JP2013155017A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】個体差を考慮しつつ、実際の給紙の状況に応じて無給紙ジャム検知時間を設定して、頻繁に無給紙ジャムを検知することによる使用者の煩雑さを解消する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成部と、用紙が載置される載置部と、用紙を画像形成部に向けて給紙する給紙回転体と、供給された用紙の到達を検知する検知体と、給紙開始から用紙の到達を検知するまでの時間である計測時間に基づく計測データを記憶する記憶部と、給紙開始から検知体が用紙の到達を検知するまでの時間が無給紙ジャム検知時間を越えると、無給紙ジャムが発生したと判断する判断部と、を含み、予め定められた理論時間よりも平均時間の方が長いとき、検知基準時間に理論時間と平均時間の時間差の絶対値を加算した時間を無給紙ジャム検知時間と定める。
【選択図】図8

Description

本発明は、給紙部から給紙がなされたか否かを判断する(無給紙ジャム検知を行う)画像形成装置に関する。
一般に、画像形成装置は、印刷に用いる用紙を収容し、用紙を1枚ずつ送り出す給紙部を有する。そして、給紙部よりも用紙搬送方向下流側にセンサー設け、給紙されたかを検知し、適切に給紙されていないと認められたとき、無給紙ジャム発生として画像形成装置の印刷に関する動作を停止させることがある。ここで、ローラーは用紙と接するので摩耗し、ローラーは累計稼働時間が長くなるほど、給紙能力、搬送能力は低下傾向を示す。そこで、ローラーの累計稼働時間に着目し、累計稼働時間が長くなるほど不給紙のジャムの検知時間を延ばす発明が特許文献1に記載されている。
具体的に、特許文献1には、一枚ずつ記録紙を分離して搬送する給紙手段と、給紙手段の駆動時間(稼働累計時間)を計測する計測手段と、少なくとも給紙手段の駆動時間と不給紙ジャム(無給紙ジャム)検知タイマ値とが対応付けられた参照テーブルを取得する取得手段と、駆動時間と参照テーブルとに基づいて不給紙ジャム検知タイマ値を特定する特定手段と、特定された不給紙ジャム検知タイマ値に基づいて、不給紙ジャム(無給紙ジャム)の発生の有無を判断する判断手段と、を備えた給紙装置が記載されている。この構成により、不給紙ジャム(無給紙ジャム)の検知頻度を抑制しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0005]等参照)。
特開2007−297199号公報
画像形成装置では、給紙開始(回転体の回転開始)から定められた無給紙ジャム検知時間が経過してもセンサーが用紙到達を検知しなければ、給紙部からの給紙がなされていない状態として、無給紙ジャム発生と判断される。無給紙ジャムのエラー発生と判断されると、画像形成装置では、給紙、用紙搬送、画像形成等の印刷に関する動作が停止される。そして、使用者による無給紙ジャムのジャム処理(用紙の確認等)がなされる。
給紙が遅れる要因(無給紙ジャムが生ずる要因)は、多様である。例えば、無給紙ジャムが生ずるか否かは、用紙の載置状態や、セットされた用紙の滑りやすさ(摩擦係数の小ささ)に影響を受ける。又、給紙用のローラーの稼働累計時間(摩耗の程度)も無給紙ジャムが発生するか否かに影響を与える。更に、無給紙ジャムが発生しやすいといえる個体があり、画像形成装置ごとの個体差もある。
もし、無給紙ジャム検知時間が固定であれば、給紙(用紙の送り出し)が遅れる傾向が現れると、無給紙ジャムの発生が頻繁に検知され、印刷が頻繁に停止することがある。必要以上に頻繁な無給紙ジャムの検知は、使用者に繰り返しの無給紙ジャムの処理作業を強いる。更に、上述のように、無給紙ジャムを発生させる(給紙を遅れさせる)要因は様々であるとともに画像形成装置や給紙部の個体差もあるので、無給紙ジャム検知時間をどのような画像形成装置でも一様に定めることは好ましくない。従って、実際の給紙、搬送の状況に応じて無給紙ジャム検知時間を定める必要があるという問題がある。
ここで、特許文献1記載の給紙装置は、給紙手段の稼働累計時間に基づき、不給紙ジャム(無給紙ジャム)検知タイマ値(無給紙ジャム検知時間)を定める。しかし、想定される以上にローラーの摩耗が進行している場合もある。又、ローラーが摩耗していなくても、ローラーの汚れ(例えば、紙粉の付着)によってスリップが生じやすくなることもある。更に、特許文献1記載の給紙装置では個体差は一切考慮されず、どの装置でも給紙手段の稼働累計時間に応じて無給紙ジャム検知時間が一様に定まる。従って、特許文献1記載の技術では、実際の給紙、搬送の状況を考慮せず、必要以上に頻繁に無給紙ジャムを検知し、適切な(最適な)無給紙ジャム検知時間を設定できない場合がある。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の個体ごとの特性を考慮しつつ、実際の給紙の状況に応じて無給紙ジャム検知時間を設定して、頻繁に無給紙ジャムを検知することによる使用者の煩雑さを解消することを課題とする。
請求項1に係る画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、印刷に用いる複数枚の用紙が載置される載置部と、前記載置部に載置された用紙を前記画像形成部に向けて給紙する給紙回転体と、前記画像形成部と前記給紙回転体間の用紙搬送経路に設けられ、前記給紙回転体により供給された用紙の到達を検知する検知体と、前記給紙回転体の回転開始による給紙開始から前記検知体が用紙の到達を検知するまでの時間である計測時間に基づく計測データを記憶する記憶部と、前記給紙開始から前記検知体が用紙の到達を検知するまでの時間が無給紙ジャム検知時間を越えると、無給紙ジャムが発生したと判断する判断部と、を含み、前記判断部は前記計測時間の平均時間を求め、前記計測時間に対して予め定められた理論時間よりも前記平均時間の方が長いとき、前記無給紙ジャム検知時間の基準として予め定められた検知基準時間に前記理論時間と前記平均時間の時間差の絶対値を加算した時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、定めた前記無給紙ジャム検知時間に基づき無給紙ジャムが発生したか否かを判断することとした。
この構成によれば、判断部は計測時間の平均時間を求め、計測時間に対して予め定められた理論時間よりも平均時間の方が長いとき、無給紙ジャム検知時間の基準として予め定められた検知基準時間に理論時間と平均時間の時間差の絶対値を加算した時間を無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。これにより、平均時間が理論時間よりも長く、給紙で遅れの傾向が見られるとき、無給紙ジャム検知時間が延ばされる。従って、画像形成装置の個体としての特性や実際の給紙の状況に応じて無給紙ジャム検知時間を設定し、必要以上に頻繁な無給紙ジャムの発生検知を防ぐことができる。又、無給紙ジャム発生検知による画像形成装置の印刷動作の停止や無給紙ジャムの処理作業の回数を減らすことができ、使用者の使いやすさを高めることができる。
尚、「理論時間」は、給紙回転体の回転開始(給紙開始)から検知体が用紙を検知するまでの理想的な時間である。「理論時間」は任意に定めることができる。例えば、「理論時間」は基準位置に載置された用紙の先端から検知体までの搬送距離を仕様上、理想的な搬送速度で除して求めることができる。又、「検知基準時間」は画像形成装置の開発、設計において定められる時間であり、任意に定めることができる時間である。「検知基準時間」は給紙回転体の回転開始(給紙開始)から検知体が用紙を検知するまでの時間(理論時間)に給紙回転体のすべり等を考慮した設計的なマージンとしての時間を加えた時間である(検知基準時間>理論時間)。
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記載置部の取り付け、取り外しを検知するための着脱検知体を有し、前記判断部は、前記載置部が取り付けられてから次に取り外されるまでの前記計測時間に基づき前記平均時間を求め、前記無給紙ジャム検知時間を定めることとした。
載置部の取り外しに伴い、用紙の交換がなされることがある。交換前と交換後では用紙の種類(表面の滑りやすさや厚さ等)が変わることがある。又、載置部の取り外しに伴って、用紙の載置状態が変化することもある。そこで、この構成によれば、判断部は、載置部が取り付けられてから次に取り外されるまでの計測時間に基づき平均時間を求め、無給紙ジャム検知時間を定める。これにより、載置部が取り外され、載置された用紙の状態が変化するごとに平均時間を求める対象がリセットされる。従って、用紙の載置状態や種類の変化に応じて平均時間を求めて無給紙ジャム検知時間を定めることができる。
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記給紙回転体は、回転開始後、一旦停止した後、再び回転して給紙を行うリトライを行うとともに、前記平均時間が長いほど多い回数の前記リトライを行い、前記判断部は、前記給紙回転体の最後の前記リトライが完了してから無給紙ジャムが発生したと判断することとした。
給紙の遅れの程度が大きくなるほど、給紙回転体がスリップしやすく、載置部から用紙を送り出し難くなっていると想定される。そこで、この構成によれば、給紙回転体は、回転開始後、一旦停止した後、再び回転して給紙を行うリトライを行うとともに、平均時間が長いほど多い回数のリトライを行い、判断部は、給紙回転体の最後のリトライが完了してから無給紙ジャムが発生したと判断する。これにより、載置部から用紙を送り出しにくくなっている可能性があるとき、リトライ回数を増やすことができる。これにより、用紙を送り出しを促す回数を増やし、無給紙ジャム発生の検知の頻度を少なくすることができる。
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、報知を行う報知部を有し、前記理論時間よりも前記平均時間が長く、前記絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、前記報知部は給紙に関するメンテナンスを促す報知を行うこととした。
この構成によれば、理論時間よりも平均時間が長く、絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、報知部は給紙に関するメンテナンスを促す報知を行う。これにより、平均時間が長くなり(無給紙ジャム検知時間が長くなり)、明らかに給紙の遅れが目立つとき、使用者にメンテナンスの必要性を報知することができる。尚、「許容値」は任意に定めることができる値(時間)である。例えば、「許容値」は時間差の絶対値が給紙回転体等のメンテナンスや交換が必要なほどの大きさであるか否かを判定するための値である。
又、請求項5に係る発明は、請求項4の発明において、前記判断部は、前記理論時間よりも前記平均時間が長く、前記絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、前記検知基準時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断することとした。
この構成によれば、判断部は、理論時間よりも平均時間が長く、絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、検知基準時間を無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。これにより、メンテナンスを促す報知に加え、あえて無給紙ジャムの発生を検知されやすくし、メンテナンスが必要であることを使用者に強く認識させることができる。
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記判断部は、前記理論時間が前記平均時間以上であるとき、前記検知基準時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断することとした。
この構成によれば、判断部は、理論時間が平均時間以上であるとき、検知基準時間を無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。これにより、平均時間が理論時間よりも短くて給紙で遅れが認められないとき、無給紙ジャム検知時間を設計上、仕様上、最短の時間に合わせることができる。これにより、用紙が送り出されていない状態であれば、速やかに無給紙ジャムの発生を検知することができる。
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記判断部が無給紙ジャム発生と判断したとき、前記給紙回転体は給紙を停止し、前記画像形成部は画像形成を停止することとした。
この構成によれば、判断部が無給紙ジャム発生と判断したとき、給紙回転体は給紙を停止し、画像形成部は画像形成を停止する。これにより、用紙の詰まりの深刻化を回避し、不必要なトナー像形成をせずに済ますことができる。
本発明によれば、画像形成装置の個体ごとの特性を考慮し、実際の給紙の状況に応じて無給紙ジャム検知時間を設定することができる。そして、給紙の遅れが生じやすい状態でも、頻繁に無給紙ジャム発生と検知してしまうことを防ぐことができる。これにより、頻繁な無給紙ジャムの発生検知により、頻繁に印刷、給紙の停止が生ずることを防ぐことができる。又、使用者による頻繁な無給紙ジャムのジャム処理作業を減らすことができ、使用者の煩雑さを解消することができる。
複合機の模型的正面断面図である。 画像形成部の一部拡大模型的断面図である。 複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 エンジン部の制御と無給紙ジャム検知を説明するためのブロック図である。 各種時間の概念を説明するための説明図である。 無給紙ジャム検知時間の設定の流れの一例を示すフローチャートである。 リトライ回数設定用データの一例を示す説明図である。 無給紙ジャム検知の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図1〜図8を参照しつつ説明する。本説明では、複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の構成の概要)
まず、図1、図2を用い、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は複合機100の模型的正面断面図である。図2は、画像形成部6の一部拡大模型的断面図である。
図1に示すように、複合機100の上部には原稿の画像を読み取る原稿搬送部1aが配される。又、原稿搬送部1aの下方に画像読取部1bが配される。
まず、原稿搬送部1aには、読み取りを行う原稿が載置される。そして、原稿搬送部1aは1枚ずつ原稿を読み取り位置(画像読取部1b上面の送り読取用コンタクトガラス11)に向けて搬送する。原稿は、送り読取用コンタクトガラス11に接するように自動かつ連続的に搬送される。尚、紙面奥側設けられた支点(不図示)により、原稿搬送部1aは上方に持ち上げ可能であり、例えば書籍等の原稿を画像読取部1bの上面の載置読取用コンタクトガラス12に載せることもできる。
次に、画像読取部1bはスキャナとしてユニット化される。又、画像読取部1bは載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿や、送り読取用コンタクトガラス11上を搬送される原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部1b内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。
そして、これらの光学系部材を用い、画像読取部1bは載置される原稿や搬送される原稿に光を照射する。画像読取部1bは原稿の反射光を受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。複合機100は読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、複合機100は読み取りにより得られた画像データをコンピューター200等に送信することができる(図3参照、スキャン機能、送信機能)。
又、複合機100の正面前方には、複合機100の動作開始を指示するためのスタートキー21や、液晶表示部22(報知部に相当)を有する操作パネル2(報知部に相当)が設けられる(図1に破線で図示)。液晶表示部22は複合機100の状態表示を行う他、機能選択用のメニューや設定値設定用のキーなどを表示する。選択された(押された)メニューやキーを認識するため、液晶表示部22はタッチパネル式である。
そして、複合機100の内部には印刷を行うエンジン部3(図3参照)が設けられる。エンジン部3は給紙部4、搬送部5、画像形成部6、中間転写部7a、定着部7b等を含む。
給紙部4は記録媒体として用紙P(A4、B4等の各サイズ)等の用紙Pを収納し、画像形成の際、用紙Pを供給する。図1では、給紙部4を1つのみ図示するが、本実施形態の複合機100では、上下方向に重ねる等により給紙部4を増設できる。従って、複合機100は複数個の給紙部4を含み得る。
そして、給紙部4は複数の用紙P(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容、載置するカセット41(載置部に相当)を含む。カセット41内には用紙Pが載置され、用紙搬送方向下流側が上方に付勢される載置板42が設けられる。又、給紙部4には、カセット41から搬送部5に送り出すため回転駆動する給紙ローラー40(給紙回転体に相当)が設けられる。給紙ローラー40は回転し、用紙Pを1枚ずつ搬送部5に送り込む。
又、後述のレジストローラー対54と給紙ローラー40の間に給紙センサー43(検知体に相当)が設けられる。具体的に、給紙センサー43は給紙部4の出口(給紙ローラー40の用紙搬送方向下流側近傍)に設けられる。そして、給紙センサー43は載置板42から送り出された用紙Pの到達、通過を検知するためのセンサーである。又、例えば、給紙センサー43は用紙Pと接すると回転するアクチュエーターを備えた透過型光センサーである。アクチュエーターは、用紙Pが存在していないとき、発光部と受光部間の光路を遮り、用紙Pと接して回転すると発光部からの光が受光部に到達し、受光部(センサー)の出力が変化する。尚、給紙センサー43は透過型の光センサーに限られず、用紙Pからの反射光で用紙Pの到達、通過を検知する反射型光センサーでもよいし、又、光センサーに限られず、他種のセンサー(例えば、超音波センサー)でもよく、給紙された用紙Pの到達、通過を検知可能なセンサーであればよい。
又、給紙部4には、カセット41が取り付けられているか取り外されているかを検知するため、着脱検知センサー44(着脱検知体に相当)が設けられる。例えば、着脱検知センサー44は、各カセット41の一面と接するインターロック式のスイッチでもよいし、反射式の光センサーでもよく、カセット41の挿脱の状態を検知できればよい。
又、搬送部5は供給された用紙Pを排出トレイ51まで搬送する。そのため、搬送部5には、搬送ローラー対52、53等が設けられる。又、搬送部5には、画像形成部6での画像形成(トナー像形成)にタイミングをあわせて用紙Pを中間転写部7aに送り込むレジストローラー対54も設けられる。
又、搬送部5には、レジストローラー対54への用紙Pの到達や通過を検知するレジストセンサー55が設けられる。レジストセンサー55は、上述の給紙センサー43と同様の透過型光センサーとすることができる。
ここで、図2を用いつつ、画像形成部6を説明する。画像形成部6は画像データに基づき記録媒体に印刷を行うため画像(トナー像)を形成する。そして、画像形成部6は、図1に示すように、4つの画像形成ユニット60Bk(ブラック)、60C(シアン)、60M(マゼンタ)、60Y(イエロー)と、画像データに基づき、光による走査・露光を各感光体ドラム62に対し行って静電潜像を形成する露光装置61を含む。尚、各画像形成ユニット60は使用するトナーの色が異なるが、基本的構成は同様であるから以下の説明では特に説明する場合を除き、Bk、Y、C、Mの記号は省略する。
そして、図2に示すように、各画像形成ユニット60は同図中に示す矢印方向に回転可能に支持され、所定の方向に回転駆動される感光体ドラム62を備える。又、感光体ドラム62の周囲には、帯電装置63、現像装置64、清掃装置65が配される。
帯電装置63は感光体ドラム62の表面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置61は、帯電後の感光体ドラム62表面を画像データにあわせ走査・露光する。そして、現像装置64はトナーを担持し、トナーを感光体ドラム62に飛翔させる。現像装置64は静電潜像に帯電したトナーを供給して現像(可視像化)する。清掃装置65は感光体ドラム62の表面を清掃する。これらの構成により、トナー像が各感光体ドラム62の周面に形成され、トナー像は、用紙Pに1次転写される。
中間転写部7aは画像形成部6に隣接して設けられる。中間転写部7aは画像データに基づき画像形成部6の各感光体ドラム62の周面に形成されたトナー像の1次転写を受け、用紙Pにトナー像の2次転写を行う部分である。そして、中間転写ベルト71は下側の外周面と各感光体ドラム62が当接するように、駆動ローラー72、従動ローラー73、4本の1次転写ローラー74Bk〜74M等に張架される。駆動ローラー72にはモータ、ギア等の駆動手段(不図示)が接続され回転する。中間転写ベルト71は駆動ローラー72の回転により、図1において時計方向(矢印方向)に周回する。ここで、1次転写ローラー74Bk〜74Mは、各感光体ドラム62に対向して1本ずつ回転可能に配され、1次転写ローラー74Bk〜74Mに所定の大きさの電圧が印加される。電圧印加により各色のトナー像が、各感光体ドラム62から中間転写ベルト71に1次転写される。この1次転写の際、各色のトナー像はずれなく重ね合わせられる。
そして、中間転写部7aには、中間転写ベルト71に当接し、駆動ローラー72に対向し、回転可能に支持される2次転写ローラー75が設けられる。中間転写ベルト71上のトナー像の駆動ローラー72と中間転写ベルト71のニップ(2次転写ニップ)への進入にあわせ、レジストローラー対54は用紙Pを2次転写ニップに送り込む。トナー像と用紙Pが2次転写ニップに進入しているとき、所定の電圧が2次転写ローラー75に印加される。これにより、トナー像は用紙Pに2次転写される。ベルトクリーニング装置76は残トナー等を中間転写ベルト71から除去し、清掃する。
定着部7bは用紙Pに転写されたトナー像を定着させる。用紙Pは定着部7bを通過する際に加圧・加熱され、トナー像が用紙Pに定着する。その後、用紙Pは排出トレイ51に排出され、画像形成が完了する。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図3は複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、実施形態に係る複合機100は内部に制御部8を有する。制御部8は複合機100全体の制御を司る。例えば、制御部8はCPU81、記憶装置82等を含む。又、制御部8は各種画像処理を行う画像処理部83と接続される。印刷時、画像処理部83が処理した画像データは露光装置61に送られる。画像処理部83が処理した各ページの画像データに基づき、露光装置61は各感光体ドラム62の走査、露光を行う。
CPU81は、中央演算処理装置であって、記憶装置82に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。記憶装置82は、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の複数種の記憶媒体で構成される。記憶装置82は複合機100の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取部1bでのスキャンにより得られた画像データ等を記憶する。
そして、制御部8は原稿搬送部1aや、画像読取部1bや、複合機100内のエンジン部3(給紙部4、搬送部5、画像形成部6、定着部7bなどの印刷に関する部分)、操作パネル2等と接続され、記憶装置82の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。尚、制御部8を全体制御や画像処理を行うメイン制御部や、通信を制御する通信制御部等、機能ごとに分割し、制御を行う部分が複数種設けられてもよい。
そして、エンジン部3には、制御部8の指示を受け、エンジン部3の動作を実際に制御するエンジン制御部9(判断部に相当)が設けられる。エンジン制御部9は、制御部8の指示に基づき、印刷での用紙搬送や画像形成や定着などの制御を行う(詳細は後述)。
更に、制御部8は各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部84と接続される。通信部84はネットワークやケーブルや公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、相手方のFAX装置300と複合機100とを通信可能に接続する。例えば、画像読取部1bでの読み取りにより得られた画像データを外部のコンピューター200やFAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200やFAX装置300からの画像データを記憶装置82に蓄積したり、印刷したりすることもできる(プリンタ機能、FAX機能)。
(エンジン部3の制御と無給紙ジャム検知)
次に、図4を用いて、実施形態に係る複合機100での無給紙ジャム検知の概要を説明する。図4は、エンジン部3の制御と無給紙ジャム検知を説明するためのブロック図である。
まず、エンジン部3には、エンジン制御部9が設けられる。エンジン制御部9は用紙搬送や画像形成(トナー像形成)を制御するための演算、処理を行う。エンジン制御部9はエンジン部3に含まれる各部分を制御するためのプログラムやデータを記憶するエンジンメモリー91(記憶部に相当)を含む。又、例えば、エンジン制御部9にはエンジンCPU92が設けられる。エンジンCPU92はエンジンメモリー91に記憶されたデータやプログラムに基づき、エンジン部3に含まれる部分の動作を制御する。例えば、エンジンCPU92は給紙や、用紙搬送や、トナー像の形成タイミング等を制御する。
例えば、エンジン制御部9は画像(トナー像)の形成開始にともない、画像形成部6の露光装置61の動作制御を行い、各色の感光体ドラム62の走査、露光を行わせる。又、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は画像形成ユニット60での電圧印加等を制御して帯電、現像等、静電潜像やその現像に関する動作を行わせる。又、例えば、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は各画像形成ユニット60に設けられた回転体を回転させるメインモーター66を駆動させる。
又、例えば、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は中間転写部7aの中間転写ベルト71を回転させる中間転写モーター77を動作させ、中間転写ベルト71を周回させる。又、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は各転写ローラーへの電圧印加を制御して、トナー像の中間転写ベルト71や用紙Pへの転写を制御する。
又、例えば、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は定着部7bに設けられた定着ヒーター78により定着部7bの温度制御を行う。又、印刷ジョブ中、エンジン制御部9は定着部7bでのトナー像が転写された用紙Pの加熱用や加圧用の回転体を回転させる定着モーター79を駆動させる。
又、エンジン制御部9は給紙部4から排出トレイ51に向けての複合機100の機内での用紙供給と搬送を制御する。用紙Pを搬送するために回転する回転体として、給紙ローラー40、レジストローラー対54、搬送ローラー対52、53などが設けられる。そして、これらの給紙や搬送用の回転体を回転させる搬送モーター93が複合機100内に設けられる。尚、給紙ローラー40用に1個、レジストローラー対54用に1個というように、給紙や用紙搬送に用いるモーターは、複数設けられても良い。
エンジン制御部9は給紙や用紙搬送を行うとき、搬送モーター93を回転させる。搬送モーター93の回転の駆動力は、搬送モーター93の駆動軸に接続されたギア列(不図示)を介して、給紙ローラー40、レジストローラー対54、搬送ローラー対52、53に伝達される。
例えば、エンジン制御部9は紙間を設けつつ給紙するため、給紙ローラー40の回転と停止を繰り返させて、給紙部4から連続的な給紙を行わせる。又、エンジン制御部9は、レジストローラー対54を、用紙到達当初は停止した状態としておき、撓み作成による斜行矯正後、画像形成部6でのトナー像の形成にあわせて回転させる。このように、給紙ローラー40、レジストローラー対54は印刷ジョブの間(用紙搬送を行う間)、常時回転しない。
そこで、給紙ローラー40、レジストローラー対54への駆動力の伝達経路には、給紙クラッチ45、レジストクラッチ56がそれぞれ設けられる。各クラッチ45、56は電磁クラッチである。そして、エンジン制御部9は各クラッチ45、56の連結、開放を制御する。そして、エンジン制御部9は適切に用紙Pを搬送し画像を形成するため、予め定められたタイミングで給紙ローラー40、レジストローラー対54を回転させる。尚、各搬送ローラー対52、53に対しても電磁クラッチを設け、各搬送ローラー対52、53の回転のON/OFF制御ができるようにしてもよい。
又、本実施形態の複合機100では、給紙ローラー40から適切に給紙されたことを検知するため、給紙センサー43が設けられる。給紙センサー43の出力は、エンジン制御部9に入力される。エンジン制御部9は、対応する給紙センサー43の出力を確認し、給紙クラッチ45をONして給紙を開始してから、給紙センサー43が用紙到達を検知するまでの時間(計測時間)を計測する。
そして、計測時間は計測されるごとに、エンジンメモリー91(記憶装置82でもよい)に計測データとして記憶される。そして、無給紙ジャム検知時間T3を求める(定める)ため、エンジン制御部9はエンジンメモリー91に記憶された計測データ(各ページの計測時間)に基づき、計測時間の平均時間を求める(詳細は後述)。
尚、エンジン制御部9は平均時間を求め易くするため、計測時間を加工したデータを測定データとしてエンジンメモリー91に記憶させてもよい。例えば、計測時間が計測される度に、エンジン制御部9は各ページの計測時間の累計と計測時間を測定した累計ページ数をエンジンメモリー91に更新して記憶させるようにしてもよい。この場合、エンジン制御部9は、計測時間を計測したとき、計測時間の累計に計測したての計測時間を加えた時間を今までの累計ページ数に1加算した値で除すことにより、平均時間を求めることができる。
計測時間はエンジン制御部9内に設けられた計時部94が計時してもよいし、エンジンCPU92の計時機能を用いて計時してもよい。そして、給紙開始(給紙クラッチ45の連結による給紙ローラー40の回転開始)から無給紙ジャム検知時間T3内に給紙センサー43が用紙到達を検知しないとき、エンジン制御部9は無給紙ジャム発生として、給紙、用紙搬送、画像形成(トナー像形成)などの画像形成動作を停止させる。
又、レジストローラー対54に用紙Pが到達したことを検知するために、レジストセンサー55が設けられる。レジストセンサー55の出力はエンジン制御部9に入力される。エンジン制御部9はレジストセンサー55の出力変化を確認し、2次転写ローラー75と駆動ローラー72の2次転写ニップへの画像(トナー像)の到達に間に合うように、レジストローラー対54に用紙Pが到達したか否か(用紙未到達が生じたか否か)を確認する。
(無給紙ジャム検知時間T3の設定の流れ)
次に、図5〜図7を用いて、無給紙ジャム検知時間T3の設定の流れの一例を説明する。図5は各種時間の概念を説明するための説明図である。図6は無給紙ジャム検知時間T3の設定の流れの一例を示すフローチャートである。図7はリトライ回数設定用データの一例を示す説明図である。
まず、図5を用いて、無給紙ジャム検知時間T3を求めるうえで関係する各種時間を説明する。
本実施形態の複合機100では、エンジン制御部9は給紙ローラー40の回転開始(図5のt1の時点)から給紙センサー43が用紙到達を検知するまでの時間を計測時間として計測する。
そして、計測時間に関し理論時間T1が定められる。「理論時間T1」は、給紙回転体(給紙ローラー40)の回転開始(給紙開始)から検知体(給紙センサー43)が用紙Pを検知するまでの理想的な時間である。理論時間T1の定めた方は多様である(「理論時間T1」は任意に定めることができる)。例えば、カセット41に正しくセットされた(基準位置にある)用紙Pの先端から給紙センサー43までの距離を仕様上、理想的な用紙搬送速度(給紙ローラー40の周速度)で除すことにより求めることができる。尚、理論時間T1は、予めの実験により給紙ローラー40の回転開始から給紙センサー43の用紙到達検知までの時間を実際に計測し、計測結果に基づき経験的に定めても良い。
そして、無給紙ジャムが発生したか否かを判断するための時間である無給紙ジャム検知時間T3の基準として検知基準時間T2が予め定められる。「検知基準時間T2」は画像形成装置(複合機100)の開発、設計において定められる時間であり、任意に定めることができる時間である。図5に示すように、「検知基準時間T2」は給紙回転体(給紙ローラー40)の回転開始(給紙開始)から検知体(給紙センサー43)が用紙Pを検知するまでの時間(理論時間T1)に給紙回転体(給紙ローラー40)のすべり等を考慮した設計的なマージンとしての時間を加えた時間である(検知基準時間T2>理論時間T1)。例えば、理論時間T1が100ミリ秒で有れば、検知基準時間T2は250ミリ秒というように、「検知基準時間T2>理論時間T1」という関係になる。
そして、本実施形態では計測時間の平均時間が理論時間T1以下であるとき、図5の(a)に示すように、エンジン制御部9は検知基準時間T2を無給紙ジャム検知時間T3と定める。言い換えると、給紙での計測時間が理論値よりも平均的に短くて遅れが認められないとき、エンジン制御部9は無給紙ジャム検知時間T3を予め定められた検知基準時間T2とおりとする。そして、エンジン制御部9は、給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3を経過しても給紙センサー43が用紙到達を検知しないとき、無給紙ジャム発生と判断する。
一方、本実施形態では、計測時間の平均時間が理論時間T1よりも長いとき、図5の(b)に示すように、エンジン制御部9は検知基準時間T2に平均時間と理論時間T1の時間差ΔTの絶対値を加えた時間を無給紙ジャム検知時間T3と定める。言い換えると、給紙での計測時間が理論値よりも平均的に長く遅れの傾向が認められるとき、エンジン制御部9は無給紙ジャム検知時間T3を予め定められた検知基準時間T2よりも長くする。
給紙ローラー40の経年劣化(摩耗)は給紙の遅れを生じさせる要因の1つではある。しかし、給紙の遅れを発生させる要因は様々である。給紙部4(カセット41)への用紙Pのセット状態(載置された状態)や、セットされた用紙Pの滑りやすさ(摩擦係数の小ささ)により、給紙の遅れ、進みの程度は異なる。又、給紙の遅れの生じやすさには、画像形成装置や給紙部4による個体差もある。そこで、本実施形態では、エンジン制御部9は実際の搬送状況(給紙の遅れの状況)が反映、考慮された時間に無給紙ジャム検知時間T3を設定する。
ここで、理論時間T1、検知基準時間T2、各ページ(用紙P)の計測時間(計測データ)はエンジンメモリー91(記憶装置82でもよい)に記憶される。そして、エンジン制御部9は必要に応じエンジンメモリー91等に記憶された各種時間を参照する。
次に、図6に基づき、無給紙ジャム検知時間T3の設定の流れの一例を説明する。まず、図6のスタートは給紙ローラー40が回転し給紙が開始された時点である。尚、本実施形態では、給紙1枚ごとに無給紙ジャム検知時間T3を求める(定める)例を説明するが、複数枚(数ページ〜数十ページ)給紙するごとに1回、無給紙ジャム検知時間T3を求め直す(更新する)ようにしてもよい。
そして、エンジン制御部9は計測時間を測る(ステップ♯1)。尚、無給紙ジャムが発生したときは、計測時間を測ることができないので、計測時間としてカウントせず、フローを終了させるようにしてもよい。そして、エンジン制御部9は、エンジンメモリー91等に計測時間を記憶させる(ステップ♯2)。
次に、エンジン制御部9は、エンジンメモリー91等に記憶された計測時間を用いて、直前のカセット41取り付けから現在まで給紙された各用紙Pの計測時間の平均時間を求める(ステップ♯3)。尚、本実施形態の複合機100では、カセット41が取り付けられると計測時間を示すデータ(計測データ)はリセットされる(詳細は後述)。平均時間を求められないので、エンジン制御部9は、カセット41を取り付けた直後の1枚目の給紙では検知基準時間T2やカセット41取り付け前の無給紙ジャム検知時間T3を用いて無給紙ジャムが発生したか否かを検知し、フローのステップ♯3〜ステップ♯10はスキップしてもよい。そして、エンジン制御部9は、エンジンメモリー91に記憶された理論時間T1を参照し、平均時間と理論時間T1との時間差ΔTを求める(ステップ♯4)。
次に、求めた平均時間に応じて、エンジン制御部9は、リトライ回数を定める(ステップ♯5)。ここで、本実施形態のエンジン制御部9は、給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3経過までに給紙センサー43が用紙到達を検知できないとき、直ちに無給紙ジャム発生と判断せず、一旦給紙ローラー40を停止させた後、再び給紙ローラー40の回転を開始させて、再度給紙を行う(リトライを行う)。そして、最後のリトライを行っても給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3が経過しても給紙センサー43が用紙Pの到達を検知できないとき、エンジン制御部9は無給紙ジャム発生と判断する。
そして、エンジン制御部9は、平均時間が長くなるほどリトライ回数が多くなるようにリトライの回数を定める。エンジンメモリー91(記憶装置82でもよい)は、例えば、図7に示すようなリトライ回数設定用データを記憶する。図7に示すように、リトライ回数設定用データは、平均時間と理論時間T1の時間差ΔTの大きさに応じてリトライ回数を定めたデータとすることができる。又、リトライ回数設定用データは、平均時間の大きさに応じて直接的にリトライ回数を定めたデータとしてもよい。
図7の例では、平均時間が長くなるほど、リトライ回数を多くする。例えば、平均時間が理論時間T1よりも短い場合や、平均時間は理論時間T1よりも長いが時間差ΔTの絶対値がA1(例えば、数十ミリ秒程度)以下に収まるとき、リトライ回数は1回とされる。そして、図7の例では、例えば、平均時間は理論時間T1よりも長くなり、時間差ΔTの絶対値がA1より長くA2(例えば、数十〜200ミリ秒程度)までの範囲に収まるときには、リトライ回数は2回とされる。さらに、平均時間は理論時間T1よりも長く、時間差が拡大して時間差ΔTの絶対値がA2よりも長くなり、無給紙ジャムが発生しやすいとき(給紙遅れが大きくなっているとき)、リトライ回数をさらに増やす(例えば、3回)。このように、無給紙ジャムが発生しやすくなるほどリトライの回数を増やして、無給紙ジャムの発生検知を抑制する。尚、A1、A2は、用紙搬送速度や給紙部4から給紙センサー43までの距離等の要素を勘案して適宜定めることができる。
そして、エンジン制御部9は平均時間が理論時間T1よりも長いか否かを確認する(ステップ♯6)。もし、平均時間が理論時間T1以下であれば(ステップ♯6のNo)、エンジン制御部9は検知基準時間T2を無給紙ジャム検知時間T3と定める(ステップ♯7)。そして、フローはステップ♯11に進む(詳細は後述)。
一方、平均時間が理論時間T1よりも長ければ(給紙に遅れの傾向があれば、ステップ♯6のYes)、エンジン制御部9は、平均時間と理論時間T1の時間差ΔTが許容値を越えるか否かを確認する(ステップ♯8)。ここで、「許容値」は任意に定めることができる値(時間)である。例えば、「許容値」は時間差ΔTの絶対値が給紙回転体(給紙ローラー40)等のメンテナンスや交換が必要なほどの大きさであるか否かを判定するための値である。
もし、許容値を超えるとき(ステップ♯8のYes)、エンジン制御部9は、操作パネル2の液晶表示部22に給紙ローラー40等の給紙に関する部分のメンテナンスが必要である旨の報知を行わせる(ステップ♯9)。そして、メンテナンスの必要性がより使用者に認識されるように、無給紙ジャムをあえて生じさせやすくするため、フローはステップ♯7に移行する。
一方、許容値を超えないとき、エンジン制御部9は、検知基準時間T2に理論時間T1と平均時間の時間差ΔTの絶対値を足した時間を無給紙ジャム検知時間T3と定める(ステップ♯10)。
そして、ステップ♯7とステップ♯10の後、エンジン制御部9は、次の用紙Pの給紙前にエンジンメモリー91等に記憶された計測時間(計測データ)のリセットの必要が有るか否かを確認する(ステップ♯11)。具体的に、エンジン制御部9は、カセット41の着脱無しに次の用紙Pの給紙がなされたかを確認する。
もし、カセット41の着脱があり、リセットの必要が有れば(ステップ♯11のYes)、エンジン制御部9は、エンジンメモリー91等に記憶された過去に計測された計測データを破棄する(リセットする、ステップ♯12)。カセット41の用紙収容可能枚数は決まっているので、エンジンメモリー91には、カセット41の用紙収容可能枚数分の計測時間を記憶できるだけの容量が確保されればよい。
リセットの必要が無い場合(ステップ♯11のNo)や、ステップ♯12の後、フローは終了する。そして、次の用紙Pの給紙がなされると、再びスタートからの開始となる。このように、エンジン制御部9は、給紙がなされることにより測定された計測時間に基づき、無給紙ジャム検知時間T3を定める。そして、エンジン制御部9は、無給紙ジャム検知時間T3が定められた後に最初の給紙される用紙Pに対して、新たに定められた無給紙ジャム検知時間T3に基づき無給紙ジャムの発生を検知する。
(無給紙ジャム検知の流れ)
次に、図8を用いて、本実施形態の複合機100での無給紙ジャム検知の流れの一例を説明する。図8は無給紙ジャム検知の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、図8のスタートはエンジン制御部9が印刷ジョブ実行のため、給紙を開始する時点である。そして、エンジン制御部9は各クラッチ45、56をON状態(連結状態)として給紙ローラー40の回転を開始させる(ステップ♯21)。
次に、エンジン制御部9は給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3が経過するまで、給紙センサー43が用紙Pの到達を検知したか否かを確認する(ステップ♯22)。言い換えると、エンジン制御部9は給紙開始から用紙Pの到達を検知しないまま無給紙ジャム検知時間T3が経過したか否かを確認する。尚、用いる無給紙ジャム検知時間T3は図6を用いて説明したように、前の給紙の際に計測された計測時間を用いて定められた無給紙ジャム検知時間T3である。
もし、給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3が経過するまでに給紙センサー43が用紙Pの到達を検知したとき(ステップ♯22のYes)、エンジン制御部9は給紙ローラー40や搬送ローラー対52、53を回転させて給紙、用紙搬送を継続させる(ステップ♯23)。例えば、エンジン制御部9は給紙センサー43が用紙Pの通過を検知するまで給紙ローラー40の回転を継続させ、用紙通過検知後、給紙ローラー40の回転を停止させる。
その後、エンジン制御部9は画像形成部6や定着部7bを制御し、用紙Pへの印刷と排出トレイ51への排出がなされ(ステップ♯24)、フローは終了する(エンド)。例えば、連続して用紙Pに印刷を行うとき、新たにスタートから本フローチャートが開始される。
一方、給紙ローラー40の回転開始から無給紙ジャム検知時間T3が経過するまでに給紙センサー43が用紙Pの到達を検知できないとき(ステップ♯21のNo)、エンジン制御部9は給紙ローラー40の回転を停止させる(ステップ♯25)。
エンジン制御部9は設定されたリトライ回数だけリトライを実行したか否かを確認する(ステップ♯26)。言い換えると、エンジン制御部9は最後のリトライが完了したか否かを確認する(ステップ♯26)。尚、上述したようにリトライ回数は計測時間の平均時間に応じて定められ、平均時間の長さにより変化する。
もし、まだリトライを実行すべきであれば(ステップ♯26のNo)、エンジン制御部9はリトライ回数を示すデータに値「1」を加算してエンジンメモリー91に記憶させる(ステップ♯27)。そして、フローはステップ♯21に戻る。これにより、エンジン制御部9は再び給紙ローラー40の回転を開始させることで、急峻に変化する力を用紙Pに加え、用紙Pのカセット41からの送り出しを促す。
一方、既に最後のリトライまで実行しているとき(ステップ♯26のYes)、エンジン制御部9は無給紙ジャム発生と判断(検知)する(ステップ♯28)。そして、エンジン制御部9は給紙部4、搬送部5、画像形成部6等の動作を停止させ、印刷を停止させる(ステップ♯29)。又、エンジン制御部9は操作パネル2の液晶表示部22に表示させ、無給紙ジャム発生の報知を行わせる(ステップ♯30)。そして、フローは終了する(エンド)。
尚、無給紙ジャム発生の報知を受け、使用者は搬送部5や給紙部4の確認を行って無給紙ジャムの処理作業を行う。そして、無給紙ジャム処理完了後、再度印刷が開始されるに伴い、フローが再びステップ♯21から始まる。尚、無給紙ジャム発生により、カセット41の取り外しや取り付けが行われたとき、エンジン制御部9は無給紙ジャム処理後の1枚目の給紙では無給紙ジャム検知時間T3を検知基準時間T2あるいはカセット41取り外し前の無給紙ジャム検知時間T3とし、リトライ回数をデフォルトの回数(例えば、1回)あるいはカセット41取り外し前の回数として処理を行う。
このようにして、本実施形態に示す画像形成装置(複合機100)は、画像を形成する画像形成部6と、印刷に用いる複数枚の用紙Pが載置される載置部(カセット41)と、載置部に載置された用紙Pを画像形成部6に向けて給紙する給紙回転体(給紙ローラー40)と、画像形成部6と給紙回転体間の用紙搬送経路(搬送部5)に設けられ、給紙回転体により供給された用紙Pの到達を検知する検知体(給紙センサー43)と、給紙回転体の回転開始による給紙開始から検知体が用紙Pの到達を検知するまでの時間である計測時間に基づく計測データを記憶する記憶部(エンジンメモリー91等)と、給紙開始から検知体が用紙Pの到達を検知するまでの時間が無給紙ジャム検知時間T3を越えると、無給紙ジャムが発生したと判断する判断部(エンジン制御部9)と、を含み、判断部は計測時間の平均時間を求め、計測時間に対して予め定められた理論時間T1よりも平均時間の方が長いとき、無給紙ジャム検知時間T3の基準として予め定められた検知基準時間T2に理論時間T1と平均時間の時間差ΔTの絶対値を加算した時間を無給紙ジャム検知時間T3と定め、定めた無給紙ジャム検知時間T3に基づき無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。
これにより、平均時間が理論時間T1よりも長く、給紙で遅れの傾向が見られるとき、無給紙ジャム検知時間T3が延ばされる。従って、画像形成装置(複合機100)の個体としての特性や実際の給紙の状況に応じて無給紙ジャム検知時間T3を設定し、必要以上に頻繁な無給紙ジャムの発生検知を防ぐことができる。又、無給紙ジャム発生検知による画像形成装置(複合機100)の印刷動作の停止や無給紙ジャムの処理作業の回数を減らすことができ、使用者の使いやすさを高めることができる。
又、載置部(カセット41)の取り外しに伴い、用紙Pの交換がなされることがある。交換前と交換後では用紙Pの種類(表面の滑りやすさや厚さ等)が変わることがある。又、載置部の取り外しに伴って、用紙Pの載置状態が変化することもある。そこで、載置部の取り付け、取り外しを検知するための着脱検知体(着脱検知センサー44)を有し、判断部(エンジン制御部9)は、載置部が取り付けられてから次に取り外されるまでの計測時間に基づき平均時間を求め、無給紙ジャム検知時間T3を定める。これにより、載置部が取り外され、載置された用紙Pの状態が変化するごとに平均時間を求める対象がリセットされる。従って、用紙Pの載置状態や種類の変化に応じて平均時間を求めて無給紙ジャム検知時間T3を定めることができる。
又、給紙の遅れの程度が大きくなるほど、給紙回転体(給紙ローラー40)がスリップしやすく、載置部(カセット41)から用紙Pを送り出し難くなっていると想定される。そこで、給紙回転体は、回転開始後、一旦停止した後、再び回転して給紙を行うリトライを行うとともに、平均時間が長いほど多い回数のリトライを行い、判断部(エンジン制御部9)は、給紙回転体の最後のリトライが完了してから無給紙ジャムが発生したと判断する。これにより、載置部(カセット41)から用紙Pを送り出しにくくなっている可能性があるとき、リトライ回数を増やすことができる。これにより、用紙Pを送り出しを促す回数を増やし、無給紙ジャム発生の検知の頻度を少なくすることができる。
又、画像形成装置(複合機100)は、報知を行う報知部(操作パネル2、液晶表示部22)を有し、理論時間T1よりも平均時間が長く、絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、報知部(操作パネル2、液晶表示部22)は給紙に関するメンテナンスを促す報知を行う。これにより、平均時間が長くなり(無給紙ジャム検知時間T3が長くなり)、明らかに給紙の遅れが目立つとき、使用者にメンテナンスの必要性を報知することができる。
又、判断部(エンジン制御部9)は、理論時間T1よりも平均時間が長く、絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、検知基準時間T2を無給紙ジャム検知時間T3と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。これにより、メンテナンスを促す報知に加え、あえて無給紙ジャムの発生を検知されやすくし、メンテナンスが必要であることを使用者に強く認識させることができる。
又、判断部(エンジン制御部9)は、理論時間T1が平均時間以上であるとき、検知基準時間T2を無給紙ジャム検知時間T3と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断する。これにより、平均時間が理論時間T1よりも短くて給紙で遅れが認められないとき、無給紙ジャム検知時間T3を設計上、仕様上、最短の時間に合わせることができる。これにより、用紙Pが送り出されていない状態であれば、速やかに無給紙ジャムの発生を検知することができる。
又、判断部(エンジン制御部9)が無給紙ジャム発生と判断したとき、給紙回転体(給紙ローラー40)は給紙を停止し、画像形成部6は画像形成を停止する。これにより、用紙Pの詰まりの深刻化を回避し、不必要なトナー像形成をせずに済ますことができる。
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、給紙部4を1つ設ける例を説明したが、給紙部4は複数個設けられても良い。給紙センサー43は給紙部4の個数にあわせて複数設けても良い。そして、エンジン制御部9は給紙部4ごとに計測時間を測定し、給紙部4ごとに平均時間を求め、給紙部4ごとに無給紙ジャム検知時間T3やリトライ回数を定めるようにしてもよい。
又、用紙Pを載置する載置部の一例として用紙Pを収容するカセット41を一例として示した。しかし、手差しトレイのように載置部はトレイでもよく、カセット41に限られない。又、計測時間を測定するうえで給紙センサー43を用いる例を説明したが、給紙センサー43に代えてレジストセンサー55を用いても良い。この場合、給紙開始(給紙ローラー40の回転開始)からレジストセンサー55による用紙到達までを計測した時間を計測時間として用いればよい。更に、上記の実施形態では、給紙部4のメンテナンスの必要性を表示により報知する例を説明したが、音声等他の形態で報知するようにしてもよい。
本発明は、印刷のため、給紙を行う画像形成装置に利用可能である。
100 複合機(画像形成装置) 2 操作パネル(報知部)
22 液晶表示部(報知部) 4 給紙部
40 給紙ローラー(給紙回転体) 41 カセット(載置部)
43 給紙センサー(検知体) 44 着脱検知センサー(着脱検知体)
6 画像形成部 82 記憶装置(記憶部)
9 エンジン制御部(判断部) 91 エンジンメモリー(記憶部)
T1 理論時間 T3 無給紙ジャム検知時間
T2 検知基準時間 ΔT 時間差
P 用紙

Claims (7)

  1. 画像を形成する画像形成部と、
    印刷に用いる複数枚の用紙が載置される載置部と、
    前記載置部に載置された用紙を前記画像形成部に向けて給紙する給紙回転体と、
    前記画像形成部と前記給紙回転体間の用紙搬送経路に設けられ、前記給紙回転体により供給された用紙の到達を検知する検知体と、
    前記給紙回転体の回転開始による給紙開始から前記検知体が用紙の到達を検知するまでの時間である計測時間に基づく計測データを記憶する記憶部と、
    前記給紙開始から前記検知体が用紙の到達を検知するまでの時間が無給紙ジャム検知時間を越えると、無給紙ジャムが発生したと判断する判断部と、を含み、
    前記判断部は前記計測時間の平均時間を求め、前記計測時間に対して予め定められた理論時間よりも前記平均時間の方が長いとき、前記無給紙ジャム検知時間の基準として予め定められた検知基準時間に前記理論時間と前記平均時間の時間差の絶対値を加算した時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、定めた前記無給紙ジャム検知時間に基づき無給紙ジャムが発生したか否かを判断することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記載置部の取り付け、取り外しを検知するための着脱検知体を有し、
    前記判断部は、前記載置部が取り付けられてから次に取り外されるまでの前記計測時間に基づき前記平均時間を求め、前記無給紙ジャム検知時間を定めることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記給紙回転体は、回転開始後、一旦停止した後、再び回転して給紙を行うリトライを行うとともに、前記平均時間が長いほど多い回数の前記リトライを行い、
    前記判断部は、前記給紙回転体の最後の前記リトライが完了してから無給紙ジャムが発生したと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 報知を行う報知部を有し、
    前記理論時間よりも前記平均時間が長く、前記絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、前記報知部は給紙に関するメンテナンスを促す報知を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記判断部は、前記理論時間よりも前記平均時間が長く、前記絶対値が予め定められた許容値を越えたとき、前記検知基準時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 前記判断部は、前記理論時間が前記平均時間以上であるとき、前記検知基準時間を前記無給紙ジャム検知時間と定め、無給紙ジャムが発生したか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記判断部が無給紙ジャム発生と判断したとき、
    前記給紙回転体は給紙を停止し、
    前記画像形成部は画像形成を停止することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
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