JP2013142181A - 鍛造用鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス撹拌による取鍋精錬を、取鍋の底部に設けられた2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込みながら行うようにし、かつ、一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設け、2つの底吹き用プラグの各ガス流量が規定の式を満たすようにすると共に、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minとし、かつ、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、3.5≦CaO/SiO2(質量比)≦20を満たすようにスラグの成分調整を行うようにする。
【選択図】なし
Description
0.1≦R≦0.25 …(1)
[ただし、式(1)において、
R=Q小/(Q大+Q小)
R:ガス流量比
Q小:ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
Q大:ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
0.1≦R≦0.25 …(1)
[ただし、式(1)において、
R=Q小/(Q大+Q小)
R:ガス流量比
Q小:ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
Q大:ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
造塊(鋳込み)は、一般的に行われている方法を採用することができ、例えば後述する実施例に示す通り、溶鋼を鋳型に注入管を介して下方から装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法等を採用することができる。
Cは、鍛造品の強度向上に寄与する元素であり、十分な強度を確保するには、0.2%(「質量%」の意味。化学成分について以下同じ)以上含有させることが好ましい。C量は、より好ましくは0.25%以上、更に好ましくは0.30%以上である。しかしC量が多過ぎると鍛造品の靭性を劣化させるので、0.6%以下とすることが好ましい。C量は、より好ましくは0.55%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
Siは、鍛造品の強度を向上する元素として作用し、充分な強度を確保するために、0.05%以上含有させることが好ましい。Si量は、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.15%以上である。しかしSi量が多過ぎると逆V偏析が著しくなって清浄な鋼塊が得られ難くなるので、0.50%以下とすることが好ましい。Si量は、より好ましくは0.45%以下、更に好ましくは0.40%以下である。
Mnは、焼入れ性を高めると共に強度向上に寄与する元素であり、充分な焼入れ性と強度を確保するには、Mn量を0.20%以上とすることが好ましい。Mn量は、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上である。しかしMn量が多過ぎると逆V偏析を助長するので、1.5%以下とすることが好ましい。Mn量は、より好ましくは1.2%以下、更に好ましくは1.1%以下である。
Niは、靭性向上元素として有用な元素であり、Ni量を0.10%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.2%以上である。しかし、Ni量が過剰になるとコストアップとなるので、3.50%以下とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以下である。
Crは、焼入れ性を高めると共に靭性を向上させるために有効な元素であり、それらの作用は好ましくは0.9%以上含有させることによって発揮される。Cr量は、より好ましくは1.1%以上、更に好ましくは1.3%以上である。しかし多過ぎると、逆V偏析を助長して高清浄鋼の製造を困難にするので、Cr量は4%以下とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以下である。
Moは、焼入れ性、強度、靭性の全てを向上させるのに有効に作用する元素であり、それらの作用を発揮させるにはMoを0.10%以上含有させることが好ましい。Mo量は、より好ましくは0.20%以上、更に好ましくは0.25%以上である。しかし、Moは平衡分配係数が小さく、ミクロ偏析(正常偏析)を生じ易くするので、Mn量は0.70%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.60%以下である。
Vは、析出強化及び組織微細化効果があり、高強度化に有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、Vを0.01%以上含有させることが推奨される。但し、過剰に含有させても上記効果は飽和してしまい経済的に無駄であるので、V量は0.20%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.15%以下である。
Alは、製鋼工程における脱酸元素として有効に作用し、また鋼の耐割れ性にも有効に作用する。従って、Alは0.005%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.010%以上である。しかし、Al量が多くなると、介在物としてAl2O3が生成し、この介在物が凝固時に偏析・凝集して粗大な介在物を生成し、鍛造品の疲労特性が悪化する。従ってAl量の上限は0.10%とすることが好ましい。より好ましくは0.08%以下である。
Sは、不可避的に含まれる元素であり、凝固時の偏析によって、介在物として粗大な硫化物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させる元素である。従ってS量は、0.008%以下とすることが好ましい。S量は、より好ましくは0.006%以下、更に好ましくは0.004%以下である。
Tiは、TiNやTiC、Ti4C2S2のような微細介在物を形成して鋼中に分散し、固溶限を超えた鋼中の余剰水素を吸蔵捕捉することにより、鋼の耐水素割れ性を改善する元素である。この様な観点からTiを0.0002%以上含有させてもよい。しかしTi量が過剰になると、介在物として粗大な窒化物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させてしまう。従って、Ti量は0.005%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.004%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
O(酸素)は、SiO2、Al2O3、MgO、CaO等の酸化物系介在物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させる元素である。従ってTotal O(トータル酸素)量は極力低減することが好ましく、0.0025%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0015%以下、更に好ましくは0.0010%以下である。
ガス撹拌時間は、二次精錬トータルで200〜600分とした。
新鍋(ワーク煉瓦施工後)
取鍋内径=2858mm(パーマ煉瓦全て露出した場合は取鍋内径=3318mm)
No.1ポーラス
位置は中心から900mm
d=900×2=1800mm
d/D=0.54〜0.63
No.2ポーラス
位置は中心から680mm
d=680×2=1360mm
d/D=0.40〜0.48
電極PCD;A=350mm
1.5A=525<d
取鍋耐火物
スラグライン:MgO−C系
壁:MgO−C系
底部(敷部):Al2O3−MgO系
蓋脱ガス装置(VD)を使用して脱ガス処理を行った。撹拌動力は、当業者常法により、底吹きガス流量Qg(NL/min・t)で制御した。また、脱ガス処理後のスラグ組成における塩基度(スラグ塩基度、C/S)が表2の通りとなるように、当業者常法(例えば、特開2007−231410号公報に開示)の通り、フラックスを添加する等してスラグの成分組成を調整した。
上記処理後は下注ぎ造塊処理を行って鋳塊を製造した。その後、約1300℃まで加熱し熱間鍛造を施して、断面直径150〜700mmの鍛造品に仕上げた。
得られた鍛造品の上部相当位置(全長を100%としたときの底面からの距離が70〜100%の範囲内の位置、鋼材上部)と、底部相当位置(全長を100%としたときの底面からの距離が0〜20%の範囲内の位置、鋼材底部)の、軸中心に垂直な断面(それぞれの位置において切り捨てた端材の切断面)において、軸中心から半径(R)方向に向かってR/3位置から小片をそれぞれ切り出し、研磨後、EPMAによる介在物の組成分析(観察視野サイズは100mm2、視野数は1視野/部位)を行った(EPMA装置および測定条件は下記の通りである)。
メーカー:日本電子株式会社
型番:JXA−8900RL
加速電圧:15kV
ビーム電流:1.7×10-9A
ビーム径:1μm
得られた鍛造品(丸棒)の鋼材上部のR/3部、および鋼材底部のR/3部から、φ6mm×ゲージ長さ30mmの引張試験片(試験片の長手方向は、鍛造品の軸方向から45度傾斜)を各部位1本ずつ採取し、常温にて引張試験(JIS Z 2204、2241)を実施した。
得られた鍛造品(丸棒)の鋼材上部のR/3部位置、および鋼材底部のR/3部位置から、下記の試験片をそれぞれ採取し、下記の条件にて疲労試験を実施した。
試験片:直径10mm平滑試験片
(試験片の長手方向は、鍛造品の軸方向から45度傾斜)
試験方法:回転曲げ疲労試験(応力比=−1,回転数:3600rpm)
疲労強度評価方法:階差法
階差応力:20MPa
試験片本数:各5本
各試験片の疲労強度=(破断応力)−(階差応力)
そして、疲労限度の指標として、耐久限度比(疲労強度σw/引張強度σB)を求めた。
Claims (1)
- 転炉または電気炉から出鋼された溶鋼に対し、ガス撹拌による取鍋精錬を行い、次いで脱ガス処理を行う工程を含む鍛造用鋼の製造方法において、
前記ガス撹拌による取鍋精錬は、
取鍋の底部に設けられた2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込みながら行うものであって、
一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設け、
2つの底吹き用プラグの各ガス流量が下記式(1)を満たすようにすると共に、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minとし、かつ、
前記脱ガス処理後のスラグ組成が、3.5≦CaO/SiO2(質量比)≦20を満たすようにスラグの成分調整を行うことを特徴とする鍛造用鋼の製造方法。
0.1≦R≦0.25 …(1)
[ただし、式(1)において、
R=Q小/(Q大+Q小)
R:ガス流量比
Q小:ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
Q大:ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
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