JP6784620B2 - 静電容量型腐食センサ - Google Patents

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本発明は鋼材の腐食環境を検出する静電容量型腐食センサに関する。
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態被膜を形成し、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、この不動態被膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。また、鉄橋やプラントなどの鋼材を用いた構造物では、鋼材に錆が生じないように保護塗料が用いられている。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張が生じ、その膨張圧でコンクリートにひび割れが生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の侵入と外部からの水と酸素の供給によって鋼材の腐食は加速的に進展し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。また、鋼橋において鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張により保護塗膜に浮きや剥離が生じ、防錆効果が失われる。
従って、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食開始を検知し、例えば、表面被覆などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる侵入を阻止して鋼材を腐食から守り、構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に対し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する方法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線した時に腐食を検出する手法などが知られている。
これらの腐食診断手法のうち、細線の断線によって腐食を検知する方法は、(a)予めセンサを埋設することでコア抜きなどコンクリートを傷めることがない、(b)コンクリート表面と鋼材との間に細線を深さに応じて数本設置することで表面からの腐食因子の侵入の時間依存性をモニタリングでき維持管理計画の立案を容易とする、(c)直接的に鉄の腐食を捉えるので、腐食因子だけでなく水や酸素の供給状態をも含めた腐食の可能性を検知できる、(d)電気抵抗の変化を捉えるので、きわめて低消費電力での検出が可能で長期モニタリングに適する、というメリットがあり、細線切断を検出することによる腐食診断方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、感度が高く、設計自由度を大きくするために、鉄箔材を用いた腐食センサも提案されている(特許文献4)。
また、従来の腐食センサは、検知部の電気抵抗を捉えるものが多い。導電率の高い鉄は、破断しなければ抵抗値に変化が現れにくく、センサの感度が線径や線幅等に依存しやすいことに加え、破断後はセンサとしての機能を失うことから、静電容量を捉えることにより腐食環境を検知する提案がある(特許文献5)。この静電容量センサでは、検知部の面積の変化で腐食を捉えることができるため、腐食がコンクリート構造物内でどのくらい進展しているのかを把握することができる。
特開平8−094557号公報 特開平8−233896号公報 特許第3205291号 特開2012−145330号公報 特開2017−032516号公報
腐食センサをコンクリート構造物内に設置した際に、防水が不十分であると、静電容量センサに浸水し、センサの機能が失われてしまう場合がある。すなわち、静電容量センサでは、検知部と対向電極との間で絶縁性が確保されなければならないが、防水が不十分であると、浸水により検知部と対向電極とが導通してしまう。こうなると静電容量センサとしては機能しなくなるため、防水性の確保は極めて重要である。腐食センサをケースに入れて検知部だけが露出する構成を採る場合、ケースと検知部とを接着する接着剤の熱膨張係数が、検知部の熱膨張係数と大きく違うと、温度変化によって接着が外れ、浸水してしまう場合もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、防水性を確保した上で、腐食環境の進展状況を把握することができ、高精度で、低コスト化を図ることができる腐食センサを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサは、腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える鋼材の腐食環境を検出する静電容量型腐食センサであって、前記検知部は、腐食環境に曝される第1の領域と、導電性樹脂で形成され、前記第1の領域の外周を包囲する接着部と、を備えることを特徴とする。
このように、検知部は、腐食環境に曝される第1の領域と、導電性樹脂で形成され、第1の領域の外周を包囲する接着部と、を備えるので、防水性が向上し、対向電極への浸水等を防ぐことができる。
(2)また、本発明の腐食センサにおいて、樹脂で形成され、前記検知部、前記対向電極および前記誘電体を収容するケース本体をさらに備え、前記ケース本体の一側面には、前記第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、前記検知部が前記開口部を内側から閉塞するように、前記接着部と前記ケース本体とが接着されたことを特徴とする。
このように、樹脂で形成され、検知部、対向電極および誘電体を収容するケース本体をさらに備え、ケース本体の一側面には、第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、検知部が開口部を内側から閉塞するように、接着部とケース本体とが接着されているので、接着部とケースとの密着性が向上し、対向電極への浸水等を防ぐことができる。
(3)また、本発明の腐食センサは、腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える鋼材の腐食環境を検出する静電容量型腐食センサであって、前記検知部は、腐食環境に曝される第1の領域と、導電性を有し、前記第1の領域3aの外周を包囲する第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、接着剤が充填される貫通孔と、前記第1の領域と前記第2の領域とを電気的に接続する少なくとも1つの導通部と、を備えることを特徴とする。
このように、検知部は、腐食環境に曝される第1の領域と、導電性を有し、第1の領域の外周を包囲する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に設けられ、接着剤が充填される貫通孔と、第1の領域と第2の領域とを電気的に接続する少なくとも1つの導通部とを備えるので、第1の領域と第2の領域との間に設けられた貫通孔に接着剤を充填することができる。誘電体に接着剤を塗布することになるため、接着剤の材料に誘電体を形成する樹脂と熱膨張係数が近似する材料を用いることで、熱膨張係数の違いによる付着切れの発生を抑制することができる。その結果、防水性が向上し、対向電極への浸水等を防ぐことができる。
(4)また、本発明の腐食センサにおいて、少なくとも前記貫通孔の前記第1の領域との境界部は、ラウンド形状であることを特徴とする。
このように、少なくとも貫通孔の第1の領域との境界部は、ラウンド形状であるので、熱膨張係数の違いにより発生する応力を分散させることができ、鉄箔部と接着剤との付着切れの発生を抑制することできる。
(5)また、本発明の腐食センサにおいて、樹脂で形成され、前記検知部、前記対向電極および前記誘電体を収容するケース本体をさらに備え、前記ケース本体の一側面には、前記第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、前記検知部が前記開口部を内側から閉塞するように、前記貫通孔に充填された接着剤を介して前記誘電体と前記ケース本体とが接着されたことを特徴とする。
このように、樹脂で形成され、検知部、対向電極および誘電体を収容するケース本体をさらに備え、ケース本体の一側面には、第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、検知部が開口部を内側から閉塞するように、貫通孔に充填された接着剤を介して誘電体とケース本体とが接着されるので、接着部とケースとの密着性が向上し、対向電極への浸水等を防ぐことができる。
(6)また、本発明の腐食センサは、前記第1の領域の外縁部を被覆する防水処理層をさらに備えることを特徴とする。
このように、第1の領域の外縁部を被覆する防水処理層をさらに備えるので、対向電極への浸水を防ぎ、防水性を向上させることができる。
本発明によれば、腐食センサに浸水することによって検知部と対向電極との間の絶縁性が失われてしまうことを防ぎ、腐食環境進展状況を把握することを可能とする高精度な腐食センサを提供することができる。
第1の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 図1に示した腐食センサをA−Aで切断した場合の断面図である。 図1に示した腐食センサをB−Bで切断した場合の断面図である。 モルタルに埋設する本腐食センサの概略を示す図である。 第1の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 第1の実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。 第3の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。 第4の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。
[腐食センサの測定原理]
誘電正接は、抵抗値の増加によって増加する。また、静電容量は、電極(検知部)の欠損によって変化する。従って、誘電正接を検知することによって、腐食センサの表面に発生した初期の腐食を検知することができる。また、リアクタンス、等価並列抵抗等の電気特性も腐食によって変化する。ここで、誘電正接の変化は、10kHz以上の高周波数領域で測定することが望ましい。さらに加えて、腐食の進展を静電容量の減少度合いとを総合して判断することによって、より高い精度で腐食状態を把握することが可能となる。
平行平板導体(検知部)の誘電正接tanδは、ω:角周波数、C:静電容量、R:直列等価抵抗との間に、以下の関係がある。
tanδ=ωCR ・・・(1)
平行平板導体(検知部)の静電容量Cは、平行平板導体の面積S、平行平板導体間の間隔dとの間に、以下の関係がある。
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(2)
ここで、εは、誘電率である。
本実施形態に係る腐食センサは、この原理を用いる。すなわち、センサの検知部が腐食因子によって鉄箔表面が腐食していくと、電気抵抗が上昇する。従って、誘電正接は比例して上昇する。その後、鉄箔の腐食が進展し、鉄箔部の欠損減少に至ることで、静電容量は低下をはじめる。静電容量の減少度合いを捉えることによって、検知部の面積の減り具合、ひいては腐食環境の進展具合を把握することが可能となる。静電正接は、静電容量の低下が抵抗の上昇より卓越した場合、低下していくこととなる。
従って、誘電正接の上昇は、初期の軽微な腐食開始を捉え、その後、誘電正接の低下や静電容量の低下がみられた場合、鉄箔部の欠損が生じていると予想されるため、腐食の進展が進んできていることを検知できる。
[第1の実施形態]
[腐食センサの構成]
図1は、本実施形態に係る静電容量型腐食センサ(以下、腐食センサ)の概略構成を示す平面図である。図2Aは、図1に示した腐食センサ1をA−Aで切断した場合の断面図である。図2Bは、図1に示した腐食センサ1をB−Bで切断した場合の断面図である。この腐食センサ1は、鉄などの腐食性の金属を圧延することにより作製され、本実施形態では3μm以上0.1mm以下の厚さを有する検知部としての鉄箔部3と、誘電体5と、リード線7と、対向電極9と、を備える。
鉄箔部3の厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に、ひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、鉄箔部3の面積は、誘電正接によって初期の軽微な腐食開始を捉えることができるので、面積は小さくても良いが、静電容量で腐食進展状況を段階的に捉える場合は、大きい方が望ましい。鉄箔部3の面積は、好ましくは300mm以上とすることで、鉄箔部3の急激な腐食反応の進展を抑制して、長期間センサとして計測することができる。
鉄箔部3は、第1の領域3a、第2の領域3bで構成されている。第1の領域3aと第2の領域3bとは、導通部11で電気的に接続されている。図1では、導通部11は2つ設けられているが、第1の領域3aと第2の領域3bとが、電気的に導通可能な状態となっていれば良く、導通部11は損傷に備えて複数設けることが好ましい。
第1の領域3aは、腐食センサ1の検知面であり、複数の貫通孔13が設けられている。複数の貫通孔13を、第1の領域3a内に設けることで、腐食が容易に進展し、一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、鉄箔部3が島状に取り残されることが少なく、電気的な導通が確保される。また、第1の領域3aに設けられた貫通孔13は、メッシュ状であっても良いし、スリット状であっても良い。
第1の領域3a上の各貫通孔13の平面形状は、エッチングによる形成においての形成精度や歩留まりの観点から、円形としているが、これに限定されるわけではない。例えば、矩形(正方形)や他の形状であっても良い。エッチングは、形成対象の形状として角が生じると、エッチングにおける金属溶解の応力によって、隅角部に亀裂が生じ、エッチング液が隅角部に対流して局所的に金属溶解が進展し、所定の形状が形成できない場合がある。
一方、貫通孔の平面形状が円形である場合は、そのような応力が分散されやすい。また、隅角部での滞留も生じないため、金属箔部の貫通孔の形成における形成精度や歩留まりが向上する。その結果、品質の安定化やコスト削減に資することが可能となる。
第1の領域3aと第2の領域3bとの間には、第1の領域3aの外周に沿うように、貫通孔21が設けられている。この貫通孔21は、腐食センサ1を構造物に設置する際に、誘電体5を形成する樹脂と熱膨張係数が近似する接着剤(例えば、エポキシ樹脂)を充填するために設けられている。
図3は、モルタルまたはコンクリートに埋設する本実施形態に係る腐食センサの概略を示す図である。腐食センサ1は、接着剤43でケース41に接着されている。腐食センサ1は、静電正接および静電容量の計測を行なうため、リード線7を接続し、リード線7の接続部が腐食しないよう、鉄箔部3(第1の領域3a)のみが表面に露出するように、ケース41で外装され、ケース内部が樹脂45で充填されている。
このように構成したのは、リード線7の腐食を防止するためであり、また、周りに充填されるコンクリートの含水状態により誘電率が変動することから、その影響を回避するためである。さらに、腐食センサ1をコンクリート充填時の衝撃から保護する意味もある。
そして、ケース41に腐食センサ1を接着する際に用いる接着剤43を、腐食センサ1の貫通孔21に充填し、接着に用いた樹脂(例えば、エポキシ樹脂)と熱膨張係数が近い樹脂で形成された誘電体5と接着させることにより、接着剤と誘電体との接着面において、熱膨張係数の違いによる接着のずれをなくすことができる。その結果、外部からの浸水を防ぐことができる。
すなわち、従来、腐食センサを設置する場合、検知面の周囲に接着剤を塗布して、鉄箔部が、ケースの内側から、鉄箔部と実質的に同一(多少大きくとも小さくとも良い)の面積および形状を有する開口部を介して腐食環境に曝されるように、ケースに腐食センサを固定していたが、接着剤と鉄との熱膨張係数が異なるため、温度変化によって両者の膨張量(変位量)にずれが生じ、接着剤が剥がれたり、両者の間に間隙が生じたりすることがあった。その結果、腐食センサに浸水し、鉄箔部と対向電極とが導通してしまい、腐食センサは静電容量センサとして機能しなくなってしまうことがあった。
そこで、本実施形態では、腐食センサ1の鉄箔部3(第1の領域3a)の外周部分に貫通孔21を設け、腐食センサ1を設置する際に、誘電体5を形成する樹脂と熱膨張係数が近似する接着剤43を貫通孔21に充填させることで、接着性を確保した。この貫通孔の境界部21aの形状は、ラウンド形状であることが好ましい。貫通孔の境界部21aの形状をラウンド形状にすることで、熱膨張係数の違いにより発生する応力を分散でき、その結果、鉄箔部3との付着切れの発生を抑制することができる。また、ケース41もアクリルなどの樹脂を用いることで、同様に接着性が向上し、防水性が高くなる。
本実施形態では、ケースを用いた例を説明したが、必ずしもこれを必要とするわけではなく、上記の目的を達成することができるのであれば、ケースを使用せずに、例えば、樹脂だけでコーティングすることでも構わない。鉄箔部を保護するために、ケースで覆われない鉄箔部を腐食因子が浸透するモルタルで被覆しても良い。
また、鉄箔部3は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。鉄箔部3(特に、検知面となる第1の領域3a)の形状は、矩形であっても良いが、鉄箔部3を矩形とすると、腐食センサ1設置後、各材料の熱膨張係数の違いによる応力が隅角部に集中し、付着切れが発生してしまうことが考えられるため、円形がより好ましい。
導通部11は、鉄箔部と同材料で一体となって形成されていても良いし、レジスト等で防水処理を施した導電性ペーストで形成されていても良い。防水処理を施した導電性ペーストとしては、撥水剤を混合した導電性カーボンを用いても良い。例えば、第1の領域3aの外周に、貫通孔21および第2の領域3bが、環状に形成されている場合であっても、第1の領域3aと第2の領域3bとが、導電性ペースト等で電気的に導通されていれば良い。
式(1)および式(2)から明らかなように、誘電率の大きさが、誘電正接や静電容量の変化に大きく関与するため、誘電体5は、誘電率が3以上の誘電体であることが望ましく、その厚さは0.05mm〜2mmが望ましく、温度による変化が少ない誘電体が望ましい。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。誘電体5としては、誘電率が3.3であるポリイミドフィルムが好ましい。
対向電極9は、耐腐食性が高い性能を有した金属が好ましい。鉄箔の腐食による減少を電気特性で捉えるためには、対向電極9の面積が変化しないことが前提である。対向電極9には、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、対象である金属よりイオン化傾向の小さく導電性を有した金属であり、鉄が対象の場合はパラジウム、銅、ニッケル等を用いることができる。また、圧延以外にもスパッタリングや蒸着、メッキ等で成膜して形成する方法もある。対向電極9の厚さは問わない。
また、図4に示すように、リード線7を含む鉄箔部3(第2の領域3b)には、腐食しない材質で腐食防止膜30を設けても良く、例えば、樹脂や白金等の金属等を用いることができる。中でも、腐食進展状況を段階的に捉えるために樹脂等の絶縁体を用いることが好ましい。この樹脂は、塗布したりシールを貼り付けたりすれば良い。一方、金属とする場合は、金または白金の他、パラジウム、銅、鉛、スズ、ニッケル、またはこれらの合金等、被膜の材料である金属箔部より貴な金属を用いることが可能であり、湿式めっき法および乾式メッキ法、あるいは蒸着により箔層を形成できる。金属を用いる場合は、金属箔部との電位差が生じて、腐食が早く進展するので、早期の腐食検知を行ないたい場合に有用である。
[腐食センサの製造方法]
図5は、本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。まず、金属箔部としての鉄を圧延して鉄箔を製造する(ステップS101)。鉄箔は、3μm以上0.1mm以下の厚さを有するものとする。ここで、鉄箔は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。
次に、鉄箔材とポリイミド材との貼り合わせを行ない(ステップS102)、センサパターンのレジスト印刷を行なう(ステップS103)。次に、ケミカルエッチングを行なう(ステップS104)。ここでは、貫通孔も形成される。次に、対向電極としての対極板を形成する(ステップS105)。ここでは、例えば、スパッタリング、金属蒸着、プレーティング、金属塗料、金属板・金属箔の貼付などを用いることができる。次に、リード線の接続と防水加工を施し(ステップS106)、貫通孔への接着剤の充填、導通部への導電ペーストの充填、ケースの接着などセンサの外装を行なう(ステップS107)。
[腐食センサの設置]
腐食の測定対象となる金属構造物、例えば、鋼橋やプラント設備、街路灯、土中埋設管、タンク、船舶などに保護塗料を塗布する場合、塗布前の金属材料の表面に、上記説明した本実施形態に係る腐食センサを接着剤等で貼付する。貼付する際は、構造物の電気状態の影響を受ける場合があるので、樹脂のテープ、シールあるいは接着剤自体で絶縁することが好ましい。センサの検知部は、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、鉄箔に換えてステンレスやアルミニウム等の金属とすれば良い。その後、金属構造物と同様に保護塗料を塗布する。ケーブルは、保護塗料の外部に出しても出さなくても良い。ケーブルを出さない場合は、そのまま塗膜の下にセンサを埋設し、測定する際は、センサを被覆している塗膜を剥離し、直接計測器を接続して、腐食に伴う電気信号を計測する。また、無線方式を用いて、電磁的に測定を行なっても良い。これにより、ケーブルを引きだした場合に生じる塗膜の欠陥を生じることなく、センサを設置することができる。
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。腐食センサ1の鉄箔部3は、第1の実施形態と同様、第1の領域3aと第2の領域3bで構成される。第1の領域3aの外周に沿うように複数の貫通孔21が設けられており、第1の領域3aと第2の領域3bとは複数の導通部11で電通している。このように、導通部11を複数設けることにより、導通部11にかかる応力を分散させることができ、その結果、鉄箔部3の付着切れの発生を抑制することができる。また、複数設けることで万が一導通部が1箇所破損しても導通を確保できる。また、導通部を斜めに設けて距離を長くすることで、導通部を介して水がケース内に侵入しづらいようにしている。第1の実施形態と同様、この貫通孔の境界部21aの部分は、ラウンド形状であることが好ましい。貫通孔の境界部21aの部分をラウンド形状にすることで、鉄箔部3の付着切れの発生を抑制することができる。なお、第2の実施形態において、誘電体5、リード線7、対向電極9、および貫通孔13等の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。腐食センサ1の鉄箔部3は、第1の領域3aで構成される。接着部51は、導電性樹脂で形成され、第1の領域3aの外周を包囲するように設けられており、導電性樹脂は、誘電体に接着している。他の実施形態における貫通孔と鉄箔部との境界部分と同様、接着部51と第1の領域3aとの境界部分は、ラウンド形状であることが好ましい。接着部51と第1の領域3aとの境界部分をラウンド形状にすることで、熱膨張係数の違いにより発生する応力を分散でき、その結果、鉄箔部3の付着切れの発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る腐食センサ1では、第2の領域、および導通部を設けることを必要としない。接着部51に用いる導電性樹脂に、誘電体5を形成する樹脂と熱膨張係数が近似する樹脂を用いることで、導電性を確保することに加え、接着性を向上させることができる。接着部51に用いる樹脂は、必ずしも接着性を有する必要はなく、導電性樹脂に接着剤を塗布して、誘電体5およびケース41と接着させても良い。また、リード線7は、接着部51に接続すれば良いが、第1の実施形態と同様に接着部51の外周を包囲するように鉄箔部を設けて接続しても良い。なお、第3の実施形態において、誘電体5、対向電極9、および貫通孔13等の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[第4の実施形態]
図8は、第4の実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す図である。図8は、鉄箔部3の第1の領域3aと、第1の領域3aの外周に設けられた貫通孔21との境界部に防水処理層61がさらに設けられている。防水処理層61は、撥水剤を塗布するなどの撥水処理が行なわれている層である。このように、防水処理層61を設けることで、さらに防水効果を向上させることができる。図8に示すように、本実施形態では、2つの貫通孔21を備えた例を示したが、これに限られるわけではない。例えば、図6に示すように複数の貫通孔21を備えていても良いし、図7に示すように接着部を備えていても良い。なお、第4の実施形態において、誘電体5、リード線7、対向電極9、および貫通孔13等の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、防水性を確保した上で、腐食環境の進展状況を把握することができ、高精度で、低コスト化を図ることができる静電容量型腐食センサを提供することができる。
1 腐食センサ
3 鉄箔部
3a 第1の領域
3b 第2の領域
5 誘電体
7 リード線
9 対向電極
11 導通部
13 貫通孔
21 貫通孔
21a 貫通孔の境界部
30 腐食防止膜
41 ケース
43 接着剤
45 樹脂
51 接着部
61 防水処理層

Claims (6)

  1. 腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える鋼材の腐食環境を検出する静電容量型腐食センサであって、
    前記検知部は、
    腐食環境に曝される第1の領域と、
    導電性樹脂で形成され、前記第1の領域の外周を包囲する接着部と、を備えることを特徴とする静電容量型腐食センサ。
  2. 樹脂で形成され、前記検知部、前記対向電極および前記誘電体を収容するケース本体をさらに備え、
    前記ケース本体の一側面には、前記第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、
    前記検知部が前記開口部を内側から閉塞するように、前記接着部と前記ケース本体とが接着されたことを特徴とする請求項1記載の静電容量型腐食センサ。
  3. 腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える鋼材の腐食環境を検出する静電容量型腐食センサであって、
    前記検知部は、
    腐食環境に曝される第1の領域と、
    導電性を有し、前記第1の領域の外周を包囲する第2の領域と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間に設けられ、接着剤が充填される貫通孔と、
    前記第1の領域と前記第2の領域とを電気的に接続する少なくとも1つの導通部と、を備えることを特徴とする静電容量型腐食センサ。
  4. 少なくとも前記貫通孔の前記第1の領域との境界部は、ラウンド形状であることを特徴とする請求項3記載の静電容量型腐食センサ。
  5. 樹脂で形成され、前記検知部、前記対向電極、および前記誘電体を収容するケース本体をさらに備え、
    前記ケース本体の一側面には、前記第1の領域と実質的に同一の面積および形状を有する開口部が設けられ、
    前記検知部が前記開口部を内側から閉塞するように、前記貫通孔に充填された接着剤を介して前記誘電体と前記ケース本体とが接着されたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の静電容量型腐食センサ。
  6. 前記第1の領域の外縁部を被覆する防水処理層をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の静電容量型腐食センサ。
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