JP2019074410A - 塩化物イオン濃度推定方法 - Google Patents

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【課題】鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する推定方法を提供する。【解決手段】塩化物イオン濃度推定方法は、鉄筋コンクリート構造物内に埋設され、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する塩化物イオン濃度推定方法であって、腐食検知部の電気抵抗値を検出する工程と、腐食検知部の電気抵抗値が上昇したときに、その時点の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度のモル濃度比Pを用いて塩化物イオン濃度を算出する工程と、を少なくとも含む。【選択図】図5

Description

本発明は、鉄筋コンクリート構造物内に埋設され、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する技術に関する。
従来から、鉄筋コンクリート構造物、すなわち、RC(Reinforced-Concrete)構造物では、塩分などによる鉄筋腐食が劣化要因として挙げられる。鉄筋腐食は、鉄筋の不導態皮膜が腐食因子(塩素や炭酸ガス)によって直接的あるいは間接的に破壊されることによって生じる。特に塩分に起因する鉄筋腐食は、劣化が甚大になりやすく、劣化が生じたあとの対策は、断面修復などの大規模補修にならざるをえない。このため、早期に腐食因子を検出し、早期に対策を講じることが重要である。
特許文献1には、鉄筋が施工された後、腐食が始まるまでの期間、測定対象物の状態変化を測定し、得られた情報をコンクリート構造物の計画的な保全に活用する技術が開示されている。この技術では、第1の電極と第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子をセンサに設け、その電位差に基づいて、測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する。
特開2015−206803号公報
RC構造物の塩分による劣化は、RC構造物のコンクリートに外部から塩分が浸透し、鉄筋近傍に到達することによって生じる。このため、有効な診断手法として、診断対象のコンクリートから直接コアをサンプリングし、コンクリートの塩分分析を行うことが挙げられる。この手法では、塩分分布を詳細に把握できるものの、RC構造物を局所的に破壊するため、サンプリングの数量が限られ、また、サンプリング孔を入念に補修する必要が生じるため、多くの労力とコストが必要となる。また、橋梁下面など、サンプリング自体が難しい箇所もある。このため、簡易的に塩分分析を行える手法が望まれていた。
また、塩分分析を行うためには、一般には、照合電極を用いた湿式分析法や、既知の試料を基準とした光学的な分光計を用いる手法が実施されてきた。前者は、湿式であるため長期にコンクリートに埋設すると照合電極の性能が低下あるいは破損するため、好ましくない。一方、光学式の計測器は、装置が大きく、屋外での使用には制限が伴う。仮に使用できたとしても、表層の分析となるため、コンクリート内部の塩分情報を得るためには、コンクリートを局所的に破壊する必要があった。
従来はこのような不都合が認識されていたが、コンクリートに埋設して使用できるセンサを用いることによって、RC構造物を破壊することなく塩分量を把握でき、維持管理に重要となるデータが得られ、大幅なコスト削減につながると考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する塩化物イオン濃度推定方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の塩化物イオン濃度推定方法は、鉄筋コンクリート構造物内に埋設され、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、前記鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する塩化物イオン濃度推定方法であって、前記腐食検知部の電気抵抗値を検出する工程と、前記腐食検知部の電気抵抗値が上昇したときに、その時点の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度のモル濃度比Pを用いて塩化物イオン濃度を算出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
この構成により、鉄筋コンクリート構造物内部で鉄が錆びる環境、特に、塩化物イオン濃度についての情報を得ることが可能となる。
(2)また、本発明の塩化物イオン濃度推定方法は、塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度とを用いて、予め前記モル濃度比Pを算出する工程をさらに含むことを特徴とする。
この構成により、簡易な手法で、水酸化物イオン濃度が求まれば、塩化物イオン濃度を求めることが可能となる。
(3)また、本発明の塩化物イオン濃度推定方法において、前記モル濃度比Pは、0.8であることを特徴とする。
この構成により、水酸化物イオン濃度が求まれば、塩化物イオン濃度を求めることが可能となる。
(4)また、本発明の塩化物イオン濃度推定方法は、前記鉄筋コンクリート構造物における前記腐食検知部のかぶりの深さをx(cm)とし、任意の時間をt(秒)とし、前記かぶりの深さにおける塩化物イオン濃度をC(x、t)(g/dm)とし、見かけの拡散係数をCpとし、表面塩分量をCO(g)とし、誤差関数をerfとしたときに、次式を満たし、この式を用いて時間tにおける塩化物イオン濃度を推定することを特徴とする。
この構成により、かぶりの深さと塩化物イオン濃度が定まると、錆が発生した時点からの塩化物イオン濃度の増加を推定することが可能となる。
本発明によれば、鉄筋コンクリート構造物内部で鉄が錆びる環境、特に、塩化物イオン濃度についての情報を得ることが可能となる。
本実施形態に係る腐食センサ装置の概略構成を示す図である。 塩化物イオン濃度を推定するため試験方法の概念を示す図である。 導体パターン部10aの破断日数と塩化物イオン濃度の関係を示す図である。 導体パターン部10aの破断日数と[Cl/OH]の関係を示す図である。 Fickの拡散第2式による回帰を示す図である。 塩化物イオン量の経時的変化を推定した一例を示す図である。
本発明者らは、従来、鉄筋コンクリート構造物内にセンサを埋設して、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する方法が提案されていなかった点に着目し、模擬的に腐食する鉄を検知部とした腐食センサをRC構造物内に設置し、検知部の電気抵抗値の増加を検知し、その時の[Cl/OH]比を同定し、そこから単位塩分量を算出することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の塩化物イオン濃度推定方法は、鉄筋コンクリート構造物内に埋設され、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、前記鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する塩化物イオン濃度推定方法であって、前記腐食検知部の電気抵抗値を検出する工程と、前記腐食検知部の電気抵抗値が上昇したときに、その時点の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度のモル濃度比Pを用いて塩化物イオン濃度を算出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
これにより、本発明者らは、鉄筋コンクリート構造物内部で鉄が錆びる環境、特に、塩化物イオン濃度についての情報を得ることを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る腐食センサ装置の概略構成を示す図である。この腐食センサ装置1は、鉄箔材で形成された導体パターン部10aが基板10bに保持されており、導体パターン部10aが腐食検出部2に電気的に接続されている。導体パターン部10aは、鉄箔材により形成されており、厚さが0.1mm未満である。導体パターン部10aおよび基板10bは、センサを構成する。図1において、導体パターン部10aは、二次元的に複雑な形状を取ることが可能である。例えば、二次元的な凹凸形状としても良いし、二次元的な渦巻き形状としても良い。鉄箔材を用いるため、複雑な形状の導体パターン部10aを構成することが可能となる。
上記センサ(導体パターン部10a)にリード線を接続し、鉄筋コンクリート構造物に埋設し、センサに接続されたリード線のもう一方を鉄筋コンクリート構造物の外部に引き出して、インタフェース回路および検出回路から構成される腐食検出部と接続して、腐食センサ装置を構成することができる。この腐食検出部により、リード線に接続されたセンサ部の電気的特性を把握することによって断線を検知することが可能となる。
また、図1に示すように、腐食検出部をパッシブ型RFIDに代表されるバッテリーレスの無線モジュールで構成し、腐食センサ装置全体をコンクリート構造物に埋設することにより長期間に渡り計測することが可能となる。無線モジュールを構成することによって、センサに接続されたリード線を伝達して腐食因子がコンクリート内部に侵入する可能性を排除すると共に、リード線自体が腐食により劣化することを回避することができる。さらに、本腐食センサ装置自体をもコンクリート中に埋設することによって、腐食検出部の腐食因子による劣化を防ぐ効果を有する。腐食センサ装置は、腐食環境にあるコンクリートの検知に使用される場合が多いため、無線モジュールで腐食センサ装置を構成してコンクリート構造物に埋設することは本装置自体の耐久性確保の観点から見ると効果が大きい。
図1に示すインタフェース回路12は、導体パターン部10aと、無線モジュール13とを接続する回路であり、電圧(電位差)、電気抵抗、インピーダンス、静電容量など導体パターン部10aの電気的特性を、電圧値などを出力値として無線モジュールに受け渡すものである。例えば、一定の電圧を印加して導体パターン部10aの電気的特性である抵抗値を取得して抵抗値に応じた値を電圧値として出力することで、腐食断線によって生じる抵抗値の低下を印加電圧に対する比率で断線を検知することを可能とする。無線モジュール13は、特定小型小電力無線、RFID、無線LANなど、無線による送受信で外部に検知情報を伝達するものであり、検出回路13aおよび無線通信回路13bを有している。検出回路13aは、インタフェース回路12からの信号を読取るもので、アナログ/デジタル変換回路などが相当する。本実施形態では、導体パターン部10aの電圧を検出することとする。無線通信回路13bは、検出回路13aの検出結果を、アンテナ14を介して、外部の読取装置に対して無線送信する。ここで、インタフェース回路12、無線モジュール13、およびアンテナ14は、腐食検出部を構成する。
また、図1において、無線モジュール13の無線通信回路13bは、変調回路、充電/電源部、メモリなどから構成される。この電源部では、バッテリを搭載するタイプのものであっても良いし、いわゆるバッテリーレス、すなわち、蓄電機能を有し、外部から供給される電磁波による誘導電圧を一時的に蓄えるものであっても良い。無線通信回路13bに含まれるメモリは、全体の制御を行うオペレーティングシステム、構造物の状態を検知するプログラム、検知した情報の記録などに用いるROMやRAMなどで構成される。メモリにはセンサのID番号を搭載しても良く、また、読取装置から構造物の埋め込み位置に関する情報をRAMに書き込み、これら情報をセンサで検知した情報と共に読み取り装置で読み取っても良い。
また、図1におけるアンテナ14は、金属類、カーボンファイバーやフェライトなどが用いられ、中空の巻き線、あるいは磁性体巻き線、あるいは基板上にプリント技術を利用して成形したものを用いることが望ましく、PETなどのフィルム間にこれら材料を挟み込んで使用しても良く、またその形状はリング状、棒状、円盤状など適当な形に成型して用いても良い。
また、導体パターン部10aは、例えば、腐食因子が進行する方向とほぼ直交する面上を設けると、腐食因子を捉える確率を上げることができる。さらに、複数の導体パターン部10aを深さ方向に平行に設ける。これにより、コンクリート内部に浸透する腐食因子を経時的に捉えることが可能であり、これにより、鋼材に腐食因子が到達するまでの期間を拡散の理論に基づいて精度よく予測することができ、鉄筋コンクリート構造物の維持管理では有用な情報となる。例えば、腐食因子が拡散によってコンクリート表面から内部へ浸透するとすれば、コンクリート表面から導体パターン部10aまでの距離をA、コンクリート表面から鋼材までの距離をB、鉄筋コンクリート構造物の建設から腐食センサ装置が腐食因子を検知した時間をTAとすると、鉄筋コンクリート構造物の建設から鋼材の腐食が生じるまでの時間TBは、TB=TA・(B/A)として予測することができ、腐食センサ装置で検知した情報に基づいて、コンクリート構造物を劣化から守る対策を劣化が生じる前に施すことが可能となる。
本実施形態では、導体パターン部10aの電気抵抗値の増加を検出し、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する。以下、塩化物イオン濃度を推定するための方法について説明する。
[試験方法]
図2は、塩化物イオン濃度を推定するための試験方法の概念を示す図である。この試験では、塩化物イオン濃度が異なる飽和水酸化カルシウム水溶液3中に、腐食センサ装置の導体パターン部10aを浸漬させ、導体パターン部10aの破断の有無と[Cl/OH]との関係を調べた。塩化物イオン濃度は、塩化ナトリウムおよびイオン交換水を用いてCl濃度として50ppmから5000ppmとなるように段階的に調整し、試験後に溶液中の塩化物イオン濃度を定量した。また、図2に示すように、試験期間中は酸素ガスを30ml/minの流量で供給し、大気中の炭酸ガスの影響を排除した。そして、導体パターン部10aの破断の有無についてデータロガー5の機能を使用してモニタリングした。なお、図3A、図3Bに示すように、各試験条件に対して、使用した導体パターン部10aの数は、5体とした。
[試験結果]
図3Aは、導体パターン部10aの破断日数と塩化物イオン濃度の関係を示す図である。図3Aでは、試験開始から30日以内に破断が生じた導体パターン部10aのみをプロットし、それ以外に関しては未破断とした。図3Aより、塩化物イオン濃度が588ppm未満ではセンサに破断は生じず、588ppm以上で破断する結果が得られた。また、破断が生じた導体パターン部10aは、塩化物イオン濃度の増加に伴い、破断日数が短くなる傾向が認められた。
図3Bは、導体パターン部10aの破断日数と[Cl/OH]の関係を示す図である。ここでは、[Cl/OH]は、pHを12.4として算出した。図3Bから、[Cl/OH]が0.83以上で導体パターン部10aが破断することがわかる。[Cl/OH]で整理された発錆限界値については、いくつか報告がなされており、その値は0.6〜1.0である。本試験結果は、既報の範囲にあり、妥当な感度で導体パターン部10aが発錆・破断に至ったものと判断できる。つまり、導体パターン部10aの周辺が腐食環境に達すれば、その破断によってその環境の情報が得られることとなる。今回のセンサと想定した条件では、導体パターン部10aが破断した際のその場の塩化物イオン濃度は588ppm以上、[Cl/OH]としては0.83以上である。
破断する[Cl/OH]はコンクリートの配合やセンサの導体パターン部の材質、形状、厚さ(太さ)等によって変化する。また、センサの導体パターン部を変えることで破断する[Cl/OH]を0.7〜0.9の間で設定することができる。好適には、0.83である。従って、予め前記試験によりセンサと想定される条件での破断する[Cl/OH]を求めておく。破断する[Cl/OH]が異なるセンサを用いれば、より正確に後述するCl濃度分布を求めることができる。
[Cl濃度の推定]
アルカリ環境における鋼材の腐食開始は、塩化物イオン濃度([Cl])と水酸化物イオン濃度([OH])のモル濃度比によって定まることが知られている。[Cl]/[OH]比はモル濃度比であり、この指標によって発錆限界点(腐食の開始点)が定まるとされている。数値としては、Hausmannによる0.6、Daiamondによる0.3があるが、現状では0.6〜1.0の範囲にあるとされている。
水酸化物イオンのモル濃度は、水素イオン指数(pH)の計測から次式で求められる。
[OH−]=10(pH−14)
例えば、pH=13の場合、[OH]=0.1(mol/dm)である。ここで、500ppmの塩化物イオン濃度は、500*10−6*10=0.5(g/dm)であるから、Clのモル質量で除すると、0.5/35.4=0.014となる。従って、[Cl]/[OH]比は0.014/0.1=0.14となる。ppm濃度からモル濃度への換算式は以下の通りである。
[Cl]=(Cl/35.4)/1000
前述の試験データから、[Cl]/[OH]を求める。
588ppm/(17*10(12.3−14))=((588/35.4)/1000))/0.0199=0.83
導体パターン部10aが、[Cl]/[OH]=0.83で腐食するとすれば、[OH]がわかれば、Cl濃度を算出できる。
ここで、モルタル・コンクリートのpHは、主たるアルカリ成分である水酸化カルシウム、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)に依存する。セメントの主たる反応性生物である水酸化カルシウムは、25℃・1atmで溶解度0.17(g/100cm)と非常に小さく、また飽和時の水素イオン指数はpH=12.4(25℃・1atm)である。従って、外部からの酸性物質や、セメント以外の混和材を使用しなければ、セメント硬化体中の溶液のpHは12.4以上を保つことになる。
不確定要素は、電離したナトリウム・カリウムによるアルカリ量の増加となるが、コンクリート中の鉄筋腐食が問題となるような長期材齢では、12.9〜13.2程度の範囲となる。ここで、pH=13.0〜13.2とすれば、水酸化物イオン濃度は、[OH]=0.1〜0.158の範囲となる。
従って、[Cl]=0.83×[OH]=0.083〜0.132(mol/dm)となる。
Cl濃度に換算する場合、Clのモル質量35.4を乗じることで求められ、2.93〜4.66(g/dm)となり、ある程度の変化幅はとるものの、Cl濃度を推定することが可能となる。
[Cl濃度分布の推定]
塩分がコンクリート表面からの拡散・浸透による場合、センサ(導体パターン部10a)の反応よって塩分濃度が推定できれば、フィックの拡散方程式(第2式)から、センサの表面からの設置深さ、反応時間が既知でるので、濃度分布を計算することができる。
Fickの拡散第2式の展開式:
C(x、t)=C0・[1−erf{0.5x/(Cp・t)0.5}]
ただし、C(x、t):塩分濃度、C0:表面塩分量、Cp:見かけの拡散係数、x:距離(cm)、t:任意の時間である。
図4は、Fickの拡散第2式による回帰を示す図である。図5は、塩化物イオン量の経時的変化を推定した一例を示す図である。かぶりが25mmの位置と、40mmの位置のそれぞれにおいて、サイクル数に対する検知割合を示している。これにより、反応時におけるコンクリート表面からの濃度分布に加え、将来的な塩分浸透予測が可能となる。加えて、コンクリート中の鉄筋の腐食は、多くの場合、コンクリート1m当たりの全塩分量が1.2kg/m〜2.4kg/mの範囲で生じることが知られており、かぶり位置ごとの塩分浸透予測が可能となれば、鉄筋の腐食時期を推定することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、鉄筋コンクリート構造物内部で鉄が錆びる環境、特に、塩化物イオン濃度についての情報を得ることが可能となる。
1 腐食センサ装置
2 腐食検出部
3 飽和水酸化カルシウム水溶液
5 データロガー
10a 導体パターン部
10b 基板
12 インタフェース回路
13 無線モジュール
13a 検出回路
13b 無線通信回路
14 アンテナ

Claims (4)

  1. 鉄筋コンクリート構造物内に埋設され、鉄で形成された腐食検知部を有する腐食センサを用いて、前記鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する塩化物イオン濃度推定方法であって、
    前記腐食検知部の電気抵抗値を検出する工程と、
    前記腐食検知部の電気抵抗値が上昇したときに、その時点の塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度のモル濃度比Pを用いて塩化物イオン濃度を算出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする塩化物イオン濃度推定方法。
  2. 塩化物イオン濃度と水酸化物イオン濃度とを用いて、予め前記モル濃度比Pを算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の塩化物イオン濃度推定方法。
  3. 前記モル濃度比Pは、0.8であることを特徴とする請求項1記載の塩化物イオン濃度推定方法。
  4. 前記鉄筋コンクリート構造物における前記腐食検知部のかぶりの深さをx(cm)とし、
    任意の時間をt(秒)とし、
    前記かぶりの深さにおける塩化物イオン濃度をC(x、t)(g/dm)とし、
    見かけの拡散係数をCpとし、
    表面塩分量をCO(g)とし、
    誤差関数をerfとしたときに、次式を満たし、
    この式を用いて時間tにおける塩化物イオン濃度を推定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の塩化物イオン濃度推定方法。
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