JP2013159099A - 光学部材の製造方法 - Google Patents

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健一 浜田
Toshiyuki Ito
敏幸 伊藤
Toyoaki Kurihara
豊明 栗原
Keiji Oshima
啓志 大島
Michiyuki Nanba
道之 南葉
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Abstract

【課題】優れた加工性と導光性能を有する光学部材をロール・ツー・ロールプロセスにより製造する方法を提供する。
【解決手段】支持フィルム上にその支持フィルムとの間の剥離強さが0.01〜1.0N/cmでありかつ引張弾性率が2000MPa以下である軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが設けられた積層シートを巻回してなる光学シートロール体30から該積層シートを連続的に繰り出す工程、繰り出された積層シートの光学フィルムの片面に表面処理40を施す工程、及び表面処理された光学フィルムに所定間隔置きに裁断用加工50を施す工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学部材、より詳細にはLED光源を用いたエッジライト方式の導光板として好適な光学部材の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置などの光学部材、例えばLED光源を用いたエッジライト方式導光板に好適な光学部材の製造方法として、光学フィルムを巻回したロール体から光学フィルムを繰り出し、連続的に加工を施す、いわゆるロール・ツー・ロール(roll to roll)プロセスが注目されてきている。
例えば、特許文献1には、厚み10μm〜250μmの液晶パネルのバックライト用調光フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートが用いられ、微細凹凸部の形状転写をロール・ツー・ロールプロセスによって行う技術が開示されている。
特許文献2には、液晶等ディスプレイのバックライト面状発光体の構成方法であって、ロール状にしたアクリル樹脂又はガラス基板材料からなる透明材料基板上にインクジェットヘッドにて導光体ドットを構成する手段が開示されている。
特許文献3には、厚さ250μm〜500μmのポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムを透明樹脂フィルムとして用いたフィルム導光板が開示されている。また、特許文献4にも、ロール状の透明樹脂材料を用いた技術が開示されている。
しかし、上記光学部材の原料フィルム又はシートをロール体として、光学部材を製造した際には、光学部材にロールの巻き癖がついたり、また裁断加工時に端面に割れ、欠けなどが生じることにより歩留まりが悪いなどの問題があった。
一方、柔軟な光学部材としては、例えば特許文献5にアクリル系ブロック共重合体からなる光学部材が開示されている。しかし、かかるアクリル系ブロック共重合体からなる光学部材をロール・ツー・ロールプロセスで製造しようとする場合、ロール引取り時に掛かる張力により、又は表面処理を行った後の乾燥工程での熱により変形する問題があり、なお改善の必要があった。
特開2003−043222号公報 特開2005−259671号公報 特開2006−164877号公報 特表2006−513452号公報 国際公開第2009/054553号パンフレット 特開平06−93060号公報 特表平5−507737号公報 特開平11−335432号公報
Macromol. Chem. Phys., 2000年,201巻,p.1108〜1114
しかして、本発明の目的は、優れた導光性能を有し、特にLED光源を用いたエッジライト方式導光板として好適な光学部材を、良好な生産性かつ加工性で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の積層シートを巻回してなる光学シートロール体を用い、この光学シートロールから積層シートを繰り出し、連続的に加工を施す、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスにより光学部材を製造することにより、上記問題点が解決できることを見出した。
すなわち、本発明の光学部材の製造方法は、支持フィルム上にその支持フィルムとの間の23℃、剥離速度300mm/分、180°剥離での試験による剥離強さが0.01〜1.0N/cmでありかつ引張弾性率が2000MPa以下である軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが設けられた該積層シートを巻回してなる光学シートロール体から積層シートを連続的に繰り出す工程、繰り出された積層シートの光学フィルムの片面に表面処理を施す工程、及び表面処理された光学フィルムに所定間隔置きに裁断用加工を施す工程を含むことを特徴とする。
前記光学部材の製造方法において、さらに、積層シートを巻きとり光学部材作製用ロール体を製造する工程を含むことが好ましい。
前記軟質透明樹脂組成物が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有することが好ましい。
前記軟質透明樹組成物が、アクリル系ブロック共重合体と、ブルーイング剤及び蛍光増白剤のいずれか又は両方を含有することが好ましい。
前記支持フィルムの耐熱性が130℃以上であることが好ましい。
前記支持フィルムがポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む樹脂組成物からなることが好ましい。
前記支持フィルムの表面の中心線平均粗さRaが30nm以下であることが好ましい。
前記光学シートロール体が、溶融状態にある軟質透明樹脂組成物を支持フィルムとともに、ロールとロールとの間にインサートして支持フィルムに圧着させ、支持フィルム上に光学フィルムが設けられた積層シートを作製する工程、該積層シートを巻回する工程を含む製造工程で製造されることが好ましい。
裁断用加工を施す工程の前に、表面処理された光学フィルム上に保護フィルムを貼着する工程を含むことが好ましい。
表面処理させた光学フィルムに所定間隔置きに裁断用加工を施す工程の後に、該光学フィルム上に保護フィルムを貼着する工程を経て積層シートを巻き取り光学部材作製用ロール体を製造する工程を含むことが好ましい。
前記裁断用加工を施す工程が、光学フィルムに対し所定間隔置きに裁断用加工手段により脆弱部を設けることにより行われることが好ましい。
前記脆弱部は、所定間隔置きに形成されたミシン目あるいは細溝であることが好ましい。
本発明の光学部材の製造方法では、表面処理された光学フィルムの片面に1枚以上の光学機能フィルムを重ねた後、裁断用加工を施すことが好ましい一態様である。前記裁断用加工を行う際には、裁断用加工に加えて位置決め加工を施してもよい。
前記裁断用加工はダイカット、パンチングによる裁断、または回転刃による裁断であることが好ましい。
前記位置決め加工が、光学的に影響が無い部分に穴加工または切り欠き加工することにより行われることが好ましい。
本発明の前記製造方法によれば、例えば、タッチパネル用導光板を製造できる。
本発明の前記製造方法によれば、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートPC、モニターに使用される、LED光源を用いたエッジライト方式導光板を製造できる。
また、本発明の光学シートロール体は、支持フィルム上にその支持フィルムとの間の剥離強さが0.01〜1.0N/cmでありかつ引張弾性率が2000MPa以下である軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが設けられた積層シートを巻回してなるものであり、光学部材の製造に有用である。
本発明の製造方法により得られる光学部材は導光性能に優れ、LED光源を用いたエッジライト方式導光板、特にタッチパネル用導光板として好適である。また、本発明の光学シートロール体は巻き癖が少なく、裁断加工時に端面の割れや欠けなどが少なく、加工性に優れ歩留まりが高いため、光学部材の製造に有用である。
本発明で使用する積層シートを巻回してなる光学シートロール体の製造プロセスの一例を示した概略図である。 本発明の製造方法(ロール・ツー・ロールプロセス)の一例を示した概略図である。 本発明の製造方法において、外形加工を行う場合の一例を示した概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学部材の製造方法および本発明の光学シートロール体で用いる積層シートには、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが含まれる。この光学フィルムは引張弾性率が2000MPa以下である必要がある。引張弾性率が2000MPa以下であれば、得られる光学部材の巻き癖が少なく、裁断加工時に端面の割れや欠けが少なくなる。なお、本発明において、光学フィルムの引張弾性率とは、ISO527−3に記載の方法に準拠して、積層シートを構成する、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムを単独で、23℃で、引張速度300mm/minの条件で測定した値をいう。
光学フィルムの引張弾性率は、好ましくは1500MPa以下、より好ましくは1000MPa以下である。また、前記引張弾性率は、好ましくは100MPa以上である。引張弾性率が100MPa以上であれば、光学部材作製用ロール体から支持フィルムを剥がす時にしわなどの欠点が発生しにくくなる。
本発明で用いる積層シートは、前記光学フィルムを少なくとも1層支持フィルム上に有している。なお、積層シートが光学フィルムを複数有する場合には、そのうち少なくとも1つが前記引張弾性率を満足していればよいが、得られる光学部材の巻き癖をより少なくし、また、裁断加工時に端面の割れや欠けをより少なくする点からは、積層シートを構成する光学フィルム全てが、引張弾性率2000MPa以下であることが望ましい。
また、光学フィルムの引張弾性率が、100MPa以上500MPa以下である場合には、クッション性、緩衝性を必要とする光学部材として使用できる。
上記光学フィルムは、軟質透明樹脂組成物、すなわち軟質透明樹脂を含む樹脂組成物から形成されている。上記軟質透明樹脂としては、透明性を有し、得られる光学フィルムの引張弾性率が2000MPa以下となれば特に制限はなく、例えばアクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、スチレン系エラストマー、シクロオレフィン系重合体、熱可塑性ポリウレタン、軟質塩化ビニル重合体、シリコーン重合体、ポリエステルなどが挙げられる。
本発明で用いる軟質透明樹脂の分子量は、本発明の光学シートロール体の製造のしやすさや、本発明の方法で得られる光学部材の耐熱性および形状安定性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、20,000〜500,000の範囲であることがより好ましい。
上記軟質透明樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、本発明で用いる光学シートロール体や、本発明で得られる光学部材の表面の膠着性及び透明性の観点から、1.01〜3.0の範囲であることが好ましい。
上記軟質透明樹脂の中でも、耐候性、透明性、成形性、コストなどの観点から、アクリル酸エステル系重合体及びメタクリル酸エステル系重合体(以下、これらを総称して「(メタ)アクリル酸エステル系重合体」ともいう。)、並びに無黄変ポリウレタンなどの耐候性改良型熱可塑性ポリウレタンが好ましく、さらに紫外線耐性が優れる点から(メタ)アクリル酸エステル系重合体がより好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位を含有する重合体である。該重合体は、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル単位を30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%含有する。
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成するモノマー単位中、メタクリル酸メチル単位の含有量が20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。メタクリル酸メチル単位の含有量が20質量%以上であると、得られる光学フィルムの耐熱性、耐候性、コスト面で優れる。
メタクリル酸メチル単位の含有量の上限に厳密な限定はないが、通常85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。メタクリル酸メチル単位の含有量が85質量%より多い場合は、光学フィルムの軟質性を損なう場合がある。
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、例えば、アクリル系ランダム共重合体、アクリル系ブロック共重合体、アクリル系グラフト共重合体、アクリル系コアシェル型樹脂、架橋度を調整したアクリルゴム、アクリルゴムとポリオレフィン又はエンジニアリングプラスチックスのグラフト体などが挙げられる。
柔軟性、溶融流動性、ゲル成分が少ないという観点から、これら(メタ)アクリル酸エステル系重合体の中でも、アクリル系ブロック共重合体が好ましく、中でも、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つのモノマー単位からなる重合体ブロックを少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体が好ましい。
メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つのモノマー単位からなる重合体ブロックとは、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれるモノマー単位を主体とする重合体ブロックで、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル単位を、通常50質量%以上、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは100質量%有している重合体ブロックである。
上記アクリル系ブロック共重合体の中でも、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つのモノマー単位からなり、かつ、ガラス転移温度が50℃以上の重合体ブロック(a)を2つ以上と、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1つのモノマー単位からなり、かつ、ガラス転移温度が20℃以下の重合体ブロック(b)を1つ以上有するアクリル系ブロック共重合体(A)が好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)を含む軟質透明樹脂組成物は溶融加工性に優れ、形成される光学フィルムは柔軟性、耐候性、透明性に優れる。
上記重合体ブロック(a)及び(b)は、(メタ)アクリル酸エステル単位を、通常50質量%以上、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは100質量%有している。
上記重合体ブロック(a)の合成に用いられるモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらモノマーの中でも、得られる光学部材の導光性能、耐熱性を向上させる観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。重合体ブロック(a)は、これらのモノマーの1種のみ、または2種以上からなっていてもよい。また、アクリル系ブロック共重合体(A)には重合体ブロック(a)が2つ以上含まれるが、それら重合体ブロック(a)は、同一であっても異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(b)の合成に用いられるモノマーとしては、例えば、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−メトキシエチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチルなどのアクリル酸エステルが挙げられる。
これらモノマーの中でも、得られる光学部材の導光性能、柔軟性、耐寒性、低温特性を向上させる観点から、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチルなどのアクリル酸エステルがより好ましい。
重合体ブロック(b)は、これらのモノマーの1種のみ、または2種以上から合成されていてもよい。また、アクリル系ブロック共重合体(A)に、重合体ブロック(b)が2つ以上含まれる場合には、かかる重合体ブロック(b)は、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記アクリル系ブロック共重合体(A)の特性を損なわない範囲で、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の合成に用いるモノマーとして、他のモノマーを併用してもよい。他のモノマーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、オクテン、酢酸ビニル、無水マレイン酸、塩化ビニル、および塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらモノマーは、通常少量で使用され、各重合体ブロックの合成に使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
アクリル系ブロック共重合体(A)は、その特性を損なわない範囲で、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の他に、他の重合体ブロックを有していてもよい。
他の重合体ブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、オクテン、酢酸ビニル、無水マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの単量体から合成される重合体ブロック又は共重合体ブロック、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタンからなる重合体ブロックなどが挙げられる。また、他の重合体ブロックには、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体から合成された重合体ブロックの水素添加物も含まれる。
上記アクリル系ブロック共重合体(A)に含まれる重合体ブロックの結合形態は、少なくとも、1つの重合体ブロック(b)の両端に重合体ブロック(a)が結合した形態を有することが、本発明の方法により得られる光学部材の耐熱性、力学強度、表面膠着などの観点から好ましい。すなわち、重合体ブロック(a)をaで、重合体ブロック(b)をbで表したとき、例えばa−b−aのトリブロック共重合体、a−b−a−bのテトラブロック共重合体などが挙げられる。中でも、製造が容易である点、表面膠着が少ない点から、a−b−aのトリブロック共重合体が好ましい。また、(a−b)nX型の星型ブロック共重合体(Xはカップリング剤残基、nは2以上の整数)を用いることもできる。なお、アクリル系ブロック共重合体(A)に加えて、a−b型のアクリル系ジブロック共重合体を有していてもよい。
上記重合体ブロック(a)のガラス転移温度は50℃以上であることが好ましく、70〜200℃であることがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。
また、上記重合体ブロック(b)のガラス転移温度は20℃以下であることが好ましく、−70〜10℃であることがより好ましく、−50〜−20℃であることがさらに好ましい。
上記重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、アクリル系ブロック共重合体(A)を示差走査熱量測定(DSC測定)して得られた曲線において認められる重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の転移領域の外挿開始温度(Tgi)である。重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)に由来するガラス転移温度は、それぞれの重合体ブロックと同様の化学構造(モノマー組成、立体規則性等)を有する重合体のガラス転移温度と同一または近い温度であるので、これら複数のガラス転移温度がどの重合体ブロックに由来するものか、容易に判定できる。なお、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)と同様の化学構造を有する重合体は、アクリル系ブロック共重合体を1H−NMR、13C−NMRなどで分析して、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)のモノマー組成、立体規則性などの化学構造を求め、その化学構造が再現されるように適宜、重合を行うことにより、容易に製造できる。
形態を保持可能な弾性率と柔軟性を有する光学シートロール体を得る観点からは、アクリル系ブロック共重合体(A)を用いる場合、その重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との組成比(重合体ブロック(a)/重合体ブロック(b))は、質量比として20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜75/25であることがより好ましく、50/50〜70/30であることがさらに好ましい。
重合体ブロック(a)/重合体ブロック(b)の組成比が20/80より小さいと、粘着性が高すぎる傾向となり、埃の付着などにより表面性が損なわれたり、光学シートロール体の形状保持性が悪くなり取扱い性が低下したりする場合がある。一方、重合体ブロック(a)/重合体ブロック(b)の組成比が80/20より大きいと、アクリル系ブロック共重合体(A)の柔軟性が十分に発現しない傾向にある。
光学部材は、光透過性など光学特性に優れることが好ましいため、アクリル系ブロック共重合体(A)などの軟質透明樹脂は、その純度が高いこと、すなわち分子量分布が狭く(1.01〜2.20の範囲、好ましくは1.01〜1.60の範囲)、低分子量オリゴマーや高分子量体の含有量が少ないことが好ましい。このようなアクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法としては、分子構造を高度に制御できるリビング重合方法が好ましい。
リビング重合とは、ブロック共重合体を構成する重合体ブロックの単量体を重合し、この重合が失活又は停止する前に他の単量体の重合を行い、ブロック共重合体を製造する方法であり、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法(特許文献6を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特許文献7を参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアニオン重合する方法(特許文献8を参照)、原子移動ラジカル重合方法(ATRP)(非特許文献1を参照)などが挙げられる。
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合する方法による場合は、重合途中の失活が少ないためホモポリマーの混入が少なく、単量体の重合転化率が高いためブロック共重合体に残存する単量体が少ない。また、重合体ブロック(a)を構成する単量体がメタクリル酸エステルの場合、得られる重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクチックとなり、耐熱性を高める効果がある。そして、比較的温和な温度条件下でリビング重合が可能であり、工業的に生産に有利である。以上の点から、上記アクリル系ブロック共重合体(A)は、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合する方法により、好ましく製造される。
上記した有機アルミニウム化合物としては、下記の一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
AlR123 (I)
(上記式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいN,N−二置換アミノ基、又はハロゲン原子を表す。なお、R1、R2、R3のうち2つが、互いに結合して、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいアリーレンジアルキル基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基、置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を形成していてもよい。)
有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取扱いの容易さなどの点から、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、例えばn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、テトラメチレンジリチウムなどのアルキルリチウム又はアルキルジリチウム;フェニルリチウム、キシリルリチウム等のアリールリチウム又はアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウム又はアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウムなどのリチウムアルコキシドなどが挙げられる。中でも、重合開始効率が高いことから、アルキルリチウムが好ましく、t−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムがより好ましく、sec−ブチルリチウムが特に好ましい。
また、上記アニオン重合は、重合反応に不活性な溶媒の存在下で行うのが好ましい。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体(A)を、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とするアニオン重合により製造する方法を具体的に説明する。例えば、有機アルミニウム化合物の存在下、有機アルカリ金属化合物からなる重合開始剤により重合体ブロック(a)を形成する単量体を重合する第1工程、重合体ブロック(b)を形成する単量体を重合する第2工程、及び重合体ブロック(a)を形成する単量体を重合する第3工程を含む3段階以上の重合工程を経て、アクリル系ブロック共重合体(A)を製造できる。
上記製造方法では、各工程で生成されたリビングポリマー末端に、次工程で、所望の重合体ブロックが形成されることになる。したがって、例えば、連続して上記2段階の重合工程を経て、さらに得られた重合体の活性末端をアルコールなどと反応させ、重合反応を停止させることにより、重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)からなる2元ブロック共重合体を製造できる。3元以上のブロック共重合体は、上記三段階の工程の他に、単量体を重合しての所望の重合体ブロック(重合体ブロック(a)、重合体ブロック(b)など)を形成する工程を所望の回数追加し、さらに得られた重合体の活性末端をアルコールなどと反応させ、重合反応を停止させることにより製造できる。また、(a−b)nX型の星型ブロック共重合体は例えば、上記2元ブロック共重合体の重合反応停止の際に、カップリング剤となる多官能の停止剤を入れることで、製造できる。
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量は、本発明の光学シートロール体の製造の容易さや、本発明の方法で得られる光学部材の耐熱性および形状安定性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が、10,000〜500,000の範囲であることが好ましく、20,000〜300,000の範囲であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、本発明の光学シートロール体、および本発明の方法で得られる光学部材の表面の膠着性、及び透明性の観点から、1.01〜2.20であることが好ましく、1.01〜1.60であることがより好ましい。分子量分布が2.20より大きいと、高分子量体が多くなり透明性が損なわれたり、低分子量成分が多くなり表面膠着しやすくなったりする場合がある。
上記アクリル系ブロック共重合体(A)は、必要に応じて、分子鎖中又は分子鎖末端に水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基などの官能基を有していてもよい。
光学フィルムでは、通常光透過性に優れることが求められるため、本発明で用いる上記軟質透明樹脂およびこれを含む軟質透明樹脂組成物は、十分に透明である必要がある。本明細書において、透明とは、例えば200℃でプレス成形によって得られたシートなど、軟質透明樹脂または軟質透明樹脂組成物の厚み3mmのシートの全光線透過率が、好ましくは88%以上が好ましく、より好ましくは90%以上であることをいう。
軟質透明樹脂組成物は、上記軟質透明樹脂を、本発明の効果が損なわれない範囲で有することが好ましく、軟質透明樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは30質量%〜100質量%、より好ましくは40質量%〜100質量%である。
軟質透明樹脂は1種類を単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、軟質透明樹脂を2種以上混合して用いる場合は、混合した軟質透明樹脂を含有する軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが所望の物性(例えば引張弾性率など)であればよい。
軟質透明樹脂を2種類以上混合する例としては、アクリル系ブロック共重合体(A)とメタクリル酸エステル系重合体との混合物などが挙げられる。なお、ここでいうメタクリル酸エステル系重合体とは、メタクリル酸エステル単位を通常80質量%以上含む重合体である。この場合、アクリル系ブロック共重合体(A)とメタクリル酸エステル系重合体との質量比〔アクリル系ブロック共重合体(A)〕/〔メタクリル酸エステル系重合体〕は、得られる光学フィルムの成形性、引張弾性率、透明性などの観点から、40/60〜95/5が好ましく、50/50〜90/10がより好ましく、60/40〜75/25がさらに好ましい。また、メタクリル酸エステル系重合体を構成するメタクリル酸エステルとしては、例えばアクリル系ブロック共重合体(A)の重合体ブロック(a)の合成に用いられるメタクリル酸エステルが挙げられるが、中でもメタクリル酸メチルが好ましい。メタクリル酸エステル系重合体は、単独重合体でも、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体であってもよい。また、上記メタクリル酸エステル系重合体としては、工業的に入手可能な市販品を用いてもよい。
軟質透明樹脂組成物は、透明性、力学特性など、光学フィルムに典型的に求められる所望の物性を損なわない限り、樹脂及びゴムなどの他の重合体やさらに、添加剤が含まれていてもよい。
他の重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、硬質塩化ビニル重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系重合体、ポリ乳酸、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体及びその水素添加物、ポリウレタンなどが挙げられる。また、添加剤としては、可塑剤、粘着付与樹脂、軟化剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、加工助剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル;ポリサイザーW230−S(大日本インキ(株)製)等のポリエステル;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステルなどが挙げられる。上記可塑剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
可塑剤を含有させる場合、その含有量は、軟質透明樹脂、典型的には(メタ)アクリル酸エステル系重合体100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは15〜25質量部である。なお、上記可塑剤配合した後に、その樹脂組成物を化学架橋して耐熱性を高めてもよい。
上述してきた軟質透明樹脂組成物から得られる光学フィルムは透明性に優れるが、軟質透明樹脂組成物が、軟質透明樹脂同士、軟質透明樹脂とその他の樹脂、軟質透明樹脂と添加剤などの二成分以上からなる場合、光拡散などによる光損失のため、光源入光地点から遠くなるほど出光の色目が変わる(この場合、茶色に変色)場合がある。また、かかる現象は、透明軟質樹脂として異種成分から構成される重合体ブロックを2以上有するアクリル系ブロック共重合体を用いた場合にも起こり得る。
上記の問題は、軟質透明樹脂組成物全体に対して2成分以上の成分の1つが、典型的には10〜90質量%、より典型系的には20〜80質量%含まれている場合に生じやすい。
かかる問題は、光学フィルムを形成する軟質透明樹脂組成物に、ブルーイング剤及び蛍光増白剤のいずれかまたは両方を含有させることで解決できる。ブルーイング剤としては、特に限定されず、例えば群青顔料、縮合アゾ系顔料、アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアンニン系顔料などが挙げられ、蛍光増白剤としては、特に限定されず、例えばビスベンゾオキサゾール系化合物、ピラリゾン系化合物、クマリン系化合物、イミダゾロン系化合物、ベンジジン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ジアミノスチルベンジスルホン酸系化合物などが挙げられる。これらの中でも、群青顔料が好ましい。上記ブルーイング剤及び/または蛍光増白剤は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。上記ブルーイング剤及び/または蛍光増白剤の含有量は、軟質透明樹脂組成物に対し、好ましくは0.1〜50ppm、より好ましくは1〜20ppmである。
上記光学フィルムの厚みは、通常0.02〜10mm、好ましくは0.05〜3mm、より好ましくは0.05〜2mmである。
なお、光学フィルムの光線透過率は、光学部材として必要とされる波長に応じて適宜設定できる。測定波長としては、近赤外線(700〜2,500nm)、中赤外線(2500〜4,000nm)、遠赤外線(4,000〜1000,000nm)、可視光(360〜730nm)、紫外線(10〜400nm)、遠紫外線、レーザー光などが挙げられる。また、光源としてLEDを用いる場合、その波長領域は、通常380〜780nm、典型的には400〜700nmである。
本発明の光学シートロール体を成す積層シートは、支持フィルムの上に光学フィルムを有する。
また、支持フィルムと光学フィルムとの剥離を円滑に行う観点から、光学フィルムと支持フィルムとの間には適度な剥離強さが必要である。すなわち、23℃、剥離速度300mm/分、180°剥離での試験による上記光学フィルムと支持フィルムとの間の剥離強さは0.01〜1.0N/cmであり、好ましくは0.03〜0.7N/cmである。剥離強さが1.0N/cmより大きいと、剥離が困難になり、得られる光学部材の表面に欠点が生じる。剥離強さが0.01N/cmより小さいと、光学フィルムが後述するロール・ツー・ロール工程通過時にずれたり、積層シートを巻回して作製する光学シートロール体に浮きが生じる。
支持フィルムは、溶融押出成形時に溶融状態の光学フィルムがロール・ツー・ロール工程で発生する張力に耐えられ、またその後、必要に応じて行う乾燥工程などの熱処理に耐えられることが望ましい。かかる観点から、支持フィルムは、樹脂組成物から形成され、中でも、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む樹脂組成物が好ましい。また、支持フィルムの剛性及び耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む樹脂組成物がより好ましい。
支持フィルムを形成する樹脂組成物には、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤などが含まれていてもよい。
支持フィルムの光学フィルムに接する表面の性状は、実施例に後述するとおり、光学フィルムの表面平滑性に直接影響する。したがって、上記支持フィルムの表面、特に光学フィルムと接する表面の中心線平均粗さRaが30nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。なお、表面の中心線平均粗さRaは、触針式表面粗さ測定により求めることができる。
また、支持フィルムの耐熱性は130℃以上が好ましく、150℃以上が好ましい。支持フィルムの耐熱性が130℃以上であると、積層シートを作製する際、すなわち、支持フィルムとともにロールとロールとの間に溶融した軟質透明樹脂組成物(光学フィルム)をインサートして支持フィルムに圧着することにより支持フィルムと光学フィルムとが一体化された積層シートを製造する際の変形を抑えることができる。
なお、本明細書において、支持フィルムの耐熱性とは、JIS K 7133に準拠して測定した各温度での辺寸法の加熱収縮率が1%以下である上限温度を意味する。
支持フィルムの厚みは、通常、0.01〜0.2mm、好ましくは0.025〜0.125mm、より好ましくは0.05〜0.075mmである。
本発明の光学シートロール体は、光学フィルムと支持フィルムとを有し、典型的には、支持フィルム上に光学フィルムを積層したものを巻回することにより製造できる。支持フィルム上に光学フィルムを積層する方法としては、例えば、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムを一旦製造した後に、光学フィルムに支持フィルムをラミネート成形により積層する方法、溶融状態にある軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層を、支持フィルムとともにロール(典型的には金属ロール)とロールとの間にインサートして、支持フィルムに圧着することにより積層する方法、支持フィルムの原料樹脂組成物と軟質透明樹脂組成物とをそれぞれ溶融して共押出して、光学フィルムに支持フィルムを積層する方法、軟質透明樹脂組成物の溶液を支持フィルム上に塗工後、乾燥して、光学フィルムを支持フィルムに積層する方法などが挙げられる。これらの方法の中でも、溶融状態にある軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層を支持フィルムとともに、ロールとロールとの間にインサートして支持フィルムに圧着することにより積層する方法は、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムを製造すると同時に積層シートを製造でき、光学フィルム層を支持フィルムに圧着することで冷却ロールから剥れる時に発生する光学フィルム表面の欠点を防ぎやすく、光学フィルム表面が平滑で、透明性に優れる光学部材が得られる点から好ましい。特に、軟質透明樹脂組成物が(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有し、引張弾性率が1000MPa以下の場合は、冷却ロール表面からの剥れ性が悪い傾向が強いことから、冷却ロールと光学フィルムの間に支持フィルム層が介在する上記の方法が特に好ましい。溶融状態にある光学フィルム層を形成する方法としては、例えば、Tダイ成形法が挙げられる。Tダイとしては、特に制限されないが、例えば、コートハンガー型Tダイ、ストレート型Tダイ、その他公知のTダイなどが挙げられる。ダイの材質としては、特に制限されないが、例えば、SCM系の鋼鉄、SUSなどが挙げられる。Tダイ成形法により製造する場合、透明軟質樹脂組成物の溶融及び押出しには、例えば、単軸又は二軸押出スクリューを備えた溶融押出装置などを使用できる。
以下、図1を参照しながら、光学シートロール体の製造工程の一例を具体的に説明するが、光学シートロール体の製造工程はこの製造例に限定されるものではない。図1は、Tダイ成形法により製造した、溶融状態にある軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層を支持フィルムとともに冷却ロールと成形ロールとの間にインサートして、支持フィルムに圧着することにより積層し、光学シートロール体を製造する工程の一例を示す模式図である。まず、押出機1に、光学フィルムとなる軟質透明樹脂組成物の全ての成分を供給し、溶融混練する。次に、溶融状態の軟質透明樹脂組成物がギアポンプ2からTダイ3へと供給され、溶融状態の軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層4が冷却ロール6および成形ロール7の間に供給される。冷却ロール6から成形ロール7へと支持フィルム5が供給され、溶融状態の軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層4が、支持フィルム5とともに冷却ロール6と成形ロール7との間にインサートされ、溶融状態の軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層4が支持フィルム5上に設けられ、さらに成形ロール8で成形、冷却され、巻き取られることにより、光学シートロール体9が得られる。
軟質透明樹脂組成物の溶融押出温度は、好ましくは100〜350℃、より好ましくは100〜250℃である。
また、溶融押出装置を使用して溶融混練により軟質透明樹脂組成物を作製する場合には、着色抑制の観点から、例えばベント孔を備えた溶融押出装置を用いるなどして減圧下で溶融混練するか、あるいは窒素気流下で溶融混練することが好ましい。
本発明の光学部材の製造方法は、上記のようにして得られる光学シートロール体から繰り出された積層シートの光学フィルムの片面に表面処理を施す工程と、表面処理された光学フィルムに所定間隔置きに裁断用加工を施す工程とを含む、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスによるものである。
以下、図2を参照しながら、本発明の光学部材の製造方法の一例を具体的に説明するが、光学部材の製造工程はこの製造例に限定されるものではない。まず、図2において、光学シートロール体20から積層シートを連続的に繰り出す。なお、光学フィルムの表面保護などのため保護フィルムが表面に貼り合わされている場合には、保護フィルム巻き取りロール30により保護フィルムを光学フィルム表面から剥離する。上記積層シートは、特定の曲げ弾性率を有する光学フィルムと支持フィルムとを有するため、ロール体から繰り出した後も、巻き癖が従来のフィルムと比べて小さい。
上記繰り出し工程を経た後、表面処理工程40で光学フィルムに表面処理を施す。この表面処理としては、例えば、導光性能を高めるためのドットパターンの印刷、位相差や反射防止、視野角拡大、光拡散、三次元画像(3D)などの光学機能を有する各種光学パターン付与、粘着加工などが挙げられる。また、このような表面処理を、例えばフォトレジストを用いて紫外線硬化処理などにより行った場合などは、必要に応じ、表面処理工程中あるいは表面処理工程を経た後、乾燥などの熱処理を行ってもよい。
上記表面処理を施す工程を経た後、表面処理された光学フィルムに、裁断用工程50で所定間隔置きに裁断用加工を施す。
この裁断用工程50は、光学フィルム層を完全に裁断するものであってもよいし、他工程を経た後、簡単に裁断できるよう、脆弱部を設ける工程であってもよい。脆弱部を設ける方法としては、例えば、所定間隔置きに形成されたミシン目あるいは細溝を施す方法が挙げられる。裁断方法としては、目的の形状をしたダイを用いたダイカット、打ち抜きなどが挙げられる。
本発明の光学部材の製造方法は、裁断性に優れる。従来光学フィルムとして用いられていたポリカーボネート、メタクリル樹脂ではロール・ツー・ロールプロセスにおける裁断時に欠けや割れなどが生じ、また、裁断面の平滑性が悪いため研磨処理などの表面加工処理が必要であった。一方、本発明の方法で用いる光学シートロール体は、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムを少なくとも1層とする積層シートが巻回されたものであるため、その軟質透明樹脂組成物の特性に起因して欠けや割れなどが生じにくい。特に、軟質透明樹脂組成物の樹脂成分が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、典型的には上述したアクリル系ブロック共重合体(A)に代表されるアクリル系ブロック共重合体である場合には、ダイカットなどによる裁断性に優れるため、上述のように裁断面の研磨などの後処理工程を省略して工程を簡略化できるだけでなく、裁断工程において端面の割れ、欠けなどが少なく、製品である光学部材の歩留まりが大きくなり、裁断の不良率を大幅に低下することが可能となる。
以上の工程を経た後、上記積層シートから支持フィルムを剥離して、光学部材を得ることができる。
ロール・ツー・ロールプロセスでは、積層シートが複数のロールと接触するが、本発明の製造方法で得られた光学部材(例えば、導光フィルム又はシート)は巻き癖が小さい。また、光学部材を製造する際に、光学シートロール体を作製した後、別の製造ラインあるいは別の製造場所へ移動させることが必要な場合であっても、本発明の製造方法によれば、得られる光学部材の反りによる不良率を低減することができ、また、積層シートの端面による危険性を防ぐこともでき、安全性、現場施工性などにも優れる。
また、本発明の方法は、光学シートロール体から積層シートを連続的に繰り出し、表面処理工程を経た後および/または裁断用加工工程を経た後、該積層シートを再度ロール状に巻回し、光学部材作製用ロール体を製造する工程を含んでいてもよい。このような光学部材作製用ロール体を、別の場所に移動し、さらに表面処理又は裁断用加工を行い、これを裁断することにより、光学部材を得ることもできる。複数の表面処理が必要な場合や、光学部材の表面処理や裁断用加工を施す場所と実際に光学部材を切り出して使用する場所が異なる場合などに、光学部材作製用ロール体を経ると、種々の加工や持ち運び性が容易になるため好ましい。表面処理工程または裁断用工程のどちらかの後であれば、表面処理工程の前に光学部材作製用ロール体を製造する工程があってもよいし、裁断用工程の前に光学部材作製用ロール体を製造する工程があってもよい。また、表面処理工程または裁断用工程は、光学部材作製用ロール体を製造する工程の前後両方にあってもよい。
例えば、裁断用工程で、簡単に裁断できるよう、脆弱部を設ける加工を行った場合などには、光学部材作製用ロール体として巻回した後、別の場所に移動し、これを裁断して最終使用形態の光学部材とすることもできる。この場合には、例えば図2に示すように、必要に応じ保護フィルム供出ロール60から供出された保護フィルムを光学フィルム表面に貼り合わせ、これを製品巻き取りロール70にて巻回すればよい。
本発明で用いる積層シートを構成する光学フィルムは軟質透明樹脂組成物から形成されているため、ロール・ツー・ロールプロセスでは、ロールへの巻取り性、ロールからの繰出し性に優れる。しかしながら、ロール・ツー・ロールプロセスでかかる張力により伸びが生じやすく、また、例えばレジストの塗装・乾燥を行う場合には変形しやすいなどの問題が生じやすかった。しかし、軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルム層に支持フィルムを積層した積層シートをロール・ツー・ロールプロセスで用いることにより、上述した表面処理工程40、裁断用工程50を経る際に、支持フィルムは、光学フィルムを支持する層として機能し、ロール・ツー・ロールプロセスでの加工性が格段に向上する。
本発明の光学部材の製造方法は、ロール・ツー・ロールプロセスによるため、まず上記積層シートを巻回して光学シートロール体を作製する。光学シートロール体を作製する場合、一般に光学フィルムの厚みが大きくなるほど従来の材料(硬い材料ほど)では光学シートロール体を得ることは困難であった。これに対して、本発明の製造方法で使用する積層フィルムは上述のような特性を有するため、光学フィルムが厚い場合、例えば、積層シートの厚みとして、好ましくは約0.05〜10mm、より好ましくは約0.1〜3.0mmの場合、さらに好ましくは0.15〜2.0mmであっても、光学シートロール体の作製が容易である。
本発明で用いる光学シートロール体の積層シートは、光学機能を有するフィルムをさらに積層したものであってもよく、かかる積層シートから種々の光学機能を備えた光学部材を作製できる。上記光学機能を有するフィルムとしては、例えば光拡散フィルム、光反射フィルム、視野角増加フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、偏光フィルム、光反射防止フィルム、色相改良フィルム、近赤外吸収フィルム、フレネルレンズフィルム、レンチキュラーレンズフィルムなどが挙げられる。これら光学機能フィルムは1枚を積層しても、複数枚を積層してもよい。例えば図3において、光学シートロール体又は表面処理等を施した後の光学部材作製用ロール80から積層シートを連続的に繰り出し、光学機能を有するフィルム90および100を積層し、その後、裁断用加工を施すことにより、光学部材110が得られる。
このような種々の光学機能を備えた光学部材は、例えば上述のロール・ツー・ロールプロセスにおいて、支持フィルム上に光学フィルムを有する積層シートに、必要に応じて光学機能を有するフィルムをさらに積層した後、かかる積層シートに裁断用加工、さらに必要に応じて位置決め加工する工程を経ることにより作製できる。この方法によると、光学シートロール体から連続的に繰り出した積層シートと光学機能を有するフィルムとを合わせて裁断用加工等することが可能であるため、一部の打ち抜き工程を省略でき、精密な位置合わせも不要となるので、光学部材の製造を大幅に簡素化できる。上記裁断用工程で裁断する場合には、例えば、ダイカット、パンチングなどによる裁断、回転刃による裁断ができる。上記位置決め加工の方法としては、穴加工により行う方法、切り欠き加工により行う方法などが挙げられる。なお、位置決め加工は、光学部材の中で光学的に影響がない部分に施されることが好ましい。上記方法によれば、光学機能を有するフィルムを備えた光学部材を効率よく作製できる。
本発明で使用する光学フィルムを形成する透明軟質樹脂組成物に、(メタ)アクリル系重合体が含まれている場合には、光源としてLED光源を用いても、紫外線耐性が高いため、光学部材の中でも特に導光板として好適に使用できる。
本発明の方法で得られる光学部材は軟質透明樹脂組成物からなり、落下しても破損や割れを生じないため、導光板用途に有用である。特に、本発明の方法で得られる光学部材は、柔軟性に優れ、薄肉化に適しているため、入力時のタッチ感触が求められるタッチパネル用導光板として有用である。具体的には、各種家電及び電子機器の操作部分のスイッチ用導光板、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、スレートPC、ノートPCなどのキーパッド、キーボード用導光板としても好適に使用できる。
導光板の厚みは、用いる光源の厚みに応じて選択できる。一般に、厚い光源を用いるほど輝度に優れる導光板が得られるが、厚みが大きいほどフィルム又はシート状態において、巻き癖、しわ、割れ、欠けなどの欠点が生じやすいため、導光板を得るのが難しくなる。本発明の方法では、厚みが大きい光学部材(例えば、導光板)を得ることができ、具体的には、0.15〜2.0mmの厚み、好ましくは0.2〜1.0mmの厚みの光学部材が得られる。
また、本発明で得られる光学部材の面積は、その用途に応じて適宜設定できる。本発明の方法で得られる光学部材は、携帯電話、携帯電子端末、タッチパネル、パソコンモニター、カーナビゲーションや車載用モニター、液晶テレビなどに使用できる。また、本発明で得られる光学部材は、導光フィルム又はシートとして好適であり、光拡散シート、光反射シート、透過型表示素子を組み合わせると、テレビ、パソコンモニター等の画像表示装置が作製できる。
以下、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例で用いた原料]
・アクリル系ブロック共重合体(I)〜(IV)
イソブチルビス(2,6−ジ−tert−4−メチルブチルフェノキシ)アルミニウムの存在下、sec−ブチルリチウムを重合開始剤として用い、トルエン中で各ブロックに相当するモノマーを逐次添加してアニオンリビング重合する方法により合成し、用いたアルミニウム分、リチウム分を除去後、脱揮二軸押出機によりアクリル系ブロック共重合体(I)〜(IV)を得た。表1にアクリル系ブロック共重合体(I)〜(IV)の性状を示す。
・メタクリル樹脂:パラペットGF(商品名:株式会社クラレ製)
・群青:BPA−5500A(商品名:日本ピグメント株式会社製)
・無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン(TPU):エラストランNY−1164D(商品名:BASF社製)
・ポリカーボネート樹脂:パンライトK−1300Y(商品名:帝人化成株式会社製)
・支持フィルム
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(I):ルミラーT60 厚み75μm(商品名:東レ株式会社製)
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(II):コスモシャインA4300 厚み75μm(商品名:東洋紡株式会社製)
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(III):テトロンフィルムG2 厚み75μm(商品名:帝人デュポンフィルム株式会社製)
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(IV):エンブレットSA 厚み75μm(商品名:ユニチカ株式会社製)
ポリカーボネート樹脂フィルム:パンライトK−1300Y 厚み75μm(商品名:帝人化成株式会社製)
ポリプロピレン樹脂フィルム:ディファレンK8020 厚み30μm(商品名:DIC株式会社製)
ポリエチレン樹脂フィルム:トレテック7332−30μm(商品名:東レ株式会社製)
Figure 2013159099
[評価方法]
(1)光学フィルムの引張弾性率
後述する方法で得られた光学シートロール体の作製時において、積層シートをロール体とする前に枚葉で試験片として切り出し、該積層シートの試験片から支持フィルムを剥離して得られた光学フィルムを、ISO527−3に記載の方法に準拠して、23℃、引張速度300mm/minの条件で、表2の配合に示した軟質透明樹脂組成物からなる厚さ0.2mmの光学フィルムの引張弾性率を測定した。
(2)支持フィルムの表面平滑性
触針式表面粗さ(Ra:中心線平均粗さ)測定によって求めた。
・装置:株式会社アルバック製触針式表面形状測定器「DekTak150」
・試験片寸法:30mm×30mm
・測定距離:1mm
(3)支持フィルムの耐熱性
JIS K 7133に準拠して測定した、各温度での辺寸法の収縮率が1%以下である上限温度を指標とした。
(4)剥離強さ
軟質透明樹脂組成物からなる厚み0.2mmの光学フィルムと支持フィルムとの間の剥離強さは、23℃、剥離速度:300mm/min、180°剥離の条件にて求めた。
・装置:インストロン・ジャパン製引張試験機「インストロン5566」
・試験片寸法:25mm×150mm
・剥離距離:75mm
(5)透過光線の色相
後述する方法で得られた光学シートロール体から巻き出した積層シートを光路長100mmのサイズで切削し、該積層シートから支持フィルムを剥離して得られた光学フィルムの試験片(厚み0.2mm)を、分光光度計V−670(日本分光(株)製)を用いて分光透過率を測定した。測定ならびに色相b*値の算出は、0.1mm×10mmに絞った入射光を試験片端部から入光させ、光路長100mmを導光し、他方の端部から出光した光を検出し、視野角2度の条件での色相b*値を、JIS Z 8720に準拠したD65光源の分光分布、ならびに、JIS Z 8701に準拠した等色関数を用いて算出した。
(6)ロール・ツー・ロール加工性
以下の評価を行った。
良好:光学シートロール体から切り出したフィルムの巻き癖、剥離層の浮きがない
不良:光学シートロール体から切り出したフィルムの巻き癖がある、または、光学シートロール体から切り出したフィルムのはがれ・浮きがある
(7)積層シート及び光学シートロール体作製
以下の実施例または比較例に記載の軟質透明樹脂組成物ならびに原料樹脂を、図1に示す押出機1内で溶融させ、吐出を安定させるために設けたギアポンプ2を経由し、Tダイ3から押出した溶融樹脂からなる光学フィルム層4が、支持フィルム5とともに、冷却ロール6と成形ロール7との間にインサートされ、バックアップロール10が配置された冷却ロール6と成形ロール7との間で光学フィルム層4と支持フィルム5とを圧着させて支持フィルム5上に光学フィルムが貼付された積層シートを作製し、後方に配設された成形ロール8、さらに巻取りロールへと積層シートを順次供給し、光学シートロール体9を得た。なお、冷却ロール6は、ゴムが被覆されたゴムロールであり、成形ロール7および成形ロール8は、金属ロールである。
[実施例1〜10、比較例1〜2、参考例1]
上記(7)にしたがって、表2および表3に示す配合比で二軸押出機にて溶融混練して軟質透明樹脂組成物を得(実施例3、実施例5、比較例1〜2は、原料をそのまま用いた)、光学フィルムの原料として用い、この光学フィルムと支持フィルムとを積層した積層シート、及びこの積層シートを巻回してなる光学シートロール体を得た。
表2より、実施例の積層シートは剥離が容易で取扱い性が良好であるのに対し、比較例1の積層シートは剥離が困難であった。従って、ロール・ツー・ロール加工は困難である。また、比較例2の積層シートはロール巻癖のためカールしていた。このため、ロール・ツー・ロール加工が困難である。また、剥離後に得られた光学フィルムにつき、その引張弾性率を測定した。結果を表2に示す。
得られた光学フィルムの透過光線色相を測定したところ、実施例1〜4、比較例1は色相が良好なのに対し、実施例5はやや黄色を呈していた。比較例2は光学フィルムがカールしており測定できず、導光フィルム又はシートとしては使用できないことが判った。
表3に記載の各種支持フィルムを用いた実施例2および実施例6〜10は、溶融状態の光学フィルム層を支持フィルムとともに、冷却ロールと成形ロールとの間にインサートして光学シートロール体を作成する際の加工性は、いずれも支持フィルムが溶けたり、収縮したり、しわが生じたりせず、良好であった。一方、中心線平均表面粗さが30nm以下で耐熱性が70℃の支持フィルムを用いた参考例1では、光学部材を製造する工程において、溶融状態の光学フィルム層を支持フィルムとともに冷却ロールと成形ロールとの間にインサートした時に、支持フィルムが溶融変形してしまい、良好な光学シートロール体が得られなかった。
これら実施例で得られた、積層シートから、支持フィルムを剥離した後の厚み0.2mmの光学フィルムのヘイズは、中心線平均表面粗さRaが30nm以下である支持フィルムを用いた実施例2および実施例6〜8では、1.0%以下で透明性に優れる。一方、中心線平均表面粗さRaが30nm以上である支持フィルムを用いた実施例9および実施例10では、ヘイズ値が1.0%以上となり、やや透明性に劣る。また、参考例1では光学シートロール体が得られず、ヘイズ測定できなかった。実施例で得られた光学シートロール体は、適度な剥離強さを有しており(製造工程中で光学フィルムと支持フィルムがずれることがなくかつ支持フィルムを剥離しやすい)、取扱い性に優れ、ロール・ツー・ロール加工に適しており、加工性と導光性に優れた光学部材が得られる。
Figure 2013159099
Figure 2013159099
本発明の光学部材の製造方法では、ロール・ツー・ロールプロセスにおいて、支持フィルム上に曲げ弾性率2000MPa以下である光学フィルムを設けた積層シートを巻回してなる光学シートロール体を用いる。本発明の製造方法で得られる光学部材は、導光性能が優れるだけでなく、巻き癖が少なく、裁断加工時に端面の割れ、欠けなどが少なく加工性に優れる。そのため、本発明で得られる導光板は、LED光源エッジライト方式の導光フィルム又はシートなどの様々な用途に好適である。
1:押出機
2:ギアポンプ
3:Tダイ
4:光学フィルム層
5:支持フィルム
6:冷却ロール
7:成形ロール
8:成形ロール
9:光学シートロール体
10:バックアップロール
20:光学シートロール体
30:保護フィルム巻き取りロール
40:表面処理工程
50:裁断用工程
60:保護フィルム供出ロール
70:光学部材作製用ロール体
80:光学シートロール体(又は光学部材作製用ロール体)
80a:表面処理部
90:光学機能フィルム
100:光学機能フィルム
110:光学機能フィルムが積層された光学部材
120:フィルム繰り出し方向

Claims (19)

  1. 支持フィルム上にその支持フィルムとの間の23℃、剥離速度300mm/分、180°剥離での試験による剥離強さが0.01〜1.0N/cmでありかつ引張弾性率が2000MPa以下である軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが設けられた該積層シートを巻回してなる光学シートロール体から積層シートを連続的に繰り出す工程、
    繰り出された積層シートの光学フィルムの片面に表面処理を施す工程、及び表面処理された光学フィルムに所定間隔置きに裁断用加工を施す工程を含む光学部材の製造方法。
  2. 前記光学部材の製造方法において、さらに積層シートを巻きとり光学部材作製用ロール体を製造する工程を含む、請求項1記載の光学部材の製造方法。
  3. 前記軟質透明樹組成物が(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有する、請求項1又は2に記載の光学部材の製造方法。
  4. 前記軟質透明樹組成物がアクリル系ブロック共重合体とブルーイング剤及び/又は蛍光増白剤とを含有する、請求項1又は2に記載の光学部材の製造方法。
  5. 前記支持フィルムの耐熱性が130℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  6. 前記支持フィルムがポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む樹脂組成物からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  7. 前記支持フィルムの表面の中心線平均粗さRaが30nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  8. 前記光学シートロール体が溶融状態にある軟質透明樹脂組成物を支持フィルムとともにロールとロールとの間にインサートして支持フィルムに圧着させ、支持フィルム上に光学フィルムが設けられた積層シートを作製する工程、該積層シートを巻回する工程を含む製造工程で製造される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  9. 裁断用加工を施す工程の前に、光学フィルム上に保護フィルムを貼着する工程を含む、請求項1〜8いずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  10. 裁断用加工を施す工程の後に、光学フィルム上に保護フィルムを貼着する工程を経て、積層シートを巻き取り、光学部材作製用ロール体を製造する工程を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  11. 前記裁断用加工を施す工程が、光学フィルムに対し所定間隔置きに裁断用加工手段により脆弱部を設けることにより行われる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  12. 前記脆弱部は、所定間隔置きに形成されたミシン目あるいは細溝であることを特徴とする請求項11に記載の光学部材の製造方法。
  13. 表面処理された光学フィルムの片面に1枚以上の光学機能フィルムを重ねた後、裁断用加工を施すことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法。
  14. 裁断用加工に加えて位置決め加工を施すことを特徴とする、請求項13に記載の光学部材の製造方法。
  15. 裁断用加工が、ダイカット、パンチングによる裁断、または回転刃による裁断である、請求項13または14に記載の光学部材の製造方法。
  16. 位置決め加工が光学的に影響が無い部分に穴加工又は切り欠き加工することにより行われる、請求項14または請求項15に記載の光学部材の製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法により得られるタッチパネル用導光板。
  18. 請求項17に記載のタッチパネル用導光板の端面にLED光源を配置してなるエッジライト方式導光板。
  19. 支持フィルム上にその支持フィルムとの間の剥離強さが0.01〜1.0N/cmでありかつ引張弾性率が2000MPa以下である軟質透明樹脂組成物からなる光学フィルムが設けられた積層シートを巻回してなる光学シートロール体。
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