JP2015215418A - 調光フィルムおよび調光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価な材料を用いながらも、製造が容易で、かつ電気的特性にも優れた透明導電フィルムを備える調光フィルムを提供する。
【解決手段】調光フィルム1は、印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層と、
調光層に積層され、調光層に電圧を印加する透明導電フィルムと、を備え、調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有し、透明導電フィルムは、カーボンナノチューブを含有する。
【選択図】図1
【解決手段】調光フィルム1は、印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層と、
調光層に積層され、調光層に電圧を印加する透明導電フィルムと、を備え、調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有し、透明導電フィルムは、カーボンナノチューブを含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヘイズ状態を切替可能な調光フィルムおよび調光装置に関する。
配向処理を必ずしも必要とせず、偏光板も不要で明るい表示が可能な高分子分散型液晶およびポリマーネットワーク型液晶を用いた調光装置が注目されている。高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)とは、液晶材料を高分子材料組成物からなるマトリックス中に分散保持させた液晶高分子複合体を一対の電極基板間に挟み込んだものであり、液晶材料の常光屈折率と高分子材料組成物の屈折率とをほぼ一致させたものである。また、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)とは、液晶材料を三次元網目状の高分子繊維(以下、ポリマーネットワークと呼ぶ)に沿って配置したものである。
高分子分散型液晶やポリマーネットワーク型液晶に電圧を印加しない場合は、液晶分子が高分子マトリックスやポリマーネットワークの界面に対してランダムに配向する。この場合、液晶材料の屈折率と高分子マトリックスやポリマーネットワークの屈折率は異なる状態となり、入射光は界面で散乱する。一方、高分子分散型液晶やポリマーネットワーク型液晶に電圧を印加した場合、液晶材料が正の誘電異方性を有するネマティック液晶であれば、液晶分子が電極面に対して略垂直に整列し、液晶材料と高分子分散型液晶やポリマーネットワークの屈折率がほぼ一致し、入射光は散乱されずに高分子分散型液晶やポリマーネットワーク型液晶を透過する。
このような高分子分散型液晶やポリマーネットワーク型液晶の光の散乱および透過の性質を利用して、調光装置では、電圧の切替により、光の透過と散乱を切り替えるようにしている。
例えば、特許文献1には、ポリマー分散型液晶フィルム等からなる機能性液晶フィルムを用いた機器用隠蔽部材が開示されている。特許文献1に開示された部材では、筐体と、筐体に支持されたディスプレイ部および隠蔽部材と、を有している。このうち隠蔽部材が、機能性液晶フィルムを含んでいる。特許文献1に開示された部材では、機能性液晶フィルムを不透過状態とすることで、ディスプレイ部の隠蔽を行い、これにより、ディスプレイ部が周囲との調和を大きく崩してしまうことを効果的に防止している。
特許文献1では、機能性液晶フィルムに電圧を印加する透明電極層の材料を具体的に明示していないが、一般に使用されるITO(酸化インジウムスズ)は、真空成膜を行う必要があり、製造に手間がかかる上に、部材コストも高いという問題があり、ITOの大面積化は容易ではない。また、ITO独特の干渉縞があり、膜厚によって赤や緑の干渉縞が視認されるという問題もある。
本発明は、以上の課題を考慮に入れてなされたものであり、安価な材料を用いながらも、製造が容易で、かつ電気的特性にも優れた透明導電フィルムを有する調光フィルムおよび調光装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、
印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層と、
前記調光層に積層され、前記調光層に電圧を印加する透明導電フィルムと、を備え、
前記調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有し、
前記透明導電フィルムは、カーボンナノチューブを含有する調光フィルムが提供される。
印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層と、
前記調光層に積層され、前記調光層に電圧を印加する透明導電フィルムと、を備え、
前記調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有し、
前記透明導電フィルムは、カーボンナノチューブを含有する調光フィルムが提供される。
前記透明導電フィルムは、2層カーボンナノチューブを含有していてもよい。
前記透明導電フィルムと前記調光層との間に配置される配向膜を備えていてもよい。
前記透明導電フィルムは、
前記調光層の第1主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第1透明導電フィルムと、
前記調光層の前記第1主面と反対側の第2主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第2透明導電フィルムと、を有し、
前記配向膜は、
前記第1透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第1配向膜と、
前記第2透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第2配向膜と、を有していてもよい。
前記調光層の第1主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第1透明導電フィルムと、
前記調光層の前記第1主面と反対側の第2主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第2透明導電フィルムと、を有し、
前記配向膜は、
前記第1透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第1配向膜と、
前記第2透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第2配向膜と、を有していてもよい。
前記透明導電フィルムのシート抵抗は、300Ω/□以下であってもよい。
本発明の他の一態様によれば、上述した調光フィルムにおける前記透明導電フィルムに電圧を供給する交流電源と、
前記透明導電フィルムに前記交流電源からの電圧を供給するか否かを切り替える切替器と、を備える調光装置が提供される。
前記透明導電フィルムに前記交流電源からの電圧を供給するか否かを切り替える切替器と、を備える調光装置が提供される。
本発明によれば、安価な材料を用いながらも、製造が容易で、かつ電気的特性にも優れた透明導電フィルムを有する調光装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図7は、本発明による調光フィルム1および調光装置20の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は調光フィルム1の要部を示す縦断面図、図2は調光フィルム1内の透明導電フィルムの縦断面図、図3及び図4はノーマルタイプの調光フィルム1を備えた調光装置20の動作を説明する図、図5及び図6はリバースタイプの調光フィルム1を備えた調光装置20の動作を説明する図である。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルムや板と呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「配光シート」は、「配光フィルム」や「配光板」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本実施形態による調光フィルム1は、例えば不図示の表示装置の前に置かれて、表示装置の電源がオフの間は、表示装置の全体を見えなくし、電源がオンになると、表示装置の画面が見えるようにする目的に利用したり、屋内の間仕切りとして利用し、必要に応じて間仕切りを不透明にするか透明にするかを切り替える目的に利用したりすることが可能である。本明細書では、調光フィルム1によって遮蔽されたり視認されたりする物が置かれる側を調光フィルム1の内側と呼び、調光フィルム1を視認する視点が置かれる側を外側と呼ぶ。
図1に示すように、本実施形態による調光フィルム1は、調光層2と透明導電フィルム3とを備えている。
調光層2は、印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能なものである。ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。調光層2は、ポリマーネットワーク型液晶の場合には、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置される液晶材料を有する。また、調光層2は、高分子分散型液晶の場合には、高分子マトリックス中に分散保持される液晶材料を有する。
透明導電フィルム3は、調光層2に積層されており、調光層2に電圧を印加するものである。より具体的には、透明導電フィルム3は、調光層2の対向する2面のそれぞれに積層されている。本実施形態では、調光層2の第1主面側に第1透明導電フィルム3aを積層し、調光層2の第1主面と反対側の第2主面側に第2透明導電フィルム3bを積層する例を説明する。
本実施形態では、第1透明導電フィルム3aと第2透明導電フィルム3bの組成材料を同じにすることを想定しているため、以下では、第1透明導電フィルム3aと第2透明導電フィルム3bを総称して、単に透明導電フィルム3と呼ぶこともある。
透明導電フィルム3は、カーボンナノチューブ4を含有している。より具体的には、透明導電フィルム3は、図2に示すように、透明基材5と、この透明基材5上に積層されたカーボンナノチューブ4を含有する層(以下、カーボンナノチューブ層6と呼ぶ)とを有する。
透明基材5には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。透明基材5の厚みは、約50〜200μm程度が望ましい。また、透明基材5の全光線透過率は80%以上が望ましい。
カーボンナノチューブ層6は、カーボンナノチューブ4を水等の溶剤に分散させた分散液をインクジェット法やグラビア印刷法などで透明基材5上に塗布した後に乾燥させたものである。特に、インクジェット法を用いると、カーボンナノチューブ4の均一な薄膜を透明基材5上に形成でき、柔軟性に優れることから、ロールトゥロールでの生産に適している。
カーボンナノチューブ層6は、透過率と導電性がともに高い程望ましい。この観点から、2層カーボンナノチューブが好適である。なお、カーボンナノチューブ層6が2層カーボンナノチューブか否かは、カーボンナノチューブ層6を透過型電子顕微鏡で観察して、その観察画面内で任意に抽出したカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが例えば50本以上であれば、カーボンナノチューブ層6は2層カーボンナノチューブであると判断する。
また、カーボンナノチューブは、一つの屈曲部から次の屈曲部までの間の距離(屈曲間距離)が長いほど、導電性、熱伝導性および強度が高くなるという特徴がある。よって、屈曲間距離は100nm以上であるのが望ましい。
さらに、外径および内径が小さい、すなわち細い2層カーボンナノチューブの本数が多いほど、単位質量当たりのカーボンナノチューブの本数が多くなり、上述した導電性、熱伝導性および強度をより高くすることができる。よって、2層カーボンナノチューブ100本中の80本以上の内径は0.4nm以上で2.5nm以下であるのが望ましく、外径は1.0nm以上で3.0nm以下であるのが望ましい。
本実施形態の透明導電フィルム3がカーボンナノチューブ層6を含有する理由は、以下の通りである。透明導電フィルムとして一般に用いられるITO膜は真空成膜を行う必要があるが、カーボンナノチューブ層6を有する透明導電フィルム3では、真空成膜を行う必要がなく、製造が容易で、大面積化も容易に行うことができ、透明導電フィルム3の部材コストを削減できる。また、透明導電フィルム3としてITO膜を用いるとITO特有の干渉縞が生じるおそれがあるが、カーボンナノチューブ層6を有する透明導電フィルム3では、干渉縞が生じるおそれがなく、膜品質の向上が図れる。さらに、ITO膜は柔軟性に欠けるため、ロールトゥロールの生産を行った場合にクラックが生じるおそれがあるが、カーボンナノチューブ層6を有する透明導電フィルム3は柔軟性が高いため、クラックが生じることはない。このような理由で、本実施形態では、ITOを用いずにカーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3を用いている。
本実施形態による調光フィルム1において、調光層2のヘイズ値が高い状態に設定された場合、調光層2は不透明になるため、調光層2の内側を隠蔽できる。すなわち、内側の様子は外側から見えにくくなる。隠蔽度を向上させる観点からは、高ヘイズ状態における調光層2のヘイズ値は、80%以上となっていることが好ましい。逆に、調光層2のヘイズ値が低い状態に設定された場合、調光層2は透過性が高くなり、調光層2の内側の様子を外側から視認しやすくなる。透過性を向上させる観点からは、低ヘイズ状態における調光層2のヘイズ値は、10%以下となっていることが好ましい。
本実施形態では、カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3を用いているが、透明導電フィルム3の材料は、それほど調光層2のヘイズ値には影響しない。調光層2のヘイズ値は、調光層2内の散乱特性によって変わるため、調光層2の膜厚には依存するが、調光層2の両側に積層される透明導電フィルム3の材料にはあまり依存しない。
本実施形態では、透明導電フィルム3に印加する電圧を切り替えることで、調光層2のヘイズ値の変更を可能としている。このように、電圧印加の有無に応じて高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能な調光層2として、本実施形態では、高分子分散型液晶(PDLC)またはポリマーネットワーク型液晶(PNLC)を使用することを念頭に置いている。高分子分散型液晶とポリマーネットワーク型液晶のいずれにも、大きく分けてノーマルタイプとリバースタイプがあり、図3および図4はノーマルタイプに対応し、図5および図6はリバースタイプに対応している。図3〜図6は、高分子分散型液晶を用いる例を示しているが、ポリマーネットワーク型液晶を用いることも可能であり、この場合、高分子マトリックス13がポリマーネットワークに置換されることを除けば、図3〜図6と同様の図面で表される。
図3及び図4に示されたノーマルタイプの調光フィルム1を備えた調光装置20は、第1透明導電フィルム3aと第2透明導電フィルム3bの間に調光層2を配置したものである。第1透明導電フィルム3aと第2透明導電フィルム3bはいずれも、上述したように、透明基材5の上にカーボンナノチューブ層6を積層したものである。
第1透明導電フィルム3aのカーボンナノチューブ層6には交流電源11の一方の電極が接続され、第2透明導電フィルム3bのカーボンナノチューブ層6にはスイッチ12の一端が接続され、スイッチ12の他端と交流電源11の他方の電極が接続されている。
第1および第2透明導電フィルム3a,3bは可視光透過性を有しており、調光層2が低ヘイズ状態のときには、調光フィルム1の内側を視認できるようになる。
一方、図5及び図6に示されたリバースタイプの調光フィルム1を備えた調光装置20は、調光層2と第1透明導電フィルム3aの間に配向膜7aを積層するとともに、調光層2と第2透明導電フィルム3bの間にも配向膜7bを積層している。したがって、リバースタイプの調光フィルム1では、高分子マトリックス13及び液晶分子14は、一対の配向膜7a,7bの間に配置されている。配向膜7a,7bは、いわゆる垂直配向膜7a,7bであり、調光層2に電圧を印加していないときに、液晶分子の長手方向が配向膜7a,7bの法線方向に沿うように、当該液晶分子を配向する。このため、リバースタイプの調光フィルム1は、調光層2に電圧を印加していないときに低ヘイズ状態となり、透過性が高くなる。
高分子分散型液晶における高分子マトリックス13では、各高分子の内部に液晶材料15が設けられている。各高分子は、樹脂材料の硬化物から形成されている。一方、液晶材料15は、長手方向を有する液晶分子14を含んだ液状の材料である。液晶分子14は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子14の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子14の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。
一例として、図3〜図6に示された調光層2では、液晶分子14が配向されている状態(図4及び図5)において、液晶分子14の屈折率と高分子マトリックス13の屈折率とが揃う。この状態において、調光層2へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、調光層2を透過することができる。すなわち、液晶分子14が配向されている状態において、調光層2は低ヘイズ状態となる。この状態において、調光層2は透明な状態となり、調光層2越しにその内側を観察することができる。
一方、図3〜図6に示された調光層2において、液晶分子14が配向されていない状態(図3及び図6)では、液晶分子14の長手方向の向きが、当該液晶分子14の近傍に位置する高分子マトリックス13にも依存して、不規則的となる。この状態において、調光層2へ入射した光は、進行方向を大きく曲げられて拡散する。すなわち、液晶分子14が配向されていない状態において、調光層2は高ヘイズ状態となる。このとき、調光層2は白濁した状態となり、調光層2によってその内側が隠蔽される。
図3及び図4に示されたノーマルタイプの調光層2では、ポジ型の液晶分子14が使用される。図3に示されたスイッチ12が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子14の向きは不規則となっている。したがって、ノーマルタイプの調光層2は、電界が印加されていない状態において、白濁して表示装置を隠蔽することができる。一方、図4に示すように、スイッチ12が閉じた状態(入った状態)において、液晶分子14は配向されるようになる。したがって、ノーマルタイプの調光層2は、電圧を印加された状態で透明となり、観察者は、透明な調光層2を介して例えば表示装置に表示された画像を観察することができる。
図5及び図6に示されたリバースタイプの調光層2では、ネガ型の液晶分子14が使用される。図5に示されたスイッチ12が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子14は、一対の配向膜7a,7bの配向作用により垂直配向される。したがって、リバースタイプの調光層2は、電圧を印加されていない状態で、透明となり、観察者は、透明な調光層2を介して表示装置に表示された画像を観察することができる。一方、図6に示すように、スイッチ12が閉じた状態(入った状態)において、ネガ型の液晶分子14の向きは不規則となる。したがって、リバースタイプの調光層2は、電界が印加されている状態において、白濁して表示装置を隠蔽することができる。
なお、本実施形態による調光装置20を例えば表示装置の前方に設置して、調光フィルム1のヘイズ状態の切替により、表示装置を視認可能又は不可能に切り替える場合には、調光装置20のスイッチ12の切替を表示装置の電源スイッチ12の切替と連動させてもよい。これにより、表示装置の電源が入って、表示装置が画像を形成している間、調光層2を低ヘイズ状態に維持し、調光層2を介しての画像の観察を可能にすることができる。その一方で、表示装置の電源が切れて、表示装置により画像の形成が停止している間、調光層2が、高ヘイズ状態に維持され、表示装置の存在を目立たなくすることができる。
ところで、液晶分子14が二色性色素を有するようにしてもよい。二色性色素は、液晶分子14と同様に、長手方向を有するとともに、電圧印加の有無に応じてその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有する得ようになる。このため、調光層2は、低ヘイズ状態において無色透明に維持され、その一方で、高ヘイズ状態において、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら隠蔽性を発揮することができる。ここで所定の色味を、調光フィルム1の内側部分の色、例えば表示装置や壁などの色と同様にすることができる。この例によれば、周囲環境の色調を崩すことなく、表示装置や壁などを配置することができる。すなわち、表示装置や壁などの色によらず、周囲の色との統一感を持たせることができる。このような二色性色素として、例えば特開2007−009120や特開2011−246411に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。
図7は本実施形態による調光フィルム1の製造工程の一例を示す図である。カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3を予め製造しておき、例えばロール状に巻き取っておく。図7の例では、2本のロール状の透明導電フィルム3a,3bを予め用意しておく。まず、1本のロール状の透明導電フィルム3aを所定長さだけ引き出して、リバースタイプの場合は塗布器21にて透明導電フィルム3a上に配向膜7aを塗布し、乾燥器22で配向膜7aを乾燥させた後に、配向膜7aの上に塗布器23で液晶分子14を含む液晶インキ24を塗布する。ノーマルタイプの場合は、透明基材5の上に直接液晶インキ24を塗布する。液晶インキ24の中には、未硬化状態の樹脂組成物と液体状態の液晶材料15とが含まれている。
次に、もう1本のロール状の透明導電フィルム3bを所定長さだけ引き出して、液晶インキ24の上に積層して、両面側の透明導電フィルム3bを加圧ローラ25で加圧してラミネート処理を行う。なお、リバースタイプの場合、液晶インキ24の上に配向膜7bを塗布した後に透明導電フィルム3bを積層してラミネート処理を行う。
次に、光源26から透明導電フィルム3a,3bの表面に紫外線光を照射して、液晶インキ24中の樹脂組成物を硬化させて、液晶分子14を分散させる。このとき、樹脂組成物の硬化速度を調整することで、樹脂組成物と液晶分子14がそれぞれある程度凝集し、これにより、ポリマーネットワーク型液晶の場合は、液晶分子14がある程度分散して配置されるとともに、三次元網目状(スポンジ状)のポリマーネットワークが形成されるようになる。また、高分子分散型液晶の場合は、高分子マトリックス13内の各高分子中に液晶分子14が分散配置されるようになる。なお、高分子マトリックス13やポリマーネットワークを形成する樹脂組成物は、一例として、光の照射で硬化する光硬化型樹脂とすることができる。光硬化型樹脂を用いた場合、樹脂組成物に照射する光量を調整することにより、液晶分子14の分散を調整することができる。その後、所望の長さだけ切り出して、透明導電フィルム3の端部に電極27を形成し、調光フィルム1が完成する。
次に、本実施形態による調光フィルム1の作用を説明する。調光フィルム1の内側を外側から視認できないようにするには、調光層2を高ヘイズ状態にする必要がある。高ヘイズ状態では、調光層2が透過光を散乱させるため、調光フィルム1の内側は外側から調光層2越しに観察され難くなる。例えば、調光フィルム1の内側に表示装置を配置する場合、調光層2を高ヘイズ状態とすることで、表示装置は調光フィルム1の外側からほとんど視認できなくなる。したがって、表示装置を例えば室内に配置した場合に、表示装置の存在を認識できなくなり、室内全体の意匠性や色調が表示装置によって崩されてしまうことを防止できる。すなわち、本実施形態による調光フィルム1によれば、調光フィルム1の内側に配置される表示装置の外観に関係なく、室内全体のデザインを統一化することができる。
なお、調光層2がノーマルタイプの場合、電圧を印加していない状態において、調光フィルム1の内側を隠蔽することになる。すなわち、本実施形態によれば、電力を消費せずに、調光装置1の内側を隠蔽することができる。したがって、調光フィルム1の内側を通常は見せたくない場合には、電力を消費せずに調光フィルム1の内側を隠蔽することができることから、通常時における調光装置1はほとんど電力を消費しないことになる。また、逆に、通常時に調光装置1の内側を見せたい場合は、リバースタイプの調光層2を用いることで、同様に通常時における調光装置1はほとんど電力を消費しないことになる。
このように、本実施形態では、調光層2に用いる透明導電フィルム3がカーボンナノチューブ4を含有するため、ITOを用いる場合よりも大面積化が容易になる。また、カーボンナノチューブ4の製造技術は日進月歩で進んでいるため、将来には、ITOよりも安価に透明導電フィルム3を製造できる可能性がある。さらに、カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3は、ITO膜のような干渉縞を形成しないため、ITO膜よりも膜の品質を向上できる。さらに、ITO膜はロール状に巻き取る際にクラックが生じるおそれがあるが、カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3は、ITO膜よりも柔軟性があるため、ロール状に巻き取る際にクラックが生じるおそれはない。
また、カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3は、カーボンナノチューブ4の含有量を調整することでシート抵抗を調整可能であり、ITO膜のシート抵抗以下にまで下げることは十分に可能である。
さらに、カーボンナノチューブ4を含有する透明導電フィルム3は、カーボンナノチューブ4の含有量を調整することで透過率を調整可能であり、ITO膜の透過率と同程度にすることも可能である。
上述した実施形態では、調光層2を高ヘイズ状態と低ヘイズ状態の2つの状態間で切替を行う例を示したが、第1および第2透明導電フィルム3a,3b間に印加する電圧を3種類以上に切替可能とすることで、調光層2を3種類以上のヘイズ状態に切り替えることができるようにしてもよい。
外径が1.5〜2.0nmの2層カーボンナノチューブを含有する東レフィルム加工(株)製の透明導電フィルム3を2枚用意した。これらの透明導電フィルム3の体積抵抗値は、0.00044Ω・cmであった。
調光層2の液晶組成物として、2−エチルヘキシルアクリレート(ナカライテスク(株)製)20wt%のモノマと、ビスコート#3700(大阪有機化学工業(株)製)29wt%のプレポリマーと、Darocur1173(メルク社製)の光重合性材料からなる光硬化開始剤と、ZLI4792(メルク・ジャパン(株)製)50.0wt%の液晶とを混合したものを用いた。
1枚の透明導電フィルム3のカーボンナノチューブ層6の上に、液晶組成物をバーコータを用いて約20μmの厚みになるように塗布し、その上にもう1枚の透明導電フィルム3を積層して液晶セルを作製した。作製した液晶セルに対して高圧水銀ランプによる紫外線照射(60mW/cm2)を約60秒行った。
これにより得られた調光フィルム1の光学特性を測定したところ、電圧無印加時のヘーズ値が約80%、100V印加時のヘーズ値が約10%であった。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 調光フィルム、2 調光層、3 透明導電フィルム、3a 第1透明導電フィルム、3b 第2透明導電フィルム、4 カーボンナノチューブ、5 透明基材、6 カーボンナノチューブ層、7a,7b 配向膜、11 交流電源、12 スイッチ、13 高分子マトリックス、14 液晶分子、15 液晶材料、20 調光装置
Claims (6)
- 印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層と、
前記調光層に積層され、前記調光層に電圧を印加する透明導電フィルムと、を備え、
前記調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有し、
前記透明導電フィルムは、カーボンナノチューブを含有する調光フィルム。 - 前記透明導電フィルムは、2層カーボンナノチューブを含有する請求項1に記載の調光フィルム。
- 前記透明導電フィルムと前記調光層との間に配置される配向膜を備える請求項1または2に記載の調光フィルム。
- 前記透明導電フィルムは、
前記調光層の第1主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第1透明導電フィルムと、
前記調光層の前記第1主面と反対側の第2主面側に積層されカーボンナノチューブを含有する第2透明導電フィルムと、を有し、
前記配向膜は、
前記第1透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第1配向膜と、
前記第2透明導電フィルムと前記調光層とに挟まれるように積層される第2配向膜と、を有する請求項3に記載の調光フィルム。 - 前記透明導電フィルムのシート抵抗は、300Ω/□以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の調光フィルム。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の調光フィルムにおける前記透明導電フィルムに電圧を供給する交流電源と、
前記透明導電フィルムに前記交流電源からの電圧を供給するか否かを切り替える切替器と、を備える調光装置。
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