JP2013225552A - 太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全かつ安価に、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハの表面を多孔質化して、表面における光の反射ロスを低減することが可能な太陽電池用ウェーハを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、半導体ウェーハの少なくとも片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハを製造する方法であって、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に低級アルコールの蒸気を接触させる第1工程(S1)と、該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程(S2)と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用ウェーハの製造方法、太陽電池セルの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法に関する。
一般に、太陽電池セルは、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハを用いて形成される。太陽電池セルの変換効率を高めるためには、太陽電池セルの受光面で反射してしまう光および太陽電池セルを透過してしまう光を低減する必要がある。ここで例えば、シリコンウェーハを用いて結晶系太陽電池を作製する場合、シリコンウェーハは光電変換に寄与する可視光の透過率が低いため、変換効率を向上させるためには、受光面となるシリコンウェーハ表面における可視光の反射ロスを低く抑え、入射する光を有効に太陽電池の中に閉じ込めることを考慮すればよい。
シリコンウェーハ表面における入射光の反射ロスを低減する技術としては、表面に反射防止膜を形成する技術と、表面にテクスチャ構造とよばれるミクロなピラミッド型の凹凸などの凹凸構造を形成する技術とがある。後者の技術のうち、表面にテクスチャ構造を形成する方法は、単結晶シリコンに適した方法であり、(100)単結晶シリコン表面をアルカリ液でエッチングする方法が代表的である。これは、アルカリを用いたエッチングでは、(111)面のエッチング速度が(100)面、(110)面のエッチング速度よりも遅いことを利用するものである。さらに、後者の技術として近年はシリコン表面を多孔質化することによって、表面に凹凸構造を形成し、入射光の反射ロスを低減する手法が提案されている。
例えば、特許文献1には、単結晶シリコン基板を陽極、Ptを陰極としてフッ化水素酸中で電流を流す陽極化成処理により、表面に多数の微細孔を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、反応性イオンエッチングにより多孔質化する方法が記載されている。
特開平6−169097号公報 特表2004−506330号公報
しかしながら、特許文献1の陽極化成処理による方法では、大型かつ高価な直流電源が必要であり、また、有機溶媒とフッ化水素酸の混合溶液を使用するため、リンス処理時の操作性、安全性に課題が残る。特許文献2の反応性イオンエッチングによる方法では、プロセス専用のイオン注入装置を確保する必要があり、コスト面で問題がある。このため、入射光の反射ロスを低減するためにシリコン表面を多孔質化する手法は、これまで実用化されていないのが実状である。
シリコン表面を多孔質化することによって入射光の反射ロスを低減する手法は、通常のテクスチャ構造を形成するよりさらに反射ロスを低減できることが期待されるため、安全面やコスト面の問題が解消された新規な多孔質化の方法が求められている。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、安全かつ安価に、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハの表面を多孔質化して、表面における光の反射ロスを低減することが可能な太陽電池用ウェーハを製造する方法、ならびに、この方法を含む太陽電池セルの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明者が鋭意検討し、様々な多孔質化処理方法で試行錯誤をくり返した結果、以下に示す方法によれば、半導体ウェーハ表面にサブミクロンオーダーの凹凸を形成し、効果的に表面における光の反射ロスを低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、上記の知見および検討に基づくものであり、その要旨構成は以下の通りである。
本発明は、半導体ウェーハの少なくとも片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハを製造する方法であって、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に低級アルコールの蒸気を接触させる第1工程と、該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程と、を有することを特徴とする。
この発明では、前記低級アルコールは、水よりも蒸気圧が高いことが好ましい。
この発明では、前記低級アルコールがイソプロピルアルコールであることが好ましい。
この発明では、前記第2工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に対して、アルカリ溶液を接触させる工程、フッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる工程、または酸化処理を施す工程である、第3工程を有することが好ましい。
この発明では、前記半導体ウェーハがシリコンウェーハであることが好ましい。
本発明の太陽電池セルの製造方法は、上記の太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、該太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有することを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、上記の太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、該太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有することを特徴とする。
本発明によれば、直流電源やイオン注入装置といった大掛かりな装置を必要とせず、かつ、フッ化水素酸を有機溶媒と混合させる必要がない。よって、従来技術に比べて安全かつ安価に、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハの表面を多孔質化して、表面における光の反射ロスを低減した太陽電池用ウェーハを得ることが可能となった。
本発明に従う代表的な太陽電池用ウェーハの製造方法のフロー図である。 本発明の一実施形態に用いる、低級アルコール蒸気処理を行う装置の模式断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に従う代表的な太陽電池用ウェーハの製造方法のフロー図である。まず、本発明に用いる半導体ウェーハは特に限定されないが、以下では、本発明の一実施形態として、単結晶または多結晶シリコンウェーハ(以下、まとめて単に「ウェーハ」ともいう。)を用いて、これらに多孔質化処理を施し、単結晶または多結晶シリコン太陽電池用ウェーハを製造する方法を説明する。
単結晶シリコンウェーハは、チョクラルスキー法(CZ法)などにより育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。また、ウェーハ表面の面方位についても、(100),(001)および(111)など、必要に応じて選択することができる。多結晶シリコンウェーハは、多結晶シリコンインゴットからスライス加工により得ることができる。
単結晶シリコンウェーハ、多結晶シリコンウェーハいずれの場合も、インゴットから切り出したウェーハ表面にはスライス加工によりシリコン層へ導入されたクラックや結晶歪などのダメージが生じている。このため、スライス加工後、ウェーハを洗浄し、酸またはアルカリでウェーハ表面にエッチング処理を施し、ダメージが生じている表面を除去することが好ましい。スライス加工由来の上記ダメージの侵入深さは、スライス加工条件により決定される因子であるが、概ね10μm以下の深さである。よって、KOHなどのアルカリもしくはフッ化水素酸(HF)/硝酸(HNO)混合酸により一般的に実施されているエッチング処理で対応可能である。
本発明は、ウェーハの少なくとも片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハとする方法である。すなわち、本明細書において「太陽電池用ウェーハ」とは、ウェーハの少なくとも片面に対して本発明に規定する処理を施し、該片面を多孔質化した状態のウェーハを意味するものである。この片面は、太陽電池セルにおいて受光面となる面である。そして、本発明の特徴的工程は、ウェーハの少なくとも片面を低級アルコールの蒸気に接触させる第1工程(ステップS1)と、この第1工程の後に、このウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程(ステップS2)と、を有することである。
以下、本発明の上記特徴的工程を採用したことの技術的意義を、作用効果とともに具体例で説明する。詳細な工程は実施例で後述するが、本発明者は、酸エッチング処理後、p型(100)単結晶シリコンウェーハを2−プロパノール(イソプロピルアルコール;IPA)などの低級アルコールに所定時間接触させ、その後銅(Cu)を溶解させたフッ化水素酸中に所定時間浸漬させたところ、外観上ウェーハ表面が黒くなり、可視光全域の波長において反射率が低くなることを見出した。また、ウェーハ表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を確認したところ、数μm程度の凹凸表面上にさらに微細な多数の凹凸が形成されていた。
このような表面処理によってウェーハ表面を多孔質化できる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のような反応メカニズムで多孔質化されたと推定している。第2工程で、Cuを溶解させたフッ化水素酸にウェーハを浸漬させると、ウェーハ表面の何らかの核を基点として、Cuが微粒子として多数析出する。この反応は、Cu2++2e→Cuの還元反応であり、この際の電荷移動に伴い、ウェーハ表面のSiから電子が奪われ、Cu微粒子の析出箇所ではSiの溶解が発生する。ここで、フッ化水素酸の役割については、Siの溶解箇所でSiが水と反応して生成したSiOをその都度瞬間的に溶解して、多孔質構造を作るとのモデル(大見モデル)と、フッ素イオンがSiを直接酸化するとのモデル(Chemlaモデル)が考えられる。このような反応の詳細は、J. Electrochem. Soc. 144, 3275 (1997)“The Role of Metal Induced Oxidation for Copper Deposition on Silicon Surface”およびJ. Electrochem. Soc. 144, 4175 (1997)“Electrochemical and radiochemical study of copper contamination mechanism from HF solution onto silicon substrates”に詳細に記載されている。そして、本発明においては、第1工程で無極性溶媒である低級アルコールで処理することにより、ウェーハ表面の表面電位を制御し、フッ化水素酸浸漬時に金属析出が進行しやすい状態にすることができ、第2工程におけるSi溶解反応を均一に促進させることができるものと考えられる。さらに、低級アルコールで処理することにより、ウェーハ表面の有機物を除去して、上記反応を進行させる作用もあると考えられる。
この方法によれば、直流電源やイオン注入装置といった大掛かりな装置を必要とせず、かつ、フッ化水素酸を有機溶媒と混合させる必要がない。よって、従来技術に比べて安全かつ安価に、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハの表面を多孔質化して、表面における光の反射ロスを低減した太陽電池用ウェーハを得ることが可能となった。
さらに、第2工程(ステップS2)では、低級アルコールの分子層1層分の膜が形成されているウェーハ表面に、金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させれば十分であることを発明者が発見した。つまり、第1工程(ステップS1)において、ウェーハ表面に低級アルコール蒸気を接触させて低級アルコールを付着させ、第2工程(ステップS2)まで低級アルコールの少なくとも分子層1層分の膜をウェーハ表面上に残存させておけば、低級アルコール液にウェーハを浸漬する方法と同等の効果が得られることがわかった。
第1工程(ステップS1)では、例えば、図2に示すような、蓋4により開閉可能な処理槽2を用いて行うことができる。処理槽2中の一部に貯留した低級アルコール液8を、ヒーターなどの外部加熱装置12を用いて加熱して、処理槽2中に低級アルコール蒸気10を発生させることができる。この低級アルコール蒸気10が充満した処理層2内にウェーハ14を投入して、ウェーハ14の表面に低級アルコール蒸気10を接触させる。この処理槽2の上部に冷却管などの冷却装置6を設置すれば、低級アルコール蒸気10が処理槽2の外部に漏れ出る前に液化して処理槽2内部に戻すことができ、蒸発ロスを低減することもできる。
低級アルコール蒸気を用いた本発明における第1工程(ステップS1)によれば、低級アルコール液に浸漬させるよりも低級アルコール液の使用量を削減でき、コストダウンが可能である。例えば、ウェーハ100枚をエタノール処理する場合、低級アルコール液に浸漬させるには70L程度のエタノールが必要であるところ、本発明によれば5L程度のエタノールで十分である。
本実施形態では、第2工程の後に、このウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含まないフッ化水素酸を接触させる工程(ステップS3)をさらに行うことが好ましい。具体的には、第2工程後のウェーハを、金属イオンを含まないフッ化水素酸に所定時間浸漬させることができる。この工程により、第2工程で形成された表面凹凸の深さをある程度制御することができる。
また、第2工程および/またはステップS3は、光照射環境下にて行うことが好ましい。第2工程を光照射環境下にて行うことにより、上記の反応メカニズムによる表面の多孔質化がより促進されるためである。また、ステップS3を光照射環境下にて行い、この照射条件を制御することによりウェーハ表面を所望の表面状態とすることができるためである。光照射環境は、具体的には蛍光灯光、ハロゲン光などを反応表面に照射することにより作り出す。
さらに、少なくとも第2工程の後、本実施形態ではステップS3の後に、このウェーハの少なくとも前記片面に、前記金属イオンから析出した金属(微粒子)をこの片面から除去する溶液を接触させる工程(ステップS4)をさらに行うことが好ましい。例えば、第2工程でCuを溶解させたフッ化水素酸を用いる場合、前記片面に残留したCu微粒子を除去するべく、前記片面に硝酸溶液を接触させる。この工程により、ウェーハ表面に残存して付着している金属粒子を除去することができる。
そして、以上の工程の後に、このウェーハの少なくとも前記片面に、アルカリ溶液を接触させる工程、フッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる工程、または酸化処理を施す第3工程(ステップS5)をさらに行うことが好ましい。ウェーハ表面に対する多孔質化の程度がより大きいほど太陽電池表面の反射率低減により優れる一方、太陽電池用ウェーハ表面上の微細な多孔質化構造に電子がトラップされる表面再結合現象が発生し、外部に取り出せる電子が減少しうる。すなわち、ウェーハ表面に存在するSi原子は、一定の割合でダングリングボンド(不飽和結合部)を有しており、このダングリングボンドは、光入射により得られた電子またはホールに対する捕獲箇所として作用する場合がある(キャリア成分の表面再結合現象)。多孔質化構造を微細にするほど、ウェーハ表面の表面積は増大し、結果としてダングリングボンドの数も増加することになり、表面再結合現象がより頻繁に発生しうる。そのため、上記の第1および第2工程を含む多孔質化工程に、アルカリ溶液処理工程または所定の酸溶液処理工程を加えて多孔質化構造に軽度のエッチングを施して、ウェーハ表面の多孔質化層をわずかにエッチングし、表面再結合現象を低減させることが好ましい。または、上記の第1および第2工程を含む多孔質化工程の後、多孔質化したウェーハ表面に対して酸化処理を行い、再結合中心を消滅させることが好ましい。これらの処理を行うことにより、変換効率を向上させることができる。なお、酸化処理は、ウェーハ表面に対して何らかのエッチング作用を全く有しないか、有する場合でもごくわずかの処理であるため、ウェーハ表面の凹凸形状をほとんどあるいは全く変化させることがない。そのため、ウェーハ表面の反射率は、酸化処理前の低い状態を維持したままとすることができる点でより好ましい。
本実施形態では、このような工程を経て、ウェーハ表面が多孔質化された太陽電池用ウェーハとなる。以下、各工程の好ましい態様について説明する。なお、第1工程の低級アルコール処理、および第2工程の金属イオン含有フッ化水素酸処理、好ましくはステップ3の金属イオン非含有フッ酸処理を合わせて、本明細書においては「多孔質化処理工程」と称する。
(第1工程:低級アルコール処理)
本明細書において「低級アルコール」とは、炭素数10以下の直鎖または分岐の任意のアルコールを意味する。炭素数が10を超えるとアルコールの粘性が高くなり、ウェーハ表面をアルコールでコーティングすることになってしまう。炭素数が10以下であれば、粘性が低い無極性溶媒としてウェーハ表面を無極性状態にすることができる。典型的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルアルコールなどが挙げられるが、毒性面、価格面を考慮すると、エタノールおよび2−プロパノール(イソプロピルアルコール;IPA)を用いることが好ましい。処理時間、すなわちウェーハの少なくとも片面に低級アルコールの蒸気を接触させる時間(以下、各工程において処理蒸気または処理液との接触時間を「処理時間」という)は、特に制限されないが、低級アルコールを40℃以上の温度にして蒸気を飽和状態にした雰囲気中にウェーハを投入してから、1分〜30分とすることが好ましく、3分〜5分とすることがより好ましい。1分以上であれば、表面をアルコール成分で十分置換することができ、30分以下であれば、プロセス時間の過剰な延長を回避することができるからである。例えば2−プロパノールを用いる場合は、容積100〜150Lの処理槽2に3〜7Lの低級アルコール液を入れて、低級アルコール液が40℃になるように加熱すればよい。
スライス加工後のリンス処理でウェーハに付着した水は、低級アルコール液に混入しがちである。低級アルコール液に浸漬させる方法では、低級アルコール液が低濃度化すれば、安定した処理が困難となる。このため、全液の交換が定期的に必要となるが、処理効率を高めるために一度に多くのウェーハを浸漬できる量の低級アルコール液を使用するため、ランニングコストが非常に高い。一方、本発明の場合は、低級アルコールの蒸気を用いる処理方法なので、処理槽中の低級アルコール液の濃度がある程度下がっても、低級アルコールと水との蒸気圧の差を利用して蒸気中の低級アルコール濃度を一定に保つことが可能である。よって、低級アルコール液の濃度がある程度下がってもウェーハの安定した低級アルコール処理が可能であり、低級アルコール液の交換はほとんど必要がない。このため、低級アルコール処理において、水よりも蒸気圧が高い低級アルコール、例えばエタノールおよびIPAを使用することが好ましい。なお、浸漬方法と比較して本発明の蒸気による方法では低級アルコール液の使用量が非常に少ないため、交換する際のコストも安い。さらに、浸漬方法と比較して、本発明の方法では低級アルコール処理後にウェーハの表面に残留する低級アルコール液の量も少ないため、次工程に用いる処理槽の汚染も少なく、あるいは次工程前のウェーハ表面の洗浄も容易である。
(第2工程:金属イオン含有フッ化水素酸処理)
本実施形態において、金属イオンはSiより貴な金属、例えばCu,Ag,Pt,Auなどのイオンであることが好ましい。これにより、第2工程において、ウェーハ表面への金属の微粒子の析出およびSiの溶出が効率的に起こるからである。価格面を考慮すれば、Cuのイオンとすることが好ましい。本発明の反射率の低減効果を十分に得る観点から好ましい条件を以下に挙げる。金属を溶解させたフッ化水素酸において、金属濃度は、10ppm以上1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以上400ppm以下とすることがより好ましい。また、フッ化水素酸の濃度は、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上30%質量以下である。さらに、処理時間は、好ましくは0.5分以上30分以下、より好ましくは1分以上10分以下、さらに好ましくは3分以下である。金属含有フッ化水素酸の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。
(金属イオン非含有フッ化水素酸処理)
本実施形態において、ウェーハ表面に形成された多孔質層深さを適切な深さまで拡張するために、フッ化水素酸の濃度は、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上30質量%以下である。また、本明細書において「金属イオンを含まないフッ化水素酸」とは、厳密に金属イオンの含有量がゼロの場合のみならず、不純物として10ppm未満の金属が含まれている場合をも含むものとする。例えばCu,Ag,Pt,AuなどのSiより貴な金属のイオンが10ppm未満であれば、これらの金属微粒子が新たに析出して、ウェーハ表面に新たな凹凸が形成されるよりも、第2工程ですでに形成された凹凸をより深くする反応が支配的になる。処理時間は、プロセスタクトタイムに合わせて設定すればよく、好ましくは0.5分以上60分以下である。金属非含有フッ化水素酸の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。
(金属除去溶液処理)
本実施形態において、第2工程において金属としてCuを用いる場合、Cu微粒子の除去を硝酸(HNO)溶液で行うことができる。このとき、硝酸濃度は、好ましくは0.001〜70質量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜0.1質量%の範囲内である。処理時間は、プロセスタクトタイムに合わせて設定すればよく、好ましくは0.5分以上10分以下であり、より好ましくは1分以上3分未満である。硝酸溶液の温度は、処理時間や蒸発損失などを考慮して適宜選択すればよく、常温〜100℃とすることが好ましい。この工程で用いる処理液は硝酸に限定されず、除去する対象の金属に合わせて、これを溶解可能な溶液を選択すればよい。例えば、Ag,Pt,Auの場合は、王水(HCl/HNO)やヨウ化カリウム溶液(KI)などを用いることができる。好適な濃度および処理時間は、Cuの場合と同様である。
(第3工程:アルカリ溶液処理)
本実施形態において、第3工程としてアルカリ溶液処理を選択する場合に使用するアルカリの種類は特に限定されない。例えば、無機アルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ヒドラジン、有機アルカリとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリンなどのアルカリを1種以上含む溶液であればよい。また、このアルカリ溶液のpHは、好ましくは9.0〜14.0の範囲であり、より好ましくは10.0〜12.0の範囲内である。pH低減を下回る場合には反応が進行しにくく、pH上限を超える場合は反応速度低下が発生し、かつ試薬コストの増大を招くため好ましくない。このアルカリ溶液を接触させる時間は、好ましくは600秒以下、より好ましくは120秒以下である。例えば、Cu濃度170ppm、HF濃度25%の溶液を用いて、3分の多孔質化処理を行った場合は、1%KOH溶液を用いて30秒程度の処理を行うことで、多孔質化層の厚みを150〜200nmとすることができる。ただし、これらのpH条件および接触時間条件の他、前記片面に作製された多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることができるpH条件および接触時間条件であればよい。すなわち、多孔質化処理工程の条件および第3工程のアルカリ処理の条件は多孔質化層の厚さを当該範囲とするように任意に設定すればよい。多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることで、変換効率の向上効果と、表面反射率低減効果を両立させることが可能となる。
反応速度を調節するために、このアルカリ溶液中に酸化剤(過酸化水素、オゾンなど)や、界面活性剤(アニオン系界面活性剤、中性界面活性剤など)を添加してもよい。例えば、1%KOHにアミノアルコール系界面活性剤を添加することにより、エッチング速度を1/10以下にすることができる。
(第3工程:酸溶液処理)
他の実施形態において、第3工程として酸溶液処理を選択する場合に使用する酸溶液はフッ化水素酸および硝酸を含有すればよい。酸溶液中の濃度としては、フッ化水素酸は0.1〜5.0質量%、硝酸は20〜50質量%、残りを水とすることが好ましい。フッ化水素酸は0.1質量%以上であれば反応速度が十分に得られ、5.0質量%以下であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましい。硝酸は20質量%以上であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましく、薬液コストを抑える観点から50質量%以下が好ましい。この酸溶液の温度は、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃である。温度が10℃以上であれば反応速度が十分に得られ、40℃以下であればエッチング量の調節が容易な反応速度に抑えることができるため好ましい。また、この酸溶液を接触させる時間は、好ましくは10分以下、より好ましくは3分以下である。例えば、Cu濃度170ppm、フッ化水素酸濃度25質量%の溶液を用いて、3分の多孔質化処理を行った場合は、1質量%フッ化水素酸および35質量%硝酸を含む酸溶液を用いて1分の処理を行うことで、多孔質化層の厚みを200nm程度とすることができる。ただし、フッ化水素酸および硝酸の混合条件および接触時間条件については、この他、前記片面に作製された多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることができる条件であればよい。すなわち、多孔質化処理工程の条件および第3工程の酸処理の条件は多孔質化層の厚さを当該範囲とするように任意に設定すればよい。多孔質化層の厚さを50〜400nmとすることで、変換効率の向上効果と、表面反射率低減効果を十分に両立させることが可能となる。
フッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液中に酢酸、リン酸、硫酸、界面活性剤(アニオン系界面活性剤、中性界面活性剤など)などの、多孔質化層のエッチング作用を大きく妨げることのない成分を添加してもよい。
(第3工程:酸化処理)
他の実施形態において、第3工程として酸化処理を選択する場合、この酸化処理はウェーハ表面の再結合中心を減少させることができるものであれば特に限定されないが、例えば以下のようにして行うことができる。この酸化処理により、ウェーハ表面に形成される好ましい酸化膜の厚みは、1〜100nmである。1nm未満の場合、再結合中心を減少させる効果が十分に得られない可能性があり、100nmを超えると、太陽電池製造プロセスにおける電極形成時に、接触抵抗が高くなり、結果として、太陽電池としての変換効率が低下する可能性があるからである。
第1に、半導体ウェーハの少なくとも片面に、酸化剤を含む液体を接触させる処理で酸化を行うことができる。酸化剤を含む液体として、例えば、オゾンガスを水に溶解させたオゾン水を挙げることができる。この場合、オゾン濃度は、好ましくは0.1〜20ppmである。0.1ppm未満の場合、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、20ppmを超える処置を施しても、濃度に見合った効果が得られず、酸化能力は飽和してしまうからである。また、処理時間は、好ましくは1〜10分、より好ましくは5〜10分である。1分未満の場合、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、10分を超える場合、処置を施しても、時間に見合った効果が得られず、酸化能力は飽和してしまうからである。処理温度は常温とすればよい。
また、過酸化水素水を用いてもよい。この場合、過酸化水素の濃度は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.3〜30質量%である。0.1質量%未満の場合、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、30質量%を超える処置を施しても、濃度に見合った効果が得られず、酸化能力は飽和してしまうからである。また、処理時間は、好ましくは1〜30分、より好ましくは5〜30分である。1分未満の場合、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、30分を超える処置を施しても、時間に見合った効果が得られず、酸化能力は飽和してしまうからである。処理温度は20〜80℃とすればよい。
また、アンモニア/過酸化水素の混合水溶液(いわゆるSC−1洗浄液)または塩酸/過酸化水素の混合水溶液(いわゆるSC−2洗浄液)を用いてもよい。SC−1洗浄液の場合、アンモニアの濃度は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%であり、SC−2洗浄液の場合、塩酸の濃度は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。また、過酸化水素の濃度は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.3〜10質量%である。いずれの値も下限値を下回ると、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、上限値を超えると、後のリンス工程で十分な洗浄が行いにくいからである。なお、SC−1洗浄液については、アンモニアに替えて、NaOH,KOHなどの無機アルカリや、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、コリンなどの有機アルカリを用いてもよい。また、処理時間は、好ましくは1〜20分、より好ましくは5〜20分である。1分未満の場合、ウェーハ表面の酸化を十分に行えない可能性があり、20分を超える処置を施しても、濃度に見合った効果が得られず、酸化能力は飽和してしまうからである。処理温度は20〜80℃とすればよい。
第2に、半導体ウェーハの少なくとも片面に対して、酸素を含む雰囲気下での熱処理を施してもよい。熱処理は一般に半導体ウェーハの熱酸化として使用されている技術であれば限定されることはなく、例えばドライ酸化またはパイロジェニック酸化を挙げることができる。熱処理の温度は、好ましくは600〜1200℃、より好ましくは800〜1000℃であり、処理時間は、好ましくは1〜30分、より好ましくは5〜20分である。熱処理温度および処理時間のいずれも、下限値を下回ると酸化能力が不足して、所望の効果が得られない可能性があり、上限値を超える処理を施しても、酸化能力が飽和してしまうからである。
第3に、半導体ウェーハの少なくとも片面上に液相成長法により酸化膜を形成してもよい。ここで、「液相成長法」とは、Siが飽和したHSiF溶液にHBOを添加した溶液に、ウェーハを浸漬させることにより、ウェーハ表面にSiO膜を形成する方法である。この方法によっても、ダングリングボンド部に対して酸化処理を施すことができ、再結合中心を消滅させることができる。処理液の調合は、例えば以下のようにして行う。まず、濃度4mol/LのHSiF溶液にシリカゲル粒子を加え、24時間常温にて撹拌した後、解け残ったシリカゲルをろ過で除去する。その後、この溶液に、HBOを濃度が0.01〜1mol/L、好ましくは濃度0.05〜0.15mol/Lとなるように添加する。処理時間は1分以上、好ましくは10〜30分とし、処理温度は20℃以上、好ましくは30〜40℃とする。
図1に示す各工程において、ウェーハ表面に処理液を接触させる方法としては、例えば浸漬法、スプレー法が挙げられる。また、受光面となるウェーハの片面に処理液を滴下させるキャスト法を用いてもよい。
また、ステップS1〜ステップS5の少なくとも1工程の後に、水による洗浄工程を行ってもよい。なお、ステップS1とステップS2との間では、洗浄に用いる水は、50℃以下であることが好ましく、常温であることがより好ましい。50℃以下であれば、洗浄後も、ステップS1で形成したウェーハ表面上の低級アルコールの膜が本発明の効果が十分に得られる程度に残存するからである。
以上、本発明の太陽電池用ウェーハの製造方法は、単結晶シリコンウェーハのみならず、多結晶シリコンウェーハにも適用可能である。既述のとおり、テクスチャ構造を形成する方法は、単結晶シリコンに適した方法であり、表面に様々な面方位が出現している多結晶シリコンについては、ウェーハ全面に均一なテクスチャ構造を形成することが困難であった。しかし、本発明の多孔質化処理によって、これまでのテクスチャ構造よりも微細な凹凸をウェーハ表面に形成できるため、多結晶シリコンウェーハの表面の反射率も十分に抑制することができる。
また、これまで単結晶または多結晶シリコンウェーハから結晶系シリコン太陽電池に用いるための太陽電池用ウェーハを製造することについて述べてきたが、本発明は結晶系シリコンに限られることはなく、アモルファスシリコン太陽電池や薄膜系太陽電池に用いるための太陽電池用ウェーハにも適用可能であることは勿論である。
(太陽電池セルの製造方法)
本発明に従う太陽電池セルの製造方法は、これまで説明した本発明に従う太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、この太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有する。セル作製工程は、ドーパント拡散熱処理でpn接合を形成する工程と、電極を形成する工程とを少なくとも含む。ドーパント拡散熱処理は、p基板に対してはリンを熱拡散させる。
なお、pn接合形成工程は本発明における多孔質化処理工程の前に行ってもよい。すなわち、スライス加工によるダメージ除去のためのエッチング処理後、ドーパント拡散熱処理でpn接合を形成したウェーハの状態で、本発明における多孔質化処理を行う。こうして得た太陽電池用ウェーハに対して電極を形成して、太陽電池セルとすることもできる。
本発明に従う太陽電池セルの製造方法によれば、セルの受光面における入射光の反射ロスの少ない、高い変換効率の太陽電池セルを得ることができる。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本発明に従う太陽電池モジュールの製造方法は、上記太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、この太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有する。モジュール作製工程は、複数の太陽電池セルを配列し、電極を配線する工程と、強化ガラス基板上に配線された太陽電池セルを配置し、樹脂と保護フィルムで封止する工程と、アルミフレームを組み立てて、端子ケーブルを配線と電気的に接続する工程とを含む。
本発明に従う太陽電池モジュールの製造方法によれば、太陽電池セルの受光面における入射光の反射ロスを抑制し、高い変換効率の太陽電池モジュールを得ることができる。
以上、本発明を説明したが、これらは代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
本発明の効果をさらに明確にするため、以下に説明する実施例・比較例の実験を行った比較評価について説明する。
(実験例1:多孔質化処理工程まで行う場合)
<試料の作製>
(実施例1〜6)
まず、156mm角のp型(100)単結晶シリコンウェーハを50枚用意し、50質量%フッ化水素酸/70質量%硝酸/水=1:4:5(体積比)にて調合した酸性溶液を用いて、室温で3分間エッチング処理を施し、その後ウェーハを乾燥させた。以降の工程は全て室温で行った。図2に示す処理槽(容積80L)に、100質量%の2−プロパノール(イソプロピルアルコール;IPA)液を5L収容した。その処理槽の外部に設置したヒーターにより蓋をした処理槽を加熱することによって、IPA液を40℃に10分間維持し、IPA蒸気を処理槽中に充満させた後、蓋をあけて処理槽中のIPA蒸気中にウェーハを投入した後、再度蓋をした。このようにして、ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させた。ウェーハ表面を蒸気に接触させた時間を表1に記載する。なお、実施例、比較例、参考例において、ウェーハ表面を蒸気に接触させた時間は、蓋をする前の、処理槽中にウェーハを投入した時点から計測した時間である。その後、ウェーハを
常温の水で洗浄した後、このウェーハを乾燥させることなく、Cuを1000ppm含む硝酸銅溶液5mLと、50質量%フッ化水素酸15mLと、水10mLとの混合液に3分間浸漬させた。なお、この工程は、通常の室内環境すなわち光照射環境下にて行った。その後、このウェーハを0.1質量%硝酸に5分浸漬させ、窒素雰囲気にて乾燥させ、太陽電池用ウェーハを製造した。
(参考例1〜4)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、100%IPA液にウェーハを表1に記載の時間浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。なお、使用した100%IPA液は70Lであった。
(比較例1)
実施例1の製造工程のうち、50質量%フッ化水素酸/70質量%硝酸/水=1:4:5(体積比)にて調合した酸性溶液を用いて、室温で3分間エッチング処理を施す工程までを行い、ウェーハを乾燥させ、比較例1とした。すなわち、比較例1は本発明における多孔質化処理を行わないものである。
<評価1:反射率測定>
反射率測定器(島津製作所社製:SolidSpec3700)により、ウェーハの被処理面における反射スペクトルを300〜1200nmの範囲で測定した。太陽光には波長500〜700nmの光が多く含まれるため、この波長領域で反射率が低いことが望ましい。そこで、波長600nmと700nmの相対反射率を表1に示す。
Figure 2013225552
比較例1と比較して、実施例1〜6では処理前に比べて顕著に反射率を低減することができた。これは、表面を多孔質化したことによるものである。なお、参考例1〜4と比較して、実施例1〜6は同等の反射率であった。この結果から、従来よりも安全かつ安価なこの方法で多孔質化処理を行うと、入射光の反射ロスを低減することができることがわかった。
<評価2:変換効率測定>
実施例および比較例のウェーハに対して、P―OCD(東京応化工業株式会社製 型番P−110211)をスピンコート法にて塗布し、拡散熱処理を施してpn接合を形成し、フッ化水素にて表面のリンガラスを除去した。その後、ウェーハ表面のリン拡散面に反射防止膜としてITO膜をスパッタリング法にて形成した。また、表面にAg電極用のAgペーストを、裏面にAl電極用のAlペーストを塗布し、その後熱処理を施すことでウェーハ表裏面に電極を形成し、太陽電池セルを作製した。そして、変換効率測定器(和泉テック社製:YQ−250BX)によりエネルギー変換効率を測定した結果を表1に示す。実施例1〜6は、参考例1〜4と同様に、比較例1よりも高い変換効率となった。
(実験例2:第3工程としてアルカリ溶液処理をさらに行う場合)
<試料の作製>
(実施例7〜9)
実施例3の製造工程の後にアルカリ溶液処理として1質量%KOHに表2に記載の時間浸漬し、その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。
(参考例5〜7)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、ウェーハを100%IPA液に3分浸漬させたこと以外は実施例7〜9と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。
(比較例2)
比較例1の製造工程後にアルカリ溶液処理として1質量%KOHに表2に記載の時間浸漬し、その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。すなわち、比較例2は本発明における多孔質化処理を行わずアルカリ溶液処理を行ったものである。
<評価1:反射率測定>
実験例1と同じ方法でスペクトル反射測定を行った。波長600nmと700nmの相対反射率を表2に示す。実施例7〜9と比較例2とを比較すると、本発明の多孔質化処理を行うことで、ウェーハの被処理面における反射率が低下することがわかった。また、実施例1〜6と比較して、アルカリ溶液処理を施した実施例7〜9の反射率は多少上昇することがわかった。なお、実施例7〜9は、参考例5〜7と同等の反射率であった。
Figure 2013225552
<評価2:変換効率測定>
実験例1と同じ方法でエネルギー変換効率を測定した結果を表2に示す。実施例7〜9は比較例2よりも高い変換効率となった。また、実施例7〜9は、参考例5〜7と同等の変換効率であり、実施例3よりも変換効率が高かった。このように、本発明の多孔質化処理およびアルカリ溶液処理を行うことにより、より高い変換効率を得ることができることがわかった。
(実験例3:第3工程として酸溶液処理をさらに行う場合)
<試料の作製>
(実施例10〜12)
実施例3の製造工程の後に酸溶液処理として、1%フッ化水素酸と35%硝酸とを含み、残りは水である酸溶液に表3に記載の時間浸漬し、その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。
(参考例8〜10)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、ウェーハを100%IPA液に3分浸漬させたこと以外は実施例10〜12と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。
(比較例3)
比較例1の製造工程後に酸溶液処理として、1%フッ化水素酸と35%硝酸とを含み、残りは水である酸溶液に表3に記載の時間浸漬し、その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。すなわち、比較例3は本発明における多孔質化処理を行わず酸溶液処理を行ったものである。
<評価1:反射率測定>
実験例1と同じ方法でスペクトル反射測定を行った。波長600nmと700nmの相対反射率を表3に示す。実施例10〜12と比較例3とを比較すると、本発明の多孔質化処理を行うことで、ウェーハの被処理面における反射率が低下することがわかった。また、実施例1〜6と比較して、酸溶液処理を施した実施例10〜12の反射率は多少上昇することがわかった。なお、実施例10〜12は、参考例8〜10と同等の反射率であった。
Figure 2013225552
<評価2:変換効率測定>
実験例1と同じ方法でエネルギー変換効率を測定した結果を表3に示す。実施例10〜12は比較例3よりも高い変換効率となった。また、実施例10〜12は、参考例8〜10と同等の変換効率であり、実施例3よりも変換効率が高かった。このように、本発明の多孔質化処理および酸溶液処理を行うことにより、より高い変換効率を得ることができることがわかった。
(実験例4:第3工程として酸化処理をさらに行う場合)
<試料の作製>
(実施例13〜15)
実施例3の製造工程の後に酸化処理として、オゾン水に浸漬させる酸化処理を行った。処理時間は10分とし、オゾン濃度は表4に記載の濃度とした。その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。
(参考例11〜13)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、ウェーハを100%IPA液に3分浸漬させたこと以外は実施例13〜15と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。
(比較例4)
比較例1の製造工程後に酸化処理として、オゾン水に浸漬させる酸化処理を行い、その後窒素雰囲気にて乾燥させて太陽電池用ウェーハを製造した。処理時間は10分とし、オゾン濃度は表4に記載の濃度とした。すなわち、比較例4は本発明における多孔質化処理を行わず酸化処理を行ったものである。
<評価1:反射率測定>
実験例1と同じ方法でスペクトル反射測定を行った。波長600nmと700nmの相対反射率を表4に示す。実施例13〜15と比較例4とを比較すると、本発明の多孔質化処理を行うことで、ウェーハの被処理面における反射率が低下することがわかった。また、実施例1〜6と比較して、酸溶液処理を施した実施例13〜15の反射率は多少上昇することがわかった。なお、実施例13〜15は、参考例11〜13と同等の反射率であった。
Figure 2013225552
<評価2:変換効率測定>
実験例1と同じ方法でエネルギー変換効率を測定した結果を表4に示す。各実施例は比較例よりも高い変換効率となった。また、実施例13〜15は、参考例11〜13と同等の変換効率であり、実施例3よりも変換効率が高かった。このように、本発明の多孔質化処理および酸溶液処理を行うことにより、より高い変換効率を得ることができることがわかった。
(実験例4:低級アルコール洗浄を他の有機溶媒で洗浄する場合)
<試料の作製>
(比較例5)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、99%アセトン液にウェーハを3分浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。
(比較例6)
ウェーハ表面にIPA蒸気を接触させることに替えて、99%ベンゼン液にウェーハを3分浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用ウェーハを製造した。
<評価:反射率測定および変換効率測定>
実験例1と同じ方法でスペクトル反射測定を行った。波長600nmと700nmの相対反射率を表5に示す。比較例5,6を実施例1および参考例1と比較すると、反射率および変換効率がともに低いことがわかった。つまり、一般的に洗浄に使用される有機溶媒の中でも、IPAなどの低級アルコールを用いなければ本発明の効果は得られなかった。このことから、本発明における低級アルコール処理は、一般的な洗浄効果以上の効果を有することが明らかとなった。
Figure 2013225552
<評価2:変換効率測定>
実験例1と同じ方法でエネルギー変換効率を測定した結果を表2に示す。実施例7〜9は比較例2よりも高い変換効率となった。また、実施例7〜9は、参考例5〜7と同等の変換効率であり、実施例3よりも変換効率が高かった。このように、本発明の多孔質化処理およびアルカリ溶液処理を行うことにより、より高い変換効率を得ることができることがわかった。
本発明によれば、安全かつ安価に、シリコンウェーハをはじめとする半導体ウェーハの表面を多孔質化して、表面における光の反射ロスを低減した太陽電池用ウェーハを得ることが可能となった。
2 処理槽
4 蓋
6 冷却装置
8 低級アルコール液
10 低級アルコール蒸気
12 外部加熱装置
14 ウェーハ

Claims (7)

  1. 半導体ウェーハの少なくとも片面を多孔質化して太陽電池用ウェーハを製造する方法であって、
    前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に低級アルコールの蒸気を接触させる第1工程と、
    該第1工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に金属イオンを含むフッ化水素酸を接触させる第2工程と、
    を有することを特徴とする太陽電池用ウェーハの製造方法。
  2. 前記低級アルコールは、水よりも蒸気圧が高い、請求項1に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
  3. 前記低級アルコールがイソプロピルアルコールである、請求項請求項1または2に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
  4. 前記第2工程の後に、前記半導体ウェーハの少なくとも前記片面に対して、アルカリ溶液を接触させる工程、フッ化水素酸および硝酸を含有する酸溶液を接触させる工程、または酸化処理を施す工程である、第3工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
  5. 前記半導体ウェーハがシリコンウェーハである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用ウェーハの製造方法における工程に加えて、該太陽電池用ウェーハで太陽電池セルを作製する工程をさらに有する太陽電池セルの製造方法。
  7. 請求項6に記載の太陽電池セルの製造方法における工程に加えて、該太陽電池セルから太陽電池モジュールを作製する工程をさらに有する太陽電池モジュールの製造方法。
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