JP2013144671A - 眼科用水性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】非イオン性界面活性剤が配合された泡立ちし易い眼科用水性組成物において、発生した泡の消える速度が速い眼科用水性組成物を提供する。
【解決手段】眼科用水性組成物に、非イオン性界面活性剤、ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、塩化亜鉛を同時に含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼科用水性組成物、眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法、及び眼科用水性組成物にヒスタミン遊離抑制能を付与する方法、眼科用水性組成物における粘度低下を抑制する方法に関する。
眼科用水性組成物においては、水溶性の低い成分の溶解の補助を目的に、様々な溶解補助剤が配合されている。眼科分野において用いられる溶解補助剤の一つとして、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤を配合した眼科用水性組成物は泡立ちやすいことが知られており、製造時や流通時において、振動や衝撃を与えることにより泡が発生する。一般に、眼科用水性組成物は、眼に対して安全に適用するために、製造時の溶解確認が重要である。また、眼科用水性組成物の中でも点眼剤や洗眼剤などの医薬品においては、製造工程での異物検査が必須である。しかしながら、眼科用水性組成物の製造時において泡が発生した場合、配合成分や異物と泡との見分けがつき難いために、溶解確認や異物検査などが困難となり、溶解確認や異物検査の工程などで長時間を要し、製造が効率的に行えないという問題がある(特許文献1)。
一方、ヒアルロン酸又はその塩は、眼粘膜や鼻粘膜、口腔内粘膜等に適用される粘膜適用組成物において、成分の生物学的利用能を高めることを目的として、粘膜への組成物の滞留性を向上するために使用されている。(特許文献2)
また、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛などの亜鉛塩は、収斂作用や抗炎症作用を有し、収斂剤や抗炎症剤として、点眼薬に広く使用されており、更に、塩化亜鉛、硫酸亜鉛は、殺菌剤としても知られている。
しかしながら、これらの成分が界面活性剤を含有する眼科用水性組成物に及ぼす影響については明らかにされていない。
国際公開2007/145344 特開2006−117656
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な課題は、眼科用水性組成物、特に、界面活性剤が配合された泡立ちし易い眼科用水性組成物において、泡の消える速度が速い眼科用水性組成物を提供することである。
また、眼科用水性組成物には、様々な薬理活性成分、生理活性成分などが配合されており、これらの成分の中には加熱した状態で保存した場合や、光に晒された場合に変質するものがあり、その結果、眼科用水性組成物の粘度低下を生じることがある。このため、粘度の低下を抑制して、長期に亘り品質や使用感に優れた眼科用水性組成物を提供することは重要な課題である。
更に、本発明の課題は、その他のより改善された作用を有する眼科用水性組成物を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、非イオン性界面活性剤を含有する眼科用水性組成物に、ヒアルロン酸又はその塩と、塩化亜鉛を同時に配合する場合に、泡の消える速度が顕著に促進されることを見出した。更に、上記成分を含む眼科用水性組成物は、熱や光に曝された場合にも粘度低下が生じ難く、更に、ヒスタミンの遊離抑制作用を顕著に増強するという予期できない作用を有することも見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、更に研究を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の眼科用水性組成物を提供するものである。
項1-1.(A)非イオン性界面活性剤、
(B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに
(C)塩化亜鉛
を含有する眼科用水性組成物。
項1-2. (A)成分が、 ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の眼科用水性組成物。
項1-3. (B)成分が、ヒアルロン酸ナトリウムである上記項1-1又は項1-2に記載の眼科用水性組成物。
項1-4. (A)成分を総量として0.0001〜5w/v%含有する、項1-1〜項1-3のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-5. (B)成分を総量として0.0001〜1w/v%含有する、項1-1〜項1-4のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-6. (C)成分を総量として0.00001〜0.05w/v%含有する、項1-1〜項1-5のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-7. (A)成分の総量1重量部に対して、(B)成分を0.00002〜10000重量部含有する、項1-1〜項1-6のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-8. (A)成分の総量1重量部に対して、(C)塩化亜鉛を0.000002〜500重量部含有する、項1-1〜項1-7のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-9. (B)成分の総量1重量部に対して、(C)塩化亜鉛を0.00001〜500重量部含有する、項1-1〜項1-8のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
項1-10. 点眼剤、人工涙液、洗眼剤又はコンタクトレンズ装着液である、項1-1〜項1-9のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
また、本発明は、下記に掲げる態様の、眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法を提供する。
項2. 眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法。
項3. 非イオン性界面活性剤を含有する眼科用水性組成物中に、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の眼科用水性組成物のヒスタミン遊離抑制作用を増強する方法、眼科用水性組成物に目のかゆみを抑制する作用を付与する方法、又は眼科用水性組成物の粘度低下を抑制する方法をも提供する。
項4. 眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物のヒスタミン遊離抑制作用を増強する方法。
項5. 眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物に目のかゆみを抑制する作用を付与する方法。
項6. 眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物の粘度低下を抑制する方法。
項7. ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤 と、(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物の粘度低下を抑制する方法。
本発明によれば、以下に示す顕著な効果が奏される。
(1)非イオン性界面活性剤を含有する眼科用水性組成物において、泡の発生が抑制され、また、発生した泡の消える時間が短縮される。このため、製造時における成分の溶解確認や異物検査を短時間で行うことが可能となり、製造効率を改善することが出来る。
(2) 本発明の眼科用水性組成物は、ヒスタミンの遊離を抑制する作用を有するものであり、抗アレルギー効果が期待できる。また、ヒスタミン遊離を抑制する作用を有する結果、抗ヒスタミン作用が増強されており、該眼科用水性組成物には、目のかゆみを抑制する作用が付与されている。このために、本発明の眼科用水性組成物を点眼剤、洗眼剤などとして用いて、点眼、洗眼などの方法で角膜及び/又は結膜に接触させることによって、目のかゆみを抑制又は治療することができる。
(3) 本発明の眼科用水性組成物は、光に晒された場合や加熱状態(高温)で保存した場合においても、粘度低下が抑制されたものである。このため、安定性が高く、長期に亘り優れた品質や良好な使用感を維持できる。
1.眼科用水性組成物
本発明の眼科用水性組成物は、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を含有する水性組成物である。
本明細書において、「水性組成物」とは、水を含有する組成物である。本発明の眼科用水性組成物における水の含有量は、例えば、10〜99.8 w/v%、好ましくは55〜99.0 w/v%、より好ましくは70〜98.0 w/v%である。
また、該眼科用水性組成物の粘度は特に限定はないが、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34‘x24)で測定した25℃における粘度が0.01〜1000mPa・s、好ましくは0.05〜100mPa・s、より好ましくは0.1〜20mPa・sである。
以下、本発明の眼科用水性組成物について具体的に説明する。
(A)非イオン性界面活性剤
本発明の眼科用水性組成物は、(A)成分として非イオン性界面活性剤を含有する。本発明の組成物に含有可能な非イオン性界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの成分は、公知の化合物であり、公知の方法により製造してもよく市販品として入手することもできる。また、これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明で用いられる(A)非イオン性界面活性剤としては、本発明の効果を顕著に得られるという観点から、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
本発明で用いられる、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(以下、POE−POPブロックポコリマーとも表記する。)としては、例えば、ポロクサマー407(ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール)、ポロクサマー235、ポロクサマー188などのポロクサマーが挙げられる。
本発明で用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート65)などが挙げられる。
本発明で用いられるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO40)などが挙げられる。 本発明で用いられるポリオキシエチレンヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油3、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油30、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油70などが挙げられる。
本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとしては、例えば、ステアリン酸ポリオキシル10、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル45、ステアリン酸ポリオキシル55等が挙げられる。
本発明で用いられる(A)非イオン性界面活性剤の内で、ポロクサマー407、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油3、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油35、及びステアリン酸ポリオキシル40からなる群より選択される少なくとも一種が、本発明の効果が顕著に得られるという観点から特に好ましい。
本発明の水性眼科組成物において、(A)成分である非イオン性界面活性剤の含有量は、使用する(A)成分の種類、眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法などに応じて適宜設定される。例えば、本発明の眼科用水性組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量として、0.0001〜5w/v%、好ましくは0.001〜2w/v%、更に好ましくは0.005〜0.5w/v%である。
(B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種:
本発明で用いられるヒアルロン酸は、グルクロン酸(GlcUA)とN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合したGlcUA-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から構成されているポリマーである。
本発明で用いられるヒアルロン酸は、天然物、合成品のいずれであってもよい。
本発明で用いられるヒアルロン酸及びその塩は、公知の化合物であり、公知の方法により製造してもよく、市販品として入手することもできる。ヒアルロン酸及びその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明で用いられるヒアルロン酸の分子量については、特に限定されないが、重量平均分子量で、通常、0.01万〜500万、好ましくは0.1万〜400万、更に好ましくは1万〜300万、より更に好ましくは10万〜250万、特に好ましくは50万〜200万である。
本発明で用いられるヒアルロン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩の形態のものであれば特に制限されない。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が例示され、好ましくは、ヒアルロン酸ナトリウムである。ヒアルロン酸の塩は、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の眼科用水性組成物において、(B)成分であるヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量については、使用するヒアルロン酸の種類、眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法などに応じて適宜設定される。例えば、本発明の眼科用水性組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量として、0.0001〜1w/v%、好ましくは0.0005〜0.3w/v%、更に好ましくは0.001〜0.1w/v%である。
本発明の眼科用水性組成物における(A)非イオン性界面活性剤の含有量に対する(B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量の比率は、特に限定されないが、該眼科用水性組成物に含まれる(A)成分の総量1重量部に対して、例えば、(B)成分の総量で0.00002〜10000重量部であり、好ましくは0.0002〜300重量部であり、更に好ましくは0.002〜20重量部である。
(C)塩化亜鉛
本発明で用いられる塩化亜鉛は、眼科用水性組成物に使用することが可能なものであれば特に制限はない。例えば、第十六改正日本薬局方、米国薬局方、欧州薬局方に記載されている塩化亜鉛が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物における(C)塩化亜鉛の含有量は特に限定はなく、眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法などに応じて適宜設定される。例えば、眼科用水性組成物の総量を基準として、塩化亜鉛の含有量は0.00001〜0.05w/v%、好ましくは0.00005〜0.02w/v%、更に好ましくは0.0001〜0.01w/v%である。
本発明の眼科用水性組成物における(A)非イオン性界面活性剤の含有量に対する(C)塩化亜鉛の含有量の比率については特に限定されないが、該眼科用水性組成物に含まれる(A)成分の総量1重量部に対して、例えば、0.000002〜500重量部であり、好ましくは0.00002〜20重量部であり、更に好ましくは0.0002〜2重量部、特に好ましくは0.002〜0.2重量部である。
また、本発明の眼科用水性組成物における(B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群から選ばれる選択される少なくとも一種の含有量に対する(C)塩化亜鉛の含有量の比率については特に限定されないが、該眼科用水性組成物に含まれる(B)成分の総量1重量部に対して、例えば、0.00001〜500重量部であり、好ましくは0.0002〜50重量部であり、更に好ましくは0.001〜10重量部である。
その他の成分
本発明の眼科用水性組成物は、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を含有するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や製剤形態に応じて、常法に従い、種々の薬理活性成分や生理活性成分を適宜選択して、含有することができる。それらの薬理活性成分や生理活性成分として、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。
薬理活性成分又は生理活性成分としては、具体的には、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤又は抗アレルギー剤:例えば、フマル酸ケトチフェン、イプロヘプチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム等。
充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硫酸ナファゾリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
ビタミン類:例えば、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:例えば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等。
消炎剤:例えば、グリチルリチン酸ニカリウム、アズレンスルホン酸、アラントイン、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、プラノプロフェン等。
本発明の眼科用水性組成物において、上記した薬理活性成分や生理活性成分の含有量は、具体的な眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法、活性物質の種類などに応じて適宜選択することができ、使用する成分の種類、用途等に応じて、当該技術分野において公知の範囲から適宜選択することができる。
また、本発明の眼科用水性組成物は、更に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択して、含有することができる。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
テルペノイド類:メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、これらの誘導体等を用いることができ、これらの化合物はd体、l体及びdl体のいずれであってもよい。また、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等の精油を使用してもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、グローキル(ローディア社製 商品名)、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド等)等。
等張化剤:リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等。
pH調節剤:例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等。
安定化剤:例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
本発明の眼科用水性組成物において、上記した添加物の含有量については、具体的な眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法などに応じて当該技術分野において、公知の範囲から適宜選択することができる。
眼科用水性組成物のpH
本発明の眼科用水性組成物によれば、(A)非イオン性界面活性剤を含有する眼科用水性組成物中に、ヒアルロン酸又はその塩と共に塩化亜鉛を配合することによって、広いpH範囲において、泡立ちを抑制することができ、更に、粘度低下及びヒスタミン遊離を抑制することができる。従って、本発明の眼科用水性組成物のpH値については、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではなく、具体的な眼科用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法などに応じて適宜決めることができる。本発明の眼科用水性組成物のpHの一例として、3.5〜9.5、好ましくは3.8〜9.0、より好ましくは4.2〜8.8、更に好ましくは4.5〜8.5となる範囲が挙げられ、特に好ましくは、例えば、5.0〜8.0である。尚、本願明細書において、pH値は25℃で測定した値である。
本発明の眼科用水性組成物において、pHの調整は、前記したpH調整剤、緩衝剤などを用いて行うことができる。
ここで、緩衝剤としては、目的とするpH値に応じて、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される公知の緩衝剤から適宜選択して用いることができる。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);トリス緩衝剤として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はその塩(塩酸塩、酢酸塩、スルホン酸塩等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示される。発明の効果を顕著に得られるという観点から、リン酸緩衝剤及びホウ酸緩衝剤が好ましく、ホウ酸緩衝剤がより好ましく、クエン酸緩衝剤は使用しないことが好ましい。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
本発明の眼科用水性組成物に緩衝剤を配合する場合、緩衝剤の含有量については、特に限定はなく、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や量、眼科用水性組成物の用途、使用方法などに応じて適宜設定することができる。例えば、眼科用水性組成物の総量を基準として、緩衝剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜5w/v%、更に好ましくは0.5〜3w/v%である。
2.眼科用水性組成物の調製方法及び用途
本発明の眼科用水性組成物は、(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を含有する眼科用水性組成物であれば特に限定はなく、当業者に公知の方法に従って調製することができる。例えば、各成分を適量の精製水に溶解した後に、所定のpH値に調節し、次いで、残りの精製水を加えて容量調整することにより製造することができる。また、必要に応じて、濾過及び滅菌処理をし、容器に充填することもできる。
本発明の眼科用水性組成物は、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用でき、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、人工涙液[但し、人工涙液にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な人工涙液を含む]、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]等が含まれる。本発明の眼科用水性組成物の好適な一例として、点眼剤、人工涙液、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液が挙げられ、特に好適な例として点眼剤、人工涙液が挙げられる。なお、コンタクトレンズ用組成物として用いる場合には、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用可能である。
本発明の眼科用水性組成物は、任意の容器に収容して提供することができる。本発明の眼科用水性組成物を収容する容器については特に制限されず、当該分野で一般的な容器に使用することができる素材を用いたものであればよく、例えば、ガラス素材及びプラスチック素材(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂)など、目的、用途に応じて適宜選択して用いることができる。また、本発明の眼科用水性組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。眼科用水性組成物の溶液量の確認及び、製造工程での異物検査等が容易であることから、特に透明容器が好ましい。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。更に、本発明の眼科用水性組成物は、1回使いきりタイプの包装形態だけでなく、複数回にわたり投与する形態で包装され、かつ使用者が継続的に使用するマルチドーズの眼科用水性組成物としても、有用である。
3.泡の消える速度を促進させる方法
前述した通り、眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種と共に、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、(C)塩化亜鉛を配合することによって、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させることができ、眼科用水性組成物の製造時の成分の溶解確認や、製造工程における異物検査が容易となる。
従って、本発明は、別の観点から、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法を提供する。
また、本発明は、(A)非イオン性界面活性剤を含有する眼科用水性組成物中に、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法も提供する。
上記した方法において、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛が共存するのであれば、それらの添加順序は特に限定されない。また、これらの方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類、それらの含有量(または配合量)、それらの比率、その他に配合される成分の種類や含有量(または配合量)、眼科用水性組成物の製剤形態、容器の種類や組み合わせ、実施方法等については、前記「1.水性眼科組成物」及び「2.眼科用水性組成物の調製方法及び用途」と同様である。
なお、本明細書において、眼科用水性組成物における泡の消える速度が促進されているか否かは、後述の実施例(試験例1及び2)に記載の方法によって判定することが可能である。
4.ヒスタミン遊離抑制作用を増強する方法及び目のかゆみ抑制作用を付与する方法
更に、前述した通り、眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤と共に、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、(C)塩化亜鉛を配合することによって、該眼科用水性組成物中のヒスタミン遊離抑制作用を増強することができる。
よって、本発明は、別の観点から、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物中のヒスタミン遊離抑制作用を増強する方法を提供するものである。
また、本発明の眼科用水性組成物は、ヒスタミン遊離を抑制する作用を有する結果、抗ヒスタミン作用が増強されており、該眼科用水性組成物には、目のかゆみを抑制する作用が付与されている。
よって、本発明は、更に別の観点から、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物に目のかゆみを抑制する作用を付与する方法を提供するものである。
上記した各方法において、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛が共存するのであれば、それらの添加順序は特に限定されない。また、この方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類、それらの含有量(または配合量)、それらの比率、その他に配合される成分の種類や含有量(または配合量)、眼科用水性組成物の製剤形態、容器の種類や組み合わせ、実施方法等については、前記「1.水性眼科組成物」及び「2.眼科用水性組成物の調製方法及び用途」と同様である。
なお、本明細書において、眼科用水性組成物におけるヒスタミン遊離抑制作用が増強されているか否かは、後述の実施例(試験例3及び4)に記載の方法によって判定することが可能である。
5.粘度低下を抑制する方法
更に、前述した通り、眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤と共に、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、(C)塩化亜鉛を配合することによって、該眼科用水性組成物における粘度低下を抑制することができ、安定性を高めることができるので、品質や使用感に優れた組成物の提供が可能となる。
従って、本発明は、別の観点から、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物の粘度低下を抑制する方法を提供する。
また、本発明は、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する眼科用水性組成物中に、(A)非イオン性界面活性剤と、(C)塩化亜鉛を配合することによる、該眼科用水性組成物の粘度低下を抑制する方法も提供する。
上記した方法において、眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛が共存するのであれば、それらの添加順序は特に限定されない。また、これらの方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類、それらの含有量(または配合量)、それらの比率、その他に配合される成分の種類や含有量(または配合量)、眼科用水性組成物の製剤形態、容器の種類や組み合わせ、実施方法等については、前記「1.水性眼科組成物」及び「2.眼科用水性組成物の調製方法及び用途」と同様である。
なお、本明細書において、眼科用水性組成物における粘度低下が抑制されているか否かは、後述の実施例(試験例5)に記載の方法によって判定することが可能である。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
試験例1(消泡試験1)
表1及び2に示す比較例1〜11及び実施例1〜4の眼科用水性組成物を、常法によりそれぞれ調製した。具体的には、表1及び2に記載した含有量に従って、塩化亜鉛、ヒアルロン酸ナトリウム、ポロクサマー407、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60及びポリオキシエチレンヒマシ油35に精製水(60mL)を加えて溶解した後に、ホウ酸又はホウ砂を加えてそれぞれpHを6.5に調製し、精製水を加えて、全量を100mLとして、眼科用水性組成物を得た。
なお、塩化亜鉛は和光純薬製(試薬)を用いた。ヒアルロン酸ナトリウムは第十六改正日本薬局方の精製ヒアルロン酸ナトリウムの規格に適合するものであり、ポロクサマー407は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールであり、医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。ポリソルベート80は第十六改正日本薬局方の規格に適合するものである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60は医薬品添加物規格2003の規格に適合するものであり、ポリオキシエチレンヒマシ油35は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレンヒマシ油の規格に適合するものであり、酸化エチレンの平均付加モル数は35である。
各眼科用水性組成物を50mL容量のガラス製遠沈管にを30mLずつ充填して各試験液とした。各試験液をRECIPAD SHAKER SR−2w(TAITEC)を用いて、1500回振とうした。振とう終了直後、各試験液の泡部分と水溶液部分を目視にて確認した上で、泡部分の容積を目視により測定した。次いで、各試験液を静置した後に、経時的に泡部分の容積を測定し、泡部分の容積が、振とう終了直後の泡部分の容積の半量になるまでの所要時間を泡容積の半減期として求めた。
また、実施例1〜4と比較例2、3、5、6、8、10及び11については、各眼科用水性組成物に含まれる界面活性剤のみを含有する眼科用水性組成物を、対応する比較例として、下記式(1)に従って“消泡時間短縮率(%) (対界面活性剤のみ含有)”を算出した。具体的に対応する比較例とは、実施例1、比較例2及び3については比較例1であり、実施例2、比較例5及び6については比較例4であり、実施例3、比較例8については比較例7であり、実施例4、比較例10及び11については比較例9である。
同様に、実施例1〜4については、それぞれの眼科用水性組成物に含まれる界面活性剤及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物を、対応する比較例として、下記式(1)に従って“消泡時間短縮率(%) (対界面活性剤+ヒアルロン酸Na含有)”を算出した。具体的に対応する比較例とは、実施例1については比較例3であり、実施例2については比較例6であり、実施例3については比較例8であり、実施例4については比較例11である。結果を表1及び2に併せて示す。
消泡時間短縮率(%) =
(対応する比較例の泡容積の半減期−各試験液の泡容積の半減期)/(対応する比較例の泡容積の半減期)x100 … 式(1)
Figure 2013144671
Figure 2013144671
ポロクサマー407と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例1)の泡容積の半減期は、ポロクサマー407のみを含有する眼科用水性組成物(比較例1)、及びポロクサマー407と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例3)に比べて短縮され、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポロクサマー407と共に、塩化亜鉛又はヒアルロン酸ナトリウムを単独で含有する眼科用水性組成物(比較例2及び3)の泡容積の半減期は、ポロクサマー407のみを含有する眼科用水性組成物(比較例1)の泡容積の半減期に比べて、僅かな短縮に留まるかもしくは短縮せず、消泡時間短縮率は顕著には増加しなかった。
ポリソルベート80と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例2)の泡容積の半減期は、ポリソルベート80のみを含有する眼科用水性組成物(比較例4)、及びポリソルベート80と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例6)に比べて短縮され、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポリソルベート80と共に、塩化亜鉛又はヒアルロン酸ナトリウムを単独で含有する眼科用水性組成物(比較例5及び6)の泡容積の半減期は、ポリソルベート80のみを含有する眼科用水性組成物(比較例4)の泡容積の半減期に比べて、僅かな短縮に留まるかもしくは延長し、消泡時間短縮率は顕著には増加しなかった。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例3)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60のみを含有する眼科用水性組成物(比較例7)、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例8)に比べて短縮され、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と共に、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例8)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60のみを含有する眼科用水性組成物(比較例7)の泡容積の半減期に比べて延長し、消泡時間短縮率はむしろ減少した。
また、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例4)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例11)に比べて短縮され 、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共に、塩化亜鉛又はヒアルロン酸ナトリウムを単独で含有する眼科用水性組成物(比較例10及び11)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレンヒマシ油35のみを含有する眼科用水性組成物(比較例9)の泡容積の半減期に比べて延長し、消泡時間短縮率はむしろ減少した。
以上の結果から、眼科用水性組成物に、ポロクサマー407、ポリソルベート80又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有させることによって、眼科用水性組成物の泡容積の半減期が顕著に短縮されることが明らかとなった。
また、ポリオキシエチレンヒマシ油35を含有する眼科用水性組成物においては、ポリオキシエチレンヒマシ油35とヒアルロン酸ナトリウムを含有させることによって生じる泡容積の半減期の延長が、ポリオキシエチレンヒマシ油35とヒアルロン酸ナトリウムと共に、塩化亜鉛を含有させることによって、顕著に抑制されることが明らかとなった。
以上より、眼科用水性組成物に非イオン性界面活性剤、ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに塩化亜鉛を含有させることにより、眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させることが明らかとなった。
試験例2 (消泡試験2)
表3に示す組成を有する比較例1、4及び11〜14、実施例1、2及び4の眼科用水性組成物をそれぞれ常法により調製し、試験例1と同様の方法で、泡の消える速度に関する試験を実施した。なお、塩化亜鉛及び硫酸亜鉛は和光純薬製(試薬)を用いた。ヒアルロン酸ナトリウムは第十六改正日本薬局方の精製ヒアルロン酸ナトリウムの規格に適合するものであり、ポロクサマー407は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールであり、医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。ポリソルベート80は第十六改正日本薬局方の規格に適合するものである。ポリオキシエチレンヒマシ油35は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレンヒマシ油の規格に適合するものであり、酸化エチレンの平均付加モル数は35である。
また、実施例1〜2と比較例12〜13については、それぞれの眼科用水性組成物に含まれる界面活性剤のみを含有する眼科用水性組成物を、対応する比較例として、上記式(1)に従って“消泡時間短縮率(%) (対界面活性剤のみ含有)”を算出した。具体的に対応する比較例とは、実施例1及び比較例12については比較例1であり、実施例2及び比較例13については比較例4である。
同様に、実施例4及び比較例14については、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例11)を、対応する比較例として、上記式(1)に従って“消泡時間短縮率(%) (対界面活性剤+ヒアルロン酸Na含有)”を算出した。結果を表3及び表4に併せて示す。
Figure 2013144671
Figure 2013144671
ポロクサマー407又はポリソルベート80と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例1及び2)の泡容積の半減期は、ポロクサマー407又はポリソルベート80のみを含有する眼科用水性組成物(比較例1)の泡容積の半減期に比べて短縮して、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポロクサマー407又はポリソルベート80と共に、硫酸亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例12及び13)の泡容積の半減期は、ポロクサマー407又はポリソルベート80のみを含有する眼科用水性組成物(比較例4)の泡容積の半減期に比べ延長し、消泡時間短縮率はむしろ減少した。
また、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共に、塩化亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(実施例4)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例11)の泡容積の半減期に比べ、顕著に短縮し、消泡時間短縮率は顕著に増加した。一方で、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共に、硫酸亜鉛及びヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物(比較例14)の泡容積の半減期は、ポリオキシエチレンヒマシ油35と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する眼科用水性組成物の泡容積の半減期に比べて延長し、消泡時間短縮率はむしろ減少した。
以上より、眼科用水性組成物に非イオン性界面活性剤、ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに塩化亜鉛を含有させることによる泡の消える速度の促進効果は、亜鉛化合物として塩化亜鉛を用いる場合の特異的な効果であることが明らかとなった。
試験例3(ヒスタミン遊離抑制試験1)
10容量%ウシ胎児血清(インビトロジェン社製)を添加したDMEM培地(インビトロジェン社製)に懸濁したラット好塩基球細胞株(RBL-2H3)を1.4×105cells/cm2の密度で96ウェルマイクロタイタープレート(コーニング社製)に播種し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。その後、培養上清を吸引除去し、表5に示す濃度となるよう被験物質を溶解したPIPES緩衝液(pH7.2、組成:0.1w/v%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)、CaCl2・2H2O 3.0mM、MgCl2・6H2O 0.40mM、KCl 7.38mM、NaCl 118.93mM、D(+)-Glucose 5.60mM、25mM PIPES(Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid)、同仁化学研究所製)を1ウェル当たり0.1mlずつ添加し、1.5時間、37℃、5%CO2下でインキュベートした。その後培養上清を吸引除去し、被験物質を含むPIPES緩衝液中にさらに、10μMとなるようにA23187(試薬:シグマ社製)を加えたPIPES緩衝液を1ウェル当たり0.2mlずつ添加し、更に30分間、37℃、5%CO2下でインキュベートした。
各ウェルの上清を回収し、ヒスタミンの濃度をELISAキット(Oxford Biochemical Research社製)を用いて定量した。得られた各試験液のヒスタミン濃度を用いて、下記式(2)にしたがって、ヒスタミン遊離抑制率(%)を算出した。結果を表5に併せて示す。
ヒスタミン遊離抑制率(%)=
(比較例15のヒスタミン濃度−各試験液のヒスタミン濃度)/(比較例15のヒスタミン濃度)x100 …… 式(2)
なお、塩化亜鉛は和光純薬製(試薬)を用いた。ヒアルロン酸ナトリウムは第十六改正日本薬局方の精製ヒアルロン酸ナトリウムの規格に適合するものであり、ポロクサマー407は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールであり、医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60は医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。
Figure 2013144671
ヒアルロン酸ナトリウム、ポロクサマー407又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を単独で含有する試験液(比較例16−18)におけるヒスタミン濃度は、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例15)におけるヒスタミン濃度と比較して増加しており、ヒスタミン遊離抑制率は低下し、却ってヒスタミン遊離を促進した。また、塩化亜鉛と共にヒアルロン酸ナトリウムを含有する試験液(比較例19)におけるヒスタミン濃度も、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例15)におけるヒスタミン濃度に比べ増加しており、ヒスタミン遊離抑制率は低下し、却ってヒスタミン遊離を促進した。
これに対して、塩化亜鉛、ヒアルロン酸ナトリウムと共に、ポロクサマー407又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を含有する試験液(実施例5及び6)におけるヒスタミン濃度は、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例15)におけるヒスタミン濃度に比べて減少しており、ヒスタミンの遊離抑制が顕著に増強されることが明らかとなった。
試験例4(ヒスタミン遊離抑制試験2)
試験例3と同様の方法で、表6に示す濃度となるよう被験物質を溶解したPIPES緩衝液を添加し、ヒスタミン遊離抑制試験を実施した。得られた各試験液のヒスタミン濃度を用いて、下記式(3)にしたがって、ヒスタミン遊離抑制率(%)を算出した。 結果を表6に併せて示す。
ヒスタミン遊離抑制率(%)=
(比較例20のヒスタミン濃度−各試験液のヒスタミン濃度)/(比較例20のヒスタミン濃度)x100 …… 式(3)
なお、塩化亜鉛は和光純薬製(試薬)を用いた。ヒアルロン酸ナトリウムは第十六改正日本薬局方の精製ヒアルロン酸ナトリウムの規格に適合するものであり、ステアリン酸ポリオキシル40は医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。
Figure 2013144671
ヒアルロン酸ナトリウム若しくはステアリン酸ポリオキシル40を単独で、又はヒアルロン酸ナトリウム及びステアリン酸ポリオキシル40を含有する試験液(比較例21、22及び25)におけるヒスタミン濃度は、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例20)におけるヒスタミン濃度と比較して増加しており、ヒスタミン遊離抑制率は低下し、却ってヒスタミン遊離を促進した。また、塩化亜鉛と共に、ヒアルロン酸ナトリウム又ステアリン酸ポリオキシル40を単独で含有する試験液(比較例23及び24)におけるヒスタミン濃度も、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例20)におけるヒスタミン濃度に比べ増加しており、ヒスタミン遊離抑制率は低下し、却ってヒスタミン遊離を促進した。
これに対して、塩化亜鉛、ヒアルロン酸ナトリウムと共に、ステアリン酸ポリオキシル40を含有する試験液(実施例7)におけるヒスタミン濃度は、塩化亜鉛のみを含有する試験液(比較例20)におけるヒスタミン濃度に比べて減少しており、ヒスタミンの遊離抑制が顕著に増強されることが明らかとなった。
試験例3及び4の結果から、眼科用水性組成物に非イオン性界面活性剤、ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに塩化亜鉛を含有させることにより、ヒスタミンの遊離抑制が顕著に増強されることが明らかとなった。
試験例5(粘度安定性試験)
表7に示す比較例26、27及び実施例8の眼科用水性組成物を、常法によりそれぞれ調製した。具体的には、表7に記載した含有量に従って、塩化亜鉛、ヒアルロン酸ナトリウム、及びポロクサマー407に精製水(60mL)を加えて溶解した後に、ホウ酸又はホウ砂を加えてそれぞれpHを7.0に調製し、精製水を加えて、全量を100mLとして、眼科用水性組成物を得た。
なお、塩化亜鉛は和光純薬製(試薬)を用いた。ヒアルロン酸ナトリウムは第十六改正日本薬局方の精製ヒアルロン酸ナトリウムの規格に適合するものであり、ポロクサマー407は医薬品添加物規格2003のポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールであり、医薬品添加物規格2003の規格に適合するものである。
各眼科用水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアル及び13mL容量ポリエチレンテレフタレート(PET)製点眼容器に10mLずつ充填して各試験液とした。ガラスバイアルには、光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5000lxの光を約120時間連続照射し、試験液に対して積算照射量60万lx・hrの光を照射(曝光)した。また、PET製容器は、50℃の恒温器内に遮光下にて7日間保存(熱保存)した。各試験液を静置した後に、粘度を測定した。粘度の測定は第16改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第2法回転粘度計法に記載されている「(2)円すい−平板回転粘度計(コーンプレート型粘度計)」の試験法に準拠して、RE85(東機産業)を用いて実施した。
また、比較例26、27及び実施例8については、曝光又は熱保存する前の試験液調製直後における粘度を測定し、下記式(4)に従って粘度残存率を算出した。結果を表7に併せて示す。
粘度残存率(%) =
(曝光又は熱保存後の粘度)/(調製直後における粘度)x100
… 式(4)
Figure 2013144671
曝光後の粘度残存率においては、ヒアルロン酸ナトリウムのみを含有する眼科用水性組成物(比較例26)の粘度残存率が低下し、ヒアルロン酸ナトリウムと共に塩化亜鉛を含有する眼科用水性組成物(比較例27)においては粘度残存率低下が一層促進された。これに対して、ヒアルロン酸ナトリウム、塩化亜鉛と共にポロクサマー407を含有する眼科用水性組成物(実施例8)の粘度残存率は、ヒアルロン酸ナトリウムのみを含有する眼科用水性組成物(比較例26)及び、ヒアルロン酸ナトリウムと塩化亜鉛を含有する眼科用水性組成物(比較例27)に比べ、顕著に増加した。
熱保存後の粘度残存率においては、ヒアルロン酸ナトリウムのみを含有する眼科用水性組成物(比較例26)の粘度残存率が低下し、ヒアルロン酸ナトリウムと共に塩化亜鉛を含有する眼科用水性組成物(比較例27)の粘度残存率低下が一層促進された。これに対して、ヒアルロン酸ナトリウムと共に、塩化亜鉛及びポロクサマー407を含有する眼科用水性組成物(実施例8)の粘度残存率は、ヒアルロン酸ナトリウムのみを含有する眼科用水性組成物(比較例26)並びに、ヒアルロン酸ナトリウム及び塩化亜鉛を含有する眼科用水性組成物(比較例27)に比べ、顕著に増加した。
以上より、眼科用水性組成物に非イオン性界面活性剤、ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに塩化亜鉛を含有させることにより、眼科用水性組成物の粘度低下が顕著に抑制されることが明らかとなった。
製剤例
表8及び表9に記載の処方で、常法により点眼剤を調製する。尚、浸透圧比は対生理食塩水浸透圧比である。
Figure 2013144671
Figure 2013144671
Figure 2013144671
Figure 2013144671

Claims (5)

  1. (A)非イオン性界面活性剤、
    (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに
    (C)塩化亜鉛
    を含有する眼科用水性組成物。
  2. (A)成分が、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の眼科用水性組成物。
  3. (B)成分がヒアルロン酸ナトリウムである請求項1又は2に記載の眼科用水性組成物。
  4. (A)成分の総量1重量部に対して、(B)成分を0.00002〜10000重量部、(C)成分を0.000002〜500重量部含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の眼科用水性組成物。
  5. 眼科用水性組成物中に(A)非イオン性界面活性剤、 (B)ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種、並びに(C)塩化亜鉛を配合することを特徴とする、該眼科用水性組成物における泡の消える速度を促進させる方法。
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