JP2013144624A - シリコン製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高純度な多結晶シリコンインゴットまたは高純度なシリコンの製造コストを低く抑えることが可能なシリコン製造装置を提供すること。
【解決手段】シリコン製造装置では、気密容器内にルツボが設けられている。気密容器の内部空間には、ルツボと、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間が形成されている。閉空間を構成する気密容器内壁には、閉空間と気密容器の外部空間とを連通する貫通孔が形成されている。ガスを、閉空間と気密容器の外部空間との間を移動させるための経路が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン製造装置に関する。
近年、環境問題から、石油などの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。太陽電池は大きな発電設備を必要とせず、稼働時に騒音などが出ないこともあり、日本および欧州などで特に積極的に導入されてきている。昨今ではカドミウムテルルなどの化合物半導体からなる太陽電池が登場してきたものの、物質自体の安全性およびこれまでの実績などから依然として結晶シリコンからなる基板を用いた太陽電池(結晶シリコン太陽電池)が大きなシェアを占めている。特に多結晶シリコンからなる基板(多結晶シリコン基板)を用いた太陽電池では、光電変換効率は単結晶シリコンからなる基板(単結晶シリコン基板)を用いた太陽電池に及ばないものの、生産性は単結晶シリコン基板を用いた太陽電池よりも高い。よって、製造コストの低下が図れるという点において、多結晶シリコン基板を用いた太陽電池は結晶シリコン太陽電池の主流となっている。
多結晶シリコン基板は多結晶シリコンインゴットをウエハ形状に切断することにより得られるが、多結晶シリコンインゴットの製造法としては以下に示すキャスト法が代表的に用いられる。
キャスト法とは、Arなどの不活性ガスが充填されたチャンバ内において、ルツボ内でシリコン融液の加熱状態を保持しつつルツボの下方からルツボおよびルツボ内のシリコン融液の少なくとも一方を冷却するというものである。ルツボの下方からの冷却により、シリコン融液から凝固潜熱が奪われ、よって、多結晶シリコンインゴットが一方向に結晶成長する。チャンバは通常金属製であり、また水冷されている。しかし、チャンバ内に設けられる構成部材(たとえば、ヒーター、ヒーターなどを保持する保持部材、または断熱材など)の材料は、シリコン融点(1412℃)を超える高温環境下における耐熱性、断熱性、およびシリコン融液への低汚染性などを考慮して選定される。たとえば、ヒーターまたはヒーターなどを保持する保持部材には黒鉛が稠密されてなる材料(黒鉛からなる稠密材)が用いられ、断熱材には黒鉛繊維が成形されてなる材料(黒鉛からなる成形材)が用いられる。
キャスト法により得られる多結晶シリコンインゴットの品質を保つためには、シリコン融液の液面近傍でのガス環境を制御することが重要である。詳細には、シリコン融液の液面では、シリコン融液の原料そのものに含まれる酸素またはルツボなどからシリコン融液に混入された酸素により、SiOガスが発生している。シリコン融液における酸素濃度はシリコン融液の液面でのSiOガスの放出とシリコン原料またはルツボ等からの酸素の供給とのバランスで決まり、得られる多結晶シリコンインゴットにおける酸素濃度はシリコン融液における酸素濃度によって決まる。したがって、SiOガスがシリコン融液の液面近傍に高濃度で滞留すると、得られる多結晶シリコンインゴットにおける酸素濃度が高くなる。酸素濃度が高い多結晶シリコンインゴットを太陽電池用シリコン材料として用いると、太陽電池の光電変換効率の低下を引き起こす。そのため、SiOガスをシリコン融液の液面近傍から速やかに除去することが好ましく、たとえばArなどの不活性ガスをシリコン融液の液面へ供給しながら多結晶シリコンインゴットを結晶成長させることが好ましい。
しかし、シリコン融液の液面に存在するSiOガスがチャンバ内を拡散してヒータまたは断熱材などに接触すると、SiOガスとヒータまたは断熱材の材料である黒鉛とが反応してCOガスが発生することがある(SiO+2C→SiC+CO)。発生したCOガスがシリコン融液に接すると、シリコン融液中に炭素が取り込まれることとなり、得られる多結晶シリコンインゴットには炭素が含まれることとなる。炭素を含む多結晶シリコンインゴットを太陽電池用シリコン材料として用いると、太陽電池の光電変換効率の低下を引き起こす。この不具合の発生を回避するため、たとえば特許文献1には、結晶化の際にシリコン融液の表面に不活性ガスを吹き付けて該表面をキャビティが形成される程度に揺動させることが記載されている。
ところで、多結晶シリコンインゴットの原料には、高純度のシリコンが用いられる。高純度のシリコンを得る方法として、珪石を還元して得られる純度98%以上の金属シリコンをシラン(SiH4)またはトリクロルシラン(SiHCl3)などのガスに変換し、そのガスをベルジャー炉内で水素還元するという方法がある。このようにして得られたポリシリコンを単結晶成長させることにより、LSI等の電子デバイス用のシリコンウェハを製造可能である。
電子デバイス用材料に用いられるシリコンには、純度11Nという非常に高い純度が要求される。そのため、金属シリコンをシランなどのガスに変換する設備への投資およびベルジャー炉の設備投資が膨大となっても、また気相反応を利用するために高純度のシリコンの生産性がそれほど高くなくても、金属シリコンをシランなどのガスに変換してベルジャー炉内で水素還元するという方法を採用せざるを得ない。しかし、太陽電池用材料としてのシリコンには、6N程度の純度が要求される。よって、金属シリコンをシランなどのガスに変換してベルジャー炉内で水素還元するという方法により得られたシリコンでは、太陽電池用材料としての品質を十分に満たすが、コストが非常に高くなる。以上のことから、太陽電池用材料としてのシリコン(純度が6N程度のシリコン)の安価な製造技術の確立が強く求められており、凝固偏析等を利用した冶金学的手法により前述した純度98%程度の金属シリコンを精製する手法が近年注目されている。
ここで、金属シリコン中に不純物として比較的多く含まれるものには、鉄、アルミニウム、またはチタン等がある。鉄は金属シリコン中に100〜5000ppmw程度含まれており、アルミニウムは金属シリコン中に100〜2000ppmw程度含まれており、チタンは金属シリコン中に1〜10ppmw程度含まれている。
鉄、アルミニウムまたはチタンなどの不純物はシリコン中の偏析係数(平衡分配係数)が小さいことで知られている。例えば、シリコン中の鉄の偏析係数値は6.4×10-6であり、シリコン中のアルミニウムの偏析係数値は2.8×10-3であり、シリコン中のチタンの偏析係数値は7.37×10-6であることが報告されている。そのため、凝固偏析を利用して鉄、アルミニウムまたはチタンなどの不純物の除去が可能である。つまり、シリコン融液が凝固する際、偏析係数の小さな不純物(鉄、アルミニウムまたはチタン)がシリコン融液中に分配されて固体中にほとんど取り込まれないため、析出したシリコンにおいて上記不純物の濃度が低下する。一方向凝固法に代表される凝固偏析を利用した精製を2回または3回行うことで、鉄、アルミニウムまたはチタンなどの不純物の濃度を0.1ppmW以下(0.1ppmW以下とは、太陽電池用材料として要求される不純物濃度である)とすることが可能である。凝固偏析による不純物除去の方法については、様々な手法が提案されている。たとえば特許文献2には、溶融ケイ素を不活性ガス雰囲気中において凝固温度を超えた状態で保持してから、溶融ケイ素中で回転冷却体を回転させて当該回転冷却体の外周面に高純度のケイ素を晶出させる方法が記載されている。
特開2001−10810号公報 特公平7−53569号公報
特許文献1に記載の多結晶シリコンインゴットの製造装置では、製品である多結晶シリコンインゴットの品質を保つことに着目して、チャンバ内における雰囲気ガスの流れを制御している。特許文献2に記載のシリコンの精製装置では、シリコンの酸化防止に着目して、チャンバ内に不活性ガスを導入している。
上述のように、多結晶シリコンインゴットの製造装置またはシリコンの精製装置などに使用されるヒータまたは断熱材には、黒鉛製の部材を用いることが望ましい。しかし、シリコン融液の液面で生じたSiOガスがヒータまたは断熱材に接触すると、ヒータまたは断熱材の材料である黒鉛が珪化してSiCとなり、以下に示す不具合を招くことがある。
たとえばヒータの材料のように黒鉛からなる稠密材であれば、稠密材の表面がSiC層で覆われる。黒鉛とSiCとでは熱膨張係数が異なるため、昇降温サイクルを繰り返すと稠密材が破断に至ることがある。また、断熱材の材料のように黒鉛繊維からなる成形体であれば、黒鉛繊維がSiC化されて成形体から容易に剥落される状態となり、よって、断熱材としての機能が保持されなくなる。このような不具合の発生を防止するためには、黒鉛からなる構成部材(たとえばヒータまたは断熱材など)を定期的に交換すれば良い。しかし、黒鉛は高価な材料である。そのため、黒鉛からなる構成部材を定期的に交換すると、製品である多結晶シリコンインゴットまたは高純度のシリコンの製造コストの上昇の要因となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高純度の多結晶シリコンインゴットまたは高純度のシリコンの製造コストを低く抑えることが可能なシリコン製造装置に関する。
本発明者らは、SiOガスなどの気体の拡散は隔離部材などにより制御可能であるということに基づいて、シリコン製造装置内においてSiOガスの拡散領域を限定し、よって、本発明に係るシリコン製造装置を完成させた。
本発明に係るシリコン製造装置では、気密容器内にシリコン融液を保持するためのルツボが設けられている。気密容器の内部空間には、ルツボと、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間が形成されている。閉空間を構成する気密容器内壁には、閉空間と気密容器の外部空間とを連通する貫通孔が形成されている。ガスを、閉空間と気密容器の外部空間との間を移動させるための経路が設けられている。
シリコンを、閉空間と気密容器の外部空間との間を移動させるための経路が設けられていることが好ましい。
ガスを通過させるための経路には仕切り弁が設けられていることが好ましく、シリコンを通過させるための経路には第2の仕切り弁が設けられていることが好ましい。
ルツボ開口部に接する隔離部材と気密容器内壁に接する隔離部材とは別体であることが好ましい。ルツボとルツボ開口部に接する隔離部材と気密容器内壁に接する隔離部材と少なくとも一部の気密容器内壁とにより閉空間が形成された状態を保ちながら、ルツボが上下に可動することが好ましい。
隔離部材は、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素のうちの少なくとも1つを主成分として含むことが好ましい。ここで、「隔離部材が、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素のうちの少なくとも1つを主成分として含む」とは、隔離部材が、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素のうちの少なくとも1つを90質量%以上含むことを意味する。
本発明に係るシリコン製造装置では、高純度の多結晶シリコンインゴットまたは高純度のシリコンの製造コストを低く抑えることができる。
本発明のシリコン製造装置の一例を示す断面図である。 本発明のシリコン製造装置の別の一例を示す断面図である。 本発明のシリコン製造装置のまた別の一例を示す断面図である。 本発明のシリコン製造装置のさらに別の一例を示す断面図である。 比較例1におけるシリコン製造装置の断面図である。 比較例2におけるシリコン製造装置の断面図である。
以下、本発明のシリコン製造装置について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<シリコン製造装置>
本発明のシリコン製造装置は、たとえば、シリコンを精製するための装置(以下では「シリコン精製装置」と記す)および多結晶シリコンインゴットを製造するための装置(以下では「インゴット製造装置」と記す)などに適用できる。以下では、図1〜図2を用いてシリコン精製装置を説明し、図3〜図4を用いてインゴット製造装置を説明する。
<シリコン精製装置>
図1は、本発明のシリコン製造装置の一例(シリコン精製装置)を示す断面図である。図1に示すシリコン精製装置は、気密容器1内に設けられたルツボ3、加熱部材5、および断熱部材7を備える。ルツボ3内では、加熱部材5によりシリコン融液15の溶融状態が維持されており、シリコン融液15内には、回転冷却体17が挿入される。回転冷却体17の表面温度はシリコン融液15の温度よりも低いため、シリコン融液15は回転冷却体17の表面で抜熱されて回転冷却体17の表面に析出する。このとき、凝固偏析の原理に従ってシリコン塊18が回転冷却体17の表面に析出するため、シリコン塊18はシリコン融液15よりも高純度となる。シリコン融液15は、ルツボ3内でシリコン原料を溶融することにより得られたものであっても良いし、ルツボ3とは異なる装置内でシリコン原料を溶融することにより得られたものであっても良い。
気密容器1の内部空間には、ルツボ3と、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間S1が形成されている。これにより、シリコン塊18の製造中にシリコン融液15の液面でSiOガスが発生しても、発生したSiOガスは閉空間S1内から外側空間S2(気密容器1の内部空間内において閉空間S1よりも外側に位置する空間)内へ拡散しにくい。したがって、SiOガスが外側空間S2内に位置する加熱部材5および断熱部材7に接触することを防止できるので、SiOガスが加熱部材5および断熱部材7に含まれる黒鉛と反応することを防止できる。その結果、シリコン塊18の製造が進むにつれて加熱部材5および断熱部材7が劣化することを防止できるので、シリコン塊18の製造中における加熱部材5および断熱部材7の交換頻度を低く抑えることができる。加熱部材5および断熱部材7の好ましい材料は黒鉛であるので、加熱部材5および断熱部材7は高価である。以上より、シリコン塊18の製造コストを低く抑えることができる。
隔離部材の一部は、気密容器1内に設けられて仕切り部材として機能することが好ましい。仕切り部材として機能する隔離部材9はルツボ開口部と気密容器1の内面(好ましくはルツボ開口部に対向する気密容器1の内面)とを接続するように設けられているとともに、ルツボ3の上方に位置する断熱部材7の部分の上にも設けられている。
仕切り部材として機能する隔離部材9とルツボ開口部および気密容器1の内面との間に若干の隙間が存在していても良い。隙間を設けることなく仕切り部材として機能する隔離部材9をルツボ開口部上および気密容器1の内面上に設けることは、実際上、困難である。閉空間S1の内圧と外側空間S2の内圧との差が小さく且つ仕切り部材として機能する隔離部材9とルツボ開口部および気密容器1の内面との間の隙間が十分小さければ、SiOガスが閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散する量を少なく抑えることができる。よって、加熱部材5および断熱部材7の劣化を防止できるので、上記効果つまりシリコン塊18の製造コストの低減という効果を得ることができる。
隔離部材の一部は、ガスを、閉空間S1と気密容器1の外部空間との間を移動させるための経路(ガス用経路)であることが好ましい。ガス供給用経路として機能する隔離部材11は給気用孔10内に挿通されていることが好ましく、ガス排気用経路として機能する隔離部材13は排気用孔12内に挿通されていることが好ましい。
閉空間S1を構成する気密容器内壁には、閉空間S1と気密容器1の外部空間とを連通する貫通孔が形成されている。この貫通孔の一例として、たとえば、上記給気用孔10または上記排気用孔12などを挙げることができる。給気用孔10は、アルゴンガスなどの不活性ガスを気密容器1の外部空間から閉空間S1へ供給するための貫通孔である。排気用孔12は、閉空間S1内のSiOガスなどを気密容器1の外部空間へ排出するための貫通孔である。これにより、給気用孔10から導入された不活性ガスをキャリアガスとして、シリコン塊18の製造中に発生したSiOガスを気密容器1の外へ排出させることができる。よって、閉空間S1内に残留するSiOガスの量が少なくなるため、SiOガスが閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散することをさらに抑制できる。したがって、上記効果つまり低コストでシリコン塊18を製造することができるという効果を有効に得ることができる。
ガス供給用経路として機能する隔離部材11には仕切り弁111が設けられていることが好ましく、ガス排気用経路として機能する隔離部材13には仕切り弁113が設けられていることが好ましい。これにより、気密容器1の外部空間内に存在する不純物などが閉空間S1内に混入することを防止できる。
閉空間S1を構成する気密容器内壁に形成された貫通孔の別の例としては、たとえば、シリコン供給用孔(不図示)またはシリコン取り出し用孔16などを挙げることができる。シリコン供給用孔は、シリコン原料およびシリコン融液の少なくとも一方を閉空間S1へ供給するための貫通孔である。シリコン取り出し用孔16は、シリコン塊18をルツボ3から取り出すための貫通孔であり、回転冷却体17が挿通されていることが好ましい。
シリコン供給用孔には仕切り弁(不図示)が設けられていることが好ましく、シリコン取り出し用孔16には仕切り弁116が設けられていることが好ましい。これにより、気密容器1の外部空間内に存在する不純物などが閉空間S1内に混入することを防止できる。なお、シリコン塊18が析出した回転冷却体17をシリコン融液15内から取り出してから仕切り弁116でシリコン取り出し用孔16を蓋するため、図1には仕切り弁116を破線で記している。
このような隔離部材の材料は特に限定されないが、耐熱性、断熱性、およびシリコン融液15への低汚染性などを考慮して、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素の少なくとも1つを主成分として含むことが好ましい。
たとえば黒鉛製の隔離部材を用いた場合、SiOガスによる隔離部材の劣化を防止することは難しい。しかし、隔離部材は加熱部材5および断熱部材7とは異なり小型であるので、隔離部材の価格を低く抑えることができる。よって、シリコン塊18の製造中に隔離部材を頻繁に交換しても、シリコン塊18の製造コストの上昇を防止できる。
一方、酸化珪素、窒化珪素または炭化珪素などを主成分とする隔離部材は、黒鉛製の隔離部材よりも高価格になることが多い。しかし、酸化珪素、窒化珪素または炭化珪素などを主成分とする隔離部材は、黒鉛製の隔離部材に比べて、SiOガスによる劣化が抑えられるので長期間使用可能である。初期コストとランニングコストとを勘案して隔離部材の材料を選定すればよい。
仕切り部材として機能する隔離部材9は、図2に示すように構成されていても良い。図2は、本発明のシリコン製造装置の別の一例(シリコン精製装置)を示す断面図である。
図2に示す仕切り部材として機能する隔離部材19は、ルツボ開口部と気密容器1の内面(好ましくはルツボ開口部に対向する気密容器1の内面)とを接続するように設けられている。このとき、断熱部材7の一部を仕切り部材として機能する隔離部剤19の一部とみなせばルツボ内面を含む領域が閉空間として形成される。よって、図2に示すシリコン精製装置においても、仕切り部材として機能する隔離部材が設けられていないシリコン精製装置(たとえば図5に示すシリコン精製装置)に比べて、SiOガスが断熱部材7に含まれる黒鉛と反応することを抑制できるので、高価な断熱部材7の交換頻度が低下し、したがって、シリコン塊18の製造コストが低下する。
以上、図1および図2を用いてシリコン精製装置の構成を説明したが、図1および図2に示すシリコン精製装置において気密容器1、ルツボ3、加熱部材5、断熱部材7、回転冷却体17の各構成は特に限定されない。
たとえば、気密容器1は、気密容器1内の気体が気密容器1の外へ漏れることを防止可能に構成されていることが好ましい。気密容器1の材料は特に限定されない。たとえば、気密容器1は、SUSなどの金属からなり且つ水冷されていることが好ましい。気密容器1の大きさおよび形状は図1などに示す大きさおよび形状に限定されない。しかし、気密容器1内には、ルツボ3と加熱部材5と断熱部材7などとが設けられるため、気密容器1は、ルツボ3と加熱部材5と断熱部材7などとを収容可能な大きさおよび形状に構成されていることが好ましい。
ルツボ3はシリコン融液15を保持可能に構成されていることが好ましく、ルツボ3の大きさおよび形状は図1などに示す大きさおよび形状に限定されない。ルツボ3の材料は、特に限定されないが、シリコンの融点(たとえば1412℃)以上の温度で安定な材料であることが好ましく、黒鉛、シリカ、石英、炭化ケイ素、アルミナ、またはムライトなどが好適であり、黒鉛、シリカ、石英、または炭化ケイ素などがより好適である。ルツボ3が黒鉛、シリカ、石英、または炭化ケイ素などからなれば、ルツボ3からシリコン融液15への不純物の混入を抑制できる。
加熱部材5は、ルツボ3の外側に設けられており、好ましくは外側空間S2内に設けられており、ルツボ3およびルツボ3内に保持されたシリコン融液15の少なくとも一方を加熱する。加熱部材5は、シリコン融液15の溶融状態が保持されるようにルツボ3およびシリコン融液15の少なくとも一方を加熱できるのであれば特に限定されず、たとえば、抵抗加熱を利用した加熱装置であることが好ましい。加熱部材5の材料は、特に限定されないが、シリコンの融点(たとえば1412℃)以上の温度で安定な材料であることが好ましく、黒鉛が好適であり、黒鉛からなる稠密材がより好適である。加熱部材5が黒鉛からなれば、加熱部材5からシリコン融液15への不純物の混入を抑制できる。
加熱部材5は、断熱部材7よりも外側に配置されていても良い。この場合には、加熱部材5としては、誘導加熱を利用した加熱装置を用いることが好ましい。
断熱部材7は、ルツボ3の外側に設けられており、好ましくは外側空間S2内に設けられており、ルツボ3および加熱部材5からの熱の少なくとも一部が気密容器1へ伝わることを防止する。よって、断熱部材7は、加熱部材5の外側に設けられていることが好ましく、気密容器1の内面上に設けられていることがより好ましい。断熱部材7の材料は、特に限定されないが、ルツボ3および加熱部材5からの熱の少なくとも一部が気密容器1へ伝わることを防止可能な材料であることが好ましく、またシリコンの融点(たとえば1412℃)以上の温度で安定な材料であることが好ましい。たとえば、断熱部材7の材料は、黒鉛からなる成形体が好適である。断熱部材7が黒鉛からなる成形体からなれば、断熱部材7からシリコン融液15への不純物の混入を抑制できる。
回転冷却体17は、回転冷却体17の表面をシリコンの融点温度よりも低い温度に保持可能に構成されていることが好ましく、たとえば冷却流体(液体であっても良いし気体であっても良い)が回転冷却体17の内部に設けられたノズルから回転冷却体17の内面へ向かって噴出可能に構成されていることが好ましい。回転冷却体17の材料は特に限定されないが、たとえば黒鉛であることが好ましい。また、回転冷却体17は、設定された回転数で回転可能に構成されていることが好ましく、たとえば回転冷却体17の回転数を制御するモータなどが回転冷却体17に接続されていることが好ましい。
<インゴット製造装置>
図3は、本発明のシリコン製造装置のまた別の一例(インゴット製造装置)を示す断面図である。図3に示すインゴット製造装置は、気密容器21内に設けられたルツボ23、加熱部材25、および断熱部材27を備える。図3に示すインゴット製造装置では、加熱部材25によりシリコン融液35の溶融状態をルツボ23内で維持しつつ、ルツボ23およびシリコン融液35の少なくとも一方をルツボ23の下方から冷却する。これにより、多結晶シリコンインゴットが一方向に結晶成長される。
ルツボ23内に供給されるシリコン原料におけるホウ素およびリンなどの不純物濃度は低いことが好ましい。これにより、高純度の多結晶シリコンインゴットを得ることができる。シリコン融液35を得るために用いるシリコン原料は、たとえば、図1または図2に示すシリコン精製装置を用いて得られたシリコン塊18を用いることが可能である。
気密容器21の内部空間には、ルツボ23と、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間S1が形成されている。これにより、多結晶シリコンインゴットの結晶成長中にシリコン融液35の液面でSiOガスが発生しても、発生したSiOガスは閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散しにくい。したがって、SiOガスが外側空間S2内に位置する加熱部材25および断熱部材27に接触することを防止できるので、SiOガスが加熱部材25および断熱部材27に含まれる黒鉛と反応することを防止できる。その結果、多結晶シリコンインゴットの結晶成長が進むにつれて加熱部材25および断熱部材27が劣化することを防止できるので、多結晶シリコンインゴットの結晶成長中における加熱部材25および断熱部材27の交換頻度を低く抑えることができる。加熱部材25および断熱部材27の好ましい材料は黒鉛であるので、加熱部材25および断熱部材27は高価である。以上より、多結晶シリコンインゴットの製造コストを低く抑えることができる。
隔離部材の一部は、気密容器21内に設けられて仕切り部材として機能することが好ましい。仕切り部材として機能する隔離部材29はルツボ開口部と気密容器21の内面(好ましくはルツボ開口部に対向する気密容器21の内面)とを接続するように設けられているとともに断熱部材27の内面上にも設けられている。
仕切り部材として機能する隔離部材29とルツボ開口部および気密容器21の内面との間に若干の隙間が存在していても良い。閉空間S1の内圧と外側空間S2の内圧との差が小さく且つ仕切り部材として機能する隔離部材29とルツボ開口部および気密容器21の内面との間の隙間が十分小さければ、SiOガスが閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散する量を少なく抑えることができる。よって、加熱部材25および断熱部材27の劣化を防止できるので、上記効果つまり多結晶シリコンインゴットの製造コストの低減という効果を得ることができる。
隔離部材の一部は、ガスを、閉空間S1と気密容器21の外部空間との間を移動させるための経路(ガス用経路)であることが好ましい。ガス供給用経路として機能する隔離部材31は給気用孔30内に挿通されていることが好ましく、ガス排気用経路として機能する隔離部材33は排気用孔32内に挿通されていることが好ましい。
閉空間S1を構成する気密容器内壁には、閉空間S1と気密容器21の外部空間とを連通する貫通孔が形成されている。この貫通孔の一例として、たとえば、上記給気用孔30または上記排気用孔32などを挙げることができる。
給気用孔30は、アルゴンガスなどの不活性ガスを気密容器21の外部空間から閉空間S1内へ供給するための貫通孔である。排気用孔32は、閉空間S1内のSiOガスなどを気密容器21の外部空間へ排出するための貫通孔である。これにより、給気用孔30から導入された不活性ガスをキャリアガスとして、多結晶シリコンインゴットの結晶成長中に発生したSiOガスを気密容器21の外へ排出させることができる。よって、閉空間S1内に残留するSiOガスの量が少なくなるため、SiOガスが閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散することをさらに抑制できる。したがって、上記効果つまり低コストで多結晶シリコンインゴットを製造することができるという効果を有効に得ることができる。
ガス供給用経路として機能する隔離部材31には仕切り弁131が設けられていることが好ましく、ガス排気用経路として機能する隔離部材33には仕切り弁133が設けられていることが好ましい。これにより、気密容器21の外部空間内に存在する不純物などが閉空間S1内に混入することを防止できる。
このような隔離部材の材料については、図1に示すシリコン精製装置において述べたとおりである。
インゴット製造装置の中には、ルツボおよびシリコン融液の少なくとも一方を冷却する能力を調整するためにルツボを昇降可能な装置があり、またシリコン融液の面内における均熱性を確保するために又はルツボ内におけるシリコン融液の流れを制御するためにルツボを回転可能な装置がある。このようなインゴット製造装置において仕切り部材として機能する隔離部材は、図4に示すように構成されていることが好ましい。
図4に示すインゴット製造装置では、仕切り部材として機能する隔離部材49のうち、ルツボ開口部に接する隔離部材49Aと気密容器内壁に接する隔離部材49Bとは別体である。そして、ルツボ23が上下に可動しても、ルツボ23とルツボ開口部に接する隔離部材49Aと気密容器内壁に接する隔離部材49Bと少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間S1が形成された状態が維持される。具体的には、ルツボ開口部に接する隔離部材49Aは、ルツボ開口部上から気密容器内壁へ向かって延びている。気密容器内壁に接する隔離部材49Bは、気密容器内壁上に設けられているとともに気密容器内壁上からルツボ開口部へ向かって延びている。そして、ルツボ23が上下に可動しても、ルツボ開口部に接する隔離部材49Aの上面は気密容器内壁に接する隔離部材49Bの下面よりも上側に位置している。これにより、図4に示すインゴット製造装置では、仕切り部材として機能する隔離部材が設けられていないインゴット製造装置(たとえば図6に示すインゴット製造装置)に比べて、多結晶シリコンインゴットの製造中に発生したSiOガスが閉空間S1内から外側空間S2内へ拡散することを防止できるので、そのSiOガスが加熱部材25および断熱部材27に接触することを防止でき、よって、SiOガスが加熱部材25および断熱部材27に含まれる黒鉛と反応することを防止できる。したがって、図4に示すシリコン精製装置では、仕切り部材として機能する隔離部材が設けられていないインゴット製造装置(たとえば図6に示すインゴット製造装置)に比べて、高価な加熱部材25および断熱部材27の交換頻度が低下するので、多結晶シリコンインゴットの製造コストが低下する。
図3および図4に示すインゴット製造装置には、冷却機構が設けられていることが好ましい。冷却機構は、ルツボ23の下方からルツボ23およびルツボ23内に保持されたシリコン融液35の少なくとも一方を冷却する。そのため、冷却機構は、ルツボ23よりも下に設けられていることが好ましい。これにより、シリコン融液35はルツボ23の下面から抜熱され、多結晶シリコンインゴットが結晶成長する。
冷却機構は、その構成に特に限定されず、ルツボ23およびルツボ23内に保持されたシリコン融液35の少なくとも一方をシリコンの融点よりも低い温度にまで冷却可能に構成されていることが好ましい。冷却機構は、たとえば、ルツボ23の底部に設けられたカーボンブロックをルツボ23とともに下降させ、ルツボ23よりも下方の冷却された領域に移動させるというものであっても良い。これにより、ルツボ23およびルツボ23内に保持されたシリコン融液35の少なくとも一方は、表面から輻射放熱され、よって冷却される。また、冷却機構は、ルツボ23の下方に断熱材からなるシャッタを設け、シャッタを解放するというものであっても良い。これにより、ルツボ23およびルツボ23内に保持されたシリコン融液35の少なくとも一方は、輻射放熱され、よって冷却される。
以上、図3および図4を用いてインゴット製造装置の構成を説明したが、図3および図4に示すシリコン精製装置において気密容器21、ルツボ23、加熱部材25、および断熱部材27の各構成は特に限定されない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1および比較例1では高純度のシリコンの製造方法について示し、実施例2および比較例2では多結晶シリコンインゴットの製造方法について示す。
<実施例1>
実施例1では、図2に示すシリコン精製装置を用いてシリコンを精製した。図2に示すシリコン精製装置の具体的な構成を示す。SUS製の水冷された気密容器1の内周面上に、成形材(成形材は黒鉛繊維が成形されてなる)からなる断熱部材(厚さ100mm)7が設けられており、断熱部材7の内側には、等方性黒鉛材製の加熱部材5(抵抗加熱ヒーター)が設けられていた。気密容器1の中央であって加熱部材5の内側には、等方性黒鉛材製の円筒形状のルツボ(外径630mm)3が設けられており、このルツボ3は、400kgのシリコン融液を保持可能に構成されていた。黒鉛製の回転冷却体17がルツボ3の直上からルツボ3内のシリコン融液15に浸漬されており、回転冷却体17はその内部において窒素ガス(冷却流体)を流通させることが可能に構成されていた(窒素ガスを流通させる構造は図示せず)。気密容器1内には、ガス供給用経路として機能する隔離部材11によりArが導入され、Arは、シリコン融液15の表面から発生するSiOガスとともにガス排気用経路として機能する隔離部材13内を通って気密容器1の外へ排気された。ルツボ3上には、黒鉛製のリング状の隔離部材(仕切り部材として機能する隔離部材)19(厚み20mm)が設けられており、仕切り部材として機能する隔離部材19の上端は、隙間を設けることなく断熱部材7の内面に接していた。
シリコン原料としては、Fe(不純物)を100ppmw含むシリコンを用いた。このシリコン原料をルツボ3内に供給してから、加熱部材5によりシリコン原料をルツボ3内で融解させた。これにより、400kgのシリコン融液15が得られた。なお、シリコン原料を大気中に放置しているだけでもシリコン原料の表面には自然酸化膜が形成され、その自然酸化膜からシリコン原料に酸素が供給され、シリコン原料に供給された酸素はシリコン原料が溶融した後にはシリコン融液の表面からSiOとして放出された。
シリコン融液15が得られたら、回転冷却体17をシリコン融液15内に挿入し、回転冷却体17を回転させた。そして、回転冷却体17の表面に15kgのシリコン塊18が析出したら、回転冷却体17をシリコン融液15から取り出して、シリコン塊18を回収した。その後、回転冷却体17をシリコン融液15内に再び浸漬させた。シリコン融液15内への回転冷却体17の浸漬、シリコン塊18の析出、およびシリコン塊18の回収を1サイクルとして、12サイクル行なった。
ルツボ3内のシリコン融液15の質量が220kgまで減少したところで、180kgのシリコン原料をルツボ3に補充し、補充したシリコン原料を溶融した。そして、ルツボ3内のシリコン融液15の質量を400kgとして、上記サイクルを行なった。
上記サイクルおよびシリコン原料の補充を繰り返し行なうと、ルツボ3内に残留するシリコン融液において不純物が濃縮され、その結果、凝固偏析を利用してシリコンを精製しても純度に優れたシリコン塊を得にくくなった。得られたシリコン塊における不純物濃度が高くなった時点で、加熱部材5による加熱を停止し、気密容器1内の温度が低下してから、気密容器1の蓋を開けてルツボ3を交換した。そして、気密容器1の蓋を開けたとき、加熱部材5および断熱部材7の劣化状況を調査した。
黒鉛製の加熱部材5に関しては、SiOガスと加熱部材5に含まれる黒鉛とが反応すると、加熱部材5の表面に珪化層が形成される。加熱部材5の表面における珪化層が厚くなるほど、冷却時または次回昇温時の加熱部材5の破損可能性が高まる。次回昇温時早々に加熱部材5が破損してしまうと、加熱が停止してしまう。加熱の停止によりルツボ内に保持されたシリコン融液が凝固するため、一旦、加熱されたルツボの再利用は不可能となる。ルツボ3を再利用できなくなると、シリコン塊18の製造コストの上昇を招く。また、加熱部材5の破損によりルツボ3およびルツボ3内のシリコン融液15が急激に冷却されると、シリコン融液15が保持された状態でルツボ3が破損するおそれがあり、シリコン融液15が気密容器1内で飛び散ることとなる。これらのことを踏まえて、本実施例では、加熱部材5の表面における珪化層の厚みが200μmとなった時点で加熱部材5を交換することとした。気密容器1の蓋を最初に開けたときには加熱部材5の表面における珪化層の厚みは200μm未満であり、加熱部材5の交換は不要と判断した。
また、断熱部材7に関しては、断熱部材7が成形材からなるので、断熱部材7の表面において珪化が進行すると自らの形状を保てないほどに断熱部材7の強度が低下する。そのため、断熱部材7の表面から成形体が剥落し、珪化が進行していない断熱部材7の面が露出する。すると、断熱部材7の露出した面でSiOガスによる珪化が進み、剥落が進行する。このように、断熱部材7では、剥落と珪化とを繰り返すため、断熱部材7の厚みが薄くなり、よって、断熱部材7の断熱性の機能低下などの不具合が発生する。それだけでなく、断熱部材7からの剥落片がシリコン融液15内に落下した結果、その剥落片がシリコン塊18内に混入するなどの不具合が生じる。これらのことを踏まえて、本実施例では、断熱部材7の表面に金属棒の先端面(先端面の面積は1cm2)を押し付けて5Nの力を断熱部材7に加えたときの断熱部材7の破壊具合を調べることにより、断熱部材7の交換要否を判断した。断熱部材7が破損しなかったときには、断熱部材7において珪化反応が進行していないと判断した。金属棒の先端が接触した部分において断熱部材7が破壊して金属棒が断熱部材7に刺さり込んだときには、断熱部材7の表面が珪化していると判断した。そして、断熱部材7への金属棒の刺さり込み深さが20mmを超えた時点で、断熱部材7を交換することとした。気密容器1の蓋を最初に開けたときには断熱部材7への金属棒の刺さり込み深さが20mm以下であり、断熱部材7の交換は不要と判断した。
<比較例1>
比較例1では、図5に示す装置を用いたことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがってシリコンを精製してシリコン塊78を得、上記実施例1と同様の方法にしたがって加熱部材65および断熱部材67の交換の要否を判断した。図5は、比較例1におけるシリコン精製装置の断面図である。
具体的には、比較例1におけるシリコン精製装置は、気密容器61内に設けられたルツボ63、加熱部材65、および断熱部材67を備え、ガス供給管71、ガス排気管72、および回転冷却体77をさらに備えていた。気密容器61、ルツボ63、加熱部材65、断熱部材67、および回転冷却体77は、それぞれ、上記実施例1における気密容器1、ルツボ3、加熱部材5、断熱部材7、および回転冷却体17と同一に構成されていた。また、ルツボ63内で保持されるシリコン融液75も上記実施例1におけるシリコン融液15と同一に構成されていた。一方、ガス供給用経路として機能する隔離部材11に変え、ガス供給管71を設けた。また、ガス排気用経路として機能する隔離部材13に変え、ルツボ63と断熱部材67との間に位置する空間(加熱部材65が設けられている空間)から気密容器61の外へ向かって延びるようにガス排気管72を設けた。また、比較例1におけるシリコン精製装置には、上記実施例1における仕切り部材として機能する隔離部材19に相当する部材は設けられていなかった。
1ヶ月毎に気密容器1の蓋を開けて加熱部材および断熱部材の交換の要否を検討した結果を表1に示す。
Figure 2013144624
表1に示すように、実施例1では、比較例1よりも加熱部材5および断熱部材7の交換頻度が低下し、仕切り部材として機能する隔離部材19の追加によるコスト増よりも加熱部材5および断熱部材7の交換頻度の低下によるコスト減の方が大きくなった。よって、実施例1では、シリコン塊18の製造コストが低下すると考えられる。
実施例1において加熱部材5および断熱部材7の交換頻度が低下した理由としては、実施例1では、気密容器1の内部空間には、ルツボ3と、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間S1が形成されているので、高純度のシリコンの製造中に生じたSiOガスが加熱部材5および断熱部材7に接触しにくくなり、その結果、SiOガスが加熱部材5および断熱部材7に含まれる黒鉛と反応しにくくなることが挙げられる。
なお、比較例1では、高純度のシリコンの製造中に生じたSiOガスは、ルツボ63の内部空間内からルツボ63と断熱部材67との間に位置する空間内へ拡散してから、ガス排気管72内を通って気密容器61の外へ排気された。
<実施例2>
実施例2では、図4に示すインゴット製造装置を用いて多結晶シリコンインゴットを製造した。図4に示すインゴット製造装置の具体的な構成を示す。黒鉛製のサセプターで囲われたシリカ(酸化シリコン)製のルツボ23(内寸830mm×830mm)内にシリコン(固形)450kgを供給し、気密容器21内に設けた。気密容器21内には加熱部材25および断熱部材27が設けられていたが、加熱部材25および断熱部材27は上記実施例1における加熱部材5および断熱部材7と同様であった。また、気密容器21内には、仕切り部材として機能する隔離部材(黒鉛製)49が設けられていた。
ルツボ23を気密容器21内に配置してから気密容器21の蓋を閉め、ガス供給用経路として機能する隔離部材31を介してArを供給しながらルツボ23およびルツボ23内のシリコン(固形)を昇温させた。これにより、シリコン融液35が得られた。ルツボ23の内面にはシリコンとの融着防止のために窒化珪素の層が形成されているが、酸素がルツボ23からシリコン融液35内へ供給された。それだけでなく、酸素は、シリコン(固形)の表面上に形成された自然酸化膜からもシリコン融液35内に混入され、シリコン融液35の表面からSiOとして放出された。また、ルツボ23の内部空間内に存在するSiOガスなどの気体はガス排気用経路として機能する隔離部材33内を通って気密容器21の外へ排気された。
シリコン(固体)の溶融が完了すれば、シリコン融液35の溶融状態を維持できるように加熱部材25の出力を制御した。そののち、ルツボ23を徐々に下降させ、ルツボ23を下方から冷却した。これにより、ルツボ23の下面から一方向に結晶成長が開始した。シリコン融液35の凝固が完全に終了すれば、アニール工程を行なった。その後、気密容器21内を冷却してから気密容器21の蓋を開け、得られた多結晶シリコンインゴットを取り出した。上記実施例1と同様の基準で加熱部材25および断熱部材27の劣化具合を調査してこれらの交換時期を判断したが、シリコン(固形)をルツボ23に供給してから多結晶シリコンインゴットを取り出すまでに要した期間は3日であったため、加熱部材25および断熱部材27の劣化はほとんど確認されなかった。
その後、新たなシリコン(固形)をルツボ23内に供給してから、多結晶シリコンインゴットの製造を行なった。そして、加熱部材25および断熱部材35の劣化具合の調査を、気密容器21の蓋を開けるたびに行なうのではなく1カ月毎に行なった。
<比較例2>
比較例2では、図6に示す装置を用いたことを除いては上記実施例2と同様の方法にしたがって多結晶シリコンインゴットを製造して、上記実施例2と同様の方法にしたがって加熱部材および断熱部材の交換の要否を判断した。図6は、比較例2におけるインゴット製造装置の断面図である。
具体的には、比較例2におけるインゴット製造装置は、気密容器81内に設けられたルツボ83、加熱部材85、および断熱部材87を備え、ガス供給管91およびガス排気管92をさらに備えていた。気密容器81、ルツボ83、加熱部材85、および断熱部材87は、それぞれ、上記実施例2における気密容器21、ルツボ23、加熱部材25、および断熱部材27と同一に構成されていた。また、ルツボ83内で保持されるシリコン融液95も上記実施例2におけるシリコン融液35と同一に構成されていた。一方、ガス供給用経路として機能する隔離部材31に変え、ガス供給管91を設けた。また、ガス排気用経路として機能する隔離部材33に変え、ルツボ83と断熱部材87との間に位置する空間から気密容器81の外へ向かって延びるようにガス排気管92を設けた。また、比較例2におけるインゴット製造装置には、上記実施例2における仕切り部材として機能する隔離部材49に相当する部材は設けられていなかった。
1ヶ月毎に気密容器1の蓋を開けて加熱部材および断熱部材の交換の要否を検討した結果を表2に示す。
Figure 2013144624
表2に示すように、実施例2では、比較例2よりも加熱部材25および断熱部材27の交換頻度が低下し、仕切り部材として機能する隔離部材の追加によるコスト増よりも加熱部材25および断熱部材27の交換頻度の低下によるコスト減の方が大きくなった。よって、実施例2では、多結晶シリコンインゴットの製造コストが低下すると考えられる。
実施例2において加熱部材25および断熱部材27の交換頻度が低下した理由としては、実施例2では、気密容器21の内部空間には、ルツボ23と、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間S1が形成されているので、多結晶シリコンインゴットの製造中に生じたSiOガスが加熱部材25および断熱部材27に接触しにくくなり、その結果、SiOガスが加熱部材25および断熱部材27に含まれる黒鉛と反応しにくくなることが挙げられる。
なお、比較例2では、多結晶シリコンインゴットの製造中に生じたSiOガスは、ルツボ83の内部空間内からルツボ83と断熱部材87との間に位置する空間内へ拡散してから、ガス排気管92内を通って気密容器81の外へ排気された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,21,61,81 気密容器、3,23,63,83 ルツボ、5,25,65,85 加熱部材、7,27,67,87 断熱部材、9,19,29,49 仕切り部材として機能する隔離部材、10,30 給気用孔、11,31 ガス供給用経路として機能する隔離部材、12,32 排気用孔、13,33 ガス排気用経路として機能する隔離部材、15,35,75,95 シリコン融液、16 シリコン取り出し用孔、17,77 回転冷却体、18 シリコン塊、49A ルツボ開口部に接する隔離部材、49B 気密容器内壁に接する隔離部材,71,91 ガス供給管、72,92 ガス排気管、111,113,116,131,133 仕切り弁。

Claims (6)

  1. 気密容器内に、シリコン融液を保持するためのルツボが設けられ、
    前記気密容器の内部空間には、前記ルツボと、ルツボ開口部および気密容器内壁に接する隔離部材と、少なくとも一部の気密容器内壁とで構成された閉空間が形成され、
    前記閉空間を構成する気密容器内壁には、前記閉空間と前記気密容器の外部空間とを連通する貫通孔が形成され、
    ガスを、前記閉空間と前記気密容器の外部空間との間を移動させるための経路が設けられているシリコン製造装置。
  2. シリコンを、前記閉空間と前記気密容器の外部空間との間を移動させるための経路が設けられている請求項1に記載のシリコン製造装置。
  3. 前記ガスを通過させるための経路には仕切り弁が設けられている請求項1または2に記載のシリコン製造装置。
  4. 前記シリコンを通過させるための経路には第2の仕切り弁が設けられている請求項2に記載のシリコン製造装置。
  5. 前記ルツボ開口部に接する隔離部材と前記気密容器内壁に接する隔離部材とは別体であり、
    前記ルツボと前記ルツボ開口部に接する隔離部材と前記気密容器内壁に接する隔離部材と前記少なくとも一部の気密容器内壁とにより前記閉空間が形成された状態を保ちながら、前記ルツボが上下に可動する請求項1または3に記載のシリコン製造装置。
  6. 前記隔離部材は、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素のうちの少なくとも1つを主成分として含む請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン製造装置。
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