JP5584712B2 - シリコン精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池の原料となるシリコンの精製装置及びシリコン精製方法に関する。本発明は、特に、シリコン含有廃液から分離したシリコンのシリコン精製装置及びシリコン精製方法に関する。
従来、太陽電池用のシリコンウェーハの原料となるシリコン材料には、主にポリシリコンや、円柱のインゴットを角柱に成形する際に得られる切断端材が用いられている。これらは不純物が極めて少なく、太陽電池グレードのシリコンウェーハの材料としては十分な純度である。
一方、近年、太陽電池の生産量は世界的に増加しており、材料となるシリコンの需要も伸びているため、シリコンが不足している現状がある。その中で、ウェーハを製造するためのインゴットをスライスする工程によって発生する切削廃液中には重量比にすると約半分近いシリコンが切削屑となって混じっており、そのまま処分されているため、これらの再利用方法が求められている。しかし、これらのシリコン屑には切削時に多くの異物が混入し、また、シリコン自身が酸化して酸化シリコンとなってしまうため、純度が著しく低下してしまう。そこで、これらのシリコン屑を再利用する手段として、例えば、特許文献1のような方法が提案されている。以下、その処理方法について図を参照しながら説明する。
図4に示すように、従来のシリコン精製装置101は、シリコンの機械加工を行った際に発生する廃液から分離され、かつ酸化シリコンを有するシリコン粉を含む粉末102を溶融して溶湯103とする加熱容器104、加熱容器104を加熱する加熱手段105および溶湯103に含まれるシリコン融液を出湯する出湯手段106を有する溶融炉107と、溶湯103に含まれる粘度の低いシリコン融液を収納し冷却する冷却容器108と、加熱容器104の内壁または底に付着する粘度の高い酸化シリコンを含む残留部を収納する残留部容器109とを備える。この従来のシリコン精製装置101では、シリコン粉を分離する粉末分離工程と、減圧または不活性ガス雰囲気下の加熱容器104中においてシリコン粉をシリコンの融点以上2000℃以下の温度に加熱し、シリコンが溶融し溶湯103とする溶融工程と、溶湯103に含まれる加熱容器104の内壁または底に付着する粘度の高い酸化シリコンを加熱容器104に残し、粘度の低いシリコン融液を冷却容器108に出湯する出湯工程とを経ることにより、加熱容器104から粘度の低いシリコン融液を冷却容器108に出湯することで高純度のシリコンを得ることができる。
特開2010−47443号公報
インゴットのスライス工程などのシリコンの機械加工において発生するシリコン含有廃液には様々な不純物が混入する。特に、カーボンの混入が多く、例えば加工時の冷却液や潤滑剤として用いられる加工液には有機系のカーボンが含まれている。また、インゴットを固定する土台には主にカーボン製の板が使用されており、スライス時には土台まで切り込むために、それらのカーボンが混入する。更に、スライスには金属ワイヤーと一緒に固定砥粒や遊離砥粒と呼ばれる砥粒としてダイヤモンドやシリコンカーバイドなどが用いられており、これらの無機系カーボンも多く混入する。これら有機系カーボンと無機系カーボンの混入量は廃液中の固形分として数atom%〜10atom%にも達し、不純物の大部分を占めている。
特許文献1に見られるように、シリコンの溶融は減圧雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気で行われることが殆どである。したがって、シリコン中のカーボン(特に無機系カーボン)は、酸化でガス化されることなく残留し、溶融時に溶融シリコンと反応してシリコンカーバイドSiCとして不溶物を形成し、シリコン結晶中に残留してしまうという課題があった。また、それら不溶物の形成を防ぐために、有機溶剤や酸による洗浄を行ったり、溶融時の温度をシリコンの融点よりも遥かに高い温度に設定するなどの方法をとっているが、工程が煩雑になり、処理コストが高くなるなどの課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、原料として、カーボンを不純物とするシリコン含有廃液から分離したシリコンを用いた場合にも、シリコンカーバイド等の不溶物を形成することなく、高純度のシリコンを容易に得ることのできるシリコン精製装置及びシリコン精製方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るシリコン精製装置は、シリコン溶湯を保持する、るつぼと、
前記るつぼを加熱する加熱ヒータと、
シリコン含有廃液から分離したシリコンを前記シリコン溶湯に投入するシリコン投入部と、
前記るつぼ内のシリコン溶湯の炭素濃度を算出する炭素濃度算出部と、
前記炭素濃度算出装置によって算出された前記シリコン溶湯の炭素濃度に応じて、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。これにより所期の目的を達成することができる。
また、本発明に係るシリコン精製方法は、シリコン溶湯のシリコンを精製するシリコン精製方法であって、
シリコンを溶融させてシリコン溶湯とするステップと、
シリコン含有廃液から分離したシリコンを前記シリコン溶湯に断続的に添加するステップと、
前記シリコン溶湯の炭素濃度を算出するステップと、
を含み、
前記シリコン溶湯の前記炭素濃度に応じて、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を制御することを特徴とする。これにより所期の目的を達成することができる。
以上のように、本発明に係るシリコン精製装置及びシリコン精製方法によれば、シリコン含有廃液から分離したシリコンに不純物としてカーボンが含まれていても、シリコンカーバイドSiCなどの不溶物を形成することなく、従来の精製方法に比べて低コストでありながら高純度の多結晶シリコンを得ることができる。
本発明の実施の形態1におけるシリコン精製装置の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1におけるシリコン精製方法のプロセスフロー図である。 本発明の実施の形態2におけるシリコン精製装置の構成を示す概略断面図である。 特許文献1に記載された従来のシリコン精製方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係るシリコン精製装置及びシリコン精製方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるシリコン精製装置の構成を示す概略断面図である。
図1において、本発明の実施の形態1に係るシリコン精製装置は、精製炉1内部に具備された加熱ヒータ2によってるつぼ3を加熱する構成を備える。るつぼ3に入れられたシリコンは、ガス導入部9から供給されるアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気中において加熱ヒータ2で加熱されることで溶融し、シリコン溶湯4となる。また、このシリコン精製装置は、機械加工等によって発生したシリコン含有廃液から分離回収したシリコン粒5を投入口6からシリコン溶湯4内に断続的に添加する構成を備え、投入口6と連動した制御部8によってシリコン粒5の投入量を制御することができる。なお、ここで投入量(添加量ともいう。)とは、時間当たりの投入量であってもよい。制御部8は、ガス測定装置7と連動しており、シリコン溶湯4界面から発生する一酸化炭素の濃度をモニタリングし、その一酸化炭素濃度の値から算出される炭素濃度によって、シリコン粒5の投入量が制御される構成としている。炉1内のガスは排気口10から排出されるようになっており、ガス濃度の上昇を防いでいる。
加熱ヒータ2は、二珪化モリブデンやモリブデン、タングステン、カーボンなどの抵抗体による加熱方式や、高周波電源を用いた誘導加熱方式など、炉の材質や、耐熱温度、加熱時の炉内ガス雰囲気に合わせて選ぶことができる。
るつぼ3としては、シリコン溶融時にるつぼ3自身からの不純物の混入が極力少ないものを選ぶことが望ましく、例えばシリカや石英などの珪素を主成分とするるつぼ3を選ぶことで、溶融シリコンへの不純物の混入を抑制することができる。
なお、シリコン溶湯4の材料となるシリコンは、後から投入するシリコン粒5とは異なり、純度の高い、いわゆる半導体や太陽電池の原料となるものを選ぶことが望ましくはあるが、例えば、太陽電池用の原料としてよく用いられるポリシリコンなどを用いると、材料コストが高くなり、トータルとしての処理コストが高くなってしまう。本発明においてはポリシリコンの原料である金属シリコンなどのより安価なものや、インゴットの加工によって発生する端材など比較的低コストで入手できるものを用いることができる。シリコンの初期充填量は、るつぼ3の大きさや、シリコン粒5の炭素濃度に合わせて増減させれば良いが、概ね、溶融時にるつぼ3の容積の3割から5割程度になるように充填することが好ましい。
シリコンの融点は約1410℃とされており、るつぼ3内の温度をそれ以上の温度、例えば、1450℃〜1600℃の温度範囲に設定することでシリコンを溶融することができる。1450℃以下であれば不純物を含んだシリコン粒が十分に溶けない可能性が高く、また、1600℃以上では、るつぼ3の耐久性に支障がでたり、処理コストの上昇にもなってしまうため、上記温度範囲内とすることが好ましい。
シリコン含有廃液から分離したシリコン粒5としては、例えば、シリコンの機械加工等によるシリコン含有廃液から水分を分離して得られたものが用いられる。水分の分離には様々な方法が挙げられるが、例えば遠心分離や、フィルタープレスなどの方式が比較的容易で、処理量も稼げることから好ましい。このように分離されたシリコンには、まだ水分が残っており、さらに水分を除去するために乾燥させることがさらに好ましい。このとき、型に詰めたり、板状に成形するなどして乾燥させることで、るつぼ3への添加に適したサイズのシリコン粒5の大きさを揃えることが容易になる。なお、ここではシリコン含有廃液から分離したシリコンを「シリコン粒」としているが、その形状は必ずしも粒状に限るものではない。シリコン5は、例えば、粉末や、より大きいサイズの固形物であってもよいことはいうまでもない。
次に、るつぼ3内のシリコン溶湯4中の炭素濃度の測定方法について説明する。シリコン溶湯4中に存在するカーボンは、同じくシリコン溶湯4中に存在する酸素と反応することで一酸化炭素となって気化し、シリコン溶湯4の液界面から脱気していく。この場合の化学反応式は以下のように示される。
Figure 0005584712
このとき、精製炉1内において、シリコン溶湯4に溶けているカーボンC及び酸素O、そしてガス化した一酸化炭素COの各物質の濃度が一定である場合、化学的に平衡状態にあるという。この場合の平衡定数を表す式を以下に示す。
Figure 0005584712
上記式1の左辺にあるKは平衡定数を表しており、一定の温度下では、その化学反応特有の一定値を取る。右辺の[C]、[O]、[CO]は、それぞれシリコン溶湯4に溶けているカーボン、酸素、そしてガス化した一酸化炭素の物質濃度を表す。さらに平衡定数Kは熱力学的データに基づいて温度の関数で表されるため、精製炉1内の温度が一定であれば、計算によって求めることができる。一方で、シリコン溶湯4に溶けている酸素の供給源は、原料のシリコン表面の酸化膜や、るつぼ3として用いる石英からの溶出が主な供給源であり、特に石英の溶解に伴うシリコン溶湯4への酸素の溶け込みが多い。つまり、シリコン溶湯4には常に新たな酸素が溶け込んでいる状態であり、その量はシリコン溶湯4に対する酸素の溶解度(例えばシリコンの融点付近では約40ppma(parts per million atomic))の上限に近い量で、温度によってほぼ一定と考えることができる。そこで、上記式1中で酸素濃度[O]を温度によって一定値とおくことができるため、計算的に上記式1において、シリコン溶湯4の炭素濃度を算出することができる。以上より、炉1内の一酸化炭素の濃度[CO]をガス測定装置7で測定することで、温度に対応する一定値の酸素濃度[O]を用いて、間接的にシリコン溶湯4中の炭素濃度[C]を把握することができる。
シリコン溶湯4中の炭素の飽和濃度は、シリコンの融点である1410℃付近でおよそ91ppmaと言われている。それ以上のカーボンが存在する場合は、シリコン溶湯4中のシリコンとカーボンとが反応してシリコンカーバイドSiCが形成される。一旦シリコンカーバイドが形成されてしまうと、シリコンカーバイドは非常に高温で分解する(大気圧では液体にはならずSiと黒鉛に分解する)ため不溶物となってシリコン溶湯4中に残存してしまう。これを抑制するにはシリコン溶湯4中の炭素濃度を飽和濃度以上に上げないことが重要であり、炭素濃度をシリコン溶融温度である1410℃での飽和濃度である91ppma以下に制御することで、確実にシリコンカーバイドの形成を防ぐことが可能である。そのため、本実施の形態1に係るシリコン精製装置及びシリコン精製方法において、シリコン溶湯4中の炭素濃度を把握することはシリコンカーバイドの形成を防ぐために有効な手段である。
また、シリコン溶湯4中の炭素濃度は、溶融状態の保持時間を長くすればその分ガス化して下げることが可能であるが、低濃度に近づくほど反応速度は低下するため効率が悪くなる。太陽電池用ウェーハに用いられるインゴットの炭素濃度の基準はおよそ1ppmaと言われており、本発明におけるシリコン溶湯4中の炭素濃度も1ppmaまで下げておけば、太陽電池用の材料としては十分に適用できる。なお、実際はシリコン溶湯4が凝固するときには、液体部分と固体部分の界面において偏析現象が起こり、固化したシリコンから、まだ固化していない液体のシリコン溶湯4にカーボンが移動する。この現象を利用した結晶の精製方法を一方向凝固と呼び、古くからシリコン溶湯4中の金属不純物を除去する結晶育成手法として用いられているが、カーボンもこの原理によって取り除くことができる。よって、例えばシリコン溶湯4中の炭素濃度が10ppma程度であったとしても、偏析現象を利用して一部を凝固させることで、固体シリコン中の炭素濃度を1ppma以下にすることは可能である。すなわち、シリコン溶湯4中の炭素濃度を91ppma以下に抑えてあれば、シリコン粒5の添加スピードを上げても問題はないが、凝固させる段階においては1ppma〜10ppmaの範囲にまで炭素濃度を下げる必要がある。シリコン溶湯4中の炭素濃度が10ppma程度であった場合、上述のように一部を凝固させることで固化したシリコンの炭素濃度を1ppma以下に抑えることができる。あるいは、シリコン溶湯4中の炭素濃度が10ppmaを超える場合には、シリコン溶湯4内のカーボンと酸素との反応による一酸化炭素生成、及び、その脱気によって炭素濃度が低下して1ppma〜10ppmaの範囲になるまで待つ必要がある。そのため、添加を止めた後も溶融状態を保持し、シリコン溶湯4内の炭素濃度が下がるのを待てばよい。あるいは、炭素濃度が常に1〜10ppmaの範囲に収まるようにシリコン粒5の添加量を制御することで、即座に凝固を始めることも可能である。
ガス測定装置7は連続的にガス濃度を測定できる手段であれば如何なる手段を用いても何ら効果に差異はない。なお、精製炉1内が減圧雰囲気の場合はガスのサンプリングに工夫が必要である。また、幅広い濃度範囲で測定できることを加味すれば、ガスクロマトグラフやFT−IRガス分析装置などがより好ましい。
次に、本発明のシリコン精製方法について、フローチャートを用いて説明する。図2にフローチャートを示す。
(1)初めに、高純度のシリコンを入れたるつぼ3を炉内にセットする(S101)。
(2)次いで、加熱ヒータ2を作動させる(S102)。
(3)るつぼ3内のシリコンを融点以上に加熱して溶融させ、シリコン溶湯4を生成する(S103)。尚、このときの温度は、投入するシリコン粒5の不純物濃度によって増減させることができるが、1450℃から1600℃の温度範囲内で保持すればよい。また、シリコン溶湯4の炭素濃度によっては、一酸化炭素へのガス化を促進させたいときには、温度を上昇させ、炭素濃度が下がってきたら温度を下げるといった温度変化を与えてもよい。
また、初期のシリコン溶湯4の重量としては、処理したいシリコン粒5の炭素濃度と添加量に合わせて設定すればよい。シリコン粒5の添加量としては、例えば1日に処理したい量によって時間当りの添加量が決まってくるが、生産性を考えると1g/秒以上の添加量が好ましい。より好ましくは10g/秒の添加量である。しかし、あまり添加量を増やしすぎると、シリコン溶湯4中の炭素濃度が上昇し、飽和濃度である91ppma以上になるとシリコンカーバイドが形成されてしまう。よって、生産性との兼ね合いで、シリコン粒5を添加してもシリコン溶湯4の炭素濃度が91ppma以上にならないよう、シリコン粒5の炭素濃度とシリコン粒5の添加量から初期のシリコン溶湯4の重量を設定すればよい。例えば、シリコン粒5の炭素濃度が1atom%であれば、添加量が1g/秒ならばその1000倍の1kgのシリコン溶湯を初期重量とすることで、急激な炭素濃度上昇が生じることもなく、炭素の飽和濃度である91ppmaを超えることはまずない。この希釈倍率から考えると、添加量を10g/秒まで上げたければ10kgシリコン溶湯4を初期重量とすればよい。一方、シリコン粒5の炭素濃度は場合によっては10atom%にまで達することもある。その場合はシリコン溶湯4の初期重量を100kgにすることで添加量を10g/秒まではシリコン粒5を添加することができる。しかし、これ以上シリコン溶湯4の初期重量を増やすことは生産性や処理コストに悪影響を及ぼすことになるため、シリコン粒5の添加量は10g/秒以下とすることが好ましい。シリコン粒5の添加量を上記添加量の上限(10g/秒)以下とすることで、たとえ10atom%程度のカーボンが不純物として含まれているシリコン粒5が添加された場合であっても、生産性を損なうことなく、連続的にシリコン粒5を添加することができる。
(4)次に、ガス測定装置7を作動させる(S104)。
(5)シリコン溶湯4にシリコン粒5を添加する(S105)。
(6)シリコン粒5中に含まれる炭素とシリコン溶湯4中の酸素との反応によって発生した一酸化炭素を測定する(S106)。炭素濃度の測定からシリコン粒5添加の制御周期としては、例えば0.5〜1分に一度の頻度であれば良い。シリコン粒5の添加量は前述したように1g〜10g/秒とする。添加量及び濃度制御の周期を上記範囲にすることで、シリコンカーバイドを形成させることなく、効率よくシリコンの精製を連続的に行うことができる。
(7)次に、一酸化炭素の測定値から前記式1によってシリコン溶湯4中の炭素濃度を算出する(S107)。
(8)シリコン溶湯4の炭素濃度が1ppma以下であるか、判断し、炭素濃度が1ppma以下であればシリコン粒5の添加スピードを上げ(S108)、その時点で再び炭素濃度を算出し(S106〜S107)、それでもなお、炭素濃度が1ppma以下であれば、更に添加スピードを上げるように制御部8によってフィードバック制御する。
(9)一方、炭素濃度が1ppmaを超えていると判断されれば、次に時間当りの炭素濃度の変化率を測定する(S109)。炭素濃度の変化率が増加するようであれば、シリコン粒5の添加スピードを減少させる(S110)。その時点で再び炭素濃度の変化率を測定し(S109)、それでもなお変化率が上昇するようであれば、更に添加スピードを減少させる(S110)ように制御部8によってフィードバック制御する。この操作によって、炭素濃度の変化率がほぼ一定になるようにシリコン粒5の添加量を制御し、その状態で保持する。このときのシリコン溶湯4中の炭素濃度としては1〜10ppmaの範囲にあることが好ましい。こうすることで、シリコン粒5の添加による炭素濃度の上昇と、一酸化炭素発生による炭素濃度の減少がつり合い、連続的にシリコン粒5を添加することができる。尚、シリコン粒5の添加量を一定に保持している間(S111)も炭素濃度の変化率は逐次測定(S109)し、変化があった場合はそれに合わせてシリコン粒5の添加量を減少(S110)又は保持(S111)させると良い。
(10)シリコン粒5の添加が継続(S111)されると、るつぼ3内のシリコン溶湯4の嵩が増してくる。そこで、ある一定のレベルに達した時点(S112)でシリコン粒5の添加を停止する(S113)。このとき、炭素濃度が10ppmaよりも高いようであれば、一定時間溶融状態を保持することで炭素濃度を下げることも可能である。
(11)最後に、加熱ヒータ2の出力を下げてシリコン溶湯4を冷却する(S114)。
以上によって、シリコンの精製が完了する。
かかる構成によれば、炭素濃度が高いシリコン粒5が添加されて溶融した際に、予め溶融していた高純度のシリコン溶湯4に拡散した場合に予想されるシリコンとカーボンの反応によるシリコンカーバイドの形成を抑制することができる。また、シリコン溶湯4の液界面から発生する一酸化炭素の濃度を、上記式1を用いてシリコン溶湯4中の炭素濃度[C]を算出することによってシリコン溶湯4中の炭素濃度を把握し、シリコンカーバイドの形成が起こらないようにシリコン粒5の添加スピードを制御することができる。
尚、本実施の形態1においては炉1内を不活性ガス雰囲気としているが、真空ポンプなどで炉内を減圧した状態で不活性ガスを流す条件としても良い。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるシリコン精製装置の構成を示す概略断面図である。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
実施の形態2に係るシリコン精製装置では、図3に示すように、るつぼ3の底部には排出口11が設けられており、排出を制御する制御機構(図示なし)によって凝固用るつぼ12に精製されたシリコン溶湯4を移す構成を備える。凝固用るつぼ12は複数個並べられており、コンベア13によって連続的に搬入口14から搬入され、シリコン溶湯4が投入されると搬出口15へ運ばれる構成としている。搬入口14及び搬出口15の炉内側にはシャッター16が設けられており、搬入、搬出の際に外気が炉内に混入しない構成としている。
(1)排出口11からシリコン溶湯4を凝固用るつぼ12に移す際には、まずシリコン粒5の添加を止めてシリコン溶湯4内の炭素濃度を確認し、必要に応じて溶融状態を保持し、十分に炭素濃度を下げる。
(2)次に、排出口11を開いてシリコン溶湯4を凝固用るつぼ12に移し変える。このとき、全量を移し変えることはせずに、はじめに溶かしておいたシリコン溶湯4の初期量は残して、残りのシリコン溶湯4のみを移し変えるようにする。
かかる構成によれば、るつぼ3に残ったシリコン溶湯4の初期量を再び高純度のシリコン溶湯4として利用することができる。このサイクルを繰り返すことで、高純度のシリコンを追加することなく、連続的にシリコンの精製が行える。尚、本実施の形態2においては、シリコン溶湯4を凝固用るつぼ12に移し変える手段として底部の排出口11から取り出す構造をとっているが、同様の効果が得られる構造であれば、いかなる手段を用いても何ら効果に差異はない。例えば、るつぼ3を傾ける、あるいは、るつぼ3上部からオーバーフローさせて凝固用るつぼ12に移し変えるなどの構成としてもよい。
本発明に係るシリコン精製装置及びシリコン精製方法によれば、カーボン等の不純物を多く含んだシリコンから純度の高い多結晶シリコンを精製する効果を有し、半導体ウェーハ等の製造工程など様々な工程で発生するシリコン含有廃液の精製用途にも適用できる。
1 精製炉
2 加熱ヒータ
3 るつぼ
4 シリコン溶湯
5 シリコン粒
6 投入口
7 ガス測定装置
8 制御部
9 ガス導入部
10 排気口
11 排出口
12 凝固用るつぼ
13 コンベア
14 搬入口
15 搬出口
16 シャッター
101 シリコン精製装置
102 粉末
103 溶湯
104 加熱容器
105 加熱手段
106 出湯手段
107 溶融炉
108 冷却容器
109 残留部容器

Claims (10)

  1. シリコン溶湯を保持する、るつぼと、
    前記るつぼを加熱する加熱ヒータと、
    シリコン含有廃液から分離したシリコンを前記シリコン溶湯に投入するシリコン投入部と、
    前記るつぼ内のシリコン溶湯の炭素濃度を算出する炭素濃度算出部と、
    前記炭素濃度算出装置によって算出された前記シリコン溶湯の炭素濃度に応じて、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を制御する制御部と、
    を備える、シリコン精製装置。
  2. 前記炭素濃度算出部は、前記るつぼ内の前記シリコン溶湯界面のカーボン含有ガスの濃度を測定し、前記シリコン溶湯の前記炭素濃度を算出する、請求項1に記載のシリコン精製装置。
  3. 前記制御部は、前記シリコン溶湯の前記炭素濃度が1ppma以上であって、かつ、91ppma以下の範囲内に維持されるように前記シリコンの添加量を制御する、請求項1に記載のシリコン精製装置。
  4. 前記制御部は、前記シリコン溶湯の前記炭素濃度の変化率が増加している場合には、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を減らす、請求項1に記載のシリコン精製装置。
  5. 前記るつぼは、前記シリコン溶湯の少なくとも一部を移す排出口を設けている、請求項1に記載のシリコン精製装置。
  6. シリコン溶湯のシリコンを精製するシリコン精製方法であって、
    シリコンを溶融させてシリコン溶湯とするステップと、
    シリコン含有廃液から分離したシリコンを前記シリコン溶湯に断続的に添加するステップと、
    前記シリコン溶湯の炭素濃度を算出するステップと、
    を含み、
    前記シリコン溶湯の前記炭素濃度に応じて、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を制御することを特徴とするシリコン精製方法。
  7. 前記シリコン溶湯の前記炭素濃度が1ppma以上であって、かつ、91ppma以下の範囲内に維持されるように前記シリコンの添加量を制御する、請求項6に記載のシリコン精製方法。
  8. 前記シリコン溶湯の前記炭素濃度を測定するステップは、前記シリコン溶湯界面の炭素含有ガス濃度を測定することによって前記シリコン溶湯の前記炭素濃度を算出することを特徴とする請求項6に記載のシリコン精製方法。
  9. 前記シリコン溶湯の前記炭素濃度の変化率が増加している場合には、前記シリコン溶湯への前記シリコンの添加量を減らす、請求項6に記載のシリコン精製装置。
  10. 精製された前記シリコン溶湯のうち初期量残し、残りのシリコン溶湯を凝固用るつぼに移すステップをさらに含む、請求項6に記載のシリコン精製方法。
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