JP2013146804A - 超硬エンドミルおよびそれを使用したスクロール部材の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本体1の先端部に、外周刃2と底刃3から成る切れ刃を複数枚設けた超硬エンドミルにおいて、切れ刃の数を10〜16枚とし、底刃3の先端にさらえ刃4を形成する。
【選択図】図1
Description
一般的なエンドミルは、軸体である本体の外周から底面にかけて一連の切れ刃が数枚形成されており、エンドミル自体の回転運動と上下左右の送り運動により被削材を削り取っていく。また、外周の切れ刃を外周刃、底面の切れ刃を底刃と言う。
図6は、あるエンドミルでの底面加工後の被削材断面図とエンドミル断面形状を示すが、底面の加工面粗度15はエンドミル底刃の転写になるため、1刃当たりの送り量16とすかし角14により導くことができ、下記のような公式にて表される。
Rz=f×tanα
(Rz:加工面粗度、f:エンドミルの1刃当たりの送り量、α:すかし角度)
エンドミルの1刃当たりの送り量を小さくさせる方法としては、回転数や切れ刃の数を増加させる方法と送り速度を減少させる方法がある。
一般の市販品では粗加工から仕上加工までを汎用的に網羅する切れ刃の数が2〜8枚のエンドミルが主流である。特許文献1においても切れ刃の数は6枚となっている。
また、切削速度を減少させる方法は、低能率加工になってしまうため、通常は行わない。
しかし、その高硬度焼結体のエンドミルは、素材自体の価格が高く、また高硬度であるが故に切れ刃として成形が困難であるなどの理由により、エンドミルとしては非常に高価となる。また、他の素材に比べて高硬度であるが、靭性が低く刃先の欠損を起こしやすいため、工具寿命が短いといった問題があり、工具費増加の大きな要因となっている。
また、スクロール部材の底面と側面の加工を比較すると、側面の加工は、加工点への加工油の侵入が容易く、加工油の冷却効果が効果的に働き、切り屑の排出性も良くなる。それに対し、底面の加工は、加工油の進入が難しく、側面の加工の方が比較的、良好な加工面粗度が得られる。
その為、一般的には工具費を抑制する為に、少し低能率となってしまうが側面の仕上加工には安価な超硬素材のエンドミルを使用し、底面の仕上加工には、高硬度焼結素材を切れ刃として備えたエンドミルを使用する。しかし、それでも底面仕上加工用高硬度焼結素材のエンドミルは、安価な超硬素材のエンドミルに対し、3〜4倍ほど高価となってしまう。
この実施の形態に係る超硬エンドミル10は、底面の加工面粗度向上を目的として、1刃当たりの送り量を増加させる為に、切れ刃である外周刃2、及び底刃3の枚数を通常より大幅に増加させたものである。また、底刃のすかし角を0°に近づける為に、底刃3の先端に図2のようなさらえ刃4を形成したものである。これは、微小な切り屑しか発生せず、切り屑の排出性をあまり考慮しなくてもよい仕上加工用として適用される。本例は、外周刃2、及び底刃3の数が12枚、外周刃2の直径が12mm、さらえ刃4の長さが1mmである仕上げ加工用の「さらえ刃4付き超硬多刃エンドミル10」として示されている。
また、底刃3のすくい角θ1が1.5°、2番逃げ角θ2が7°、外周刃3のすくい角θ3が4°、2番逃げ角θ4が6°、ねじれ角が46°に設定されている。
試験に供した工具は、次の4種類である。
(A)6枚刃超硬エンドミル(さらえ刃無し)
(B)12枚刃超硬エンドミル(さらえ刃無し)
(C)12枚刃超硬エンドミル(さらえ刃有り)
(D)4枚刃CBNエンドミル
このうち(C)は上述の仕様と同一仕様の超硬エンドミル(実施例という)であり、他の超硬エンドミル(A)と(B)の2種類は比較例としてあげたものであり、刃数とさらえ刃の有無以外は実施例とほぼ同一の仕様である。
試験は、鋳鉄品であるFC250の平板を被削材とし、切削速度200m/min、送り速度4000mm/min、切り込み(軸方向)0.03mmにて、連続加工を実施した。
本実施の形態の超硬エンドミル10の工具寿命としては、切削長200mまで連続加工が可能で、かつ、加工面粗度は要求スペック以下を保ち、良好な結果を示した。また、同様の切削条件にて、従来のスクロール部材の底面仕上げ加工用CBNエンドミルを用いた場合、切削長175mにて寿命となることが図4に示されており、従来の底面仕上げ加工用CBNエンドミルに対し1.14倍と同等以上の寿命を得られることが確認できた。これは、CBN素材に比べ超硬素材は靭性が高く、刃先の欠損が起こりにくくなった為である。
以上のように、刃数を増加させ、底刃3の先端にさらえ刃4を形成したことにより、超硬エンドミルにて従来の底面仕上加工用CBNエンドミルと同等レベルの加工能率と高品質な底面の加工面粗度、及び同等レベル以上の工具寿命を実現できた。
このスクロール圧縮機20は、冷凍機、空調機器などに用いられる装置であり、図5に示すように、密閉容器21内に固定子22aと回転子22bとからなるモーター22およびモーター22により駆動される圧縮機構部を内蔵し、底部には圧縮機構部の摺動部を潤滑およびシールするための冷凍機油23が貯留されている。
また、このスクロール圧縮機20は、低圧の吸入ガスが吸入管24から固定スクロール25および揺動スクロール26の各板状渦巻歯で形成される圧縮室27に入る。そして、モーター22に連結されたクランクシャフト28により駆動される揺動スクロール26は、偏心旋回運動を行うとともに、圧縮室7の容積を減少させる。この圧縮工程により吸入ガスは高圧となり、固定スクロール25の吐出ポート29より吐出され、密閉容器21内を高圧雰囲気で満たし、やがて吐出管30から圧縮機外に放出される。
また、この超硬エンドミル10には外周刃2も成形されているため、側面の仕上加工も可能である。そのため、同一エンドミルにて底面と側面の仕上加工が可能であり、工具交換の時間や更なる工具費の削減に繋がる。
Claims (3)
- 本体の先端部に、外周刃と底刃から成る切れ刃を複数枚設けた超硬エンドミルにおいて、
前記切れ刃の数を10〜16枚とし、前記底刃の先端にさらえ刃を形成したことを特徴とする超硬エンドミル。 - 前記外周刃の直径が8〜15mm、前記さらえ刃の長さが0.1〜2.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の超硬エンドミル。
- 請求項1または2に記載の超硬エンドミルを用いて、スクロール圧縮機のスクロール部材を仕上げ加工することを特徴とするスクロール部材の加工方法。
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JP2012007401A JP2013146804A (ja) | 2012-01-17 | 2012-01-17 | 超硬エンドミルおよびそれを使用したスクロール部材の加工方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110899801A (zh) * | 2019-12-24 | 2020-03-24 | 贵阳博亚机械制造有限公司 | 一种用于不锈钢材质零件的加工刀具和加工方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000042822A (ja) * | 1998-07-28 | 2000-02-15 | Nachi Fujikoshi Corp | コーティングエンドミル |
JP2004042221A (ja) * | 2002-07-15 | 2004-02-12 | Hitachi Tool Engineering Ltd | エンドミル |
JP2010162628A (ja) * | 2009-01-14 | 2010-07-29 | Mitsubishi Electric Corp | スクロール部材の加工方法 |
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2012
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