JP2013155244A - 難燃性ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 成分(A):エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、成分(B):ポリオレフィン樹脂、成分(C):一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物、成分(D):一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物、及び成分(E):タルクを含有し、成分(C)及び成分(D)の合計量に対する成分(E)の含有割合が1〜70重量%であることを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
これら水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等を含む難燃性樹脂組成物は、燃焼時のハロゲン系ガスの発生を防止し得るが、要求される難燃性能を得るためには大量の難燃剤を充填する必要があり、その影響で樹脂組成物の物理特性が劣る、成形加工特性が劣るなどの問題があった。
そこで近年、前記の要求に応えるために特定のリン酸塩を主成分とする難燃剤として、燃焼時に表面膨張層を形成し、分解生成物の拡散や伝熱を抑制することによって難燃性を発揮させる、イントメッセント系難燃剤が提案されている(特許文献1)。イントメッセント系難燃剤は優れた難燃性を有するものの、二次凝集による樹脂への分散不良や、加水分解による吸湿性の悪化等の問題があったが、特定の分子構造を有するリン酸エステルやシリコーンオイル、ポリカルボジイミド等の化合物を共添加することにより改良がなされている(特許文献2〜4)。
とにより、良好な難燃性、耐熱性、耐水性を有する難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を得ることが可能となった。しかし上記の特許文献では、何れもUL94V燃焼試験において厚さ1.6mmの試験片を用いた試験を行なっており、厚みの薄い試験片を用いた場合の評価はなされていない。
一方、電線分野においては、より薄い成形品での難燃性能を要求されることが多い。そのため、本発明者らが前記の特許文献について確認した結果、厚さ0.5〜1.0mm程度の試験片では燃え広がりが速く、高い難燃性を保持することが困難であることに加え、ドリッピングも起き易いことが判明した。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は薄肉材料においても優れた難燃性を有する難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
[1] 下記の成分(A)〜(E)を含有し、成分(C)及び成分(D)の合計量に対する成分(E)の含有割合が1〜70重量%であることを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
成分(A):エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
成分(B):ポリオレフィン樹脂
成分(C):下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(D):下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(E):タルク
〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれる基である。
[3] [1]又は2において、成分(A)及び成分(B)の合計量中の酢酸ビニル含有量が1〜45重量%である難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
[4] [1]又は2において、成分(A)及び成分(B)の合計量中の(メタ)アクリル酸エステル含有量が1〜45重量%である難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]の何れかにおいて、成分(C)及び成分(D)の合計含有量が、樹脂組成物中の15〜60重量%である難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]の何れかの難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形体。
[7] [1]〜[5]の何れかの難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を被覆してなる電線。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、下記の成分(A)〜(E)を含有する。
成分(A):エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
成分(B):ポリオレフィン樹脂
成分(C):下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(D):下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(E):タルク
<成分(A)>
本発明において成分(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。
[エチレン−酢酸ビニル共重合体]
本発明における成分(A)として用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンに由来する重合体単位と酢酸ビニルに由来する重合体単位とを少なくとも有する共重合体を意味する。なお本発明では、原料としてエチレン及び酢酸ビニルを用いなくとも、重合後の共重合体が同一の化学構造を形成するものは、本発明におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体に包含するものとする。
酢酸ビニル含有量が上記範囲であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、後述する成分(B)とともに併用することにより、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性及
び耐熱性が良好となる。成分(A)の酢酸ビニル含有量が上記の下限値未満の場合は、得られる樹脂組成物の難燃性が不十分となる傾向にある。一方、成分(A)の酢酸ビニル含有量が上記の上限値を超える場合は、成分(B)との親和性が低下し、得られる樹脂組成物の引張破壊応力が悪化する傾向にある。
本発明においてエチレン−酢酸ビニル共重合体は、1種を単独で用いても、異なる共重合比率や異なるMFR等をもつ2種以上を併用してもよい。なお、2種以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体を併用する場合における前記酢酸ビニル含有量は平均値を意味する。すなわち該平均値が前記数値範囲であればよいが、特にそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体が前記数値範囲であることが好ましい。
このような製造方法は、例えば、特開平1−101304号公報、特開平7−33829号公報、欧州特許出願公開第A0341499号明細書、欧州特許出願公開第A051
0478号明細書等に記載されている。
本発明における成分(A)として用いるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、エチレンに由来する重合体単位と(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合体単位とを少なくとも有する共重合体を意味する。ここで本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。なお本発明では、原料としてエチレン及び(メタ)アクリル酸エステルを用いなくとも、重合後の共重合体が同一の化学構造を形成するものは、本発明におけるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に包含するものとする。
(メタ)アクリル酸エステル含有量が上記範囲であるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を、後述する成分(B)とともに併用することにより、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性及び耐熱性が良好となる。成分(A)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が上記の下限値未満の場合は、得られる樹脂組成物の難燃性が不十分となる傾向にある。一方、成分(A)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が上記の上限値を超える場合は、成分(B)との親和性が低下し、得られる樹脂組成物の引張破壊応力が悪化する傾向にある。
MFR)は限定されないが、JIS K7210(1999)に従い、190℃、21.2N荷重で測定した値が、通常0.2〜60g/10分、好ましくは1〜35g/10分、さらに好ましくは、2〜30g/10分の範囲のものが好適である。MFRが上記の上限値を超える場合は、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の押出成形性が低下する傾向がある。MFRが上記の下限値未満では流動性が不足するため、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の成形性が低下する傾向がある。
本発明においてエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、1種を単独で用いても、異なる共重合比率や異なるMFR等をもつ2種以上を併用してもよい。なお、2種以上のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を併用する場合における前記(メタ)アクリル酸エステル含有量は平均値を意味する。すなわち該平均値が前記数値範囲であればよいが、特にそれぞれのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が前記数値範囲であることが好ましい。
成分(A)のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を高圧法ラジカル重合で製造する際の具体的な条件は限定されないが、通常、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを必須の原料とし、有機過酸化物又はアゾ化合物等のラジカル開始剤を用い、150〜350℃の温度で、100〜300MPaの圧力下に行われる。
本発明において成分(B)はポリオレフィン樹脂を意味する。成分(B)として用いるポリオレフィン樹脂は限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の単独重合体、それら同士あるいはそれらと3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートについても同様である。なお、成分(B)としては、前記成分(A)に包含されるものは含まれない。
これらのポリオレフィン樹脂は、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体や不飽和シラン化合物等で変性したものであってもよい。更には、部分的に架橋構造を有していてもよい。
料モノマーとしてプロピレンを主要成分とし、好ましくはプロピレンを50重量%以上含有する重合体を意味する。1−ブテン系樹脂についても同様である。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率の上限は限定されないが、通常2200MPa以下、好ましくは2000MPa以下であることが望ましい。
なお、本発明において、曲げ弾性率の測定は、JIS K7171(プロピレン系樹脂)又はJIS K6922−2(エチレン系樹脂)に基づくものとする。
成分(B)として複数のポリオレフィン樹脂を用いる場合は、少なくとも1成分のポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が上記範囲であることが好ましい。特に、成分(B)を構成するポリオレフィン樹脂中の20重量%以上が上記範囲の曲げ弾性率を有するポリオレフィン樹脂であることが好ましく、40重量%以上であることが更に好ましい。
成分(B)として用いるポリオレフィン樹脂としては、プロピレン系樹脂が好適である。ここでプロピレン系樹脂は、前記の通り、プロピレンを主成分とする樹脂であれば限定されないが、通常、プロピレン単量体単位を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上有する重合体であることが望ましい。プロピレン系樹脂を構成するプロピレン単量体単位を前記下限値以上とする方が、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性の発現が最適化される傾向にある。なお、プロピレン単量体単位の含有量の上限は限定されず、100重量%、すなわちプロピレン単独共重合体も好適に用いることができる。
マー等が挙げられる。これらの単量体は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。中でも、プロピレンと共重合する単量体としては、エチレン、炭素数が3〜20程度のα−オレフィンが好ましい。
これらの中でも、プロピレン系樹脂としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体が好ましい。
また、プロピレン系樹脂としては、これらの樹脂を無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体や不飽和シラン化合物等で変性したものであってもよい。更には、部分的に架橋構造を有していてもよい。
これらのプロピレン系樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
成分(B)として用いるポリオレフィン樹脂としては、エチレン系樹脂も好適に用いることができる。ここでエチレン系樹脂は、前記の通り、エチレンを主成分とする樹脂であれば限定されないが、通常、エチレン単量体単位を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上有する重合体であることが望ましい。エチレン系樹脂を構成するエチレン単量体単位を前記下限値以上とする方が、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性の発現が最適化される傾向にある。なお、エチレン単量体単位の含有量の上限は限定されず、100重量%、すなわちエチレン単独共重合体も好適に用いることができる。
等の各種(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸等の極性モノマー;スチレン、スチレン誘導体等のスチレン系モノマー等が挙げられる。これらの単量体は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。中でも、エチレンと共重合する単量体としては、炭素数が3〜20程度のα−オレフィンが好ましい。
エチレン系樹脂として共重合体を用いる場合の連鎖形式は限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体等の何れであってもよい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
また、エチレン系樹脂としては、これらの樹脂を無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体や不飽和シラン化合物等で変性したものであってもよい。更には、部分的に架橋構造を有していてもよい。
これらのエチレン系樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において成分(C)はリン酸とアンモニア又はトリアジン誘導体との塩であり、下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物である。
このような成分(C)に該当する化合物を後述する成分(D)とともに併用することにより、良好な難燃性を発現することができる。
本発明において成分(D)はリン酸とジアミンまたはピペラジンとの塩であり、下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物である。
このような成分(D)に該当する化合物を前記の成分(C)とともに併用することにより、良好な難燃性を発現することができる。
なお、成分(C)及び成分(D)を含有する難燃剤としては、例えば、株式会社ADEKA製、商品名:アデカスタブFP2200が挙げられる(特開2009−185214号公報には、当該製品が成分(C)及び成分(D)を含有する難燃剤であることが記載されている)。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、成分(E)としてタルクを含有する。本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物にタルクを含有することにより、樹脂組成物の難燃性及び耐熱性が良好となる傾向にある。これは、成分(E)を含有することにより燃焼時のドリップ発生が抑制されるためであると考えられる。また、成分(C)及び成分(D)と成分(E)を併用することによって、燃焼中の樹脂の発泡を阻害することなくドリップの発生を抑制することが出来るため、炭化皮膜が空気を遮断するとともに効率良く発泡断熱層を形成し、高い難燃性を発現することができると考えられる。これらの成分(C)
及び成分(D)との相乗効果は、添加剤としてタルクを用いた際に顕著に発現することができる。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の成分(A)〜(E)以外の添加剤や樹脂等を、「その他の成分」として必要に応じて用いてもよい。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用しても良い。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
成分(E)以外の充填材としてはアスペクト比が2以上の無機化合物が好適であり、具体的には、クレイ、ウィスカ、ウォラストナイト、炭素繊維、ガラス繊維等が好適である。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物における成分(A)と成分(B)との含有割合は、成分(A)と成分(B)との合計量に対し、成分(A):5〜95重量%、成分(B):95〜5重量%であることが好ましい。成分(A)の含有量が上記の下限値未満である場合は、得られる樹脂組成物の難燃性が悪化する傾向にある。一方、成分(A)の含
有量が上記の上限値を超える場合は、得られる樹脂組成物の難燃性及び耐熱性が悪化する傾向にある。
成分(A)と成分(B)との含有割合は、上記と同様の理由により、成分(A)と成分(B)との合計量に対し、成分(A):10〜90重量%、成分(B):90〜10重量%であることが好ましく、成分(A):20〜80重量%、成分(B):80〜20重量%であることがより好ましい。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物において、成分(A)及び成分(B)の合計量中の(メタ)アクリル酸エステル含有量は限定されないが、通常1〜45重量%、好ましくは8〜30重量%であることが望ましい。前記の(メタ)アクリル酸エステル含有量を前記範囲内とすることにより、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性の発現が最適化される傾向にある。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物中における(メタ)アクリル酸エステル含有量は限定されないが、通常1〜45重量%、好ましくは2〜30重量%であることが望ましい。前記の(メタ)アクリル酸エステル含有量を前記範囲内とすることにより、得られる難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の難燃性の発現が最適化される傾向にある。
ここで、酢酸ビニル含有量および(メタ)アクリル酸エステル含有量とは、それぞれ、酢酸ビニル単量体由来の含有量、および(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の含有量を意味する。
なお、本発明において成分(A)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を併用してもよい。成分(A)としてこれらを併用する場合における樹脂組成物中の含有量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の合計量を意味する。
成分(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を併用する場合の配合比率は任意であるが、成分(A)中の酢酸ビニル含有量または成分(A)中の(メタ)アクリル酸エステル含有量のうち少なくとも何れかが前記の数値範囲となるように調整されることが望ましい。
本発明において成分(C)と成分(D)との含有割合は限定されないが、成分(C):1〜99重量%、成分(D):99〜1重量%(但し、成分(C)と成分(D)との合計量を100重量部とする。以下、同様。)である。成分(C)と成分(D)との含有割合の好ましい範囲は、成分(C):20〜80重量%、成分(D):80〜20重量%であり、より好ましい範囲は、成分(C):30〜70重量%、成分(D):70〜30重量%である。
成分(C)及び成分(D)の合計量に対する成分(E)の含有割合は、上記と同様の理由により、好ましくは5〜65重量%であり、より好ましくは10〜60重量%である。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に、その他の成分として添加剤を含有する場合の含有量は限定されないが、通常、樹脂組成物中に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。添加剤の含有量が前記上限値を超える場合は、得られる樹脂組成物の難燃性が低下する場合がある。なおこれらのその他の成分は、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2〜50倍、好ましくは3〜30倍の濃度で含有させることもできる。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分布した樹脂組成物を得ることができる。
より均一な混合・分散のためには、所定量の上記原料成分を溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合しても良いし、目的とする成形品を製造する際の成形時に各原料を適宜配合(ドライブレンド)して溶融混合してもよい。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物から得られる成形品には限定は無く、種々の押出成形品や射出成形品等とすることができる。従って、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を成形する方法も、押出成形、圧縮成形、射出成形など特に限定するものでは
ない。成形温度は樹脂組成物の溶融温度より高温であれば限定されないが、150℃〜220℃が望ましい。成形温度が前記下限より高ければ溶融した樹脂組成物の流動性が高く、目的の形状の成形体を得やすい。また成形温度が前記上限より低ければ難燃剤の変質による成形不良が起こりにくい。特に、樹脂組成物の溶融状態での流動性の観点から押出成形が望ましい。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
A−1: エチレン・酢酸ビニル共重合体(商品名:エバフレックスEV40LX、三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、酢酸ビニル含有量41重量%、MFR(190℃、21.2N)2.0g/10分)。
A−2: エチレン・酢酸ビニル共重合体(商品名:エバフレックスEV180、三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、酢酸ビニル含有量33重量%、MFR(190℃、21.2N)0.2g/10分)。
A−3: エチレン・アクリル酸エチル共重合体(商品名:ユニカーNUC−6510、日本ユニカー株式会社製、アクリル酸エチル含有量23重量%、MFR(190℃、21.2N)0.5g/10分)。
B−1: プロピレンを主成分とするプロピレン・エチレン共重合体(商品名:ノバテックEG8、日本ポリプロ株式会社製、密度0.90g/cm3、MFR(230℃、21.2N)0.8g/10分、曲げ弾性率1150MPa)。
B−2: プロピレンを主成分とするプロピレン・エチレン共重合体(商品名:ノバテックEC7、日本ポリプロ株式会社製、密度0.90g/cm3、MFR(230℃、21.2N)1.5g/10分、曲げ弾性率1200MPa)。
B−3: エチレン・1−ブテン共重合体(商品名:エンゲージENR7256、ダウケミカル日本株式会社製、密度0.885g/cm3、MFR(190℃、21.2N)2.0g/10分、曲げ弾性率27MPa)。
B−4: 高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHY540、日本ポリプロ株式会社製、密度0.96g/cm3、MFR(190℃、21.2N)1.0g/10分、曲げ弾性率1450MPa)。
CD−1: リン酸塩系難燃剤(商品名:アデカスタブFP2200、株式会社ADEKA製、pH 3.0〜4.0(25℃、水に10重量%懸濁にて測定)、密度1.78g/cm3)。前記一般式(1)及び一般式(2)に相当する(ポリ)リン酸塩化合物の混合物。(特開2009−185214号公報には、当該製品が成分(C)及び成分(D)を含有する難燃剤であることが記載されている)
E−1: タルク(富士タルク工業株式会社製、商品名:PKP−53S)。
E−2: タルク(富士タルク工業株式会社製、商品名:TP−A20)。
<その他樹脂>
F−1: 水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合物(商品名:ハイブラー7311、株式会社クラレ製、密度0.89g/cm3)。
<酸化防止剤>
G−1: ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:IRGANOX1010)。
表−1に示す原料配合にて全ての原料をドライブレンドし、東洋精機製作所社製ラボプラストミルにて、160℃、60rpmにて10分間溶融混練することにより、難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を作製した。
得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を、180℃の電気プレスを用いて厚さ0.5mmのシートに成形した。
成形したシートを用い、後述する方法でUL−94Vに準拠した燃焼試験を行った結果について、表−1に示す。
原料配合を表−1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を作製した。得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を実施例1と同様にしてシートに成形し、厚さ0.5mmのシートを得た。成形したシートを用い、後述する方法でUL−94Vに準拠した燃焼試験を行った結果について、表−1に示す。
原料配合を表−2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を作製した。得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を、厚さ0.7mmとする以外は実施例1と同様にしてシートを得た。成形したシートを用い、後述する方法でUL−94Vに準拠した燃焼試験を行った結果について、表−2に示す。
原料配合を表−3に示す通りとした以外は実施例1と同様にして難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を作製した。得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を、厚さ1.0mmとする以外は実施例1と同様にしてシートを得た。成形したシートを用い、後述する方法でUL−94Vに準拠した燃焼試験を行った結果について、表−3に示す。
電気プレスで得られた試験片(長さ:127mm、幅:12.7mm。厚さは0.5mm、0.7mm、又は1.0mmの何れか。)を垂直に保ち、下端にバーナの火を10秒間接炎させた後に炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次いで火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。更に、落下する火種によって試験片の下に設置した綿が着火するか否かについても評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無の結果から、UL−94V規格に従って燃焼性を評価した。燃焼性能はV−0、V−1、V−2の順に良好であり、V−2よりも劣るものは「×」とした。
Claims (7)
- 下記の成分(A)〜(E)を含有し、成分(C)及び成分(D)の合計量に対する成分(E)の含有割合が1〜70重量%であることを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
成分(A):エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
成分(B):ポリオレフィン樹脂
成分(C):下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(D):下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
成分(E):タルク
- 成分(A)と成分(B)との合計量に対し、成分(A)を5〜95重量%、成分(B)を95〜5重量%の割合で含有する請求項1に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 成分(A)及び成分(B)の合計量中の酢酸ビニル含有量が1〜45重量%である請求項1又は2に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 成分(A)及び成分(B)の合計量中の(メタ)アクリル酸エステル含有量が1〜45
重量%である請求項1又は2に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。 - 成分(C)及び成分(D)の合計含有量が、樹脂組成物中の15〜60重量%である請求項1〜4の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を被覆してなる電線。
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