JP2013151468A - オリゴマーの合成及び精製の新規方法 - Google Patents

オリゴマーの合成及び精製の新規方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規オリゴマーの新規合成又は精製用試薬の提供。
【解決手段】式の化合物。
Figure 2013151468

[式中、Xは、ホスホラミダイト基、H−ホスホネート基、アセタール基又はイソシアネートであり、Cは、直接結合、又は−C−C−により表される切断可能アダプターであり、Lは、ヒドロカルビル鎖であり、そしてHは、末端アルキル又は活性化されたシクロオクチンである]により表される構造式を有する、オリゴヌクレオチドの合成又は精製のための試薬。本試薬はオリゴヌクレオチドの合成及び精製に使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、概してオリゴヌクレオチドの試薬、合成及び精製の分野に関する。
オリゴヌクレオチドは、短い核酸ポリマーであり、通常、数個〜数百個のヌクレオチドを含む。それらは、ゲノム研究及びバイオテクノロジーのための重要な手段である。オリゴヌクレオチドは、より長い前駆体の切断により生成することができるが、現在では、それらは、一般的に、配列特異的な方法でモノマーから合成される。それらは、通常は、ホスホラミダイト化学又はホスホネート化学を用い、固相支持体上で合成される。
図1Aは、ホスホラミダイトを用いた、固相オリゴヌクレオチド合成の典型的合成サイクルを示す。4つの主な工程:1)脱トリチル化、2)カップリング、3)キャッピング、及び4)酸化が含まれる。図1に示すように、第一のヌクレオチドは固相支持体(調整された細孔のガラスビーズ)に化学的に結合する。それらは、第一のヌクレオチドが固相支持体に予め結合された状態で商業源から購入することができる。
合成を開始するために、第一のヌクレオチド上の5’−ヒドロキシ保護基(通常に用いられる5’−ヒドロキシル保護基は、トリチル(すなわち、−C(Ph))又はDMT、DMTrと省略される場合がある4,4’−ジメトキシトリチル基)は、緩酸(例えば、ジクロロメタン又はトルエンのような不活性溶媒中の2又は3%トリクロロ酢酸)を用いて除去される。次いで、3’−ホスホラミダイト基を有する5’−DMTrで保護された第二のヌクレオチド(例えば、3’−O−(2−シアノエチル−N−N−ジイソプロピル)ホスホラミダイト)を、固相支持体上の遊離の第一のヌクレオチドの5’−ヒドロキシル基とカップリングさせる。カップリングは、アセトニトリル中、酸性アゾール触媒(例えば、1H−テトラゾール)を用い、ホスホラミダイトを活性化して実施することができる。次いで、活性化されたホスホラミダイトを遊離の5’−ヒドロキシル基と反応させ、ホスファイトトリエステル結合を形成する。
カップリング反応は、決して100%の効率でないので、いくらかの遊離5’−ヒドロキシル基が残る。任意の未反応の5’−ヒドロキシル基は無水酢酸及びアシル化触媒(例えば、N−メチルイミダゾール)とキャッピングし、次のサイクルにおける反応からの不良配列を防止する。キャッピング後、ホスファイトトリエステルを酸化し、それをホスフェート結合に変換する。酸化は、弱塩基(例えば、ピリジン)の存在下、ヨウ素を用いて実施することができる。これらの工程は、最初のカップリングサイクルを完了する。この工程を、所望のオリゴヌクレオチドが合成されるまで多くのサイクル繰り返すことができる。
同様の方法を図1Bに示し、これは、ホスホラミダイトの代わりにH−ホスホネートモノマーを用いている。1回のみの酸化工程を必要とし、これが合成の最後で実施されることを除き、ほとんどの工程は類似している。
鎖伸長の完了において、オリゴヌクレオチドは、固相支持体に結合したままであり、完全に保護されている。機能的オリゴヌクレオチドを提供するため、保護基を除去する必要があり、オリゴヌクレオチド生成物を固相支持体から遊離しなければならない。これらは、塩基溶液(例えば、水酸化アンモニウム又はメチルアミン水溶液)と、おそらくは他の前処理工程(例えば、2−シアノエチル保護基の脱保護)とを用いて実施することができる。
前記合成手順は、DNA又はRNAオリゴマーの合成に適用可能である。しかし、RNA合成については、2’−ヒドロキシル基を、反応条件に耐え得る基で保護することが必要である。通常の2’−ヒドロキシ保護基には、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)及びトリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)が含まれる。
一般に、カップリング工程は100%完全ではない。不完全な反応が短いオリゴマーの形成をもたらす。前述したように、短いオリゴマーは、通常、反復性の固相合成の際に、それらが成長することを防止するため、無水酢酸のような試薬でキャップオフされる。これは、通常、短いオリゴマー(n−1、n−2、n−3等のオリゴマー)及び所望の全長生成物からなるオリゴマーのプールをもたらす。図2A及び2Bは、生成物がいくつかの不成功の配列を含む混合物であるという事実を示すため、それぞれHPLCクロマトグラム及びPAGE分析を示す。
オリゴヌクレオチド合成からの生成物は、常に不成功の配列(短いオリゴヌクレオチド、大部分はn−1量体)を含んでいる。伝統的に、これらの粗生成物は、HPLC又はPAGEのようなゲル電気泳動を用いて精製される。これらの方法は、短いオリゴヌクレオチドの精製のためには受け入れられ、より長いオリゴヌクレオチド(例えば、50〜300量体)の精製のためには受け入れられない。さらに、これらの方法は高価であり時間がかかり、莫大な溶媒を消費し、熟練した専門家の使用には制限がある。
オリゴヌクレオチドの合成及び精製を促進するため、HPLC又はPAGEの使用を回避する合成精製ハンドルを用いるような、他のアプローチが研究されてきた。これらの他の方法の例には、フルオラス−親和性抽出(Beller,C.;Bannwarth,W.,Noncovalent Attachment of Nucleotides by Fluorous−Fluorous Interactions:Application to a simple Purification Principle for Synthetic DNA Fragments,Helv.Chim.Acfa 2005,88,pp.171−179;WO 2006/081035 A2)、ビオチン−アビジンの可能な親和性抽出(Fang,S.;Bergstrom,D.E.,Reversible Biotinylation of the 5’−Terminus of Oligodeoxyribonucleotides and its Application in Affinity Purification,Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,John Wiley & Sons,Inc.2001;Fang,S.;Bergstrom,D.E.,Reversible 5’−end Biotinylation and Affinity Purification of Synthetic RNA,Tetrahedron Letters 2004,45(43),7987−7990)、ディールスアルダーによる反応をベースとする抽出法(WO 2003/062452 A2)、及び重合(米国特許出願公開第2008/0081902 A1号)が含まれる。
親和性をベースとする方法(すなわち、フルオラス親和性抽出及びビオチン−アビジン法)は、高価であり得る、タグをつけたオリゴヌクレオチドハンドルを生成するために、複合合成を必要とする。フルオラス親和性抽出の場合、フルオラス含有リン酸化試薬が非常にゆっくりとカップリングするので、長いオリゴヌクレオチド合成のためにキャッピング剤として用いることができない。最後のモノマーとして用いるために、5’−DMTrフルオラス修飾ホスホラミダイトモノマーは、アセトニトリル中でわずかに溶解し、ゆっくりと非効率的にカップリングする。それらは、最終的な酸処理をも必要とし、それは、脱プリンを起こし、長いオリゴヌクレオチドの完全性に影響する。この戦略は、複雑さ及び費用を増大させるフルオラス相親和性カラムをも必要とし、これは、高い処理能力及び大規模精製できない。
ビオチン−アビジンの可能な親和性抽出は広範囲に用いられておらず、不成功の配列を捕捉するためのキャッピング試薬として用いられていなかった。ビオチンリン酸化試薬、又は5’−修飾ホスホラミダイトモノマーは、ビオチン自体の費用のため、製造するには高価である。さらに、ビオチンホスホラミダイト(リン酸化試薬及びモノマー)はアセトニトリルには溶性が低く、推奨されるカップリング時間は遅い(すなわち、約15分)。従って、それらはキャッピング試薬として有用でない。さらに、この方法は、長いオリゴヌクレオチドのためには有用であることが確認されていない。また、この方法は、ストレプトアビジン−ビーズに対するビオチンの親和性に依存し、これは、高処理能力又は大規模プラットフォームにおいては高価である。
親和性をベースとするアプローチに対する費用及び他の問題のため、例えば、反応をベースとする代わりの方法が調査された。これらの方法には、ディールスアルダー及び重合を用いるものが含まれる。ディールスアルダーアプローチにおいては、ジエン−リン酸化試薬が、先端が切断された配列をキャッピングするために用いられ、マレイミド含有固相支持体との4+2環化により、生成物混合物から引き出すことができる。実際には、この方法は、短いオリゴヌクレオチド(20量体未満)の精製に制限され、非効率的反応のために最終収率及び純度は不十分である。
重合法は、先端が切断された(不成功の)配列をキャッピングオフするために、アクリルアミドリン酸化試薬を用いる。合成の完了により、ラジカル重合を開始してポリマーを形成し、次いで、これは、完全長生成物から分離することができる。アクリルアミドホスホラミダイトモノマーは、鎖内で最後のヌクレオチドとしても用いられ、全長生成物は、ラジカル重合によって捕捉され、その結果、アクリルアミド部分を含まない短いオリゴマーから分離される。また、この方法は、短いオリゴヌクレオチド、例えば20量体未満に実用的であり、ラジカル重合が副反応のために所望のオリゴヌクレオチドの完全性を変化させる場合があることが懸念されている。さらに、所望の完全長生成物の純度及び回収率は最適のものに満たない。従って、この方法は、高処理能力精製又は大規模生産には適さない場合がある。
これらの先行技術の方法は、ある状況においては有用であるが、オリゴヌクレオチドの合成及び精製のための良好な方法が必要性である。
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの合成又は精製のための試薬であって、この試薬が、構造:
X−C−L−H (式A)
を有する試薬に関する。
式中、Xは、反復性のヌクレオチドカップリングサイクル、オリゴヌクレオチド合成の脱保護及び切断反応に耐える安定な結合を形成するための、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等の5’−ヒドロキシル基と反応し得る官能基であり、適切なX官能基はホスホラミダイト、H−ホスホネート、アセタール、イソシアネート等を含み、
Cは、直接結合又は切断可能なアダプターであり、上記切断可能なアダプターは−C−C−で表され、CはXに結合し、それぞれ、ハロ、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ又はアルキルアミノから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、直接結合、ヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、トリチル基又はビシニルアルコール基である。好ましくは、Cは、直接結合、(C−C12)ヒドロカルビル、(C−C12)アリール、5〜12員環のヘテロアリール、(C−C12)シクロアルキル、4〜12員環のヘテロシクリル、ヌクレオシドである。
Lは、独立して、5〜9員環のヘテロアリール、4〜9員環のヘテロシクリル、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル、(C−C12)アリール、−O−R’’,−O−CO−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよいヒドロカルビル鎖であり、ここで、R’及びR’’は、独立してH又は(C−C)ヒドロカルビルであり、好ましくは、Lは、それぞれ、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル又はハロゲンから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、又は(C−C12)アルキニルのようなヒドロカルビルであり、又は、Lは、−(CHR’)−W−(CHR’)−V−(CHR’)−(ここで、W及びVは、独立して、−O−、−S−、又は−NR’−であり、R’はH又は(C−C)アルキルであり、a、b、c、d及びeは、独立して0〜10の整数であり、好ましくは0〜6であり、又は好ましくは0〜3であり、a、b、c、d及びeの合計は好ましくは2〜6の整数である)により表される、他の原子が散在するヒドロカルビル鎖であり。
Hは、前記で定義される「クリックハンドル(click handle)」であり、末端アルキン又は活性化シクロオクチンを含んでもよい。
本発明の一態様は、活性化シクロオクチン化合物に関する。本発明の一実施形態による活性化シクロオクチン化合物は、式(I):
Figure 2013151468
(式中、Yは、−O−、−S−、−NR’−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−(ここで、R’は水素又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル又は(C−C)アルコキシである)から選択される連結官能基であり、X、C及びLは前記も定義した通りである。)により示される一般構造を有する。
本発明の一態様は、Xがホスホラミダイトを含む、式(I)の化合物に関する。これらの化合物は、式(II):
Figure 2013151468
(式中、リンカーL、C及びYは前記に定義した通りであり、Rは、(C−C)アルキル又はシアノエチルである。)に示される一般構造を有する。ホスホラミダイト基は、ヒドロキシル基と反応し、オリゴヌクレオチドの合成及び脱保護のための条件下で安定なホスフェート結合を形成し得る。
本発明の一態様は、XがH−ホスホネートを含む式(I)の化合物に関する。これらの化合物は、式(III):
Figure 2013151468
(式中、リンカーL、Y、C及びRは前記に定義した通りである。)に示される一般構造を有する。H−ホスホネート基は、ヒドロキシル基と反応し、オリゴヌクレオチドの合成及び脱保護のための条件下で安定なホスフェート結合を形成し得る。
本発明の一態様は、Xがイソシアネート基を含む式(I)の化合物に関する。これらの化合物は、式(III):
Figure 2013151468
(式中、リンカーL、Y及びCは前記に定義した通りである。)に示される一般構造を有する。シアネート基は、ヒドロキシル基と反応し、オリゴヌクレオチドの合成及び脱保護のための条件下で安定なカルバメート結合を形成し得る。
本発明の一態様は、以下に示す構造を有する式(II)の化合物に関する。
Figure 2013151468
本発明の一態様はポリヌクレオチドの合成方法に関する。本発明の一態様における方法は、以下のステップを含む。
(a)固相支持体上のオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ保護基を脱保護して、固相支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離の5’−ヒドロキシ基を生成するステップ、
(b)5’−ヒドロキシ保護基を含むヌクレオチドモノマーを、ヌクレオチドモノマー上の3’−リン(phosporuous)含有基を通して固相支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離の5’−ヒドロキシ基とカップリングするステップ、
(c)式(A)の試薬を用いて、固相支持体上のオリゴヌクレオチドの未反応の5’−ヒドロキシ基をキャッピングするステップ、及び
(d)ステップ(a)〜(c)を選択された回数繰り返し、固体支持体上に中間体ポリヌクレオチドを生成するステップ。
本発明のある実施形態は、
(e)中間体ポリヌクレオチド上の5’−ヒドロキシ保護基を脱保護するステップと、
(f)最終的なヌクレオチドモノマーを、中間体ポリヌクレオチドとカップリングし、最終的なポリヌクレオチドを生成するステップをさらに含む。
本発明のある実施形態は、
(g)固相支持体から最終的なポリヌクレオチドを脱保護及び切断して、生成物混合物を生成するステップと、
(h)生成物混合物の溶液を、アジド含有固相支持体又はニトロン含有固相支持体と反応させるステップと、
(i)アジド含有又はニトロン含有固相支持体から、ポリヌクレオチドを含有する溶液を分離するステップをさらに含む。
本発明の他の実施形態によるポリヌクレオチドの合成方法は、以下のステップを含む。
(a)固相支持体上のオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ保護基を脱保護して、固相支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離の5’−ヒドロキシ基を生成するステップ、
(b)5’−ヒドロキシ保護基を含むヌクレオチドモノマーを、ヌクレオチドモノマー上の3’−リン(phosporuous)含有基を通して固相支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離の5’−ヒドロキシ基とカップリングするステップ、
(c)キャッピング試薬を用いて、固相支持体上のオリゴヌクレオチドの未反応の5’−ヒドロキシ基をキャッピングするステップ、
(d)ステップ(a)〜(c)を選択された回数繰り返し、固体支持体上に中間体ポリヌクレオチドを生成するステップ、
(e)中間体ポリヌクレオチド上の5’−ヒドロキシ保護基を脱保護するステップ、及び
(f)最終的なヌクレオチドモノマー(最終的なヌクレオチドモノマーは式(A)の試薬を含む)を、中間体ポリヌクレオチドとカップリングし、最終的なポリヌクレオチドを生成するステップ。
本発明のある実施形態は、
(g)固相支持体から最終的なポリヌクレオチドを脱保護及び切断して、生成物混合物を生成するステップと、
(h)生成物混合物の溶液を、アジド含有固相支持体又はニトロン含有固相支持体と反応させ、固相支持体に結合した完全長ポリヌクレオチドを生成するステップと、
(i)アジド含有又はニトロン含有固相支持体に結合した、完全長ポリヌクレオチドを分離するステップをさらに含む。
前記方法は、アジド含有又はニトロン含有固相支持体から、完全長ポリヌクレオチドを遊離させるステップをさらに含んでいてもよい。本発明のある実施形態は、遊離した完全長ポリヌクレオチドを精製するステップをさらに含んでいてもよい。
本発明の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付した特許請求の範囲の記載から明らかであろう。
固相支持体上でのポリヌクレオチドの合成のための従来のホスホラミダイト法を示す。この方法は、4つの工程:脱保護、カップリング、キャッピング、及び酸化を含む。 固相支持体上でのポリヌクレオチドの合成のための従来のH−ホスホネート法を示す。 図2Aは、本発明の一実施形態による、活性化シクロオクチン試薬を示し、図2Bは、図2Aの試薬を用いた、ポリヌクレオチドの合成及び精製のための本発明の方法を示す概略図を示す。 図3Aは、本発明のある実施形態による、2種の活性化シクロオクチン試薬を示し、図3Bは、図3Aの試薬を用いた、ポリヌクレオチドの合成及び精製のための本発明の方法を示す概略図を示す。 図4は、本発明の一実施形態による、キャッピング剤として末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬を用いた、オリゴヌクレオチド合成サイクルを示す概略図を示す。 図5は、本発明の一実施形態による、最後のヌクレオチド又は末端の5’−ヒドロキシル基保護剤として末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬を用いた、オリゴヌクレオチド合成サイクルを示す概略図を示す。 図5は、本発明の一実施形態による、最後のヌクレオチド又は末端の5’−ヒドロキシル基保護剤として末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬を用いた、オリゴヌクレオチド合成サイクルを示す概略図を示す。 図6は、3種のオリゴヌクレオチドについての捕捉時間に対する反応を示す3つのグラフを示す。
本発明の実施形態は、新規な末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬、並びにオリゴヌクレオチドを合成及び精製する方法に関する。新規な末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬は、ヒドロキシル基と反応する官能基を含んでいてもよく、ポリヌクレオチドの合成及び脱保護のための条件下に安定な結合を形成する。官能基には、ホスホラミダイト基、H−ホスホネート基、アセタール基、又はイソシアネート基が含まれ得る。本発明の方法は、新規な末端アルキン又は活性化シクロオクチン試薬、並びに「クリック」ケミストリーを用い、オリゴヌクレオチド生成物の精製を容易にする。本発明の実施形態は相対的に長いオリゴヌクレオチド(例えば、50量体以上)で最も有利であるが、当業者は、本発明の実施形態の利点が、短いオリゴヌクレオチドを含む、あらゆるオリゴヌクレオチドで実施し得ることを理解するであろう。
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」又は「核酸」は、ヌクレオチド内結合により結合する、複数のヌクレオシド部分サブユニット又はヌクレオシド残基を含む化合物を意味する。それ自体は、複数のヌクレオチド部分サブユニット又はヌクレオチド残基を含む化合物をも意味する。
「ヌクレオシドモノマー」は、ポリヌクレオチドの一部でないヌクレオシドである。ヌクレオシドモノマーは、ヌクレオシドモノマーの意図された用途に必要であるような基をも含んでいてもよい。ヌクレオシドモノマーは遊離していても、固相支持体と結合していてもよい。例えば、複素環塩基保護基及び1個以上のヒドロキシル保護基を有するヌクレオシドモノマーは、ヌクレオチドモノマーの合成における合成中間体である場合がある。例えば、ヌクレオシドモノマーは、ポリヌクレオチドの合成のために、固相支持体に結合していてもよい。
「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、公知のプリン及びピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はウラシル(U)のみでなく、修飾されている、他の複素環塩基又はヌクレオ塩基を含む部分を含むことをも意図する。このような修飾には、メチル化プリン又はピリミジン、アシル化プリン又はピリミジン、アルキル化リボース又は他の複素環が含まれる。このような修飾には、例えば、ジアミノプリン及びその誘導体、イノシン及びその誘導体、アルキル化プリン又はピリミジン、アシル化プリン又はピリミジン、チオレート化プリン又はピリミジン等、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、ジブチルホルムアミジン、N,N−ジフェニルカルバメート、置換チオウレアのような保護基の付加したものが含まれる。プリン又はピリミジン塩基は、前述のものの類似体であってもよく、適切な類似体は当業者に公知であり、適切なテキスト及び文献に開示されている。通常の類似体には、1−メチルアデニン、2−メチルアデニン、N6−メチルアデニン、N6−イソペンチルアデニン、2−メチルチオ−N6−イソペンチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、8−ブロモアデニン、2−チオシトシン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、5−エチルシトシン、4−アセチルシトシン、1−メチルグアニン、2−メチルグアニン、7−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−メトキシウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−(メチルアミノメチル)ウラシル、5−(カルボキシメチルアミノメチル)−ウラシル、2−チオウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、5−(2−ブロモビニル)ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、シュードウラシル、1−メチルシュードウラシル、キューオシン、イノシン、1−メチルイノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2−アミノプリン、6−ヒドロキシアミノプリン、6−チオプリン及び2,6−ジアミノプリンが含まれるが、これらに限定されない。
さらに、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語には、通常のリボース及びデオキシリボース糖、並びに通常の立体異性体だけでなく、他の糖類、Lエナンチオマー及びアルファアノマーを含む部分も含まれる。修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドには、例えば、1個以上のヒドロキシル基が、ハロゲン原子又は脂肪族基で置換されているか、又はエーテル、アミン等として官能性を持たせた、糖部分の修飾も含まれる。「類似体」は、文献において模倣体、誘導体であり、類似の構造を有し、又は他の類似の用語として認識されている構造的特徴を有する分子を意味し、例えば、非天然(天然には通常は存在しない)ヌクレオチドに組み入れられたポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド、2’−フルオロ、2’−O−アルキル、O−アルキルアミノ、O−アルキルアルコキシ、保護O−アルキルアミノ、O−アルキルアミノアルキル、O−アルキルイミダゾールを含むが、これらに限定されない2’−修飾ヌクレオシドのような非天然ヌクレオチド模倣体、並びに式(O−アルキル)mのポリエーテル、例えば、直鎖及び環状ポリエチレングリコール(PEGs)、及び(PEG)−含有基、ロックト核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、オリゴマーヌクレオシドホスホネート、及び保護基又は連結基のような置換基を付加したポリヌクレオチドが含まれる。
「ホスホラミダイト基」という用語は、構造−P(OR13)(NR1415)(R13、R14及びR15は、それぞれ独立してヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、複素環、置換複素環、アリール又は置換アリールである)を含む基を意味する。ある実施形態においては、R13、R14及びR15は、低級アルキル、低級アリール、置換低級アルキル及び低級アリール(好ましくは18、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2個以下の炭素を含む構造で置換されている)から選択してもよい。ある実施形態においては、R13は2−シアノエチル又はメチルであり、R14及びR15のいずれか又は両者はイソプロピルである。R14及びR15は環状で接続していてもよい。
「H−ホスホネート」という用語は、構造-P−(O)(H)(OR16)(R16はH、アシル、置換アシル、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、複素環、置換複素環、アリール又は置換アリールである)を含む基を意味する。ある実施形態においては、R16は、低級アルキル、低級アリール、置換低級アルキル及び低級アリール(好ましくは18、16、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2個以下の炭素を含む構造で置換されている)から選択してもよい。ある実施形態においては、R16はピバロイル又はアダマントイルである。
本明細書で用いられる場合、「アルキル」という用語は、特に示さない限り、1〜24個の炭素原子(すなわち、(C−C24)アルキル)の、飽和の直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素基、一般的に1〜12個の炭素原子(すなわち、(C−C12)アルキル)、より一般的に1〜6個の炭素原子(すなわち、(C−C)アルキル)、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルを意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルが含まれる。「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを意味する。
「アルキレン」及び「アルキレン鎖」は、分子の残りがラジカル基と結合し、単に炭素及び水素からなり、不飽和を含まず、1〜12個の炭素原子を有し、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の二価の炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン等を意味する。アルキレン鎖は、鎖内の1個の炭素を通し、又は鎖内の任意の2個の炭素を通し、分子の残りと結合し、ラジカル基と結合していてもよい。
さらに、「アルキル」という用語は、1〜24個の炭素原子を有し、さらに追加の基、例えば、エーテル−、チオ−、アミノ−、ホスホ−、オキソ−、エステル−及びアミド−から選択される1個以上の結合を有し、及び/又は低級アルキル、アリール、アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシ、アミノ、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、及びボロニルを含む1個以上の追加の基で置換されているアルキル基について言及する「修飾アルキル」を含む。
同様に、「低級アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子を有し、さらに追加の基、例えば、エーテル−、チオ−、アミノ−、ホスホ−、ケト−、エステル−及びアミド−から選択される1個以上の結合を有し、及び/又は低級アルキル、アリール、アルコキシ、チオアルキル、ヒドロキシル、アミノ、スルホニル、チオ、メルカプト、イミノ、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、カルボキシ、スルフィド、スルホン、スルホキシ、ホスホリル、シリル、シリルオキシ、及びボロニルを含む1個以上の追加の置換基で置換されている基について言及する「修飾低級アルキル」を含む。本明細書で用いられる場合、「アルコキシ」という用語は、置換基−O−R(Rは前記で定義したアルキルである)を意味する。「低級アルコキシ」という用語は、Rが低級アルキルである、上記基を意味する。本明細書で用いられる場合、「チオアルキル」という用語は、置換基−S−R−(Rは前記で定義したアルキルである)を意味する。
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」という用語は、特に示さない限り、少なくとも1個の二重結合を含む、分岐、非分岐又は環状(例えば、C5及びC6の場合)の2〜24個の炭素原子(すなわち、(C−C24)アルケニル)、一般的には2〜12個の炭素原子(すなわち、(C−C12)アルケニル)、より一般的には2〜6個の炭素原子(すなわち、(C−C)アルケニル)の炭化水素基、例えば、エテニル、ビニル、アリル、オクテニル、デセニル等を意味する。「低級アルケニル」という用語は、2〜8個の炭素原子のアルケニル基を意味し、具体的にはビニル及びアリルが含まれる。「シクロアルケニル」という用語は、環状アルケニル基を意味する。
「アルケニレン」及び「アルケニレン鎖」は、分子の残りがラジカル基と結合し、単に炭素及び水素からなり、少なくとも1個の二重結合を有し、2〜12個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐の二価の炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレン等を意味する。アルケニレン鎖は、単結合を通して分子の残りの部分と、二重結合又は単結合を通してラジカル基と結合している。アルケニレン鎖の分子の残り、及びラジカル基との結合点は、鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を通してもよい。
本明細書で用いられる場合、「アルキニル」という用語は、特に示さない限り、2〜24個、通常は2〜12個の炭素原子を含有し、少なくとも1個の三重結合を有する、分岐又は非分岐の炭化水素基、例えば、アセチレニル、エチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、n−ブチニル、イソブチニル、t−ブチニル、オクチニル、デシニル等を意味する。「低級アルキニル」という用語は、2〜8個の炭素原子のアルキニル基を意味し、例えば、アセチレニル及びプロピニルが含まれ、「シクロアルキニル」という用語は、環状アルキニル基を意味する。
「ヒドロカルビル」という用語は、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、又はアルキニルを意味する。ヒドロカルビル基中の炭素原子の数は、例えば、1〜12個の炭素原子を含むヒドロカルビルを示す「(C−C12)ヒドロカルビル」として示してもよい。異なる炭素原子数を有するヒドロカルビル基は、類似の表記法において示すことができる。「置換ヒドロカルビル」という用語は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するヒドロカルビル部分を意味する。このような置換基には、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、複素環、アラルキル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族部分が含まれる。適切であれば、炭化水素鎖上で置換された部分自体が置換されていてもよいことを当業者は理解するであろう。例えば、置換アルキルの置換基には、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)、及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、及びエステルを含む)、−CN等の置換及び非置換形態が含まれる。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CN等でさらに置換されていてもよい。
「アルコキシ」という用語は、酸素と結合したアルキル基を意味し、式R−O−(ここで、Rは前記で定義されたアルキル基を意味する)で表される。例は、メトキシ基CHO−である。「(C−C)アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を含む、前記で定義したアルコキシラジカルを意味する。異なる数の炭素を含むアルコキシは、類似の表記法、例えば、(C−C)アルコキシ、(C−C12)アルコキシ、(C−C12)アルコキシ等で示されるであろう。
「アリール」は、水素及び炭素のみからなり、6〜19個の炭素原子((C−C19)アリールと表される)、好ましくは6〜10個の炭素原子((C−C10)アリールと表される)を含む芳香族単環、又はそれらのいくつかが一緒に縮合した多環の炭化水素環系を意味し、環系は部分的又は完全に飽和していてもよい。アリール基には、例えば、フルオレニル、フェニル及びナフチルのような基が含まれるが、これらに限定されない。明細書中で特に示さない限り、「アリール」という用語は、(C12)ヒドロカルビル、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−R−O−R’’、−R−O−CO−R’’、−R−CO−O−R’’、−R−NR’−R’’、−R−NR’−CO−R’’、−R−CO−NR’−R’’、−R−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせ(ここで、R’及びR’’は、独立して、H又は(C−C12)ヒドロカルビルであり、Rは(C−C12)ヒドロカルビルである)から選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、アリールラジカルを含むことが意図される。
「ヘテロアリール」は、炭素原子と、窒素、酸素及びイオウからなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子からなる、5〜18員環の単環、二環又は縮合多環系を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは、5〜12、又は5〜9員環系である。本発明の目的のためには、ヘテロアリールラジカルは、縮合又は架橋環系を含んでいてもよい、単環、二環、三環又は四環系であってもよく、ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素又はイオウ原子が酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよい。例には、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニルが含まれるが、これらに限定されない。明細書中で特に示さない限り、「ヘテロアリール」という用語は、(C−C12)ヒドロカルビル、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−R−O−R’’、−R−O−CO−R’’、−R−CO−O−R’’、−R−NR’−R’’、−R−NR’−CO−R’’、−R−CO−NR’−R’’、−R−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、前記で定義したヘテロアリールラジカルを含むことを意図する(R’及びR’’は、独立して、H、又は(C−C12)ヒドロカルビルであり、Rは(C−C12)ヒドロカルビルである)。
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族複素環が、1個以上のアリール、脂環式又は複素環と縮合しており、ラジカル又は結合ポイントが芳香族複素環上である基をも意味する。非限定的例には、1−,2−,3−,5−,6−,7−,又は8−インドリジニル,1−,3−,4−,5−,6−,又は7−イソインドリル、2−,3−,4−,5−,6−,又は7−インドリル、2−,3−,4−,5−,6−,又は7−インダゾリル、2−,4−,5−,6−,7−,又は8−プリニル、1−,2−,3−,4−,6−,7−,8−,又は9−キノリジニル、2−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−キノリニル、1−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−イソキノリニル、1−,4−,5−,6−,7−,又は8−フタラジニル、2−,3−,4−,5−,又は6−ナフチリジニル、2−,3−,5−,6−,7−,又は8−キナゾリニル、3−,4−,5−,6−,7−,又は8−シンノリニル、2−,4−,6−,又は7−プテリジニル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−4aHカルバゾリル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−カルバゾリル、1−,3−,4−,5−,6−,7−,8−,又は9−カルボリニル、1−,2−,3−,4−,6−,7−,8−,9−,又は10−フェナントリジニル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−,又は9−アクリジニル、1−,2−,4−,5−,6−,7−,8−,又は9−ペリミジニル、2−,3−,4−,5−,6−,8−,9−,又は10−フェナトロリニル、1−,2−,3−,4−,6−,7−,8−,又は9−フェナジニル、1−,2−,3−,4−,6−,7−,8−,9−,又は10−フェノチアジニル、1−,2−,3−,4−,6−,7−,8−,9−,又は10−フェノキサジニル、2−,3−,4−,5−,6−,又はl−,3−,4−,5−,6−,7−,8−,9−,又は10−ベンズイソキノリニル、2−,3−,4−,又はチエノ[2,3−b]フラニル、2−,3−,5−,6−,7−,8−,9−,10−,又は11−7H−ピラジノ[2,3−c]カルバゾリル、2−,3−,5−,6−,又は7−2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、2−,3−,4−,5−,7−,又は8−5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1−,3−,又は5−1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、2−,4−,又は54H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、3−,5−,又は8−ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、2−,3−,5−,又は6−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、1−,3−,6−,7−,8−,又は9−フロ[3,4−c]シンノリニル、1−,2−,3−,4−,5−,6−,8−,9−,10,又は11−4H−ピリド[2,3−c]カルバゾリル、2−,3−,6−,又は7−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、2−,4−,5−,6−,又は7−ベンゾキサゾリル、2−,4−,5−,6−,又は7−ベンズイミダゾリル、2−,4−,4−,5−,6−,又は7−ベンゾチアゾリル、1−,2−,4−,5−,6−,7−,8−,又は9−ベンゾキサピニル、2−,4−,5−,6−,7−,又は8−ベンゾキサジニル、1−,2−,3−,5−,6−,7−,8−,9−,10−,又は11−1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンズアザピニルが含まれるが、これらに限定されない。通常の縮合ヘテロアリール基には、2−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−キノリニル、1−,3−,4−,5−,6−,7−,又は8−イソキノリニル、2−,3−,4−,5−,6−,又は7−インドリル、2−,3−,4−,5−,6−,又は7−ベンゾ[b]チエニル、2−,4−,5−,6−,又は7−ベンゾキサゾリル、2−,4−,5−,6−,又は7−ベンズイミダゾリル、2−,4−,5−,6−,又は7−ベンゾチアゾリルが含まれるが、これらに限定されない。
「シクロアルキル」は、単に炭素及び水素原子からなり、3〜15個の炭素原子を有し、好ましくは、3〜12個の炭素原子を有し、(C−C12)シクロアルキルであり、飽和又は不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合している安定した非芳香族単環又は二環式炭化水素ラジカルを意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリニル等である。明細書中で特に示さない限り、「シクロアルキル」という用語は、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上の置換基により置換されていてもよいシクロアルキルラジカルを含むことが意図される(R’及びR’’は、独立してH又は(C−C12)ヒドロカルビルである)。
「ヘテロシクリル」又は「複素環」は、例えば、4〜7員環の単環、7〜12員環の二環又は10〜15員環の三環系である、少なくとも1個の炭素原子を含む環内に少なくとも1個のヘテロ原子を有している、置換されていてもよい、飽和又は部分的不飽和の非芳香族環状基を意味する。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子から選択される、1、2、3又は4個のヘテロ原子を有していてもよく、窒素及びイオウヘテロ原子は酸化されていてもよい。複素環基は、ヘテロ原子又は炭素原子で連結されていてもよい。本明細書に開示される複素環は、得られる化合物が安定であれば、炭素又は窒素原子上で置換されていてもよい。特に示される場合、複素環内の窒素は四級化していてもよい。複素環内のS及びO原子の合計数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は、お互いに隣接していないことが好ましい。二環又は三環複素環基は、スピロ環又はスピロ環基と縮合していてもよい。好ましくは、ヘテロシクリルは、4〜12員環系である。また、好ましくは、ヘテロシクリルは4〜9員環系である。
代表的な単環複素環基には、オキセタニル、チアタニル、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロロリジニル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル(tetrahydrothipyranyl)、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル(ptperidinyl)、ピペラジニル、モルホリニル(morphoiinyl)、アゼピニル、ジヒドロアゼピニル、テトラヒドロアゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、オキセパニル、チエパニル、ジヒドロチエピニル、テトラヒドロチエピニル、ジヒドロオキセピニル、テトラヒドロオキセピニル、1,4−ジオキサニル、1,4−オキサチアニル、モルホリニル(morphoiinyl)、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、プテペリドニル(A−ptperidony!)、イソキサゾリニル(isoxazoiinyi)、イソキサゾリル、1,4−アザチアニル、1,4−オキサチエパニル、1,4−オキサアアゼパニル、1,4−ジチエパニル、1,4−チエキセパニル、1,4−ジアゼパニル、トロパニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、5,6−ジヒドロ−2H−ピラニル、チアゾリジニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン(thiamorphoiinyl suifone)、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,1,4−トリオキソ−1,2,5−チアジアゾリジン−2−イル、ピラゾリニル等が含まれる。
代表的な二環式複素環基には、ジヒドロインドリル、キヌクチジニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、2−オキサ−6−アザスピロ[3,3]ヘプタン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニル(tetrahydroisoquinoiinyl)、デカヒドロイソキノリニル(decahydroisoquinoiinyl)、ジヒドロイソインドリル、インドリニル(indoiinyl)、ノルボラニル、アダマンタニル等が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中、特に指定されない限り、「ヘテロシクリル」という用語は、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される1個以上の置換基で置換されていてよい、前記で定義されたヘテロシクリルラジカルが含まれる(R’及びR’’は、独立して、H又は(C−C12)ヒドロカルビルである)。
「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素部分を意味する。
「アセタール」という用語は、化学において一般的な意味を有し、式:R−CH(OR’)(R’はアルキルである)を有する。アセタールの例には、R−CH(OCH及びR−CH(OCHCHが含まれる。
「トリチル」という用語は、−C(Ph)又はDMT又はDMTrと省略される場合がある、4,4’−ジメトキシトリチル基、又は1個以上の芳香環に1個以上の置換基を有する、C(Ph)又はDMTの類似体を意味する。
「イソシアネート」という用語は、一般的な意味で用いられる。イソシアネートは、一般式:R−N=C=O(Rは、分子の残りについての残基である)を有する。イソシアネートは、アルコールと反応してカルバメートを生成することができ、これは、オリゴヌクレオチドの合成において反復性のカップリング及び脱保護のための条件に対して安定である。
「直接結合」という用語は、「直接結合」により連結した2個の実体がお互いに直接連結していることを意味する。
「RNA」又は「リボ核酸」という用語は、少なくとも1個のリボヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを意味する。
本明細書で用いられる場合、「クリックケミストリー」又は「クリック反応」は、2001年のSharpless及び共同研究者(以下の議論を参照されたい)により最初に開示された、非常に効率的かつ選択的であり、高収率で一緒に分子を製造することのできる反応のクラスを意味する。「クリック反応」は、通常、末端アルキン又は活性化アルキン類似体(例えば、活性化シクロオクチン)及びアジド又はニトロンを必要とする。
本明細書で用いられる場合、「クリックハンドル」は、「クリック反応」に関与し得る基を意味する。「クリックハンドル」は、分子の他の部分に連結する短い結合を含んでいてもよく、置換基で置換されていてもよい、末端アルキン(−C≡CH)、又は活性化シクロオクチンである。短い結合は、アルキレン(例えば、(C−C)アルキレン)、アルケニレン(例えば、(C−C)アルケニレン、アルキニレン(例えば、(C−C)アルキニレン、−O−、−S−、−NR’−、−CO−NR’−、−NR’−CO−、−NR’−CO−O−、−O−CO−NR’−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、又はそれらの組み合わせであってもよい(R’は、H又は(C−C)アルキルである)。任意の置換基は、−O−R’’、−O−CO−R’’、−NR’−R’’、−NR’−、CO−R’’−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせであってもよい(R’及びR’’は、独立して、H又は(C−C)アルキルである)。
「活性化シクロオクチン」という用語は、1個以上の隣接する芳香環を有し、1個以上のフッ素置換基を有し(例えば、ジフルオロシクロオクチン)、又はシクロオクチン環上でひずみを起こす、1個以上の環縮合を有することにより活性化されたシクロオクチンを意味する。環縮合は、シクロオクチン環上にひずみを起こし、通常は、シクロプロピル又はシクロブチル環のような小さい環を必要とする。これらの種々の活性化シクロオクチンは、後述するように、当該技術分野において公知である。
本明細書で用いられる場合、「リンカー」は、分子内の2個の部分を架橋する。「リンカー」は、置換基によって置換されていてもよいヒドロカルビル鎖(例えば、(C−C12)アルキレン、(C−C12)アルケニレン)であってもよく、リンカーは、−(CHR’)−W−(CHR’)−V−(CHR’)−によって表される(W及びVは、独立して−O−、−S−、又は−NR’−であり、R’はH又は(C−C)アルキルであり、a、b、c、d及びeは、独立して0〜10、好ましくは0〜6、又は好ましくは0〜3の整数であり、a、b、c、d及びeの合計は好ましくは2〜6の整数である)、他の分子が散在するヒドロカルビル鎖であってもよい。任意の置換基は、−O−R’’,−O−CO−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせであってもよい(R’及びR’’は、独立して、H又は(C−C)ヒドロカルビルである)。
本明細書で用いられる場合、「切断可能なアダプター」という用語は、式(A):X−C−L−Hにおける「X」及び「H」部分を分離するために用いることのできる官能基を含む部分である。「切断可能なアダプター」は、ヒドロカルビル基(例えば、(C−C12)ヒドロカルビル)、アリール基(例えば、(C−C18)アリール)、ヘテロアリール基、シクロアルキル(例えば、(C−C12)シクロアルキルと連結した、シラニル基、トリチル基、若しくはビシニルアルコール、又はそれらの組み合わせから選択される切断可能な基を含む。
このような「切断可能なアダプター」の例には、化合物2における5’−シラニル−O−ヌクレオシド基、化合物4における5’−トリチル−O−ヌクレオシド基、及び化合物3におけるビシニルアルコール含有ノルボラニルイミド基が含まれ、以下に開示される。化合物2において示されるシラニル基は、当該技術分野において周知の緩酸又はフッ化物により切断することができる。トリチル基は、当該技術分野において周知の緩酸により切断することができる。化合物3(TBS保護基の除去後)において示されるノルボラン構造内のビシニルアルコールは、分子内エステル交換/加水分解を起こし、隣接するリン酸基を加水分解するであろう。「切断可能なアダプター」は、切断後にオリゴヌクレオチド生成物に残るヌクレオシド部分又は類似の部分を含んでいてもよいことに注意されたい。これらの「切断可能なアダプター」の例を、化合物2及び化合物4内に示す。
「任意の」又は「任意に」は、状況が起こる場合と起こらない場合が含まれるように、続いて記載される状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。例えば、「置換されていてもよい」という表現は、非水素置換基が存在していてもしていなくてもよいことを意味し、従って、記載は、非水素置換基が存在する構造、及び非水素置換基が存在しない構造を含む。
K.Barry Sharpless及び共同研究者らは、2001年に、高収率で一緒に分子を容易に製造することのできる、効率的かつ選択的なクラスの反応を意味する、「クリックケミストリー」という用語を造り出した(Kolbら、「Click Chemistry:Diverse Chemical Function from a Few Good Reaction,」Ang.Chemie,Int’l Ed.,40,pp.2004−21)。「クリック」という用語は、2個のバックルを、一緒に「クリック」するような、分子の部分を連結する容易さを意味する。
2002年に、Sharpless及びMeldalのグループは、独立して、有機アジド及び末端アセチレンを用いた、銅触媒アジド−アルキレン環付加を証明した(Rostovtsevら、(2002)「A Stepwise Huisgen Cycloaddition Process:Copper(I)−Catalyzed Regioselective ’Ligation’of Azides and Terminal Alkynes,」Ang.Chemie,Int’l Ed.,41,pp.2596−99;Tornoeら(2002),「Peptidotriazoles on Solid Phase:[1,2,3]−Triazoles by Regiospecific Copper(I)−Catalyzed 1,3−Dipolar Cycloadditions of Terminal Alkynes to Azides,」J.Organic Chem.,67,pp.3057−64)。環状生成物は1,4−置換トリアゾールである。銅触媒は、室温において進行する反応を可能にし、位置選択性を与えた。しかし、銅は細胞毒性を有する。従って、この反応は多くの局面で用いることができない。これに応じ、触媒として銅を必要としない、他のタイプのアジド−アルキン環付加が開発された。このアプローチにより、環のひずみ、例えばシクロオクチンを導入することによってアルキンの反応性が増大する。
Bertozziは、アジド−アルキン環付加におけるシクロオクチンの使用を最初に開示した(Jewett及びBertozzi,「Cu−free click cycloaddition reactions in chemical biology」Chem.Soc.Rev.,2010,39,1272−1279、並びにこの文献で引用された文献)。しかし、有機アジドとシクロオクチンとの反応は、銅触媒反応に比べて遅い。この問題を回避するため、Bertozziは、内部アセチレンに隣接する2個のフッ素を付加した。この新規な二フッ素化シクロオクチン(DIFO)は、標準の銅触媒環付加と匹敵する速度でアジドと反応する。
シクロオクチンの反応性を増大させるための他のアプローチは、シクロオクチン環にひずみを構築することによる。例えば、2個のベンゼン環に隣接するシクロオクチンが設計され、これはベンゼンの芳香属性が環のひずみを増大させた。他のアプローチにおいては、小さい環をシクロオクチン環と縮合することにより、シクロオクチン環が活性化され得る。これらすべてのシクロオクチンは、概して「活性化」シクロオクチンと呼ばれるが、それらは、芳香環、フッ素、又は環のひずみによって活性化されている。
本発明の実施形態によれば、Cu(I)−触媒、及びCu(I)を含まない「クリック」反応の両方を用いることができる。これらの反応の条件は当業者に周知であり、例えば、前記議論を参照されたい。
本発明の実施形態によれば、「クリック」反応に関与し得る試薬をオリゴヌクレオチドの合成に用いることができ、ポリヌクレオチド生成物の精製を容易にする。このような試薬には、末端アルキン又は活性化シクロオクチン部分が含まれる。活性化シクロオクチン部分には、芳香環に隣接し、三重結合の次にフッ素置換基を有し、又は環のひずみを有することにより活性化されるものが含まれる(例えば、シクロオクチン環と縮合したシクロプロパン環)。
本発明の実施形態によれば、末端アルキン及び活性化シクロオクチンの両方を用いることができる。本明細書において、末端アルキン及び活性化シクロオクチンは、一般に、「クリックハンドル」と呼ばれる。従って、本発明の試薬の一般式は:
X−C−L−H 式(A)
として表すことができる。
式中、Xは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等の5’−ヒドロキシル基と反応し得る官能基であり、適切なX官能基はホスホラミダイト、H−ホスホネート、アセタール、イソシアネート等を含み、
Cは、直接結合又は切断可能なアダプターであり、上記切断可能なアダプターは−C−C−で表され、CはXに結合し、それぞれ、ハロ、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ又はアルキルアミノから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、直接結合、ヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、トリチル基又はビシニルアルコール基である。好ましくは、Cは、直接結合、(C−C12)ヒドロカルビル、(C−C12)アリール、5〜12員環のヘテロアリール、(C−C12)シクロアルキル、4〜12員環のヘテロシクリル、又はヌクレオシドである。
Lは、独立して、5〜9員環のヘテロアリール、4〜9員環のヘテロシクリル、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル、(C−C12)アリール、−O−R’’,−O−CO−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよいヒドロカルビル鎖であり、ここで、R’及びR’’は、独立してH又は(C−C)ヒドロカルビルであり、好ましくは、Lは、それぞれ、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル又はハロゲンから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、又は(C−C12)アルキニルのようなヒドロカルビルであり、又は、Lは、−(CHR’)−W−(CHR’)−V−(CHR’)−(ここで、W及びVは、独立して、−O−、−S−、又は−NR’−であり、R’はH又は(C−C)アルキルであり、a、b、c、d及びeは、独立して0〜10の整数であり、好ましくは0〜6であり、又は好ましくは0〜3であり、a、b、c、d及びeの合計は好ましくは2〜6の整数である)により表される、他の原子が散在するヒドロカルビル鎖であり。
Hは、前記で定義される「クリックハンドル(click handle)」であり、末端アルキン又は活性化シクロオクチンを含んでいてもよい。
ホスホラミダイト、リンカー、及び「クリックハンドル」を有する化合物の特定の例を以下に示す。この例においては、式(A)中の「C」は直接結合である。
Figure 2013151468
上記式においては、「クリックハンドル」は、末端アルキン又は活性化シクロオクチンであってもよい。末端アルキン試薬の例、及び一般的な「活性化シクロオクチン」試薬の例を以下に示す。前記に言及したように、「活性化シクロオクチン」は、芳香環、フッ素、又は縮合環のひずみによって活性化することができる。
Figure 2013151468
Figure 2013151468
末端アルキン及び活性化シクロオクチンの両方を含む試薬を用いることができるが、明瞭化のために、以下の記載は、例として活性化シクロオクチンを用いる。特に、以下の記載は、例として、縮合環シクロオクチン(すなわち、ひずみのあるシクロオクチン)を用いる。これらの「ひずみのある」シクロオクチンは、以下の記述において、一般的に「活性化」シクロオクチンと呼ばれる。しかし、当業者は、この記載が、末端アルキン−含有試薬又は他のタイプの活性化シクロオクチン試薬にも適用されることを理解するであろう。
活性化シクロオクチンを有する、本発明の試薬は、式(B):
Figure 2013151468
(式中、m、nは、それぞれ独立して0〜10から選択される整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、H、ハロ、ニトロ、エステル、カルボン酸、アルデヒド、エーテル、又はシアノエチル、電子求引基、電子供与基、N(R’)(R’’)、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ビシクリル、CO−NR’R’’、O−ヒドロキシアルキル、O−ヒドロキシアルケニル、CO−アルコキシアルケニルから選択され(ここで、R’及びR’’は、それぞれH又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル)である)、X、C及びLは、式(A)において定義された通りであり、Yは、
−O−、−S−、−NR’−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−から選択される連結官能基であり(ここで、R’は、水素又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル又は(C−C)アルキル)である))として示される一般構造として表される。
ひずみのあるシクロオクチンを有する、式(B)の化合物の代表的な試薬を、式(I):
Figure 2013151468
(式中、点線入りの箱により囲まれた部分は、式(A)のHに相当し、Yは、−O−、−S−、−NR’−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−(ここで、R’は水素又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル又は(C−C)アルキルである)から選択される連結官能基であり、X、C及びLは式(A)において定義された通りである)に示す。
本発明のある実施形態によれば、Xには、ホスホラミダイト基、H−ホスホネート基、アセタール基、又はイソシアネート基が含まれる。Xの具体例には、アセタール(例えば、−CH(OR))、イソシアネート(−N=C=O)、(2−シアノエチル)−ジイソプロピルホスホラミダイト(NC−(CH−O−PO−N(iPr))、及びメチル−ジイソプロピルホスホラミダイト、H−ホスホネートアルキルエステル等が含まれる。
本発明のある実施形態によれば、Cは、−C−C−で表される切断可能なアダプターであり、ここで、CはXに結合し、それぞれ、ハロ、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ又はアルキルアミノから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、直接結合、(C−C12)ヒドロカルビル、(C−C12)アリール、5〜12員環のヘテロアリール、(C−C12)シクロアルキル、4〜12員環のヘテロシクリル、ヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、トリチル基又はビシニルアルコール基である。好ましくは、Cは、直接結合、(C−C)ヒドロカルビル、4〜12員環のヘテロシクリル、又はヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、又はトリチル基である。
本発明のある実施形態によれば、Lは、一般式−(CH−W−(CH−V−(CH−(ここで、W及びVは、独立して、−O−、−S−、又は−NR’−であり、R’は水素又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル又は(C−C)アルキル)であり、a、b、c、d及びeは、独立して0〜10、好ましくは0〜6であり、又は好ましくは0〜3の整数であり、a、b、c、d及びeの合計は好ましくは2〜6の整数である)により表される
本発明のある実施形態によれば、Lは、それぞれ、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル又はハロゲンから選択される基で置換されていてもよい、(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、又は(C−C12)アルキニルのようなヒドロカルビル基である。本発明のある実施形態によれば、Lリンカーは、好ましくは(C−C12)アルキルであり、さらに好ましくは(C−C)アルキルである。
本発明のある実施形態によれば、式(I)中のXはホスホラミダイトである。このような化合物の例は、式(II):
Figure 2013151468
(式中、C、L及びYは前記に定義した通りであり、Rは(C−C)アルキル又はシアノエチルである)において示される一般構造を有する。本発明の好ましい実施形態においては、Lは(C−C12)アルキルであり、さらに好ましくは(C−C)アルキルであり、Yは−NH−CO−O−であり、Cは、−C−C−で表される切断可能なアダプターであり、CはXに結合し、直接結合、(C−C)ヒドロカルビル、4〜12員環のヘテロシクリル、又はヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、又はトリチル基であり、Rはシアノエチルである。
本発明のある実施形態によれば、式(I)中のXはH−ホスホネートである。このような化合物の例は、式(III):
Figure 2013151468
(式中、C、L、Y及びRは前記に定義した通りである)において示される一般構造を有する。本発明の好ましい実施形態においては、Lは(C−C12)アルキルであり、さらに好ましくは(C−C)アルキルであり、Yは−NH−CO−O−であり、Cは、−C−C−で表される切断可能なアダプターであり、CはXに結合し、直接結合、(C−C)ヒドロカルビル、4〜12員環のヘテロシクリル、又はヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、又はトリチル基であり、Rはシアノエチルである。
本発明のある実施形態によれば、式(I)中のXはイソシアネートである。このような化合物の例は、式(IV):
Figure 2013151468
(式中、C、L及びYは前記に定義した通りである)において示される一般構造を有する。本発明の好ましい実施形態においては、Lは(C−C12)アルキルであり、さらに好ましくは(C−C)アルキルであり、Yは−NH−CO−O−であり、Cは、−C−C−で表される切断可能なアダプターであり、CはXに結合し、直接結合、(C−C)ヒドロカルビル、4〜12員環のヘテロシクリル、又はヌクレオシドであり、Cは、直接結合、シラニル基、又はトリチル基である。
式(II)の化合物のいくつかの代表的例が下記に示されている。当業者は、それらの特定化合物が単なる例示のためであり、そしてそれらの化合物の他の修飾及び変動が本発明の範囲を逸脱することなしに可能であることを認識しているであろう。
Figure 2013151468
化合物1は、ヒドロキシル基と反応し、ホスフィト基を形成できるホスホラミダイトである。ホスフィト基は、例えば典型的なオリゴヌクレオチド合成における酸化工程の間、リン酸基に酸化され得る。リン酸基はオリゴヌクレオチドの合成に使用される反復カップリング及び脱保護に対して安定している。さらに、リン酸基は、最終脱保護及び固体支持体からのポリヌクレオチドの切断に対して安定している。従って、化合物1のような構造を有する活性化されたシクロオクチン試薬は、下記に記載されるように、合成の後、ポリヌクレオチドの精製を促進するために、不良配列の標識のためのキャッピング剤として使用され得る。
示されないが、H−ホスホネート(ホスホラミダイトの代わり)もまた使用され得る。H−ホスホネートはヒドロキシル基と反応し、ホスホネート基を形成することができる。ホスホネート基は、オリゴヌクレオチドの合成に使用される反復カップリング及び脱保護に対して安定している。ホスホネート基は、例えば典型的なオリゴヌクレオチド合成における酸化工程の間、リン酸基に酸化され得る。リン酸基は、最終脱保護及び固体支持体からのポリヌクレオチドの切断に対して安定している。従って、化合物1のような構造体を有するが、しかしホスホミダイトの代わりにH−ホスホネートを有する活性化されたシクロオクチン試薬は、下記に記載されるように、合成の後、ポリヌクレオチドの精製を促進するために、不良配列の標識のためのキャッピング剤として使用され得る。
化合物2は、5′−ヒドロキシル基に結合される活性化されたシクロオクチン部分を有するヌクレオシド3′−ホスホラミダイトである。この試薬上の3′−ホスホラミダイト基は5′−ヒドロキシル基と反応し、ホスフィト基を形成することができる。このホスフィト基は、例えば典型的なオリゴヌクレオチド合成における酸化工程の間、リン酸基に酸化され得る。リン酸基は、オリゴヌクレオチドの合成に使用される反復カップリング及び脱保護に対して安定している。さらに、リン酸基は、最終脱保護及び固体支持体からのポリヌクレオチドの切断に対して安定している。
化合物2中の活性化されたシクロオクチン部分は、シラニル基を通してヌクレオシドに結合され、これは、緩酸溶液又はフッ化物イオン(例えば、NaF、テトラ−N−ブチルアンモニウムフッ化物((Bu)4NF)、HF−ピリジン又はHF−NEt)による処理により切断され得る。従って、活性化されたシクロオクチン部分は、最終ポリヌクレオチドの精製を促進するそれらの機能を果たした後、ポリヌクレオチド生成物から解放され得る。従って、化合物2のような構造を有する試薬は、所望する配列の成長鎖にカップリングするための最後のヌクレオシドとして使用され得る。
合成の後、完全な長さの配列は、下記に記載されるように、アジド又はニトロン含有固体支持体上の完全な長さの配列を捕獲するために[クリック(click)]反応を通して不良配列から分離され得る。完全な長さの配列の精製の後、活性化されたシクロオクチン部分は、緩酸溶液又はフッ化物イオン(例えば、NaF、テトラ−N−ブチルアンモニウムフッ化物((Bu)NF)、HF−ピリジン又はHF−NEt)により生成物を処理することにより切断され得、そして所望する完全な長さの配列が単離され得る。
化合物3は、活性化されたシクロオクチンがホスホラミダイトに対して整列されることにおいて、化合物1に類似する。しかしながら、化合物3のリンカー部分は、隣接アルコールを有するノルボラニル基を含み、前記アルコールの1つはホスホラミダイトに結合され、そして他のアルコールはTBS(t−ブチルジメチルシリル)基により保護される。これは、普遍型[クリック]ハンドル(不良配列をキャッピングするためへの使用のための又は合成サイクルにおける最後のヌクレオチドへのカップリングのためへの使用のための)として作用することができる。TBS保護基は、緩酸溶液又はフッ化物イオン(例えば、NaF、テトラ−N−ブチルアンモニウムフッ化物((Bu)NF)、HF−ピリジン又はHF−NEt)による処理により除去され得る。ヒドロキシルが遊離されると、それは、加熱又は塩基処理、例えばアンモニア処理により隣接リン酸基を攻撃することができる。従って、化合物3における活性化されたシクロオクチン基は解放できる[クリック]ハンドルとして機能することができ、それは、所望する配列の精製を促進するようその機能を果たした場合、解放され得る。
化合物1におけるように、化合物3におけるホスホミダイト基はヒドロキシル基と反応し、ホスフィト基を形成できる。ホスフィト基は、例えば典型的なオリゴヌクレオチド合成における酸化工程の間、リン酸基に酸化され得る。リン酸基は、オリゴヌクレオチドの合成に使用される反復カップリング及び脱保護に対して安定している。さらに、リン酸基は、最終脱保護及び固体支持体からのポリヌクレオチドの切断に対して安定している。従って、化合物1のような構造を有する活性化されたシクロオクチン試薬は、下記に記載されるように、合成の後、ポリヌクレオチドの精製の促進のために不良配列の標識のためのキャッピング剤としえ使用され得る。
さらに、「クリック」ハンドルが解放できるので、化合物3はまた、不良配列のためのキャッピング剤として化合物3を用いる代わりに、最後のヌクレオチドが付加された後、一時的キャッピング剤としても使用され得る。
切断できるシラニル基の代わりに、トリチル基もまた、切断できるコネクターとして使用され得る。トリチルコネクターは緩酸、例えばジクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸による処理により除去され得る。トリチルコネクターを使用する化合物の例は、化合物4として示される。シラニル及びトリチル基の両者は1つの例により示されるが、当業者は、種々の修飾及び変動が本発明の範囲を逸脱することなしに可能であることを理解しているであろう。
上記に示されるように、本発明の態様に従っての活性化されたシクロオクチン試薬は、オリゴヌクレオチドの合成及び精製において「クリック」化学ハンドルとして使用され得る。それらの試薬は次の2つのアプローチに使用され得る:(i)続く反応におけるさらなる反応から不良配列を阻止するための「キャッピング」剤として、及び(ii)容易な精製のための最終生成物を標識するための最後のヌクレオチド類似体として。
本発明の態様に従っての第一アプローチによれば、反復オリゴヌクレオチド合成の間、不完全カップリングの結果として生成される短いマー(切断されたオリゴヌクレオチド)は、新規活性化されたシクロオクチンリン酸化試薬により「キャッピング−オフ(capped−off)される」。本発明の方法に従ってのオリゴヌクレオチドの合成及び精製にひずみのあるシクロオクチン試薬を用いるための典型的な方法が、図2及び4に示される。
図2及び4に関して、個々の合成サイクルにおいて、キャッピング工程は本発明のひずみのあるシクロオクチン試薬(例えば、上記に示される化合物1又は化合物3)を使用するために修飾され得る。すなわち、無水酢酸(例えば、AcO)が、本発明の試薬、すなわち図4中の工程3におけるX−C−L−H(例えば、化合物1又は化合物3)により置換され得る。それらのキャッピング反応の結果として、固体支持体からの切断の後、最終生成物の混合物は、完全な配列の他に、5′−末端に結合される活性化されたシクロオクチン部分をそれぞれ有する種々の不良配列を含むであろう(図2を参照のこと)。
生成物の混合物は、アジド含有又はニトロン含有固体支持体(例えば、ビーズ)と反応され得る。ニトロンはイミンのN−酸化物である。アジド及びニトロンはアルキンと容易に反応し、安定した5員の環生成物を形成できる。環付加の後、不良配列は固体支持体に共有結合されるが、ところが完全な長さの配列は溶液に残存するであろう。従って、所望する完全な長さの配列は、例えば濾過により不良配列から容易に分離され得る。
第二アプローチによれば、新規の切断できる活性化された−シクロオクチンリン酸化試薬は、最終の完全な長さの生成物自体の精製ハンドルとして、オリゴヌクレオチドの5′末端に付加され得る(反復合成の最終工程の間)。他方では、カップリングされる最終モノマーは、切断できる活性化されたシクロオクチン部分を含むことができる。切断できる活性化されたシクロオクチンリン酸化試薬の例は、化合物2、化合物3又は化合物4を包含することができる(上記に示される)。
このアプローチに従っての方法は、図3及び5に示される。図3及び5に示されるように、最終生成物の混合物は、活性化されたシクロオクチン試薬により標識されない種々の不良配列を含むが、ところが完全な長さの生成物は活性化されたシクロオクチン基に対して共有結合される。
生成物の混合物は、アジド含有又はニトロン含有固体支持体(例えば、ビーズ)と反応され、完全な長さのオリゴヌクレオチド生成物と共有結合を形成できる。溶液に残存する不良配列は、固体支持体から分離され得る。次に、固体支持体に結合される精製された十分な長さの生成物は、例えば緩酸溶液又はフッ化物イオン(例えば、NaF、テトラ−N−ブチルアンモニウムフッ素化物((Bu)NF)、HF−ピリジン又はHF−NEt)を用いて、ビーズからオリゴヌクレオチドを切断することにより解放され得る。
不良配列をキャッピングし、そしてトラッピングするためへの活性化されたシクロオクチンリン酸化試薬の使用、又はオリゴヌクレオチドサイクルの最後での活性化されたシクロオクチンホスホラミダイトモノマー又は類似試薬の使用は、合成及び精製の容易さを非常に改善するであろう。それらの方法は、高生産性及び大規模設定の両者においてオリゴヌクレオチドの急速精製を可能にするであろう。それらの簡単な方法はまた、オリゴヌクレオチド合成/精製の費用を削減するであろう。それはまた、所望する完全な長さの生成物の全体的収率及び回収率を高めるであろう。それはまた、すべての従来方法が失敗する長いオリゴヌクレオチド(すなわち、300以上のマー)の精製において最も強力であろう。しかしながら、それらの方法はまた、より短いオリゴヌクレオチドについても従来の方法よりも好都合である。
本発明の態様が下記に実施例によりさらに示される。それらの実施例は単なる例示であって、本発明の範囲を制限するものではないことが理解されるべきである。
本発明の態様が、次の実施例により示される。それらの実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。さらに、当業者は、それらの実施例から種々の変動及び修飾が本発明の範囲を逸脱することなしに可能であることを理解すべきである。例えば、使用されるリンカーは、長いか又は短い結合を有する他のリンカー、又は異なったタイプのリンカーにより置換され得る。同様に、それらの実施例はホスホラミダイト官能基を用いるが、当業者は、類似する試薬が、周知の方法を用いて、H−ホスホネート部分により調製され得ることを理解するであろう。
下記に示されるスキーム1は、上記に記載される化合物1の類似体の合成についての合成スキームを示す。手短に言及すると、1,5−シクロオクタジエンを、ジアゾアセテートと反応せしめ、縮合されたシクロプロピル−シクロオクテン構造体3476−31を形成し、そのエステル官能基をその対応するアルコールに還元する。次に、シクロオクテン部分を臭素化し、そして脱臭化水素化し、その対応する縮合されたシクロプロピル−シクロオクチンアルコール3476−39を生成する。
縮合されたシクロプロピル−シクロオクチンアルコール3476−39のアルコール官能基を、p−ニトロフェノール基を含むカーボネートに転換する。カーボネート中のp−ニトロフェノール基を、求核体、例えばアミンにより置換する。従って、アミノ基を含む所望するリンカーをカーボネート化合物と反応せしめ、カルバメート官能基(−O−C(O)−NH−)を通してリンカーにカップリングされる活性化されたシクロオクチン、例えば3476−105を生成できる。最終的に、リンカーの他端を、オリゴヌクレオチド合成方法に使用され得る、ホスホラミダイト又はH−ホスホネートに転換することができる。
Figure 2013151468
スキーム1においては、化合物3476−31の2種の立体異性体の1つのみが続く工程に示されている。これは明確に示すためである。1つはラセミ混合物を使用し、又は他の1つは代わりに異性体を用いることができる。
さらに、スキーム1は、リンカーがカルバメート官能基、すなわち−O−C(O)−NH−(CH−O−を通して活性化されたシクロオクチン基にカップリングされることを示す。当業者は、他のタイプの結合官能基(例えば、エーテル、エステル、等)が本発明の範囲を逸脱することなしに使用され得ることを理解するであろう。そのような他の結合官能基の調製は通常の有機反応を包含し、そして当業者はそれらの化合物の調製においていずれの困難性も有さない。例としては、例えばエーテル結合は、次の反応スキームに従って調製され得る:
Figure 2013151468
本発明の態様によれば、リンカーの長さは変更され得る。例えば、−(CH−においては、nは2〜10の範囲の整数であり得る。さらに、化合物3476−39中のアルコール基は、アミノ基又は脱離基(例えば、トシレート)に転換され、これは次に異なったタイプの結合官能基を得るために、さらに反応せしめられる。
本発明の態様によれば、種々の結合官能基及び種々のリンカーが使用され得る。それらの例のいくつかは、上記式Iに関して、Y及びL基として論じられている。
以下の式(V)に示されるように、「リンカーボックス(linker box)」として分子の[−Y−L−]部分を一般化できる。
Figure 2013151468
そのような「リンカーボックス(式(V)を参照のこと)の一般的例は、次のものを包含する:−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−O−(CH−、−O−(CH−、−O−(CH−、−O−(CH−、−O−(CH−、 −NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−(CH−、−NH−CO−(CH−、−NH−CO−(CH−、−NH−CO−(CH−、−NH−CO−(CH−、−NH−CO−(CH−、−NH−CO−O−(CH−、−NH−CO−O−(CH−、−NH−CO−O−(CH−、−NH−CO−O−(CH−、−NH−CO−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH−、−O−(CH−O−(CH−、−NH−(CH−O−(CH−、−NH−(CH−O−(CH−、−NH−CO−(CH−O−(CH−、−NH−CO−(CH−O−(CH、等。
スキーム1に示されるように、関与する反応は一般的有機反応である。当業者は、独創的努力を伴わないで、それらの反応を実施することができる。例としては、典型的な活性化されたシクロオクチンホスホラミダイト部分3476−31の合成のための詳細な合成方法及び条件が下記に記載される。
[化合物3476−31の合成]
DCM(30ml)中、1,5−シクロオクタジエン(51.57ml、0.420モル)及びRh(OAc)(1g、0.0026モル)の溶液に、エチルジアゾアセテートの82%溶液(DCM中、7.32ml、0.0605モル)を、0℃で3時間にわたって滴下した。この溶液を48時間、撹拌した。次に、それを蒸発乾燥した。過剰のシクロオクタジエンを、1:200のEtOAc:ヘキサン(1L)を用いて、シリカパッドを通して濾過することにより除去した。濾液を真空下で濃縮し、そして残渣を、シリカゲル(1:20のEtOAc:ヘキサン)上でのカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、透明無色の油状物を得た。エンド化合物はエキソ化合物よりも高いRfを有する。化合物は、Dommerholdt, Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 9422により記載されるように、適合する。
[化合物3476−39の合成]
ジエチルエーテル(100ml)中、LiAlH(334mg、88ミリモル)の懸濁液を0℃に冷却した。これに続いて、エーテル(50ml)中、3476−31(1.7g、88ミリモル)を滴下した。次に、その混合物を室温で30分間、撹拌し、次に0℃に冷却し、そして水を、灰色の固形物が白色に変わるまで、ゆっくり添加した。次に、硫酸ナトリウムを添加し、そして固形物を濾過し、そしてエーテルにより洗浄し、そして濾液を真空下で濃縮した。次に、それをDCM(200ml)に溶解し、そして0℃に冷却した。次に、臭素溶液(0.5ml、97ミリモル)を、黄色の色が持続するまで、DCM(20ml)に滴下した。次に、その反応混合物を、さらに30分間、撹拌した。この点で、それを10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(50ml)により冷却し、そしてDCMにより抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、二臭化物を黄色の油状物として得た。次に、この材料をTHF(50ml)に溶解し、続いて0℃で、THF(15ml)中、カリウムtert−ブトキシド(3g、264ミリモル)の溶液を添加した。次に、前記溶液を3時間、還流した。室温への冷却の後、反応混合物をDCM(200ml)により希釈し、そして飽和塩化アンモニウム溶液(50ml)により冷却した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発し、そして真空下で濾過した。次に黄色の残渣を、7:3のヘキサン:EtOAcを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固形物を得た。化合物は、Dommerholdt, Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 9422により記載されるように、適合する。
[化合物3476−103の合成]
化合物3476−39(1.84g、0.0122モル)を、窒素下でDCM(25ml)に溶解した。これに続いて、ピリジン(5ml)及び3A分子篩を添加した。次に、その溶液を室温で15分間、撹拌した。これに続いて、p−ニトロフェニルクロロホルメート(3.2g、0.0159モル)を添加した。反応を、TLC(7:3のヘキサン:EtOAcを用いる)による判断により、完結するまで(2時間)、撹拌した。完結の後、反応をDCMにより希釈し、そして5%塩化アンモニウム水溶液により徐々に処理した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発した。次に、得られる材料を、7:3のヘキサン:EtOAcを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固形物を得た。化合物は、Dommerholdt, Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 9422により記載されるように、適合する。
[化合物3476−105の合成]
化合物3476−103(2.47g、0.00784モル)を、窒素下でDMF(25ml)に溶解した。これに続いて、トリエチルアミン(3.3ml、0.0235モル)及びアミノヘキサノール(1.84g、0.157モル)を添加した。その反応混合物は1時間後、完結した。この点で、それを蒸発乾燥し、そしてDCM(200ml)に再溶解した。次に、有機層を、1NのNaOH(2×50ml)及び飽和塩化アンモニウムにより洗浄した。次に、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発した。次に得られる材料を、DCM中、5%MeOHまでの勾配を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、94%の収率で白色固形物を得た。HNMR (500 MHz, CDCl) δ 4.72(1H),3.94 (2H, d),3.60 (2H, t),3.14−3.15 (2H, m), 2.37 (2H, d), 2.23−2.28(2H, m), 2.10−2.14 (2H, m), 1.80 (1H, s), 1.45−1.57 (4H, m),1.33−1.34 (6H, m), 0.71−0.73(2H, s),0.63−0.66 (1H, m);13C NMR (126 MHz, CDCl) δ 156.84, 98.77, 68.90, 62.60, 40.75, 33.27, 32.54, 29.97, 26.35, 25.29, 23.75, 22.79, 21.36; ESI−QQQ−C1727NO についての計算値293.2 (+H); 実測値 294.2。
[化合物3476−111の合成]
化合物3476−105(500mg、17ミリモル)及びジイソプロピルテトラゾリド(586mg、0.00241ミリモル)を、3Å分子節を含む丸底フラスコに乾燥窒素下で添加した。これに続いて、DCM(5ml)を添加した。次に、この材料を、室温で30分間、撹拌し、この点で、DCM(5ml)に溶解されたリン酸化試薬(388mg、13ミリモル)を、前記丸底フラスコ中にカニューレ処理した。この反応を、TLC(DCM中、3%MeOH)による判断により完結まで、進行せしめ、次に、それを5%炭酸水素ナトリウムにより冷却し、そしてDCMにより抽出した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発した。次に、残留材料を、1%TEAと共に、3:7のヘキサン/EtOAcを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、85%の収率で透明無色の油状物を得た。31P NMR (202 MHz, CDCN) δ 146.84; ESI−QQQ−C2644P についての計算値494.6 (+H); 実測値494.4。
スキーム2は、完全な配列の精製を促進するためにクリック反応のためのハンドルを提供するために、オリゴヌクレオチド合成の間、最後のヌクレオシドとして使用され得る、切断できるリンカーを有する5′−活性化されたシクロオクチンヌクレオシドホスホラミダイトの調製のための合成スキームを示す。このスキームは例としてチミジン塩基を用いるが、他の塩基(適切な保護を有する)もまた、類似する態様で合成され得る。
Figure 2013151468
スキーム2に示されるように、所望するホスホラミダイトの合成は、通常の有機反応を使用する。当業者は、困難性を伴わないで、それらの反応を実施することができるであろう。示されるように、化合物3476―117の合成のための詳細な方法及び反応条件は下記に記載される。
[化合物3476−112の合成]
ジイソプロピルシリルジトリフラート(1.04ml、0.00352モル)を、DMF(15ml)に窒素下で溶解し、そして−42℃に冷却した。これに続いて、DMF(10ml)中、3′−OAc−dT(1g、0.00352モル)を滴下した。これに続いて、DMF(5ml)中、イミダゾール(0.480g、0.00704モル)を添加した。この反応を、TLCにより判断される場合、ジイソプロピルシリルジトリフラート材料のすべてが消費されるまで(1時間)、続けた。次に、それを室温に暖め、DMF(5ml)中、3476−105を滴下した。次に、反応を、TLCにより判断される場合、完結まで(30分)、撹拌した。完結の後、溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をDCMに取り、そして飽和炭酸水素ナトリウムにより洗浄した。有機層を抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発した。次に、残渣を、DCM中、3%MeOHまでの勾配を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製した。最終化合物を、定量的収率で白色発泡体として得た。H NMR (500 MHz, CDCl) δ 9.03 (1H, s), 7.53 (1H, s), 6.36 (1H, t), 5.32 (1H, d), 4.80 (1H, d), 3.94−4.05 (5H, m), 3.74 (2H, t), 3.12−3.17 (2H, m), 2.36−2.42 (3H, m), 2.16−2.29 (2H, m), 2.09−2.14 (6H, m), 1.90 (s, 3H), 1.47−1.57 (4H, m), 1.32−1.38 (6H, m), 1.01−1.05 (14H, m), 0.65−0.72 (3H, m); 13C NMR (126 MHz, CDCl) δ 209.1, 207.9, 162.5, 156.84, 135.14, 130.48, 110.00, 98.77, 68.90, 67.63, 62.59, 45.13, 41.56, 40.75, 39.16, 33.26, 32.54, 30.04, 29.97, 26.35, 25.38, 25.28, 23.74, 23.50, 22.78, 22.39, 21.80, 21.57, 21.36, 20.56; ESI−QQQ−C3555Siについての計算値 690.4 (+H);実測値 690.4。
[化合物3476−115の合成]
化合物3476−112(1g)をエタノール(10ml)に溶解した。これに続いて、アンモニア:メチルアミンの1:1混合物(2ml)を添加した。次に、この溶液を55℃に加熱し、そして30分間、撹拌した。完結の後、揮発物を高真空下で除去し、そして残留材料をDCMに取った。次に、これを水により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発し、黄色の油状物を得た。次に、この材料を、50:50のEtOAc:ヘキサン→EtOAcの勾配を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そして白色固形物として定量的収率で得た。H NMR (500MHz, CDCl) δ 9.20 (1H, s), 7.52 (1H, s), 6.35 (1H, t), 4.84 (1H, s), 4.50 (1H, s), 3.94−4.04 (5H, m), 3.73−3.75 (2H, t), 3.48 (1H, s), 3.12−3.17 (1H, m), 2.36−2.40 (2H, m), 2.23−2.29 (2H, m), 2.09−2.14 (2H, m), 1.90 (3H, s), 1.46−1.56 (4H, m), 1.32−1.35 (4H, m), 1.03−1.05 (14H, m), 0.65−0.73 (3H, m); 13C NMR (126 MHz, CDCl) δ 163.92, 157.00, 150.44, 135.58, 110.86, 98.78, 87.18, 84.92, 87.18, 84.92, 71.88, 69.09, 63.06, 40.99, 40.72, 33.26, 32.48, 29.91, 26.26, 25.28, 23.68, 22.81, 21.37, 17.39, 17.33, 17.30, 17.24, 12.47, 12.00, 11.84; C3353Siについての計算値 648.4 (+H);実測値 648.4。
[化合物3476−117の合成]
化合物3476−115(0.8g、0.0016モル)を、乾燥窒素下でTHF(10ml)に溶解した。これに続いて、DIPEA(0.85ml、0.00487モル)を添加し、そしてジイソプロピルクロロリン酸試薬(0.3ml、0.00128モル)を滴下した。次に、この反応混合物を、完結まで2時間、撹拌した。次に、それを5%炭酸水素ナトリウム水溶液(5ml)により冷却し、そしてDCM(200ml)により希釈した。次に、この混合物を分液漏斗に移し、そしてさらに、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を添加した。水性層をDCM(100ml)により洗浄し、そして有機層をプールし、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発した。次に、残留材料を、2%TEAと共に3:2のEtOAc:ヘキサンを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、95%の収率で白色発泡体を得た。31P NMR (202 MH, CDCN) δ 148.03, 147.98; ESI−QQQ−C4270PSiについての計算値 848.5 (+H);実測値 848.5。
上記に示されるように、本発明の態様によれば、アジド又はニトロン含有固体支持体(例えば、ビーズ又は基質)を用いて、活性化されたシクロオクチン含有オリゴヌクレオチドを「クリックするか」又はトラップし、それにより、所望する配列の精製を促進する。アジド又はニトロン含有固体支持体は、スキーム3に示されるように市販の固体支持体を用いて容易に調製され得る。
Figure 2013151468
スキーム3は固体支持体として調節された細孔ガラスビーズを用いるが、いずれか他の適切な固体支持体、例えばポリマー若しくはプラスチックビース、ガラスプレート、又はポリマー若しくはプラスチックプレートが本発明の範囲から逸脱することなしに使用され得る。アジド化合物を有するリンカーを、アミノリンカーを含むCPGにカップリングする。固体支持体上の他のタイプの反応性官能基、例えば−OH、−SH、−COOH、等がまた使用され得る。例として、試薬3476−98の合成のための詳細な方法及び条件が下記に示される。
[化合物3476−98の合成]
1000ÅのCPG(19.2g、負荷量=103μモル/g、Chemgenes, Wilmington, MAから購入されたロット番号PSI0021624)を、DMF(50ml)に懸濁した。これに続いて、トリエチルアミン(1.8ml、129モル)及びアジド−Peg−NHS−エステルを添加した。次に、この反応を16時間、振盪した。完結の後、それをガラスフリットを通して濾過し、そしてDCM、MeOH及び最終的にエーテルにより洗浄した。次に、前記材料を高真空下で乾燥した。次に、それをCAP A及びCAP B(それぞれ20ml)により15分間、処理した。それを再び濾過し、そして上記のように洗浄した。次にその材料を高真空下で乾燥した。
本発明の利点は、1又は2以上の以下のことを包含することができる。シクロオクチン部分自体が大規模(例えば、Kg)に調製され、そして合成するために安価である。さらに、それはより少ない消耗物、例えばHPLC、重合、等の場合、溶媒を使用し、そして従って、よりグリーンなプロセスである。シクロオクチン部分は、有機溶媒(例えば、アセトニトリル)に自由に溶解でき、そしてキャッピング剤又はヌクレオチドモノマーとして急速なカップリング時間を可能にする。固体支持体からのオリゴヌクレオチドの切断の後、シクロオクタン含有のキャッピングされた不良物又はシクロオクタン含有の完全な長さの生成物は、アジド又はニトロン含有固体支持体との急速な「クリック」反応を受け、混合物からそれらを共有分離するであろう。これは、存在する方法と比較しての主要改良点であり、この場合、精製工程が何時間という代わりに分といった程度であり、高生産性能力を高く増強する。さらに、クリック反応はほぼ定量的であることが知られているので、これは存在する方法よりも収率及び純度を非常に増強し、これは小又は大規模生産上重要でる。さらに、このプラットフォームは広範囲の溶媒及び反応条件に適用でき、そして親和性精製の場合におけるように一定条件に制限されないであろう。クリック反応はまた非常に特異的であることも知られており、その結果、オリゴヌクレオチドの修飾が存在しないであろう。最終的に、この方法は長いオリゴヌクレオチドの精製のために特に有用であり、そして他の従来技術におけるような短いオリゴヌクレオチドの精製に限定されないであろう。
[アジド含有アガロースビースの合成]
アミノ−誘導体化されたアガロースビーズを濾過し、そして凍結乾燥した。次に、それらをDMFに懸濁し、そして室温で16時間、トリエチルアミンの存在下でアジド−PEG4−NHSエステル(Click Chemistry Toolsから購入される)と反応せしめた。完結の後、その材料を濾過し、DMF、MeOH及びエーテルにより洗浄した。次に、材料を高真空下で乾燥した。次に、それをCAP A及びCAP B(それぞれ20ml)により15分間、処理した。それを再び濾過し、そして上記のようにして洗浄した。次に、材料を高真空下で乾燥した。
[オリゴヌクレオチドの合成]
dT−25−マーのオリゴヌクレオチド(1)を、標準のDNA合成条件を用いて、最終塩基として付加される3476−117により合成した(図6B)。3476−117を有さないdT−25−マーの対照(2)をまた、比較のために合成した(図6A)。次にそれらのオリゴを55℃で16時間、水酸化アンモニウムにより処理し、続いて凍結乾燥した。化合物(1)をさらに、水中、アジド含有アガロースビーズにより一晩、処理した。次に、ビーズを濾過し、水により洗浄し、そして乾燥した。次に、それらを1MのTBAFにより8時間、処理した。ビーズを濾過し、そして濾液を水により希釈し、そしてG−25セファデックスカラムに通した。次に、この材料をHLPC−MSにより分析した(図6C)。明らかに、3476−117により合成されたオリゴ(1)は、アジド含有ビーズによる処理、続くフッ化物イオンによる解放を伴わないオリゴに比較して、極端に純粋である。
本発明は限定された数の態様に関して記載されてきたが、この開示の恩恵を有する当業者は、本明細書に開示されるような本発明の範囲を逸脱しない他の態様が考案され得ることを理解しているであろう。従って、本発明の範囲は付随する特許請求の範囲の記載によってのみ制限されるべきである。

Claims (10)

  1. 以下の式A:
    X−C−L−H (式A)
    [式中、
    Xは、ホスホラミダイト基、H−ホスホネート基、アセタール基又はイソシアネートであり、
    Cは、直接結合又は切断可能アダプターであり、前記切断可能アダプターは、−C−C−により表され、ここでCはXに結合され、そして直接結合、ヒドロカルビル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヌクレオシドであり、それらの個々は、ハロ、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ又はアルキルアミノから選択された1〜2個の置換基により任意に置換され、Cは直接結合、シラニル基、トリチル基又はビシニルアルコール基であり、
    Lは、5〜9員のヘテロアリール、4〜9員のヘテロシクリル、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル、(C−C12)アリール、−O−R”、−O−CO−R”、−NR’−R”、−NR’−CO−R”、−CO−NR’−R”、−CO−R”、−CN、ハロゲン又はそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ選択された1〜4個の置換基により任意に置換され得るヒドロカルビル鎖であり、ここでR′及びR”はそれぞれ、H又は(C−C)ヒドロカルビルであるか、又は
    Lは、−(CHR’)−W−(CHR’)−V−(CHR’)−(ここで、W及びVはそれぞれ、−O−、−S−又は−NR′−であり、R′はH又は(C−C)アルキルであり、そしてa、b、c、d及びeはそれぞれ、0〜10整数である)により表されるように、他の原子により散在されるヒドロカルビル鎖であり、
    Hは、末端アルキル又は活性化されたシクロオクチンである]
    により表される構造式を有する、オリゴヌクレオチドの合成又は精製のための試薬。
  2. Hが、活性化されたシクロオクチン基である請求項1記載の試薬。
  3. Cが、−C−C−により表され、ここでCはXに結合され、そして直接結合、(C−C12)ヒドロカルビル、(C−C12)アリール、5〜12員のヘテロアリール、(C−C12)シクロアルキル、4〜12員のヘテロシクリル又はヌクレオシドであり、それらの個々は、ハロ、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ又はアルキルアミノから選択された1〜2個の置換基により任意に置換され、Cは直接結合、シラニル基、トリチル基又はビシニルアルコール基である請求項1記載の試薬。
  4. (1)Lが、(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル又は(C−C12)アルキニルから選択されたヒドロカルビル基であり、それらの個々は、アミノ、エーテル、カルボキシル、カルバモイル又はハロゲンから選択された基により任意に置換され得、又は、
    (2)Lは、−(CH−W−(CH−V−(CH−の一般式により表され、前記式中、W及びVはそれぞれ−O−、−S−又は−NR′−であり、R′は水素又は低級アルキル(例えば、(C−C)アルキル又は(C−C)アルキルである)であり、そしてa,b,c,d及びeはそれぞれ、0〜10の整数である請求項1記載の試薬。
  5. 以下の式(I):
    Figure 2013151468
    [式中、Yは−O−、−S−、−NR’−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−又は−NH−CO−NH−から選択された結合官能基であり、ここでR′は水素又は(C−C)ヒドロカルビルである]
    で表される構造式を有する請求項2〜4のいずれか一項記載の試薬。
  6. A)Xが、ホスホラミダイト基であり、そして前記試薬が、以下の式(II):
    Figure 2013151468
    [式中、Rは(C−C)アルキル又はシアノエチルである]
    により表される構造式を有するか、
    B)Xが、H−ホスホネート基であり、そして前記試薬が、以下の式(III):
    Figure 2013151468
    [式中、Rは(C−C)アルキル又はシアノエチルである]
    により表される構造式を有するか、又は
    C)Xが、イソシアネート基であり、そして前記試薬が、以下の式(IV):
    Figure 2013151468
    により表される構造体を有する請求項2〜5のいずれか一項記載の試薬。
  7. ポリヌクレオチドを合成する方法であって、
    (a)固体支持体上のオリゴヌクレオチドの5′−ヒドロキシ保護基を脱保護し、固体支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離5′―ヒドロキシ基を生成するステップと、
    (b)前記固体支持体上のオリゴヌクレオチドの遊離5′−ヒドロキシ基に、5′ヒドロキシ保護基を含むヌクレオチドモノマーを、前記ヌクレオチドモノマー上の3′−リン含有基を通してカップリングするステップと、
    (c)請求項1〜9のいずれか一項記載の試薬であるキャッピング剤を用いて、前記固体支持体上のオリゴヌクレオチドの未反応5′−ヒドロキシ基をキャッピングするステップと、
    (d)前記ステップ(a)〜(c)を、複数の回数で反復し、前記固体支持体上にポリヌクレオチドを生成するステップと
    を含む方法。
  8. 前記キャッピング剤が、式(I)により表される請求項7記載の方法。
  9. 式(I)のXが、−P(OR13)(NR1415)(R13がシアノエチルであり、そしてR14及びR15の個々がそれぞれ(C−C)アルキルである)により表されるホスホラミダイト基である請求項8記載の方法。
  10. (e)前記固体支持体からポリヌクレオチドを脱保護し、そして切断し、生成物の混合物を生成するステップと、
    (f)前記生成物の混合物の溶液と、アジド含有固体支持体又はニトロン含有固体支持体とを反応せしめるステップと、
    (g)前記固体支持体から、ポリヌクレオチドを含む溶液を分離するステップと
    をさらに含む請求項7記載の方法。
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