JP5148783B1 - 複合材の製造方法およびシリコンの精製装置 - Google Patents
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Abstract
黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材(1)と、基材(1)上に設けられた結晶シリコン層(2)と、結晶シリコン層(2)の表面に設けられたセラミック層(3)と、を備え、セラミック層(3)は酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含む複合材、複合材の製造方法およびシリコンの精製装置である。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本発明は、複合材の製造方法およびシリコンの精製装置に関する。
環境問題から石油などの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。その中でも、シリコン半導体の光電変換原理を用いた太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換することを容易に行なうことができる。しかしながら、太陽電池の普及拡大には太陽電池の製造コストを低減すること、とりわけ、太陽電池の作製に用いられるシリコンのコストダウンが必要である。
半導体集積回路などに用いられる高純度シリコンは、珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリコンを原料とするものであって、化学的な方法でトリクロルシラン(SiHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還元することにより、いわゆる11N(イレブン−ナイン)程度の高純度シリコンを得ている(シーメンス法)。しかしながら、このようにして得られた高純度シリコンの作製には、複雑な製造プラントが必要になるとともに、還元に要するエネルギー使用量が多くなるため、必然的に高価な素材となる。
一方、太陽電池の製造に用いられるシリコンに要求される純度は約6N程度である。したがって、このような半導体集積回路用などの高純度シリコンの規格外品は、太陽電池用としては過剰な高品質となる。太陽電池の低コスト化のために、半導体集積回路の製作の各工程から得られる高純度シリコンの再生利用と並行して、2N〜3N程度の純度である金属シリコンからの直接的な冶金的精製が試みられている。
このようなシリコンの治金的精製の一工程としては、従来、シリコン融液の凝固、特に一方向凝固を行なうことで、偏析により金属シリコンを精製し、実用的な太陽電池特性を得る方法が知られている。
たとえば特許文献1(特開昭63−45112号公報)には、一方向凝固による偏析効果を高め、かつ生産性を向上することにより、安価な高純度シリコンを得る方法として、溶融ケイ素中に回転冷却体を浸漬させ、回転冷却体を回転させて、回転冷却体の外周面にケイ素塊を晶出させる方法が開示されている。
ここで、回転冷却体には、溶融ケイ素との反応性や熱伝導性を考慮して、窒化ケイ素などのセラミックまたは黒鉛の使用例が挙げられているが、強度、コストおよび熱伝導性を考慮すると黒鉛の使用が現実的である。
また、偏析係数が大きいため、特許文献1に記載の技術では効率的に除去することが困難な不純物、例えばリン(偏析係数が0.35)およびボロン(偏析係数が0.8)については、偏析を利用しない除去方法が開示されている。
たとえば特許文献2(特開平6−227808号公報)には、溶融シリコンを減圧雰囲気下で保持して、リンを気相中に放出することによって、不純物であるリンを除去する方法が開示されている。
また、たとえば特許文献3(特開平4−228414号公報)には、不活性ガスと水蒸気とを含む混合ガスのプラズマを溶融シリコン表面に照射することによって、不純物であるボロンを除去する方法が開示されている。
上記のいずれの方法においても、溶融状態で処理したシリコンを、最終的には処理ルツボから耐熱容器に出湯し、凝固したものを製品である精製シリコンとして取り出す。
従来、溶融シリコンを凝固させるための耐熱性の鋳型としては、シリコンへのコンタミ(不純物混入)のおそれが少なく、かつシリコンの融点である1414℃以上(冶金精製法における溶融シリコン温度は一般に1450℃〜1500℃程度)においても形状安定性に優れている石英、溶融シリカ、あるいは黒鉛などを一体的に形成した鋳型が用いられてきた。
しかしながら、これらの一体形成型の鋳型に溶融シリコンを注湯した場合には、凝固したシリコン塊が鋳型に固着してしまうという問題があった。
この問題を解決するため、たとえば特許文献4(特開平10−182285号公報)には、鋳型の内面に、窒化ケイ素または酸化ケイ素などの離型剤層を形成することによって、シリコン鋳塊の固着を防止することが可能な金属シリコン凝固精製用鋳型が開示されている。
以上で述べてきたように、冶金精製法によるシリコン精製工程には、シリコンを加熱により融解して溶融シリコンとし、冷却体や容器に接した状態で凝固させ、固体として製品を取り出す工程が不可避的に含まれている。
溶融シリコンを凝固させる工程として、冷却体を溶融シリコン中に浸漬させるプロセスや、容器内に溶融シリコンを注湯するプロセスなどが挙げられるが、いずれにおいてもシリコン溶湯と接する部分(冷却体、容器など、以下「基材」と称すこともある。)の材質には、耐熱性を有し、かつ高温シリコンを汚染しないという条件を満たす黒鉛、酸化珪素または炭化ケイ素等が用いられる。
特に、これらのプロセスにおいては、凝固速度が生産性に直結するため、基材の材質としては、凝固速度が稼げる(熱伝導性の高い)黒鉛が好適に用いられる。
これらの基材が溶融シリコンと接した場合には、基材の熱容量が溶融シリコンの熱容量に比べて十分に大きい場合には、基材との接触面でシリコンが凝固殻を形成することで剥離性の良い界面が得られる。しかしながら、通常は、シリコンが融液の状態で基材と接する状態となる。
このような状態においては、溶融シリコンが基材と濡れた状態となり、冷却により溶融シリコンが凝固した後においても、凝固シリコンと基材とが一体化した状態となる。そのため、製品である凝固シリコンを基材から分離回収することが非常に困難となる。
また、破壊的な手段によって、凝固シリコンを基材から分離することが可能であったとしても、分離時に基材が損傷し、基材を再利用することが困難となるため、分離のたびに基材を交換する必要が生じる。
このような問題を解決するため、たとえば特許文献4に記載されているように、基材の表面上に、窒化ケイ素、酸化ケイ素または炭化ケイ素等よりなる離型剤層を形成することもできる。しかしながら、この場合には、基材の表面と離型剤層との密着性が得られないため、溶融シリコンを凝固させるたびに、基材の表面上に新たな離型剤層を形成する必要が生じる。
離型剤層は、基材の表面に離型剤を塗布することにより形成することができるが、コストがかかるため、溶融シリコンを凝固させるたびに基材の表面に離型剤を塗布することは、安価な高純度シリコンを得ることに対して大きな障害となっていた。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、コストを抑えて、シリコンの良好な剥離性を安定して得ることができる複合材の製造方法およびシリコンの精製装置を提供することにある。
また、本発明は、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材上に結晶シリコン層を形成する工程と、結晶シリコン層の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なうことにより結晶シリコン層の表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層を形成する工程と、を含む、複合材の製造方法である。
ここで、本発明の複合材の製造方法において、結晶シリコン層を形成する工程は、基材の表面に溶融シリコンを接触させる工程を含むことが好ましい。
また、本発明の複合材の製造方法において、結晶シリコン層を形成する工程は、基材を溶融シリコン中に浸漬して保持した後に引き上げる工程を含むことが好ましい。
また、本発明の複合材の製造方法において、結晶シリコン層を形成する工程は、基材の表面に溶融シリコンを吹き付ける工程を含むことが好ましい。
また、本発明の複合材の製造方法において、結晶シリコン層を形成する工程は、基材の表面に固体状態のシリコンを設置した後に固体状態のシリコンを融点以上の温度に昇温する工程を含むことが好ましい。
また、本発明の複合材の製造方法においては、基材の表面に溶融シリコンが接触している状態で、基材の表面の温度がシリコンの融点以上であることが好ましい。
また、本発明の複合材の製造方法において、セラミック層を形成する工程は、結晶シリコン層の表面を酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気中に保持する工程を含むことが好ましい。
また、本発明は、溶融シリコンを保持するための坩堝と、坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、冷却媒体を流すための冷却ユニットと、冷却ユニットの外側に上記の複合材の製造方法により製造された複合材と、を備えた、シリコンの精製装置である。
さらに、本発明は、溶融シリコンを保持するための坩堝と、坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、坩堝に保持された溶融シリコンから固体状態のシリコンを表面に析出可能な容器と、坩堝内の溶融シリコンを容器に注湯可能な注湯ユニットと、を備え、容器は、容器の内表面に、上記の複合材の製造方法により製造された複合材を備えている、シリコンの精製装置である。また、本発明は、溶融シリコンを保持するための坩堝と、坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、冷却媒体を流すための冷却ユニットと、冷却ユニットの外側に、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材と、基材上に設けられた結晶シリコン層と、結晶シリコン層の表面に設けられ、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層とを有する複合材と、を備えた、シリコンの精製装置である。また、本発明は、溶融シリコンを保持するための坩堝と、坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、坩堝に保持された溶融シリコンから固体状態のシリコンを表面に析出可能な容器と、坩堝内の溶融シリコンを容器に注湯可能な注湯ユニットと、を備え、容器は、容器の内表面に、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材と、基材上に設けられた結晶シリコン層と、結晶シリコン層の表面に設けられ、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層とを有する複合材と、を備えている、シリコンの精製装置である。
本発明によれば、コストを抑えて、シリコンの良好な剥離性を安定して得ることができる複合材の製造方法およびシリコンの精製装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものとする。
<複合材の構成>
図1に、本発明の複合材の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す複合材は、基材1と、基材1の表面上に設けられた結晶シリコン層2と、結晶シリコン層2の表面に設けられたセラミック層3と、を備えている。
図1に、本発明の複合材の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す複合材は、基材1と、基材1の表面上に設けられた結晶シリコン層2と、結晶シリコン層2の表面に設けられたセラミック層3と、を備えている。
ここで、基材1は、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含むものであればよいが、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素のいずれかのみからなることが好ましい。
結晶シリコン層2は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンのような結晶シリコンのみからなることが好ましいが、結晶シリコンを含むものであれば、その一部にアモルファスシリコンが含まれていてもよい。
結晶シリコン層2の厚さT2は、200μm以上1000μm以下であることが好ましく、400μm以上800μm以下であることがより好ましい。結晶シリコン層2の厚さT2が1000μm以下である場合、特に800μm以下である場合には、結晶シリコン層2の層中からの剥落を抑制することができる傾向にある。また、結晶シリコン層2の厚さT2が200μm以上である場合、特に400μm以上である場合には、物理的な衝撃により結晶シリコン層2が損傷して、基材1の表面が露出しにくくなる傾向にある。
セラミック層3は、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むものであればよい。
セラミック層3の厚さT3は、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましい。セラミック層3の厚さT3が1000μm以下である場合、特に300μm以下である場合には、セラミック層3が剥落して、製品に混入しにくくなる傾向にある。セラミック層3の厚さT3が50μm以上である場合、特に100μm以上である場合には、物理的な衝撃によりセラミック層3が損傷して、結晶シリコン層2の表面が露出しにくくなる傾向にある。
<複合材の製造方法>
図1に示す複合材は、たとえば以下のようにして製造することができる。まず、図2(a)の模式的断面図に示すように、基材1の表面上に結晶シリコン層2を形成する工程を行なう。
図1に示す複合材は、たとえば以下のようにして製造することができる。まず、図2(a)の模式的断面図に示すように、基材1の表面上に結晶シリコン層2を形成する工程を行なう。
結晶シリコン層2を形成する工程は、たとえば以下のようにして行なうことができる。まず、図3の模式図に示すように、内部に冷却ユニット16を備えた基材1の表面を坩堝13に収容された溶融シリコン14中に浸漬させて保持させることによって、基材1の表面を溶融シリコン14に接触させる。
ここで、溶融シリコン14の温度は、1500℃以上1550℃以下であることが好ましい。溶融シリコン14の温度が、1500℃以上1550℃以下である場合には、基材1の表面に溶融シリコン14を十分に浸潤させることができるため、基材1の表面と結晶シリコン層2との良好な接着性を得ることができる傾向にある。なお、後述するように、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点(1414℃)以上である場合には、溶融シリコン14の温度をこのような高温にしなくても、基材1の表面に溶融シリコン14を十分に浸潤させることができる。
基材1の溶融シリコン14中への浸漬保持時間は、たとえば厚さ30mmの黒鉛製の基材1を用いた場合には、5分以上であることが好ましい。基材1の溶融シリコン14中への浸漬保持時間が5分以上である場合には、基材1の表面に溶融シリコン14が十分に浸潤して、基材1の表面と結晶シリコン層2との良好な接着性を得ることができる傾向にある。
次に、図4の模式図に示すように、溶融シリコン14が表面に付着した基材1を上方に引き上げる。これにより、基材1の表面に溶融シリコン14を付着させる。
ここで、基材1の引き上げ速度は、20mm/秒以下であることが好ましく、10mm/秒以下であることがより好ましい。基材1の引き上げ速度が、20mm/秒以下である場合、特に10mm/秒以下である場合には、基材1の引き上げにつられて生じる溶融シリコン14のメニスカスによる結晶シリコン層2の厚みムラを抑えることができる傾向にある。なお、基材1の引き上げ速度の下限は、特に限定されず、常識的な値とすることができる。
基材1の表面に付着させた溶融シリコン14の厚さは、0.2mm以上1mm以下であることが好ましい。この場合には、結晶シリコン層2が損傷することによる基材1の表面の露出を抑えることができるとともに、結晶シリコン層2の剥落の発生も抑制することができるため、結晶シリコン層2を強固なものとすることができる傾向にある。
その後、基材1の表面に付着させた溶融シリコン14を冷却する。溶融シリコン14の冷却方法は、溶融シリコン14が固化して結晶化するものであれば特に限定されず、たとえば図5の模式図に示すように、基材1の内部に設置された冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させ、基材1の表面を冷却することによって、溶融シリコン14を冷却する方法などが挙げられる。
溶融シリコン14は、1200℃以上1350℃以下の温度まで冷却されることが好ましい。この場合には、基材1の表面に付着した溶融シリコン14が高温の固体状態となって基材1に定着させることができるとともに、後述するセラミック層3の形成時におけるガスの反応を好適に進行させることができる傾向にある。
なお、溶融シリコン14を収容した坩堝13は、坩堝13の外周を取り囲むようにして設置されて溶融シリコン14を溶融状態に保持する加熱ユニット12とともに処理室11の内部に設置されている。また、処理室11には、処理室11の内部にガスを導入するためのガス導入ユニット17が設置されている。
次に、図2(b)の模式的断面図に示すように、結晶シリコン層2の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なうことにより、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層3を形成する工程を行なう。これにより、図1に示す複合材を作製することができる。
セラミック層3を形成する工程は、たとえば以下のようにして行なうことができる。まず、図6の模式図に示すように、ガス導入ユニット17から処理室11の内部に酸素および窒素の少なくとも一方を含むガス21を導入し、処理室11の内部の雰囲気を酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気とする。
ここで、酸化シリコンを含むセラミック層3を形成する場合の処理室11の内部の雰囲気の酸素分圧は、10Pa以上100Pa以下であることが好ましく、20Pa以上50Pa以下であることがより好ましい。この場合には、ガスの反応速度が好適化して、セラミック層3を短時間で形成することができる傾向にある。また、セラミック層3の形成が行なわれるのと同じ処理室11の内部に設置されている溶融シリコン14が無駄に酸化するのを抑えることができる。
なお、酸素については、通常、溶融シリコン14の原料中に微量含まれているため、処理室11の内部に敢えて導入しなくてもよい。
また、窒化シリコンを含むセラミック層3を形成する場合の処理室11の内部の雰囲気の窒素分圧は、40Pa以上10000Pa以下であることが好ましく、500Pa以上5000Pa以下であることがより好ましい。この場合には、ガスの反応速度が好適化して、セラミック層3を短時間で形成することができる傾向にある。また、セラミック層3の形成が行なわれるのと同じ処理室11の内部に設置されている溶融シリコン14が無駄に窒化するのを抑えることができる。
また、処理室11の内部の雰囲気の温度は、1200℃以上1350℃以下であることが好ましく、1300℃以上1350℃以下であることがより好ましい。処理室11の内部の雰囲気の温度が1200℃以上1350℃以下である場合、特に1300℃以上1350℃以下である場合には、ガスの反応速度が好適化して、セラミック層3を短時間で形成することができる傾向にある。
そして、酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気に結晶シリコン層2の表面を保持する。これにより、結晶シリコン層2の表面の酸化および窒化の少なくとも一方が行なわれて、結晶シリコン層2の表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層3が形成される。
ここで、結晶シリコン層2の表面の保持時間は、5分以上20分以下であることが好ましい。結晶シリコン層2の表面の保持時間が5分以上20分以下である場合には、シリコンの剥離性が良好なセラミック層3を形成することができる。
なお、結晶シリコン層2の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なうことによりセラミック層3が形成されるものであれば、セラミック層3の形成方法は、この方法に限定されるものではない。
また、結晶シリコン層2およびセラミック層3は、たとえば以下のようにして製造することもできる。まず、図7(a)の模式図に示すように、溶融シリコン吹き付けユニット31から、基材1の表面に、溶融シリコン14を吹き付ける。これにより、基材1の表面に溶融シリコン14を接触させる。なお、溶融シリコン吹き付けユニット31は、溶融シリコン14を吹き付けることができるものであれば特に限定されず用いることができる。
ここで、溶融シリコン14の温度および基材1の表面に付着させた溶融シリコン14の厚さの好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
次に、図7(b)の模式図に示すように、基材1の内部に設置された冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させ、基材1の表面を冷却する。これにより、基材1の表面に付着した溶融シリコン14が固化して結晶化することにより、基材1の表面上に結晶シリコン層2が形成される。なお、溶融シリコン14の冷却方法は、溶融シリコン14が固化して結晶化するものであれば、冷却ユニット16からの冷却媒体15の噴出に限定されるものではない。
ここで、溶融シリコン14の冷却温度の好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
その後、酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気に結晶シリコン層2の表面を保持すること等により、図7(c)の模式図に示すように、結晶シリコン層2の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なって、結晶シリコン層2の表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層3を形成する。これにより、図1に示す複合材を作製することができる。
ここで、処理室11の内部の雰囲気の酸素分圧、窒素分圧および温度の好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
また、結晶シリコン層2およびセラミック層3は、たとえば以下のようにして製造することもできる。まず、図8(a)の模式図に示すように、基材1の表面に固体状態のシリコン2aを設置する。ここで、固体状態のシリコン2aを設置する方法は、特には限定されない。
次に、図8(b)の模式図に示すように、固体状態のシリコン2aを加熱し、固体状態のシリコン2aをシリコンの融点以上の温度に昇温することによって溶融シリコン14とする。
ここで、溶融シリコン14の温度および基材1の表面に付着させた溶融シリコン14の厚さの好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
次に、図8(c)の模式図に示すように、基材1の内部に設置された冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させ、基材1の表面を冷却する。これにより、基材1の表面に付着した溶融シリコン14が固化して結晶化することにより、基材1の表面上に結晶シリコン層2が形成される。なお、溶融シリコン14の冷却方法は、溶融シリコン14が固化して結晶化するものであれば、冷却ユニット16からの冷却媒体15の噴出に限定されるものではない。
ここで、溶融シリコン14の冷却温度の好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
その後、酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気に結晶シリコン層2の表面を保持すること等により、図8(d)の模式図に示すように、結晶シリコン層2の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なって、結晶シリコン層2の表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層3を形成する。これにより、図1に示す複合材を作製することができる。
ここで、処理室11の内部の雰囲気の酸素分圧、窒素分圧および温度の好ましい範囲および理由は、上記と同様である。
なお、上記のいずれの方法においても、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点以上であることが好ましい。この場合には、基材1の表面に溶融シリコン14を容易に浸潤させることができ、基材1の表面と結晶シリコン層2との良好な接着性を容易に得ることができる。
基材1の表面温度がシリコンの融点未満である場合には、溶融シリコン14の温度がシリコンの融点よりも十分に高い状態(たとえば1500℃〜1550℃)で、溶融シリコン14を基材1の表面に接触させることにより、基材1の表面を溶融シリコン14で浸潤させることができる。このとき、基材1の表面は溶融シリコン14から熱を受けて昇温し、基材1の表面温度がシリコンの融点以上の温度に達する一方で、基材1の表面近傍の溶融シリコン14は基材1によって冷却される。
一方、シリコンの融点以上である基材1の表面に溶融シリコン14を接触させた場合には、基材1の表面近傍の溶融シリコン14が凝固しないため、基材1の表面に溶融シリコン14を容易に浸潤させることができる。
<シリコンの精製装置>
図9に、本発明のシリコンの精製装置の一例の模式的な構成図を示す。図9に示すシリコンの精製装置は、処理室11と、処理室11の内部に設けられた、溶融シリコン14を保持するための坩堝13と、坩堝13の周囲に設けられた加熱ユニット12と、を備えている。
図9に、本発明のシリコンの精製装置の一例の模式的な構成図を示す。図9に示すシリコンの精製装置は、処理室11と、処理室11の内部に設けられた、溶融シリコン14を保持するための坩堝13と、坩堝13の周囲に設けられた加熱ユニット12と、を備えている。
また、処理室11には、上記のようにして基材1の表面上に結晶シリコン層2およびセラミック層3が形成された複合材が取り付けられており、複合材の内部には冷却媒体15を流すための冷却ユニット16が設置されている。さらに、処理室11には、処理室11の内部にガスを導入するためのガス導入ユニット17が設けられている。
そして、上記の冷却ユニット16を備えた複合材を回転させながら、複合材の内部に設けられた冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させて複合材のセラミック層3の表面を冷却することにより、複合材のセラミック層3の表面に溶融シリコン14を凝固させて製品である高純度のシリコン結晶からなるシリコンの凝固塊5を晶出させる。
すなわち、製品であるシリコンの凝固塊5を得る場合には、溶融シリコン14の温度を望ましくは1420℃〜1450℃に保つことが生産性向上の観点から好適である。
その溶融シリコン14中に冷却ユニット16を備えた複合材を浸漬させてシリコンの凝固塊5を晶出させるのであるが、冷却ユニット16の内部に冷却媒体15を流して、溶融シリコン14の凝固に伴う潜熱を除去することによって、凝固進行の駆動力としている。
しかしながら、基材1の表面に特段の処理を施さない場合は、基材1に接触した溶融シリコン14が基材1の表面に浸潤することにより、基材1の表面に連続して成長するシリコンの凝固塊5の全体が剥離困難となる場合がある。
そこで、本発明の複合材においては、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材1上に結晶シリコン層2を形成し、結晶シリコン層2の表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含む複合材のセラミック層3を形成している。
これにより、図9に示すシリコンの精製装置においては、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含む複合材のセラミック層3の表面にシリコンの凝固塊5を晶出させることができることから、シリコンの凝固塊5を安定して容易に剥離することが可能となる。
また、複合材のセラミック層3は、基材1の表面に結晶シリコン層2を介して形成されており、基材1の表面上に強固に密着している。そのため、複合材のセラミック層3は、シリコンの凝固塊5の剥離時に剥がれにくいことから、図9に示すシリコンの精製装置においては、従来のようにシリコンの凝固塊5の剥離のたびに離型剤を塗布する必要がない。
したがって、本発明の複合材を用いた図9に示すシリコンの精製装置においては、コストを抑えて、シリコンの良好な剥離性を安定して得ることができる。これにより、金属元素、リンおよびボロン等の不純物を含む原料シリコンから、冶金的手法により、不純物を除去した製品である高純度のシリコンの凝固塊5を低コストで提供することが可能となる。
また、図9に示すシリコンの精製装置としては、図3〜図6に示す装置と同様の装置を用いることが好ましい。結晶シリコン層2およびセラミック層3の形成には、専用の加熱装置などを用いることも可能であるが、シリコンの精製装置と同一の装置を用いることもできる。このように、シリコンの精製装置と同一の装置を用いて結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成する場合には、結晶シリコン層2およびセラミック層3の形成のための専用の加熱装置などを導入する必要がなくなるため、製品であるシリコンの凝固塊5をより低コストで得ることができる。
図10に、本発明のシリコンの精製装置の他の一例の模式的な構成図を示す。図10に示すシリコンの精製装置は、基材1上に結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成するための第1の処理室11aと、第1の処理室11aの内部に設置された坩堝13に収容された溶融シリコン14を坩堝13に設けられた注湯ユニット53を通して注湯して凝固させるための容器51が設置された第2の処理室11bとが、開閉可能な電磁弁などの開閉ユニット54によって連結されており、溶融シリコン14が収容される容器51の内表面に本発明の複合材を用いている点に特徴がある。
図10に示すシリコンの精製装置においては、開閉ユニット54を閉じて、第1の処理室11aと第2の処理室11bとを分離した状態で、第1の処理室11aの内部で回転軸52の先端に取り付けられた基材1を坩堝13に収容された溶融シリコン14中に浸漬させることにより結晶シリコン層2を形成する。なお、図10に示すシリコンの精製装置においては、第1の処理室11aの内部の雰囲気の圧力を低下させること等によって、溶融シリコン14からリン等の不純物を除去することにより、溶融シリコン14の精製を行なうことができる。
その後、第1の処理室11aに取り付けられたガス導入ユニット17から第1の処理室11aの内部に酸素および窒素の少なくとも一方を含むガスを導入して結晶シリコン層2の表面にセラミック層3を形成する。これにより、第1の処理室11aにおいては、本発明の複合材を形成することができる。
そして、開閉ユニット54を開け、第1の処理室11aの内部に設置された坩堝13を傾けて、坩堝13に収容された溶融シリコン14を注湯ユニット53を通して、第2の処理室11bの内部に設置された容器51に注湯する。
そして、容器51に収容された溶融シリコン14を冷却して、容器51の内表面を構成する複合材のセラミック層3の表面上に高純度のシリコンの凝固塊5を晶出させることによって、シリコンの精製を行なうことができる。
ここで、図10に示すシリコンの精製装置においても、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含む複合材のセラミック層3の表面にシリコンの凝固塊5を晶出させることができることから、シリコンの凝固塊5を安定して容易に剥離することが可能となる。
また、図10に示すシリコンの精製装置においても、容器51の内表面を構成する複合材のセラミック層3は、シリコンの凝固塊5の剥離時に剥がれにくいことから、従来のようにシリコンの凝固塊5の剥離のたびに離型剤を塗布する必要がない。
そのため、図10に示すシリコンの精製装置においても、コストを抑えて、シリコンの良好な剥離性を安定して得ることができる。これにより、金属元素、リンおよびボロン等の不純物を含む原料シリコンから、冶金的手法により、不純物を除去した製品である高純度のシリコンの凝固塊5を低コストで提供することが可能となる。
なお、図10に示すシリコンの精製装置におけるその他の説明は、上記と同様であるため、ここではその説明については省略する。
<実験例1>
図9に示すシリコンの精製装置を用いて、厚さ30mmの黒鉛製の中空の基材1の内部に棒状の冷却ユニット16を挿入し、基材1の先端を処理室11の内部の坩堝14に収容された1420℃〜1450℃の溶融シリコン14中に浸漬させて5分以上保持した。これにより基材1の表面に溶融シリコン14を浸潤させた。ここで、基材1の表面は予め加熱しておいて、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点以上であるようにした。
図9に示すシリコンの精製装置を用いて、厚さ30mmの黒鉛製の中空の基材1の内部に棒状の冷却ユニット16を挿入し、基材1の先端を処理室11の内部の坩堝14に収容された1420℃〜1450℃の溶融シリコン14中に浸漬させて5分以上保持した。これにより基材1の表面に溶融シリコン14を浸潤させた。ここで、基材1の表面は予め加熱しておいて、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点以上であるようにした。
次に、基材1を上方に引き上げ(引き上げ速度:5mm/秒)、基材1の表面に厚さ0.2mm以上1mm以下の溶融シリコン14を付着させた。
次に、基材1の内部に設置された冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させ、基材1の表面上の溶融シリコン14を1200℃以上1350℃以下の温度に冷却することによって、基材1の表面上に結晶シリコン層2を形成した。
次に、処理室11に設置されたガス導入ユニット17から処理室11の内部に窒素を導入することによって、処理室11の内部の雰囲気を窒素を含む雰囲気(窒素分圧:5000Pa、温度:1300℃、全圧:100000Pa)とした。そして、基材1の表面上に形成された結晶シリコン層2を当該窒素を含む雰囲気中に10分間保持することによって、結晶シリコン層2の表面に窒化シリコンからなるセラミック層3を形成した。これにより、黒鉛製の基材1上に結晶シリコン層2およびセラミック層3が設けられた実験例1の複合材を作製した。なお、実験例1の複合材の結晶シリコン層2の厚さは500μmであり、セラミック層3の厚さは200μmであった。
次に、再度、実験例1の複合材のセラミック層3を1420℃〜1450℃の溶融シリコン14中に浸漬させ、基材1の内部に冷却ユニット16から冷却媒体15を噴出させてセラミック層3の表面を冷却した。これにより、実験例1の複合材のセラミック層3の表面上に溶融シリコン14を凝固させて、シリコンの凝固塊5を晶出させた。
その後、処理室11から、実験例1の複合材を取り出し、実験例1の複合材からシリコンの凝固塊5を剥離させた。そして、実験例1の複合材を、再度、処理室11に設置された溶融シリコン14中に浸漬させ、実験例1の複合材のセラミック層3の表面上に溶融シリコン14を凝固させてシリコンの凝固塊5を晶出させ、実験例1の複合材からシリコンの凝固塊5を剥離した。
上記の操作を繰り返して、実験例1の複合材からシリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、実験例1における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験例2>
黒鉛製の基材1の表面に結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成しなかったこと以外は実験例1と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、実験例2における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
黒鉛製の基材1の表面に結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成しなかったこと以外は実験例1と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、実験例2における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験例3>
シリコンの凝固塊5の剥離のたびに黒鉛製の基材1の表面に離型層を塗布したこと以外は実験例1と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、実験例3における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
シリコンの凝固塊5の剥離のたびに黒鉛製の基材1の表面に離型層を塗布したこと以外は実験例1と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1においては、実験例3における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験結果>
表1に示すように、実験例1においては、実験例2および実験例3と比較して、低コストであり、シリコンの凝固塊5の良好な剥離性を安定して得ることができることが確認された。
表1に示すように、実験例1においては、実験例2および実験例3と比較して、低コストであり、シリコンの凝固塊5の良好な剥離性を安定して得ることができることが確認された。
<実験例4>
図10に示すシリコンの精製装置を用いて、開閉ユニット54を閉じて、第1の処理室11aと第2の処理室11bとを分離した状態で、回転軸52の先端に厚さ30mmの黒鉛製の板状の基材1を取り付け、第1の処理室11aの内部で坩堝13に収容された1420℃〜1450℃の溶融シリコン14中に浸漬させて5分以上保持した。これにより基材1の表面に溶融シリコン14を浸潤させた。ここで、基材1の表面は予め加熱しておいて、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点以上であるようにした。また、第1の処理室11aの内部の雰囲気の圧力を低下させて、第1の処理室11aの内部に設置された溶融シリコン14からリンなどのを不純物を予め除去しておいた。
図10に示すシリコンの精製装置を用いて、開閉ユニット54を閉じて、第1の処理室11aと第2の処理室11bとを分離した状態で、回転軸52の先端に厚さ30mmの黒鉛製の板状の基材1を取り付け、第1の処理室11aの内部で坩堝13に収容された1420℃〜1450℃の溶融シリコン14中に浸漬させて5分以上保持した。これにより基材1の表面に溶融シリコン14を浸潤させた。ここで、基材1の表面は予め加熱しておいて、基材1の表面に溶融シリコン14が接触している状態で、基材1の表面の温度がシリコンの融点以上であるようにした。また、第1の処理室11aの内部の雰囲気の圧力を低下させて、第1の処理室11aの内部に設置された溶融シリコン14からリンなどのを不純物を予め除去しておいた。
次に、基材1を上方に引き上げ(引き上げ速度:5mm/秒)、基材1の表面に厚さ0.2mm以上1mm以下の溶融シリコン14を付着させた。
次に、第1の処理室11aに設置されたガス導入ユニット17から第1の処理室11aの内部に窒素を導入することによって、第1の処理室11aの内部の雰囲気を窒素を含む雰囲気(窒素分圧:5000Pa、温度:1300℃、全圧:100000Pa)とした。そして、基材1の表面上に形成された結晶シリコン層2を当該窒素を含む雰囲気中に10分間保持することによって、結晶シリコン層2の表面に窒化シリコンからなるセラミック層3を形成した。これにより、黒鉛製の基材1上に結晶シリコン層2およびセラミック層3が設けられた実験例4の複合材を作製した。なお、実験例4の複合材の結晶シリコン層2の厚さは500μmであり、セラミック層3の厚さは200μmであった。
次に、上記のようにして作製した実験例4の複合材を容器51の内表面に敷き詰めて、第1の処理室11bの内部に設置した。
次に、開閉ユニット54を開け、第1の処理室11aの内部に設置された坩堝13を傾けて、坩堝13に収容された溶融シリコン14を注湯ユニット53を通して、第2の処理室11bの内部に設置された容器51に注湯した。
次に、容器51の内表面を冷却することによって、容器51の内表面を構成する実験例4の複合材のセラミック層3の表面上に高純度のシリコンの凝固塊5を晶出させた。
その後、第2の処理室11bから、実験例4の複合材が設置された容器51を取り出し、実験例4の複合材からシリコンの凝固塊5を剥離させた。
そして、実験例4の複合材を、再度、容器51の内表面に敷き詰めて、第2の処理室11bに設置し、上記と同様にして、実験例4の複合材のセラミック層3の表面上に溶融シリコン14を凝固させてシリコンの凝固塊5を晶出させ、実験例4の複合材からシリコンの凝固塊5を剥離した。
上記の操作を繰り返して、実験例4の複合材からシリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2においては、実験例4における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験例5>
黒鉛製の基材1の表面に結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成しなかったこと以外は実験例4と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2においては、実験例5における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
黒鉛製の基材1の表面に結晶シリコン層2およびセラミック層3を形成しなかったこと以外は実験例4と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2においては、実験例5における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験例6>
シリコンの凝固塊5の剥離のたびに黒鉛製の基材1の表面に離型層を塗布したこと以外は実験例4と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2においては、実験例6における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
シリコンの凝固塊5の剥離のたびに黒鉛製の基材1の表面に離型層を塗布したこと以外は実験例4と同様にして、シリコンの凝固塊5の剥離が困難となるまでの溶融シリコン14の凝固回数を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2においては、実験例6における1日当たりのシリコンの凝固塊5の生産量および追加コストも併せて示す。
<実験結果>
表2に示すように、実験例4においては、実験例5および実験例6と比較して、低コストであり、シリコンの凝固塊5の良好な剥離性を安定して得ることができることが確認された。
表2に示すように、実験例4においては、実験例5および実験例6と比較して、低コストであり、シリコンの凝固塊5の良好な剥離性を安定して得ることができることが確認された。
なお、上記の実験例1および4においては、黒鉛製の基材1を用い、窒化シリコンからなるセラミック層3を形成したが、基材1として黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を用い、セラミック層3として酸化シリコンまたは窒化シリコンを形成した場合には、いずれも上記と同様の結果が得られた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、複合材の製造方法およびシリコンの精製装置に利用することができる。
1 基材、2 結晶シリコン層、2a 固体状態のシリコン、3 セラミック層、5 シリコンの凝固塊、11 処理室、11a 第1の処理室、11b 第2の処理室、12 加熱ユニット、13 坩堝、14 溶融シリコン、15 冷却媒体、16 冷却ユニット、17 ガス導入ユニット、21 ガス、31 溶融シリコン吹き付けユニット、51 容器、52 回転軸、53 注湯ユニット、54 開閉ユニット。
Claims (11)
- 黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材上に結晶シリコン層を形成する工程と、
前記結晶シリコン層の表面の酸化および窒化の少なくとも一方を行なうことにより、前記結晶シリコン層の前記表面に酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層を形成する工程と、を含む、複合材の製造方法。 - 前記結晶シリコン層を形成する工程は、前記基材の前記表面に溶融シリコンを接触させる工程を含む、請求項1に記載の複合材の製造方法。
- 前記結晶シリコン層を形成する工程は、前記基材を溶融シリコン中に浸漬して保持した後に引き上げる工程を含む、請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
- 前記結晶シリコン層を形成する工程は、前記基材の前記表面に溶融シリコンを吹き付ける工程を含む、請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
- 前記結晶シリコン層を形成する工程は、前記基材の前記表面に固体状態のシリコンを設置した後に前記固体状態のシリコンを融点以上の温度に昇温する工程を含む、請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
- 前記基材の前記表面に前記溶融シリコンが接触している状態で、前記基材の前記表面の温度がシリコンの融点以上である、請求項2から5のいずれかに記載の複合材の製造方法。
- 前記セラミック層を形成する工程は、前記結晶シリコン層の前記表面を酸素および窒素の少なくとも一方を含む雰囲気中に保持する工程を含む、請求項1から6のいずれかに記載の複合材の製造方法。
- 溶融シリコンを保持するための坩堝と、
前記坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、
冷却媒体を流すための冷却ユニットと、
前記冷却ユニットの外側に請求項1から7のいずれかに記載の複合材の製造方法により製造された複合材と、を備えた、シリコンの精製装置。 - 溶融シリコンを保持するための坩堝と、
前記坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、
前記坩堝に保持された前記溶融シリコンから固体状態のシリコンを表面に析出可能な容器と、
前記坩堝内の前記溶融シリコンを前記容器に注湯可能な注湯ユニットと、を備え、
前記容器は、前記容器の内表面に、請求項1から7のいずれかに記載の複合材の製造方法により製造された複合材を備えている、シリコンの精製装置。 - 溶融シリコンを保持するための坩堝と、
前記坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、
冷却媒体を流すための冷却ユニットと、
前記冷却ユニットの外側に、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材と、前記基材上に設けられた結晶シリコン層と、前記結晶シリコン層の表面に設けられ、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層とを有する複合材と、を備えた、シリコンの精製装置。 - 溶融シリコンを保持するための坩堝と、
前記坩堝の周囲に設けられた加熱ユニットと、
前記坩堝に保持された前記溶融シリコンから固体状態のシリコンを表面に析出可能な容器と、
前記坩堝内の前記溶融シリコンを前記容器に注湯可能な注湯ユニットと、を備え、
前記容器は、前記容器の内表面に、黒鉛、酸化シリコンまたは炭化ケイ素を含む基材と、前記基材上に設けられた結晶シリコン層と、前記結晶シリコン層の表面に設けられ、酸化シリコンおよび窒化シリコンの少なくとも一方を含むセラミック層とを有する複合材と、を備えている、シリコンの精製装置。
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