JP2013158807A - 薄肉有底円筒金属部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】略一定の外径を有しかつ長尺状の金属製中実丸棒とされたワークWの中心軸線に沿って切削加工により中心穴を形成し、該ワークWの先端にて底部を有するように有底穴を形成する穴形成工程を行い、次に、前記ワークWの先端側の外径が小さくなるように切削加工して、先端側を薄肉化する薄肉化工程を行い、前記薄肉化工程の際に、前記穴形成工程にて形成した前記有底穴に充填部材を挿入するとともに、前記ワークWの一端側を延長し、かつ、前記ワークWが接続される側の一端面20aから所定の距離にわたって縮径部29が形成された冶具20を前記ワークWに対して固定し、該冶具20を旋盤のチャックに取り付ける取付工程を有することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
冷却穴が形成されたコアピンを使用すれば、ダイカスト製品に生じる引け巣をコアピン位置から遠ざけることができるという点で有利とされている。
しかし、従来では、冷却穴が形成されたコアピンの肉厚は、1mm以上とされており、薄肉化によって冷却穴の穴径を増大することについての検討が十分になされていなかった。なぜなら、コアピンは長尺状とされているため、肉厚が1mm未満の薄肉化の加工は困難であると考えられていたからである。
本発明の薄肉有底円筒金属部材の製造方法は、略一定の外径を有しかつ長尺状の金属製中実丸棒とされたワークの中心軸線に沿って切削加工により中心穴を形成し、該ワークの先端にて底部を有するように有底穴を形成する穴形成工程を行い、次に、前記ワークの先端側の外径が小さくなるように切削加工して、先端側を薄肉化する薄肉化工程を行い、前記薄肉化工程の際に、前記穴形成工程にて形成した前記有底穴に充填部材を挿入するとともに、前記ワークの一端側を延長し、かつ、前記ワークが接続される側の一端面から所定の距離にわたって縮径部が形成された冶具を前記ワークに対して固定し、該冶具を旋盤のチャックに取り付ける取付工程を有することを特徴とする。
薄肉化工程によって薄肉化される寸法は、ワーク長さが200mm〜350mm程度の場合には、例えば1.0mm未満、好ましくは0.7mm以下、ワーク長さが400mm程度の場合には、例えば1.5mm未満、好ましくは1.3mm以下とされる。
薄肉有底円筒金属部材の材質としては、SKD(例えばSKD61)等の合金工具鋼、快削鋼、真鍮、銅、ステンレス(SUS)等が挙げられる。
なお、「長尺状」とは、例えば、薄肉化された先端の直径に対して5倍以上、好ましくは10倍以上の長さを有するものを意味する。
本発明は、特に、後述するダイカスト用金型に用いられるコアピンや、ダイカスト用金型を冷却するための冷却ブッシュの製造に好適である。
本実施形態では、ダイカスト金型に用いるコアピン(中子ピン)を薄肉有底円筒金属部材の一例として、その製造方法について説明する。先ず、コアピンの使用形態およびコアピンの形状を説明した後に、コアピンの製造方法について説明する。
コアピン1は、基端部1b側に位置する大径部12と、先端部1a側に位置するとともに大径部12よりも小径とされた小径テーパ部14と、大径部12と小径テーパ部14との間に位置するとともに小径テーパ部14に対して連続的に接続された小径直線部16とを有している。
コアピン1の長さは、250mmとされている。大径部12の長さは25mm、小径直線部16の長さは203mm、小径テーパ部14の長さは22mmとされている。
コアピン1の小径テーパ部14の先端では直径が小さくなっているので、この位置における肉厚が最も薄くなる。図2に示したコアピンでは、0.7mm程度の肉厚となっている。
先ず、図3(a)に示すように、素材となる金属製中実丸棒から、製品となるコアピン1の長さに所定長さを加えた寸法だけ切断して、ワークWを得る。切断寸法としては、例えば300mm程度である。素材の材料としては、用途によって決まるが、例えば、SKD(例えばSKD61)等の合金工具鋼、快削鋼、真鍮、銅、ステンレス(SUS)等が挙げられる。
次に、図3(b)に示すように、ガンドリル(又はドリル)によって、基端部1b側から切削加工を行い、先端部1aに底部1dを残すように冷却穴1cの加工を行う(穴形成工程)。
次に、図3(c)に示すように、図5に示すスイス型自動旋盤50に図3(b)のように加工したワークWを設置し、ワークWの外形状の切削加工を行う。具体的には、図2に示した小径直線部16および小径テーパ部14となるように、ワークWの外形を加工する。これにより、先端部1a側の小径直線部16および小径テーパ部14に薄肉部が形成される(薄肉化工程)。
なお、図5中の符号51は突切りバイト、符号52はガイドブッシュ、符号53はコレットチャック、符号54は給材機フィンガーチャックである。
図3に示した本実施形態にかかる製造方法では、ワークWの先端部1a側の外径が小さくなるように切削加工する薄肉化工程の前に、略一定の外径を有する中実丸棒とされたワークWに対して冷却穴1cを形成することとしたので、高い剛性を有するワークWに対して冷却穴1cを精度良く形成することができる。また、高い剛性を有するワークWに対して切削加工するので、加工熱による熱変形を小さくすることができ、冷却穴1cを精度良く形成することができる。
さらに、本実施形態にかかる製造方法によれば、高い精度で加工でき、外形:φ4×350,冷却穴寸法:φ3.1×347,肉厚:0.45mm、冷却穴の振れ精度:0.05の加工も可能であることを確認した。
さらにまた、超音波測定によって形状を測定して穴加工を行えば、肉厚0.2mmの加工も可能である。
図4に示した薄肉化工程では、ワークWの一端を延長する冶具20を用いて加工を行う点が特徴となっている。
図4(a)に示すように、穴形成工程(図3(b)参照)を終えたワークWの一端に対して、雄ねじ部22および嵌合部24を形成する。これら雄ねじ部22および嵌合部24は、後にコアピンの基端部1bとなる側に形成される。
一方、冶具20は、ワークWと略同一の外形を有した丸棒形状とされている。冶具20の一端(図において右方)には、ワークWの雄ねじ部22が螺合される雌ねじ部26と、嵌合部24が嵌合される嵌合穴28が形成されている。また、図5に示すガイドブッシュ52の最も狭いところ(最小径を有するところ)に挿通(挿入)される冶具20の一端部には、縮径部29(図4(b)および図4(c)参照)が設けられている。縮径部29は、ワークWと当接する冶具20の一端面20a(図4(b)参照)から軸方向に沿って20mm〜60mmの間に設けられており、その他の部分(縮径部29以外の部分)および切削加工前のワークWの外径よりもわずかに(0.1mm〜0.3mm程度)小さい外径を有している。すなわち、縮径部29は、切削加工前のワークWの輪郭を冶具20の方に延ばしていった時に、延ばされたワークWの輪郭から縮径部29の輪郭が外側にはみ出さないよう(突出しないよう)に形成されている。言い換えれば、縮径部29は、切削加工前のワークWを冶具20が接続される側と反対側の端面から見た時に、ワークWの輪郭から縮径部29が突出しないように形成されている。
薄肉化工程が終了した後は、例えば嵌合部24の直近に位置するワークWの大径部を切断することによって、ワークWの雄ねじ部22及び嵌合部24を除去し、所定の加工を施して製品(コアピン)とする。
また、冶具20の一端部には、縮径部29が設けられているので、切削加工中に冶具20の一端面20aがガイドブッシュ52にぶつかってワークWおよび冶具20を軸方向に送り出すことができなくなってしまうことを防止(回避)することができ、生産性を向上させることができる。
また、絞りプレスによって量産される製品の試作品を製造する際に本発明を用いることができる。絞りプレスでは、金型を数台用いて製作することが一般とされ、試作のために金型を製作することはコストがかかり好ましくない。本発明の製造方法を用いれば、薄肉の有底円筒金属部材を切削加工にて製作できるので、少ない投資で試作品を製作し、製品確認をすることができる。また、絞りプレスでは製作が困難な材料であっても、本発明の製造方法は切削加工なので、材料に依存せずに製造することができるという有利点を有する。
1a 先端部
1b 基端部
1c 冷却穴(中心穴)
20 冶具
20a 一端面
29 縮径部
50 スイス型自動旋盤
54 給材機フィンガーチャック
W ワーク
Claims (3)
- 略一定の外径を有しかつ長尺状の金属製中実丸棒とされたワークの中心軸線に沿って切削加工により中心穴を形成し、該ワークの先端にて底部を有するように有底穴を形成する穴形成工程を行い、
次に、前記ワークの先端側の外径が小さくなるように切削加工して、先端側を薄肉化する薄肉化工程を行い、
前記薄肉化工程の際に、前記穴形成工程にて形成した前記有底穴に充填部材を挿入するとともに、前記ワークの一端側を延長し、かつ、前記ワークが接続される側の一端面から所定の距離にわたって縮径部が形成された冶具を前記ワークに対して固定し、該冶具を旋盤のチャックに取り付ける取付工程を有することを特徴とする薄肉有底円筒金属部材の製造方法。 - 前記縮径部が、前記一端面から軸方向に沿って20mm〜60mmの間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄肉有底円筒金属部材の製造方法。
- 前記薄肉有底円筒金属部材は、ダイカスト用金型に用いられるコアピンとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄肉有底円筒金属部材の製造方法。
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