JP2013147473A - 抗ウイルス用粒子および該粒子を含有する製品 - Google Patents

抗ウイルス用粒子および該粒子を含有する製品 Download PDF

Info

Publication number
JP2013147473A
JP2013147473A JP2012010795A JP2012010795A JP2013147473A JP 2013147473 A JP2013147473 A JP 2013147473A JP 2012010795 A JP2012010795 A JP 2012010795A JP 2012010795 A JP2012010795 A JP 2012010795A JP 2013147473 A JP2013147473 A JP 2013147473A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antiviral
vinyl
carboxyl group
particle
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012010795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5979577B2 (ja
Inventor
Takuzo Komiyama
拓三 小見山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Exlan Co Ltd
Original Assignee
Japan Exlan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Exlan Co Ltd filed Critical Japan Exlan Co Ltd
Priority to JP2012010795A priority Critical patent/JP5979577B2/ja
Publication of JP2013147473A publication Critical patent/JP2013147473A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5979577B2 publication Critical patent/JP5979577B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】ウイルスの除去に対する高いニーズに応じ、ウイルスの撲滅あるいはウイルスの増殖抑制に関する技術が各種提案されている。しかし、カルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体粒子については抗ウイルス性能があることは全く知られていなかった。本発明の目的はこれまで知られていなかった該粒子の抗ウイルス性能に基づく新たな用途を提供することにある。
【解決手段】0.5〜12mmol/gのH型カルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体からなる抗ウイルス用粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は抗ウイルス性能を有する粒子および該粒子を付与して得られる製品に関する。
ウイルス感染は、ウイルス感染者から放出されたウイルスを含む飛沫(くしゃみ等)に直接接触する場合のみならず、ウイルス感染者が触れた衣服やタオルなどに接触(間接接触)することによっても生じる。例えばウイルス感染を防止する手段として一般的にマスクが使用されているが、使用時間が長くなると、マスクのフィルター部にウイルスが濃縮された状態となるため、マスクの脱着時にマスク本体に触れるとウイルスが手に付着し、その手でタオルや衣服に触れることによって、ウイルスがタオルや衣服に付着する。そして、第三者が該ウイルス付着箇所に触れると、手にウイルスが付着し、二次感染を引き起こす。
こうした問題に鑑み、ウイルスを撲滅するあるいはウイルスの増殖を抑制する技術が各種提案されている。例えば、銀を利用するもの(特許文献1、2)、4級アンモニウムを利用するもの(特許文献3、4)、金属ピリチオンを利用するもの(特許文献5、6)などを挙げることができる。
一方、従来からカルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体粒子については検討が進められてきており、高吸放湿性(特許文献7)やpH緩衝性(特許文献8)などの機能を発現させることができることなどが知られている。しかし、これらの重合体粒子について、抗ウイルス性能があることは全く知られていなかった。
国際公開第2005/083171号パンフレット 特開平11−19238号公報 特開2008−115506号公報 特開2001−303372号公報 特開2006−9232号公報 特開2005−281951号公報 特開2001−11320号公報 特開平10−237126号公報
本発明は、上述した現状に鑑みて創案されたものであり、その目的は抗ウイルス性能を有するビニル系重合体粒子および該粒子を含有する抗ウイルス性能を有する製品を提供することにある。
本発明者は、上述の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、高吸放湿性、pH緩衝性などの機能を有することが知られているカルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体粒子がウイルスを不活性化する機能を有することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下の手段により達成される。
(1) 0.5〜12mmol/gのH型カルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体からなる抗ウイルス用粒子。
(2) ビニル系重合体が、共重合成分としてビニル基を2以上有する化合物を用いて共重合することにより架橋構造を導入されたものであることを特徴とする(1)に記載の抗ウイルス用粒子。
(3) ビニル系重合体が、共重合成分としてニトリル基を有する単量体を共重合し、該ニトリル基と1分子中の窒素数が2以上である窒素含有化合物を反応させることにより架橋構造を導入されたものであることを特徴とする(1)に記載の抗ウイルス用粒子。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を固着させたことを特徴とする抗ウイルス用製品。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を練り込んだことを特徴とする抗ウイルス性能を有する繊維。
(6) (1)〜(3)のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有するスプレー。
(7) (1)〜(3)のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有する塗料。
(8) (1)〜(3)のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有する製品。
本発明の抗ウイルス用粒子は、ウイルスを効率よく不活性化することができる。また、乾燥粉末状、水分散エマルジョン状、有機溶媒分散体状などの形態を取れるため、さまざまな用途、分野の製品に容易に適用でき、抗ウイルス性能を付与することができる。
本発明の抗ウイルス用粒子はビニル系重合体からなるものであるが、該ビニル系重合体はH型カルボキシル基および架橋構造を有していることが必要である。本発明において、H型カルボキシル基はウイルスを除去する機能を発現させる要因となっていると考えられる。カルボキシル基の型としては、H型であることが重要であるが、金属塩型カルボキシル基が共存していてもよい。また、架橋構造は、カルボキシル基による重合体の親水性を抑制するのに有効である。重合体の親水性が高まれば、吸水して膨潤したり、溶出したりして形状を維持できなくなり、用途展開するうえで大きな支障となりうる。
ビニル系重合体へのH型カルボキシル基の導入の方法としては、特に限定は無く、例えばH型カルボキシル基を有する単量体を単独重合又は共重合可能な他の単量体と共重合することによって重合体を得る方法、化学変性によりH型カルボキシル基を導入する方法、あるいはグラフト重合によりH型カルボキシル基を導入する方法等が挙げられる。
H型カルボキシル基を有する単量体を重合してH型カルボキシル基を導入する方法としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボキシル基を含有するビニル系単量体の単独重合、あるいは2種以上の該単量体からなる共重合、あるいは、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合により、共重合体を得る方法が挙げられる。
化学変性によりH型カルボキシル基を導入する方法としては、例えば化学変性処理すればカルボキシル基を得られるような官能基を有する単量体よりなる重合体を得た後に、加水分解によって塩型またはH型カルボキシル基に変性し、塩型カルボキシル基の場合にはイオン交換樹脂等でH型カルボキシル基に変換する方法が挙げられる。このような方法をとることのできる単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等の誘導体などが挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ノルマルプロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸ノルマルオクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のエステル化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノエチル(メタ)アクリルアミド、ノルマル−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物等が例示できる。
このほかにも、二重結合、ハロゲン基、水酸基、アルデヒド基等の酸化可能な極性基を有する重合体に酸化反応によりH型カルボキシル基を導入する方法も用いることができる。この酸化反応については、通常用いられる酸化反応を用いることができる。
上述のようにしてビニル系重合体にH型カルボキシル基を導入することができるが、該ビニル系重合体においては上記の単量体だけでなく、これらと共重合可能な他の単量体を共重合してもよい。例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリデン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソブテニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ジクロロ酢酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニル、モノフルオロ酢酸ビニル、ジフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミドおよびそのアルキル置換体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート、ビニルステアリン酸、ビニルスルフィン酸等のビニル基含有酸化合物、またはその塩、その無水物、その誘導体等;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハロゲン置換体;アリルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル類;N一ビニルフタルイミド、N一ビニルサクシノイミド等のビニルイミド類;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N一ビニルピロリドン、N一ビニルカルバゾール、ビニルピリジン類等の塩基性ビニル化合物;アクロレイン、メタクリロレイン等の不飽和アルデヒド類;グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル化合物を挙げることができる。
導入するH型カルボキシル基の量としては、実用上効果があるレベルとするため、抗ウイルス用粒子に対して、0.5mmol/g以上、好ましくは2mmol/g以上、より好ましくは3mmol/g以上とするのが望ましい。一方、粒子の膨潤や形状維持の観点から、H型カルボキシル基量は12mmol/g以下、好ましくは10mmol/g以下、より好ましくは8mmol/g以下であることが望ましい。
また、本発明に採用する架橋構造は特に限定はなく、共有結合による架橋、イオン架橋、ポリマー分子間相互作用または結晶構造による架橋等いずれの構造のものでもよい。架橋構造を導入する量としては、上述したH型カルボキシル基量および最終的に得られる抗ウイルス用粒子に必要なその他の特性を勘案して決定すればよい。すなわち、高い抗ウイルス用性能が必要であれば、架橋構造を少なくし、できるだけ多くのH型カルボキシル基を導入することが望ましいし、形態安定性が求められるならば、架橋構造を多くすることが望ましい。
また、架橋構造を導入する方法においても、特に限定はなく、骨格となる重合体の重合段階における架橋性単量体による架橋、重合体を得た後での後架橋、物理的なエネルギーによる架橋構造の導入など、一般に用いられる方法によることができる。特に、骨格となる重合体の重合段階で架橋性単量体を用いる方法、および重合体を得た後の後架橋による方法では、共有結合による強固な架橋を導入することが可能である。
例えば、架橋性単量体を用いる方法では、既述の架橋性ビニル化合物を、カルボキシル基を有する、あるいはカルボキシル基に変性できる官能基を有する単量体と共重合することにより共有結合に基づく架橋構造を導入することができる。なお、カルボキシル基に変性できる官能基を有する単量体を採用する場合には、架橋構造導入後に加水分解処理などによってカルボキシル基への変性を行うことになるので、かかる処理において損なわれることのない架橋構造を導入できる架橋性単量体を採用することが望ましい。
このような方法により導入される架橋構造としては、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル化合物により誘導されたものを挙げることができ、なかでもトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミドによる架橋構造は、カルボキシル基を導入するための加水分解等の際にも化学的に安定であるので望ましい。
具体的な例としては、架橋性単量体としてジビニルベンゼン、カルボキシル基に変性できる官能基を有する単量体としてアクリロニトリルを採用する例が挙げられる。共重合組成については、最終的に得られる抗ウイルス用粒子に求められる抗ウイルス性能、すなわち、上述したH型カルボキシル基量や形態安定性等を考慮して、適宜設定すればよく、例えば、ジビニルベンゼンを10重量%以上、アクリロニトリルを50重量%以上使用する例が挙げられる。
また、後架橋による方法としても特に限定はなく、例えば、ニトリル基を有するビニルモノマーを共重合させたニトリル系重合体の含有するニトリル基と、ヒドラジン系化合物またはホルムアルデヒドを反応させる後架橋法を挙げることができる。なかでもヒドラジン系化合物による方法は酸、アルカリに対しても安定であり、好ましく採用できる。なお、該方法により得られる架橋構造に関しては、その詳細は同定されていないが、トリアゾール環あるいはテトラゾール環構造に基づくものと推定されている。
ここでいうニトリル基を有するビニルモノマーとしては、ニトリル基を有する限りにおいては特に限定はなく、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、コスト的に有利であり、また、単位重量あたりのニトリル基量が多いアクリロニトリルが最も好ましい。
後架橋による方法の具体的な例としては、アクリロニトリル系重合体とヒドラジン系化合物との反応により架橋構造を導入する例が挙げられる。かかる例においては、アクリロニトリル系重合体の共重合組成については、最終的に得られる抗ウイルス用粒子に求められる抗ウイルス性能、すなわち、上述したH型カルボキシル基量や形態安定性等を考慮して、適宜設定すればよいが、アクリロニトリル50重量%以上を採用することが望ましい。また、架橋構造の導入量に関わるヒドラジン系化合物との反応条件については、アクリロニトリル系重合体をヒドラジン系化合物濃度が5〜60重量%の水溶液中で、50〜150℃、5時間以内で処理する条件などを挙げることができる。
なお、ここに使用するヒドラジン系化合物としては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭化水素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネイト等のヒドラジンの塩類、およびエチレンジアミン、硫酸グアニジン、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、リン酸グアニジン、メラミン等のヒドラジン誘導体を例示することができる。
次に、加水分解反応によりH型カルボキシル基を導入する方法については、既知の加水分解条件を利用することができる。例えば、上述のようにして得られた架橋構造を有するニトリル系重合体に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物やアンモニア等の塩基性水溶液、或いは硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸または、蟻酸、酢酸等の有機酸を添加し、加熱処理する手段等が挙げられる。なお、前記の架橋導入と同時に加水分解反応を行うこともできる。
また、本発明の抗ウイルス用粒子の形態は、乾燥粉末状、水分散エマルジョン状、有機溶媒分散状など用途に応じて任意に選定できる。粒子径が5μm以下の場合、取り扱いおよび安定性の点から、水に分散したエマルジョン状のものが有利である。
本発明において採用する重合方法としては、特に限定はないが、懸濁重合や乳化重合などを挙げることができる。上述したアクリロニトリルを用いたニトリル系重合体の場合、重合体自体の凝集力が強いため乳化重合が難しい場合があるが、重合温度100℃以上の高温高圧下での乳化重合を行うことにより良好なエマルジョンを得ることができる。
また、本発明の抗ウイルス用粒子は、これをさまざまな製品に含有させることにより、その用途がより広範となる。例えば、繊維、紙、不織布、織物、編み物、シート、発泡体などに含有させた場合、気体との接触面積が大きく、かつ形態保持性が優れていることより、抗ウイルス用製品として有用なものが得られる。
本発明の抗ウイルス用粒子を含有させる方法としては、特に制限はなく、さまざまな方法を採用することができる。例えば、該粒子を繊維、紙、不織布、織物、編み物、シート、発泡体等に対して、製造過程で混入する方法やバインダーとともに塗布する方法が挙げられ、エマルジョン状であれば、そのまま含浸、塗布する方法も可能である。また本発明の抗ウイルス用粒子は塗料に混ぜて用いたり、スプレーに添加することもできる。
また、繊維の場合には、紡糸原液に本発明の抗ウイルス用粒子を添加して含有させる、いわゆる繊維に練り込む方法を採用することができる。樹脂成形体の場合には樹脂組成物に本発明の抗ウイルス用粒子を添加して含有させ、成形加工する方法を採ることができる。
上記繊維として制限は無いが、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート繊維等が挙げられる。
上記バインダーとして使用できるものとしては特に限定はされず、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリメタクリレート樹脂系、ポリビニルアルコール系バインダー等を例示することができる。
以下に本発明の理解を容易にするために実施例を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本発明の要旨はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中、部及び百分率は特に断りのない限り重量基準で示す。
<抗ウイルス性能の評価>
抗ウイルス性能はインフルエンザウイルスA(H1N1)PR8株を用いた50%感染価法[TCID50]で評価した。乾燥試料10mgに対してウイルス液を10mLを加え、28℃に維持しながら1時間振盪した後、遠心分離処理(3000rpm、30分間)する。遠心分離処理後、上澄液を10倍段階希釈し、Madin−Darby Canine Kidney細胞(MDCK細胞)を用いてTCID50(50%感染価)を測定し、ウイルス感染価log10(TCID50/mL)を算出した。また、ブランクに関しては、試料を用いず上記と同様の操作を行い、ウイルス感染価を算出した。得られたウイルス感染価を用いて、下記式より、ウイルスの不活性化率を算出した。
ウイルス不活性化率(%)=100×(10ブランクのウイルス感染価−10試料のウイルス感染価)/(10ブランクのウイルス感染価
<H型カルボキシル基量の測定>
純水100mlに固形分(A[%])のエマルジョン状の抗ウイルス用粒子(B[g])を加え、スターラーで攪拌しながら0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からH型カルボキシル基に消費された水酸化ナトリウム水溶液消費量(C[ml])を求め、次式によってカルボキシル基量を算出した。
H型カルボキシル基量[mmol/g]=0.1×C/(B×A×0.01)
<実施例1〜5>
アクリロニトリル58%、アクリル酸メチル9%、ジビニルベンゼン30%、及びp−スチレンスルホン酸ナトリウム3%からなるモノマー混合物30部を、モノマー比で1.2%の過硫酸アンモニウムを含む水溶液70部に添加し、攪拌機つきの重合槽に仕込んだ後に135℃、25分間重合した。得られた重合体エマルジョン90部に40%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、95℃で加水分解を行った。この時の反応時間を調整することで抗ウイルス用粒子のカルボキシル基量を調整した。得られたエマルジョンを陽イオン交換樹脂によりpH2.5に調整することでカルボキシル基をH型とし、エマルジョン状の抗ウイルス用粒子を得た。このエマルジョンを120℃の乾燥機で3時間乾燥させて得られた抗ウイルス用粒子10mgを用いて抗ウイルス性能を評価した結果を表1に示す。
Figure 2013147473
表1からH型カルボキシル基量が増えるにつれてウイルス不活性化率が向上していることが分かる。医療分野のように高度の抗ウイルス性能が求められる分野においては、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上のウイルス不活性化率が求められるが、実施例1〜3の抗ウイルス用粒子はかかる分野に対しても十分利用できるような優れた抗ウイルス性能を示すものである。

Claims (8)

  1. 0.5〜12mmol/gのH型カルボキシル基および架橋構造を有するビニル系重合体からなる抗ウイルス用粒子。
  2. ビニル系重合体が、共重合成分としてビニル基を2以上有する化合物を用いて共重合することにより架橋構造を導入されたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス用粒子。
  3. ビニル系重合体が、共重合成分としてニトリル基を有する単量体を共重合し、該ニトリル基と1分子中の窒素数が2以上である窒素含有化合物を反応させることにより架橋構造を導入されたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス用粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を樹脂により固着させたことを特徴とする抗ウイルス性能を有する製品。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を練り込んだことを特徴とする抗ウイルス性能を有する繊維。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有するスプレー。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有する塗料。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用粒子を含有することを特徴とする抗ウイルス性能を有する製品。
JP2012010795A 2012-01-23 2012-01-23 抗インフルエンザウイルス用粒子および該粒子を含有する抗インフルエンザウイルス用製品 Active JP5979577B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012010795A JP5979577B2 (ja) 2012-01-23 2012-01-23 抗インフルエンザウイルス用粒子および該粒子を含有する抗インフルエンザウイルス用製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012010795A JP5979577B2 (ja) 2012-01-23 2012-01-23 抗インフルエンザウイルス用粒子および該粒子を含有する抗インフルエンザウイルス用製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013147473A true JP2013147473A (ja) 2013-08-01
JP5979577B2 JP5979577B2 (ja) 2016-08-24

Family

ID=49045350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012010795A Active JP5979577B2 (ja) 2012-01-23 2012-01-23 抗インフルエンザウイルス用粒子および該粒子を含有する抗インフルエンザウイルス用製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5979577B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017036431A (ja) * 2015-08-06 2017-02-16 日本エクスラン工業株式会社 抗ウイルス用素材及び該素材を含有する抗ウイルス性を有する製品
JP2017186555A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性を有するポリマー粒子およびその製造方法
JP2019173202A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 東洋紡株式会社 抗ウイルス性繊維構造体
CN110777442A (zh) * 2019-11-06 2020-02-11 吉林师范大学 衣康酸胍基苯乙烯共聚消毒纤维制备方法
WO2023074805A1 (ja) * 2021-11-01 2023-05-04 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤及びウイルス感染阻止製品
WO2023171557A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止部材
WO2023171555A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤、ウイルス感染阻止粒子及びウイルス感染阻止塗料
WO2024053654A1 (ja) * 2022-09-07 2024-03-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤、樹脂組成物、合成樹脂成形用マスターバッチ及びウイルス感染阻止製品

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10237126A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Japan Exlan Co Ltd pH緩衝・調湿性重合体及びその製造方法ならびに該重合体を含有したシートまたは化粧料

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10237126A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Japan Exlan Co Ltd pH緩衝・調湿性重合体及びその製造方法ならびに該重合体を含有したシートまたは化粧料

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017036431A (ja) * 2015-08-06 2017-02-16 日本エクスラン工業株式会社 抗ウイルス用素材及び該素材を含有する抗ウイルス性を有する製品
JP2017186555A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性を有するポリマー粒子およびその製造方法
JP2019173202A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 東洋紡株式会社 抗ウイルス性繊維構造体
JP7145407B2 (ja) 2018-03-28 2022-10-03 東洋紡株式会社 抗ウイルス性繊維構造体
CN110777442A (zh) * 2019-11-06 2020-02-11 吉林师范大学 衣康酸胍基苯乙烯共聚消毒纤维制备方法
WO2023074805A1 (ja) * 2021-11-01 2023-05-04 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤及びウイルス感染阻止製品
WO2023171557A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止部材
WO2023171555A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤、ウイルス感染阻止粒子及びウイルス感染阻止塗料
WO2024053654A1 (ja) * 2022-09-07 2024-03-14 積水化学工業株式会社 ウイルス感染阻止剤、樹脂組成物、合成樹脂成形用マスターバッチ及びウイルス感染阻止製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5979577B2 (ja) 2016-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5979577B2 (ja) 抗インフルエンザウイルス用粒子および該粒子を含有する抗インフルエンザウイルス用製品
JPH01207327A (ja) 吸水性樹脂の表面処理方法
JP6819924B2 (ja) 抗ウイルス用素材及び該素材を含有する抗ウイルス性を有する製品
JP6833186B2 (ja) ポリビニルカルボン酸アミド架橋重合体粒子の製造方法
JP3259143B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JPH09124874A (ja) アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物
JPH0469601B2 (ja)
WO2007129440A1 (ja) 複合繊維の製造方法
JPH01249808A (ja) 耐塩性吸水性樹脂微粒子の製造方法
JP5076935B2 (ja) アレルゲン除去用粒子および該粒子を付与してなるアレルゲン除去用製品
JP6079981B2 (ja) 抗インフルエンザウイルス用架橋アクリレート系繊維および該繊維を含有する抗インフルエンザウイルス用繊維構造物
JP5136076B2 (ja) アレルゲン除去性能を有する製品
JP5480998B1 (ja) 繊維加工用インフルエンザウイルス感染阻止剤、これを用いた繊維製品及びその製造方法
JP6846773B2 (ja) 多孔質構造を有するポリビニルカルボン酸アミド架橋重合体球状粒子及びその製造方法
JP5088581B2 (ja) 抗ウイルス用繊維および該繊維を含む繊維構造物
JP5152669B2 (ja) 硫化水素除去性複合体および該複合体を含有する成形体
JP4844076B2 (ja) 架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途
JP2003165812A (ja) 熱架橋性樹脂組成物
JP7450874B2 (ja) ホルムアルデヒドガス捕捉剤
JP6325225B2 (ja) 新規架橋重合体
JP5427984B2 (ja) スルホン酸基含有両性水溶性高分子水溶液およびその製造方法
JP2012207360A (ja) 防錆シート
WO2005066229A1 (ja) 両性高分子架橋体及び製造方法
JP2002348301A (ja) キトオリゴ糖誘導体
JP2511840B2 (ja) スルホン酸基含有アクリルアミド系架橋樹脂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160704

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5979577

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160717

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250