JP7128566B2 - 腐食センサおよび腐食検出方法 - Google Patents

腐食センサおよび腐食検出方法 Download PDF

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本発明は金属の腐食環境を検出する腐食センサおよび方法に関する。
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態被膜が形成され、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、この不動態被膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張が生じ、その膨張圧でコンクリートにひび割れが生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の侵入と外部からの水と酸素の供給によって鋼材の腐食は加速的に進行し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。また、鋼橋において鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張により保護塗膜に浮きや剥離が生じ、防錆効果が失われる。
鋼橋やプラントなどの鋼材を用いた構造物では、鋼材に錆が生じないように保護塗料が用いられているが、防錆の観点では、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食状況を検出し、例えば、表面被服などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる侵入を阻止して鋼材を腐食から守り、構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に関し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する方法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線した時に腐食を検出する手法などが知られている。
これらの腐食診断手法のうち、細線の断線によって腐食を検知する方法は、(a)予めセンサを埋設することでコア抜きなどコンクリートを傷めることがない、(b)コンクリート表面と鋼材との間に細線を深さに応じて数本設置することで表面からの腐食因子の侵入時間依存性をモニタリングでき維持管理計画の立案を容易とする、(c)直接的に鉄の腐食を捉えるので、腐食因子だけでなく水や酸素の供給状態をも含めた腐食の可能性を検知できる、(d)電気抵抗の変化を捉えるので、きわめて低消費電力での腐食が可能で長期モニタリングに適する、というメリットがあり、細線切断を検出することによる腐食診断方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1~3)。また、感度が高く、設計自由度を大きくするために、鉄箔材を用いた腐食センサも提案されている(特許文献4)。
また、従来の腐食センサは、検知部の電気抵抗を捉えるものが多い。導電率の高い鉄は、破断しなければ電気抵抗に変化が現れにくく、センサの感度が線径や線幅等に依存しやすいことに加え、破断後はセンサとしての機能を失うことから、静電容量を捉えることにより腐食環境を検知する提案がある(特許文献5)。この静電容量センサでは、検知部の面積変化で腐食を捉えることができるため、腐食がコンクリート構造物内でどのくらい進行しているのかを把握することができる。
特開平8-094557号公報 特開平8-233896号公報 特許第3205291号 特開2012-145330号公報 特開2017-032516号公報
腐食センサをコンクリート構造物内に設置した際に、防水が不十分であると、静電容量センサが浸水し、センサの機能が失われてしまう場合がある。すなわち、静電容量センサでは、検知部と対向電極との間で絶縁性が確保されなければならないが、防水が不十分であると、浸水により検知部と対向電極とが導通してしまう。こうなると静電容量センサとしては機能しなくなるため、防水性の確保は極めて重要である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、腐食センサが浸水することによって検知部と対向電極との間の絶縁性が失われてしまうことを防ぎ、腐食の形状に左右されることなく、腐食環境進行状況を把握することを可能とする高精度な腐食センサを提供することができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサは、金属の腐食環境を検出する腐食センサであって、腐食性を有する金属で形成された検知部と、前記検知部と対向するように設けられ、互いに絶縁された複数の対向電極と、前記検知部および前記各対向電極との間に設けられた誘電体と、前記各対向電極の少なくとも2つに接続されたリード線と、を備え、前記検知部、前記誘電体および各対向電極が、直列接続された複数のコンデンサと等価な回路を形成することを特徴とする。
このように、腐食性を有する金属で形成された検知部と、検知部と対向するように設けられ、互いに絶縁された複数の対向電極と、検知部および各対向電極との間に設けられた誘電体と、各対向電極の少なくとも2つに接続されたリード線を備え、検知部、誘電体および各対向電極が、直列接続された複数のコンデンサと等価な回路を形成するので、検知部の腐食により変化する誘電正接や、腐食による検知部の面積の一部の減少に応じて変化する静電容量を検出することが可能となり、早期に腐食因子または腐食環境の進行を捉えることが可能となる。また、リード線を検知部に接続せず対向電極に接続するため、リード線周囲の腐食による断線の恐れがない。その結果、検知部の鉄箔は検知機能を有しているにも関わらず、リード線の接続部周辺に錆が生じることにより、腐食センサが腐食環境を検出することができなくなる状況を、防ぐことが可能となる。さらに、リード線を対向電極のみに接続することで、腐食センサの防水加工が容易となる。
(2)また、本発明の腐食センサにおいて、前記各対向電極は、二次元的な櫛歯状に形成されていることを特徴とする。
このように、各対向電極は、二次元的な櫛歯状に形成されているので、どの部分で検知部が腐食しても長期間絶縁することなく、腐食環境進行状況を検出し続けることが可能となる。
(3)また、本発明の腐食センサにおいて、前記各対向電極は、二次元的な渦巻き状に形成されていることを特徴とすることを特徴とする。
このように、各対向電極は、二次元的な渦巻き状に形成されているので、どの部分で検知部が腐食しても長期間絶縁することなく、腐食環境進行状況を検出し続けることが可能となる。
(4)また、本発明の腐食センサにおいて、前記各対向電極間の配置間隔は、前記検知部と前記各対向電極との距離より大きく、10cm以下であることを特徴とする。
このように、各対向電極間の配置間隔は、検知部と前記各対向電極との距離、つまり誘電体の厚さより大きく、10cm以下であるため、検知部が完全に腐食した状態であっても、対向電極間で発生する静電容量を検出できる。その結果、検知部が完全に腐食しても静電容量が計測されるので、センサの故障か否かを判別することができる。
(5)また、本発明の腐食検出方法は、コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、上記(1)から(4)のいずれかに記載の腐食センサを前記コンクリート構造物中に埋設し、前記腐食センサに交流電圧を印加し、前記腐食センサの検知部の電気特性値の変化に基づいて、コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出することを特徴とする。
この構成により、検知部の一部の減少に応じて早期に腐食因子または腐食環境の進行を捉えることが可能となる。検知部が完全に腐食した状態であっても、対向電極間で発生する静電容量を検出できるため、腐食センサが壊れたのか、検知部が完全に腐食したのかを判断することができる。また、リード線を対向電極に接続することで、リード線からの浸水がなくなり、腐食センサの防水性能が向上する。
(6)また、本発明の腐食検出方法は、金属構造物および金属の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、上記(1)から(4)のいずれかに記載の腐食センサを前記金属構造物および金属の表面に貼付し、前記腐食センサに交流電圧を印加し、前記腐食センサの検知部の電気特性値の変化に基づいて、金属構造物および金属の腐食環境進行状況を検出することを特徴とする。
この構成により、検知部の一部の減少に応じて早期に腐食因子または腐食環境の進行を捉えることが可能となる。検知部が完全に腐食した状態であっても、対向電極間で発生する静電容量を検出できるため、腐食センサが壊れたのか、検知部が完全に腐食したのかを判断することができる。また、リード線を対向電極に接続することで、リード線からの浸水がなくなり、腐食センサの防水性能が向上する。
本発明によれば、腐食センサが浸水することによって検知部と対向電極との間の絶縁性が失われてしまうことを防ぎ、腐食の形状に左右されることなく、腐食環境進行状況を把握することを可能とする高精度な腐食センサを提供することができる。
本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 図1Aに示した腐食センサをA-Aで切断した場合の断面図である。 対向電極の形状の例を示す図である。 対向電極の形状の例を示す図である。 本実施形態に係る腐食センサの変形例を示す図である。 本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。 本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す平面図である。 本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す底面図である。 本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す正面図である。 本性能評価における静電容量の測定結果を示す図である。 本性能評価における誘電正接の測定結果を示す図である。
[腐食センサの測定原理]
静電容量 は、電極(検知部)の欠損によって変化する。従って、腐食の進行を、静電容量の減少度を測定することによって、高精度で腐食状態を把握することができる。また、誘電正接は、電気抵抗の増加によって増加する。すなわち、誘電正接を検出することによって、腐食センサの表面全体に発生した腐食を検出することができる。ここで、静電容量および誘電正接の変化は、10kHz以上の高周波数領域で測定することが望ましい。また、リアクタンス、等価並列抵抗等の電気特性も腐食によって変化するので、これらを指標として腐食環境を検出することもできる。
平行平板導体(検知部)の静電容量Cは、平行平板導体の面積S、平行平板導体間の間隔dとの間に、以下の関係がある。
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(1)
ここで、εは、誘電率である。
コンデンサを直列接続した場合、合成静電容量Cは、次式で表わすことができる。
Figure 0007128566000001
平行平板導体(検知部)の誘電正接tanδは、ω:角周波数、C:静電容量、R:直列等価抵抗との間に、以下の関係がある。
tanδ=ωCR ・・・(3)
本実施形態に係る腐食センサは、この原理を用いる。すなわち、検知部の腐食が進行し、検知部の欠損減少に至ることで、静電容量は低下をはじめる。静電容量の減少度合いを捉えることによって、検知部の面積の減り具合、ひいては腐食環境進行状況を把握することが可能となる。センサの検知部が腐食因子によって腐食していくと、電気抵抗が急激に上昇し、電気抵抗の上昇が静電容量の低下より卓越した場合、誘電正接が急激に上昇する。
従って、静電容量の低下は、初期の軽微段階的な腐食状態を捉えることができ、その後、誘電正接の上昇がみられた場合、検知部の大きな欠損が生じていると予想されるため、腐食の進行が進んできていることを検出できる。
[第1の実施形態]
[腐食センサの構成]
図1Aおよび図1Bは、本実施形態に係る静電容量型腐食センサ(以下、腐食センサ)の概略構成を示す平面図である。図2は、図1Aに示した腐食センサをA-Aで切断した場合の断面図である。この腐食センサ1は、鉄を圧延することにより作製され、本実施形態では3μm以上0.1mm以下の厚さを有する検知部3としての鉄箔部と、誘電体5と、対向電極7と、対向電極に接続されたリード線9とを備える。検知部3の厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に検知部3にひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、検知部3の面積は、300mm以上、好ましくはコンクリート中の最大骨材寸法Gmaxの2乗の面積以上、より好ましくは700mm以上である。検知部3の面積を300mm以上とすることで、検知部3の急激な腐食反応の進行を抑制して、長期間センサとして計測することができる。
また、コンクリートに使用される骨材の最大寸法は、20mm×20mmのふるいを通過する寸法、あるいは25mm×25mmのふるいを通過するものが使用されることが多いことから、検知部3の面積を300mm以上とすることで、骨材が検知部3の直上にくることで生じる誤差要因などの骨材の影響を受けにくくすることができる。また、検知部3の面積は、20,000mm以下とすることが好ましい。センサの面積を20,000mm以下とすることで、建造物中の鉄筋やコンクリートの性能に影響を及ぼさない大きさとして形成でき、製造や保管が容易になると共に、腐食環境進行状況を検出する場所への配置が容易となる。
検知部3の鉄箔は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。検知部3の形状は、矩形であっても良いが、検知部3を矩形にすると、腐食センサ設置後、各材料の熱膨張係数の違いによる応力が隅角部に集中し、付着切れが発生してしまうことが考えられるため、円形がより好ましい。
図1Bに示すように、検知部3には、複数の貫通孔11が設けられていても良い。貫通孔11は、メッシュ状に形成されている。各貫通孔11は、メッシュ状に形成されていても良いし、スリット状に形成されていても良い。複数の貫通孔11を、検知部3に設けることで、腐食が容易に進行し、一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、検知部3が島状に取り残されることが少なく、電気的な導通が確保され、検知部の面積減少量を静電容量の変化で正確に捉えることが可能となる。
また、各貫通孔11の平面形状は、エッチングによる形成においての形成精度や歩留まりの観点から、円形としているが、これに限定されるわけではない。例えば、矩形(正方形)や他の形状であっても良い。エッチングは、形成対象の形状として角が生じると、エッチングにおける金属溶解の応力によって、隅角部に亀裂が生じ、エッチング液が隅角部に対流して局所的に金属溶解が進行し、所定の形状が形成できない場合がある。貫通孔11が円形である場合は、そのような応力が分散されやすく、また隅角部での滞留も生じないため、検知部の貫通孔の制作における形成精度や歩留が向上する。その結果、品質の安定化やコスト削減に資すること可能となる。
誘電体5は、誘電率が3以上であることが好ましい。これは、式(1)および式(3)から明らかなように、誘電率の大きさが、誘電正接や静電容量の変化に大きく関与するためである。また、誘電体5の厚さは、0.05mm~2mmが好ましく、温度による変化が少ない誘電体であることが好ましい。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。誘電体5としては、誘電率が3.3であるポリイミドフィルムが好ましい。
対向電極7は、検知部3である鉄箔部と対向し、各対向電極7が互いに絶縁された状態となるように設けられている。対向電極7は、腐食しないようにされていれば金属種は問わないが、耐腐食性が高い性能を有した金属が好ましい。鉄箔の腐食による減少を電気特性で捉えるためには、対向電極7の面積が変化しないことが前提である。対向電極7には、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、対象である金属よりイオン化傾向の小さく導電性を有した金属であり、鉄が対象の場合はステンレス、パラジウム、銅、ニッケル等を用いることができる。また、圧延以外にもスパッタリングや蒸着、メッキ等で成膜して形成する方法もある。また、対向電極7の厚さは問わない。複数の対向電極は、必ずしも同じ材質にする必要はなく、また同じ面積にする必要はない。
対向電極7の形状は、本実施形態では矩形を用いたが、矩形に限らない。また、各対向電極7の形状は、同一、対称の形状である必要はない。一部の対向電極7に対向する鉄箔部のみが腐食した場合は絶縁してしまうため、鉄箔部のどの部分が腐食したかを正確に把握し続けるためには、対向電極間の隙間が広範囲であり、かつ各対向電極が鉄箔部に対し偏りなく対向する形状であることが、より好ましい。対向電極間の距離は、2つの対向電極同士でのみ電荷が帯電しないように、検知部と対抗電極間より大きく、一般的な計測装置の性能を鑑みると最大でも10cmが好ましい。
図3Aおよび図3Bは、対向電極の形状の例を示す図である。このように、対向電極間の隙間が多く、各対向電極が検知部に対し偏りなく対向する形状を有することによって、どの部分で検知部が腐食しても導通を確保し、検知部のどの部分が腐食したかを正確に把握し続けることが可能となる。
リード線9は、対向電極7に接続されている。リード線9を対向電極7に接続させることにより、複数のコンデンサが直列に接続された回路と等価な回路が形成されるため、この直列コンデンサ等価回路の静電容量を用いて、腐食環境進行状況を把握することができ、腐食センサの消費電力を小さく抑えることも可能となる。また、検知部が完全に腐食した状態であっても、対向電極7間で発生する静電容量を検出できるため、腐食センサ1が壊れたのか、検知部が完全に腐食したのかを判断することができる。さらに、リード線を対向電極7に接続させることで、腐食することのある検知部にリード線を接続する必要がなく、防水箇所が少なくなり容易に防水性能の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、対向電極を2つ設けた場合を例に説明したが、対向電極は3つ以上でも良く、2つに限らない。
図4は、本実施形態に係る腐食センサの変形例を示す図である。図4では、対向電極7を3つ設置し、各対向電極7にリード線9を接続させている。このように、複数の対向電極7を設置した場合、2つまたは各対向電極7にリード線9を接続させ、並列に接続させることで静電容量を検出することが可能である。このように、複数の対向電極7を設置することで、腐食環境進行状況を把握したい箇所に設置された対向電極7のリード線9を計測機器へ接続することにより、特定の場所の腐食環境進行状況を把握できる。
[腐食センサの製造方法]
図5は、本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。まず、検知部としての鉄を圧延して鉄箔を製造する(ステップS101)。鉄箔は、3μm以上0.1mm以下の厚さを有するものとする。ここで、鉄箔は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。
次に、鉄箔材とポリイミド材との貼り合わせを行ない(ステップS102)、センサパターンのレジスト印刷を行なう(ステップS103)。次に、ケミカルエッチングを行なう(ステップS104)。ここで、貫通孔が形成される。次に、対向電極としての対極板を形成する(ステップS105)。ここでは、例えば、スパッタリング、金属蒸着、プレーティング、金属塗料、金属板・金属箔の貼付などを用いることができる。次に、対向電極へリード線の接続を行なう(ステップS106)。
[腐食センサの設置]
腐食の測定対象がコンクリート構造物の場合、コンクリート中の鉄筋かぶり部分など腐食環境を知りたい所望の位置に、本実施形態に係る腐食センサを埋設する。また、腐食の測定対象となる金属構造物、例えば、鋼橋やプラント設備、街路灯、土中埋設管、アンカー、タンク、船舶などに保護塗料を塗布する場合は、塗布前の金属材料の表面に、上記説明した本実施形態に係る腐食センサを接着剤等で貼付する。貼付する際は、構造物の電気状態の影響を受ける場合があるので、樹脂のテープ、シールあるいは接着剤自体で絶縁することが好ましい。センサの検知部は、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、鉄箔に換えてステンレスや亜鉛、アルミニウム等の金属とすれば良い。その後、金属構造物と同様に保護塗料を塗布する。ケーブルは、保護塗料の外部に出しても出さなくても良い。ケーブルを出さない場合は、そのまま塗膜の下にセンサを埋設し、測定する際は、センサを被覆している塗膜を剥離し、直接計測器を接続して、腐食に伴う電気信号を計測する。また、無線方式を用いて、電磁的に測定を行なっても良い。これにより、ケーブルを引き出した場合に生じる塗膜の欠陥を生じることなく、センサを設置することができる。
[腐食センサの性能評価]
ここで、本発明者らは、本実施形態の原理で腐食環境を検出することが可能であるかを確認するため、検知部の面積による静電容量および誘電正接の変化を測定した。図6Aは、本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す平面図である。図6Bは、本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す底面図である。図6Cは、本性能評価で使用した腐食センサの概略構成を示す正面図である。腐食センサ100は、検知部103、誘電体105、対向電極107、およびリード線109を備える。計測機器にはLCRメータを使用し、周波数100kHzで計測した。
[1.静電容量]
検知部の欠損による静電容量の変化の測定では、検知部103には導電性を有する銅のテープ(6mm×38mm)を5枚、誘電体105には誘電率が3.3であるポリイミドフィルム(30mm×40mm、厚さ0.1mm)を1枚、対向電極には銅(16mm×30mm、厚さ30μm)を2枚使用し、対向電極間は5mmとした。
図6に示す検知部103の導電性のテープを1枚ずつ剥がすことにより、腐食による断面の欠損を模擬することで、検知部の欠損を疑似的に再現し、静電容量を測定した。
図8は、本性能評価における静電容量の測定結果を示す図である。検知部の導電性のテープを1枚ずつ剥がすごとに、静電容量は減少しており、検知部の断面欠損と静電容量に比例関係があることを確認できた。また、検知部がすべて断面欠損した場合でも、静電容量を測定することができた。つまり、腐食センサ自身が壊れたのか、検知部が完全に腐食したのかを判断することが可能であることも確認できた。なお、検知部がすべて欠損した場合にも静電容量が測定されたのは、隣接する対向電極との間で、空気を誘電体とした1つのコンデンサの等価回路が形成されたためであると考えられる。
[2.誘電正接]
検知部の欠損による誘電正接の変化の測定では、検知部103には導電性を有する銅のテープ(10mm×40mm)を6枚、誘電体105には誘電率が3.3であるポリイミドフィル(50mm×50mm、厚さ0.1mm)を1枚、対向電極には銅(20mm×40mm、厚さ30μm)を2枚使用し、対向電極間は5mmとした。
図6に示す検知部103の導電性のテープを1枚ずつ剥がすことにより、腐食による断面の欠損を模擬することで、検知部の欠損を疑似的に再現し、誘電正接を測定した。
図10は、本性能評価における誘電正接の測定結果を示す図である。検知部の導電性のテープを1枚ずつ剥がすごとに、誘電正接は徐々に上昇している。特に、検知部の導電性のテープをすべて剥がした場合、つまり、検知部が全て断面欠損した場合、誘電正接が大きく上昇することから、検知部の全面積が断面した場合の状況を検出できることが確認できた。
以上説明したように、本実施形態によれば、腐食センサが浸水することによって検知部と対向電極との間の絶縁性が失われてしまうことを防ぎ、腐食の形状に左右されることなく、腐食環境進行状況を把握することを可能とする高精度な腐食センサを提供することができる。
1、100 腐食センサ
3、103 検知部
5、105 誘電体
7、107 対向電極
9、109 リード線
11 貫通孔

Claims (6)

  1. 金属の腐食環境を検出する腐食センサであって、
    腐食性を有する金属で形成された検知部と、
    前記検知部と対向するように設けられ、互いに絶縁された3つ以上の対向電極と、
    前記検知部および前記各対向電極との間に設けられた誘電体と、
    前記各対向電極のそれぞれに接続された3つ以上のリード線と、を備え、
    前記検知部、前記誘電体および各対向電極が、直列接続された複数のコンデンサと等価な回路を形成することを特徴とする腐食センサ。
  2. 前記検知部の面積は、300cm 以上であることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。
  3. 前記各対向電極は、二次元的な櫛歯状または渦巻き状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の腐食センサ。
  4. 前記各対向電極間の配置間隔は、前記検知部と前記各対向電極との距離より大きく、10cm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の腐食センサ。
  5. コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の腐食センサを前記コンクリート構造物中に埋設し、
    前記腐食センサに交流電圧を印加し、
    前記腐食センサの検知部の電気特性値の変化に基づいて、コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出することを特徴とする腐食検出方法。
  6. 金属構造物および金属の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の腐食センサを前記金属構造物および金属の表面に貼付し、前記腐食センサに交流電圧を印加し、
    前記腐食センサの検知部の電気特性値の変化に基づいて、金属構造物および金属の腐食環境進行状況を検出することを特徴とする腐食検出方法。
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