JP2010236523A - 往復動圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】さらなる高性能化に対応可能な往復動圧縮機の提供。
【解決手段】ピストンリング72の外周には、軸方向端部に縮径部90が設けられ、合口部84は、ピストンリング72の軸方向に位置がずれ、かつ周方向に重なり合うことで合わせ面81a,82aを形成するベース部81,82がピストンリング72の軸方向の一端および他端にそれぞれ形成され、それぞれのベース部81,82の合わせ面81a,82aは、ピストンリング72の最大外径部91の位置で、かつピストンリング72の軸方向中心からオフセットされた位置に形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、往復動圧縮機に関する。
ピストンがシリンダ内で揺動しつつ往復動する往復動圧縮機がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−152960号公報
上記のような圧縮機において、ピストンリングからの圧縮流体の漏れを少なくして高圧化等の高性能化の要求がある。
本発明は、さらなる高性能化に対応可能な往復動圧縮機の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ピストンリングの合口部は、前記ピストンリングの軸方向に位置がずれ、かつ周方向に重なり合うことで合わせ面を形成する前記ピストンリングの周方向の一端および他端にそれぞれ形成されたベース部を有し、前記それぞれのベース部の合わせ面が、前記ピストンリングの最大外径部の位置で、かつ前記ピストンリングの軸方向中心からオフセットされた位置に形成されている。
請求項1に係る発明によれば、ピストンリングからの圧縮流体の漏れを少なくしてさらなる高性能化に対応可能となる。
本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機を示す側断面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機を示すII−II断面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機のピストンの円盤部近傍を示す部分拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングの図4に示すV−V断面図である。 本発明の第2実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明の第2実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングの図6に示すVII−VII断面図である。 本発明の第3実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は下面図である。 本発明の第3実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングの図8に示すIX−IX断面図である。 本発明の第4実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明の第4実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングの図8に示すXI−XI断面図である。 本発明の第5実施形態に係る往復動圧縮機のピストンリングの断面図である。 第1〜第5実施形態のピストンリングを適用可能な他の往復動圧縮機を示す平断面図である。
以下、本発明の各実施形態に係る往復動圧縮機を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
「第1実施形態」
まず、本発明の第1実施形態に係る往復動圧縮機を図1〜図5を参照しつつ以下に説明する。
往復動圧縮機10は、気体(流体)を吸引し圧縮して吐出するものである。図1および図2に示すように、往復動圧縮機10は、クランクケース11を有しており、クランクケース11は、内部がクランク室12とされている。このクランクケース11には、図1に示すように電動モータ15が取り付けられている。電動モータ15は、胴部16と底部17とを有する有底筒状をなし開口側がクランクケース11に連結されるモータハウジング18と、モータハウジング18の胴部16の内側に取り付けられたステータ19と、モータハウジング18の底部17の軸受保持部20に保持された軸受21と、クランクケース11の軸受保持部22に保持された軸受23と、これら軸受21,23に回転可能に支持された出力軸24を含むロータ25とを有している。
そして、電動モータ15の出力軸24の一端側がクランク室12内に突出しており、この部分に、電動モータ15の出力軸24とでクランク軸28を構成するクランク部材29が偏心状態で固定されている。出力軸24にはキー溝31が形成されており、クランク部材29には、外周部に対し偏心して出力軸24を嵌合させる嵌合穴32が形成されるとともにこの嵌合穴32にキー溝33が形成されていて、これらキー溝31,33にキー34が嵌合されることで、出力軸24にクランク部材29が一体化されている。これにより、クランクケース11は、軸受23を介してクランク軸28を支持する。
また、電動モータ15の出力軸24にはその中間位置にクランク部材29に当接してバランスウェイト37が、出力軸24に螺合されるナット38で固定されており、出力軸24の先端位置には冷却ファン39が固定されている。なお、バランスウェイト37にも、出力軸24を嵌合させる嵌合穴40およびキー溝41が形成されており、このキー溝41に上記したキー34が嵌合されることで、バランスウェイト37が出力軸24に一体化される。
クランクケース11上には、円筒状のシリンダ45が基端側において取り付けられている。このシリンダ45は、その内周面46の基端側がクランク室12内に開口する。また、シリンダ45の先端側には弁座板48およびシリンダヘッド本体49からなるシリンダヘッド50が搭載されている。
シリンダヘッド本体49には、図2に示すように、外部に連通する吸込口51と、吸込口51に連通する吸込室52と、外部に連通する吐出口53と、吐出口53に連通する吐出室54とが画成されている。
弁座板48は、シリンダ45とシリンダヘッド本体49との間に介装されるもので、この弁座板48には、吸込室52をシリンダ45側の圧縮室55に連通させる吸込穴57と、吐出室54を圧縮室55に連通させる吐出穴58とが形成されている。また、弁座板48にはリード弁としての吸込弁59および吐出弁60が取り付けられ、これら吸込弁59および吐出弁60は、基端側がネジ等を介して弁座板48に固定された固定端となり、先端側は自由端となって、吸込穴57、吐出穴58をそれぞれ開閉する。
シリンダ45内には、揺動式のピストン63が摺動可能に挿嵌されている。このピストン63は、その一端側にあって、クランク室12内に位置して偏心回転するクランク28のクランク部材29に軸受64を介して回転可能に連結される円環状の連結部65と、この連結部65に一体形成されてシリンダ45内へと伸長したピストンロッド部66と、ピストン63の他端側にあってピストンロッド部66にこれと直交するように一体形成されてシリンダ45内に配置される円板状のリング受67とを有するピストン本体68と、このピストン本体68とは別体に設けられリング受67にネジ69で固定されてシリンダ45内に配置される、リング受67と略同径の円板状のリテーナ70とを有している。ピストン本体68は、リング受67の中心軸線とピストンロッド部66の中心軸線とが一致しており、ピストンロッド部66の中心軸線が連結部65の中心軸線に直交している。また、ピストンロッド部66は連結部65の中心軸線に沿う方向の厚さがこれと直交する方向の幅よりも狭くなっている。なお、リテーナ70は、中心軸線をリング受67の中心軸線およびピストンロッド部66の中心軸線に一致させてピストン本体68に取り付けられてピストン63を構成することになる。
ここで、ピストン63の他端側に設けられたリング受67とリテーナ70とが、シリンダ45内を揺動しつつ往復動してシリンダヘッド50との間に圧縮室55を画成する円盤部71を構成しており、この円盤部71にピストン63とシリンダ45との間をシールするピストンリング72が保持されている。ピストンリング72の外周側は、シリンダ45の内周面46を摺動する。なお、リテーナ70とリング受67は一体的に構成してもよいし、リング受67とピストンロッド部66は分割式にしてもよい。
ピストン63は、連結部65がクランク部材29によって偏心運動させられることによって、シリンダ45内の円盤部71が、保持したピストンリング72をシリンダ45内で摺動させながら往復動することになり、その際に、連結部65、ピストンロッド部66および円盤部71が一体であることから、クランク軸28の中心軸線に直交し且つシリンダ45の中心軸線に直交する方向に揺動する。このクランク軸28の中心軸線に直交し且つシリンダ45の中心軸線に直交する方向を揺動方向とする。他方、ピストン63は、クランク軸28の軸方向には揺動しない。このクランク軸28の軸方向を非揺動方向とする。円盤部71は揺動時の揺動角が揺動方向において最大となり、非揺動方向において最小(0)となる。
リング受67には、図3に示すように、外径側且つピストンロッド部66とは反対側に円環状の段差部75がピストンロッド部66の中心軸線と同心状に形成されており、この段差部75と円板状のリテーナ70とで、ピストン63の円盤部71の外周側に位置して中心方向に凹む円環状のリング溝76が形成される。そして、このリング溝76に、ピストン63とシリンダ45との間をシールする上記したピストンリング72が装着されることになる。なお、リテーナ70には、リング溝76内に突出する図4に示す突起部77が非揺動方向に形成されている。この突起部77はピストンリング72に係合してピストンリング72のリング溝76に対する回転規制を行う。なお、突起部77は、非揺動方向に形成するのが望ましいが、ピストンリング72を回転規制できればよく、形成する位置を限定されない。また、部分接着等の他方式によりピストンリング72が回転規制されたり、ピストンリング72とピストンリング溝76の間に設けた図示しないテンションリング等により回転規制されている場合は、突起部77はなくてもよい。
図4および図5に示すピストンリング72は、耐摩耗性および自己潤滑性に優れたバネ性を有する樹脂材料によって略円環状に一体成形されている。ピストンリング72は、略円弧状の主環部80と、主環部80の周方向の一端にあって、主環部80の軸方向一端に偏って主環部80よりも薄く形成された円弧状のベース部81と、主環部80の周方向の他端にあって、主環部80の軸方向他端に偏って主環部80よりも薄く形成された円弧状のベース部82とを有している。両側のベース部81,82は、互いにピストンリング72の軸方向に位置がずれ周方向に重なり合うことで接触する合わせ面81a,82aを形成することになる。これらベース部81,82を合わせた軸方向長さは主環部80の軸方向長さと同等となっている。
これらのベース部81,82が、合口部84を構成している。つまり、この合口部84を構成する両側のベース部81,82が周方向にずれることで、ピストンリング72が拡縮径可能となっている。ピストンリング72は、自然状態で、主環部80の周方向の一端側にあるベース部81と主環部80の他端部との間に周方向の合口隙間85が形成されることになり、主環部80の他端側にあるベース部82と主環部80の一端部との間にも同様の合口隙間86が形成されることになる。ピストンリング72の拡縮時には、これら合口隙間85,86が拡縮する。主環部80には、合口部84の略180度反対となる中間位置の内周側に、軸方向一側に中心軸方向に沿って凹む切欠部88が形成されている。
そして、第1実施形態においては、一方のベース部81の軸方向厚さが他方のベース部82の軸方向厚さよりも薄く形成されており、これにより、ベース部81,82の合わせ面81a,82aは、ピストンリング72の軸方向中心からクランク軸28とは反対側(図4および図5の上側)にオフセットされた位置に形成されている。
また、第1実施形態において、ピストンリング72の外周は、軸方向端部の一側、具体的にはクランク軸28側(図4(b)および図5における下側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部90が、軸方向においてベース部82の範囲内に全周にわたって設けられている。この縮径部90は、具体的には、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧形状をなしているが、これはピストンの往復動に伴う揺動角にあわせてシリンダとのシール性を向上するための加工が施されていれば円弧形状でなくてもよい。そして、この縮径部90を除くピストンリング72の外周は、ピストンリング72の中で最大外径となる最大外径部91となっている。最大外径部91は、ピストンリング72の軸方向の断面がピストンリング72の軸方向に沿う平坦形状をなしており、軸方向においてベース部81の全範囲とベース部82のベース部81側の一部の範囲とに形成されている。そして、この最大外径部91に、ベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されている。
このようなピストンリング72が、リテーナ70を取り付ける前にリング受67の段差部75に、切欠部88を非揺動方向側かつ上側にし縮径部90を下側にして配置され、この状態でリテーナ70がピストン本体68のリング受67に固定されることで、リング溝76にピストンリング72が保持されることになる。このように、ピストンリング72の切欠部88にリテーナ70の突起部77を嵌合させることで、ピストンリング72の円盤部71に対する回転が規制されるようになっている。そして、リング溝76に装着された状態で合口部84は、非揺動方向に配置されており、言い換えれば、円盤部71の揺動角が小さい位置に設けられた状態に維持されることが望ましい。
なお、別の方法でピストンリング72が回転規制されている場合は、切欠部88および突起部77は設けなくてもよい。また、ピストンリング72の回転規制を設けない場合も可能であり、その場合、合口部84からのシール効果が多少低下し漏れが発生する可能性があるが、合口部84は非揺動方向に配置することを必要としない。
第1実施形態に係る往復動圧縮機10は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
電動モータ15が回転駆動されると、その出力軸24に固定されたクランク部材29が偏心回転運動を行う。すると、このクランク部材29に軸受64を介して回転可能に連結されたピストン63が、その円盤部71およびピストンリング72をシリンダ45内で往復動させる。そして、吸入行程では、円盤部71およびピストンリング72のシリンダヘッド50とは反対方向への移動で圧縮室55が拡大し吐出弁60は閉状態のまま吸込弁59を開いて気体を圧縮室55に導入する。続く圧縮行程では、円盤部71およびピストンリング72のシリンダヘッド50の方向への移動で圧縮室55が縮小し吸込弁59は閉状態のまま吐出弁60を開いて圧縮室55から圧縮気体をシリンダヘッド50内の吐出室54に吐出する。
以上の作動中、円盤部71およびピストンリング72は、シリンダ45内で揺動しながら往復動することになる。
つまり、最も圧縮室55を拡大した下死点で、ピストン63は、円盤部71の全体の揺動角が0で、シリンダ45と同軸となっており、リング溝76に装着されたピストンリング72も、全体の揺動角が0で、全周にわたり最大外径部91においてシリンダ45の内周面46に当接することになる。
この状態から圧縮行程を行うべくクランク部材29が回転し、圧縮室55を縮小させる方向に円盤部71およびピストンリング72を移動させると、圧縮行程の下死点から上死点と下死点との中間まで連結部65がシリンダ軸から一側に離れる方向に移動しながら偏心回転し、ピストン63の円盤部71の揺動方向の揺動角が徐々に大きくなる。このように円盤部71の揺動方向の揺動角が大きくなると、合口部84のベース部81,82同士を周方向にずらしながら、ピストンリング72はシリンダ45の内径にならって揺動方向に拡径することになる。その際に、ピストンリング72の非揺動方向両側は、揺動方向の揺動角にかかわらず、拡径せず、最大外径部91においてシリンダ45の内周面46に当接することになる。その結果、非揺動方向に配置された合口部84は、この最大外径部91にベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されていることから、この合わせ面81a,82aの両側のベース部81,82が常にシリンダ45の内周面46に接触してシール性を維持する。
また、上記のように圧縮行程において下死点から上死点と下死点との中間まで円盤部71の揺動方向の揺動角が大きくなると、ピストンリング72は、シリンダヘッド50側に位置する揺動方向一側を、縮径部90の揺動角に応じた位置においてシリンダ45の内周面46に当接させるとともに、シリンダヘッド50とは反対側に位置する揺動方向逆側を、最大外径部91の縮径部90とは反対側の端部においてシリンダ45の内周面46に当接させながら揺動することになる。そして、上死点と下死点との中間で連結部65が最もシリンダ軸から一側に離れると、円盤部71およびピストンリング72はシリンダ45の中心軸線に対し最も傾斜し揺動方向の揺動角が最大になる。
続いて、圧縮行程において上死点と下死点との中間から上死点に向かうにしたがって連結部65は中央に戻ることになり、徐々に円盤部71の揺動方向の揺動角が小さくなる。円盤部71の揺動角が小さくなると、合口部84のベース部81,82同士を周方向にずらしながら、ピストンリング72は、シリンダ45の内径にならって揺動方向に縮径することになり、その際に、引き続き、シリンダヘッド50側に位置する揺動方向一側を、縮径部90の揺動角に応じた位置においてシリンダ45の内周面46に当接させ、シリンダヘッド50とは反対側に位置する揺動方向逆側を、最大外径部91の縮径部90とは反対側の端部においてシリンダ45の内周面46に当接させる。
そして、最も圧縮室55を縮小した上死点では、円盤部71の全体の揺動角が0となり、ピストン63とシリンダ45とが同軸となって圧縮行程が終了し、ピストンリング72も、全体の揺動角が0となり、全周にわたり最大外径部91においてシリンダ45の内周面46に面接触で当接することになる。
円盤部71が上死点にある状態からクランク部材29が吸入行程を行うべく回転するとピストン63は圧縮室55を拡大させる方向に円盤部71およびピストンリング72を移動させることになり、吸入行程における上死点と下死点との中間まで、連結部65がシリンダ軸から逆側に離れる方向に移動しながら偏心回転し、円盤部71の揺動方向の揺動角が徐々に大きくなる。
このように吸入行程における上死点から上死点と下死点との中間に向かうにしたがって、円盤部71の揺動方向の揺動角が大きくなると、ピストンリング72は、シリンダヘッド50側に位置する揺動方向逆側を、縮径部90の揺動角に応じた位置においてシリンダ45の内周面46に当接させることになり、シリンダヘッド50とは反対側に位置する揺動方向一側を、最大外径部91の縮径部90とは反対側の端部においてシリンダ45の内周面46に当接させることになる。そして、上死点と下死点との中間で連結部65が最もシリンダ軸から逆側に離れると、円盤部71およびピストンリング72はシリンダ45の中心軸線に対し最も傾斜し揺動方向の揺動角が最大になる。
続いて、吸入行程において上死点と下死点との中間から下死点に向かうにしたがって連結部65は中央に戻ることになり、徐々に円盤部71の揺動方向の揺動角が小さくなる。その際に、ピストンリング72は、引き続き、シリンダヘッド50側に位置する揺動方向逆側を、縮径部90の揺動角度に応じた位置においてシリンダ45の内周面46に当接させ、シリンダヘッド50とは反対側に位置する揺動方向一側を、最大外径部91の縮径部90とは反対側の端部においてシリンダ45の内周面46に当接させる状態となる。
最も圧縮室55を拡大した下死点では、ピストン63とシリンダ45とが同軸となって吸入行程が終了し、ピストンリング72は、全周にわたり最大外径部91においてシリンダ45の内周面46に当接することになる。
以上に述べた第1実施形態によれば、合口部84を形成するベース部81,82の合わせ面81a,82aが、ピストンリング72の最大外径部91の位置で、かつピストンリング72の軸方向中心からオフセットされた位置に形成されているため、合口隙間85,86でシールラインが途切れることを防止でき、シールラインをピストンリング72の外周上に形成できる。したがって、圧縮気体の漏れを生じやすい合口部84とシリンダ45との間からの圧縮気体の漏れを効果的に抑制でき、さらなる高性能化に対応可能となる。
また、ピストンリング72には、縮径部90が形成されているため、揺動時のシール性が向上することになる。したがって、圧縮気体の漏れを効果的に抑制でき、さらなる高性能化に対応可能となる。
また、ピストンリング72は、縮径部90における軸方向断面が略円弧状をなしているため、一定時間、その形状の効果により、シール性が向上することになり、圧縮気体の漏れを効果的に抑制でき、さらなる高性能化に対応可能となる。また、ピストンリング72が摩耗すると、外周がすべて平坦となり、性能が低下することになって、交換時期を報知することができる。
また、ピストンリング72の最大外径部91は、軸方向の断面が平坦形状をなしているため、圧縮室55の圧力が高くなるピストン63の上死点で、ピストンリング72とシリンダ45の内周面46とを面接触させることができる。したがって、圧縮気体の漏れを効果的に抑制できるため、さらなる高性能化に対応可能となる。
また、ピストンリング35は、シリンダ45に対し揺動角の変化が小さい部分に合口部84を配置してリング溝76に対して位置決めされているため、分割されていて圧縮気体の漏れを生じやすい合口部84を揺動角度の変化が小さい側に位置決めしシリンダ45の内周面46に対して良好な接触状態に維持できる。したがって、圧縮気体の漏れを生じやすい合口部84とシリンダ45との間からの圧縮気体の漏れを効果的に抑制できるため、さらなる高性能化に対応可能となる。
なお、本実施形態においては、合口部84を形成するベース部81,82の合わせ面81a,82aが、ピストンリング72の最大外径部91の位置で、かつピストンリング72の軸方向中心から圧縮室側にオフセットされた位置に形成されている。このため、ベース部81、82の強度が向上して圧縮室側からの圧力によってシリンダケース側へピストンリング72が脱落することを防止できる。また、合わせ面81a、82aが、ピストンリングの軸方向中心からシリンダケース側にオフセットされた位置に形成されてもよい。この場合は、シリンダケースから圧力吹き返し等によりピストンリング72の圧縮室側のへの脱落を防止することができる。
「第2実施形態」
次に、本発明の第2実施形態に係る往復動圧縮機を主に図6および図7を参照しつつ以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分は同一称呼、同一符号としてその説明は略す。
第2実施形態においては、第1実施形態に対してピストンリング72の外周部の形状が相違している。
第2実施形態のピストンリング72の外周には、その軸方向端部の一側、具体的にはクランク軸28側(図6(b)および図7における下側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部95が、軸方向においてベース部82の範囲内に設けられている。また、軸方向端部の他側、具体的にはクランク軸28とは反対側(図6および図7の上側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部96が、軸方向においてベース部81の範囲内に設けられている。
具体的に、クランク軸28側の縮径部95は、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧状をなしており、クランク軸28とは反対側の縮径部96も、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧形状をなしている。縮径部95は、縮径部96よりもピストンリング72の軸方向長さが長くされており、縮径部95の最小径と、縮径部96の最小径とが同等となっている。
そして、これらの縮径部95,96は滑らかに連続しており、これらの連続部分がピストンリング72の中で最大外径となる最大外径部97となっている。最大外径部97は、ピストンリング72の軸方向中心からクランク軸28とは反対側(図6(b)および図7における上側)にオフセットされた位置に形成されており、この最大外径部97にベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されている。
第2実施形態においては、そのピストンリング72が、下死点および上死点において全周にわたり最大外径部97でシリンダ45の内周面46に当接することになり、この状態から揺動すると、非揺動方向は最大外径部97で、揺動方向は円弧状の縮径部95あるいは縮径部96で円滑にシリンダ45の内周面46に当接することになる。
以上に述べた第2実施形態によれば、ピストンリング72の軸方向の両側に縮径部95,96が形成されているため、その形状の効果により、圧縮行程および吸入工程の両工程においてシール性が向上することになり、圧縮気体の漏れを効果的に抑制でき、さらなる高性能化に対応可能となる。
「第3実施形態」
次に、本発明の第3実施形態に係る往復動圧縮機を主に図8および図9を参照しつつ以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分は同一称呼、同一符号としてその説明は略す。
第3実施形態においては、第1実施形態に対してピストンリング72の合口部84および外周部の形状が相違している。
第3実施形態のピストンリング72は、ベース部81の先端側かつ内径側に円周方向に延びる延出部100が形成されており、主環部80のベース部82側の内径側にこの延出部100と周方向に重なり合うことでこの延出部100を収容する段差部101が形成されている。延出部100と段差部101とは、ピストンリング72の拡縮に対して、互いに径方向に当接するようになっている。
第3実施形態のピストンリング72の外周は、軸方向端部の一側、具体的にはクランク軸28側(図8(b)および図9における下側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部102が、軸方向においてベース部82の範囲内に設けられている。また、軸方向端部の他側、具体的にはクランク軸28とは反対側(図8(b)および図9における上側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部103が、軸方向においてベース部81の範囲内に設けられている。
具体的に、クランク軸28側の縮径部102は、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧形状をなしており、クランク軸28とは反対側の縮径部103も、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧形状をなしている。縮径部102は、縮径部103よりもピストンリング72の軸方向長さが長くされ、縮径部102の最小径と、縮径部103の最小径とが同等となっている。
そして、これらの縮径部102,103を除くピストンリング72の外周が、ピストンリング72の中で最大外径となる最大外径部104となっている。最大外径部104は、ピストンリング72の軸方向の断面がピストンリング72の軸方向に沿う平坦形状をなしており、軸方向においてベース部81のベース部82側の一部の範囲とベース部82のベース部81側の一部の範囲とに形成されている。そして、第3実施形態においても、この最大外径部104に、ピストンリング72の軸方向中心からクランク軸28とは反対側にオフセットされて、ベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されている。
第3実施形態においては、そのピストンリング72が、下死点および上死点において全周にわたり、ピストンリング72の軸方向に沿う平坦な最大外径部104でシリンダ45の内周面46に当接することになり、この状態から揺動すると、非揺動方向は最大外径部104で、揺動方向は円弧状の縮径部102あるいは縮径部103で円滑にシリンダ45の内周面46に当接することになる。
「第4実施形態」
次に、本発明の第4実施形態に係る往復動圧縮機を主に図10および図11を参照しつつ以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分は同一称呼、同一符号としてその説明は略す。
第4実施形態においては、第1実施形態に対してピストンリング72の外周部の形状が相違している。
第4実施形態のピストンリング72の外周は、軸方向端部の一側、具体的にはクランク軸28側(図10(b)および図11における下側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部107が、軸方向においてベース部82の範囲内に設けられている。また、軸方向端部の他側、具体的にはクランク軸28とは反対側(図10(b)および図11における上側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部108が、軸方向においてベース部81の範囲内に設けられている。
具体的に、クランク軸28側の縮径部107は、ピストンリング72の軸方向の断面が平坦な面取り形状をなしており、クランク軸28とは反対側の縮径部108も、ピストンリング72の軸方向の断面が平坦な面取り形状をなしている。縮径部107は、縮径部108よりもピストンリング72の軸方向長さが長くされ、縮径部107の最小径が、縮径部108の最小径よりも小さくされている。
そして、これらの縮径部107,108を除くピストンリング72の外周が、ピストンリング72の中で最大外径となる最大外径部109となっている。最大外径部109は、ピストンリング72の軸方向の断面がピストンリング72の軸方向に沿う平坦形状をなしており、軸方向においてベース部81のベース部82側の一部の範囲とベース部82のベース部81側の一部の範囲とに形成されている。そして、第4実施形態においても、この最大外径部109に、ピストンリング72の軸方向中心からクランク軸28とは反対側にオフセットされて、ベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されている。
第4実施形態においては、そのピストンリング72が、下死点および上死点において全周にわたり、ピストンリング72の軸方向に沿う平坦な最大外径部109でシリンダ45の内周面46に当接することになり、この状態から揺動すると、非揺動方向は最大外径部109で、揺動方向は最大外径部109の端縁部でシリンダ45の内周面46に当接することになり、揺動角が最大のとき揺動方向が面取り状の縮径部107あるいは縮径部108でシリンダ45の内周面46に当接することになる。
第4実施形態によれば、ピストンリング72の軸方向の両側に縮径部107,108が設けられており、クランク軸28側の縮径部107の最小径が、クランク軸28とは反対側の縮径部108の最小径よりも小さくされているため、圧縮気体および揺動運動によるピストンリング72のシリンダ45への押し付け荷重を受ける合口部84のクランク軸28側が、リング受67よりもシリンダ45の方向へ突出するのを防止できる。これにより、ピストンリング72の合口部84のクランク軸28側に応力集中が生じるのを防止でき、信頼性を向上できる。
「第5実施形態」
次に、本発明の第5実施形態に係る往復動圧縮機を主に図12を参照しつつ以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分は同一称呼、同一符号としてその説明は略す。
第5実施形態においては、第1実施形態に対してピストンリング72の外周部の形状が相違している。
第5実施形態のピストンリング72の外周は、軸方向端部の一側、具体的にはクランク軸28側(図12における下側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部111が、軸方向においてベース部82の範囲内に設けられている。また、軸方向端部の他側、具体的にはクランク軸28とは反対側(図12における上側)に、軸方向において中央側よりも端部側の径が小さくなるように縮径する縮径部112が、軸方向においてベース部81の範囲内に設けられている。
具体的に、クランク軸28側の縮径部111は、ピストンリング72の軸方向の断面が平坦な面取り形状をなしており、クランク軸28とは反対側の縮径部112は、ピストンリング72の軸方向の断面が円弧形状をなしている。縮径部111は、縮径部112よりもピストンリング72の軸方向長さが長くされ、縮径部111の最小径と、縮径部112の最小径とが同等となっている。
そして、これらの縮径部111,112を除くピストンリング72の外周が、ピストンリング72の中で最大外径となる最大外径部113となっている。最大外径部113は、ピストンリング72の軸方向の断面がピストンリング72の軸方向に沿う平坦形状をなしており、軸方向においてベース部81のベース部82側の一部の範囲とベース部82のベース部81側の一部の範囲とに形成されている。そして、第4実施形態においても、この最大外径部109に、ピストンリング72の軸方向中心からクランク軸28とは反対側にオフセットされて、ベース部81,82の合わせ面81a,82aが配置されている。
第5実施形態においては、そのピストンリング72が、下死点および上死点において全周にわたり、ピストンリング72の軸方向に沿う平坦な最大外径部113でシリンダ45の内周面46に当接することになり、この状態から揺動すると、非揺動方向は最大外径部113で、揺動方向は、縮径部112あるいは最大外径部113の端縁部でシリンダ45の内周面46に当接することになり、揺動角が最大のとき揺動方向が縮径部112あるいは面取り状の縮径部111でシリンダ45の内周面46に当接することになる。
なお、以上に述べた第1〜第5実施形態においては、単気筒型の往復動圧縮機10を例にとり説明したが、複数気筒型の往復動圧縮機にも適用可能である。例えば、図13に示すように、モータ25の出力軸24に対して、クランク部材29を二つ、位相を180度異ならせて取り付け、シリンダ45およびシリンダヘッド50を出力軸24に対して180度異なる位置に二組設けて、軸受64、ピストン63およびピストンリング72を二組設けた水平対向型の往復動圧縮機にも適用可能である。また、低圧側と高圧側の2段圧縮を行う往復動圧縮機に適用してもよく、その場合、低圧側のシール構造は安価なリップリングを用いて、高圧側のシールのみに本実施形態で説明したピストンリング72を採用してもよい。例えば、高圧側とは、3MPa以上の圧縮流体を吐出する圧縮室であった場合に、本実施形態の効果を発揮する。
なお、合口部84の形状は、上記実施の形態に限られるものではなく、周方向に延びる合わせ面を有する形状であれば、他の形状であってもよい。
シリンダ内をピストンが揺動しながら往復動する往復動圧縮機の前記ピストンに設けられるピストンリングにおいて、
合口部を有して拡縮径可能に形成されるとともに、外周の軸方向端部のいずれか一側または両側に縮径部が設けられ、
前記合口部は、軸方向に位置がずれ、かつ周方向に重なり合うことで合わせ面を形成するベース部が軸方向の一端および他端にそれぞれ形成され、
前記それぞれのベース部の合わせ面は、最大外径部の位置で、かつ軸方向中心からオフセットされた位置に形成されていることを特徴とするピストンリング。
10 往復動圧縮機
28 クランク軸
45 シリンダ
63 ピストン
65 連結部
72 ピストンリング
76 リング溝
81,82 ベース部
81a,82a 合わせ面
84 合口部
90,95,96,102,103,107,108,111,112 縮径部
91,97,104,109,113 最大外径部

Claims (6)

  1. シリンダと、
    一端側がクランク軸に回転可能に連結される連結部となり他端側が前記シリンダ内を揺動しつつ往復動するピストンと、
    該ピストンの外周側に位置したリング溝と、
    前記ピストンと前記シリンダとの間をシールするために前記リング溝に装着され、合口部を有して拡縮径可能に形成されたピストンリングとを備えてなる往復動圧縮機において、
    前記ピストンリングの外周には、軸方向端部のいずれか一側または両側に縮径部が設けられ、
    前記合口部は、前記ピストンリングの軸方向に位置がずれ、かつ周方向に重なり合うことで合わせ面を形成する前記ピストンリングの周方向の一端および他端にそれぞれ形成されたベース部を有し、
    前記それぞれのベース部の合わせ面は、前記ピストンリングの最大外径部の位置で、かつ前記ピストンリングの軸方向中心からオフセットされた位置に形成されていることを特徴とする往復動圧縮機。
  2. 前記縮径部は、前記ピストンリングの軸方向の断面が円弧形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の往復動圧縮機。
  3. 前記縮径部は、前記ピストンリングの軸方向の断面が面取り形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の往復動圧縮機。
  4. 前記最大外径部は、前記ピストンリングの軸方向の断面が平坦形状をなしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の往復動圧縮機。
  5. 前記縮径部は、前記ピストンリングの軸方向の両側に設けられており、前記クランク軸側の縮径部の最小径が、前記クランク軸とは反対側の縮径部の最小径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の往復動圧縮機。
  6. 前記ピストンリングは、前記合口部が前記ピストンの揺動角が小さい位置に設けられた状態で前記リング溝に対して回転規制されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の往復動圧縮機。
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