JP2013147242A - 車両運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る車両運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両運転支援装置100は、車両10の静的計測が行われる計測手段30と、静的計測に基づいて、動力学として扱うべき遠心力が車両10に作用する場合の車両10の転倒リスクが高いか否かを判定する制御手段40と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は車両運転支援装置に関する。
車両が積荷を積載したとき、積荷の積載状態により車両の転倒等の走行不安定が生じ得る恐れがあることはよく知られている。例えば、トレーラートラックの転倒は、近年、社会問題になっているが、トラクターに牽引されるコンテナ内の積荷の積載次第、および、運転者のハンドル操作次第で、トレーラートラックの転倒リスクの高低に影響が生じる。
詳しくは、積荷が、トレーラートラックの幅方向に対して左右何れかに偏ってコンテナに積載された状態(つまり、片荷)では、必然的にトレーラートラック全体の重心が左右の何れかに偏る。このとき、重心の偏りの反対側(以下、「偏りの反対側」と略す場合がある)にハンドルを操作すると、重心がトレーラートラックの幅方向中央に存在する場合に比べ、転倒しやすい。逆に、重心の偏り側(以下、「偏り側」と略す場合がある)にハンドルを操作すると、重心がトレーラートラックの幅方向中央に存在する場合に比べ、転倒しにくい。
このように、積荷が片荷の場合、ハンドルの操作如何によって、トレーラートラックの転倒リスクの高低には天と地の差がある。このため、仮に偏り側にハンドル操作を行った直後、トレーラートラックが走行不安定に陥らなかった場合、運転者が、トレーラートラックの転倒リスクが低いと錯誤し、このことが、偏りの反対側へのハンドル操作時におけるトレーラートラックの転倒を誘発する。
以上の点に鑑み、トレーラートラックの転倒リスクの適切な把握には、トレーラートラックの重心位置を知ることが不可欠であると考えられる。
そこで、特許文献1では、トラックスケールを用いて、トレーラートラックの片荷の指標となる水平方向の重心位置を測定できる技術が提案されている。
特開2011−232096号公報
車両の重心は、3次元空間上に存在するので、車両の重心位置を定めるには、3個の変数を必要とする。特許文献1は、車両の高さ方向の重心位置(以下、「重心高」と略す場合がある)の測定は対象とせず、車両の全長方向および幅方向を2つの重心位置(以下、「水平面重心位置」と略す場合がある)のみを測定対象とする。よって、車両運転時の精度良い転倒リスクの判定には、別途、車両の重心高を求める必要がある。
つまり、車両に遠心力が作用する曲路では、車両の転倒リスクは、水平面重心位置の他、重心高にも大きく依存する。
トレーラートラックで例示すると、積荷の高さ方向の重心が、コンテナ内の高い位置にある場合、トレーラートラック全体の重心も高くなる。すると、トレーラートラックの回転軸となるタイヤ端部とトレーラートラックの重心高との間の距離が長くなる。そして、この距離が長いほど、トレーラートラックが曲路を走行する場合に発生する遠心力のモーメントがトレーラートラックに大きく作用するので、転倒リスクは高くなる傾向がある。
ところで、車両の重心高は、例えば、トラックスケール等の重量計に特別な機構(トレーラートラックを乗せる載台を傾ける機構、載台を揺らす機構等)を組み込むと導出可能と考えられるが、この場合、重量計の部品点数が増え、コストが嵩む。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る車両運転支援装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクを表す指標を従来例よりも簡易に導き得る車両運転支援装置を提供することも目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のある形態(aspect)は、車両の静的計測が行われる計測手段と、前記静的計測に基づいて、動力学として扱うべき遠心力が前記車両に作用する場合の、前記車両の転倒リスクが高いか否かを判定する制御手段と、を備えた、車両運転支援装置を提供する。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御手段が、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重に相関する量および前記車両の総重量を導き、前記車両の偏荷重に相関する量と前記車両の総重量の2乗の値とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定してもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、「車両の偏荷重に相関する量と車両の総重量の2乗の値とに基づく」という基準が車両の転倒リスク判定において新たに導入され、これにより、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御手段が、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量および前記車両の総重量を導き、前記車両の偏荷重位置に相関する量と前記車両の総重量とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定してもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、「車両の偏荷重位置に相関する量と車両の総重量とに基づく」という基準が車両の転倒リスク判定において新たに導入され、これにより、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御手段が、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量を導き、前記車両の偏荷重位置に相関する量と前記車両の重心高とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定してもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、「車両の偏荷重位置に相関する量と車両の重心高とに基づく」という基準が車両の転倒リスク判定において新たに導入され、これにより、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記静的計測が、輪重計、軸重計およびトラックスケールの少なくとも一つの重量計による前記車両の重量測定を含んでもよく、前記制御手段は、前記少なくとも一つの重量計のロードセルの出力信号に基づいて前記車両の重量を演算し、前記車両の重心高と前記車両の重量との間の正の相関関係に基づいて、前記車両の重心高の予測値を導いてもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両の重心高を従来例よりも簡易に導くことができ、これにより、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記車両の重量が、前記車両の総重量でもよい。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記静的計測が、輪重計、軸重計およびトラックスケールの少なくとも一つの重量計による前記車両の重量測定を含んでもよく、前記制御手段は、前記少なくとも一つの重量計のロードセルの出力信号に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量を演算してもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両の偏荷重位置に相関する量を簡易に導くことができ、これにより、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記車両の転倒リスクを表す指標が、前記車両の重心高および前記車両の偏荷重位置に相関する量に基づいて定められてもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクを表す指標を簡易に定めることができる。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御装置が、前記車両の転倒リスクを表す指標を用いて、前記車両の重心位置に依存する転倒リスクの評価結果を導いてもよく、前記転倒リスクの評価結果を、報知装置を用いて運転者に報知してもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、運転者は、車両の転倒リスクが高いか否かを、上記評価結果により直感的に把握できる。そして、転倒リスクが低い側にハンドルを操作した直後でも、転倒リスクが高い側にハンドル操作をするとき、運転者がトレーラートラックの転倒リスクが低いと錯誤する可能性を低減できる。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記車両の転倒リスクを表す指標は、前記車両の重心高および前記車両の偏荷重位置に相関する量に基づいて定められ、前記制御装置は、前記車両の転倒リスクを表す指標を用いて、前記車両の重心位置の変化に依存する前記車両の転倒の安全率の変化を導いてもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、「車両の転倒の安全率」という概念が新たに導入され、車両の重心位置の変化に依存する上記安全率の変化を知ることができる。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御装置は、前記車両の総重量の変化に依存する前記安全率の変化を導いてもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、「車両の転倒の安全率」という概念が新たに導入され、車両の総重量の変化に依存する上記安全率の変化を知ることができる。
また、本発明のある形態は、車両の重量測定に用いるロードセルと、前記ロードセルの出力信号を受け取る制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記出力信号に基づいて前記車両の重量を演算し、前記車両の重心高と前記車両の重量との間の正の相関関係に基づいて、前記車両の重心高の予測値を導く、車両運転支援装置を提供する。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両の重心高を従来例よりも簡易に導き得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御手段が、前記出力信号に基づいて前記車両の水平面重心位置を演算するものであってもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、前記車両の水平面重心位置を簡易に導き得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記制御手段が、前記車両の重心高の予測値および前記車両の水平面重心位置を用いて前記車両に遠心力が作用する場合の前記車両の転倒リスクを表す指標を導くものであってもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両に遠心力が作用する場合の車両の転倒リスクを表す指標を従来例よりも簡易に導き得る。
また、本発明のある形態の車両運転支援装置は、前記車両が乗ることができる載台を備え、前記載台は前記ロードセルに支持されており、前記制御手段は、前記車両が前記載台に乗るときの前記ロードセルの出力信号に基づいて前記車両の重量および水平面重心位置を導くものであってもよい。
かかる構成により、本発明のある形態の車両運転支援装置では、車両の重量および水平面重心位置を簡易に導き得る。
本発明は、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得るという効果を奏する。また、本発明は、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクを表す指標を従来例よりも簡易に導き得るという効果も奏する。
図1は、本発明の実施形態による車両運転支援装置の重量計の一例を示した図である。 図2は、図1の車両運転支援装置の制御系の一例を示したブロック図である。 図3は、図2の制御装置の機能ブロック図である。 図4は、図1のトレーラートラックの重心高と、トレーラートラックの重量との正の相関関係の説明に用いる図である。 図5は、図1のトレーラートラックの積荷の積載状態に関する運転情報が報知装置において報知された例を示した図である。 図6は、図1のトレーラートラックの積荷の積載状態に関する運転情報が報知装置において報知された例を示した図である。 図7は、本発明の第1変形例による車両運転支援装置の重量計の一例を示した図である。 図8は、本発明の第1変形例による車両運転支援装置の重量計の他の例を示した図である。 図9は、本発明の第2変形例による車両運転支援装置の重量計の一例を示した図である。 図10(a)は、図1のトレーラートラックの転倒リスクの判定方法の一例を説明するための図であり、図10(b)は、鉛直方向(高さ方向)におけるトレーラートラック全体の重心とトレーラートラック自体の重心と積荷の重心との位置関係を示す図である。 図11は、図1のトレーラートラックの重心位置に依存する転倒リスクの相対評価の一例を説明するための図である。 図12は、図1のトレーラートラックの重心位置に依存する転倒リスクの相対評価結果の一例を示した図である。 図13は、図1のトレーラートラックの重心位置に依存する転倒リスクの相対評価結果の他の例を示した図である。
以下、本発明の好ましい実施形態およびその変形例並びにその実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、重複する要素の説明を省略する場合がある。
また、本発明は、以下の実施形態およびその変形例並びにその実施例に限定されない。つまり、以下の実施形態およびその変形例並びにその実施例の説明は、上記車両運転支援装置の特徴を例示しているに過ぎない。
(実施形態)
[車両運転支援装置の重量計]
図1は、本発明の実施形態による車両運転支援装置の重量計の一例を示した図である。
なお、本実施形態では、便宜上、図面において、車両10の全長方向を「前」および「後」の方向として図示し、車両10の幅方向を「左」および「右」の方向として図示している。そして、車両10が一対の載台20A,20Bの「後」から進入し、載台20A,20Bの「前」から退出するものとする。
また、以下の説明では、車両10の全長(進入)方向を、前後方向と言い換え、車両10の幅方向を左右方向と言い換える場合がある。そして、これらの2つの方向に直交する上下方向を鉛直方向という場合があり、「上」(図示せず)から「下」(図示せず)に重力が作用するものとする。
また、車両10には、前方の2本の車軸13,14(以下、「第1軸13」、「第2軸14」と略す場合がある)が牽引車両であるトラクター10A側に、後方の1本の車軸15(以下、「第3軸15」と略す場合がある)がトラクター10Aに牽引されるシャーシ10B側に配されており、これにより、車両10として、合計3本の車軸13,14,15を備える3軸のトレーラートラック10が例示されている。なお、シャーシ10B上には、積荷(図示せず)を格納可能なコンテナ10Cが乗っている。
車両運転支援装置100を平面視した場合、設置ベース25の表面には、矩形状の一対のピット部27が形成されている。そして、図1に示すように、これらのピット部27のそれぞれに、矩形かつ板状の載台20A,20Bが配されている。
載台20Aは、トレーラートラック10の左側の車輪のみが乗り込み得るように構成されており、4個のロードセル21A,21A,・・によって下方から支持されている。載台20Bは、トレーラートラック10の右側の車輪のみが乗り込み得るように構成されており、4個のロードセル21B,21B,・・によって下方から支持されている。
このようにして、本実施形態の車両運転支援装置100は、トレーラートラック10の左側の車輪の輪重を測定可能なピット埋込型の輪重計30Aと、トレーラートラック10の右側の車輪の輪重を測定可能なピット埋込型の輪重計30Bと、を備える。
そして、このような車両運転支援装置100では、輪重計30Aと輪重計30Bとからなる重量計30(軸重計)が、トレーラートラック10の左右の車輪の輪重測定の他、トレーラートラック10の第1軸13、第2軸14および第3軸15の軸重を、この順に計測可能に構成されている。
[車両運転支援装置での制御系]
図2は、図1の車両運転支援装置の制御系の一例を示したブロック図である。また、図3は、図2の制御装置の機能ブロック図である。
図2に示すように、車両運転支援装置100は、制御装置40と、操作装置41と、報知装置42と、データ検出器50と、を備える。
制御装置40は、例えば、ロードセル21A,21A,・・21B,21B,・・のそれぞれに対応する複数(ここでは、8個)の増幅器43および複数(ここでは、8個)のローパスフィルタ44と、マルチプレクサ45と、A/D変換器46と、I/O回路47と、メモリ48と、演算器49とを備える。制御装置40は、例えば、運転者が携帯する情報携帯端末でもいいし、トレーラートラック10に搭載されるカーナビでもいい。なお、この場合、情報携帯端末等の演算器49は、適宜の無線通信技術を用いて、以下に述べる演算に必要な様々なデータを取得できる。
増幅器43は、ロードセル21A,21A,・・21B,21B,・・から送信される信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を備える。
ローパスフィルタ44は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を備える。
マルチプレクサ45は、ローパスフィルタ44のそれぞれから送信される複数の信号を、演算器49からの選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を備える。
A/D変換器46は、マルチプレクサ45からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を備える。
I/O回路47は、A/D変換器46と、操作装置41と、報知装置42と、メモリ48と、演算器49との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を備える。
メモリ48は、例えば、PROMやRAM等で構成され、所定プログラムや基本データ等を長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を備える。
演算器49は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)等の処理装置で構成され、メモリ48に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路47を介して受け取り、必要なデータをメモリ48やデータ検出器50(後述)から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を備える。
操作装置41は、操作スイッチや数値キー等を備え、測定開始・終了の動作や零点調整動作、使用モードの切り換え動作、数値設定動作などの種々の動作の際に用いられる。
報知装置42は、トレーラートラック10の運転者に様々な有益な情報を画面表示や音声表示等により運転者に提供するのに用いられ、例えば、LCD等の表示装置、スピーカ等の音声再生装置、LED等のランプが例示される。
データ検出器50は、適宜のデータ入出力ポート(不図示)を介して有線通信や無線通信等によりデータ送信可能なように演算器49と接続されていて、トレーラートラック10の運転時の様々な外部情報を取得し、この情報を演算器49に与えるように構成されている。例えば、データ検出部50は、地域の高度道路交通システム(ITS)から、アンテナ(図示せず)を介して外部情報を受信し、この情報を演算器49に与える受信機(図示せず)を備える。よって、かかる情報の一例として、トレーラートラック10の走行予定時の路面の状態を示す情報(例えば、曲路の曲率半径)がある。
[車両運転支援装置の制御系の処理動作]
車両運転支援装置100の制御系においては、各ロードセル21A,21A,・・21B,21B,・・の出力信号が、増幅器43、ローパスフィルタ44、マルチプレクサ45、A/D変換器46およびI/O回路47を経由して演算器49に送られる。演算器49は、メモリ48に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路47やデータ検出器50からの信号を取り込み、メモリ48に記憶されている種々のデータを読み込む。
これにより、演算器49は、これらの信号やデータに基づいてトレーラートラック10の運転を支援する様々な情報を導き、この情報は報知装置42を用いて運転者に提供される。
そして、本実施形態の車両運転支援装置100では、制御装置40において、所定プログラムが演算器49で実行されることにより、図3に示すように、トレーラートラック10の車輪の輪重を演算する輪重演算部51、トレーラートラック10の車軸13、14,15の軸重を演算する軸重演算部54、トレーラートラック10の総重量を演算する総重量演算部53、トレーラートラック10の水平面重心位置を演算する水平面重心位置演算部52、トレーラートラック10の重心高を予測する重心高演算部56、および、トレーラートラック10の運転を支援する様々な情報を運転者に提供する運転情報指示部55のそれぞれの機能が実現される。
なお、制御装置40は、必ずしも、単独の演算器49で構成される必要はなく、複数の演算器が分散配置されていて、それらが協働して車両運転支援装置100の動作を制御するよう構成されていてもよい。例えば、輪重演算部51の機能、水平面重心位置演算部52の機能、総重量演算部53の機能、軸重演算部54の機能、および重心高演算部56の機能等を、ここでは、単一の演算器49を用いて実現している例が示されているが、これらの機能を別個の演算器(MPU)を用いて実現してもよい。
そこで、以下、車両運転支援装置100における制御装置40の輪重演算部51、水平面重心位置演算部52、総重量演算部53、軸重演算部54、重心高演算部56および運転情報指示部55のそれぞれの機能について順を追って説明する。
但し、輪重演算部51、水平面重心位置演算部52、総重量演算部53および軸重演算部54については、公知である(例えば、特許文献1参照)。
よって、ここでは、これらの演算部51,52,53,54の機能については概説する。
[記号の定義]
まず、以下の説明に用いる記号の意味を、まとめて定義する。
<トレーラートラック関連>
R1:トレーラートラック10の第1軸13の右車輪の輪重
L1:トレーラートラック10の第1軸13の左車輪の輪重
R2:トレーラートラック10の第2軸14の右車輪の輪重
L2:トレーラートラック10の第2軸14の左車輪の輪重
R3:トレーラートラック10の第3軸15の右車輪の輪重
L3:トレーラートラック10の第3軸15の左車輪の輪重
:第1軸13の軸重
:第2軸14の軸重
:第3軸15の軸重
Wx:積荷の重量
W:シャーシ10Bの重量とコンテナ10Cの重量と積荷の重量Wxとを合算した重量
:トレーラートラック10の総重量
Ws:トレーラートラック10の総重量Wから積荷の重量Wxを差し引いて得られる、トレーラートラック10自体の重量
Gx:水平面重心位置(第1軸13から重心までの距離)
Gy:水平面重心位置(トレーラートラック10の左側の車輪から重心までの距離)
なお、この水平面重心位置は、トレーラートラック10の幅方向中央部から重心までの距離に相当する幅方向重心位置Yで表してもよい。
Lv:重心高(予測値)
Lh:トレーラートラックの右端から重心までの水平距離
D:トレーラートラック10のトレッド間隔
(但し、第1軸13と第2軸14と第3軸15で、トレッド間隔は等しいと仮定する。)
:トレーラートラック10の第1軸13と第2軸14との間の距離(軸間距離)
:トレーラートラック10の第1軸13と第3軸15との間の距離(軸間距離)
なお、上記データのうち、トレッド間隔Dは、既知の値(トレーラートラック10の車種別に特定される固定値)として、予めメモリ48に記憶されていてもいいし、適宜の検出器により計測してもいい。なお、以下の説明では、トレッド間隔Dは予めメモリ48に記憶されているものとする。
<ロードセルの出力関連>
PA:4個のロードセル21A,21A,・・の出力の総和
PB:4個のロードセル21B,21B,・・の出力の総和
<ロードセルの出力波形関連>
トレーラートラック10の第1軸13、第2軸14および第3軸15の左右車輪のタイヤでは、設置ベース25および載台20A,20Bとの間でタイヤ接地面が生じ、タイヤにはタイヤ接地長が存在する。よって、トレーラートラック10が載台20A,20Bに乗り込むとき、あるいは、降りるとき、ロードセル21A,21B,・・21B,21B,・・の出力PA,PBの出力波形には、複数個の折点が表れ、これらの出力波形の折点に対応する時刻t,t,t,t,t,t,t,t,t,t,t10,t11は、以下のように定義できる。
:第1軸13の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに乗り込み始める時
:第1軸13の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に乗った時
:第1軸13の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bから降り始める時
:第1軸13の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に降りた時
:第2軸14の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに乗り込み始める時
:第2軸14の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に乗った時
:第2軸14の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに降り始める時
:第2軸14の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に降りた時
:第3軸15の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに乗り込み始める時
:第3軸15の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に乗った時
10:第3軸15の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bから降り始める時
11:第3軸15の左右車輪のタイヤが載台20A,20Bに完全に降りた時
[輪重演算部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の輪重演算部51の機能について説明する。
時間区間[t,t]におけるPA(t)は、トレーラートラック10の第1軸13の左車輪のみが載台20A上に乗ったときのロードセル21A,21A,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WL1に相当する。また、時間区間[t,t]におけるPB(t)は、トレーラートラック10の第1軸13の右車輪のみが載台20B上に乗ったときのロードセル21B,21B,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WR1に相当する。
よって、輪重WL1および輪重WR1は、以下の式(1)および式(2)によって求めることができる。
輪重WL1=PA(t)・・・(1)
輪重WR1=PB(t)・・・(2)
但し、式(1)および式(2)において、tは時間区間[t,t]内の時刻(t<t<t)である。
時間区間[t,t]におけるPA(t)は、トレーラートラック10の第2軸14の左車輪のみが載台20A上に乗ったときのロードセル21A,21A,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WL2に相当する。また、時間区間[t,t]におけるPB(t)は、トレーラートラック10の第2軸14の右車輪のみが載台20B上に乗ったときのロードセル21B,21B,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WR2に相当する。
よって、輪重WL2および輪重WR2は、以下の式(3)および式(4)によって求めることができる。
輪重WL2=PA(t)・・・(3)
輪重WR2=PB(t)・・・(4)
但し、式(3)および式(4)において、tは時間区間[t,t]内の時刻(t<t<t)である。
時間区間[t,t10]におけるPA(t)は、トレーラートラック10の第3軸15の左車輪のみが載台20A上に乗ったときのロードセル21A,21A,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WL3に相当する。また、時間区間[t,t10]におけるPB(t)は、トレーラートラック10の第3軸15の右車輪のみが載台20B上に乗ったときのロードセル21B,21B,・・からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重WR3に相当する。
よって、輪重WL3および輪重WR3は、以下の式(5)および式(6)によって求めることができる。
輪重WL3=PA(t)・・・(5)
輪重WR3=PB(t)・・・(6)
但し、式(5)および式(6)において、tは時間区間[t,t10]内の時刻(t<t<t10)である。
以上により、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の輪重演算部51が、上記式(1)および式(2)を用いて、トレーラートラック10の第1軸13の輪重WR1、WL1を演算できる。また、輪重演算部51が、上記式(3)および式(4)を用いて、トレーラートラック10の第2軸14の輪重WR2、WL2を演算できる。また、輪重演算部51が、上記式(5)および式(6)を用いて、トレーラートラック10の第3軸15の輪重WR3、WL3を演算できる。
[軸重演算部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の軸重演算部54の機能について説明する。
上記のとおり、時間区間[t,t]におけるPA(t)は輪重WL1に相当し、時間区間[t,t]におけるPB(t)は輪重WR1に相当する。このため、時間区間[t,t]におけるPA(t)とPB(t)との合計は、トレーラートラック10の第1軸13の軸重Wに相当する。
よって、トレーラートラック10の第1軸13の軸重Wは以下の式(7)によって求めることができる。
軸重W=PA(t)+PB(t)・・・(7)
但し、式(7)において、tは時間区間[t,t]内の時刻(t<t<t)である。
また、時間区間[t,t]におけるPA(t)は輪重WL2に相当し、時間区間[t,t]におけるPB(t)は輪重WR2に相当する。このため、時間区間[t,t]におけるPA(t)とPB(t)との合計は、トレーラートラック10の第2軸14の軸重Wに相当する。
よって、トレーラートラック10の第2軸14の軸重Wは以下の式(8)によって求めることができる。
軸重W=PA(t)+PB(t)・・・(8)
但し、式(8)において、tは時間区間[t,t]内の時刻(t<t<t)である。
また、時間区間[t,t10]におけるPA(t)は輪重WL3に相当し、時間区間[t,t10]におけるPB(t)は輪重WR3に相当する。このため、時間区間[t,t10]におけるPA(t)とPB(t)との合計は、トレーラートラック10の第3軸15の軸重Wに相当する。
よって、トレーラートラック10の第3軸15の軸重Wは以下の式(9)によって求めることができる。
軸重W=PA(t)+PB(t)・・・(9)
但し、式(8)において、tは時間区間[t,t10]内の時刻(t<t<t10)である。
以上により、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の軸重演算部54が、上記式(7)を用いて、トレーラートラック10の第1軸13の軸重Wを演算できる。また、軸重演算部54が、上記式(8)を用いて、トレーラートラック10の第2軸14の軸重Wを演算できる。また、軸重演算部54が、上記式(9)を用いて、トレーラートラック10の第3軸15の軸重Wを演算できる。
[総重量演算部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の総重量演算部53の機能について説明する。
トレーラートラック10の総重量Wは、トレーラートラック10の第1軸13の軸重Wと、トレーラートラック10の第2軸14の軸重Wと、トレーラートラック10の第3軸Wの和(W=W+W+W)に対応する。
以上により、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の総重量演算部53が、トレーラートラック10の第1軸13の軸重Wと、トレーラートラック10の第2軸14の軸重Wとトレーラートラック10の第3軸15の軸重Wとを用いて、トレーラートラック10の総重量Wを演算できる。
[水平面重心位置演算部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の水平面重心位置演算部52の機能について説明する。
トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyは、軸重W,W,Wおよび輪重WR1,WL1,WR2,WL2,WR3,WL3を用いて、以下の如く求めることができる。
まず、トレーラートラック10の水平面重心位置Gxを求める方法を説明する。
トレーラートラック10を側面視した場合の重心Gの周りのモーメントの釣り合いから、以下の式(10)が成立する。
(L−Gx)×W=Gx×W+(Gx−L)×W・・・(10)
式(10)において、トレーラートラック10の軸間距離L,Lは、適宜の検知手段(例えば、レーザ検出器)を用いても計測できるが、本例では、以下の如く、ロードセル21A,21A,・・からの出力PAの折点を用いて計測する。
トレーラートラック10が設置ベース25の後方から前方に向かって設置ベース25上を速度Vの等速移動するとき、トレーラートラック10の軸間距離Lは、出力PAの第2回目の折点に対応する時刻t=tと、出力PAの第6回目の折点に対応する時刻t=tの時間差(t−t)にトレーラートラック10の速度Vを乗じた値にほぼ等しい。よって、トレーラートラック10の軸間距離Lは、以下の式(11)により求めることができる。
=(t−t)×V・・・(11)
また、トレーラートラック10の軸間距離Lは、出力PAの第2回目の折点に対応する時刻t=tと、出力PAの第10回目の折点に対応する時刻t=tの時間差(t−t)にトレーラートラック10の速度Vを乗じた値にほぼ等しい。よって、トレーラートラック10の軸間距離Lは、以下の式(12)により求めることができる。
=(t−t)×V・・・(12)
次に、トレーラートラック10の水平面重心位置Gyを求める方法を説明する。
トレーラートラック10を背面視した場合の重心Gの周りのモーメントの釣り合いから、以下の式(13)が成立する。
(D−Gy)×(WR1+WR2+WR3)=Gy×(WL1+WL2+WL3
・・・(13)
なお、式(13)において、トレーラートラック10のトレッド間隔Dは、車種毎に予めメモリ48に記憶されている。
以上により、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の水平面重心演算部52が、上記式(10)および式(13)を用いて、トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyを演算できる。
[重心高演算部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の重心高演算部56の機能について説明する。
上記のとおり、特許文献1では、車両の重心高の測定は対象とせずに、車両の水平面重心位置のみを測定の対象としている。換言すると、特許文献1は、車両の静止時における水平面重心位置を測定するという静的計測に立脚した技術である。そして、このことが、遠心力が車両に作用する曲路走行時に、車両の転倒リスクが顕在化することを鑑みると、特許文献1において、トレーラートラック等の車両の転倒リスクの判定の高精度化に向けたボトルネックとなっている。
一方、例えば、車両全体が乗った載台を揺らすことが可能であれば、車両の重心高を予測でき、その結果、車両への遠心力の影響を評価することができる。しかし、かかる手法は、装置のコストアップを招く。
以上の状況において、本件発明者は、鋭意検討の結果、車両への遠心力の作用時に転倒と密接に関係する車両の重心高を、静的計測に基づいて予測できる方法を編み出すことに成功した。
本手法は、車両の重量(トレーラートラック10の場合、シャーシ10Bの重量と、コンテナ10Cの重量と、積荷の重量Wxの合計)と、車両の重心高との間に正の相関関係(比例関係)が成立することを前提とする。そして、かかる前提は、車両の重量が増加するにつれて、車両の重心高が高くなるという経験則に照らすとき、相当であると認められる。
よって、本実施形態では、車両の重量と車両の重心高との間の正の相関関係に基づいて車両の重心高を予測することに特徴がある。また、車両の転倒リスクを表す指標は、車両の重心高に、車両の偏荷重位置に依存する値を乗じた値に相関すると考えられるので、車両の重心高の予測値に基づいて転倒リスクを表す指標を定式化することにも特徴がある。
なお、ここで、車両の偏荷重とは、車両の左右の車輪にかかる荷重の差のことをいい、車両の偏荷重位置は、水平面重心位置Gx,Gyによって特定可能な量である。
図4に示すように、本件発明者は、トレーラートラック10の重心高Lvと、トレーラートラック10の重量Wとの正の相関関係について、トレーラートラック10を背面視した場合のモーメントの釣り合いから、「Lh×W×(α)」∝「Lv×F」の関係が成り立つと考えた。そして、「Lv×F」が、「Lh×W×(α)」にほぼ等しい場合に(或いは上回る場合に)、トレーラートラック10の転倒リスクが生じ得ると判断した。よって、これらの式は、転倒リスクを表す指標(以下、便宜上、「転倒率」と略す場合がある)であり、重心高Lv(本例では予測値)および水平距離Lhに基づいて定め得ると考えられる。
このようにして、静的計測から得られる情報から、動力学として扱われるべき遠心力Fが作用する場合のトレーラートラック10の転倒率の定式化が可能であると考えられる。つまり、本実施形態の車両運転支援装置100は、静的計測に基づいて、トラックスケール10に、動力学として扱うべき遠心力Fが作用する場合のトラックスケール10の転倒リスクが高いか否かを判定するように構成されている。
上記の比例関係の式において、「α」は、必要に応じて設定される補正係数である。
また、「F」は、本来、動力学として扱うべき遠心力を表し、曲路の曲率半径、トレーラートラック10の速度、トレーラートラック10の総重量等により特定できる。
また、水平距離「Lh」は、水平面重心位置Gyから導き得る、トレーラートラック10の偏荷重位置に依存する値である。
また、重量Wは、トレーラートラック10の場合、シャーシ10Bの重量と、コンテナ10Cの重量と、コンテナ10Cに格納された積荷の重量Wxと、の合計である。つまり、重量Wは、トレーラートラック10の総重量Wからトラクター10Aの重量(既知)を差し引くことにより求めることができる。よって、この場合、積荷の重量Wxが重くなるほど、トレーラートラック10の重心高Lvは高くなる傾向がある。
ところで、トレーラートラック10の車種(例えば、寸法が異なるシャーシ)に依存して、トレーラートラック10の風袋重量が変わり、その結果、トレーラートラック10の重心高Lvの予測に影響を与える。よって、重心高演算部56は、トレーラートラック10の車種を知る必要がある。
トレーラートラック10の車種は、メモリ48に予め記憶された車両情報から読み出してもいいし、トレーラートラック10の軸間距離の測定に基づいて特定してもいい。
これにより、トレーラートラック10の風袋重量の変化をトレーラートラック10の重心高Lvの予測に反映することができる。
なお、後者の場合、トレーラートラック10の軸間距離は、上記のとおり、ロードセル21A,21A,・・からの出力PAの折点を用いて計測できる。
以上により、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の重心高演算部56が、トレーラートラック10の重量Wと重心高Lvとの間の正の相関関係に基づいて、トレーラートラック10の重心高Lvを簡易に演算(予測)できる。
なお、重心高Lvを演算する具体例は、実施例1で詳しく説明する。
その結果、本実施形態の車両運転支援装置100では、トレーラートラック10の重心高Lv(予測値)およびトレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyを用いて、トレーラートラック10に遠心力が作用する場合のトレーラートラック10の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得るとともに、トレーラートラック10に遠心力が作用する場合のトレーラートラック10の転倒リスクを表す指標を従来例よりも簡易に導き得る。
なお、トレーラートラック10の転倒リスクの判定例も実施例1で詳しく説明する。
[運転情報指示部の機能]
以下、車両運転支援装置100における制御装置40の運転情報指示部55の機能について説明する。
図5および図6は、図1のトレーラートラックの積荷の積載状態に関する運転情報が報知装置において報知された例を示した図である。
図5に示すように、報知装置42(ここでは、表示装置)の表示画面42A上には、トレーラートラック10を側面視した状態を表す表示領域42Bおよび背面視した状態を表す表示領域42Cにおいて、トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyと重心高Lv(予測値)と、に基づいて、3次元空間上の重心Gの位置が示されている。また、表示画面42Aの表示領域42Dには、トレーラートラック10の重量W、トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyおよび重心高Lvが数値として示されている。
そして、本例の如く、表示画面42Aの表示領域42Cに示すように、トレーラートラック10の進行方向に対して、トレーラートラック10の左右方向の中心から重心Gの位置が右側に片寄っている場合、トレーラートラック10の左カーブ時に、転倒リスクが高くなる。このため、制御装置40の運転情報指示部55によって、表示領域42Eに、『左カーブ注意』という運転者への注意を喚起するメッセージが表示される。
ここで、本件発明者は、運転者によって行われるトレーラートラック10の具体的な運転操作(アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作)に、上記の注意喚起を対応付けて示唆することが好ましいと考えている。
例えば、制御装置40の運転情報指示部55は、データ検出器50を用いて、トレーラートラック10が左カーブに差し差し掛かろうとしている曲路の曲率半径を取得する。すると、運転情報指示部55は、この曲率半径に基づいて、「Lv×F」(転倒率)が、「Lh×W×(α)」(転倒率)よりも十分に小さくなる場合のトレーラートラック10の速度V1を割り出し得る。よって、この場合、『左カーブに差し掛かろうとしている曲路では、ブレーキをかけて速度V1までに十分に落とせ。』等の、トレーラートラック10の運転操作に対応する注意喚起を、表示領域42Eの画面上に示唆することができる。
また、本例の場合、トレーラートラック10が右にカーブする場合と、左にカーブする場合とでは、転倒リスクは正反対になる。つまり、トレーラートラック10が左にカーブするときは、重心Gが左右方向の中央に存在する場合よりも転倒リスクが高くなる一方、右にカーブするときは、重心Gが左右方向の中央に存在する場合よりも転倒リスクは、却って低くなる。このように、積荷が片荷の場合、ハンドルの操作如何によって、トレーラートラック10の転倒リスクの高低には天と地の差がある。
よって、両者の転倒リスクの違いを強調することにより、運転者に先入観を抱かせて、運転者が、転倒リスクが低いと錯誤しないよう、適宜の示唆を行う方が好ましい。例えば、トレーラートラック10が右にカーブした直後に、『今、右にカーブしても走行不安定にならなかったが、荷物が右側に片荷になっているので、左にカーブするときは、ブレーキをかけて速度を十分に落とせ。』等の注意喚起を、表示領域42Eの画面上に示唆するとよい。
なお、本例では、注意喚起の表示(示唆)について、表示領域42Eにおける文章表記を例示したが、かかる注意喚起の表示(示唆)は、どのような手段(例えば、画面表示、音声表示、ランプ表示)で運転者に伝えてもいいし、どのような表示形態(例えば、文字、記号、グラフ、色)で運転者に伝えてもいい。
例えば、注意喚起を文字表示とともに、あるいは、文字表示に代えて、スピーカ(図示せず)を用いて、かかる文字を音声で発してもよい。また、注意喚起を、適宜の方法で数値化して示唆してもいいし、「大」「中」「小」の表記を用いて示唆してもいい。また、注意喚起を「赤」、「黄色」、「緑」のLEDランプで示唆してもいいし、棒グラフ化して示唆してもいい。
図6に示すように、報知装置42の表示画面上には、トレーラートラック10を背面視した状態を表す表示領域42Fにおいて、複数の分割ブロック(ここでは、18個の分割ブロック)に区分けした様子が図示されているとともに、トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyと、重心高Lv(予測値)とに基づいて、3次元空間上の重心Gの位置が図示されている。
図6の縦方向は、トレーラートラック10の上下方向に対応し、横方向は、トレーラートラック10の幅方向の中心を境として、トレーラートラック10の左右方向に対応する。図6において、丸数字「1」〜「9」は、分割ブロックを識別するのに用いられる番号である。各分割ブロックの中央に付与された数字1〜9は、対応する分割ブロックに重心Gが存在する場合の転倒率の高低を数値化して示した値であり、数字が増すほど、転倒率が大きいことを表している。そして、本例では、丸数字「6」の分割ブロックに重心Gが存在するので、このときの転倒率を作業者が容易に認識できるよう、この分割ブロックを色や明度で異ならせている。
図示を省略しているが、トレーラートラック10の全長方向に延びる車両中心から左側の9個の分割ブロックにも、右側の9個の分割ブロックと同様の丸数字および転倒率の数値化が付与される。
なお、トレーラートラック10の重心位置に依存する転倒リスクの相対評価結果の一例は、実施例2で詳しく説明する。
また、各分割ブロックに重心Gが存在する場合の転倒率の数値化は、図6の表記に限らず、様々な方法で行うことができる。かかる転倒率は、どのような手段(例えば、画面表示、音声表示、ランプ表示)で運転者に伝えてもいいし、どのような表示形態(例えば、文字、記号、グラフ、色)で運転者に伝えてもいい。
例えば、転倒率の程度を数値化するのに代えて、あるいは、本数値の表示とともに、転倒率の程度を「大」「中」「小」を用いて表示してもいい。また、転倒率の程度を「赤」、「黄色」、「緑」のLEDランプで表示してもいいし、棒グラフ化して表示してもいい。
また、各分割ブロックに重心Gが存在する場合の転倒率をパーセント(%)で表す場合は、重心位置を上下および/または左右の方向に幾ら動かすと、どの程度、転倒率が向上するかについて容易に判断できる。
また、上記のとおり、転倒率は、積荷の重さに相関するので、逆に、幾ら積荷を減量すると、どの程度、転倒率が向上するか、について併記してもよい。
このようにして、本実施形態の車両運転支援装置100は、制御装置40の運転情報指示部55が、トレーラートラック10の水平面重心位置Gx,Gyと、重心高Lv(予測値)と、に基づいて、トラックスケール10の運転を支援する様々な有益な情報(示唆)を報知装置42により運転者に提供することができる。
(第1変形例)
上記の実施形態の車両運転支援装置100では、重量計30が、輪重計30Aと輪重計30Bとによって構成される例を述べたが、これに限らない。つまり、車両運転支援装置は、輪重計、軸重計およびトラックスケールの少なくとも一つの重量計を備えるとよい。
例えば、図7に示すように、車両運転支援装置200の重量計230が、レーラートラック10の左右の車輪が乗り込み得る矩形かつ板状の1枚の載台220と、この載台220を下方から支持する4個のロードセル221,221,・・と、を備えてもよい。
これにより、車両運転支援装置200では、重量計230は、トレーラートラック10の第1軸13、第2軸14および第3軸15の軸重を、この順に測定する軸重計として構成されている。そして、本例の場合、トレーラートラック10の重量計230への進入位置とトレッド幅を把握すると、トレーラートラック10の左右の車輪の輪重を計測可能である。よって、実施形態の車両運転支援装置100と同様に、本変形例の車両運転支援装置200の制御装置40が、ロードセル221,221,・・の出力信号に基づいてトレーラートラック10の重量および水平面重心位置Gx,Gyを演算し、トレーラートラック10の重心高Lvとトレーラートラック10の重量との間の正の相関関係に基づいて、重心高Lvの予測値を導くことができる。
なお、トレーラートラック10の重量計230への進入位置は、適宜のセンサ(例えば、レーザ位置検出器)を用いて把握してもいいし、トレーラートラック10を載台220の中央部に乗せるように適宜の通行帯(図示せず)を載台220に描くことにより把握してもいい。
また、図8に示すように、車両運転支援装置300の重量計330が、上記の一対の輪重計30A,30Bの他、トレーラートラック10の全ての車輪が乗ることができる矩形かつ板状の1枚の載台320と、この載台320を下方から支持する4個のロードセル321,321,・・と、を備えてもよい。
これにより、車両運転支援装置300では、重量計330は、トレーラートラック10の総重量を測定するトラックスケールとして構成されている。そして、本例の場合、輪重計30Aおよび輪重計30Bを用いて、実施形態の車両運転支援装置100と同様に、本変形例の車両運転支援装置300の制御装置40が、ロードセル21A,21A,・・21B,21B,・・の出力信号に基づいてトレーラートラック10の重量および水平面重心位置Gx,Gyを演算し、トレーラートラック10の重心高Lvとトレーラートラック10の重量との間の正の相関関係に基づいて、重心高Lvの予測値を導くことができる。
(第2変形例)
実施形態の車両運転支援装置100および第1変形例の車両運転支援装置200,300では、コンテナ10Cを搭載したトレーラートラック10全体の輪重、軸重および総重量を計測する装置を例示したが、これに限らない。
例えば、図9に示すように、ジャッキ部401と、ジャッキ部401を載せたロードセル402と、ジャッキ部401の上面に配されて被測定物の荷重を受ける荷重受け部403と、を備える持上計量装置400が提案されている(特開平2009−31218号公報参照)。そして、本公報によれば、ジャッキ部401を用いて被測定物の一部を僅かに持ち上げると、被測定物の水平面重心位置や総重量を測定できるとされている。
すると、このような持上計量装置400を用いて、積荷が格納されたコンテナ10Cの水平面重心位置や重量を測定できる。また、シャーシ10Bや空の状態のコンテナ10Cの重量は、トレーラートラック10の諸元から知ることができる。
よって、持上計量装置400を用いて、実施形態の車両運転支援装置100と同様に、本変形例の車両運転支援装置の制御装置40が、ロードセル402の出力信号に基づいてトレーラートラック10の重量および水平面重心位置Gx,Gyを演算し、トレーラートラック10の重心高Lvとトレーラートラック10の重量との間の正の相関関係に基づいて、重心高Lvの予測値を導くことができる。
(第3変形例)
実施形態の車両運転支援装置100、第1変形例の車両運転支援装置200,300および第2変形例の車両運転支援装置では、車両の重心高演算に用いるトレーラートラック10の重量Wが、トレーラートラック10の場合、シャーシ10Bの重量と、コンテナ10Cの重量と、コンテナ10Cに格納された積荷の重量Wxと、の合計である例を説明したが、これに限らない。
例えば、トレーラートラック10の重量Wは、トラクター10Aの重量を含むものであってもよい。つまり、トレーラートラック10の重量Wを、上記実施形態においては、トラクター10Aに牽引される、シャーシ10B側の重量として定義したが、本重量Wは、トレーラートラック10の総重量Wと等しいとしてもよい。
(実施例1)
上記のとおり、制御装置40は、重心高演算部56を用いて、トレーラートラック10の転倒リスクを判定する手段として機能する(以下、「転倒リスク判定手段40」という)。例えば、重心高演算部56は、トレーラートラック10の重心高Lvと、トレーラートラック10の重量(シャーシ10Bの重量とコンテナ10Cの重量と積荷の重量Wxとを合算した重量W、或いは、トレーラートラック10の総重量W)との間の正の相関関係に基づいて重心高Lvを推測し、転倒リスク判定手段40は、重心高Lvに基づいてトレーラートラック10の転倒リスク(車両が転倒する危険性)が高いか否かを判定する。
実施形態で述べたとおり、コンテナ内の積荷の重心高Lvは、コンテナ10C内に積荷が高く積み上げられて積荷の重量Wxが大きくなるほど、高くなる傾向がある。したがって、トレーラートラック10の全体の重心高Lvも、積荷の重量Wxが大きくなって、シャーシ10Bの重量とコンテナ10Cの重量と積荷の重量Wxとを合算した重量W(或いは、トレーラートラック10の総重量W)が大きくなるほど、高くなる傾向がある。
そこで、本実施例では、このようなトレーラートラック10全体の重心高Lvと総重量Wとの間の正の相関関係に基づいて重心高Lvを推測し、その重心高Lvに基づいてトレーラートラック10の転倒リスクが高いか否かを判定する場合を例にとり、トレーラートラック10の重心高Lvの演算の具体例、および、その転倒リスク判定の具体例について説明する。
[第1の例]
まず、転倒リスク判定手段40による転倒リスク判定方法の第1の例を説明する。図10(a)は、トレーラートラックの転倒リスクの判定方法を説明するための図であり、図10(b)は、鉛直方向(高さ方向)におけるトレーラートラック全体の重心Gとトレーラートラック自体の重心G1と積荷の重心G2との位置関係を示す図である。
図10(a)において、Lvは、トレーラートラック10全体の重心Gの高さ方向の位置を示す路面からの重心高さである。また、Lhは、重心Gと回転軸Eとのトレーラートラック幅方向の水平距離であり、トレーラートラック10の幅方向重心位置Yに基づいて、例えば、次式によって演算する。
Lh=(LRL/2)−|Y|+d ・・・(14)
このLh演算式(14)において、dは、0以上、タイヤ幅以下の所定値であり、ここでは、簡易的に転倒リスクを判定するので、d=0としてもよい。なお、回転軸Eは、トレーラートラック10が右側へ横倒しに転倒(横転)する場合の、右側タイヤの路面と接する右端を含み、トレーラートラック全長方向へ延びる仮想の軸である。
いま、例えば、図10(a)のように、トレーラートラック10の重心Gが右側寄りになっている場合に、トレーラートラック10の左カーブ時において、トレーラートラック10に遠心力F1が作用して、トレーラートラック10が右側へ転倒しはじめる寸前の状態(左側のタイヤが浮き上がる寸前の状態)を考える。
トレーラートラック10が回転軸Eを中心として回転(転倒)する場合には、遠心力F1による右回りのモーメントが、トレーラートラック10の総重量Wに関わる下向きの力F2による左回りのモーメントよりも大きくなる。すなわち、次の(15)式を満足する。
F1r・Lr>F2r・Lr ・・・(15)
ここで、Lrは重心Gと回転軸Eとの距離である。また、F1r=F1・sinθであり、F2r=F2・cosθである(0°<θ<90°)。さらに、F2=W・g(gは重力加速度)であるので、F2r=W・g・cosθである。
そして、例えば、(15)式を満足する場合に、トレーラートラック10の転倒リスクが高いと判定するようにすればよい。よって、上記(15)式を以下のように変形することにより、転倒リスク判定式(16)式が得られる。
F1・sinθ・Lr>W・g・cosθ・Lr
F1>W・g・(1/tanθ) (ここで、tanθ=Lv/Lh)
F1>W・g・Lh/Lv
F1・Lv>W・g・Lh ・・・(16)
すなわち、上記の(16)式を満足する場合に、トレーラートラック10の転倒リスクが高いと判定する。
次に、(16)式におけるF1,Lvの演算方法の一例を説明する。まず、遠心力F1の演算方法の一例について説明する。遠心力F1は、一般的に、曲路の曲率半径rとトレーラートラック10の速度Vとを用いて
F1=W・V/r
で表される。ここでの遠心力F1は仮定の遠心力であり、例えば、k=V/rとして、次の(17)式を用いて演算する。
F1=k・W ・・・(17)
ここで、kは所定値であり、例えば、曲率半径rと速度Vとに適当な値を用いて、k=V/rとして演算し設定することができる。なお、曲率半径rは、例えば、トレーラートラック10が走行する道路(曲路)の曲率半径に基づいて適当な値を用いればよい。また、速度Vは、例えば、トレーラートラック10の制限速度あるいは想定される走行速度等に基づいて適当な値を用いればよい。
次に、重心高演算部56による重心高Lv(推測値)の演算方法の一例について説明する。
なお、本例では、トレーラートラック10の重心高Lvの演算において、以下のとおり、積荷が積載されていないトレーラートラック10自体の重心高H1および積荷の重心高H2に着目している。よって、以下のとおり、トレーラートラック10の総重量Wから積荷の重量Wxを差し引いて得られる、レーラートラック10自体の重量Ws(つまり、Ws=W−Wx)が、上記重心高Lvの定式化に用いられている。
図10(b)に示すように、鉛直方向の重心位置について考えると、トレーラートラック10自体の重心G1と積荷の重心G2との間に、積荷を含むトレーラートラック10全体の重心Gが位置する。ここで、トレーラートラック10自体の重量をWs、トレーラートラック10自体の重心高をH1、積荷の重量をWx、積荷の重心高をH2とし、位置エネルギーを考えると、次の(18)式が成立つ。また、(18)式を変形すれば、(19)式が得られて、重心高Lvを演算することができる。
・Lv=Ws・H1+Wx・H2 ・・・(18)
Lv=(Ws・H1+Wx・H2)/W ・・・(19)
ここで、例えば、トレーラートラック10自体の重量Wsは、トレーラートラック10のトラクターの自重とトレーラの自重とコンテナの自重との合計重量として演算できる。また、トレーラートラック10自体の重心高H1は、トラクター、トレーラおよびコンテナの各々の重心高さと各々の自重とに基づいて、位置エネルギーを考えれば演算できる。
なお、トラクター、トレーラおよびコンテナの各々の重心高は、例えば、メモリ48に記憶された適宜のトレーラ情報等から取得するとよい。また、積荷の重量Wxは、W−Wsとして演算でき、ここではコンテナ内容量に相当する。また、ここでは、コンテナ内容量のみを積荷の重量Wxとして考えているが、コンテナの自重も含めて積荷の重量Wxとして考えてもよい。この場合、トレーラートラック10自体の重量Wsは、トラクターの自重とトレーラの自重との合計重量となる。
前述のように、積荷の重心高H2は、例えば、コンテナ内に積荷が高く積み上げられて積荷の重量Wxが大きくなるほど、高くなる傾向がある。そこで、積荷の重心高H2については、積荷の重量Wxとの間の正の相関関係に基づいて演算する。一例を示すと、次式によって演算する。
H2=p・Wx+q
ここで、pは、予め実験やシミュレーション等の結果によって定められた設定値である。この設定値pは、積荷の種類(コンテナの内容物)等によって変わるので、積荷の種類に応じていくつかの値を設定しておいて、積荷の種類に応じて選択して用いるようにしてもよい。qは、積荷を積む床面の高さであり、例えば、メモリ48に記憶されたトレーラ情報等から取得することができる。
以上のようにして、重心高演算部56は、トレーラートラック10の重心高Lv(推測値)を演算する。
そして、転倒リスク判定手段40は、仮定の遠心力F1および重心高Lvを用い、上記の(16)式を満足する場合には転倒リスクが高いと判定し、(16)式を満足しない場合には転倒リスクは高くない(低い)と判定すればよい。
つまり、転倒リスク判定手段40は、例えば、(16)式で示されるように、トレーラートラック10の総重量Wと、トレーラートラック10の総重量Wとの間の正の相関関係に基づいて推測されるトレーラートラック10の重心高Lvと、水平距離Lhを定めるためのトレーラートラック10の幅方向重心位置Yと、曲路通過時にトレーラートラック10に作用すると想定される仮定の遠心力F1とに基づいて、トレーラートラック10の転倒リスクが高いか否かを判定する。
また、(16)式に、(17)式を代入して整理すれば、次の転倒リスク判定式(20)式が得られる。
Lv>g・Lh/k ・・・(20)
したがって、重心高演算部56が、(19)式に基づいて、重心高Lvを演算し、転倒リスク判定手段40が、演算された重心高Lvが(20)式を満足する場合に、トレーラートラック10の転倒リスクが高いと判定するようにしてもよい。換言すると、転倒リスク判定手段40は、トレーラートラック10の重心高Lvと水平距離Lh(トレーラートラック10の偏荷重位置に相関する量)とに基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定している。
また、(16)式に、(17)式および(19)式を代入して整理すれば、次の転倒リスク判定式(21)式が得られる。
k・(Ws・H1+Wx・H2)>W・g・Lh ・・・(21)
したがって、遠心力F1および重心高Lvを、(17)式および(19)式に基づいて個別に演算しなくても、転倒リスク判定手段40は、(21)式を満足する場合に、トレーラートラック10の転倒リスクが高いと判定するようにしてもよい。
[第2の例]
次に、転倒リスク判定手段40による転倒リスク判定方法の第2の例を説明する。この第2の例における転倒リスクの判定方法は、より簡易的に転倒リスクを判定する方法である。ここでも、前述のように(15)式を満足する場合に転倒リスクが高いと判定するようにすることに変わりはない。
そして、F1r=F1・sinθであり、さらに前述のように、曲率半径rとおよび速度Vを用いて、F1=W・V/rと表せるので、F1r=W・(V/r)・sinθである。また、F2r=F2・cosθであり、F2=W・g(gは重力加速度)であるので、F2r=W・g・cosθである。これらを用いて、(15)式を以下のように変形することにより、(22)式が得られる。
F1r・Lr>F2r・Lr ・・・(15)
・(V/r)・sinθ>W・g・cosθ
{V/(r・g)}・tanθ>1
{V/(r・g)}・Lv/Lh>1 ・・・(22)
ここで、α=V/(r・g)とすれば、次の転倒リスク判定式(23)式が得られる。
α・Lv/Lh>1 ・・・(23)
すなわち、転倒リスク判定手段40は、上記の(23)式を満足する場合に、トレーラートラック10の転倒リスクが高いと判定し、満足しない場合は、転倒リスクは高くない(低い)と判定する。換言すると、転倒リスク判定手段40は、トレーラートラック10の重心高Lvに偏荷重位置に相関する量(1/Lh)を乗じた値に基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定している。
ここで、αは所定値である。gは重量加速度(一定値)であるので、例えば、曲率半径rと速度Vとに適当な値を用いて、αを演算し設定することができる。なお、曲率半径rは、例えば、トレーラートラック10が走行する道路(曲路)の曲率半径に基づいて適当な値を用いればよい。また、速度Vは、例えば、トレーラートラック10の制限速度あるいは想定される走行速度等に基づいて適当な値を用いればよい。
そして、水平距離Lhについては、例えば、前述のLh演算式(14)を用いて演算する。また、ここでは、重心高Lv(予測値)を簡易的に、次の(24)式を用いて演算する。
Lv=β・W ・・・(24)
ここで、βは、所定値であり、積荷の種類や積荷を積むトレーラートラック10の床面の高さ等を総合的に勘案して定めた値である。
また、βを次式により求めるようにしてもよい。なお、本例では、以下のとおり、トレーラートラック10の総重量Wから積荷の重量Wxを差し引いて得られる、レーラートラック10自体の重量Ws(つまり、Ws=W−Wx)が、βの定式化に用いられている。
β=Lvb/(Ws+Wm)
ここで、Wsは前述同様、トレーラートラック10自体の重量である。また、Lvbは、トレーラートラック10の重心高の推定最大値(上限値)であり、Wmは所定の最大積載量(法律等で許容される積載可能な最大の積荷量)である。
ここでは、例えば、コンテナ内に天井付近まで満杯の積荷を積み込んだ時の積荷だけの高さ方向の重心は、コンテナの高さの1/2付近であると考える。また、空荷のときのトレーラートラック10の重心高さは、例えば積荷を積む床面の高さ付近であると考える。そこで、トレーラートラック10の重心高さの上限値Lvbを、大雑把に、例えば、トレーラの高さとコンテナの高さの1/2とを加算した値とする。なお、ここで演算する重心高Lvは、簡易的に演算される予測値であって、正確な値でなくてもよい。
この場合、βについて、平均的な値を所定値として予め記憶しておいて用いるようにしてもよいし、転倒リスク判定手段40が、例えば、トレーラの高さおよび最大積載量Wm等を、メモリ48に記憶された適宜のトレーラートラック情報から取得し、コンテナの高さを、メモリ48に記憶された適宜のコンテナ情報から取得して、βの値を演算するようにしてもよい。
以上のようにして、重心高演算部56は、トレーラートラック10の重心高Lv(予測値)を演算し、転倒リスク判定手段40は、この重心高Lvおよび水平距離Lhを用いて、(23)式を満足する場合には転倒リスクが高いと判定し、(23)式を満足しない場合には転倒リスクは高くない(低い)と判定すればよい。
この場合、転倒リスク判定手段40は、例えば、(23)式で示されるように、トレーラートラック10の総重量Wとの間の正の相関関係に基づいて予測されるトレーラートラック10の重心高Lvと、水平距離Lhを定めるためのトレーラートラック10の幅方向重心位置Yとに基づいて、トレーラートラック10の転倒リスクが高いか否かを判定するようにしていると言える。
また、(24)式を(23)式に代入すると、次の転倒リスク判定式(25)式が得られる。
α・β・W/Lh>1 ・・・(25)
よって、転倒リスク判定手段40は、この(25)式に基づいて転倒リスクが高いか否かを判定するようにしてもよい。この場合、水平距離Lhは、水平面重心位置Gyから導き得る、偏荷重位置(トレーラートラック10の幅方向重心位置Y)に依存する値であるので、トレーラートラック10の総重量Wと偏荷重位置とに基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定していると言える。換言すると、転倒リスク判定手段40は、トレーラートラック10の総重量Wに偏荷重位置に相関する量(1/Lh)を乗じた値に基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定している。
また、トレーラートラック10の右側輪重の総和Wと左側輪重の総和Wとの合計は、次式で示すようにトレーラートラック10の総重量Wとなる。
+W=W ・・・(26)
また、前述のLh演算式において、d=0とすれば、Lhは次式で表される。
Lh=(LRL/2)−|Y
この場合において、モーメントのつり合いを考えれば次式(27)が成立つ。
Lh・W=(LRL−Lh)・W ・・・(27)
そして、(26)式と(27)式とから次式(28)が導かれる。
Lh=(W/W)・LRL ・・・(28)
この(28)式を、(25)式に代入して整理すれば、次の転倒リスク判定式(29)が得られる。
α・β・(1/LRL)・W ・(1/W)>1 ・・・(29)
よって、転倒リスク判定手段40は、この(29)式に基づいて転倒リスクが高いか否かを判定するようにしてもよい。この場合、(1/W)は、車両の左右の車輪にかかる荷重の差に関する値(言い換えれば、偏荷重に相関する量)であるので、トレーラートラック10の総重量Wの2乗(W )と偏荷重に相関する量(1/W)とに基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定していると言える。換言すると、転倒リスク判定手段40は、トレーラートラック10の偏荷重に相関する量(1/W)に総重量Wの2乗を乗じた値に基づいて、転倒リスクが高いか否かを判定している。
なお、先に述べた(23)式に基づいて転倒リスクを判定する場合において、重心高Lv(予測値)を、前述の(24)式に代えて、次の(30)式を用いて演算するようにしてもよい。
Lv=t・(W−Ws)+Lvs ・・・(30)
ただし、t=(Lvb−Lvs)/Wm
ここで、Wsは前述同様、トレーラートラック10自体の重量である。また、Lvbは、トレーラートラック10の重心高さの想定の最大値(上限値)であり、Lvsは、トレーラートラック10の重心高さの想定の最小値(下限値)であり、Wmは所定の最大積載量(法律等で許容される積載可能な最大の積荷量)である。
ここでは、例えば、コンテナ内に天井付近まで満杯の積荷を積み込んだ時の積荷だけの高さ方向の重心は、コンテナの高さの1/2付近であると考える。また、空荷のときのトレーラートラック10の重心高さは、例えば積荷を積む床面の高さ付近であると考える。そこで、トレーラートラック10の重心高さの上限値Lvbを、大雑把に、例えば、トレーラの高さとコンテナの高さの1/2とを加算した値とする。また、トレーラートラック10の重心高さの下限値Lvsを、大雑把に、例えば、トレーラの高さとする。なお、ここで演算する重心高Lvは、簡易的に演算される予測値であって、正確な値でなくてもよい。
この場合、(30)式における、t、Lvsについて、各々の平均的な値を所定値として予め記憶しておいて用いるようにしてもよいし、転倒リスク判定手段40が、例えば、トレーラの高さLvsおよび最大積載量Wm等を、メモリ48に記憶された適宜の車両情報から取得し、コンテナの高さを、メモリ48に記憶されたコンテナ情報から取得して、tの値を演算するようにしてもよい。
以上に述べた転倒リスクの判定方法では、トレーラートラック10の幅方向重心位置が右寄りの場合を例に説明したが、左寄りの場合も同様である。先に述べた、Lh演算式(14)に、Yの絶対値(|Y|)を用いていることにより、トレーラートラック10の幅方向重心位置が右寄り(Y<0)であっても、左寄り(Y>0)であっても適用できる。
なお、上記では、転倒リスクの判定方法についていくつかの例をあげたが、各例において、予め必要となる情報は、例えば、メモリ48に設定(記憶)されている。
また、重心高演算部56が、例えば、上記の転倒リスクの判定方法で説明した(19)式、(24)式あるいは(30)式等で示されるいずれかの方法によってトレーラートラック10の重心高Lvを演算(予測)し、転倒リスク判定手段40が、その重心高Lvが異常であるか否かを所定の基準(方法)に基づいて判定するようにしてもよい。例えば、重心高Lvが所定の値を超える場合に異常であると判定するようにしてもよい。
(実施例2)
上記のとおり、制御装置40は、運転情報指示部55を用いて、トレーラートラック10の転倒リスクの評価結果を運転者に提供する手段として機能する(以下、「転倒リスク提供手段40」という)。
つまり、以下に詳述するように、転倒リスク提供手段40は、トレーラートラック10の重心高Lvおよび水平距離Lh(トレーラートラック10の偏荷重位置に相関する量)に基づいて、トレーラートラック10に遠心力が作用する場合のトレーラートラック10の転倒リスクを表す指標を定めるとともに、トレーラートラック10の重心位置に依存する、同転倒リスクの相対評価結果を運転者に提供する。
これにより、運転者は、左右のどちらにハンドルを操作した場合にトレーラートラック10の転倒リスクが高いか否かを、直感的に把握できる。よって、転倒リスクが低い側にハンドルを操作した直後でも、転倒リスクが高い側にハンドル操作をするとき、運転者がトレーラートラックの転倒リスクが低いと錯誤する可能性を低減できる。
以下、本実施例では、トレーラートラック10の重心位置に依存する転倒リスクの相対評価結果の一例について説明する。
本実施例では、トレーラートラック10が、同一速度で、同一曲率半径の曲路を左にカーブした場合を考える。この場合、上記のとおり、下記の式(23)の係数αは、α=V/(r・g)で表されるので、係数αは一定となる。
すると、実施例1で例示した、以下の転倒リスク判定式(23)によれば、トレーラートラック10の転倒リスクの高低は、重心高Lvおよび水平距離Lhから求まり、水平距離Lhは、図11に示す如く、トレーラートラック10の偏荷重位置に相関する量である。
α・Lv/Lh>1 ・・・(23)
よって、式(23)に用いて、トレーラートラック10の重心位置に依存するトレーラートラック10の転倒リスクの相対評価(数値化)が可能である。つまり、図11に示すように、トレーラートラック10の高さ方向をY軸とし、その幅(水平)方向をX軸とし、回転軸Eを原点とする直交座標系を取ると、式(23)の左辺の式において、トレーラートラックの重心位置を変数とする場合、同式のLv、Lhをそれぞれ、X、Yと置くことができる。
すると、下記式(31)が得られ、K(X、Y)は、トレーラートラック10に遠心力が作用する場合のトレーラートラック10の転倒リスクを表す指標の一例であり、X(=トレーラートラック10の重心高Lv)およびY(=トレーラートラック10の偏荷重位置に相関する量Lh)に基づいて定められる。
K(X、Y)=α・Y/X・・・(31)
そこで、例えば、図11に示すように、トレーラートラック10の背面領域を、X軸方向およびY軸方向に4等分した場合を考える。
この場合、トレーラートラック10の背面領域は、16個の分割ブロックAij(X、Y;i=1〜4,j=1〜4)に分割される。なお、分割ブロック数は、本例に限定されるものではなく、転倒リスクの相対評価の精度との兼ね合いで適宜の個数に設定できる。
ここで、分割ブロックAijにおけるK(X、Y)に、X=X、Y=Yを代入すると、K(X、Y)は、以下の式(32)で表される。
K(X、Y)=α・Y/X=α・(j・Y)/(i・X
=(j/i)・K(X、Y)=(j/i)・Ka ・・・(32)
但し、式(32)において、Ka=K(X、Y
式(32)によれば、分割ブロックAij(X、Y)のそれぞれに対応するK(X、Y)は、以下のとおり表すことができる。これにより、分割ブロックAij(X、Y)に重心Gが存在する場合の、トレーラートラック10の転倒リスクを相対評価(数値化)できる。
分割ブロックA11・・・・・K(X、Y)=Ka
分割ブロックA12・・・・・K(X、Y)=2・Ka
分割ブロックA13・・・・・K(X、Y)=3・Ka
分割ブロックA14・・・・・K(X、Y)=4・Ka
分割ブロックA21・・・・・K(X、Y)=(1/2)・Ka
分割ブロックA22・・・・・K(X、Y)=Ka
分割ブロックA23・・・・・K(X、Y)=(3/2)・Ka
分割ブロックA24・・・・・K(X、Y)=2・Ka
分割ブロックA31・・・・・K(X、Y)=(1/3)・Ka
分割ブロックA32・・・・・K(X、Y)=(2/3)・Ka
分割ブロックA33・・・・・K(X、Y)=Ka
分割ブロックA34・・・・・K(X、Y)=(4/3)・Ka
分割ブロックA41・・・・・K(X、Y)=(1/4)・Ka
分割ブロックA42・・・・・K(X、Y)=(1/2)・Ka
分割ブロックA43・・・・・K(X、Y)=(3/4)・Ka
分割ブロックA44・・・・・K(X、Y)=Ka
なお、ここで、αが一定の条件下では、Kaも一定なので、K(X、Y)は、上記の右辺の数字(係数)により、図12(a)の如く略記できる。つまり、図12(a)では、分割ブロックAij(X、Y)に対応する数字が大きいほど、分割ブロックAij(X、Y)に重心Gが存在する場合の、トレーラートラック10の転倒リスクは高くなることを表している。
なお、トレーラートラック10の転倒リスクの相対評価結果(リスク値)を、より直感的に把握しやすくする趣旨で、図12(a)の各数字に、図12(b)の如く、分母の値(4)で乗じて表してもいいし、更に、図12(b)の各数字に、図12(c)の如く、分母の値(3)で乗じて表してもいい。
一方、トレーラートラック10が、上記と同一速度で、同一曲率半径の曲路を右にカーブした場合を考えると(詳細な説明は省略する)、図12(c)に対応するトレーラートラック10の転倒リスクの相対評価(数値化)は、図13の如く表すことができる。
以上により、図12(c)のリスク値と図13のリスク値との比較から、トレーラートラック10が曲路を右にカーブする場合と、左にカーブする場合とにおいて、トレーラートラックの転倒リスクの高低には天と地の差があることがわかる。
例えば、トレーラートラック10の重心Gが、図12(c)および図13のそれぞれの網掛け部に存在する場合、トレーラートラック10が曲路を右にカーブすると、転倒リスクを相対評価結果は、リスク値「9」であるのに対し、同一の速度で同一曲率半径の曲路を左にカーブすると、転倒リスクの相対評価結果は、リスク値「36」である。つまり、両者の間での転倒リスクの高低差は、倍率にして「4倍」である。
以上のとおり、転倒リスク提供手段40が、トレーラートラック10の転倒リスクを表す指標を、トレーラートラック10の重心高Lvおよび水平距離Lh(トレーラートラック10の偏荷重位置に相関する量)に基づいて定め、上記転倒リスクの相対評価結果を、報知装置42を用いて運転者に報知する。すると、運転者は、左右のどちらにハンドルを操作した場合にトレーラートラック10の転倒リスクが高いか否かを、具体的な数値により直感的に把握できる。よって、転倒リスクが低い側にハンドルを操作した直後でも、転倒リスクが高い側にハンドル操作をするとき、運転者がトレーラートラックの転倒リスクが低いと錯誤する可能性を低減できる。
(実施例3)
上記実施例2では、トレーラートラック10の転倒リスクの相対的評価を、トレーラートラック10の転倒のリスク値として数値化する例を述べた。本実施例3では、トレーラートラック10の転倒リスクの相対的評価を、トレーラートラック10の転倒の安全率として数値化する例を説明する。
なお、本明細書において、トレーラートラック10の転倒の安全率とは、トレーラートラック10が、同一の速度で同一曲率半径の曲路を同じ方向にカーブする場合、重心Gの位置との相関において転倒に至らない可能性を数値化したものを指す。
例えば、この安全率は、トレーラートラック10が左カーブする場合、図12(b)の分割ブロックAij(X、Y)毎のリスク値の逆数を取ることにより得られる。この場合、例えば、分割ブロックA11に重心Gが存在する場合の安全率は、1/4=25%と導かれ、分割ブロックA14に重心Gが存在する場合の安全率は、1/16=6%と導かれる。
以上の如く、トレーラートラック10の転倒の安全率を定義することにより、制御装置40は、トレーラートラック10の転倒リスクを表す指標の一例である上記K(X、Y)を用いて、トレーラートラック10の重心Gの位置の変化に依存する、トレーラートラック10の転倒の安全率の変化を導くことができる。例えば、重心Gの位置を上下および/または左右の方向に幾らの分割ブロック分、動かすと、どの程度、上記安全率が向上あるいは低下するかについての具体的な示唆(例えば、安全率○○%→安全率□□%)が得られる。
更に、上記のとおり、トレーラートラック10の重心高(上記K(X、Y)のYに対応)は、トレーラートラック10の総重量と正の相関関係があるので、制御装置40は、トレーラートラック10の総重量の変化に依存する、トレーラートラック10の転倒の安全率の変化も導くことができる。例えば、幾ら積荷を減量あるいは増量すると、どの程度、上記安全率が向上あるいは低下するかについての具体的な示唆(例えば、安全率○○%→安全率□□%)が得られる。
本発明は、車両に遠心力が作用する場合の転倒リスクの判定を従来例よりも簡易に行い得る車両運転支援装置を提供する。よって、本発明は、トラックスケール、軸重計、輪重計等を備える車両運転支援装置に利用することができる。
10 トレーラートラック
10A トラクター
10B シャーシ
10C コンテナ
13 車軸(第1軸)
14 車軸(第2軸)
15 車軸(第3軸)
20A,20B 載台
21A,21B ロードセル
30 重量計
30A,30B 輪重計
40 制御装置
51 輪重演算部
52 水平面重心位置演算部
53 総重量演算部
54 軸重演算部
55 運転情報指示部
56 重心高演算部
100,200,300 車両運転支援装置

Claims (15)

  1. 車両の静的計測が行われる計測手段と、
    前記静的計測に基づいて、動力学として扱うべき遠心力が前記車両に作用する場合の、前記車両の転倒リスクが高いか否かを判定する制御手段と、
    を備えた、車両運転支援装置。
  2. 前記制御手段は、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重に相関する量および前記車両の総重量を導き、前記車両の偏荷重に相関する量と前記車両の総重量の2乗の値とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定する、請求項1に記載の車両運転支援装置。
  3. 前記制御手段は、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量および前記車両の総重量を導き、前記車両の偏荷重位置に相関する量と前記車両の総重量とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定する、請求項1に記載の車両運転支援装置。
  4. 前記制御手段は、前記静的計測に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量を導き、前記車両の偏荷重位置に相関する量と前記車両の重心高とに基づいて前記転倒リスクが高いか否かを判定する、請求項1に記載の車両運転支援装置。
  5. 前記静的計測は、輪重計、軸重計およびトラックスケールの少なくとも一つの重量計による前記車両の重量測定を含み、
    前記制御手段は、前記少なくとも一つの重量計のロードセルの出力信号に基づいて前記車両の重量を演算し、前記車両の重心高と前記車両の重量との間の正の相関関係に基づいて、前記車両の重心高の予測値を導く、請求項4に記載の車両運転支援装置。
  6. 前記車両の重量は、前記車両の総重量である請求項5に記載の車両運転支援装置。
  7. 前記静的計測は、輪重計、軸重計およびトラックスケールの少なくとも一つの重量計による前記車両の重量測定を含み、
    前記制御手段は、前記少なくとも一つの重量計のロードセルの出力信号に基づいて前記車両の偏荷重位置に相関する量を演算する、請求項3または4に記載の車両運転支援装置。
  8. 前記車両の転倒リスクを表す指標は、前記車両の重心高および前記車両の偏荷重位置に相関する量に基づいて定められる、請求項4に記載の車両運転支援装置。
  9. 前記制御装置は、前記車両の転倒リスクを表す指標を用いて、前記車両の重心位置に依存する転倒リスクの評価結果を導き、前記転倒リスクの評価結果を、報知装置を用いて運転者に報知する、請求項8に記載の車両運転支援装置。
  10. 前記車両の転倒リスクを表す指標は、前記車両の重心高および前記車両の偏荷重位置に相関する量に基づいて定められ、
    前記制御装置は、前記車両の転倒リスクを表す指標を用いて、前記重心位置の変化に依存する前記車両の転倒の安全率の変化を導く、請求項6に記載の車両運転支援装置。
  11. 前記制御装置は、前記車両の総重量の変化に依存する前記安全率の変化を導く、請求項10に記載の車両運転支援装置。
  12. 車両の重量測定に用いるロードセルと、
    前記ロードセルの出力信号を受け取る制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記ロードセルの出力信号に基づいて前記車両の重量を演算し、前記車両の重心高と前記車両の重量との間の正の相関関係に基づいて、前記車両の重心高の予測値を導く、車両運転支援装置。
  13. 前記制御手段は、前記出力信号に基づいて前記車両の水平面重心位置を演算する、請求項12に記載の車両運転支援装置。
  14. 前記制御手段は、前記車両の重心高の予測値および前記車両の水平面重心位置を用いて前記車両に遠心力が作用する場合の前記車両の転倒リスクを表す指標を導く、請求項13に記載の車両運転支援装置。
  15. 前記車両が乗ることができる載台を備え、
    前記載台は前記ロードセルに支持されており、前記制御手段は、前記車両が前記載台に乗るときの前記ロードセルの出力信号に基づいて前記車両の重量および水平面重心位置を導く、請求項13または14に記載の車両運転支援装置。
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