JP2013143531A - 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明は、半導体ウェーハの少なくとも片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハを製造する方法であって、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に低級アルコール液を接触させる第1工程(S1)と、該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程(S2)と、該第2工程の後に前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面にフッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる第3工程(S5)と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程と、
該第2工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面にフッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる第3工程と、
により前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハとすることを特徴とする太陽電池用ウェーハの製造方法。
(2)前記半導体ウェーハがシリコンウェーハであり、
前記金属イオンがSiより貴な金属のイオンである上記(1)に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
(3)前記第2工程の後かつ前記第3工程の前に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に、前記金属イオンから析出した金属を前記片面から除去する溶液を接触させる工程を有する上記(1)または(2)に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
(4)前記片面に作製された多孔質化された層の厚さが50〜400nmとなる、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
(5)前記酸溶液中の前記フッ化水素酸の濃度が0.1〜5.0質量%、前記硝酸の濃度が20〜50質量%である、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
(6)前記第3工程の前記酸溶液を接触させる時間が10分以下である、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、該太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有する太陽電池セルの製造方法。
(8)上記(7)に記載の太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、該太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有する太陽電池モジュールの製造方法。
本明細書において「低級アルコール」とは、炭素数10以下の直鎖または分岐の任意のアルコールを意味する。炭素数が10を超えるとアルコールの粘性が高くなり、ウェーハ表面をアルコールでコーティングすることになってしまう。炭素数が10以下であれば、粘性が低い無極性溶媒としてウェーハ表面を無極性状態にすることができる。典型的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルアルコールなどが挙げられるが、毒性面、価格面を考慮すると、エタノールおよび2−プロパノール(イソプロピルアルコール;IPA)を用いることが好ましい。処理時間、すなわちウェーハに低級アルコール液を接触させる時間(以下、各工程において処理液との接触時間を「処理時間」という)は、特に制限されないが、0.5分以上10分以下とすることが好ましく、3分以下とすることがより好ましい。0.5分以上であれば本発明の反射率の低減効果を十分に得ることができ、10分を超えて処理しても反射率の低減効果は飽和するためである。低級アルコール液の温度は、アルコールが蒸発または凝固しない温度であれば問題なく、常温とすればよい。
本実施形態において、金属イオンはSiより貴な金属、例えばCu,Ag,Pt,Auなどのイオンであることが好ましい。これにより、第2工程において、ウェーハ表面への金属の微粒子の析出およびSiの溶出が効率的に起こるからである。価格面を考慮すれば、Cuのイオンとすることが好ましい。本発明の反射率の低減効果を十分に得る観点から好ましい条件を以下に挙げる。金属を溶解させたフッ化水素酸において、金属濃度は、10ppm以上1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以上400ppm以下とすることがより好ましい。また、フッ化水素酸の濃度は、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上30%質量以下である。さらに、処理時間は、好ましくは0.5分以上30分以下、より好ましくは1分以上10分以下、さらに好ましくは3分以下である。金属含有フッ化水素酸の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。
本実施形態において、ウェーハ表面に形成された多孔質層深さを適切な深さまで拡張するために、フッ化水素酸の濃度は、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上30質量%以下である。また、本明細書において「金属イオンを含まないフッ化水素酸」とは、厳密に金属イオンの含有量がゼロの場合のみならず、不純物として10ppm未満の金属が含まれている場合をも含むものとする。例えばCu,Ag,Pt,AuなどのSiより貴な金属のイオンが10ppm未満であれば、これらの金属微粒子が新たに析出して、ウェーハ表面に新たな凹凸が形成されるよりも、第2工程ですでに形成された凹凸をより深くする反応が支配的になる。処理時間は、プロセスタクトタイムに合わせて設定すればよく、好ましくは0.5分以上60分以下である。金属非含有フッ化水素酸の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。
本実施形態において、第2工程において金属としてCuを用いる場合、Cu微粒子の除去を硝酸(HNO3)溶液で行うことができる。このとき、硝酸濃度は、好ましくは0.001〜70質量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜0.1質量%の範囲内である。処理時間は、プロセスタクトタイムに合わせて設定すればよく、好ましくは0.5分以上10分以下であり、より好ましくは1分以上3分未満である。硝酸溶液の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。この工程で用いる処理液は硝酸に限定されず、除去する対象の金属に合わせて、これを溶解可能な溶液を選択すればよい。例えば、Ag,Pt,Auの場合は、王水(HCl/HNO3)やヨウ化カリウム溶液(KI)などを用いることができる。好適な濃度および処理時間は、Cuの場合と同様である。
本実施形態において、第3工程に使用する酸溶液はフッ化水素酸および硝酸を含有すればよい。酸溶液中の濃度としては、フッ化水素酸は0.1〜5.0質量%、硝酸は20〜50質量%、残りを水とすることが好ましい。フッ化水素酸は0.1質量%以上であれば反応速度が十分に得られ、5.0質量%以下であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましい。硝酸は20質量%以上であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましく、薬液コストを抑える観点から50質量%以下が好ましい。この酸溶液の温度は、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃である。温度が10℃以上であれば反応速度が十分に得られ、40℃以下であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましい。また、この酸溶液を接触させる時間は、好ましくは10分以下、より好ましくは3分以下である。例えば、Cu濃度170ppm、フッ化水素酸濃度25質量%の溶液を用いて、3分の多孔質化処理を行った場合は、1質量%フッ化水素酸および35質量%硝酸を含む酸溶液を用いて1分の処理を行うことで、多孔質化層の厚みを202nm程度とすることができる。ただし、フッ化水素酸および硝酸の混合条件および接触時間条件については、この他、前記片面に作製された多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることができる条件であればよい。すなわち、多孔質化処理工程の条件および第3工程の酸処理の条件は多孔質化層の厚さを当該範囲とするように任意に設定すればよい。多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることで、変換効率の向上効果と、表面反射率低減効果を十分に両立させることが可能となる。多孔質化処理については、既述のような通常の条件では、400nm超えの厚みの多孔質層ができてしまい、厚みを50〜400nmに制御することは困難である。よって第3工程が必要となる。
本発明に従う太陽電池セルの製造方法は、これまで説明した本発明に従う太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、この太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有する。セル作製工程は、ドーパント拡散熱処理でpn接合を形成する工程と、電極を形成する工程とを少なくとも含む。ドーパント拡散熱処理は、p基板に対してはリンを熱拡散させる。
本発明に従う太陽電池モジュールの製造方法は、上記太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、この太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有する。モジュール作製工程は、複数の太陽電池セルを配列し、電極を配線する工程と、強化ガラス基板上に配線された太陽電池セルを配置し、樹脂と保護フィルムで封止する工程と、アルミフレームを組み立てて、端子ケーブルを配線と電気的に接続する工程とを含む。
(実施例1〜15)
まず、20mm角のp型(100)単結晶シリコンウェーハ(厚さ:4.25mm)を用意し、50質量%フッ化水素酸/70質量%硝酸/水=1:4:5(体積比)にて調合した酸性溶液を用いて、室温で3分間エッチング処理を施し、その後ウェーハを乾燥させた。以降の工程は全て室温で行った。このウェーハを99質量%のエタノール溶液に1分間浸漬させた。その後、このウェーハを、Cuを1000ppm含む硝酸銅溶液5mLと、50質量%フッ化水素酸15mLと、水10mLとの混合液に3分間浸漬させた。なお、この工程は、通常の室内環境すなわち光照射環境下にておこなった。その後、このウェーハを0.1質量%硝酸に5分間浸漬させ、窒素雰囲気にて乾燥させた。そして、酸溶液処理として、フッ化水素酸と硝酸とを表1に示す濃度で含み、残りは水である酸溶液に表1の処理時間浸漬し、その後窒素雰囲気にて乾燥させ、太陽電池用ウェーハを製造した。
実施例1の製造工程のうち、0.1質量%硝酸に5分間浸漬させ、窒素雰囲気にて乾燥させる工程まで行い、比較例1とした。すなわち、比較例1は本発明における酸溶液処理のみを行わない(処理時間0分)ものである。
実施例1の製造工程のうち、50質量%フッ化水素酸/70質量%硝酸/水=1:4:5(体積比)にて調合した酸性溶液を用いて、室温で3分間エッチング処理を施す工程までを行い、ウェーハを乾燥させ、比較例2とした。すなわち、比較例2は本発明における多孔質化処理および酸溶液処理を行わないものである。
実施例1の製造工程のうち、50質量%フッ化水素酸/70質量%硝酸/水=1:4:5(体積比)にて調合した酸性溶液を用いて、室温で3分間エッチング処理を施す工程までを行い、その後、ウェーハを乾燥させ、酸溶液処理として1質量%フッ化水素酸と35質量%硝酸とを含み残りは水である酸溶液に1分浸漬し、および窒素雰囲気にて乾燥させる工程を行い、比較例3とした。すなわち、比較例3は本発明における多孔質化処理のみを行わないものである。
反射率測定器(島津製作所社製:SolidSpec3700)により、ウェーハの被処理面における反射スペクトルを300〜1200nmの範囲で測定した。太陽光には波長500〜700nmの光が多く含まれるため、この波長領域で反射率が低いことが望ましい。そこで、波長600nmと700nmの相対反射率を表1に示す。実施例1〜15と比較例2,3とを比較すると、本発明の多孔質化処理を行うことで、ウェーハの被処理面における反射率が低下することがわかった。また、実施例1〜15と比較例1との比較により、本発明の酸溶液処理を施すと反射率は多少上昇することがわかった。
実施例および比較例のウェーハに対して、P―OCD(東京応化工業株式会社製 型番P−110211)をスピンコート法にて塗布し、拡散熱処理を施してpn接合を形成し、フッ化水素にて表面のリンガラスを除去した。その後、ウェーハ表面のリン拡散面に反射防止膜としてITO膜をスパッタリング法にて形成した。また、表面にAg電極用のAgペーストを、裏面にAl電極用のAlペーストを塗布し、その後熱処理を施すことでウェーハ表裏面に電極を形成し、太陽電池セルを作製した。そして、変換効率測定器(和泉テック社製:YQ−250BX)によりエネルギー変換効率を測定した結果を表2に示す。各実施例は各比較例よりも高い変換効率となった。特に、実施例1〜15と比較例1とを比較すると、比較例1では実施例1〜15よりも反射率が低いにもかかわらず、変換効率では劣っていた。このように、本発明の多孔質化処理および酸溶液処理を行うことにより、表面の反射ロスを低減する作用以外の作用によって、より高い変換効率を得ることができることがわかった。更に、多孔質化層の厚さが50〜400nmとなる実施例1、2、5〜15では、実施例3および4に比べて更に高い変換効率となることがわかった。なお、本実施例では厚さ425μmとかなり厚いテストピースを用いて実験を行ったため、一般的な試験条件で行う場合よりも数値としては低い値が出ているが、当業界の太陽電池製品用のウェーハに適用した場合の変換効率は表2の結果よりも数パーセント増加すると予測される。
Claims (8)
- 半導体ウェーハの少なくとも片面に低級アルコールを接触させる第1工程と、
該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程と、
該第2工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面にフッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる第3工程と、
により前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハとすることを特徴とする太陽電池用ウェーハの製造方法。 - 前記半導体ウェーハがシリコンウェーハであり、
前記金属イオンがSiより貴な金属のイオンである請求項1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。 - 前記第2工程の後かつ前記第3工程の前に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に、前記金属イオンから析出した金属を前記片面から除去する溶液を接触させる工程を有する請求項1または2に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
- 前記片面に作製された多孔質化された層の厚さが50〜400nmとなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
- 前記酸溶液中の前記フッ化水素酸の濃度が0.1〜5.0質量%、前記硝酸の濃度が20〜50質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
- 前記第3工程の前記酸溶液を接触させる時間が10分以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、該太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有する太陽電池セルの製造方法。
- 請求項7に記載の太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、該太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有する太陽電池モジュールの製造方法。
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