JP2013155074A - 複合酸化物焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1000℃以上の高温領域においても上記の熱膨張係数のとび現象が現れないシリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体を製造する。
【解決手段】本複合酸化物焼結体の製造方法は、シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体の製造方法であって、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成する工程S10と、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体を形成する工程S20と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合酸化物焼結体の製造方法に関し、詳しくは半導体結晶体を成長させるための基体に好適に用いられる複合酸化物焼結体の製造方法に関する。
III族窒化物結晶体などの半導体結晶体は、発光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板および半導体層などに好適に用いられる。かかる半導体結晶体を製造するための基板としては、その基板と半導体結晶体との間で、格子定数および熱膨張係数を一致させる観点から、III族窒化物結晶基板が最も優れている。ところが、III族窒化物結晶基板は非常に高価である。
このため、III族窒化物結晶体などの半導体結晶体を製造するための基板として、一般にサファイア基板が用いられる。しかしながら、III族窒化物結晶体たとえばGaN結晶体とサファイア基板とではそれらの格子定数および熱膨張係数が大きく異なる。
このため、サファイア基板とIII族窒化物結晶体などの半導体結晶体との間の格子定数の不整合を緩和して結晶性が良好な半導体結晶体を成長させるために、たとえば、特開平04−297023号公報(特許文献1)は、サファイア基板にGaN結晶を成長させる際に、サファイア基板上にGaNバッファ層を形成し、そのGaNバッファ層上にGaN結晶層を成長させることを開示する。
また、半導体結晶体(たとえばGaN結晶体)の熱膨張係数に近い熱膨張係数の基板を用いて反りの小さい半導体結晶膜(たとえばGaN結晶膜)を得るために、たとえば、特表2007−523472号公報(特許文献2)は、中央層に対して互いにほぼ同一の熱膨張係数を有する各対の層を1対以上有し、全体的熱膨張係数がGaN結晶体の熱膨張係数とほぼ同一である複合支持基板を開示する。また、特開2003−165798号公報(特許文献3)は、ジルコンセラミックスなどを含む多層基板を開示する。
特開平04−297023号公報 特表2007−523472号公報 特開2003−165798号公報
しかし、上記のようにサファイア基板の熱膨張係数はGaN結晶体の熱膨張係数に比べて非常に大きいため、成長したGaN結晶体は結晶成長後の冷却時に結晶成長方向に凸に大きく反り、結晶成長方向に凸に大きく反ったGaN膜が得られる。ここで、サファイア基板の主面の直径を大きくするほど、そのGaN結晶体の上記冷却時における反りが大きくなる(具体的には、得られるGaN膜の反りは、サファイア基板における主面の直径の2乗にほぼ比例する)。このため、主面の直径が大きくなるほど、反りの小さいGaN膜を得ることは困難である。
また、上記の特表2007−523472号公報(特許文献2)に開示された複合支持基板および特開2003−165798号公報(特許文献3)に開示された多層基板は、その熱膨張係数がGaN結晶体の熱膨張係数に近似しているため、その上に成長させるGaN層の反りを小さくすることができる。しかしながら、かかる複合支持基板および多層基板は、その構造が複雑であるため、その構造の設計が難しく、またその構造の形成が難しいことから、設計および製造のためのコストが非常に高くなり、GaN膜を製造するコストが非常に高くなる。
そこで、上記のようなサファイア基板、複合支持基板または多層基板に替えて、成長させる半導体結晶体と熱膨張係数が同一または近似するシリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体を基体としてその基体上に半導体結晶層が形成された複合基板を用いて、かかる複合基板の半導体結晶層上に半導体結晶体を成長させることにより半導体結晶体を製造する方法が検討されている。
しかしながら、一般的なシリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体においては、1000℃以上の高温領域において温度の上昇とともにその熱膨張係数が急激に変化する現象、具体的には10℃当たり0.5×10-6-1以上で変化する現象(この現象を熱膨張係数のとび現象ともいう。以下同じ。)が現れる。このため、シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む一般的な複合酸化物焼結体を基体として含む複合基板を用いて、1000℃以上の高温領域で半導体結晶体を成長させる場合には、複合基板および/または半導体結晶体にクラックが発生するという問題点があった。
本発明は、上記の問題点を解決するため、1000℃以上の高温領域においても上記の熱膨張係数のとび現象が現れないシリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体を製造することを目的とする。
本発明は、シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体の製造方法であって、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成する工程と、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体を形成する工程と、を含む複合酸化物焼結体の製造方法である。
本発明にかかる複合酸化物焼結体の製造方法においては、複合酸化物焼結体を形成する工程において、焼結温度を1600℃以下とすることができる。ここで、シリカ−アルミナ粉末を形成する工程は、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して第1混合粉末を形成するサブ工程と、第1混合粉末を仮焼してシリカ−アルミナ粉末を形成するサブ工程と、を含むことができる。また、複合酸化物焼結体を形成する工程は、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して第2混合粉末を形成するサブ工程と、第2混合粉末を成形するサブ工程と、成形された第2混合粉末を焼結して複合酸化物焼結体を形成するサブ工程と、を含むことができる。
本発明によれば、1000℃以上の高温領域においても上記の熱膨張係数のとび現象が現れないシリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体を製造することができる。
本発明にかかる複合酸化物焼結体の製造方法を示すフローチャートである。
図1を参照して、本発明の一実施形態である複合酸化物焼結体の製造方法は、シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体の製造方法であって、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成する工程S10と、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体を形成する工程S20と、を含む。
本実施形態の複合酸化物焼結体の製造方法は、シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体を形成する際に、従来のようにシリカ粉末とアルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末を一度に混合して焼結するという1段階の工程の方法ではなく、工程S10においてシリカ粉末とシリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成した後、工程S20においてシリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体を形成するという2段階の工程の方法であることを特徴とする。
従来のようなシリカ粉末とアルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末を一度に混合して焼結する方法により得られる複合酸化物焼結体は、熱膨張計(ブルカー・エイエックスエス株式会社製TD5000SA)により熱膨張係数の温度依存性分析を行なうと、1100℃付近において複合酸化物焼結体の熱膨張係数が急激に(10℃当たり0.5×10-6-1以上に)増大した。このような従来の方法で得られる複合酸化物焼結体は、XRD(X線回折)分析を行なうと、ムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相の他に、シリカのクリストバライト相が検出される。
これに対して、本実施形態の製造方法により得られる複合酸化物焼結体は、熱膨張係数の温度依存性分析において1000℃から1400℃までの高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象(複合酸化物焼結体の熱膨張係数が急激に変化する現象)は認められず、XRD分析においてムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相は検出されるがシリカのクリストバライト相は検出されない。すなわち、本実施形態の製造方法により、シリカのクリストバライト相の形成が抑制されることにより、1000℃から1400℃までの高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象が抑制された複合酸化物焼結体が得られるものと考えられる。
(シリカ−アルミナ粉末を形成する工程)
図1を参照して、本実施形態の複合酸化物焼結体の製造方法は、まず、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成する工程S10を含む。
シリカ−アルミナ粉末を形成する工程S10は、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末が得られる工程であれば、特に制限はないが、効率的にシリカ−アルミナ粉末を得る観点から、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して第1混合粉末を形成するサブ工程S11と、第1混合粉末を仮焼してシリカ−アルミナ粉末を形成するサブ工程S12と、を含むことが好ましい。
第1混合粉末を形成するサブ工程S11において、原料として用いられるシリカ粉末およびアルミナ粉末は、特に制限はないが、化学組成および粒径の分布が小さい均一なシリカ−アルミナ粉末を得る観点から、純度は99.9質量%以上が好ましく99.99質量%以上がより好ましく、平均粒径は0.1μm以上10μm以下が好ましく0.5μm以上5μm以下がより好ましい。また、シリカ粉末とアルミナ粉末との混合質量比は、特に制限はないが、ムライト以外の物質の生成を抑制する観点から、シリカ粉末:アルミナ粉末が1:2〜2:3が好ましく、3:5〜2:3がより好ましい。また、シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合する方法は、特に制限はないが、効率的に混合する観点から、ボールミルによる混合方法などが好ましい。
シリカ−アルミナ粉末を形成するサブ工程S12において、第1混合粉末を仮焼する方法は、特に制限はないが、化学組成および粒径の分布が小さい均一なシリカ−アルミナ粉末を得る観点から、大気雰囲気中あるいは酸素雰囲気中における仮焼法が好ましく、仮焼圧力は0.5気圧以上1.5気圧以下が好ましく、仮焼温度は1000℃以上1400℃未満が好ましい。仮焼圧力が0.5気圧以上であると中間焼結体中および複合酸化物焼結体中の酸素欠損を抑制することができ、仮焼圧力が1.5気圧以下であると仮焼設備を簡便にできる。仮焼温度が1000℃以上であると中間焼結体および複合酸化物焼結体を高密度化でき、仮焼温度が1400℃未満であると仮焼の際に粒子の成長を抑制することができる。
こうして得られるシリカ−アルミナ粉末は、シリカおよびアルミナを含む複合酸化物粉末であり、シリカとアルミナとの組成質量比は、シリカ粉末とアルミナ粉末との混合質量比に対応して変動し、ムライト(化学組成式が3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2またはAl613Si2)粉末などが代表例として挙げられる。
(複合酸化物焼結体を形成する工程)
図1を参照して、本実施形態の複合酸化物焼結体の製造方法は、次に、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体を形成する工程S20を含む。
複合酸化物焼結体を形成する工程S20は、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより複合酸化物焼結体が得られる工程であれば特に制限はないが、効率的に複合酸化物焼結体を得る観点から、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して第2混合粉末を形成するサブ工程S21と、第2混合粉末を成形するサブ工程S22と、成形された第2混合粉末を焼結して複合酸化物焼結体を形成するサブ工程S23と、を含むことが好ましい。
第2混合粉末を形成するサブ工程S21において、シリカ−アルミナ粉末と混合されるイットリア安定化ジルコニア粉末は、特に制限はないが、化学組成および粒径の分布が小さい均一な第2混合粉末を得る観点から、純度は99.9質量%以上が好ましく99.99質量%以上がより好ましく、平均粒径は0.1μm以上10μm以下が好ましく0.5μm以上5μm以下がより好ましく、ジルコニアに対するイットリアの組成モル比は5モル%以上20モル%以下が好ましく8モル%以上15モル%以下がより好ましい。また、シリカ−アルミナ粉末との混合質量比は、特に制限はないが、GaNとの熱膨張係数の整合性が高い観点から、シリカ−アルミナ粉末:イットリア安定化ジルコニア粉末が80:20〜60:40が好ましく、75:25〜65:35がより好ましい。また、シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合する方法は、特に制限はないが、効率的に混合する観点から、ボールミルによる混合方法などが好ましい。
第2混合粉末を成形するサブ工程S22において、第2混合粉末を成形する方法は、特に制限はないが、効率的に成形する観点から、プレスおよびCIP(冷間等方圧プレス)による成形方法などが好ましい。
複合酸化物焼結体を形成するサブ工程S23において、成形された第2混合粉末を焼結する方法は、特に制限はないが、効率的に第2混合粉末を焼結する観点から、大気圧における焼結方法、HIP(熱間等方圧プレス)による焼結方法、ホットプレスによる焼結方法などが好ましく、焼結圧力は0.5気圧以上1.5気圧以下が好ましく、焼結温度は1400℃以上1600℃以下が好ましい。焼結温度が1400℃以上であると焼結を十分に促進することができ、焼結温度が1600℃以下であると複合酸化物焼結体を形成する粒子の粒径を小さくすることができ、粒界での応力が十分に緩和されるため、複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象の抑制効果を高く維持することができる。
なお、密度が高く均一な複合酸化物焼結体を形成する観点から、複合酸化物焼結体を形成するサブ工程S23は、複数回の焼結工程を含み、1回目の焼結工程の焼結圧力よりも2回目以後の焼結工程の焼結圧力を高くすることが好ましい。たとえば、2回の焼結工程を含み、1回目の焼結工程を大気圧における焼結とし、2回目の焼結工程をHIPによる焼結とすることが好ましい。
(実施例1)
1.原料の準備
原料として、純度が99.999質量%で平均粒径が0.5μmのシリカ粉末、純度が99.999質量%で平均粒径が0.5μmのアルミナ粉末、および純度が99.999質量%で平均粒径が0.5μmのイットリア安定化ジルコニア粉末を準備した。ここで、イットリア安定化ジルコニウム粉末におけるジルコニアに対するイットリアの組成モル比は8モル%であった。
2.複合酸化物焼結体の製造
準備したシリカ粉末とアルミナ粉末とをボールミルにより混合して第1混合粉末を得た。ここで混合質量比は、シリカ粉末:アルミナ粉末が28.2:71.8とした。次いで、第1混合粉末を、乾燥させた後、大気圧中1300℃で10時間仮焼して、シリカ−アルミナ粉末であるムライト粉末を得た。次いで、ムライト粉末(シリカ−アルミナ粉末)とイットリア安定化ジルコニア粉末をボールミルにより混合して第2混合粉末を得た。ここで混合質量比は、ムライト粉末(シリカ−アルミナ粉末):イットリア安定化ジルコニア粉末が70:30とした。次いで、第2混合粉末を、室温(25℃)中5MPaの圧力でプレス成形した後、25℃100MPaでCIP(冷間等方圧プレス)成形した。成形された第2混合粉末を大気圧中1600℃で10時間焼結させて複合酸化物焼結体Iを得た。
3.複合酸化物焼結体の評価
得られた複合酸化物焼結体Iは、熱膨張計(ブルカー・エイエックスエス株式会社製TD5000SA)により熱膨張係数の温度依存性分析を行なったところ、1000℃から1400℃までの高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象(複合酸化物焼結体の熱膨張係数が10℃当たり0.5×10-6-1以上に急激に変化する現象)は認めらなかった。また、XRD分析を行なったところ、ムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相は検出されるがシリカのクリストバライト相は検出されなかった。結果を表1にまとめた。
(実施例2)
成形された第2混合粉末を大気圧中1400℃で10時間焼結させたこと以外は、実施例1と同様にして、複合酸化物焼結体IIを得た。得られた複合酸化物焼結体IIは、1000℃から1400℃までの高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象は認められず、ムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相は検出されるがシリカのクリストバライト相は検出されなかった。結果を表1にまとめた。
(実施例3)
成形された第2混合粉末を大気圧中1500℃で10時間焼結させたこと以外は、実施例1と同様にして、複合酸化物焼結体IIIを得た。得られた複合酸化物焼結体IIIは、1000℃から1400℃までの高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象は認められず、ムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相は検出されるがシリカのクリストバライト相は検出されなかった。結果を表1にまとめた。
(比較例1)
1.原料の準備
原料として、実施例1と同様のシリカ粉末、アルミナ粉末およびイットリア安定化ジルコニア粉末を準備した。
2.複合酸化物焼結体の製造
準備したシリカ粉末とアルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とをボールミルにより混合して混合粉末を得た。ここで混合質量比は、シリカ粉末:アルミナ粉末が28.2:71.8であり、シリカ粉末およびアルミナ粉末の合計:イットリア安定化ジルコニア粉末が70:30であった。次いで、混合粉末を、室温(25℃)中5MPaでプレス成形した後、25℃100MPaでCIP(冷間等方圧プレス)成形した。成形された第2混合粉末を大気圧中1600℃で10時間焼結させて複合酸化物焼結体RIを得た。
3.複合酸化物焼結体の評価
得られた複合酸化物焼結体RIは、1100℃付近の高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数が10℃当たり0.5×10-6-1以上に急激に大きくなる現象が認められ、ムライト相およびイットリア安定化ジルコニア相の他にシリカのクリストバライト相が検出された。結果を表1にまとめた。
Figure 2013155074
表1を参照して、比較例1に示すように、従来の一般的な製造方法により得られる複合酸化物焼結体RIは、シリカのクリストバライト相が形成され、1100℃付近の高温領域で複合酸化物焼結体の熱膨張係数のとび現象(熱膨張係数が10℃当たり0.5×10-6-1以上に急激に変化する現象)が認められる。これに対して、実施例1〜3に示すように、本発明にかかる製造方法により得られた複合酸化物焼結体I〜IIIは、シリカのクリストバライト相が形成されず、1000℃〜1400℃の高温領域で熱膨張係数のとび現象が認められない。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述のように、本発明にかかる製造方法により得られる複合酸化物焼結体は、1000℃〜1400℃の高温領域で熱膨張係数のとび現象がないため、1000℃〜1400℃の高温領域での結晶成長を含む半導体結晶体を成長させるための基体として好適に利用できる。具体的には、本発明にかかる製造方法により得られる複合酸化物焼結体を基体として、成長させる半導体結晶体と化学組成が同一または近似する半導体結晶層を上記基体上に直接または中間層を介在させて形成した複合基板を準備し、かかる複合基板の半導体結晶層上に半導体結晶体を成長させることにより、クラックを発生させることなく結晶性の高い半導体結晶体が得られる。
また、本発明にかかる製造方法により得られる複合酸化物焼結体は、上述と同様の観点から、1000℃〜1400℃の高温領域を含む温度領域で使用される各種構造材としても好適に利用できる。

Claims (4)

  1. シリカとアルミナとイットリア安定化ジルコニアとを含む複合酸化物焼結体の製造方法であって、
    シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合して仮焼することによりシリカ−アルミナ粉末を形成する工程と、
    前記シリカ−アルミナ粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して焼結することにより前記複合酸化物焼結体を形成する工程と、を含む複合酸化物焼結体の製造方法。
  2. 前記複合酸化物焼結体を形成する工程において、焼結温度が1600℃以下である請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
  3. 前記シリカ−アルミナ粉末を形成する工程は、前記シリカ粉末と前記アルミナ粉末とを混合して第1混合粉末を形成するサブ工程と、前記第1混合粉末を仮焼してシリカ−アルミナ粉末を形成するサブ工程と、を含む請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
  4. 前記複合酸化物焼結体を形成する工程は、前記シリカ−アルミナ粉末と前記イットリア安定化ジルコニア粉末とを混合して第2混合粉末を形成するサブ工程と、前記第2混合粉末を成形するサブ工程と、成形された前記第2混合粉末を焼結して前記複合酸化物焼結体を形成するサブ工程と、を含む請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
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