方向とスキージ71の先端部の印刷マスク表面5との接触点781はほぼ同一直線状に並ぶように、接触点781がスキージヘッド715の真下に位置するように調整した。
本実施例4では、スキージ71の先端に形成した円弧状の凹形状部78の一方781が印刷マスク11に接触した状態で、スキージ71の先端の円弧状の凹形状部78の他方782と印刷マスク表面5との隙間Gが、実施例1で説明した場合と同様に、使用するペースト9の平均粒径の10倍以上で、且つ1mm以下であることが必要である。スキージ71の先端の円弧状の凹形状部78の他方とは、スキージ71の先端の円弧状に加工した凹形状部78で印刷マスク表面5に接していない先端部782を意味する。
本実施例4で使用するペースト9のハンダ粒子として、粒径が12μm以下の材料を用いた場合、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部782と印刷マスク表面5との隙間Gを、0.3mmとした。スキージ71が印刷マスク11に接すると、印刷マスク11の開口部12にペーストを充填するのみではなく、印刷マスク11の下面の被印刷物6側に吐出してしまい、その後、本来印刷に寄与するスキージの先端が印刷マスク11の開口部12に到達した際に、2度印刷した状況となった。そのため、印刷マスク11と被印刷物6との間にペーストが浸み出し、にじみを生じた。
ペーストとして、実施例1で使用したAを使用した場合には、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部782と印刷マスク表面5との隙間Gが0.12mmより狭くなると、ペーストがスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。
また、ペーストとして実施例1で使用したBを用いた場合には、印刷マスク11と接しない方のスキージ先端部782と印刷マスク表面5との隙間Gが0.06mmより狭くなると、ペースト9がスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部78内に流動することを阻害し、転写するペースト量が少なくなった。
一方、印刷マスク11と接しない方のスキージ71の先端部782と印刷マスク表面5との隙間Gが1mmより広くすると、印刷時にスキージ先端に形成した円弧状の凹形状部78内にペーストを閉じ込めることができなくなり、円弧状の凹形状部78内から漏れ出し、印刷マスク11のパターン開口部12に充填するペースト9に加わる力が弱まることから充填量および転写量が不足した。
ただし、この隙間Gが1mmというのは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部78の形状によるものであって、実験に用いたスキージ71の場合には1mmが限界であったが、隙間Gを1mm以上にしても円弧状の凹形状部78の先端部782の接線の方向が印刷マスク表面5の方向に向いて円弧状の凹形状部8Lの内部にペースト9を一部閉じ込める空間ができていれば、円弧状の凹形状部78内にペーストを閉じ込めることができ、十分な量の充填および転写を行うことができる。
本実施例4では、実施例1および2と同様に、印刷マスク11に、厚さ70μmのメタル板に直径50μm〜200μmのパターン開口部12を形成したメタルマスク11を使用した。
本実施例3では、印刷方向2と同じ方向にスキージ71を傾斜させており、スキージ71のスキージホルダ73への取り付け角717は70°で、ペースト初期接触面角718(スキージ71が先行してペースト9に接するスキージ71面の方向の角度)はスキージホルダ73への取り付け角717と実質的に同じ70°とした。スキージ71と印刷マスク11のスキージ接触面との角度はアタック角719を変えて検討した。印刷状況は、印刷マスク11のパターン開口部12への充填性、被印刷物への転写性を検証した。
本実施例4で印刷状況を検証した結果は、実施例1〜3で印刷状況を検証した結果より若干劣るものの、印刷性としてはほぼ同様の結果が得られた。特に、撥液性の膜103として、ダイヤモンドライクカーボンやフッ素基含有ダイヤモンドライクカーボンを成膜したスキージ71では、ペーストが接触する部分の撥液性が若干劣ることが原因で、印刷状況を検証した結果が若干劣るものとなったと考えられる。また、成膜時の電極とスキージ表面との距離が広いこと、ペースト9が接触するスキージ底部への撥液性の膜103の付き方が不十分なことなどから、スキージ71へのダイヤモンドライクカーボンやフッ素基含有ダイヤモンドライクカーボンの密着性が弱いことが懸念される。
いずれの場合においても、本実施例4で使用したスキージ71において、撥液性を付与したスキージの方が、撥液処理をしていないスキージに比べ、転写量が多くなった。これは、スキージ先端に形成した円弧状の凹形状部8のスキージ面が撥液性を有しているため、ペースト9のローリング性を阻害することが無く、ペースト9の粘度が低い状態に保てたことが要因であると考えられる。
実施例4の比較実験として、図9で説明した場合と同様に先端部分を種々の形状に加工したスキージ1を用いて、図11に示すように、スキージ取り付け方向を実施例1〜3と逆方向にし、印刷方向2と同一方向にスキージを傾斜させた。スキージの形状を図11に示すように変えた以外は、上記図10及び図11で説明した構成と同様である。
比較実験においては、図11に示すような、スキージ先端に加工を加えていないスキージおよび直線状の斜め研磨加工を施したスキージを用いた際の印刷実験も行った。この場合においても、同一形状で、撥液性を付与したスキージと撥液処理をしていないスキージを用いて、比較検討した。図12(a)に示したスキージ1の形状は、図10及び図11で説明したものと同じである。
比較検討の結果、図12の(b)に示した先端部分の加工を施していないスキージを用いて場合は、パターンの開口部12の径が150μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。撥液性を付与したスキージでは、スキージ表面におけるペースト9の滑りが良くなり、印刷マスク11の開口部12への充填量が低下し、撥液性を付与していないスキージより印刷性が悪化し、180μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。
また、図12の(c)に示したように先端部をテーパ状に加工したスキージを用いた場合は、パターンの開口部12の径が120μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。この場合には、撥液性を付与したスキージでも、スキージ表面におけるペースト9の滑りが良くなったにも拘らず、印刷マスク11の開口部12への充填量が良好で、撥液性を付与していないスキージと同等の印刷性が得られたが、120μm以上でないと良好なパターン印刷ができなかった。
一方、図12(d)のように、複数の面で凹形状を形成して内部にペーストを閉じ込める空間を形成したスキージを用いて印刷をした場合、図12(a)の断面を円弧で凹形状を形成したスキージを用いて印刷をした場合とほぼ同等の結果が得られ、メタルマスクに形成した直径50μm〜200μmのパターン開口部12の全てのパターンを良好にスクリーン印刷することができた。撥液性を付与したスキージの方が、撥液処理をしていないスキージに比べ、転写量が多く、転写量のばらつきが小さくなったことから、さらに良好であった。
このように、本実施例4に使用したスキージ1を搭載した印刷装置は、印刷マスク11の開口部12における開口面積の大小に関わらず、ペーストを精度良く安定して印刷することができる。そのためには、スキージ先端部を特殊な形状に加工し、少なくともペースト9が接触するスキージ先端部への撥液性を付与することにより、所望の開口部を有する印刷マスク11の開口パターン部12へのペーストの充填、被印刷物へのペーストの転写に際し、ペーストのローリングを促進し、印刷マスク11の開口部12へのペーストの充填性を促進するとともに、ペーストに対し印刷マスク11の開口部12にほぼ垂直方向に充填する力を付加することができた。
本実施例5は、使用するペーストを種々変えた以外は、上記実施例1〜4と同様である。本実施例においては、印刷マスク11として、金属メッシュを用いたメッシュマスクを用いた。
本発明の印刷装置において、使用するペーストは固形分と液体分を混合した高粘性物質であり、その固形分がハンダ組成の粒子、銀粒子、燐片状銀粒子、ニッケルを主成分とする粒子、金属で被覆した球状樹脂粒子、セラミックス粒子、ガラス粒子のうち少なくとも1種の材料を主成分とするものが使用可能であり、それらのペーストを適用した対象物について、その特徴と印刷結果を以下に示す。
ハンダ組成の粒子を固形分として使用するペーストは、プリント配線板のパッドバンプ等の表面実装技術、半導体ウェハのパッドバンプ等のハンダ接続端子形成などに使用される。使用するハンダ組成の粒子の形状はほぼ球形である。
ハンダ組成の粒子の粒径は、1μm程度から30μm程度まで使用するパターンにより選定することが可能である。この場合、印刷マスク11に形成する開口パターン12の大きさは、開口部のペーストの流動性を考慮し、ハンダ組成の粒子の粒径の10倍以上とすることにより、本実施の形態においても、実施の形態1〜4と同様の良好な印刷を行うことができた。
すなわち、ハンダ組成の粒子が1μmの粒径では、開口パターンの寸法を10μm以上とする必要があり、ハンダ組成の粒子が30μmの粒径では、開口パターンの寸法を300μm以上とする必要がある。微細なパターンを形成するためには、微細な粒径のハンダ組成の粒子を使用する必要がある。
また、銀粒子を固形分として使用するペーストは、低温焼成セラミックスの配線パターン形成、太陽電池の電極形成などに使用される。使用する銀粒子の形状はほぼ球形である。
銀粒子の粒径は、2nm程度から10μm程度であり、微細な配線パターンを形成する場合には、微細な粒径の粒子を使用する必要がある。
また、燐片状銀粒子を固形分として使用するペーストは、プリント配線板への部品搭載時に使用する導電性導電性接着剤であり、電子部品の小型化に伴い、突起電極を有する基板への搭載などに使用される。燐片状銀粒子は、銀粒子に圧力を加えて箔状に加工したものであり、異形の粒子である。このペーストは、接触抵抗で導電性を確保するため、印刷パターンの転写寸法精度をあまり要求しないのが特徴であるが、本実施の形態において、吐出性を改善することができたため、局部的な塗布不良を発生することがなく、確実に印刷することができた。
また、ニッケルを主成分とする粒子を固形分として使用するペーストは、超薄膜の導電体を形成する必要があるコンデンサなどに使用される。ニッケルを主成分とする粒子の粒径は、10nm程度から100nm程度であり、ペーストの粘度を低くして流動性を有するのが特徴である。
メッシュマスク11を構成する金属メッシュの紗厚が薄くなると、ペーストを保持する量が少なくなる。吐出量を多くする場合には、紗厚を厚くすることが望ましく、一方、微細な電極配線パターン形成やコンデンサの薄膜電極形成に対しては、紗厚が薄い方が望まれる。製織後の紗厚より薄くする必要がある場合には、金属メッシュをロールで圧延することにより、所望の紗厚を有するメッシュを用いた。適用するデバイスにより、メッシュの種類(メッシュ数、開口率、線径、紗厚等)を選定することが可能であった。
本実施例5において、吐出性を改善することができたため、均一で非常に薄膜のパターン形成が可能であり、良好な印刷結果を得ることができた。
一方、金属で被覆した球状樹脂粒子を固形分として使用するペーストは、異方性導電ペーストであり、ディスプレイの端子、金属接合より抵抗が高くても電気的接続が許されるプリント配線板への部品搭載などに使用される。金属で被覆した樹脂粒子の粒径は、10μm程度であり、印刷パターンは搭載する部品のパッド部全面に塗布するのが特徴である。本実施の形態において、吐出性を改善することができたため、局部的な塗布不良を発生することがなく、良好な印刷結果を得ることができた。
セラミックス粒子を固形分として使用するペーストは、低温焼成セラミックスの誘電体パターン形成、電子回路の絶縁性パターン形成、銅張りポリイミドフィルムに対するエッチング用レジストのパターン形成、太陽電池の絶縁層スクライブ用パターン形成などに使用される。本実施の形態において、確実な転写性能を有していることから、局部的な断線不良を発生することがなく、良好な印刷結果を得ることができた。
ガラス粒子を固形分として使用するペーストは、焼結助剤として銀ペーストへの添加、低温焼成セラミックスの誘電体パターン形成、電子回路の絶縁性パターン形成などに使用される。
セラミックス粒子およびガラス粒子は、粉砕により製造するため、破砕形状である。これらの場合には、使用する印刷マスクの開口パターンを平均粒径の10倍以上にする必要がある。
本実施例5で使用したスキージ1は、スキージ先端の一方の角が円弧状の凹形状部8を有し、スキージ1が先行してペーストに接するスキージ面の方向の角度18(印刷方向と逆方向にスキージを傾斜時)或いはスキージの取り付け角度(印刷方向と同一方向にスキージを傾斜時)よりスキージと前記被印刷物の印刷面とのアタック角度の方を小さくし、ペーストが接触するスキージ先端部に撥液性を有するものであり、これら全てのペーストに対して、このスキージ1を搭載した印刷装置を用いることにより、印刷マスク11のパターン開口部12における開口面積の大小に関わらず、精度良く安定して印刷することが可能であった。
このように、本実施例5で使用したスキージ1を搭載した印刷装置は、印刷マスク11のパターン開口部12における開口面積の大小に関わらず、ペーストを精度良く安定して印刷することができるスキージ1が搭載可能である。そのためには、スキージ先端部を特殊な形状に加工し、少なくともペーストと接触するスキージ先端部に撥液性を有することにより、所望の開口部を有する印刷マスク11の開口パターン部12へのペーストの充填、被印刷物へのペーストの転写に際し、ペーストのローリングを促進し、印刷マスク11の開口部12へのペーストの充填性を促進するとともに、ペーストに対し印刷マスク11の開口部12にほぼ垂直方向に充填する力を付加することができた。
本実施例6は、配線幅に対するペースト高さが高い高アスペクト配線形成を要求するデバイスの印刷の一例として、太陽電池セル表面の電極配線印刷について説明する。印刷するデバイス、スキージ、印刷マスク、ペースト以外は、上記実施例1〜4と同様である。
図13に、太陽電池セル40の表面に形成する電極配線の概要図を示す。表面電極配線は、幅広線のバス電極配線42と細線のグリッド電極配線43が形成される。
以下に、本実施例における太陽電池セル40の表面電極配線をスクリーン印刷で形成した場合の効果を確認するために先ず比較例を説明し、次に本実施例について説明する。
<比較例>
太陽電池セル40の表面電極配線を形成するための印刷マスク50について、被印刷物側面からみた局部的な拡大概要図を図14Aに示す。
印刷マスク50は、金属メッシュ52に乳剤51で電極配線を印刷するための開口パターン(542および543)を形成している。ここで、金属メッシュ52は線径20μmの#290を使用した。また、乳剤51の厚さは、グリッド電極配線43を印刷する開口部543の幅60μmより厚い65μmとした。乳剤51の厚さは、印刷マスク50の総厚から金属メッシュ52の厚み(紗厚)を引いた値である。
導体配線を形成するペースト中には、導体材料の銀粒子と有機バインダ成分および有機溶剤が混合されている。印刷後の乾燥工程で、有機溶剤が飛散し、体積が減少する。また、ペーストによっては、高温で焼成するものもあり、その場合には、有機バインダも消失し、体積が減少することになる。
所望の配線抵抗を得るためには、導体材料の固有抵抗を低くする必要があるが、それ以外に導体配線の断面積を増加する必要がある。また、配線幅を狭くして、太陽光が照射される面積を広くすることにより、変換効率を高くすることが出来る。さらに、配線の印刷回数を増やすと、高精度に位置合わせを行う必要がある。位置ずれを生じると、配線幅が広くなり、変換効率低下の原因となる。そのため、一回の印刷で高アスペクト比の配線を形成する必要があり、印刷に使用する印刷マスク50の乳剤51の厚さを厚く設定した。
バス電極配線42を形成するために、乳剤51により、バス電極配線印刷用の開口部542が形成されている。また、細線のグリッド電極配線43を形成するために、乳剤51により、グリッド電極配線印刷用の開口部543が形成されている。
図14Aの印刷マスク50について、14A−X−14A−X’の断面図を図14Bに示す。金属メッシュ52の被印刷物側に乳剤51が形成され、バス電極配線用の開口部542が形成されている。
図14Aの印刷マスク50について、14A−Y−14A−Y’の断面図を図14Cに示す。金属メッシュ52の被印刷物側に乳剤51が形成され、グリッド電極配線用の開口部543が形成されている。
印刷方向は、細線のグリッド電極配線用の開口部543の長手方向と平行方向(図14Aの矢印501の方向)である。
図15にグリッド電極配線の印刷状況を説明するためのプロセス概要図を示す。説明の都合上、印刷方向をグリッド電極配線用の開口部543の長手方向と垂直方向(図14Aの矢印501に直角な方向)で図示している。
図15(a)は、印刷マスク50の金属メッシュ52と被印刷物41との間にクリアランス(隙間)を設けて印刷マスク50を被印刷物41に近接させた状態でペースト46を印刷マスク50の上部全面にスクレッパ45でコートしている工程図である。ペースト46は、金属メッシュ52の内部および印刷マスク50の上部にコートされて、コートされたペースト461が形成されている。
図15(b)は、スキージ47(図8の(b)に示す形状)により、ウェハ41の上部にペースト46を印刷している工程図である。乳剤51で形成されたグリッド電極配線開口部543のアスペクト(乳剤厚/開口幅)が大きいため、乳剤51の開口部543に充填されたペースト46をウェハ41の上部に完全に転写することが出来ず、図15Cに示すように、ウェハ上部には微量のペーストパターン462が転写されただけで、乳剤開口部543の内部にペースト463が残留した。
スキージ47を用いた1回の転写では、図15(c)に示したようにウェハ41上へのペーストパターン462の転写量が少ない。したがって、ウェハ41上に転写された配線パターンが所望の配線抵抗を得ることが出来ないことから、印刷マスク50をウェハ41に対して位置合わせを行いながら、繰り返し積層印刷を行う必要がある。
ここに示した比較例の印刷では、高アスペクト比の配線形成は困難である。
図16にバス電極配線の印刷状況を説明するためのプロセス概要図を示す。印刷方向はバス電極配線方法と垂直方向である。
図16の(a)は、印刷マスク50の金属メッシュ52と被印刷物41との間にクリアランス(隙間)を設けて印刷マスク50を被印刷物41に近接させた状態でペースト46を印刷マスク50の上部全面にスクレッパ45でコートしている工程図である。ペースト46は、メッシュ52の内部および印刷マスク50の上部にコートされて、コートされたペースト461が形成されている。
図16(b)は、スキージ47(図8の(b)に示す形状)により、ウェハ41の上部にペースト46を印刷している工程図である。乳剤51で形成されたバス電極配線開口部542の幅が大きいため、乳剤が無い開口部543でスキージ47が金属メッシュ52を押し付けて、ウェハ41の上部に形成されているテクスチャ411に接触し、接触した領域のテクスチャ412(図16(c)参照)の頂部を破損してしまった。これにより、テクスチャ411に成膜してある透明導電膜や場合によっては絶縁膜を破損することになり、機能を損なうこととなった(図示していない)。この問題を解決するためには、スキージ47の幅方向で乳剤が存在しないエリアを作らないように乳剤開口パターン設計する必要がある。
また、乳剤開口部542に相当するペースト量を完全に転写することが出来ず、ウェハ上部には一部のペーストパターン462が転写され、凹凸が大きい形状となった。そのため、図16(c)に示すように、乳剤開口部543の内部には、ペースト463が残留した。特に、金属メッシュ52にペースト46が付着していた。これは、ペースト46と金属メッシュ52との密着性が良かったことによるものと考えられる。
グリッド電極配線のみではなく、バス電極配線でもペーストパターンの転写厚が薄く、所望の配線抵抗を得ることが出来なかった。
<本実施例>
太陽電池セル40の表面電極配線を形成するための印刷マスク60について、被印刷物側面からみた局部的な拡大概要図を図17Aに示す。
印刷マスク60は、金属メッシュ62に乳剤61で電極配線を印刷するための開口パターン(642および643)を形成している。バス電極配線42を印刷するための乳剤開口部642には、比較例で示したようなスキージとウェハ41の表面のテクスチャ411に接触しないように、ダミー乳剤610が形成されている。
ここで、金属メッシュ62は線径20μmの#290を使用した。また、乳剤61の厚さは、グリッド電極配線43を印刷する開口部643の幅60μmより厚い65μmとした。乳剤61の厚さは、印刷マスク60の総厚から金属メッシュ62の厚み(紗厚)を引いた値である。
ダミー乳剤610の役割について、説明する。ダミー乳剤610が無い場合には、図16で説明したように、スキージ47が乳剤が無い開口部543で、ウェハ41の上部に形成しているテクスチャ411に接触して破損してしまうおそれがある。これの原因の一つは、太陽電池セルなどの電子機器において、直線状に長くて幅が広い配線を形成することがしばしば有り、印刷マスク50には、その配線に対応する部分に、メッシュ62のみで乳剤61が無いため剛性が小さく、長い直線状の領域ができ、その部分で印刷マスク50が折れ曲がりやすくなっていることが挙げられる。また別の原因としては、配線に対応するメッシュのみの領域では、印刷中に、スキージの下に乳剤61が全く無い状態が起こりやすく、スキージ47が沈んでテクスチャ411に接触しやすくなっている。
ダミー乳剤610は、まず、直線状に長くて幅が広いメッシュ62のみの領域を印刷マスク50に作らず、また、印刷中にスキージの下に乳剤が存在するようにするために設けられたものである。そのために、ダミー乳剤61は、配線を形成する開口部642中に、島状または半島状(乳剤61に一部がつながっている)に形成される。また、複数のダミー乳剤610の並ぶ方向は、それが形成される開口部642の長さ方向とは異なる方向(例えば、斜め方向)であることが望ましい。また、ダミー乳剤610は、その長手方向は、それが形成される開口部642の長さ方向とは異なる方向(例えば、直交する方向)であることが望ましい。配線を途切れさせないためにである。また、配線を格子状にするように開口部が形成されている場合には、二つの配線が交差する位置に対応する領域に、ダミー乳剤610を設けてもよい。ダミー乳剤610によって、印刷マスク50は、剛性が高く折れ曲がりにくくなり、また、乳剤61が形成されない領域が小さくなり、テクスチャ411の破損を防止することができる。
導体配線を形成するペースト中には、導体材料の銀粒子と有機バインダ成分および有機溶剤が混合されている。印刷後の乾燥工程で、有機溶剤が飛散し、体積が減少する。また、ペーストによっては、高温で焼成するものもあり、その場合には、有機バインダも消失し、体積が減少することになる。
所望の配線抵抗を得るためには、導体材料の固有抵抗を低くする必要があるが、それ以外に導体配線の断面積を増加する必要がある。また、配線幅を狭くして、太陽光が照射される面積を広くすることにより、変換効率を高くすることが出来る。
さらに、配線の印刷回数を増やすと、高精度に位置合わせを行う必要がある。位置ずれを生じると、配線幅が広くなり、変換効率低下の原因となる。そのため、一回の印刷で高アスペクト比の配線を形成する必要があり、印刷に使用する印刷マスク60の乳剤61の厚さを厚く設定した。
また、印刷マスク60の露出している金属メッシュ62および乳剤61の表面に、本発明で実施例1乃至4において説明したスキージ表面に形成した撥液性が高い炭化水素膜を形成し、ペースト46の離型性を向上させた。表面の材料は、炭化水素に代えて、SiO、フッ素樹脂、フッ素基含有炭化水素でもよい。
バス電極配線42を形成するために、乳剤61により、バス電極配線印刷用の開口部642が形成されている。また、細線のグリッド電極配線43を形成するために、乳剤61により、グリッド電極配線印刷用の開口部643が形成されている。
図17Aの印刷マスク60について、17A−X−17A−X’の断面図を図17Bに示す。金属メッシュ62の被印刷物側に乳剤61が形成され、バス電極配線用の開口部642が形成されている。バス電極配線用の開口部642には、金属メッシュ62とウェハ41の上部に形成されたテクスチャ411と接触しないように、ダミー乳剤610が形成されている。
図17Aの印刷マスク60について、17A−Y−17A−Y’の断面図を図17Cに示す。金属メッシュ62の被印刷物側に乳剤61が形成され、グリッド電極配線用の開口部643が形成されている。
印刷方向は、細線のグリッド電極配線用の開口部643の長手方向と平行方向(図17Aの矢印601の方向)である。
図18にグリッド電極配線の印刷状況を説明するためのプロセス概要図を示す。説明の都合上、印刷方向をグリッド電極配線用の開口部643の長手方向と垂直方向(図17Aの矢印601に直角な方向)で図示している。
図18の(a)は、印刷マスク60とウェハ41との間にクリアランス(隙間)を設けて印刷マスク50を被印刷物41に近接させた状態でペースト46を印刷マスク60の上部全面にスキージ48(図8の(b)に示す形状)でコートしている工程図である。ペースト46は、金属メッシュ62の内部から乳剤開口部643および印刷マスク60の上部にコートされて、コートされたペースト461が形成されている。
図18の(b)は、本発明の実施例1で説明したスキージ49(図8の(a)に示す形状)により、ウェハ41の上部にペースト46を印刷している工程図である。吐出性に優れた本発明の実施例1で説明したスキージ49を使用することにより、ペースト46をウェハ41の上部に転写することが出来た。
図18の(c)は、印刷が完了して、印刷マスク60が被印刷物であるウェハ41から離れた状態を示す概略図である。乳剤61で形成されたグリッド電極配線開口部643のアスペクト比(乳剤厚/開口幅)が大きいにも関わらず、乳剤61の開口部643に充填されたペースト46をウェハ41の上部に完全に転写することが出来た。
ウェハ上部には高アスペクト比のペーストパターン462が転写された、乳剤開口部643の内部にはペーストが残留しなかった。印刷マスク60の金属メッシュ62および乳剤61の露出部に撥液性を付与したことにより、ペースト46の金属メッシュ62および乳剤61からの離型性が向上したためと考えられる。
本実施例によれば、所望の配線抵抗を得るためには、一回の印刷で十分であり、複数回重ねて印刷するための高精度の位置合わせを行う必要が無いことから、1工程にウェハ41を1枚づつセットして印刷するのではなく、複数枚を同時に印刷することが可能になった。この結果、良好な電極配線形成のみではなく、タクト短縮となり、生産性向上につながった。
図19にバス電極配線の印刷状況を説明するためのプロセス概要図を示す。印刷方向はバス電極配線用の開口部642の長手方法と垂直方向(図17の矢印601の方向)である。
図19の(a)は、印刷マスク60とウェハ41との間にクリアランス(隙間)を設けて印刷マスク50を被印刷物41に近接させた状態でペースト46を印刷マスク60の上部全面にスキージ48(図8の(b)に示す形状)でコートしている工程図である。ペースト46は、金属メッシュ62の内部から乳剤開口部642および印刷マスク60の上部にコートされて、コートされたペースト461が形成されている。
図19の(b)は、本発明の実施例1乃至4で説明したスキージ49(図8の(a)に示す形状)により、ウェハ41の上部にペースト46を印刷している工程図である。ダミー乳剤610が形成されているため、金属メッシュ62がウェハ41表面のテクスチャ411に接触することが無かった。
また、吐出性に優れた本発明の実施例1乃至4で説明したスキージ49を使用することにより、ペースト46をウェハ41の上部に転写することが出来た。
図19の(c)は、印刷が完了して、印刷マスク60が被印刷物であるウェハ41から離れてウェハ41上にペーストパターン462が形成された状態を示す概略図である。
乳剤61で形成されたバス電極配線開口部642のアスペクト比(乳剤厚/開口幅)が大きいにも関わらず、乳剤61の開口部643に充填されたペースト46をウェハ41の上部に完全に転写することが出来た。ウェハ上部には高アスペクト比のペーストパターン462が転写された、乳剤開口部642の内部にはペーストが残留しなかった。ペースト転写後に熱処理することにより、ペーストの溶剤が蒸発し、導体材料によって配線が形成される。
印刷マスク60の金属メッシュ62および乳剤61の露出部に撥液性を付与したことにより、ペースト46の金属メッシュ62および乳剤61からの離型性が向上したためと考えられる。
本実施例によれば、所望の配線抵抗を得るためには、一回の印刷で十分であり、複数回重ねて印刷するための高精度の位置合わせを行う必要が無いことから、1工程にウェハ41を1枚ずつセットして印刷するのではなく、複数枚を同時に印刷することが可能になった。この結果、良好な電極配線形成のみではなく、タクト短縮となり、生産性向上につながった。
本実施例7は、高アスペクト開口を有する貫通孔への充填印刷の一例として、シリコンウェハへの導体材料充填を取り上げた。高アスペクト開口の貫通孔を有するデバイスとして、バックコンタクト型太陽電池セル、TSV半導体素子等がある。本実施例では、バックコンタクト型太陽電池セルについて、比較例をあげて説明する。印刷するデバイス、スキージ、印刷マスク、ペースト以外は、上記実施例1〜4と同様である。
図20に、バックコンタクト型太陽電池セル90を表面から見た構成を示す。バックコンタクト型太陽電池セル90の表面には、細線のグリッド電極配線92がウェハ91に形成されている。一方、図13の構成で説明した幅広線のバス電極配線はウェハ91の裏面に形成されている。
図21に、バックコンタクト型太陽電池セル90の断面を示す。図21において、ウェハ91の上面のテクスチャ911が形成されている面が、図20の細線のグリッド電極配線92が形成されている面に相当する。ウェハ91の下面には幅広線のバス電極配線が形成されており、ウェハ91の上面の細線のグリッド電極配線92とウェハ91の下面には幅広線のバス電極配線とは、貫通孔(スルーホール)93に充填されたペースト464で接続されている。
以下に、本実施例におけるバックコンタクト型太陽電池セル90の両面の電極配線とそれを電気的に接続するスルーホール内部への導体材料の充填をスクリーン印刷で行った場合の効果を確認するために先ず比較例を説明し、次に本実施例について説明する。
<比較例>
比較例として、貫通孔93へのペースト充填印刷について、図22を用いて説明する。
貫通孔93へのペースト充填印刷に使用したスキージは、平スキージ95(図8の(b)に示す形状)である。また、裏面からのペースト充填印刷の際、バックコンタクト型太陽電池セル90のウェハ91の表面に形成されている突起状のテクスチャ911が、印刷装置100のテーブル231に接触することで、破損するため、テクスチャ保護フィルム94を用いた。
テクスチャ保護フィルム94は、柔軟性があり、テクスチャ911を破損しないように保護するのみではなく、ポーラスな材料からなっているため、テクスチャ保護フィルム94を通して印刷装置100のテーブル231にウェハ91を固定するための真空チャック(図示せず)を行うことが出来る。
また、バックコンタクト型太陽電池セル90に形成された表裏面電極を導通するために形成した貫通孔93へのペースト充填と同時に裏面の電極パターン465を形成するため、所定の位置に裏面の電極パターン465に対応した開口部56を形成したメタルマスク55を使用した。
バックコンタクト型太陽電池セル90に形成された貫通孔93へのペースト充填は、片方からの充填印刷では、貫通孔93内をペーストで充填することが出来ず、図22の(a)に示した状態から、裏面からペースト充填印刷(図22の(b))を行った後、表面からの充填印刷(図22の(c))を行う必要がある。
表面からの充填印刷を行う場合には、メタルマスクがウェハ91の上部に形成したテクスチャ911に接触してテクスチャ911上部を破損させないように、乳剤からなるクッション材58をメタルマスク57に形成したものを使用した。
表面からのペースト充填印刷(図22の(c))を行った後、クッション材58形成したメタルマスク57をウェハ91から剥離して(図22の(d))、貫通孔93へのペースト充填を完了した。
しかしながら、裏面および表面からの貫通孔93への充填印刷にもかかわらず、アスペクト比(ウェハ厚さ/貫通孔穴径)が2の場合(ウェハ厚さ:160μm/貫通孔穴径:φ80μm)では、図22の(d)に示すように、貫通孔93のほぼ中央部に空洞(キャビティ)96ができ、導通不良を生じた。そのため、これ以上のアスペクト比では、導通不良を生じないような貫通孔93へのペースト充填形成が出来なかった。
アスペクト比(ウェハ厚さ/貫通孔穴径)が1.5(ウェハ厚さ:120μm/貫通孔穴径:φ80μm)の場合では、導通不良を生じないような貫通孔93へのペースト充填形成が可能であったが、裏面および表面からの両面印刷を行う必要があり、導体充填形成時間がかかるという問題がある。また、ウェハ91が120μmと薄いため、ウェハ91に反りが生じ、吸着による印刷装置100のテーブル231へのウェハ91の固定が困難になり、吸着不良を知らせるアラームによる生産停止や、ウェハの破損を発生することがあった。
同じアスペクト比(1.5)でも、ウェハ厚さを160μmとすると、貫通孔の穴径が100μmを越えることになり、バックコンタクト型太陽電池90の表面接続配線幅(グリッド電極配線幅)を考えると、表面電極配線による太陽光の照射エリアが少なくなり、変換効率が低下するといった問題を生じた。
<本実施例>
そこで、各種スキージによる高アスペクト開口を有する貫通孔へのペーストの充填性を検討するため、図23に示すペースト吐出性評価治具80を試作した。厚さ530μmで、幅3mm、長さ100mmの透明なアクリル板85に、φ60μmからφ200μmの微細な貫通孔86を、ドリルを用いて複数個形成した。
各種スキージを用いて、バックコンタクト型太陽電池セル90の貫通孔93に充填する銀ペーストを用いて、印刷速度300mm/secの速さでスキージを移動させ、ペースト充填印刷を行い、アクリル板85の側面からペーストの充填深さを観測した。その一例を図24A及び図24Bに示す。図24A及び図24Bには、特に、充填性の差が大きかった2種類のスキージについて、φ80μmの微細な貫通孔86の観察結果を示した。
図24Aに示すように、比較例で使用した平スキージ(図8の(b)に示す形状)では、アクリル板85に形成したφ80μmの微細な開口を有する貫通孔86の開口部付近の壁面にペースト87が付着するのみで、貫通孔86内を充填することが出来なかった。なお、図24Aにおいて貫通穴86の両側の黒い部分88は、貫通穴の壁面で透過光が屈折することにより発生した部分であって、この部分にペーストは入り込んでいない。
このことから、比較例で、バックコンタクト型太陽電池セル90に形成された表裏面電極を導通するために形成した貫通孔93へのペースト充填印刷を行った結果、上記平スキージ(図8の(b)に示す形状)を用いて、この貫通孔93へのペースト充填ができなかったことが説明できる。
一方、図24Bに示すように、本発明の実施例1乃至4で説明したスキージ(図8の(a)に示す形状)を用いた場合には、アクリル板85の一方の面の側からの一回のペースト充填印刷によりφ80μmの微細な開口を有する貫通孔86をアクリル板85の厚さ530μmまで完全にペースト89を充填することが出来た。さらに、φ60μmの微細な開口を有する貫通孔86に対しても、アクリル板85の厚さ530μmを一回の印刷で貫通孔86内を完全に充填することが出来た。
このように、本発明の実施例1乃至4で説明したスキージ(図8の(a)に示す形状)は、吐出性に優れたスキージであることが分かる。バックコンタクト型太陽電池セル90に形成された表裏面電極を導通するために形成した貫通孔93へペーストを完全に充填することが可能な印刷が達成出来るものと考えられることが判った。
図23に示すペースト吐出性評価治具80を用いた検討結果から、貫通孔86がφ60μmで、アクリル板85の厚さ(530μm)を完全にペーストで充填することが出来たため、アスペクト比(ウェハ厚さ/貫通孔穴径)が約8.83となり、かなり高アスペクト比の穴の内部でも充填可能なことがわかる。
この検討結果を元に、比較例では実現できなかった高アスペクト開口を有する貫通孔へのペーストの充填印刷を試みた。図25A及び図25Bを用いて説明する。
貫通孔93への充填印刷に使用したスキージは、本発明の実施例1乃至4で説明したスキージと同じ形状で先端部に撥液加工処理が施されたスキージ49(図8の(a)に示す形状)である。また、裏面からの充填印刷の際、バックコンタクト型太陽電池セル90のウェハ91表面に形成されている突起状のテクスチャ911が、印刷装置100のテーブル231に接触することにより破損が発生するのを防止するため、テクスチャ保護フィルム94を用いた。
テクスチャ保護フィルム94は、柔軟性があり、テクスチャ911を破損しないように保護するのみではなく、ポーラスな材料からなっているため、テクスチャ保護フィルム94を通して印刷機100のテーブル231にウェハ91を固定するための真空チャックを行うことが出来る。
また、バックコンタクト型太陽電池セル90の表面に形成されたグリッド電極92と裏面に形成するバス電極98と表裏面電極を導通するために形成した貫通孔93へのペースト充填と同時に裏面のバス電極98の配線パターン、即ちバス電極配線パターン465を形成するため、図25の(a)に示したような、所定の位置に裏面のバス電極配線パターン465に対応した開口部56を形成したメタルマスク55を使用した。
先ず、図25Aの(a)に示した状態、即ち、バックコンタクト型太陽電池セル90のウェハ91の裏面を上に向けてテーブル231に載置した状態から、図25Aの(b)に示すようにメタルマスク55をバックコンタクト型太陽電池セル90のウェハ91の裏面に接触させ、バックコンタクト型太陽電池セル90に形成された貫通孔93へのペースト充填は、ウェハ91の裏面からのペースト充填印刷(図25Aの(b))で行う。この1回の印刷により貫通孔93内をペースト464で完全に充填でき、ウェハ91の裏面のバス電極配線パターン465も同時に印刷することが出来た。
次に、メタルマスク55をウェハ91の裏面から剥離し(図25Aの(c))、バックコンタクト型太陽電池セル90を反転させてウェハ91の表面を上に向けてテーブル231に載置する(図25Bの(a))。このとき、ウェハ91の裏面に形成したバス電極配線パターン465がテーブル231に接触するのを防止するために、ウェハ91の裏面のバス電極配線パターン465が形成されていない部分と接触してテーブル231上でウェハ91を支持するウェハ支持部材97の上に載置されている。ウェハ支持部材97には、ウェハ91の裏面に形成したバス電極配線パターン465と接触しないように、凹部98が形成されている。
一方、ウェハ91の表面にはテクスチャ911が形成されており、この面に図20の細線のグリッド電極配線92のパターンを印刷する。そこで、使用するメタルマスク57がテクスチャ911に接触してテクスチャ911上部を破損させないようにするために、乳剤からなるクッション材58をメタルマスク57に形成したものを使用した。メタルマスク57には、細線のグリッド電極配線92のパターン形成用の開口59が形成されている。
ウェハ91の表面への細線のグリッド電極配線92のスクリーン印刷に使用したスキージは、本発明の実施例1乃至4で説明したスキージと同じ形状で先端部に撥液加工処理が施されたスキージ49(図8の(a)に示す形状)である。ウェハ91の表面にスクリーン印刷(図25Bの(b))を行った後、クッション材58を形成したメタルマスク57をウェハ91から剥離して(図25Bの(c))、グリッド電極配線92のパターン印刷を完了した。
これにより、ウェハ91の表面に形成されたグリッド電極配線92と裏面に印刷したバス電極配線465とを、貫通孔93内に充填したペースト464で電気的に確実に接続することができた。
本実施例によれば、アスペクト比(ウェハ厚さ/貫通孔穴径)が2(ウェハ厚さ:160μm/貫通孔穴径:φ80μm)では、図25Aの(c)に示すように、貫通孔93には図22の(d)で説明したような空洞(キャビティ)96が出来ず、貫通孔93内にペーストを完全に充填させることが出来た。そのため、これ以下のアスペクト比では、貫通孔93へのペースト充填形成が容易に出来た。ペースト充填後に熱処理して配線を形成した。
アスペクト比(ウェハ厚さ/貫通孔穴径)が3(ウェハ厚さ:180μm/貫通孔穴径:φ60μm)の場合であっても、貫通孔93へ完全にペースト充填形成ができ、バックコンタクト型太陽電池90の表面接続配線92の幅を狭くすることが出来る。この結果、表面電極配線92による太陽光の照射エリアが広くなり、光電変換効率を向上させることが出来た。
なお、バックコンタクト型太陽電池90の表面のグリッド電極接続配線92は、実施例6と同様の方法で形成した。
本発明は、さらに高アスペクト比の貫通孔でもペースト充填が可能なことから、シリコンウェハに多数の貫通孔が形成されたTSV半導体素子にも適用できる。
このように、本発明のスキージを搭載することが可能な印刷機を用いることにより、高アスペクト比の貫通孔を一回の印刷で完全にペーストを充填することが出来、タクト短縮を達成することが出来るとともに、太陽電池の高効率化を向上することが出来た。
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
1、71…スキージ 3、73…スキージホルダ 5…印刷マスク表面 6…被印刷物 8、78…スキージ先端の円弧状の凹形状部 9…ペースト 11…印刷マスク 21…制御盤 22…版枠 23…被印刷物支持テーブル部 100…印刷装置 101…ウレタン樹脂 102…芯材 103…撥液性の膜 110…印刷マスク部 120L、R…スキージ部 130…スキージ駆動機構部 40、90…太陽電池セル 41、91…ウェハ 43、92…グリッド電極 50、60…印刷マスク 51、61…乳剤 52、62…メッシュ 55…メタルマスク

Claims (13)

  1. 印刷マスク上に導電性のペーストを供給する供給工程と、
    前記印刷マスク上に供給された導電性のペーストをスキージを用いて太陽電池セルの表面に印刷することにより前記太陽電池セルの表面に配線パターンを転写する転写工程と、
    前記太陽電池セルの表面に転写された配線パターンを形成する前記導電性のペーストを乾燥させる乾燥工程とを含む太陽電池セルの製造方法であって、
    前記転写工程では、前記スキージとして前記印刷マスクと接触する箇所に凹部が形成されて該凹部の内面が前記導電性のペーストに対して撥液性を有するスキージを用いて前記太陽電池セルの表面に前記配線パターンを形成することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  2. 請求項1記載の太陽電池セルの製造方法において、前記印刷マスクは、前記スキージと接触する側に金属メッシュを備え、前記転写工程において前記太陽電池セルの表面に接する側にパターンが形成された乳剤を備え、該乳剤の前記太陽電池セルの表面に接する面が前記導電性のペーストに対して撥液性を有し、前記印刷マスクに前記導電性のペーストを供給した状態で前記スキージを前記太陽電池セルの表面の1か所について1回走査することにより前記太陽電池セルの表面に配線パターンを形成することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の太陽電池セルの製造方法において、前記乳剤に形成されたパターンは、該パターンの開口部が直線状または格子状になるように配置されるともに、前記開口部内に島状または半島状に形成された前記乳剤による複数のダミーパターンを有することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  4. 印刷マスク上に供給された導電性のペーストをスキージを用いて太陽電池セルの表面に印刷することにより該太陽電池セルの基板に形成された貫通孔に導電性のペーストを充填する充填工程を含む太陽電池セルの製造方法であって、
    前記充填工程は、
    前記スキージとして前記印刷マスクと接触する箇所に凹部が形成されて該凹部の内面が前記導電性のペーストに対して撥液性を有するスキージを用い、前記導電性のペーストを供給した前記印刷マスクを前記太陽電池セルに近接させた状態で前記スキージを前記印刷マスクに接触させながら走査させることにより前記太陽電池セルの基板に設けられた貫通孔に前記基板の表面から裏面にかけて前記導電性のペーストを充填することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  5. 請求項4記載の太陽電池セルの製造方法において、前記導電性のペーストを供給した前記印刷マスクを前記太陽電池セルに近接させた状態で前記スキージを前記印刷マスクに接触させながら前記太陽電池セルの表面の1か所について1回走査させることにより、前記太陽電池セルの基板に設けられた貫通孔に前記基板の表面から裏面にかけて前記導電性のペーストを充填することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  6. 請求項4又は5記載の太陽電池セルの製造方法において、前記導電性のペーストを供給した前記印刷マスクを前記太陽電池セルに近接させた状態で前記スキージを前記印刷マスクに接触させながら前記太陽電池セル上を走査させることにより、前記基板の表面に形成される配線パターンと前記基板の裏面に形成される配線パターンとに接続する前記導電性のペーストを前記太陽電池セルの基板に設けられた貫通孔に充填することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  7. 請求項4又は5記載の太陽電池セルの製造方法において、前記導電性のペーストを供給した前記印刷マスクを前記太陽電池セルの裏面側に近接させた状態で前記スキージを前記印刷マスクに接触させながら前記太陽電池セルの裏面上を走査させることにより、前記基板の裏面にバス電極配線パターンを形成するとともに、前記導電性のペーストを前記太陽電池セルの基板に設けられた貫通孔に前記基板の裏面側から充填させて前記基板の裏面に形成したバス電極パターンと前記基板の表面に形成したグリッド電極配線パターンとを電気的に接続することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  8. 試料にパターンを印刷する印刷装置であって、
    印刷用のマスクを保持するマスク保持手段と、
    試料を載置するテーブル手段と、
    前記マスクを介して前記テーブル手段に載置された基板に印刷用ペーストのパターンを印刷するスキージを備えたスキージ手段と、
    該スキージ手段のスキージを前記マスクに沿って往復移動させるスキージ駆動手段とを備え、
    前記マスクの前記試料と対向する面は、前記印刷用ペーストに対して撥液性を有しており、
    前記スキージ手段のスキージは、 印刷時に該スキージが前記マスクに押し当てられた状態で前記スキージ駆動手段で駆動されたときに前記マスクとの間に前記印刷用ペーストを溜め込む凹部が形成され、 少なくとも該凹部を含む該スキージ先端部の表面が前記印刷用ペーストに対して撥液性を有している
    ことを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項8記載の印刷装置において、前記印刷用のマスクは、前記スキージと接触する側に金属メッシュを備え、前記試料に対抗する側にパターンが形成された乳剤を備え、該乳剤の前記太陽電池セルの表面に接する面が前記導電性のペーストに対して撥液性を有していることを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項8記載の印刷装置において、前記マスクの前記試料と対向する面の前記印刷用ペーストに対して撥液性を有している部分、及び、前記スキージの凹部を含む先端部の表面が撥液性を有している部分は、該表面にSiO、フッ素樹脂、 炭化水素、フッ素基含有炭化水素のうち少なくとも一種以上の材料からなる膜が形成されていることを特徴とする印刷装置。
  11. 請求項8記載の印刷装置において、前記マスクの前記試料と対向する面の前記印刷用ペーストに対して撥液性を有している部分、及び、前記スキージの凹部を含む先端部の表面が撥液性を有している部分は、 該表面にダイヤモンドライクカーボンの膜、又はフッ素基含有ダイヤモンドライクカーボンの膜、又はダイヤモンドライクカーボンとフッ素基含有ダイヤモンドライクカーボンとからなる膜が複合して形成された膜のうちの何れかが形成されていることを特徴とする印刷装置。
  12. 請求項8乃至11の何れかに記載の印刷装置において、前記試料は太陽電池セルであり、前記印刷用のペーストは導電性ペーストであり、該太陽電池セルの表面に前記導電性ペーストによりグリッド電極配線パターンを印刷することを特徴とする印刷装置。
  13. 請求項8乃至11の何れかに記載の印刷装置において、前記試料はバックコンタクト型太陽電池セルであり、前記印刷用のペーストは導電性ペーストであり、前記スキージを前記マスクに押し当てた状態で前記スキージ駆動手段で一方向に駆動することにより、前記バックコンタクト型太陽電池セルの裏面に前記導電性ペーストによりバス電極パターンを印刷すると共に、前記バックコンタクト型太陽電池セルに形成したスルーホールの内部に前記バス電極パターンと前記バックコンタクト型太陽電池セルの表面に形成したグリッド電極配線パターンとを電気的に接続する前記導電性ペーストを充填させることを特徴とする印刷装置。
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