JP2013148744A - 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法 - Google Patents

調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013148744A
JP2013148744A JP2012009627A JP2012009627A JP2013148744A JP 2013148744 A JP2013148744 A JP 2013148744A JP 2012009627 A JP2012009627 A JP 2012009627A JP 2012009627 A JP2012009627 A JP 2012009627A JP 2013148744 A JP2013148744 A JP 2013148744A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light control
control film
film
transparent electrode
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012009627A
Other languages
English (en)
Inventor
Takaaki Kuroki
孝彰 黒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2012009627A priority Critical patent/JP2013148744A/ja
Publication of JP2013148744A publication Critical patent/JP2013148744A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】フレキシブル、かつ高耐久性の調光フィルムを提供すること、従来の調光フィルムでは実現不可能であった簡便な施工性、かつ安価な供給を可能とすること、及び既存のガラス窓に貼付して使用でき、調光機能、割れ防止機能(防犯・防災機能)を兼ね備えた新規の調光フィルム、及び該調光フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】基材に担持された対向する一対の透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材がフィルム基材であり、かつ該透明電極が炭素材料を含有することを特徴とする調光フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は調光フィルムに関し、より詳しくは、炭素材料を含有する電極材を用いる新規な調光フィルムに関するものである。
従来からディスプレイ等に使用されている液晶は、低い電圧で駆動できるという優れた利点を持っている。しかし、従来の液晶では、偏光板を必要とするものが多く、又その名が示すように液体であるため、液が漏れないように完全密封する必要がある。
これに対して、近年開発された高分子液晶複合膜は、液晶を高分子材料で包み込んだ物性構造なので固形化し、かつ塑性があるため、膜状の変形加工が容易である利点を有する。また、駆動電圧はやや高いものの偏光板を必要としないことも利点である。
高分子複合膜は、光の吸収損失が少なく、かつ高い光散乱効果が得られ、素子全体における光の利用効率が高く、明るい表示が実現できるメリットがあり、素子の構成も単純であることから、調光ガラス等の光シャッター用途、時計用途等セグメント表示用途に応用されている。
調光ガラス等の光シャッター用途では、電圧印加により配向する液晶によって、入射光に対して、垂直方向の偏光に対する屈折率(常光屈折率という。)とポリマーの屈折率とをほぼ一致させるように設計することで、電圧印加時に透明状態を示す。一方、電圧非印加時には、液晶/ポリマー複合体中の液晶の平均的な方向は液晶毎に異なるため、ポリマーの屈折率と一致せず、入射光は光散乱して透明性が失われる。このように電圧のON/OFFによって、透明ガラス/曇りガラスを実現するものである。
このような高分子液晶複合膜に用いられる高分子液晶には、いくつかの種類があり、例えば、NCAP(Nematic Curvilinear Aligned Phase)と呼ばれるタイプ(特許文献1)、ポリマー分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystals:PDLC)と呼ばれるタイプ(特許文献2及び特許文献3)、ネットワークポリマー型液晶(Polymer Network Liquid Crystals:PNLC)と呼ばれるタイプ(特許文献4)等が提案されている。
NCAPタイプでは、均一な粒径を有する液晶ドロップレットを、均一な状態に塗布することが難しく、歩留まりが悪い状態が続いていた。一方、PDLC、及びPNLCタイプのものは、これまでは表示素子や光学シャッター等の光学部材への応用が中心であったが、近年、非特許文献1に見られるように、大面積の調光フィルムの作製が実現されている。NCAP方式と異なり、均一な状態に作製することが容易で有り、低コストでの作製が可能である。
この種の高分子液晶複合膜を使用して調光フィルムは、高分子液晶を駆動するのにフィルム面上にITOを蒸着し、それを透明電極として用いている(例えば、特許文献5、特許文献6参照。)。しかしながら電極がITO(Indium Tin Oxide)であり衝撃に弱いため、調光フィルムとしての耐久性は脆弱で十分ではなかった。このため調光フィルムは、実験室では(サンプルとしては)フィルムベースで実現可能であるものの、実用上ガラスに保護されたリジッドな形態での使用しか実現できなかった。また、ITOを使用しているため、素材の高騰・枯渇(レアアース)、真空プロセスでの成膜や煩雑なパターニングが必要であり、電極自体が高価なばかりか、ITOの脆弱さを保護するため、ガラス製品となることにより、調光フィルムとしては非常に高価で、大型窓等の用途では非常に重く、壊れやすく、その施工一般人には難しく、専門業者による取り付けが必須な製品しか市場に提供できていなかった。これらの要因が、調光フィルムの普及を大きく阻害してきた。
特許文献7では、ITOを用いた片面電極に対し、もう一方に金属電極を細線、格子、網目状にした対向電極の使用が開示されているが、この特許文献によれば、保存性・耐候性良好な調光素子が得られ好ましいが、ITO電極を片面電極として用いていることで、引き伸ばし性・曲げ耐性の観点では不十分であり、また片面電極に導電性樹脂を含む構成が開示されているが、耐候性・耐湿性でいまだ改善が必要である。
米国特許4435047号明細書 米国特許4688900号明細書 米国特許4834509号明細書 米国特許5304323号公報 特開平6−3654号公報 特開2009−169252号公報 特開2011−39283号公報
月刊ディスプレイ 2004年3月号(P78)
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、従来製品では実現不可能であったフレキシブル、かつ高耐久性の調光フィルムを提供することであり、またその性能により、従来の調光フィルムでは実現不可能であった簡便な施工性、かつ安価な供給を可能とすることであり、引いては既存のガラス窓に貼付して使用でき、調光機能、割れ防止機能(防犯・防災機能)を兼ね備えた新規の調光フィルム、及び該調光フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、基材に担持された対向する一対の透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材が、フィルム基材であり、かつ透明電極として炭素材料を含有させることによって、従来製品では、実現不可能であったフレキシブル、かつ高耐久性の調光フィルムが得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材に担持された対向する一対の透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材がフィルム基材であり、かつ該透明電極が炭素材料を含有することを特徴とする調光フィルム。
2.前記調光層が、ポリマー分散型液晶又はネットワークポリマー型液晶を含有することを特徴とする第1項に記載の調光フィルム。
3.前記炭素材料が、グラフェン又はカーブンナノチューブであることを特徴とする第1項又は第2項に記載の調光フィルム。
4.前記炭素材料が、ドーパントを含有することを特徴とする第1項から第3項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
5.前記ドーパントが、ルイス酸、プロトン酸、金属ハロゲン化物、キノノイド化合物、フッ素化フラーレン及びπ共役系化合物から選択される化合物であることを特徴とする第1項から第4項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
6.前記調光フィルムにおいて、3mmRの曲げ耐久試験において、耐久性が100回以上であることを特徴とする第1項から第5項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
7.前記調光フィルムにおいて、0.3mmRのスクラッチ加重試験において、100g以上の耐久性を有することを特徴とする第1項から第6項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
8.前記基材の一方の裏面に粘着層及び剥離支持体を有することを特徴とする第1項から第7項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
9.前記調光フィルムが、ロール状形態で供給されることを特徴とする第1項から第8項のいずれか一項に記載の調光フィルム。
10.第1項から第9項のいずれか一項に記載の調光フィルムを製造する調光フィルムの製造方法であって、前記透明電極と前記調光層が、塗布法で作製されることを特徴とする調光フィルムの製造方法。
11.前記塗布法が、インクジェット法又はダイコート法であることを特徴とする第10項に記載の調光フィルムの製造方法。
12.基材幅、透明電極の形成巾及び調光層の形成巾の長さが、下記の序列となるように該透明電極と調光層を設けることを特徴とする第10項又は第11項に記載の調光フィルムの製造方法。
基材巾>透明電極の形成巾>調光層の形成巾
13.前記基材上に一つの透明電極及び調光層を設けた後、対向透明電極を設置することを特徴とする第10項から第12項のいずれか一項に記載の調光フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、フレキシブル、かつ高耐久性の調光フィルムを提供することができる。また、簡便な施工性、かつ安価な調光フィルムを提供することができる。さらに既存のガラス窓に貼付して使用でき、調光機能、割れ防止機能(防犯・防災機能)を兼ね備えた新規の調光フィルム、及び該調光フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明は、基材としてフレキシブルなフィルム基材を使用し、かつ電極として炭素材料を用いることにより、上記効果を発揮することができる。特に炭素材料は、従来透明電極として一般に用いられていたITOに比べフレキシブル性を有し、折り曲げに対しても強い耐久性を有している。また、基材としてフィルムを用いることにより、ロール状の形態とすることができ、取り扱い性も格段に向上したものである。
本発明の調光フィルムの層構成を説明する模式図。 本発明に係る透明電極層の形成に用いるインクジェット印刷の概略模式図。 本発明に係る透明電極層の形成に用いるインクジェットヘッドの一例を示す概略斜視図。 本発明の調光フィルムの曲げ試験の方法を説明する模式図。
本発明の調光フィルムは、基材に担持された対向する一対の透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材がフィルム基材であり、かつ該透明電極が炭素材料を含有することを特徴としている。この特徴は、請求項1から請求項13までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
さらに本発明においては、前記調光層が、ポリマー分散型液晶型液晶又はネットワークポリマー型液晶を含有することが好ましい。これにより、公知の幅広い素材選択性のある液晶材料を適時使用でき好ましい。液晶材料は、材料技術開発が成熟しており、使用温度域、耐光及び耐候性、価格の観点で優れた効果が得られる。
さらに本発明においては、前記炭素材料が、グラフェン又はカーボンナノチューブであることが好ましい。これらの炭素材料は多数ある炭素材料の中でも高い導電性、透明性を両立できる効果が得られる。
さらに本発明においては、前記炭素材料が、ドーパントを含有することが好ましい。これにより、炭素材料の導電性を更に高められる効果が得られる。
さらに本発明においては、前記ドーパントが、ルイス酸、プロトン酸、金属ハロゲン化物、キノノイド化合物、フッ素化フラーレン及びπ共役系化合物から選択される化合物であることが好ましい。これらは炭素材料の導電性を高めることができ、特に安定性の観点で、π共役化合物とフッ素化フラーレンが最も好ましい効果が得られる。
さらに本発明においては、前記基材として透明樹脂フィルムを用いて作製された調光フィルムにおいて、3mmRの曲げ耐久試験において、耐久性が100回以上であることが好ましい。これにより、曲げ耐久性の高い調光フィルムが得られ、フレキシブルな調光フィルムが提供できるばかりか、既存の窓等に貼り付けて使用する後貼り、交換可能な調光フィルムの提供を実現できる。
さらに本発明においては、前記基材の一方が透明樹脂フィルムを用いて作製された調光フィルムにおいて、0.3mmRのスクラッチ加重試験において、100g以上の耐久性を有することが好ましい。これにより、フィルム形態での調光フィルムの耐久性が実用可能な物となり、ロール形態での提供や家庭での後貼り方式が実現できるばかりか、低コストな調光フィルムが提供可能となる。
さらに本発明においては、前記基材の一方の裏面に粘着層及び剥離支持体を有することが好ましい。これにより、既存の窓等に容易に後貼り、取り換えができるので施工性の高い調光フィルムが得られる。
さらに本発明においては、前記調光フィルムが、ロール状形態で供給されることが好ましい。これにより、製品の輸送性、保管が容易となるばかりか、ユーザーの取り扱い性の良好な調光フィルムが得られる。
さらに本発明の調光フィルムを製造する調光フィルムの製造方法としては、前記透明電極と調光層が、塗布法で作製される態様の製造方法であることが好ましい。これにより、製造コストを低減することができる。
さらに本発明においては、前記塗布法が、インクジェット法又はダイコート法であることが好ましい。これにより、微細な透明電極を安価に作製できるので好ましい。
さらに本発明においては、基材幅、透明電極の形成巾及び調光層の形成巾の長さが、下記の序列となるように該透明電極と調光層を設ける製造方法であることが好ましい。
基材巾>透明電極の形成巾>調光層の形成巾
これにより、複雑なパターニングを要せず電極を取り出しやすくする効果が得られるので好ましい。
さらに本発明においては、前記基材上に一つの透明電極及び調光層を設けた後、対向透明電極を設置する製造方法であることが、複雑なパターニングを要せず電極を取り出しやすくした調光フィルムを作製でき好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について、詳細な説明を行う。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値、上限値として含む意味で使用する。
≪調光フィルムの構成≫
本発明に係る調光フィルムは、基材に担持された対向する透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材が、フィルム基材であり、かつ透明電極が炭素材料を含有することを特徴としている。
以下、それぞれの構成要素について、詳細な説明を行う。
<透明電極>
本発明に係る透明電極は、炭素材料を含有してなることを特徴としている。すなわち、本発明に係る透明電極は、炭素材料を含有してなることが必須であり、対向する両電極共に炭素材料を含有してなることが好ましく、両電極とも炭素材料を主成分として50質量%以上含有してなることが特に好ましい。
炭素材料としては、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:以下、CNTと略すことがある。)、グラフェン、フラーレン等の他、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンブラック等既存の導電性を有する炭素材料をいい、これらを主成分として得られる透明電極膜が、透過率90%において、シート抵抗1000Ω/□未満であるものはいずれも好適に使用できる。更に好ましくは750Ω/□未満、特に好ましくは500Ω/□未満である。このシート抵抗を達成するために、これらの中で好ましくはカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンのいずれかを少なくとも1種を含んでなる透明電極であり、更に好ましくはカーボンナノチューブ若しくはグラフェンのいずれかを含有してなり、特に好ましくはカーボンナノチューブを含有することが好ましい。ただし、1層のカーボンナノチューブは筒型のグラフェンと見ることができる。
上述したように本願に係る透明電極は炭素材料であるが、シート抵抗が1000Ω/□未満であることが好ましい。この点で現状1000Ω/□未満を単独で達成できる炭素材料としてはカーボンナノチューブとグラフェンが挙げられる。本発明においては、その他の炭素材料においても1000Ω/□未満を達成できる場合には、これらを好適に使用できる。
また、本願の発明に係る透明電極は必要な透明性、導電性、フレキシブル性、膜強度を得られる範囲内で、その他の導電材料、すなわち導電性樹脂、金属ナノ粒子、金属酸化物粒子、金属薄膜、金属酸化物薄膜等を併用することもできる。
本発明においては、炭素材料を含有してなる電極を用いることにより、本発明の目的を達成できる。
次に本発明に好適に使用できるカーボンナノチューブ及びグラフェンの説明を行う。
〔カーボンナノチューブ〕
本発明で好適に使用できる炭素材料を含有してなる透明電極は、例えばカーボンナノチューブ(以下、CNTともいう。)を含有する透明電極の場合、単一の層であっても複数の層であってもいずれも好適に使用できる。
またカーボンナノチューブを含有してなる層は、基本的にカーボンナノチューブのみで形成されていることが好ましいが、必要に応じ、その他の炭素材料、また更に炭素材料以外の導電材料、その他添加剤を含有することができる。
本発明に係る透明電極に使用するのに適したカーボンナノチューブは、当業者に知られた任意の方法(レーザ・アブレーション、CVD、アーク放電)によって形成することができる。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブではない炭素質不純物(グラファイト、非晶質、ダイヤモンド、非管状フラーレン、多層カーボンナノチューブ)又は金属不純物を最小限にしか又は全く有さないことが好ましい。金属不純物及び炭素質不純物のレベルが減少するのに伴って、透明度が著しく増大することが判っている。金属不純物及び炭素質不純物の量が減少するのに伴って、層均一性、表面粗さ、及び粒子の低減によって皮膜品質も改善され、CNT成分量としては50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。98質量%以上が理想的である。
本願でいう純度はCNT成分量(単層、多層の合計量)をいい、熱減量(TGA)の測定から求められる。CNTを空気中で加熱すると燃焼し、燃焼後は触媒として用いられた金属粒子などが残るため各温度での質量減少率によりCNTの純度を調べることができる。CNTを加熱していくと低温部分(約400℃くらいまで)で、不純低分子成分やアモルファス構造炭素の燃焼による質量減少が起こり、その後500℃辺りから単層CNTの燃焼が始まる。多層CNTはより高温で燃焼していく、CNTが燃焼した後、800℃以上の領域での残存質量分は金属触媒や触媒担持体等の不純分である。したがってこれらアモルファス分と金属等不純分を除いた質量分がCNT成分量として求められる。
本発明で好適に使用されるカーボンナノチューブとしては、単層CNT(SWCNT)、2層CNT(DWCNT)、3層CNT(TWCNT)、多層CNT(MWCNT)のいずれも好適に使用できるが、本発明に係る調光フィルム用の電極としては、高透明性と高電子伝導性を達成するために、単層(1層)(SWCNT:Single Wall Carbon Nano Tube)、2層(DWCNT:Double Wall Carbon nano Tube)、3層(TWCNT:Triple Wall Carbon Nano Tube)、又は多層カーボンナノチューブ(MWCNT:Multi Wall Carbon Nano Tube)を主成分とすることがより好ましく、中でも特にDWCNTが好ましい。
本発明でいう主成分とは、透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意に選択したカーボンナノチューブ100本中、目的の層数のカーボンナノチューブが50本以上であることをいい、その比率はより好ましくは70本以上であり、特に好ましくは90本以上、最も好ましくは95本以上である。
カーボン組成物中のカーボンナノチューブの純度が高いほど、導電性や熱伝導性を発現させる用途において、カーボンナノチューブに起因する機能を発現しやすく好ましい。
また本発明では単層、2層又は3層カーボンナノチューブが好適に使用されるが、特に好ましくは2層カーボンナノチューブの使用である。現在その理由は明確ではないが、透過率と導電性の関係において、2層カーボンナノチューブの優位性が高まることが明らかとなったばかりか、ロール トゥ ロール(Roll to Roll)での大量生産時の面内均一性能、生産長手安定性の観点においても2層カーボンナノチューブの優位性が確認された。
また、本発明でいう2層カーボンナノチューブとは、透過型電子顕微鏡で任意に観察した画面上において、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であるものをいい、これにより2層カーボンナノチューブに起因する高い導電性、熱伝導性及び耐久性が発現することができる。本発明において2層カーボンナノチューブの本数は100本中50本以上であり(この場合をDWCNTが主成分であるという)、より好ましくは70本以上、さらに好ましくは90本以上である。
2層カーボンナノチューブの本数は、透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、かつ複数の視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブにおいて、2層カーボンナノチューブの本数を計測するものとし、上記測定を10箇所について行った平均値である。
また、本発明に係る組成物は、任意に選択した2層カーボンナノチューブの片端から他端までを透過型電子顕微鏡で観察したときに、2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が50nm以上である。ここで、2層カーボンナノチューブ中の屈曲部とは、カーボンナノチューブのグラファイト構造中に炭素5員環と7員環が存在することによる屈曲をいい、透過型電子顕微鏡写真でカーボンナノチューブが折れ曲がって観察される部分のことをいう。屈曲部から屈曲部までの距離が長ければ長いほど、2層カーボンナノチューブの直線性は向上し、導電性、熱伝導性が高い2層カーボンナノチューブとなる。屈曲部間距離は長いほど好ましいため、100nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましく、2層カーボンナノチューブ中に全く屈曲部分がない構造が最も好ましい。
さらに、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、屈曲部間距離の平均が、好ましくは500nm以上、より好ましくは1μm以上であるときに、高い電気、熱伝導性に加えて、カーボンナノチューブの強度が向上する傾向にあり、とりわけ好ましい。
また、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、透過型電子顕微鏡で任意に選択した2層カーボンナノチューブ100本の平均外径が1.0から3.0nmの範囲内であることが好ましい。一方、その内径は、任意の2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、0.4nmから2.2nmの範囲内にあることが好ましい。このように外径及び内径が細い2層カーボンナノナノチューブの本数が多いことにより、単位質量あたりのカーボンナノチューブの本数が多くなり、添加剤としてより高い効果が期待される。また、これらは、2層カーボンナノナノチューブの直径の均一性が高いことを示すものであるから、カーボンナノナノチューブの特性を制御しやすい利点がある。
本発明において、2層カーボンナノチューブの外径及び内径は、透過型電子顕微鏡において100万倍で観察し、150nm四方の複数の視野中から任意に抽出した100本の2層カーボンナノチューブの外径及び内径を計測するものとし、外径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数、及び内径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数を求めるものとする。上記測定を10箇所について行い、その平均値を、外径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数、及び内径が前記範囲内にある2層カーボンナノチューブの本数とする。
上記の2層カーボンナノチューブの製造法は、特に限定されないが、ゼオライトなどの担持体上に金属触媒を担持した化学気相成長法(CVD法)が好んで用いられる。その理由は、量産化が容易であること、カーボンナノチューブと触媒の切り離しが容易であること、及び生成するカーボンナノチューブの直径や層数の制御が可能であるためである。
本発明において、カーボンナノチューブの直径は、レーザー波数630〜650cm−1の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルにおいて、スペクトル350cm−1以下の領域により測定することができる。特に2層カーボンナノチューブの場合、外側のチューブと内側のチューブがそれぞれ観察され、特に本観察領域では内側に起因するピークが観察されやすい。
本発明に係る組成物において、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmに由来するスペクトル195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、直径約1.13nmに由来するスペクトル217〜222cm−1内の最大ピーク強度をB、直径約1.25nm以上に由来するスペクトル195cm−1未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立することが、好ましい。
A/B>2.0
A/C>4.0
これらの関係は、本発明に係る組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
また、本発明に係る組成物において、レーザー波数630〜650cm−1の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmに由来するスペクトル195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、直径約0.71〜1.13nmに由来するスペクトル220〜350cm−1内の最大ピーク強度をDとしたときに、以下の関係が成立することが好ましい。
A/D>1.5
この関係は、本発明に係る組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
また、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、チューブの両端が全て解放端になっている2層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。チューブの両端が解放端になっていることで、端部に官能基が存在し、樹脂や溶媒との親和性が向上するメリットがある。また、チューブ内にガスを吸着させる用途においても、末端が解放端になっていることが好ましい。2層カーボンナノチューブの末端が解放端になっていることは、透過型電子顕微鏡で観察することができる。本発明において、両末端が解放端になっている2層カーボンナノチューブは、透過型電子顕微鏡で観察される任意の2層カーボンナノチューブ中、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、元素分析による金属含有率が1質量%以下であることが好ましい。金属含有率が高いと、ポリマーへ添加する用途、及び医療医薬用途において異物となり、人体へ悪影響を及ぼすことが懸念される。金属含有率は低いほど好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。
本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、共鳴ラマン散乱測定により、1500〜1650cm−1の範囲内のピークが分裂して観測されることが、好ましい。カーボンナノチューブ組成物中に不純物や構造欠陥が多い場合、ピークがブロードとなり、上記測定範囲でピークが1本のみ観察されるが、カーボンナノチューブの純度が高く、かつ構造欠陥が少ない場合には、1500〜1650cm−1の範囲内のピークに分裂が見られる。
また、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、ラマン分光法によりその品質の評価が可能である。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、そのG/D比の値が10以上であることが好ましい。本発明に係る組成物において、G/D比の値は、より好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。
また、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比の値が20以上であることが好ましい。2層カーボンナノチューブ含有組成物をX線光電子分析することにより、カーボンナノチューブを構成している各元素の比率、及び、各元素の化学状態を分析することができ、それぞれの化学状態による結合エネルギーの差により単体、酸化物、塩化物などの化学状態を特定することができる。X線光電子分析の測定結果は、通常、炭素(C1s)のメインピークを基準にしてピークシフトを求め、補正した値を用いる。また、それぞれの化学状態由来のピークにピーク分割し、その面積比から、化学状態の組成比が分かる。ピーク分割は、最小二乗法を用いて合成波形のマッチングを行い、最適化するものとし、炭素に起因するピークと、酸素に起因するピークから、それぞれの元素比を求めることができる。本発明において、X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比の値が、好ましくは20以上であるとは、カーボンナノチューブ中の官能基数が少ない、つまり、構造欠陥が少ないことを意味するものである。カーボンナノチューブ中の構造欠陥が少ないことから、導電性や電気伝導性が高いカーボンナノチューブとなる。
本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、電子放出材料として高い特性を示すものである。電子放出材料として求められる特性は、電界集中が起こりやすい構造をとることにあり、直径が細い方が好ましい。一方、単層カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの中で最も細い直径を取りやすいものであるが、電圧を印加することで構造破壊を起こしやすく、耐久性の点から2層以上の層数を持つカーボンナノチューブが好んで用いられる。以上の理由から、直径が細い2層カーボンナノチューブが、最も好ましい電子放出材料となる。また、カーボンナノチューブに屈曲部分が多いと、電気伝導性が低く、電子放出特性は低下する。そのため、本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、屈曲間距離が長いことから、電子伝導性の点からも好ましい電子放出材料である。
本発明に係る2層カーボンナノチューブ含有組成物は、フィルム上にコーティングすることにより、光透過率Tが85%以上、かつ表面抵抗が1000Ω/□以下である透明導電フィルムを作製することができる。光透過率を85%以上とするためには、少ないカーボンナノチューブ塗布量で高い導電性を発現する必要がある。そのためには、個々のカーボンナノチューブが高い導電性を有する必要があり、屈曲構造が少ない方が好ましい。また、直径が細いカーボンナノチューブを用いることで、少ない添加量でより多くの本数のカーボンナノチューブを添加することができ好ましい。ただし、単層カーボンナノチューブでは、バンドル構造を取りやすく、かつ、そのバンドルをほぐすことが困難である。2層カーボンナノチューブは、直径が細いとバンドル構造を取るものの、自重が単層カーボンナノチューブに比べて重く、バンドル構造をほぐすことが容易である。
本発明において、フィルムの光透過率は、JIS−R3106に準拠して測定された値であり、フィルムの表面抵抗値は、JIS−K6911に準拠して測定された値である。
〔グラフェン〕
本発明で用いるグラフェンは、グラファイトから単原子層グラファイトを剥離させるプロセスにより合成されるグラフェンが複数重なった層状グラフェンは、数枚から20枚程度の単原子層グラフェンが重なったシート状の炭素材料であり、典型的には厚さ2〜10nm程度、幅1〜5mm程度の平面シート状のカーボンフィルムとして取り出すことが可能であるが、近年では、
(1)特開2011−241479号公報記載の酸化グラフェンを塗布して還元する方法
(2)SiC基材上にエピタキシャル成長によるグラフェン膜の形成
(3)CuやNi等を触媒金属として熱CVDでのグラフェンを成膜する方法
(4)サファイア等の非金属基材上に作製方法等、公知の作製方法等各種の方法で、グラフェンの膜の形成が開示されており、本発明においてはいずれも好適に使用できる。
〔ドーパント〕
本発明に係る炭素材料を含有してなる透明電極において、以下のようなドーパントを好適に使用できる。炭素材料のドーパントとしては、P型ドーパント又はN型ドーパントのいずれも好適に使用可能である。ドーパントを添加することにより、炭素材料のキャリア密度を高め導電性を向上させる効果が得られる。
より具体的には、前記P型ドーパントの例としては、例えば、PF、AsF、SbF、ClO 、BF 、BF、BCl、BBr、SO、NO(SbF)、NO(SbCl)、又はNO(BF)などのルイス酸、HSO、HClO、HNO、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH、triflic acidとも)やフルオロスルホン酸(FSOH)、塩酸、クロロスルホン酸などのプロトン酸、FeCl、MoCl、WCl、SnCl、MoF、RuF、TaBr、又はSnIなど遷移金属ハロゲン化物、AuCl又はHAuClなどの貴金属ハロゲン化物、ベンゾキノン、テトラクロロベンゾキノン、テトラシアノキノンジメタン、テトラフロロテトラシアノキノンジメタン又はジクロロジシアノベンゾキノン及びこれらの誘導体などの有機物質、C6018、C6024、C6036、C6044、C6048、C6054等のフッ素化フラーレン、π共役系化合物などが好ましく挙げられる。
前記N型ドーパントの例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、若しくはセシウムなどのアルカリ金属、又はテトラエチルアンモニウムイオン若しくはテトラブチルアンモニウムイオンなどのアルキルアンモニウムイオンなどに加え、フラーレン類として、C60、C74、C76、C78、C80、C82が好ましく挙げられる。
これらP型ドーパント及びN型ドーパントは、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。しかしながら、必ずしもこれらに限定されることはない。これらの中で、ルイス酸、プロトン酸、金属ハロゲン化物、キノノイド化合物又はフッ素化フラーレン、π共役系化合物が好ましく、フッ素化フラーレン、π共役系化合物が特に好ましい。
〔π共役系化合物〕
本発明において、カーボンナノチューブを単独又は複数併用して用いることも好ましい態様であるが、本発明では特にπ共役系化合物と併用して用いることが特に好ましい態様である。このような特定の化合物はカーボンナノチューブ分子間抵抗を軽減することができる。
本発明におけるπ共役系化合物は、カーボンナノチューブが分散された液に混入されても良いし、カーボンナノチューブのみの層を支持体上に塗工した後に、π共役系化合物を何らかの方法により供給し透明電極とすることも非常に好ましい態様である。
またグラフェンもカーボンナノチューブ同様に分子間抵抗を低減することが非常に重要であり、このような観点で、π共役系化合物と併用して用いることが可能であり、本発明の好ましい態様である。
本発明で好ましく用いられるπ共役系化合物は、ポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物等であるが、本発明ではポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が特に好ましい。
本願において、π共役系化合物とは、芳香族π電子を7つ以上有する化合物を意味するものとする。具体的なポルフィリン化合物の一般式を化合物1及び3に、フタロシアニン化合物の一般式を化合物2及び4に示す。
Figure 2013148744
Figure 2013148744
またカーボンナノチューブは、ITOのように透明面電極としての機能を有しており、本発明に係る好ましい透明電極の形態は、以下の形態のいずれかを構成として含有していることが好ましい。
(1)カーボンナノチューブを主成分とする単一層
(2)カーボンナノチューブを主成分とする複数層
(3)カーボンナノチューブを主成分とするグリッド電極と導電性ポリマー層
(4)カーボンナノチューブを主成分とする面電極と導電性ポリマー層等
を挙げることができるが、特に好ましくは、(1)、(2)及び(4)の形態である。
〔分散溶剤〕
本発明においてはカーボンナノチューブが溶剤中に分散剤を用いること無く良好に分散されることが重要である。したがって従来公知の分散方法を好適に使用でき、その際の溶剤は有機溶剤、無機溶剤を問わないし、分散方法も限定されない。
ただし素材の安全性、カーボンナノチューブへのダメージの可能性等の観点からは有機溶剤の方が好ましい。しかし、無機溶剤、特に無機超酸溶剤も用いられる。
本発明で好ましく用いられる無機超酸溶剤とは100%硫酸よりも酸性が強い酸を表す呼び名であり、超強酸ともいう。これらはトリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH、triflic acid)やフルオロスルホン酸(FSOH)、塩酸、硝酸、硫酸、クロロスルホン酸等主成分とした超酸類を含み、具体的にはクロロスルホン酸、王水及びその添加比の異なる混合物類、硝酸と硫酸の混合物が好ましい。本発明に係る無機超酸溶剤は水で希釈されても良く、その際の水としては、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができるが、超純水が好ましい。
例えば非特許文献5、Nano Technology 22(16):APR 22 2011においては、クロロスルホン酸を用いることにより分散剤を用いること無くSWCNTを良好に分散できることを開示しており、又Adv.Funct.Mater.2011,XX,1−8においては、硫酸:硝酸=3:1の混合液により同様に分散剤を用いること無く良好にSWCNTを分散できることを開示している。本発明においてはこれらの技術を活用し、SWCNT並びにDWCNT及びMWCNTに関しても検証を行い本発明に至ったものである。
また、一方本発明で好ましく用いられる有機溶剤としては有機溶剤を主成分とするが水を含んでも構わない。水としては、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができるが、超純水が好ましい。
有機溶剤としては、公知の物を好適に使用できるが、通常水溶性のある有機溶剤が好ましい。一例を挙げると例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなど;多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど;ケトン類、例えばアセトンなど、低級カルボン酸類、例えば蟻酸、酢酸など;環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランなど;並びに非プロトン性極性溶剤、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N−アセチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができ、いずれも好適に使用することができる。
〔組成液・その他の添加剤〕
分散体及び塗布用組成物のpH調整も重要である。好ましいpHは、測定温度20℃において、pH3〜10である。より好ましいpHは3〜6であるが、本願の目的から塗工後溶剤と一緒に揮発し透明電極中に残存しないpH調整剤が好ましい。このようなpH調整剤としては公知の弱酸・弱塩基が好ましく用いられ、これらの中でより好ましくは弱酸である。具体的には、以下の有機無機の弱酸・弱塩基が用いられ好ましくは、揮発性を有する弱酸が特に好ましい。中でも150℃未満の温度で揮発させることができる化合物が最も好ましい。分散体及び塗布用組成物のpHが、この範囲であると不純物が無くなり、導電性が上がるので好ましい。
本発明に係る調光フィルムに好ましく用いられるpH調整剤としては、例えば、HAsO、HAsO、HBO、HCN、HCO、HClO、HClO、HCrO、HNO、H、HPO、HPO、H、H、HS、HSO、H、HSeO、安息香酸、イソフタル酸、キノリン酸、サリチル酸、スルファニル酸、テレフタル酸、o−ニトロ安息香酸、尿酸、ピクリン酸、ヒドロキノン、フェニル酢酸、フェノール、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、没食子酸等が挙げられる。
CNTの長さは20nm〜1cm、より好ましくは20nm〜500μm、特に好ましくは100nm〜100μmである。CNTは、個々のCNTとして、又はCNTバンドルとして存在する。透明電極内のCNTの直径は、0.05〜5nmが好ましく、より好ましくは0.5〜4nm、特に好ましくは1.0〜3.0nmである。本発明においては、単層及び2層カーボンナノチューブで直径が上記範囲にあるものが最も好適である。
バンドルの直径は、1nm〜1μmであってよい。好ましくはこのようなバンドルの直径は50nm未満、特に好ましくは20nm未満であり、長さ20nm〜50mmで、長いほど好ましい。電子の輸送を容易にするために、より大きい表面積が達成され、そして、より小さなバンドル・サイズを有し、これにより、バンドルの内側に位置していてアクセスすることができないCNTの表面を露出させることにより、より大きい有効表面積が達成されることが重要である。CNTの端部は、適宜のサイズの半球形バッキーボールによって閉じられていることが好ましいが、CNTの端部の両方又は片方のみが開いていてもよい。
本発明では0.05〜10質量%(500〜100000)ppmの範囲のCNT固形分濃度を有する分散体を形成することが好ましく、このような態様のために、官能化したCNT(上記のように製造されるか又は供給元から購入される)を用いることも可能である。
官能化CNTとしては、カーボンナノチューブの任意の位置に、カルボン酸、カルボン酸アニオン(カルボン酸塩)、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボニル、リン酸塩、硝酸塩等の置換基の付加したカーボンナノチューブである。これらの、カーボンナノチューブは本発明に係る透明電極形成にとって好ましい物である。
〔分散〕
本発明においてはカーボンナノチューブを分散剤を用いること無く良好に分散させることが重要であり、その点において有効な従来公知の分散技術をいずれも好適に使用できる。
一般的にカーボンナノチューブを溶媒に分散するには、通常、超音波分散機や一般に高速分散機(ホモジナイザー、マイクロ流動化装置、カウル・ブレード高剪断ミキサー、自動媒体ミル、ボールミル)を使用することができる。なお、本発明において、分散剤とはカーボンナノチューブを溶剤中への分散力を有する分子量700以下の有機化合物である。
本発明では特に分散剤を用いること無く良好に分散させる観点から、高強度フェムト秒パルスレーザーを用いたレーザー分散技術やラボプラストミルやナノマイザーのような高せん断力による1次混錬と超音波分散を組み合わせた技術が好ましい。中でも生産性の観点から後者が最も良好である。これらの技術に遠心分離技術を組み合わせることで、より最も好ましい分散液を得ることができる。このようにして設けた分散液で後述するように透明電極を作製する。
更に、本発明に係る透明電極上には、導電性ポリマーを含有する層を設けることができる。このような導電性ポリマーは、下記に示す。またこれらに加え水酸基含有化合物を併用することも可能である。
〔導電性ポリマー〕
導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリ(p−フェニレン)、ポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
Figure 2013148744
ポリフェニレンビニレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、n、m、k、jは0以上の整数、xは2以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリチオフェン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、n、mは0以上の整数、kは1以上の整数、xは2以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリ(チオフェンビニレン)及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、n、m、k、jは0以上の整数、xは2以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリアセチレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、n、mは0以上の整数、xは2以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリピロール及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、nは0以上の整数、kは1以上の整数、xは1以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリフルオレン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(上記式中、n、mは0以上の整数、xは1以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体の好ましい具体例を示す(n、mは0以上の整数、x、yは1以上の整数である。)。
Figure 2013148744
ポリアニリン及びその誘導体の好ましい具体例を示す(nは0以上の整数、xは2以上の整数である。)。
Figure 2013148744
本発明に係る導電性ポリマーはπ共役系化合物とポリアニオンとを含んで成る導電性ポリマーであることが好ましい。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系化合物を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
〔ポリアニオン〕
前記ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
前記ポリアニオンは、π共役系化合物を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系化合物に対するドーパントとして機能して、π共役系化合物の導電性と耐熱性を向上させる。
前記ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系化合物への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系化合物へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
前記ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。また、化合物内にフッ素を有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(登録商標:Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(登録商標:旭硝子社製)などを挙げることができる。
これらのうち、スルホ基を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100℃以上200℃以下の温度で加熱処理を施した場合、この塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それにあらかじめ溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系化合物を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT:PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT:PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
<基材>
本発明に用いられる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
透明樹脂フィルムには、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理とは、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザ処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、シランカップリング剤、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。特にシランカップリング剤が好ましい。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
本発明に用いられる透明樹脂フィルムの全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計やヘイズメーター等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明の用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、1〜1000μmの範囲の物が、強度とハンドリング、コストの観点で好ましく、10〜800μmの物がより好ましく、20〜500μmの物が特に好ましい。
前記基材には、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。ガスバリア層の形成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリア機能のほかに酸素バリア機能も有する。特にバリア性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。また、バリア層は必要に応じて多層構成とすることも可能である。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm〜400nmである。ガスバリア層は基材の少なくとも一方の面に設けられ、両面に設けられるのがより好ましい。
また基材は、紫外線遮蔽性を高める公知の紫外線吸収剤で反射材処理をされていることが好ましい。これら紫外線吸収剤は、基材に練り込まれた物でも、基材上に別層として設けられていても良い。但し可視光(400〜700nm)の透過率は80%、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上であり、標準白色版上に上基材を積層した際の色ズレはΔE=2以内、より好ましくは1.5以内、更に好ましくは1以内、特に好ましくは0.5以内である。
さらに前記基材の表面は、ハードコート層等による保護層処理がされていてもよい。ハードコート層は、光ラジカル発生材、ラジカル重合性の単官能及び/又は多官能モノマーの混合物を所望の膜厚に均一に塗布したのち、必要なエネルギー量の紫外光を照射することによってラジカル重合させることにより得られる、透明かつ高硬度のポリマー層である。
<下引き層>
本発明に係る透明電極は、基材表面にシランカップリング剤を塗布することにより形成された下引き層を有していても良い。
<透明電極の形成方法>
以下にCNTを均一な面電極とする形成方法を開示する。
導電層の形成方法としては、前記基材上に塗布方式により、炭素材料を印刷して形成することが好ましい。カーボンナノチューブの薄膜形成を例に説明する。
基材上にカーボンナノチューブの薄膜を形成する。薄膜形成は、カーボンナノチューブの分散液を用い、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いて形成することができる。
具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報記載の方法等が、グラビア印刷法については特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報記載の方法等が例として挙げられる。
又CNTの均一層を設けた後に、酸素プラズマエッチング等でパターン化する方式も好適に使用できる。またこのように作製することで、良好なパターニングが可能となり、好ましい態様である。
これらの中で最も好ましいのは、カーボンナノチューブの分散液を用いたインクジェットパターニング又はダイコート法である。この方法で本発明の調光フィルムを作製することにより、ロール トゥ ロール(Roll to Roll)での生産が可能になることは勿論のこと、更に後述する調光フィルム各層構成と作製方法とにより、製品サイズの異なる各種サイズ製品の提供が容易となり、本願が提案するユーザーが容易に施工できる新たな調光フィルム製品において、既存のありとあらゆるガラス(窓、扉、仕切りガラス)サイズに対応する製品を安価にユーザーに提供することを可能としたものである。
本願で好ましく用いられる導電層の表面比抵抗は、1〜1000Ω/□であることが好ましく、5〜500Ω/□であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
透過率は、高い程好ましく、ヘイズは低い程好ましく、これらもまた市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
<調光層>
本発明の調光フィルムに用いられる調光層には、以下のものが使用できる。
従来公知の調光層としては、例えば、CMC出版発行の「反射型カラー液晶ディスプレー技術」61ページ記載のノーマルモード、リバースモード、メモリーモードの核高分子−液晶のシステムを挙げることができ、具体的にはポリマー分散液晶、ポリマーネットワーク液晶等が該当し、いずれも好適に使用できる。
また液晶を用いないポリマー分散型、ネットワーク型の調光材料として、ロバート・エル・サックス(Robert.L.Saxe)の米国特許第3,756,700号明細書、4,247,175号明細書、4,273,422号明細書、4,407,565号明細書及び4,422,963号明細書、又はエフ・シー・ローウェル(F.C.Lowell)の米国特許第3,912,365号明細書、アール・アイ・トンプソン(R.I.Thompson)の米国特許第4,078,856号明細書で開示された光偏光粒子を用いた調光材料を挙げることができ、これらの粒子をポリマー分散型にした技術としては、特開2008−158042号公報、特開2002−214653号公報に開示されており、これらも好適に使用できる。
また更に、エレクトロクロミズム技術による調光層も特開2009−265437号公報、特開2011−39283号公報に開示されており、これら公知の調光層を本発明に係る電極材料として好適に使用できる。
例えば液晶を利用した調光フィルムは、「Polymerencapsulated Nematic Liquid Crystals for Display and Light Control Applications」、「SID ’85 Digest」1985年、J.L.Fergason著、Society for Information Display発行、68〜70ページにて、ネマチック液晶をマイクロカプセル化した光散乱型LCD(PDLC)の発表や米国特許第4,435,047号明細書、4,579,423号明細書、4,616,903号明細書、ジェイ・エル・ウェスト(J.L.West)の米国特許第4,685,771号明細書が挙げられる。
更にDICや九州大の梶山千里教授らが検討したピリジン系液晶がポリマーネットワーク内に保持された(PNLC)型液晶などが発表されておりこれらを応用した公知の技術が、本願では特に制限なく使用可能である。
具体的には、
(1)液晶材料(ネマチック液晶等)とエポキシ等の硬化性樹脂を用いた重合相分離法による高分子分散型液晶
(2)液晶材料(ネマチック液晶等)とPVAや樹脂エマルジョンを用いたエマルジョン法による液晶カプセル分散型(NCAP)
(3)液晶材料(ネマチック液晶等)と(ジ)アクリレートを用いた光重合相分離法による高分子ネットワーク技術
(4)液晶材料(ネマチック液晶等)と(ジ)アクリレートを用いた光重合相分離法による反射型の配光グレイン状フィブリル技術(IRIS型)
(5)液晶材料(コレスチック液晶等)と(ジ)アクリレートを用いた光重合相分離法によるメモリー型高分子ネットワーク液晶技術等を挙げることができる。
用いられる液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶が好ましく、特にネマチック液晶が好ましい。また、その性能を改善するために、コレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、カイラルスメクチック液晶等、カイラル化合物等が適宜含まれていても良い。
これらの技術では、ネマチック型液晶が重要であり、古くからシアノビフェニル系液晶材料が開発され、応答速度を大幅に改善したシアノフェニルシクロヘキサン系液晶が開発された。更に液晶の実用化に伴い多様な温度域において液晶性を示す材料が要望され、アルキルビフェニルシクロヘキサン系液晶、P−型エステル型液晶、ピリミジン系液晶、フェニルビシクロヘキサン系液晶等が開発されている。
更には、3−クロロ−4−シアノフェノールエステル、3−フロロ−4−シアノフェノールエステル誘導体、トラン系液晶、アルケニル系液晶、シクロヘキセン系液晶、アジン系液晶等が挙げられいずれも好適に使用可能である。
また上述のように液晶デバイスの使用環境温度域の拡大のため、液層温度の異なる複数の液晶を併用することは好ましい態様であり、通常でも3種以上、好ましくは5種以上混合して使用することが好ましい。
本発明で使用できる液晶材料の具体例としては、例えば以下に示した化合物群のものを挙げられ、求める物性、用途により、液晶材料の特性、即ち、等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、複屈折率、誘電異方性(Δε)の正負を考慮し、又はその他添加剤である例えば重合性組成物等との溶解性等を調節することを目的として適宜選択、配合して用いることができる。
液晶材料としては、安息香酸エステル系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、フェニルシクロヘキサン酸系、ピリミジン系、ピリジン系、ジオキサン系、シクロヘキサンシクロヘキサンエステル系、トラン系、アルケニル系、フルオロ系、シアノ系、ナフタレン系等の、例えば、一般式(I)で表される液晶化合物を用いることができる。
Figure 2013148744
(上記式中、環A、B及びCは、それぞれ独立に、下記の環のいずれかを表し、nは0〜2の整数、mは1〜4の整数を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、単結合、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、又は−CH=CHCHCH−を表し、Yは、単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、フルオロアルキル基、又はフルオロアルコキシ基を表す。)
Figure 2013148744
調光層形成材料中の液晶材料の含有量は、50〜99質量%の範囲が好ましく、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
更に最近では、調光層の曲げ耐性、耐候性向上を目的とした液晶の改善がなされており、本発明に係る電極材料の組合せで使用する上で非常に好ましい。本発明に係る電極材料は、非常に強い曲げ耐性、耐候性を有しているばかりか、酸化や紫外線照射での劣化は殆ど生じない。今後液晶材料の酸化や紫外線照射による劣化耐性が向上することにより、本発明の特徴である透明電極との組合せで得られる調光フィルムは、フィルムとしての施工性、紫外線が差し込む窓等での貼付用途において従来の調光フィルムを圧倒する使い勝手と耐久性を提供できるものに更に改善されていくものである。
これらを実現する液晶材料としては、例えば特開2011−105908号公報を挙げることができる。これら液晶材料は曲げ耐性が従来の液晶と大きく改善されており、これらの液晶材料とポリマーネットワークとしてのアクリル光重合素材の組合せにより調光層の曲げ耐性を向上させることが可能となり好ましい態様である。
例えば、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013148744
(上記式中、R、及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、該アルキル基、及びアルケニル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の−CH2−基は酸素原子、−COO−、又は−OCO−で置き換えられていてもよく、環Aは、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、又はピリミジン−2,5−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF3基、OCF3基又はCH3基を有することができ、Z、及びZは、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、又は−C≡C−を表し、X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、CF基、OCF基、又はCH基を表す。)
また一般的な調光フィルムは、白濁性の高い方が好まれる傾向にある。高い白濁性を得るには、液晶組成物の屈折率異方性(Δn)は大きい方が良く、ポリマーのネットワーク構造、又は液晶ドロップレットの粒径サイズには最適な大きさが存在する。一方十分に高い電圧をかけた場合、液晶組成物は電界方向に配向し、液晶組成物自身の散乱性はなくなる。ここでポリマーの屈折率と液晶組成物の常光屈折率(n)との差が十分小さければ、光散乱は起きず、透明状態となる。そのため、高い透明性を得るにはポリマーの屈折率と液晶組成物の常光屈折率(n)とを合わせる必要がある。これらの点においても従来公知の知見を好適に使用できるものである。
上記のような液晶と樹脂複合体を構成する樹脂マトリクスとしては、上述したように光重合系、エマルジョン型等複数あるが、ここでは市場で実用されているエマルジョン型について説明する。
樹脂としてはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタン等が検討されてきた。これらの樹脂の中では、ポリウレタンが、加工性、耐熱性等の観点から優れている。樹脂マトリクスに液晶微小粒子を分散させるためには、相分離法又はエマルジョン法を用いることができるが、前述のように実用化されているのはエマルジョン法である。エマルジョン法では、液晶材料を含むエマルジョンを高速で攪拌することにより、液晶微小粒子が分散した状態、すなわち液晶が「疑似カプセル化」した状態、が実現される。
高分子エマルジョンに、液晶材料及びその他必要な材料を添加し液晶−樹脂複合材料(液晶エマルジョン)を調製する。
液晶微小粒子を形成するためには、あらかじめ液晶材料を水中で攪拌して液晶微小粒子を形成し、これと高分子エマルジョンとを混合する。一方液晶材料を高分子エマルジョンに直接投入し、攪拌して液晶微小粒子を形成しても構わない。液晶微小粒子の形状及び粒子径の均一化のため、乳化剤として界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、HLB8〜18、特にHLB10〜16の非イオン性界面活性剤がより好ましい。
上記における混合や攪拌は、ホモジナイザー、ホモミキサー、ディスパーサー、高圧乳化機、ブレンダー、コロイドミル、超音波乳化機等を用いて行えばよい。
こうして、液晶微小粒子が分散したエマルジョン(液晶エマルジョン)が調製される。
液晶微小粒子のメジアン系D50は、1.5〜4.5μmの範囲とすることが好ましい。メジアン系D50が4.5μmを超えると液晶微小粒子の単位質量当り表面積が低下して電圧開放時の遮蔽性が低下する。他方、メジアン系D50が1.5μm未満であると液晶微小粒子の単位質量当り表面積は大きくなるが、これによる光の散乱の増加よりも可視域長波長側における透過及び回折による効果が上回る。このため、結果として、やはり電圧開放時の遮蔽性が低下する。
所望の光学性能を得るためには液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン系だけでなく、粒子径分布も適切な範囲に調整することが望ましい。粒子径が大きな粒子の割合が増加すると可視域での散乱がほとんどなくなり、電圧開放状態における遮蔽性が低下する。したがって、液晶カプセル径の加積曲線における加積透過率が10%になる液晶カプセル径D10と、加積透過率が90%になる液晶カプセル径D90との比(D90/D10)が、D90/D10≦3×D50の範囲であることが好ましい。より好ましくは、D90/D10≦2.5×D50である。
液晶微小粒子のメジアン系D50及び粒子径分布は、攪拌の速度、時間を調整して制御することができる。なお、本明細書では、レーザー回折法により測定した値を液晶微小粒子の粒子径として採用する。
このようにして作製した調光層液を上述した本願の透明電極を具備した基材上に、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の塗布法を用いて形成することができる。
本発明に係る調光層は、透明電極の直上に積層されても良いし、透明電極の上に何らかのオーバーコート層を設け、又はカバーフィルムを貼合・形成後に積層されても構わなく、いずれも好適に使用できる。
塗布された液晶エマルジョンは、余分の水分・溶剤を除去するために、乾燥させる。架橋剤を添加した場合には、乾燥とともに架橋構造が共重合体に導入される。エマルジョンの乾燥は、常温で行ってもよいし、基材にダメージを与えない範囲で公知の加熱を加えても構わない。
液晶エマルジョンを塗布して形成した液晶−樹脂複合体の膜厚は、液晶調光素子の透明性と遮蔽性とのバランスを考慮すると、10〜35μm、特に15〜25μmが好ましい。
<各層の形成幅>
図1は、本発明の調光フィルムの構成の一例を説明する模式図である。フィルム基材1b上に透明電極2bを有し、その上に調光層3aが形成される。更にその上に対向電極として、基材1a上に設けられた透明電極2aから構成される。調光層3aは樹脂マトリックス中(樹脂層)に液晶粒子4bが分散されている。
ここで、巾Xの基材上に巾Yの透明電極が形成され、さらにその上に巾Zの調光層が形成されることが好ましい。
本発明においては、基材と透明電極及び調光層の形成巾を以下のように設けることが好ましい。これにより、複雑なパターニングを要せず電極を取り出しやすくする効果が得られる。
基材巾X>透明電極の形成巾Y>調光層の形成巾Z
すなわち、それぞれの形成巾を上記序列となるように設けることで、ロール トゥ ロール(Roll to Roll)で作製したロール状サンプルで2点給電、若しくはユーザーの需要サイズに2面中断ちした場合においても端部給電の取り出し加工が容易となり、印刷・塗布プロセスで、この目的に応じた精度を得ることが重要である。これにより投入基材と需要サイズとで断裁巾を自在に変えた生産管理を実現でき、これまでにない安価な調光フィルム提供を可能とするものである。
基材巾Xと透明電極の形成巾Yとの差は、0.1mm以上(左右各0.05mm)20mm以内が好ましく(左右各10mm)、より好ましくは1mm以上(左右各0.5mm)10mm以内(左右各5mm)である。
同様に透明電極の形成巾Yと調光層の形成巾Zとの差も、0.1mm以上(左右各0.05mm)20mm以内が好ましく(左右各10mm)、より好ましくは1mm以上(左右各0.5mm)10mm以内(左右各5mm)である。
上記のようにして設けた、基材/透明電極/調光層の複合フィルムに、もう1枚の電極付き基材が配置される。こうして、液晶−樹脂複合体が2枚の電極付き基材の間にこれら電極に接した状態で挟持された液晶調光素子が製造される。
上記のように対向電極を設置する場合、支持体に接着性を高める上述の処理又は下引き層を設けても良いし、調光層にシランカップリング剤等を散布する等の処理を行っても良く、これらの処理を行うことが好ましい態様である。
<剥離支持体>
本発明においては、このようにして得られる調光フィルムの片面にガラス貼付用の粘着層と剥離容易な剥離支持体とを設けることが更に好ましい態様である。
このような剥離支持体としてはフィルム状のものが好ましい。本発明に係る剥離支持体に用いられるフィルムとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、耐候性、耐傷性及びコスト等の観点をも加味すると、ポリエステル樹脂フィルムが特に好適である。フィルムの熱収縮率は、例えばフィルムを構成する樹脂を選択したり、フィルム形成後の延伸方法や熱処理条件等を適宜選択することにより所望のものとすることができる。また、ベースフィルムの厚さは特に制限されないが、18〜120μmであることが作業性の観点から好ましい。なお、縦方向と横方向の収縮率が同じである必要はないが、実質的に同じにすれば、フィルムの方向を特に気にすることなく施工することができるので好都合である。
<粘着層>
ベースフィルムに設ける粘着層に用いる粘着剤には特に制限はなく、例えば天然ゴム系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系の粘着剤が用いられる。なかでも、耐候性の点などからアクリル系粘着剤が好ましい。粘着層の厚さは特に制限されるものではないが、5〜20μmであることが好ましい。
本窓貼り用積層フィルムに用いる剥離シートは特に制限されず、例えばポリエステルやポリプロピレン等の樹脂フィルムや、ラミネート紙、コート紙、グラシレ紙などの紙にシリコーン樹脂を塗布したもの、あるいはアルキッド樹脂等に剥離剤を塗布したものが用いられる。
窓貼り用積層フィルムを施工するに際して行う熱加工は、剥離フィルム側から加熱しながらガラス面に密着させてシワを取り除いていくので、剥離フィルムの方がベースフィルムより収縮量が少ないことが好ましい。また、剥離フィルムの収縮率は、縦方向横方向ともベースフィルムの収縮率より小さいことが好ましい。
本窓貼り用積層フィルムに用いる剥離フィルムの厚さは特に制限されないが、16〜75μmであることが好ましい。
ベースフィルムには、必要に応じて紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を含有させておいたり、染・顔料によって着色することができる他、あらかじめ適当な印刷を施すこともできる。上記薬剤や染・顔料は粘着層に含有させても良い。また、これらの薬剤を含有するフィルムや着色フィルムを接着層を介して積層したベースフィルムとすることも可能である。更に、耐傷性を向上させるために、ベースフィルムの外側(粘着層の設けられていない面)表面にハードコート層を設けることが好ましい。
本発明の窓貼り用積層フィルムの製造方法においては、剥離シートの剥離剤を塗布された面に、粘着剤をロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター等のコーターで塗布、乾燥した後ベースフィルムと貼り合わせる方法や、ベースフィルムの一面に該コーターで粘着剤を塗布、乾燥し、剥離シートと貼り合わせる方法など公知の方法を採用することができる。本発明の窓貼り用積層フィルムの厚さは特に制限されないが、50〜200μmであることが好ましい。
これらの加工をした後、本願の調光フィルムは、巻き取られロール形態で提供されることが特に好ましい態様である。
≪調光フィルム駆動方法≫
本発明の調光フィルムの駆動操作は単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリックス駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことをいう。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがある。
≪透明電極の形成方法≫
(1)インクジェット印刷
本発明では、透明電極をインクジェット印刷することによって形成する。
以下、インクジェット印刷について説明する。
図2は、インクジェットヘッドを用いた塗布装置を使用して、金属細線が形成された透明基材上に透明電極をある面積で区切って塗布する方法の一例を示す概略模式図である。
図2に示すとおり、透明基材100は連続的に走行されており、インクジェットヘッド2により透明電極を形成するための塗布液が、液滴として射出され透明電極105が形成されて不図示の乾燥ゾーンを通過する。
インクジェットヘッド2としては特に限定はなく、例えばインク圧力室に圧電素子を備えた振動板を有しており、この振動板によるインク圧力室の圧力変化で射出液体を吐出させる剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドでもよいし、発熱素子を有しており、この発熱素子からの熱エネルギーにより塗布液の膜沸騰による急激な体積変化によりノズルから射出液体を吐出させるサーマルタイプのヘッドであってもよい。
インクジェットヘッド2には射出液体を供給する機構などが接続されている。射出液体の供給はタンク8Aにより行われる。インクジェットヘッド2内の射出液体圧力を常に一定に保つようにこの例ではタンク液面を一定にする。そのためにタンク8Aからオーバーフローさせてタンク8Bに射出液体を自然流下で戻している。タンク8Bからタンク8Aへの射出液体の供給はポンプ11により行われており、射出条件に合わせて安定的にタンク8Aの液面が一定となるように運転条件が設定されている。
なお、ポンプ11からタンク8Aへ射出液体を戻す際にはフィルター12を通してから行われている。このように、射出液体はインクジェットヘッド2へ供給される前に絶対濾過精度又は準絶対濾過精度が0.05〜50μmの濾材を少なくとも1回は通過させることが好ましい。
また、インクジェットヘッド2の洗浄作業や液体充填作業などを実施するためにタンク6より射出液体が、タンク7より洗浄溶媒がポンプ9によりインクジェットヘッド2へ強制的に供給可能となっている。インクジェットヘッド2に対してこうしたタンクポンプ類は複数に分けても良いし、配管の分岐を使用しても良い、またそれらの組み合わせでも構わない。図2では配管分岐13を使用している。さらにインクジェットヘッド2内のエアーを十分に除去するためにタンク6よりポンプ9にてインクジェット2へ射出液体を強制的に送液しながら下記に記すエアー抜き配管から射出液体を抜き出して廃液タンク4に送ることもある。
さらに、インクジェットヘッド2内の射出液体温度を一定に保持するためにタンク8Aとインクジェットヘッド2の間に熱交換器を設けてもよいし、インクジェットヘッド2内に熱交換器のような射出液体温度一定機構を設けても構わない。
塗布手順については以下に示す。
まず、インクジェットヘッド2に射出液体を充填する際の手順であるが、インクジェットヘッド2の待機位置にてポンプ9によりタンク6から強制的に射出液体をインクジェットヘッド2へ通液する。この際に排出された射出液体は図示しないキャッチパンなどにより受けられる。この操作により、インクジェットヘッド2に射出液体を充填し、ヘッド内部の空気抜きを実施した後にノズル表面(射出面)の清掃を実施する。
次に、あらかじめ決められた流量にてタンク8Aへタンク8Bから射出液体を送り込みオーバーフローにより循環を開始する。ポンプ9とインクジェットヘッド2の間のバルブは閉めておきポンプ8とインクジェットヘッド2間のバルブを開けることでインクジェットヘッド2から射出させることが可能になる。透明基材100を所定の速度で搬送させ、射出準備の完了したインクジェットヘッド2を透明基材100の所定の距離まで近づけ所定の射出条件で射出液体の射出を開始する。オーバーフローさせてタンク8Aの液面を一定に保持しているため射出量は安定となる。
インクジェットヘッド2の種類は任意であるが本発明では一滴の液滴量が数10ピコリットルで、射出周波数は数百〜数万Hzで安定に射出できる条件を選ぶと良い。また、速度は任意で早ければ生産性向上につながる。速度に対して目的のウェット膜厚になるように周波数を調整して射出する。
(2)インクジェットヘッド
インクジェットヘッド2の一例を図3に示す。
図3は一部破断面を有するインクジェットヘッドの一例を示す概略斜視図である。本図は剪断モード型(ピエゾ型)インクジェットヘッドの場合を示している。
インクジェットヘッド2には圧電性基盤を駆動させるための制御部5(図2参照)がコネクタ(不図示)を介して接続されている。この制御部5により、射出液体の射出時の圧電性基盤の動作強度や周波数の選択等が行われる。
ヘッド2は、上層圧電性基盤201b1と下層圧電性基盤201b2とを接合して形成された圧電性基盤201bと、天板201cと、ノズル板201dとを有している。
圧電性基盤201bには、研削加工を施すことによりノズル板201d側が開口し、反対側が閉塞している互いに平行な所定の長さを有する複数のノズル201b3と、ノズル201b3の閉塞した側につながる平坦な面201b4と、ノズル(インク圧力室)201b3の両側に側壁201b5とを有している。
複数のノズルは交互に塗布液圧力室用のノズルと空気圧力室用のノズルとして使用する場合もある。
本図は塗布液圧力室用として使用した場合を示している。201c2は圧電性基盤201bの上面を覆う第1天板を示し、201c1は第1天板の上面を覆う第2天板を示す。
201eは塗布液の塗布液供給管を示す。塗布液供給管201eより供給された塗布液はノズル吐出口201d1より吐出するようになっている。
201c3は塗布液供給管201eから供給された塗布液の貯留部を示し、各ノズル201b3に連通した各塗布液供給口201c4より各塗布液圧力室用のノズル201b3に供給されるようになっている。
各ノズル201b3は第1天板201c2とノズル板201dとにより覆われることで複数の密閉されたチャネル(塗布液圧力室)が形成されるようになっている。
201d1は各側壁の剪断変形に伴い、塗布液圧力室の圧力変化で塗布液を液滴の状態で吐出させるノズル吐出口を示す。ノズル吐出口の間隔は、0.02〜0.3mmが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは無い。なお、実施例において、「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りが無い限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〔実施例1〕
《調光素子1〜6の作製(比較1〜5、及び本発明1の調光フィルム又は調光ガラスの作製)》
<調光材料Aの作製(PDLCの作製例)>
(光調整粒子の製造)
光調整粒子を製造するために、攪拌機及び冷却管を装着した500mlの四つ口フラスコ内で、ニトロセルロース1/4LIG(商品名「DLX−8−13」Nobel社製)15質量%とし、溶剤を酢酸イソアミル(試薬特級、和光純薬工業(株)製)希釈溶液87.54g、酢酸イソアミル44.96g、脱水CaI(水分量0.3%)(化学用、和光純薬工業(株)製)4.5g、無水メタノール(有機合成用、和光純薬工業(株)製)2.0g及び精製水(精製水、和光純薬工業(株)製)を0.50g添加量した混合溶媒に溶解し、沃素(JIS試薬特級、和光純薬工業(株)製)4.5gを溶解し、光調整粒子の基板形成物質であるピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物(関東化学(株)製)3gを添加した。45℃で3時間撹拌して反応を終了させた後、超音波分散機で2時間分散させた。
次に、反応溶液から一定な大きさの光調整粒子を取り出すために、遠心分離機を用いて粒子を分離した。先ず反応溶液を500Gの速度で10分間遠心分離して沈殿物を取り除き、更に10000Gで2時間遠心分離して、浮遊物を取り除き、沈殿物粒子を回収し光調整粒子とした。
(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造)
ディーンスタークトラップ、冷却管、攪拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、両末端シラノールポリジメチルシロキサン(信越化学工業(株)製)11.75g、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン(信越化学工業(株)製)31g、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製)4g、2−エチルヘキサン錫(和光純薬工業(株)製)0.6gを仕込み、ヘプタン中で100℃で3時間リフラックスし、反応を行った。
次いで、反応溶液に、トリメチルエトキシシラン(信越化学工業(株)製)10.6gを添加し、2時間リフラックスし、脱アルコール反応させた。その後、ヘプタンをロータリーエバポレーターを用いて60Paの真空で80℃、3時間減圧除去し、紫外線硬化型シリコーン樹脂(エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつシリコーン樹脂)を得た。
(光調整懸濁液の製造例)
前述の(光調整粒子の製造)で得た光調整粒子の酢酸イソアミル分散液97g(光調整粒子9gを酢酸イソアミル88gに分散した分散液)を、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2,200、屈折率1.468)59gに加え、攪拌機により30分間混合し、混合液を得た。次いで、ロータリーエバポレーターを用いて80℃で60Paの真空下で3時間減圧し、混合液から酢酸イソアミルを除去し、トリメリット酸デシル29.5g(花王(株)製),ジメチルドデカスベレート(Exfluor社製)を添加し、粒子沈降及び凝集現象のない安定な液状の光調整懸濁液を製造した。
(調光材料Aの作製)
前述の(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造)で得た紫外線硬化型シリコーン樹脂10g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製)0.2g、着色防止剤としてのジブチル錫ジラウレート0.3gに、前述の(光調整懸濁液の製造例)で得た光調整懸濁液2.5gを添加し、1分間超音波で混合し、調光材料A(PDLC)を作製した。
《透明電極1〜6の作製》
<透明電極1及び4の作製>
無アルカリガラス基材(厚さ0.7mm)を用い、ガラス基材上にスパッタによりITO(インジウムチンオキシド;屈折率1.85)を100nm製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を設けた基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行い、透明電極1(比較1用)を作製した。
次に、厚さ100μmのPENフィルム(テオネックス(登録商標)帝人株式会社製)を用い、該PENフィルム表面にスパッタによりITO(インジウムチンオキシド;屈折率1.85)を100nm製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を設けた基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行い、透明電極4(比較4用)を作製した。
<透明電極2及び5の作製>
〔炭素材料の合成〕
(2層カーボンナノチューブ(DWCNT−A)の合成)
(担持体(MCM−41)の合成)
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:アルドリッチ製)3.64gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH:アルドリッチ製)1.45gを35℃のイオン交換水28.8mlに加えた後に、ヒュームドシリカ(アルドリッチ製)2.4gを加え1時間撹拌した。20時間エージング後に、オートクレーブに移し、150℃で96時間、水熱合成した。水熱合成後に生成物をろ取、洗浄後に550℃で8時間焼成後に、800℃で1時間焼成し、MCM−41(Mobil Crystalline Material 41)を得た。
(担持体(MCM−41)への金属塩敷設)
硝酸鉄9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、MCM−41を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、担持体の粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径32mmの石英管の中央部に配置された石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を925℃に加熱した(昇温時間60分)。925℃に到達した後、反応管内を真空引きし、10Pa以下になったことを確認後に、エタノール蒸気を100Paの圧力になるように20分間導入した。エタノール蒸気の導入を止めた後に、高純度アルゴンガス(高圧ガス工業製)を5ml/分で30分供給し、温度を室温まで冷却し、2層カーボンナノチューブ(DWCNT−A)を含有する組成物を取り出した。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の高分解能透過型電子顕微鏡分析)
得られたカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察し目視で、層数が2層のカーボンナノチューブがカーボンナノチューブに占める割合は80質量%以上であることを確認した。
カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、そのチューブ外径が1.0〜3.0nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの外径は1.2から2.5nmを示すものが多く、外径の平均は2.2nmであった。一方、2層カーボンナノチューブの100本中、80本以上が、そのチューブ内径が0.4〜2.2nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの内径は0.5〜1.8nmを示すものが多く、内径の平均は1.5nmであった。また、屈曲間距離の平均は、約800nmであった。ナノチューブの末端部分の構造は、観察された2層カーボンナノチューブの90%以上が開放端であった。
(2層カーボンナノチューブ(DWCNT−A)を含有する組成物の共鳴ラマン分光分析)
上記により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)を用いて、レーザー波数630〜650cm−1で測定してG/D比を求めた結果、G/D比は、約12であり、Gバンドは分裂して観測された。また、350cm−1以下の領域において、195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、217〜222cm−1内の最大ピーク強度をB、195cm−1未満の最大ピーク強度をC、220〜350cm−1内の最大ピーク強度をDとしたときに、ピーク強度比の値は、A/B>3.5、A/C>6.0、A/D>2.5であった。
(精製・元素分析)
上記のようにして得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を、空気中400℃で30分間焼成した後に、トルエン50ml(和光純薬製)に加え、40分間超音波振動を加えた。次に、イオン交換水50mlを加え、10分間、激しく攪拌した。黒色のトルエン相と灰色の水相を分液漏斗で分け、トルエン相をろ過した。トルエン相はカーボンナノチューブを主成分とし、水相はMCM−41、触媒金属を主成分とすることを、SEM及びX線分析装置(EDX;オックスフォード社製ISIS)で確認した。トルエン相から回収されたカーボンナノチューブ組成物のEDX元素分析の結果、鉄の含有量は0.03質量%、コバルトの含有量は0.2質量%であった。
(X線光電子分析)
上記のようにして精製したカーボンナノチューブを含有する組成物を、X線光電子分析(島津製作所社製ESCA−1000)により元素の組成比を測定し、前述の方法により分析した結果、炭素原子/酸素原子比の値が30であった。
(分散液調整及びCNT層塗工(透明電極2及び5の作製)
カーボンナノチューブを分散剤含有のクロロスルホン酸の超純水溶液(鹿特級 関東化学社製)に0.2質量%となるように添加し、分散方法A)攪拌:常温にて300rpmの攪拌速度で24時間密閉容器で攪拌した。この液をPTFEの0.2μmフィルターでろ過し、塗布液を得た。
上述の透明電極1の作製で使用した無アルカリガラスに、上記カーボンナノチューブが分散された塗布液をスピン塗布し透過率Tが85%となるように調整した。スピンの回転により、膜の流動性が無くなる程度まで乾燥させた後、ホットプレート上で150℃で3分間熱処理を行い、余分な溶剤を除去し、CNT層を形成し、透明電極2(比較2用)を作製した。
同様にして、透明電極4の作製で用いた厚さ100μmPENフィルム(テオネックス(登録商標)帝人株式会社製)上に透明電極5(本発明1用)を作製した。
<透明電極3及び6の作製>
CLEVIOS(登録商標)PH500(Heraeus社製)のPEDOT/PSSにDMSOを5質量%添加し、上述の透明電極1の作製で使用した無アルカリガラスにスピン塗布し透過率Tが85%となるように調整した。スピンの回転により、膜の流動性が無くなる程度まで乾燥させた後、ホットプレート上で150℃で3分間熱処理を行い、余分な溶剤を除去し、PEDOT/PSS層を形成し、透明電極3(比較3)を作製した。
同様に、透明電極4の作製で用いた厚さ100μmのPENフィルム上に透明電極6(比較5)を作製した。
《調光素子1〜6(調光フィルム4、5、6及び調光ガラス1、2、3)の作製》
<調光素子1〜6の作製>
上述のようにして作製した調光材料Aを、ワイヤーバーを用い、各透明電極1〜6が設けられた基材に乾燥膜厚が45μmとなるように塗布し、100℃で10分間乾燥した。
その上にメチルエチルケトンに溶解させたシランカップリング剤KBM−303、KBM−503(信越化学社製)を50:50に含有した1質量%溶液を噴霧乾燥し、その後塗布層上に対向電極として、同じ基材上に設けた透明電極1〜6を貼合して、照度275mW/cmに調整されたメタルハライドランプで積層フィルムの上下から(両面から)積算光量2000mJ/cm(測定;UV Power Pack S/N 8601UV−A(320〜390nm)フュージョン製)の紫外線を照射し、光調整懸濁液が球形の液滴として紫外線硬化したシリコーン樹脂内に分散形成された調光層を持つ調光フィルム1〜6を作製した。
なお、ここで、調光素子5は、本発明の調光フィルム(本発明1)であり、調光素子1〜4、及び調光素子6は比較用とした。
これらの調光フィルムに対し以下の評価を行った。
≪評価方法≫
《透明電極の測定及び評価》
下記方法で、作製した各透明導電体の導電層の表面比抵抗について測定し評価した。
〔表面比抵抗Rs〕
表面比抵抗Rs(Ω/□)は、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて透明導電体の表面比抵抗を四端子法で測定した。
〔透過率T〕
透明性T(%)の評価として、東京電色社製「HAZE METER NDH5000」を用いて、全光線透過率を測定し、数値を求めた。
〔外観〕
膜の着色性は目視で評価した。
(判定基準)
○:ニュートラル
○△:青
△:黄
〔曲げ耐久試験〕
調光フィルムを巻付け法によって曲げ耐久試験を行った。
巻付け法は、曲げ試験の一種で、図4に示したように試験片301が規定の形になるように張力Tを加えて、試験片301を軸(円柱状のロッド)303に巻き付ける試験方法である。この方法で、何mmRの軸の半径まで劣化無く耐えられるかを、試験回数は100回で行った。
具体的には、軸の半径を15mmRから順次10、5、3mmRまで変化させて、何mmRまで劣化無く耐えられるかテストを行った。すなわち、100mm×100mmの試験片を用いて、試験片(フィルム)に張力を掛けて、試験片を軸に沿って360度折り返す形になるように巻き付け、また、もとへ戻す操作を100回繰り返し、何mmRまで劣化無く耐えられるかテストした。劣化の有無の判断は抵抗値変化で行い、抵抗値変化が10%以内である最小半径で評価した。
(判定基準)
○ :3mmR未満(3mmRでも問題無し)
○△:10mmRまで問題無し
△ :15mmRまで問題無し
× :15mmで劣化
〔引張り試験〕
ASTM−D−882に準じ、フィルムを5%引き伸ばした後の導電性(表面比抵抗)を測定し、引延ばす前後の性能差を評価した。
(判定基準)
○:10%以内の変動
△:は100%未満の変動(倍になる)
×:100%以上の変動
〔スクラッチ加重試験(耐久性試験)〕
スクラッチ加重試験とは、調光フィルムの裏面からスクラッチ荷重をかけて、電極破壊する荷重を評価するものである。
耐摩耗性試験機(HEIDON−18)を用い、針先が0.3mmRのサファイア針を用い、調光フィルムの裏面から荷重を0g〜200gまで20g間隔で傷をつけた。荷重前後で調光フィルムを駆動し、動作に問題の無い荷重域を確認した。
(判定基準)
○:100g以上
×:100g未満
〔耐候性〕
作製した調光フィルムを「キセノンウェザーメーターXL75」(スガ試験機株式会社製)を用いて、キセノンランプ7万ルクスの照射条件にて1ヶ月間照射を行い、照射後に調光フィルムを駆動し、耐候試験後の素子状況を目視で確認した。
(判定基準)
○ :基本的に問題無く駆動
○△:極僅かに劣化部分が発生(5%未満)
△ :部分的に劣化発生(20%未満)
△×:大面積で劣化発生(50%未満)
× :駆動せず
〔保存性〕
作製した調光フィルムを40℃・80%RHの環境下に1ヶ月放置し、23℃・50%RHの環境に戻し、1週間後に調光フィルムを駆動し、保存前後の素子状況を目視で確認した。
(判定基準)
○ :基本的に問題無く駆動
○△:極僅かに端部に劣化発生(5%未満)
△ :は端部に劣化発生(20%未満)
△×:は内部まで劣化が進行(50%未満)
× :駆動せず
これらの結果を表1に記載した。
Figure 2013148744
本発明1(調光素子1)は、全ての評価項目において優れた結果であり、従来技術では実現不可能であったフレキシブル性、かつ高耐久性の調光フィルムを提供できることが分かった。
〔実施例2〕
次に本発明に係る透明電極5(本発明1)の対向電極を用い、各種調光層の適応を確認した。
<調光素子7(本発明2)の作製>
《エレクトロクロミック粒子の作製》
(調光材料B)
まず、酸化チタンナノ粒子に2−ブロモエチルトリクロロシラン、4,4′−ビピリジン、1−ブロモヘキサンを順次反応させ、エレクトロクロミック粒子1を作製した。これを調光材料Bとした。
(調光素子7の作製)
厚さ100μmのPENフィルム(テオネックス(登録商標)帝人株式会社製)上に設けた本発明に係る透明電極5上に、上記エレクトロクロミック粒子1の分散液をスピンコート法により塗布した。続いて、シリカナノ粒子分散液(シーアイ化成社製)をスピンコート法により塗布し、その上にメチルエチルケトンに溶解させたシランカップリング剤KBM−303、KBM−503(信越化学社製)を50:50に含有した1質量%溶液を噴霧乾燥し、その後塗布層上に同じく厚さ100μmのPENフィルム上に設けた透明電極5を対向電極として貼合した。
その後、150℃で24時間焼結させ、複数の表示電極とエレクトロクロミック粒子1(調光材料B)を含有する本発明2の調光素子7(調光フィルム)を得た。
<調光素子8(本発明3)の作製(PDLCタイプ)>
《エマルジョン型液晶(調光材料C)の作製》
ポリエーテルウレタンエマルジョンNeorezR−967(楠本化成株式会社:水不揮発分40質量%)この希釈された高分子エマルジョン100部に対して、ネマチック液晶(JM1000XX(複屈折率Δn=0.132):チッソ製)64質量部を添加した。このエマルジョンホモジナイザー(日本精機製)にて回転数133.3回転/秒(8000rpm)で10分間攪拌し、液晶エマルジョンを得た。
続いて架橋剤のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。上記で得た液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに上記の架橋剤水溶液を添加した。架橋剤水溶液の添加割合は、液晶エマルジョンに含まれる高分子エマルジョン100質量部(水で希釈した状態の高分子エマルジョン100質量部)に対して架橋剤水溶液4.8質量部とした。こうして得た膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。これを調光材料Cとした。
次に、液晶エマルジョンをワイヤーバーにて厚さ100μmのPENフィルム(テオネックス(登録商標)帝人株式会社製)上に設けた透明電極5上に塗布し、100℃で10分間乾燥して、液晶−樹脂複合体を形成した。この液晶−樹脂複合体が形成されたフィルムを同じPENフィルム上に設けた透明電極5を対向電極として貼合し、調光材料C、すなわちネマチック液晶(PDLC)を含有する本発明3の調光素子8(調光フィルム)を得た。
<調光素子9(本発明4)の作製(PNLCタイプ)>
カイラル剤(メルク社製 S−811とメルク社製 C15の質量比1:1の混合物)を2.5質量%溶解したシアノ系ネマチック液晶(メルク社製 BL−009)95質量部、上記式(1)の未硬化の硬化性化合物の具体例として以下の構造式で示される化合物5質量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.15質量部の混合物(混合物A)を調製した。これを調光材料Dとした。
Figure 2013148744
次に、同じく厚さ100μmのPEN上に設けた透明電極5を微量の直径13μmの樹脂ビーズを介して対向し、一部に切り欠けを設けて四辺に幅約3mmで印刷したエポキシ樹脂により貼合してセルを作製した。このセルに上記混合物を真空注入法にて注入し、切り欠き部をエポキシ樹脂で封止した。このセルを、120℃に温度設定した恒温槽中に20分間保持した後25℃まで冷却した。その後、このセルを25℃に保持した状態で、主波長が約365nmのHgXeランプを用いて硝子面の両側からそれぞれ約3mW/cmの強度の紫外線を10分間照射して、調光材料D、すなわちネマチック液晶(PNLC)を含有する本発明4の調光素子9(調光フィルム)を得た。
以上のようにして得られた調光素子7〜9について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示した。
Figure 2013148744
本発明の調光素子7〜8(本発明2〜4)は、曲げ耐久試験、スクラッチ加重試験(耐久性試験)、駆動確認において、いずれも良好であることを確認し、いずれも調光フィルムとして良好に作動することを確認した。なお、ここで「駆動確認」とは、各々の調光素子に100Vの電圧を加え、調光素子としての駆動の有無を確認したものである。
以上のように実施例2の結果から本願の調光フィルムは、エレクトロクロミック型、ポリマー分散型液晶(PDLC)又はネットワークポリマー型液晶(PNLC)型いずれの調光層に対しても利用可能であることが確認された。これらの調光フィルムは実施例1同様に曲げ耐性や衝撃(引掻き)に対する耐性に優れ、フィルム型調光フィルムとしての特性を満足できるものであることも確認できた。
〔実施例3〕
次に本発明に係る各種炭素材料を用いた透明電極での動作を検証する。
以下、実施例1で用いた以外の3種のCNT(SWCNT、DWCNT及びMWCNT)及びグラフェンを合成、あるいは準備した。
<透明電極7、8、9、10の作製及び調光素子10、11、12、13の作製>
(1)SWCNT−A:90質量%SWNTs(95質量%CNTs)Nanostructured & Amorphous Materials,Inc製;純度95質量%、外径1〜2nm、分子長5〜30μm
(2)DWCNT:実施例1で用いたDWCNT−A
(3)MWCNT:(95+質量%、OD<8nm)Nanostructured & Amorphous Materials,Inc製;純度95質量%、外径8nm、分子長10〜30μm
(CNT塗布液調整及びCNT層塗工:透明電極7〜9の作製)
上記(1)、(2)及び(3)のカーボンナノチューブ(CNT)を各々クロロスルホン酸の超純水溶液(鹿特級 関東化学社製)に0.2質量%となるように添加し、分散方法A)攪拌:常温にて300rpmの攪拌速度で24時間密閉容器で攪拌した。この液をPTFEの0.2μmフィルターでろ過しCNT塗布液(1)、(2)及び(3)を作製した。
上記3種のCNT塗布液(1)、(2)及び(3)を実施例1で使用したのと同じ厚さ100μmのPENフィルム上に、それぞれスピン塗布し透過率Tが85%となるように調整した。スピンの回転により、膜の流動性が無くなる程度まで乾燥させた後、ホットプレート上で150℃で3分間熱処理を行い、余分な溶剤を除去し、各CNT層を有する透明電極を得た。
SWCNT−Aの上記膜は本発明に係る透明電極7、DWCNT及びMWCNTの上記膜は本発明に係る透明電極8及び9とした。
(4)[グラフェン](透明電極10の作製)
Cu箔上に熱CVDにてグラフェンを成膜した後、40℃・80%RH環境下に1時間放置し、該環境下でグラフェン膜上にPMMA樹脂をMEK、トルエン混合溶剤に溶解してコートした。常温常湿に戻し乾燥後、金属膜を剥離除去及び王水溶解し、グラフェン膜を作製し本発明に係る透明電極10とした。
これらの透明電極7〜10に対し、本発明3(調光素子8)で用いた調光層(調光材料C:PDLCタイプ)を実施例2と同様にして設け、同じ対向電極を設けたフィルムを貼合して調光フィルム(調光素子10、11、12、13)を作製した。
これら調光フィルムは、いずれも良好に動作することを確認した。しかしながら動作電力は、調光素子11のDWCNT−Aが最も小さく、次いで調光素子10(SWCNT)、次いで調光素子13(グラフェン)、調光素子12(MWCNT)が一番大きい結果を得た。
動作電力の測定は、スライダックを用い、電圧を変化して注入し透過率が1%以上変化する電圧で比較し目視で判定した。
<透明電極11〜17の作製>
更に、本発明に係るDWCNT−Aに以下の素材を併用し、以下のようにして分散液を作製することにより本発明に係る透明電極とした。
DWCNT−AをNMP(高純度グレード 三和油化社製)に0.02質量%となるように添加し、以下の方法で分散したチップ型超音波ホモジナイザー(1/2インチ、出力20W/cm)を分散液に直接挿入し、分散処理を3時間行った。分散方法は、シグマアルドリッチジャパン社発行の「材料科学の基礎 第3号 カーブンナノチューブの評価・分散方法 多層カーボンナノチューブ分散方法」を参考にして行った(分散方法B)。この時、超音波振動によって試料溶液が加熱されるので、分散液を入れたガラス容器を15℃に冷却した水浴中に浸し、温度上昇を抑える。この分散処理で、十分な分散状態が得られるが、同時に超音波ホモジナイザーのチップ先端から発生する金属片が混入している。この金属片はミクロンオーダーのサイズであり、そのまま長時間放置すれば瓶の底に沈殿して除去することができるが、低速の遠心分離処理(1650G、10min)を施して金属片のみを取り除く。
更にこの溶液の上澄み50質量%を分取し、超遠心分離処理(219000G、15min)を行い、遠心管の上部40質量%の分散液を採取する。この処理によって、ほぼ不純物は取り除かれるが、少量の不純溶解物がまだ含まれている。そこで、採取した上部40質量%の分散溶液を別の遠心管に入れ、さらに超遠心分離処理を3時間施す。長時間遠心分離処理をすることにより、沈降速度の遅いSWCNTも全て沈殿するが、溶解性不純物は沈降すること無く上部に残留する。これを取り出して廃棄する。上澄み部分を取り除いた沈殿物に溶剤を加えてチップ型超音波ホモジナイザー(1/2インチ、出力20W/cm)で冷却しながら1時間分散処理する。このようにして得られたCNT分散液を作製した。
上記液をスプレー塗布にて厚さ100μmのPEN上に塗布し透過率T85%となるように調整した。ホットプレートは150℃に設定し塗布完了後、10分熱処理を行い、余分な溶剤を除去し、CNT層を形成した。
下記に示すポルフィリンA〜D及びF4TCNQをDMFに超音波を用い、0.05質量%濃度で溶解し、C6036はトルエンに0.05質量%濃度で溶解し、上記のCNT層上に塗り重ね透明電極11〜17とした。
Figure 2013148744
<調光素子14〜28の作製>
これらの透明電極11〜17を用いて、本発明3(調光素子8)で用いた調光層(調光材料C)を実施例2と同様にして設け、さらにその上にそれぞれ同じ基材上に設けた同じ透明電極を対向電極として貼合し、調光素子14〜28(調光フィルム)を作製した。
ここで、調光素子25〜28はフィルム基材として表3に記載したPET(コスモシャイン(登録商標)A4100、東洋紡(株)製)、TAC(KC8UY、コニカミノルタオプト(株)製トリアセチルセルロース)を使用した。
以上のようにして作製した調光素子10〜28について、同様にして、曲げ耐久試験、引張試験、耐候性、保存性、生産性及び応答速度を評価した。結果を表3に示した。
〔応答速度の評価〕
応答速度の評価は、各々の調光素子について、スライダックを用いて100Vの電圧を加え、応答の有無を目視で確認し、応答速度を測定した。
(判定基準)
◎:電圧印加後、0.1秒以内で応答
○:電圧印加後、1秒以内で応答
Figure 2013148744
表3に示したように応答速度、保存性に僅かに差があり、最も好ましい添加剤は、ポルフィリンD又はフッ素化フラーレンであった。
〔実施例4〕
基材巾180mm厚さ100μmのPENフィルムロール2本を準備した。実施例3のCNT分散液(分散方法B)を準備し、それぞれのフィルム基材にダイコートにて、中央に170mm巾のCNT層を設け、130℃で5分熱処理を行い、180mm基材上に170mm電極層を設けた電極フィルム(1)、(2)を作製した。
巻取りの際には、離形フィルムT788(ダイセルバリュー社製)で電極を保護した。
電極層の形成は、CNT分散液が0.02質量%と希薄なため、ウェット膜厚25μmとなるように塗布を4回行うことで、目標の85%透過率の電極層を得た。
一方の電極フィルム(1)は離形フィルムを剥離巻取りし、実施例1と同様にして調光層をダイコートにて塗布巾を中央から160mm、乾燥膜厚45μmとなるように塗工し、同様に乾燥し、その上にメチルエチルケトンに溶解させたシランカップリング剤KBM−303、KBM−503(信越化学社製)を50:50に含有した1質量%液を2nm相当量をスプレー噴霧し100℃1分間乾燥し、離形フィルムT788(ダイセルバリュー社製)で電極/調光層積層体(1)を保護した。
電極/調光層積層体(1)及び電極フィルム(2)を中央(90mm巾)でスリットし、その後90mmに枚葉にカットしそれぞれ作製し、それぞれの調光層が設けられていない端部に取り出し電極を設け、以下のように積層する(取り出し電極は同一サイドから取り出しても良いし、異なる面(逆面等)から取り出しても良い。)。その後、照度275mW/cmに調整されたメタルハライドランプで積層フィルムの上下から(両面から)積算光量2000mJ/cm(測定;UV Power Pack S/N 8601UV−A(320〜390nm)フュージョン製)の紫外線を照射し、光調整懸濁液が球形の液滴として紫外線硬化したシリコーン樹脂内に分散形成された調光層を持つ調光フィルムを製造した。
上記のようにして20枚の調光フィルムを900mmの電極/調光層積層体(1)及び電極フィルム(2)から作製し、作製した調光フィルムは、いずれも良好に動作することを確認した。またこれらの積層体は、いずれも実施例1の曲げ、引張り、耐久性の観点で良好な結果を示した。これらの積層体は複雑な製造プロセスや複雑なパターニングを要しないため、非常に簡便に無駄なく大量の調光フィルムを再現良く製造でき好ましい方法であることを証明する。
〔実施例5〕
上記のようにして得られる調光フィルムをロール状に作製し、その片面に以下の粘着層液をダイコート法で乾燥膜厚25μmとなるように設け、60℃で1分間、100℃で1分間乾燥した後、離型ポリエステルフィルム(商品名:スーパステックSP−PET38、リンテック(株)製)を貼合し、45℃で3日間エージングして、剥離支持体・粘着層・調光フィルムの構成を得た。
(粘着層液調整)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した反応容器に、酢酸エチル70質量部を仕込み78℃に昇温した。n−ブチルアクリレート264質量部(2.1モル部)、アクリル酸36質量部(0.5モル部)を配合したモノマー配合液と、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を酢酸エチル55質量部に溶解した開始剤溶液とを、反応容器内に窒素を吹き込みながら、別々の滴下ロートから4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合させた。滴下終了後2時間熟成させ、その後2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6質量部を酢酸エチル28質量部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点(80℃)で重合反応を2時間継続した後、酢酸エチル1047質量部を加えて(メタ)アクリレート系共重合体前駆体(A1)の溶液(固形分濃度=20質量%)を得た。重量平均分子量Mwは150万であった。
上記(メタ)アクリレート系共重合体(A1)の溶液(固形分濃度=20質量%)100質量部に、架橋剤(B)としてトリメチロールプロパンのイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの75質量%酢酸エチル溶液[商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製]1部及びシランカップリング剤(C)として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.05質量部[商品名「KBM−403」、信越化学(株)製]を均一に混合して本発明に係る粘着剤(X1)を調製した。粘着剤(X1)の粘度(測定法:JIS−K7117−2に記載の方法)は、25℃において7,200mPa・sであった。
この高性能シートをサイズアップした物を試作し50cm×100cmにカットしたものを準備し、透明電極がITOのものと本願の透明電極8のもので窓ガラスに貼合・剥離の作業を5回繰り返した後に調光フィルムを駆動した所、ITOの調光フィルムは不良箇所が発生したが、本発明に係る透明電極を用いたものには、全く故障が発生しなかった。
1a、1b 基材
2a、2b 透明電極
3a 調光層
4a 樹脂層
4b 調光粒子(液晶粒子)
5a 電源
6a スイッチ
X 基材巾
Y 透明電極の形成巾
Z 調光層の形成巾
2 インクジェットヘッド
4 廃液タンク
5 制御部
6 タンク
7 タンク
8A タンク
8B タンク
9 ポンプ
11 ポンプ
12 フィルター
13 配管分岐
100 透明基材
105 透明電極
201b1、201b2 圧電性基盤
201b3 ノズル
201b5 側壁
201c1、201c2 天板
201c4 塗布液供給口
201d ノズル板
201d1 ノズル吐出口
201e 塗布液供給管
201f 配管
301 試験片
303 軸(円柱状のロッド)
T 張力

Claims (13)

  1. 基材に担持された対向する一対の透明電極間に調光層を有する調光フィルムであって、該基材がフィルム基材であり、かつ該透明電極が炭素材料を含有することを特徴とする調光フィルム。
  2. 前記調光層が、ポリマー分散型液晶又はネットワークポリマー型液晶を含有することを特徴とする請求項1に記載の調光フィルム。
  3. 前記炭素材料が、グラフェン又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調光フィルム。
  4. 前記炭素材料が、ドーパントを含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  5. 前記ドーパントが、ルイス酸、プロトン酸、金属ハロゲン化物、キノノイド化合物、フッ素化フラーレン及びπ共役系化合物から選択される化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  6. 前記調光フィルムの3mmRの曲げ耐久試験において、耐久性が100回以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  7. 前記調光フィルムの0.3mmRのスクラッチ加重試験において、100g以上の耐久性を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  8. 前記基材の一方の裏面に粘着層及び剥離支持体を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  9. 前記調光フィルムが、ロール状形態で供給されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の調光フィルム。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調光フィルムを製造する調光フィルムの製造方法であって、前記透明電極と前記調光層が、塗布法で作製されることを特徴とする調光フィルムの製造方法。
  11. 前記塗布法が、インクジェット法又はダイコート法であることを特徴とする請求項10に記載の調光フィルムの製造方法。
  12. 基材巾、透明電極の形成巾及び調光層の形成巾の長さが、下記の序列となるように該透明電極と調光層を設けることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の調光フィルムの製造方法。
    基材巾>透明電極の形成巾>調光層の形成巾
  13. 前記基材上に一つの透明電極及び調光層を設けた後、対向透明電極を設置することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の調光フィルムの製造方法。
JP2012009627A 2012-01-20 2012-01-20 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法 Pending JP2013148744A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009627A JP2013148744A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009627A JP2013148744A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013148744A true JP2013148744A (ja) 2013-08-01

Family

ID=49046298

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012009627A Pending JP2013148744A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013148744A (ja)

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103760722A (zh) * 2014-01-10 2014-04-30 无锡格菲电子薄膜科技有限公司 一种以石墨烯作为透明导电电极的智能调光膜及其制备方法
CN103955090A (zh) * 2014-05-12 2014-07-30 深圳市奥普利斯光电有限公司 一种可折叠的调光膜
CN104698668A (zh) * 2015-03-30 2015-06-10 北京三五九投资有限公司 一种掺纳米导电粒子的pdlc薄膜及其制备方法
CN104880838A (zh) * 2015-05-22 2015-09-02 重庆捷尔士显示技术有限公司 一种电动调光车窗及制作方法
JP2015204906A (ja) * 2014-04-17 2015-11-19 大日本印刷株式会社 慰霊装置及び慰霊設備
JP2015215420A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 大日本印刷株式会社 調光フィルムおよび調光装置
JP2015215418A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 大日本印刷株式会社 調光フィルムおよび調光装置
WO2016021670A1 (ja) * 2014-08-08 2016-02-11 ナガセケムテックス株式会社 透明導電体、液晶表示装置及び透明導電体の製造方法
WO2017033027A1 (en) * 2015-08-27 2017-03-02 Surrey Nanosystems Limited Low reflectivity coating and method and system for coating a substrate
CN107589580A (zh) * 2016-07-07 2018-01-16 北京大学 一种基于石墨烯玻璃制备智能调光玻璃的方法
JP2018031870A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 凸版印刷株式会社 調光フィルム、調光装置およびスクリーン
WO2018131642A1 (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 日東電工株式会社 光学積層体
JP2018116273A (ja) * 2017-01-13 2018-07-26 日東電工株式会社 光学積層体
JPWO2017082387A1 (ja) * 2015-11-12 2018-08-02 富士フイルム株式会社 液晶配向膜の製造方法、および三次元液晶セルの製造方法、ならびに三次元液晶セル
CN108873549A (zh) * 2018-06-04 2018-11-23 华南师范大学 一种悬浮颗粒式智能窗户的制备方法及智能窗户
CN109143632A (zh) * 2018-10-12 2019-01-04 扬州晶彩智能玻璃科技有限公司 一种汽车调光玻璃及其制备方法
JP2019005698A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 日東電工株式会社 調光フィルムの製造方法
KR20190076037A (ko) 2017-01-24 2019-07-01 제이에스알 가부시끼가이샤 액정 소자 및 그의 제조 방법, 표시 장치, 그리고 액정 배향제
WO2019142719A1 (ja) 2018-01-17 2019-07-25 積水化学工業株式会社 調光積層体及び調光積層体用樹脂スペーサ
JP2021015219A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 凸版印刷株式会社 調光デバイス
WO2022153998A1 (ja) * 2021-01-13 2022-07-21 Agc株式会社 合わせガラス
JP2022143546A (ja) * 2021-03-17 2022-10-03 株式会社Zozo スマートテキスタイル及び製造方法

Cited By (35)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103760722A (zh) * 2014-01-10 2014-04-30 无锡格菲电子薄膜科技有限公司 一种以石墨烯作为透明导电电极的智能调光膜及其制备方法
CN103760722B (zh) * 2014-01-10 2016-07-06 无锡格菲电子薄膜科技有限公司 一种以石墨烯作为透明导电电极的智能调光膜及其制备方法
JP2015204906A (ja) * 2014-04-17 2015-11-19 大日本印刷株式会社 慰霊装置及び慰霊設備
JP2015215420A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 大日本印刷株式会社 調光フィルムおよび調光装置
JP2015215418A (ja) * 2014-05-08 2015-12-03 大日本印刷株式会社 調光フィルムおよび調光装置
CN103955090A (zh) * 2014-05-12 2014-07-30 深圳市奥普利斯光电有限公司 一种可折叠的调光膜
WO2016021670A1 (ja) * 2014-08-08 2016-02-11 ナガセケムテックス株式会社 透明導電体、液晶表示装置及び透明導電体の製造方法
CN104698668A (zh) * 2015-03-30 2015-06-10 北京三五九投资有限公司 一种掺纳米导电粒子的pdlc薄膜及其制备方法
CN104698668B (zh) * 2015-03-30 2019-04-02 北京三五九投资有限公司 一种掺纳米导电粒子的pdlc薄膜及其制备方法
CN104880838A (zh) * 2015-05-22 2015-09-02 重庆捷尔士显示技术有限公司 一种电动调光车窗及制作方法
JP2018534122A (ja) * 2015-08-27 2018-11-22 サレイ ナノシステムズ リミテッド 低反射率コーティングならびに基板に塗布するための方法およびシステム
WO2017033027A1 (en) * 2015-08-27 2017-03-02 Surrey Nanosystems Limited Low reflectivity coating and method and system for coating a substrate
CN108027460A (zh) * 2015-08-27 2018-05-11 萨里纳米系统有限公司 低反射率涂层以及用于涂覆基底的方法和系统
US10604443B2 (en) 2015-08-27 2020-03-31 Surrey Nanosystems Limited Low reflectivity coating and method and system for coating a substrate
US11066328B2 (en) 2015-08-27 2021-07-20 Surrey Nanosystems Limited Low reflectivity coating and method and system for coating a substrate
CN108027460B (zh) * 2015-08-27 2020-11-03 萨里纳米系统有限公司 低反射率涂层以及用于涂覆基底的方法和系统
JP2021121430A (ja) * 2015-08-27 2021-08-26 サレイ ナノシステムズ リミテッド 低反射率コーティングならびに基板に塗布するための方法およびシステム
JP7158765B2 (ja) 2015-08-27 2022-10-24 サレイ ナノシステムズ リミテッド 低反射率コーティングならびに基板に塗布するための方法およびシステム
JPWO2017082387A1 (ja) * 2015-11-12 2018-08-02 富士フイルム株式会社 液晶配向膜の製造方法、および三次元液晶セルの製造方法、ならびに三次元液晶セル
CN107589580A (zh) * 2016-07-07 2018-01-16 北京大学 一种基于石墨烯玻璃制备智能调光玻璃的方法
JP2018031870A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 凸版印刷株式会社 調光フィルム、調光装置およびスクリーン
JP2018116273A (ja) * 2017-01-13 2018-07-26 日東電工株式会社 光学積層体
WO2018131642A1 (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 日東電工株式会社 光学積層体
KR20190076037A (ko) 2017-01-24 2019-07-01 제이에스알 가부시끼가이샤 액정 소자 및 그의 제조 방법, 표시 장치, 그리고 액정 배향제
JP7019315B2 (ja) 2017-06-23 2022-02-15 日東電工株式会社 調光フィルムの製造方法
JP2019005698A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 日東電工株式会社 調光フィルムの製造方法
WO2019142719A1 (ja) 2018-01-17 2019-07-25 積水化学工業株式会社 調光積層体及び調光積層体用樹脂スペーサ
US11644717B2 (en) 2018-01-17 2023-05-09 Sekisui Chemical Co., Ltd. Dimming laminate and resin spacer for dimming laminate
CN108873549B (zh) * 2018-06-04 2021-12-24 华南师范大学 一种悬浮颗粒式智能窗户的制备方法及智能窗户
CN108873549A (zh) * 2018-06-04 2018-11-23 华南师范大学 一种悬浮颗粒式智能窗户的制备方法及智能窗户
CN109143632A (zh) * 2018-10-12 2019-01-04 扬州晶彩智能玻璃科技有限公司 一种汽车调光玻璃及其制备方法
JP2021015219A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 凸版印刷株式会社 調光デバイス
WO2022153998A1 (ja) * 2021-01-13 2022-07-21 Agc株式会社 合わせガラス
JP2022143546A (ja) * 2021-03-17 2022-10-03 株式会社Zozo スマートテキスタイル及び製造方法
JP7185240B2 (ja) 2021-03-17 2022-12-07 株式会社Zozo スマートテキスタイル及び製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013148744A (ja) 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法
JP5245112B2 (ja) 透明導電膜、透明導電性フィルム及びフレキシブル透明面電極
TWI322822B (ja)
EP2816078A1 (en) Transparent conductive film and electric device
CN101939698B (zh) 制备电子器件的方法
JP2013148687A (ja) 調光フィルム、及び調光フィルムの製造方法
CN105810303A (zh) 一种基于石墨烯/无机物复合透明导电薄膜的调光膜
CN104992752A (zh) 一种纳米银线透明导电薄膜的生产方法
EP2726936A2 (en) Multiple controlled electrochromic devices for visible and ir modulation
TW200924203A (en) Composite transparent conductors and methods of forming the same
CN102087886A (zh) 基于银纳米线的透明导电薄膜及其制备方法
JP2009094033A (ja) 透明導電材料その製造方法及びそれを用いた透明導電素子
TWI523941B (zh) 液晶元件及液晶組成物
CN108369362A (zh) 电致变色设备
CN104178180A (zh) 一种具有大双折射率的向列相液晶材料及其应用
Nguyen et al. Exploring conducting polymers as a promising alternative for electrochromic devices
JP2010270205A (ja) カーボンナノチューブ含有組成物および塗膜
JP6866104B2 (ja) 導電体およびその製造方法、ならびにこれを含む素子
Chiou et al. Flexible light valves using polymer-dispersed liquid crystals and TiO 2/Ag/TiO 2 multilayers
Li et al. Facile fabrication of large-scale silver nanowire transparent conductive films by screen printing
CN109116640A (zh) 一种石墨烯调光膜及其制备方法
JP2013152928A (ja) 透明導電膜
TWI568781B (zh) 磺化高分子/石墨烯奈米複合材料及其製備方法和應用
AU2013306745A1 (en) Dye-sensitive solar cell paste, porous light-reflective insulation layer, and dye-sensitive solar cell
JP2009145458A (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法