JP2013148418A - 腐食センサ、腐食センサの製造方法、腐食検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造性に優れ、腐食センサの検知部を有効に保護することができ、さらに腐食検知の精度を向上させる。
【解決手段】本発明の腐食センサは、コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサであって、鉄を圧延することにより作製した鉄箔材で形成された導体パターン部101と、導体パターン部101を保持する基板102と、大気中で安定であると共にコンクリート、モルタル、ペースト中で溶解するアルカリ溶解性金属で形成され、前記導体パターン部を被覆する被覆部103と、を備え、コンクリート構造物中の鋼材腐食因子によって、導体パターン部101の電気的特性が変化することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出する技術に関する。
コンクリート、モルタル、ペーストは、セメントと水を練り混ぜたものを主たる構成材料としているため、アルカリ性を呈する。そのため、コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態皮膜を形成し、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に浸入すると、この不動態皮膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張を生じ、その膨張圧でコンクリートにひび割れを生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の浸入と外部からの水と酸素の供給によって鋼材の腐食は加速的に進行し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。
従って、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食開始を検知し、例えば、表面被覆などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる浸入を阻止して鋼材を腐食から守り、コンクリート構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に対し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する手法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線したときに腐食を検出する手法などが知られている。
これらの腐食診断手法において、腐食センサをコンクリート構造物に設置する際には、コンクリート打設までの大気環境において、腐食センサの検知部(センサ部)が腐食しないことが前提となる。さらに、コンクリート打設時の衝撃により検知部が損傷することがあるため、これを回避する必要もある。特許文献1では、検知部をモルタルで被覆することによって、検知部の物理的および化学的な保護を施している。
特開2010−237089号公報
しかしながら、腐食センサの検知部をモルタルで被覆する手法は、製造性が良いとは言えない。また、検知部にモルタルを塗布するため、検知部が直接的に対象構造物のコンクリートと接触するわけではないことから、感度のばらつきが生じることがある。モルタル材料を検知部に塗布する場合、ひび割れの回避や接着面積の確保などを担保するために、検知部の形状に一定の制約があった。その結果、コスト増加につながってしまう場合もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、製造性に優れ、腐食センサの検知部を有効に保護することができ、さらに腐食検知の精度を向上させることができる腐食センサ、腐食センサの製造方法、腐食検出方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサは、コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサであって、鉄を圧延することにより作製した鉄箔材で形成された導体パターン部と、前記導体パターン部を保持する基板と、大気中で安定であると共にコンクリート、モルタル、ペースト中で溶解するアルカリ溶解性金属で形成され、前記導体パターン部を被覆する被覆部と、を備え、コンクリート構造物中の鋼材腐食因子によって、前記導体パターン部の電気的特性が変化することを特徴とする。
このように、検知部として鉄箔材で形成された導体パターン部を、アルカリ溶解性金属で被覆するため、保管中に導体パターン部が腐食し始めることを回避することができると共に、コンクリート打設時の衝撃を受けても有効に導体パターン部を保護することが可能となる。また、アルカリ溶解性金属がコンクリート中で溶解し、導体パターン部が露出するため、対象コンクリートに直接接触することとなり、精度の高い腐食検知を行なうことが可能となる。また、製造性を向上させることができると共に、検知部の設計自由度を向上させることが可能となる。また、ごく薄い被膜で導体パターン部を保護するため、フィルムの屈曲性を保持したままセンサを形成することが可能となる。このため、従来は困難であった円柱などの湾曲した部材にも適用することが可能となる。
(2)また、本発明の腐食センサの製造方法は、コンクリート構造物中に埋設され、鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサの製造方法であって、鉄を圧延することにより作製した鉄箔材と基板とを一体化させて鉄箔シートを作製する工程と、前記鉄箔シートの鉄箔上に、回路パターンのレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜が形成された鉄箔シートをエッチングする工程と、前記エッチング後の鉄箔シートのレジスト膜を除去する工程と、前記鉄箔シートの回路パターンに大気中で安定であると共にコンクリート、モルタル、ペースト中で溶解するアルカリ溶解性金属の被膜を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とすることを特徴とする。
このように、鉄箔材と基板とを一体化させて鉄箔シートを作製し、鉄箔シートの鉄箔上に、回路パターンのレジスト膜を形成して、エッチングするので、二次元的に複雑な形状のパターンを形成することができる。これにより、センサ全体をできるだけ小さいものにすると共に、導体パターン部の面積を大きくすることができる。その結果、腐食因子を接触する確率を高め、センサの感度を向上させることが可能となる。また、エッチングにより、導体パターン部と共に回路部分も同時に作ることができるので、製造工程を簡略化し、さらに大量生産することが可能となる。
(3)また、本発明の腐食検出方法は、上記(1)記載の腐食センサをコンクリート構造物中、鋼構造部材を被覆したコンクリート、モルタルまたはペーストに埋設して、前記導体パターン部の電気的特性を測定し、前記測定した導体パターン部の電気的特性に基づいて、コンクリート構造物中の鋼材、コンクリート、モルタルまたはペーストで被覆された鋼材の腐食進行状況を検出することを特徴とする。
このように、導体パターン部を鉄箔材で形成するため、厚さを非常に薄くすることができ、断線するまでの時間を短くすることができる。その結果、センサとしての感度を高めることが可能となる。さらに、アルカリ溶解性金属がコンクリート中で溶解し、導体パターン部が露出するため、対象コンクリートに直接接触することとなり、精度の高い腐食検知を行なうことが可能となる。
本発明によれば、検知部として鉄箔材で形成された導体パターン部を、アルカリ溶解性金属で被覆するため、保管中に導体パターン部が腐食し始めることを回避することができると共に、コンクリート打設時の衝撃を受けても有効に導体パターン部を保護することが可能となる。また、アルカリ溶解性金属がコンクリート中で溶解し、導体パターン部が露出するため、対象コンクリートに直接接触することとなり、精度の高い腐食検知を行なうことが可能となる。また、製造性を向上させることができると共に、検知部の設計自由度を向上させることが可能となる。また、ごく薄い被膜で導体パターン部を保護するため、フィルムの屈曲性を保持したままセンサを形成することが可能となる。このため、従来は困難であった円柱などの湾曲した部材にも適用することが可能となる。
本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。 アルカリ溶解性金属で被覆する前の腐食センサの様子を示す図である。 腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態に係る腐食センサを適用した腐食センサ装置の概略構成を示す図である。 腐食センサの鉄筋コンクリートへの適用例である。 腐食センサの鋼製円柱への適用例である。 腐食センサのプレストレストコンクリートの鋼材用シース管内への適用例である。 腐食センサのH鋼への適用例である。
次に、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。この腐食センサ100は、コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサであって、鉄を圧延することにより作製した鉄箔材で形成された導体パターン部101と、導体パターン部101を保持する基板102とを備えている。また、図1に示す腐食センサ100は、アルカリ溶解性金属としてのアルミニウムによって、スパッタリングにより成膜しており、腐食センサ100の導体パターン部の検知部にアルミニウムによる被膜部103が形成されている。図2は、スパッタリングを施す前の腐食センサの様子を示している。導体パターン部101が基板102の上に設けられている。導体パターン部の検知部以外にはマスキング処理が施されている(図2中、領域A)。
コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出するセンサとしてのより好適な鉄箔材の厚さは3μm以上、0.1mm未満である。鉄箔の厚さが0.1mm以上ある場合にはエッチングに時間を要し、この間に鉄が酸化されることで膨張を生じてレジスト膜を損傷させ、一様な線幅が確保できない場合がある。また、鉄箔材の厚さは3μm以上であることが好ましい。3μmより薄いとコンクリート打設時に物理的な強度が不足して断線することがある。物理的強度と腐食検知の感度を考慮すると、5μm以上25μm以下とすることがより好ましい。
また、鉄箔の線幅に関しては、0.1mm未満の線幅の場合にはエッチング中に断線を生じる場合がある。一方、下地材との付着力が弱く、製造あるいはコンクリートの打設で損傷を受けやすくなる。エッチングやコンクリート打設、設置、フィルムによる保護の観点から、鉄箔の線幅は、0.1mm以上が望ましく、さらに線幅が太い場合には腐食切断による感度が低下するため、線幅が2.0mm以下であることが好ましい。
基板102上での二次元的な凹凸形状または渦巻き形状の回路の形成は、線の長さを省スペースで実現可能とする。線の長さは、用いる鉄箔の厚さ、線幅、設置可能スペースに依存するが、線長さとしては50mm以上が望ましい。線長さが3000mmを超えると、パターン部の面積が大きくなり、構造物中に埋設する上で好ましくない。50mm未満であると、検知感度が低下するので好ましくない。本実施形態では、例えば、鉄箔の厚さ20μmを用い、導体パターン部101の線幅1.0mm、線の長さは総計で250mmである。
そして、本実施形態では、導体パターン部101と基板102からなる腐食センサ100に、アルカリ溶解性金属による被膜を形成する。アルカリ溶解性金属は、アルミニウムや亜鉛に代表される金属で、大気中で安定であると共に、ペースト、モルタル、コンクリート中におけるアルカリ環境下で速やかに溶解する金属であれば、特に限定されるものではない。本実施形態では、アルミニウムを例にとって説明する。
アルカリ溶解性金属の被膜部103について、本実施形態では、アルミニウムであれば被膜厚さとして50nm〜2μmの範囲とし、好ましくは100nm〜1μmとする。被覆厚さが2μmを超えると、コンクリートが固化するまでにアルミニウムが溶解せずに水酸化アルミニウムの残骸がセンサ表面に残存し、検知感度が低下するので好ましくない。50nm未満であると、現在の皮膜形成法では均質な皮膜とすることが困難であり、小さな孔が生じることある。アルミニウムは、溶液中でのめっき被膜形成が不可能であるため、乾式によるめっき被膜形成となる。具体的には、真空蒸着、またはスパッタリングを用いて被膜形成する。なお、亜鉛を用いる場合は、上記の真空蒸着、スパッタリングに加え、電解めっきによる被膜形成が可能である。ただし、当該の被膜厚さを確保できれば、被膜方法に限定されるものではない。例えば、真空めっき法(PVD)や化学蒸着法(CVD)を使用してもよく、また、アルカリ溶解性金属を粉末塗料化してスクリーン印刷を用いて被膜形成してもよい。
本実施形態に係る腐食センサ100は、例えば、コンクリート構造物の鉄筋近傍に設置されると、コンクリートが打設されるまでは、大気中の環境から検知部である鉄箔材が保護される。また、コンクリートが打設された後には、コンクリートのアルカリ環境(pH12〜13)において、被覆表面のアルミニウムが速やかに溶解し、検知部(導体パターン部101)がコンクリートと直接的に密着し、感度よく計測することが可能となる。
図3は、以上のように構成された腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。まず、鉄箔材と下地材とを一体化させて、鉄箔シートを作製する(ステップS1)。ここでは、下地材となる樹脂フィルム(例えば、PET、ポリイミド材等の樹脂フィルム)に、接着剤を塗布し、ローラ等を用いて、鉄箔材と下地材とを張り合わせる。これにより、鉄箔シートが作製される。
次に、作製した鉄箔シートの鉄箔上に、導体パターンのレジスト膜を形成する(ステップS2)。すなわち、鉄箔シートの鉄箔上に、センサ(導体パターン部)および回路の形状のレジスト膜を、スクリーン印刷やフォト印刷等によって形成する。これに併せて、完成後にセンサを抜き型によって個々に切断・分離するためのガイド等も印刷する。
次に、エッチングを行なう(ステップS3)。ここでは、レジスト印刷した鉄箔シートを、エッチング槽にてエッチングする。これにより、レジスト膜が施されていない露出した鉄箔は、エッチング液(例えば、塩化第2鉄溶液)によって溶解する。エッチング終了後、鉄箔シートをエッチング槽から取り出して、付着液を洗浄する。
次に、レジスト被膜を溶剤等によって除去し、導体パターン部および回路の外形が完成する(ステップS4)。次に、エッチングが終了したシートの検知部を除いたハンダ接続部等にマスキングを行ない、被膜形成装置(例えば真空蒸着、スパッタリング)に入れ、所定の被膜厚さになるよう時間調節を行ない、シート全面にアルカリ溶解性金属(例えばアルミニウムや亜鉛)の被膜を形成する(ステップS5)。
次に、マスキング部分を剥離し、電気的に接続するための回路と一体成形したセンサ(導体パターン部)において、抜き型を用いて、保護処理を施したセンサを個々に切断・分離する(ステップS6)。次に、検出用のリード線とセンサを接続する。ハンダを用いてもよいし、ピン端子、あるいは嵌合端子を用いて接続しても良い。その後、コネクタ・リード線により、所定の検出装置と接続する。すなわち、センサの端子部分に計測用の導線(ケーブル)を接続する。この導線を計測器に接続し、センサ部の電気的特性を計測することで、腐食環境の有無を判断することが可能となる。計測器は、汎用のデジタルマルチメータやテスターでも良いし、RFIDや特定省電力無線などの無線通信技術を用いた計測器に接続して計測を行なっても良い。
このようなアルミニウムによる被膜をセンサに施すことによって、製造効率を上げることが可能となる。すなわち、従来の鉄箔センサでは、薄いモルタル、ペーストなどで個別に被覆して一週間程度の養生を経て製造する必要があったが、本実施形態に係るアルミニウム被膜によるセンサでは、センサの分割前にロール状のままで一度に多くのセンサに被膜処理を施すことが可能となる。スパッタリング装置や蒸着装置では、装置内に巻き取り装置を入れてロール状のままで、複数個のセンサをスパッタリングすることが可能である。これにより、一連の工程の中でセンサを製造することが可能となる。また、化学めっき等の湿式めっきでも、複数個の当該センサを一度にめっきすることが可能となる。すなわち、本実施形態では、一度の皮膜形成を複数のセンサに可能であり、養生を必要としないため製造工期も大幅に短縮され大量生産が可能である。
また、従来の鉄箔センサでは、薄いモルタル、ペーストでの被覆は個別にセンサを被覆しているため、施工過程における品質のばらつきに繋がっていたが、本実施形態に係るアルミニウム被膜によるセンサでは、均一な薄膜の形成が可能となり、品質の安定性が向上する。
また、薄いモルタル、ペーストは、乾燥にともなって、収縮に代表される微小な体積変化が生じる。このため、被覆したモルタル、ペーストにおいてひびわれの発生を抑制するために、従来の鉄箔センサでは、センサの形状に一定の制約があった。例えば、細長い形状や被覆面を大きくしたり、階段状にする場合には、モルタル、ペーストに乾燥によるひび割れが生じやすくなるため、乾燥抑制剤の添加や収縮低減剤を添加するなどの処置を行ない、センサの形状にも配慮する必要があった。これに対し、本実施形態に係るアルミニウム被膜によるセンサでは、乾燥にともなう体積変化を生じないため、形状の設計自由度が増して、より多様なセンサ形状を実現することが可能となる。
図4は、本実施形態に係る腐食センサを適用した腐食センサ装置の概略構成を示す図である。この腐食センサ装置100は、導体パターン部101が腐食検出装置1に電気的に接続されている。導体パターン部101は、鉄箔材により形成されているため、厚さが0.1mm未満である。
上記センサにリード線を接続し、コンクリート構造物に埋設し、センサに接続されたリード線のもう一方をコンクリート構造物の外部に引き出して、インタフェース回路12および検出回路13から構成される腐食検出部2と接続して、腐食センサ装置1を構成することができる。この腐食検出部2により、リード線に接続されたセンサ部の電気的特性を把握することによって断線を検知することが可能となる。
図5は、コンクリート構造物の断面を示す図である。図5に示すように、埋設位置は任意であるが、所望のコンクリート表面との距離を有する位置に取り付けるために一定の厚さを有した取付け治具(例えばスペーサなど)を鉄筋に固定したり、もしくは鉄筋表面に貼り付ける、あるいはバンドによって固定することにより設置する。
図4に示すインタフェース回路12は、導体パターン部101と検出回路13を接続する回路であり、電圧(電位差)、電気抵抗、インピーダンス、静電容量など導出パターン101の電気的特性を、電圧値などを出力値として無線モジュールに受け渡すものである。例えば、一定の電圧を印加して導体パターン部101の電気的特性である抵抗値を取得して抵抗値に応じた値を電圧値として出力することで、腐食断線によって生じる抵抗値の低下を印加電圧に対する比率で断線を検知することを可能とする。インタフェース回路12と検出回路13を無線モジュールに接続し、無線で計測してもよい。無線モジュールは、特定小型小電力無線、RFID、無線LANなど、無線による送受信で外部に検知情報を伝達するものである。
また、導体パターン部101は、例えば、腐食因子が進行する方向とほぼ直交する面上を設けると、腐食因子を捉える確率を上げることができる。さらに、複数の導体パターン部101を深さ方向に平行に設ける。これにより、コンクリート内部に浸透する腐食因子を経時的に捉えることが可能であり、これにより、鋼材に腐食因子が到達するまでの期間を拡散の理論に基づいて精度よく予測することができ、コンクリート構造物の維持管理では有用な情報となる。例えば、腐食因子が拡散によってコンクリート表面から内部へ浸透するとすれば、コンクリート表面から導体パターン部101までの距離をA、コンクリート表面から鋼材までの距離をB、コンクリート構造物建設から腐食センサ装置1が腐食因子を検知した時間をTAとすると、コンクリート構造物建設から鋼材の腐食が生じるまでの時間TBは、TB=TA・(B/A)として予測することができ、腐食センサ装置1で検知した情報に基づいて、コンクリート構造物を劣化から守る対策を劣化が生じる前に施すことが可能となる。
本実施形態に係る腐食センサは、従来のモルタル被覆センサに比べて、小型かつ薄く、安価であるため、表面から同一距離に複数個かつ/あるいはより短い間隔でと、より多くのセンサを設置することが可能となり、さらに腐食検知感度の向上、正確な腐食到達時間の予測を行なうことができる。
図6は、鋼製円柱にセンサを取り付けた事例である。塩害環境などの鋼材の腐食が生じやすい場所では、鋼製の円柱に保護モルタルを塗布して保護する場合がある。これまでの腐食センサでは、外装材および被覆材がモルタル、ペーストであり、鋼製円柱にセンサを屈曲させて貼り付けることは困難であった。本願センサでは、センサ自体が薄肉で、かつ屈曲性を有したまま使用できるため、特段の治具を使わずとも、曲面に貼付して使用することが可能となる。保護モルタルのアルカリ性により、センサのアルミ被膜が溶解し、鋼製円柱の腐食に対する健全性を判定することが可能となる。
図7は、プレストレストコンクリートに使用されるPC鋼材用のシース管に、本願の腐食センサを適用した事例である。一般に、シース管にはPC鋼材が挿入され、その後アルカリ性のセメントグラウト材が充填されて鋼材が保護される。これまでの腐食センサでは、被覆材がモルタル、ペーストであり、シース管のような円管の内側に設置することは困難であった。本願センサは、センサ自体が薄肉で、かつ屈曲性を有したまま使用できるため、センサを逆側に反らせて、円管の内側のような曲面に対しても、貼付して使用できる。本願のセンサにより、シース管内の鋼材の腐食環境を判定することが可能となる。
図8は、H鋼の側壁にセンサを取り付けた事例である。塩害環境の厳しい場所では、H鋼の側面に、数mmから数cm程度の薄い吹き付けモルタルないしはペーストを塗布して、鋼材を保護する場合がある。これまでのセンサでは、被覆モルタルとそれを保持するための外装材が必要となるため、吹き付けモルタルのような薄い部材に適用することは困難であった。本願センサは、厚みが0.5mm未満できわめて薄肉であるため、このような部位に適用して使用することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、鉄箔材で形成された導体パターン部101を、アルミニウムで被覆するため、保管中に導体パターン部101が腐食し始めることを回避することができると共に、コンクリート打設時の衝撃を受けても有効に導体パターン部101を保護することが可能となる。また、アルミニウムがコンクリート中で溶解し、導体パターン部101が露出するため、対象コンクリートに直接接触することとなり、精度の高い腐食検知を行なうことが可能となる。また、センサの品質のばらつきを低減させ、製造性を向上させることができると共に、設計自由度を向上させることが可能となる。また、ごく薄い被膜で導体パターン部を保護するため、フィルムの屈曲性を保持したままセンサを形成することが可能となる。このため、従来は困難であった円柱などの湾曲した部材にも適用することが可能となる。
1 腐食センサ装置
2 腐食検出部
12 インタフェース回路
13 検出回路
100 腐食センサ
101 導体パターン部
102 基板
103 被膜部

Claims (3)

  1. コンクリート構造物中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサであって、
    鉄を圧延することにより作製した鉄箔材で形成された導体パターン部と、
    前記導体パターン部を保持する基板と、
    大気中で安定であると共にコンクリート、モルタル、ペースト中で溶解するアルカリ溶解性金属で形成され、前記導体パターン部を被覆する被覆部と、を備え、
    コンクリート構造物中の鋼材腐食因子によって、前記導体パターン部の電気的特性が変化することを特徴とする腐食センサ。
  2. コンクリート構造物中に埋設され、鋼材の腐食進行状況を検出する腐食センサの製造方法であって、
    鉄を圧延することにより作製した鉄箔材と基板とを一体化させて鉄箔シートを作製する工程と、
    前記鉄箔シートの鉄箔上に、回路パターンのレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜が形成された鉄箔シートをエッチングする工程と、
    前記エッチング後の鉄箔シートのレジスト膜を除去する工程と、
    前記鉄箔シートの回路パターンに大気中で安定であると共にコンクリート、モルタル、ペースト中で溶解するアルカリ溶解性金属の被膜を形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする腐食センサの製造方法。
  3. 請求項1記載の腐食センサをコンクリート構造物中、鋼構造部材を被覆したコンクリート、モルタルまたはペーストに埋設して、前記導体パターン部の電気的特性を測定し、前記測定した導体パターン部の電気的特性に基づいて、コンクリート構造物中の鋼材、コンクリート、モルタルまたはペーストで被覆された鋼材の腐食進行状況を検出することを特徴とする腐食検出方法。
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