JP2013143406A - 圧粉磁心の製造方法、圧粉磁心、コイル及びモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡の発生を抑制しながら圧粉磁心の表面に絶縁層を形成する。
【解決手段】磁性粉末を圧縮成形して成形体を形成する。成形体の表面を平滑化する。表面が平滑化された成形体に粉体塗料を付着させ、粉体塗料を加熱して溶融させることによって被膜を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧粉磁心の製造方法、圧粉磁心、コイル及びモータに関する。
近年、家電及び電子機器の省エネルギー化及び小型化に伴い、高い動作周波数で動作させた場合にも高い磁束密度と透磁率及び低鉄損を示す磁心材料が強く求められている。このような磁心として、圧粉磁心を利用することが提案されている。圧粉磁心とは、純鉄や軟磁性合金等の磁性粉末を金型に充填して加圧成形することにより、所望の形状に成形して得られる磁心のことである。ここで、磁性粉末粒子の表面に絶縁処理を施すことにより電気抵抗が高められるため、より高い動作周波数においても渦電流損失を抑制することができる。
また、加圧成形によって得られた成形体にさらに絶縁層を形成することにより、圧粉磁心の絶縁性をさらに高めることができる。絶縁層は、例えば静電紛体塗装法と呼ばれる塗装法を用いて形成することができる。この塗装法では、接地した成形体に帯電した粉体を付着させた後に、加熱によって粉体を融着させる。例えば特許文献1には、圧粉成形体に粉体塗装を行って絶縁膜を形成した圧粉磁心が開示されている。
特開2006−157991号公報
しかしながら本願発明者らは、特許文献1に記載の方法により粉体塗装を行うと、加熱後の絶縁膜に気泡の跡が現れることを発見した。このように気泡が現れた部分の絶縁被膜は薄くなるため、レアショートが起こってしまう可能性がある。
本発明は、気泡の発生を抑制しながら圧粉磁心の表面に絶縁層を形成することを目的とする。
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の圧粉磁心の製造方法は以下の構成を備える。すなわち、
磁性粉末を圧縮成形して成形体を形成する成形工程と、
前記成形体の表面を平滑化する平滑化工程と、
表面が平滑化された前記成形体に粉体塗料を付着させ、該粉体塗料を加熱して溶融させることによって被膜を形成する粉体塗装工程と、
を有することを特徴とする。
気泡の発生を抑制しながら圧粉磁心の表面に絶縁層を形成できる。
本発明に係る圧縮成形によって得られる成形体の形状の一例を示す図。 本発明に係るコイルの一例を示す図。 本発明に係るモータの一例を示す図。 本発明に係る圧縮成形によって得られる成形体の表面を示す図。 本発明に係る圧縮成形によって得られる成形体の表面を示す図。
以下、本発明に係る圧粉磁心の製造方法の実施形態について説明し、さらに実施例を挙げて有用性を明らかにする。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態又は実施例に限定されるものではない。
<成形工程>
まず、磁性粉末を圧縮成形して成形体を形成する工程について説明する。
磁性粉末としては通常軟磁性金属粉末が用いられる。軟磁性金属粉末の種類に特に限定はなく、従来から圧粉磁心の材料として用いられているものを使用することができる。好ましい磁性粉末の例としては、センダスト粉、パーマロイ粉、ケイ素鋼粉、純鉄粉等が挙げられる。また、これらの成分を含む合金の粉末を用いてもよいし、2種類以上の粉末を混合して用いてもよい。
また、この磁性粉末は絶縁材料で被覆されていてもよい。絶縁材料の種類に特に限定はなく、従来から圧粉磁心において用いられているものを使用することができる。好ましい絶縁材料の例としては、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が挙げられる。また、その他の鉱物を用いることもできる。絶縁材料としては1種類の材料を用いてもよいし、2種類以上の材料を併用してもよい。しかしながら本実施形態に係る製造方法においては、磁性粉末が絶縁材料で被覆されていることは必須ではない。
磁性粉末の粒度及び粒子形状は特に限定されず、圧縮成形によって成形体が得られるものであればよい。
また、圧縮成形を容易とするために、磁性粉末と潤滑剤とを混合してから圧縮成形を行うことが好ましい。潤滑剤の種類に特に限定はなく、従来知られているものを用いることができる。しかしながら、圧縮成形体を容易に取り出せるようにする観点からは、金属石鹸(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マンガン、及びステアリン酸リチウム等)、ビスアミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、モノアミドを含む脂肪酸アミド(例えばステアリン酸モノアミド及びエルカ酸アミド等)、脂肪酸(例えばオレイン酸及びステアリン酸等)、液状潤滑剤(例えばリン酸エステル、ポリオールエステル、鉱油、及びポリグリコール等)、並びに熱可塑性樹脂(例えばポリアミド、ポリエチレン、及びポリアセタール等)等を用いることが好ましい。
潤滑剤として1種類の材料を用いてもよいし、2種類以上の材料を併用してもよい。磁性粉末100重量部に対する潤滑剤の量は、0.01重量部以上であることが好ましく、1.0重量部以下であることが好ましい。0.01重量部以上であることにより、圧縮成形体が容易に取り出せるようになるという効果が向上する。また、1.0重量部以下とすることにより、得られる成形体の密度を十分に向上させることができる。
圧縮成形は公知の方法によって行うことができる。以下に、圧縮成形方法の一例を挙げる。まず、磁性粉末と潤滑剤とを混合し、均一に分散させる。次に、混合物を金型内に充填し、成形圧を加えて圧縮成形する。得られた圧縮成形体を金型から取り出し、次の工程で用いる。得られた圧縮成形体に対してさらに熱処理を施すことにより、加圧成形に伴う歪みの除去を行うことができる。圧縮成形によって得られる成形体の形状の一例を図1に示す。また、絶縁材料で被覆されていない磁性粉末を圧縮成形する場合、磁性粉末が溶着する温度で加熱焼成を行ってもよい。加熱焼成により成形体の強度を向上させることができる。
<平滑化工程>
次に、成形体の表面を平滑化する工程について説明する。本実施形態においては、成形体の表面に対して機械的衝撃を与えることにより、成形体の表面を平滑化する。機械的衝撃の例としては例えば、研磨が挙げられる。すなわち、成形体の表面を研磨することにより、成形体の表面を平滑化することができる。
平滑化により、成形体の表面に存在する小さな空孔を封じることが好ましい。このためには、例えばバリ取り処理のように成形体の角部のみに機械的衝撃を与えるよりも、成形体上の平坦面及び曲面に対して機械的衝撃を与えることが好ましい。また、十分に空孔を封じるためには、成形体の表面に対して物理的衝撃を一定時間以上与え続けることが好ましい。物理的衝撃を与える時間としては、5秒間以上が好ましく、1分間以上がより好ましく、10分間以上がさらに好ましく、30分間以上が特に好ましい。また、上限に特に限定はないが、24時間以内が好ましく、12時間以内がより好ましく、6時間以内がさらに好ましく、2時間以内が特に好ましい。
平滑化方法の例としては特に限定されないが、メディアを用いる方法が挙げられる。すなわち、メディアを成形体に衝突させることにより、成形体表面を平滑化させることができる。メディアを用いる平滑化方法としては、例えばエアーブラスト、サンドブラスト、乾式バレル、湿式バレル等が挙げられる。例えばエアーブラスト又はサンドブラストを用いる場合、メディアを成形体表面に投射すればよい。また、バレル処理を行う場合、バレル槽内に成形体及びメディアを投入して処理を行えばよい。
特に、圧粉磁芯として用いる場合、成形体が平滑化処理によって歪まないことが好ましく、この観点からは乾式バレル又は湿式バレルのようなバレル処理を行うことが特に好適である。バレル処理の種類は特に限定されない。例えば、振動バレル、回転バレル、渦流バレル、ディスクフィニッシュバレル、又は遠心バレル等を用いることができる。圧粉磁芯として用いる場合、磁性粉末の絶縁被膜が破壊されない温度で熱処理を行うため、金属粉末同士が溶着せずに成形体の強度が低くなることがありうる。そのため、成形体が平滑化処理によって歪まないことが好ましく、この観点からは振動バレル又はディスクフィニッシュバレルを用いることが特に好ましい。
メディアの種類は特に限定されない。メディアの好ましい例としては、アルミナ及びジルコニア等のセラミックス;鋼、ステンレス鋼、銅、及び亜鉛等の金属;ナイロン及びアクリル等の樹脂;ソーダ石灰ガラス等のガラス;胡桃殻、桃、及び杏等の果実の種子殻等を用いることができる。また、メディアの形状も特に限定されず、例えば球状、円柱状、又は多角形状でありうる。1種のメディアを用いて平滑化処理を行ってもよいし、2種以上のメディアを併用して平滑化処理を行ってもよい。
より平滑化の効率を向上させる観点からは、メディアとしてセラミック、又はセラミックを含有したプラスチックを用いることが好ましい。また、同様の観点から、メディアの粒径はシャフトを入れるための孔の直径以上であることが好ましく、少なくともスロットに一部が入り込む形状であることが好ましい。
また、メディアを任意の研磨剤と混合して用いることもできる。例えばエアーブラスト又はサンドブラストを用いる場合、メディアと研磨剤との混合物を成形体表面に投射すればよい。また、バレル処理を行う場合、バレル槽内に成形体、メディア及び研磨剤を投入し、処理を行えばよい。
研磨剤の種類は特に限定されない。研磨剤の好ましい例としては、無機燐酸塩、無水炭酸塩、及び硼砂が挙げられる。1種の研磨剤を用いて平滑化処理を行ってもよいし、2種以上の研磨剤を併用して平滑化処理を行ってもよい。
また、上述の平滑化処理を行うことにより、同時にバリ取りを行うことができる。成形体のバリを除去することにより、成形体のエッジ部分の塗装をより厚くすることができる。この結果、エッジカバー率を向上させることができ、巻線を施した際のレアショートを防ぐことができる。
上述の平滑化処理は、成形体の表面全体に対して行われることが好ましい。しかしながらモータを作製する際に圧粉磁心にシャフトを通す場合、圧粉磁心はシャフトを受け入れるための孔を有していることがある。このような場合、シャフトを受け入れるための孔の内部が平滑化処理によって平滑化される必要はない。
<塗装工程>
次に、成形体に塗装を施す工程について説明する。具体的には、表面が平滑化された成形体に粉体塗料を付着させ、この粉体塗料を加熱溶融させることにより、塗装被膜が形成される。
塗装方法に特に限定はない。例えば、予熱された被塗装物を粉体塗料中に浸漬させ、被塗装物の予熱を利用して粉体塗料を被塗装物に付着溶融させる流動浸漬法を用いることができる。また、粉体塗料を成形体に付着させた後に、別途成形体を加熱することにより付着した粉体塗料を加熱溶融させてもよい。粉体塗料を成形体に付着させる方法としては、粉体塗料を電気的に被塗装物に付着させる静電塗着法を用いることができる。
粉体塗料としては、通常は絶縁性を有するものが用いられるが、その種類は特に限定されない。粉体塗料の例としては、絶縁性を有する熱硬化樹脂、及び絶縁性を有する熱可塑性樹脂等が挙げられる。絶縁性を有する熱硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。絶縁性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ポリエチレン、フッ素樹脂等が挙げられる。
塗装被膜の膜厚は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。一方で、200μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることがさらに好ましい。膜厚が10μm以上であることにより、得られた圧粉磁心を用いて作製されたモータの耐電圧性が十分に向上しうる。膜厚が200μm以下であることにより、巻線を収容する部分の容積を十分に確保することができる。
また、成形体の全表面が塗装されてもよいし、必要な部分のみが塗装されてもよい。例えば、圧粉磁心のうち巻線が施される部分のみが塗装されてもよい。
<コイル>
以下に、本発明に係る圧粉磁心を備えるコイルについて説明する。コイルは、例えば本発明に係る圧粉磁心に導線を巻き付けることにより作製できる。本発明に係る圧粉磁心を備えるコイルの一実施形態を図2に示す。本実施形態に係るコイルであるロータ10は、本発明に係る圧粉磁心11と、巻線12とを備える。圧粉磁心11の表面のうち、少なくとも巻線12が接触する部分について、上述のように平滑化を行った後に塗装を行うことにより、気泡に起因する巻線のレアショート又は断線を防ぐことができる。
<モータ>
以下に、本発明に係る圧粉磁心を備えるモータについて説明する。本発明に係る圧粉磁心を備えるモータの一実施形態を図3に示す。本実施形態に係るモータ18は、上述のロータ10と、ステータ20と、一対の端子部21とを有する。ロータ10は筺体19に対して回転可能に支持され、一端にプーリー22が嵌着された回転軸23と、この回転軸23が挿通する圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き付けられた巻線12とを含む。ステータ20は、ロータ10を挟むように筺体19の内側に固定された永久磁石24を含む。一対の端子部21は、ロータ10の巻線12に電気的に接続される。上述のロータ10はレアショート又は断線を起こしにくいため、本実施形態に係るモータ18は故障を起こしにくいという利点を有する。
[実施例]
以下に、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、ブラシ付きDCモータのコアであるφ17mm、高さ17.5mm、5つのスロットを有する圧粉磁芯を作製した。磁性粉末としては、平均粒径250μmの、絶縁被膜を有する純鉄粉末(製品名:Somaloy700 3P、ヘガネス社製)を用意した。この磁性粉末には、0.2重量%の潤滑剤が含まれている。この磁性粉末を金型に入れ、900MPaの圧力を加えて成形した。その後、成形体を金型から取り出し、大気中530℃、20分間の熱処理を行った。これを評価サンプル1とした。
次に、上述した評価サンプル1を振動バレル処理することによって成形体の表面に物理的衝撃を与え、表面を平滑化した。具体的には、振動バレル装置を用い、振動バレル装置内に、上述のように得られた成形体(装置容量の20%の量)と、メディアとして塊状セラミック(装置容量の50%の量、製品名AR−3塊状、日本パーカライジング(株)社製)と、研磨剤(製品名クリマックスA1,クリマックスK5、東邦鋼機(株)社製)と、純水とを投入した。そして、60分間の振動バレル処理を行った。
評価サンプル1の振動バレル処理後の成形体表面を電子顕微鏡で、100倍の倍率で観察した。顕微鏡像を図4(a)に示す。
次に、評価サンプル1の振動バレル処理後の成形体に粉体塗装を行った。粉体として樹脂粉末(製品名エピフォームF−219ES、ソマール(株)製)を用い、静電トリボ塗装機(旭サナック(株)製)にて成形体表面に粉体を5秒間塗装した。そして、塗装後の成形体を200℃、5分間加熱することにより、樹脂粉末を熱硬化させた。樹脂被膜の厚さは50〜80μmであった。こうして、圧粉磁心を作製した。
得られた圧粉磁心について気泡の跡の有無を目視で確認した。また、得られた圧粉磁心について耐電圧性を評価した。具体的には、圧粉磁心の樹脂被膜がある部分と樹脂被膜がない部分との間に600Vの電圧を1秒間印加し、電流が流れたか否かを判定した。
[比較例]
比較例として、振動バレル処理を行わなかった他は上記実施例と同様にして、圧粉磁心を作製した。得られた圧粉磁心について、上記実施例と同様に気泡の有無及び耐電圧性を評価した。また、粉体塗装前の成形体表面を上記実施例と同様に観察した。顕微鏡像を図4(b)に示す。
実施例及び比較例における評価結果を表1に示す。表1において、気泡の有無について、「○」は気泡の跡が確認されなかったことを示し、「×」は気泡の跡が確認されたことを示す。また、耐電圧性について、「○」は電流が流れなかったことを示し、「×」電流が流れたことを示す。
実施例に係る圧粉磁心の表面には気泡の跡が観察されなかった一方、比較例に係る圧粉磁心の表面には気泡の跡が観察された。図4(b)から分かるように、比較例に係る成形体の表面には多数の空孔が存在する。この空孔内の空気が熱硬化処理時に膨張したことが、気泡が発生した原因であるものと考えられる。一方で図4(a)と図4(b)とを比較して分かるように、平滑化処理により、実施例に係る成形体の表面の空孔は減少する。図4(a)から分かるように、60分間の振動バレル処理後の成形体表面には、空孔はほとんど観察されなかった。このために、実施例に係る圧粉磁心の表面には気泡の跡が観察されなかったものと考えられる。このように、実施例及び比較例は平滑化処理の有効性を示している。
また、実施例に係る圧粉磁心は良好な耐電圧性を示した一方で、比較例に係る圧粉磁心においては、気泡の跡が存在する部分で短絡が生じた。これは、気泡によって絶縁被膜が薄くなったためと考えられる。このように、本実施例に係る圧粉磁心は高い電気抵抗を実現できるため、コイル又はモータのための圧粉磁心として特に有効である。
[実施例2]
本発明は、上述した実施例に限定されず、例えば、下記のように絶縁被膜がない金属粉末を高温で焼き固める際にも有効である。実施例2では、金属粉末(ABC100.30:製品名,ヘガネス社製,平均粒径80μm)に、潤滑材(Kenolube:製品名,ヘガネス社製)を添加したものを、外形6.0mm、内径5.3mmの成形型に充填し、900MPaで加圧成形を行った。ここで用いた金属粉末は、絶縁被膜を有さない材料である。そして、金型から成形体を取り出すことにより、約5.5mm厚の円筒状の圧粉体リングを得た。この成形体を300℃、30分保持の条件で仮焼を行った。その後、水素還元雰囲気下で850℃、4時間保持を行い焼成した。これにより、金属粉末同士が溶着した焼結体が得られた。これを評価サンプル2とした。
次に、上記評価サンプル2に対して平滑化処理(ここでは遠心バレル処理)を行った。メディアとして塊状セラミック(製品名AR−1塊状、日本パーカライジング(株)社製)を用い、さらに研磨剤(製品名クリマックスA1,クリマックスK5、東邦鋼機(株)社製)と純水とを加えて回転数160rpmにて60分間処理を行った。
次に、遠心バレル処理後の評価サンプル2に粉体塗装を行った。粉体として樹脂粉末(製品名エピフォームF−219ES、ソマール(株)製)を用い、静電トリボ塗装機(旭サナック(株)製)にて成形体表面に粉体を5秒間塗装した。そして、塗装後の成形体を200℃、5分間加熱することにより、樹脂粉末を熱硬化させた。樹脂被膜の厚さは50〜80μmであった。こうして圧粉成形体を得た。
図5(a)には、平滑化処理後、ここではバレル処理後のニュートラルゾーンの表面観察を示す。また、比較のために、平滑化処理前の表面の様子を図5(b)に示す。バレル処理を行うと成形体表面空孔が塞がっていることを確認できた。遠心バレル処理を60分間行うとほぼ空孔が無くなることが確認できた。
なお、このようにバレル処理を行った後に表面に粉体塗装を施すことにより圧粉成形体が得られるが、表面が平滑化されているため、粉体塗装を良好に行うことができる。本実施例に係る、金属粉末同士が溶着した焼結体である圧粉成形体は、直流もしくは低周波数で用いる、コアロスの影響が少ないコアおよびヨークのための圧粉成形体として特に有効である。

Claims (8)

  1. 磁性粉末を圧縮成形して成形体を形成する成形工程と、
    前記成形体の表面を平滑化する平滑化工程と、
    表面が平滑化された前記成形体に粉体塗料を付着させ、該粉体塗料を加熱して溶融させることによって被膜を形成する粉体塗装工程と、
    を有することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  2. 前記平滑化工程では、前記成形体の滑らかな平坦面又は曲面をさらに平滑化させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. バレル処理によって前記平滑化を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 振動バレルを用いて前記バレル処理を行うことを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記被膜の厚さが、10μm以上、200μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項の製造方法により製造された圧粉磁心。
  7. 請求項6に記載の圧粉磁心を備えるコイル。
  8. 請求項6に記載の圧粉磁心を備えるモータ。
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