JP2013142181A - 鍛造用鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疲労特性(具体的には耐久限度比)のバラツキが確実に抑制された鍛造用鋼を製造する方法を実現する。
【解決手段】ガス撹拌による取鍋精錬を、取鍋の底部に設けられた2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込みながら行うようにし、かつ、一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設け、2つの底吹き用プラグの各ガス流量が規定の式を満たすようにすると共に、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minとし、かつ、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、3.5≦CaO/SiO2(質量比)≦20を満たすようにスラグの成分調整を行うようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、船舶用部品や発電部品などの鍛造品の製造に用いられる鍛造用鋼の製造方法に関するものであり、特には、高い疲労特性が要求される鍛造品の製造に有用な鍛造用鋼を製造するための方法に関するものである。
過酷な使用環境下でも疲労破壊の生じ難い、優れた疲労特性を発揮する鍛造用鋼を得るにあたっては、近年問題となっている介在物欠陥による疲労強度の低下を抑制すべく、鋼中介在物の組成や形態を制御して粗大な介在物の形成を防止することが行われている。
本出願人も、介在物の組成や形態の制御を溶鋼処理工程で行う方法として、例えば特許文献1に、取鍋精錬時のガス撹拌の時間や静止状態でのスラグ厚を調整すると共に、スラグ中のMgO量とガス撹拌の時間が所定の式を満たすようにし、かつ、真空脱ガス精錬における溶鋼の還流時間と溶鋼還流量を制御することによって、高清浄アルミキルド鋼が得られる旨提案している。
更に本出願人は、特許文献2や特許文献3において、2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込むことによって精錬を行うに際し、各底吹き用プラグの流量や合計の流量を適正化することによって、介在物を低減でき、高清浄度鋼が得られることを提案している。
特開2010−189691号公報 特開2011−214084号公報 特開2011−214083号公報
上記特許文献1は、曲げ性に優れた鋼板に関するものであり、優れた疲労特性を確保するには、疲労特性に特に影響を及ぼす介在物を制御する必要があると考えられる。
また上記特許文献2および3では、介在物の低減した溶鋼を安定して得ることを提案しているが、特に過酷な使用環境下でも疲労破壊の生じ難いより優れた疲労特性が要求される機械部品に用いることを対象とした場合、該機械部品に用いられる鍛造用鋼には、部位による疲労特性のバラツキが抑制されていること、具体的には半径方向のみならず高さ方向においてもバラツキが抑制されていることが求められる。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、疲労特性(具体的には耐久限度比)のバラツキが半径方向のみならず高さ方向においても抑制されて、従来の鍛造用鋼よりも優れた疲労特性を発揮する、鍛造用鋼を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の鍛造用鋼の製造方法は、転炉または電気炉から出鋼された溶鋼に対し、ガス撹拌による取鍋精錬を行い、次いで脱ガス処理を行う工程を含む鍛造用鋼の製造方法において、前記ガス撹拌による取鍋精錬は、取鍋の底部に設けられた2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込みながら行うものであって、一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設け、2つの底吹き用プラグの各ガス流量が下記式(1)を満たすようにすると共に、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minとし、かつ、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、3.5≦CaO/SiO2(質量比)≦20を満たすようにスラグの成分調整を行うところに特徴を有する。
0.1≦R≦0.25 …(1)
[ただし、式(1)において、
R=Q/(Q+Q
R:ガス流量比
:ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
:ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
本発明によれば、溶鋼処理における条件を制御することによって、介在物の凝集・粗大化が抑制されて、疲労特性のバラツキが小さい鍛造用鋼を得ることができる。特に本発明では、鍛造用鋼(鋼塊)の半径方向のバラツキが抑制されていると共に、高さ方向のバラツキも抑制された鍛造用鋼を確実に得ることができる。
図1は、実施例で用いた取鍋の平面図である。
本発明者らは、疲労特性(具体的には耐久限度比)のバラツキが半径方向のみならず高さ方向においても抑制された鍛造用鋼を製造する方法について鋭意検討を重ねてきた。その結果、(溶解・一次精錬)→(溶鋼処理)→(造塊)して鍛造用鋼を製造するにあたり、特に、溶鋼処理時に底吹き撹拌方法を採用してそのガス撹拌条件を制御すると共に、脱ガス処理後のスラグ組成を制御すれば、介在物の凝集・粗大化が抑制され、結果として上記バラツキの抑制された鍛造用鋼が得られることを見出し、本発明に想到した。
以下、溶鋼処理時の条件について詳述する。尚、溶鋼処理前に行う上記溶解・一次精錬は、常法に従い高周波溶解炉や電気炉、転炉などを用いて行うことができる。
まず本発明では、2つの底吹き用プラグ(ポーラスプラグ)が底部に設けられた取鍋を用い、この2つの底吹き用プラグから不活性ガス(例えばArガス)を吹き込みながら取鍋精錬を行うことによって、溶鋼の撹拌を効率良く行う。
また本発明では、一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設けると共に、2つの底吹き用プラグの各ガス流量が下記式(1)を満たすように調整する。
詳細には、二つの底吹き用プラグからの不活性ガス流量のうち、大きい方のガス流量をQ(N(Normalの意味。以下、ガス流量について同じ)L/min)、小さい方のガス流量をQ(NL/min)とし、「Q/(Q+Q)」を、吹き込む「ガス流量比(R)」と定義したときに、このガス流量比が0.1〜0.25の範囲内となるようにする。
0.1≦R≦0.25 …(1)
[ただし、式(1)において、
R=Q/(Q+Q
R:ガス流量比
:ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
:ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
上記ガス流量比が0.1よりも小さく(例えば、Q=100NL/min、Q=10NL/minの場合)、例えば小さい方のガス流量が10NL/min以下になると、ノズルから不活性ガスが排出できずノズルが詰まる等、実質的に操業困難となる。また仮に不活性ガスを流すことができたとしても、ガス流量が少ないと流量比0の場合(即ち、底吹き用プラグが一つのみの場合)と効果が変わらない。よって、上記ガス流量比は0.1以上とする。好ましくは0.15以上である。一方、上記ガス流量比が0.25を超えると、溶鋼の清浄度が悪化するため好ましくない。上記ガス流量比は好ましくは0.2以下である。
また、上記ガス流量の合計が溶鋼の撹拌状態に影響を及ぼすため、本発明では、上記ガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minと規定する。上記ガス流量の合計が、溶鋼1ton当たり0.8NL/min未満であると、溶鋼の撹拌力が小さすぎるため、溶鋼中の介在物の凝集や浮上分離を撹拌により促進させることができず、溶鋼の清浄度を向上させることができない。上記ガス流量の合計は、好ましくは溶鋼1ton当たり1.0NL/min以上である。一方、上記ガス流量の合計が溶鋼1ton当たり1.8NL/minよりも大きいと、溶鋼の撹拌力が大きくなりすぎて、多量のスラグが溶鋼内に巻き込まれたり、溶鋼の浴面が大気に触れる状態になり、溶鋼の清浄度が低下するため好ましくない。上記ガス流量の合計は、好ましくは1.6NL/min以下である。
尚、本発明では、取鍋精錬に、上記2つの底吹き用プラグが底部に設けられた取鍋を用いればよく、上記プラグの設置位置については特に問わない。例えば、上述した特許文献2等に示された、2つの底吹き用プラグが底部に設けられた取鍋を使用することができる。
取鍋精錬のその他の条件は、当業者が行っている常法を採用することができ、取鍋内の溶鋼を撹拌しながら温度や主成分を調整すると共に、脱酸剤等を溶鋼に添加して、脱酸(所望の介在物組成とするにあたっては、Alを添加して脱酸を行い、Alキルド鋼とすることが推奨される)、脱硫等の処理を行えばよい。
また上記取鍋精錬後に行う脱ガス処理は、当業者常法により、例えば蓋脱ガス装置(VD)で行うことができる。本発明では、脱ガス処理後のスラグ組成において、CaO/SiO2(質量比)(即ち、スラグ塩基度)が、3.5以上20以下を満たすようにスラグの成分調整を行う必要がある。
上記CaO/SiO2が3.5よりも小さいと、高SiO2のため再酸化が起こりやすく、またスラグが巻き込まれやすくなる。よって上記CaO/SiO2は3.5以上とする。好ましくは5.0以上である。一方、上記CaO/SiO2が20よりも大きいと、スラグが巻き込まれにくい状態となり、溶鋼中の酸化物組成制御がかえって困難となる。よって上記CaO/SiO2は20以下とする。好ましくは10以下である。
上記スラグ組成の調整は、上記スラグ塩基度の範囲内にできる方法であれば特に問わず、例えば副原料(フラックス、石灰石等)の投入量を調整して行うことができる。
本発明は、上記の通り、転炉または電気炉から出鋼された溶鋼に対し、上述した条件を満たすように、ガス撹拌による取鍋精錬を行い、次いで脱ガス処理を行う工程を含んでいればよく、例えば上記脱ガス処理後、更に、2度目の取鍋精錬(二次精錬)を行って、巻き込んだスラグおよび脱酸生成物の浮上分離を更に促進させてもよい。
[造塊]
造塊(鋳込み)は、一般的に行われている方法を採用することができ、例えば後述する実施例に示す通り、溶鋼を鋳型に注入管を介して下方から装入することにより鋳塊を製造する下注ぎ造塊方法等を採用することができる。
以上で説明した方法を採用することにより、介在物が下記の通り制御されて、疲労特性のバラツキが部位に関係なく小さい鋼塊(鍛造用鋼)が得られる。
即ち、鋼中に含まれる酸化物のうち、粗大なCaO、CaS系介在物の割合が小さく、比較的小さいCaO−Al23系介在物の存在比率が高くなる、具体的には、CaO含有量が5質量%以上45質量%以下である酸化物系介在物(EPMAによって検出される5μm以上の介在物)数の割合が、全介在物(EPMAによって検出される5μm以上の介在物)数に対して5%以上(好ましくは7.5%以上)であり、優れた疲労特性を発揮するものが得られる。上記CaO含有介在物が5%以上存在していれば効果が発揮され、存在比率は高い方が望ましいが、製造上では実質約30%以下である。尚、本発明の鍛造用鋼において存在するその他の介在物は、主にMgO−Al23、およびMnSである。
本発明は、上記方法で製造することにより、粗大な介在物が抑制されて、疲労特性の高い、特には部位による疲労特性のバラツキが抑制された鍛造用鋼が得られる点に特徴を有しており、用いる鋼材の成分組成までは特に限定されないが、最終的に得られる鍛造品に要求される強度や靭性等を確保するにあたっては、溶製段階において、得られる鍛造用鋼(鍛造品)が下記の化学成分組成を満たすようにすることが好ましい。
[C:0.2〜0.6%]
Cは、鍛造品の強度向上に寄与する元素であり、十分な強度を確保するには、0.2%(「質量%」の意味。化学成分について以下同じ)以上含有させることが好ましい。C量は、より好ましくは0.25%以上、更に好ましくは0.30%以上である。しかしC量が多過ぎると鍛造品の靭性を劣化させるので、0.6%以下とすることが好ましい。C量は、より好ましくは0.55%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
[Si:0.05〜0.50%]
Siは、鍛造品の強度を向上する元素として作用し、充分な強度を確保するために、0.05%以上含有させることが好ましい。Si量は、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.15%以上である。しかしSi量が多過ぎると逆V偏析が著しくなって清浄な鋼塊が得られ難くなるので、0.50%以下とすることが好ましい。Si量は、より好ましくは0.45%以下、更に好ましくは0.40%以下である。
[Mn:0.20〜1.5%]
Mnは、焼入れ性を高めると共に強度向上に寄与する元素であり、充分な焼入れ性と強度を確保するには、Mn量を0.20%以上とすることが好ましい。Mn量は、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上である。しかしMn量が多過ぎると逆V偏析を助長するので、1.5%以下とすることが好ましい。Mn量は、より好ましくは1.2%以下、更に好ましくは1.1%以下である。
[Ni:0.10〜3.50%]
Niは、靭性向上元素として有用な元素であり、Ni量を0.10%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.2%以上である。しかし、Ni量が過剰になるとコストアップとなるので、3.50%以下とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以下である。
[Cr:0.9〜4%]
Crは、焼入れ性を高めると共に靭性を向上させるために有効な元素であり、それらの作用は好ましくは0.9%以上含有させることによって発揮される。Cr量は、より好ましくは1.1%以上、更に好ましくは1.3%以上である。しかし多過ぎると、逆V偏析を助長して高清浄鋼の製造を困難にするので、Cr量は4%以下とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以下である。
[Mo:0.10〜0.70%]
Moは、焼入れ性、強度、靭性の全てを向上させるのに有効に作用する元素であり、それらの作用を発揮させるにはMoを0.10%以上含有させることが好ましい。Mo量は、より好ましくは0.20%以上、更に好ましくは0.25%以上である。しかし、Moは平衡分配係数が小さく、ミクロ偏析(正常偏析)を生じ易くするので、Mn量は0.70%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.60%以下である。
[V:0.01〜0.20%]
Vは、析出強化及び組織微細化効果があり、高強度化に有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、Vを0.01%以上含有させることが推奨される。但し、過剰に含有させても上記効果は飽和してしまい経済的に無駄であるので、V量は0.20%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.15%以下である。
[Al:0.005〜0.10%]
Alは、製鋼工程における脱酸元素として有効に作用し、また鋼の耐割れ性にも有効に作用する。従って、Alは0.005%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.010%以上である。しかし、Al量が多くなると、介在物としてAl23が生成し、この介在物が凝固時に偏析・凝集して粗大な介在物を生成し、鍛造品の疲労特性が悪化する。従ってAl量の上限は0.10%とすることが好ましい。より好ましくは0.08%以下である。
[S:0.008%以下(0%を含まない)]
Sは、不可避的に含まれる元素であり、凝固時の偏析によって、介在物として粗大な硫化物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させる元素である。従ってS量は、0.008%以下とすることが好ましい。S量は、より好ましくは0.006%以下、更に好ましくは0.004%以下である。
[Ti:0.005%以下(0%を含まない)]
Tiは、TiNやTiC、Ti422のような微細介在物を形成して鋼中に分散し、固溶限を超えた鋼中の余剰水素を吸蔵捕捉することにより、鋼の耐水素割れ性を改善する元素である。この様な観点からTiを0.0002%以上含有させてもよい。しかしTi量が過剰になると、介在物として粗大な窒化物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させてしまう。従って、Ti量は0.005%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.004%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
[Total O:0.0025%以下(0%を含まない)]
O(酸素)は、SiO2、Al23、MgO、CaO等の酸化物系介在物を形成し、鍛造品の疲労強度を低下させる元素である。従ってTotal O(トータル酸素)量は極力低減することが好ましく、0.0025%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0015%以下、更に好ましくは0.0010%以下である。
鋼の推奨される成分組成は上記の通りであり、残部は鉄及び不可避不純物からなる。該不可避不純物として、例えばMg等が挙げられる。Mgの場合、15ppm以下の範囲で含むことも許容される。
また、本発明の作用効果に悪影響を与えない範囲で更に他の元素を積極的に含有させることも可能である。積極添加が許容される他の元素の例としては、焼入れ性改善効果を有するB(ホウ素)や、固溶強化元素または析出強化元素であるW,Nb,Ta,Cu,Ce,Zr,Teなどが挙げられ、それらは単独であるいは2種以上を複合添加できる。これらの添加元素は、例えば、合計量で0.1%程度以下とすることが望ましい。
上記方法で得られた鍛造用鋼を用い、例えば、加熱して熱間鍛造を施し、断面直径150〜700mmの鍛造品に仕上げることが挙げられる。この様にして得られる鍛造品は、機械、船舶、発電機等の産業分野で広く有効に活用されるものであり、高い疲労強度が要求される部品に適している。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。即ち、下記実施例では、2つの底吹き用プラグの位置が図1の通りである取鍋を用いているが、2つの底吹き用プラグを有する取鍋はこれに限定されるものでない。
本実施例では、表1に示す鋼種について取鍋精錬を行った。電気炉を用いてスクラップを溶解し、当業者常法により一次精錬を行った。そして20〜100トンの溶鋼を、下記詳細および図1に示す通り、底部に2つの底吹き用プラグが設けられた取鍋(容量:100tonクラス)に移湯した。そして、上記2つの底吹き用プラグから、Arガス(不活性ガス)を吹き込み、表2に示す通り各プラグのガス流量を変化させて、取鍋精錬を行った。
この溶鋼処理における撹拌動力は、当業者常法により、底吹きガス流量Qg(即ち、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計に相当。以下同じ。単位:NL/min・t)で制御した。
ガス撹拌時間は、二次精錬トータルで200〜600分とした。
(取鍋の詳細)
新鍋(ワーク煉瓦施工後)
取鍋内径=2858mm(パーマ煉瓦全て露出した場合は取鍋内径=3318mm)
No.1ポーラス
位置は中心から900mm
d=900×2=1800mm
d/D=0.54〜0.63
No.2ポーラス
位置は中心から680mm
d=680×2=1360mm
d/D=0.40〜0.48
電極PCD;A=350mm
1.5A=525<d
取鍋耐火物
スラグライン:MgO−C系
壁:MgO−C系
底部(敷部):Al23−MgO系
本実施例においては、No.1ポーラスのガス流量を大(Q)とし、No.2ポーラスのガス流量を小(Q)とした(尚、No.1ポーラスとNo.2ポーラスの流量を逆にした場合、即ち、No.2ポーラスのガス流量を大(Q)とし、No.1ポーラスのガス流量を小(Q)とした場合も、同等の効果が得られることを確認済みである)。また、底吹きのノズルが単数である場合(実験No.13〜16)は、No.1ポーラスのみ使用し、表2において「Q=0」かつ「ガス流量比R=0」とした。
(脱ガス処理)
蓋脱ガス装置(VD)を使用して脱ガス処理を行った。撹拌動力は、当業者常法により、底吹きガス流量Qg(NL/min・t)で制御した。また、脱ガス処理後のスラグ組成における塩基度(スラグ塩基度、C/S)が表2の通りとなるように、当業者常法(例えば、特開2007−231410号公報に開示)の通り、フラックスを添加する等してスラグの成分組成を調整した。
(造塊)
上記処理後は下注ぎ造塊処理を行って鋳塊を製造した。その後、約1300℃まで加熱し熱間鍛造を施して、断面直径150〜700mmの鍛造品に仕上げた。
この様にして得られた鍛造品を用い、下記の介在物の形態や疲労特性を評価した。
(介在物の組成および個数の評価)
得られた鍛造品の上部相当位置(全長を100%としたときの底面からの距離が70〜100%の範囲内の位置、鋼材上部)と、底部相当位置(全長を100%としたときの底面からの距離が0〜20%の範囲内の位置、鋼材底部)の、軸中心に垂直な断面(それぞれの位置において切り捨てた端材の切断面)において、軸中心から半径(R)方向に向かってR/3位置から小片をそれぞれ切り出し、研磨後、EPMAによる介在物の組成分析(観察視野サイズは100mm2、視野数は1視野/部位)を行った(EPMA装置および測定条件は下記の通りである)。
そして全視野において、介在物長径が5μm以上の、介在物の全数およびCaO含有量が5質量%以上45質量%以下である酸化物系介在物の個数を求め、鋼断面において観察される全介在物数(但し、介在物長径が5μm以上)に占める、CaO含有量が5質量%以上45質量%以下である酸化物系介在物数の割合(%)を求めた。その結果を表2に示す。表2において、上記割合が5%以上の場合を「○」と評価した。また、上記割合が5%未満の場合を「×」と評価した。
(EPMA装置および測定条件について)
メーカー:日本電子株式会社
型番:JXA−8900RL
加速電圧:15kV
ビーム電流:1.7×10-9
ビーム径:1μm
尚、酸化物と、酸素以外の非金属元素(例えば、N、S等)を含む複合介在物については、上記EPMAで酸化物系介在物を20質量%以上含有するものを、酸化物系介在物と認定した。
(引張強度の測定)
得られた鍛造品(丸棒)の鋼材上部のR/3部、および鋼材底部のR/3部から、φ6mm×ゲージ長さ30mmの引張試験片(試験片の長手方向は、鍛造品の軸方向から45度傾斜)を各部位1本ずつ採取し、常温にて引張試験(JIS Z 2204、2241)を実施した。
(疲労特性の評価)
得られた鍛造品(丸棒)の鋼材上部のR/3部位置、および鋼材底部のR/3部位置から、下記の試験片をそれぞれ採取し、下記の条件にて疲労試験を実施した。
〔疲労試験の条件〕
試験片:直径10mm平滑試験片
(試験片の長手方向は、鍛造品の軸方向から45度傾斜)
試験方法:回転曲げ疲労試験(応力比=−1,回転数:3600rpm)
疲労強度評価方法:階差法
階差応力:20MPa
試験片本数:各5本
各試験片の疲労強度=(破断応力)−(階差応力)
そして、疲労限度の指標として、耐久限度比(疲労強度σ/引張強度σ)を求めた。
この疲労試験を5本の試験片で行って、まず、鋼材上部のR/3部位置における耐久限度比の平均値を求め、更に、5本の試験片における耐久限度比の前記平均値と最小値との差を求めて、半径方向の疲労特性のバラツキを評価した。この結果を表2に示す。表2において、前記平均値と最小値との差が0.025以下の場合を「○」(バラツキが小さい。特に半径方向のバラツキが小さい)と評価し、0.025超の場合を「×」と評価した。
また、5本の試験片を用いて求めた鋼材上部のR/3部位置における耐久限度比の平均値「ETOP」と、5本の試験片を用いて求めた鋼材下部のR/3部位置における耐久限度比の平均値「EBOT」の比(ETOP/EBOT)を求めた。この結果を表2に示す。表2において、ETOP/EBOTが0.90以上1.07以下の場合を「○」(バラツキが小さい。特に高さ方向のバラツキが小さい)と評価し、0.90未満または1.07超の場合を「×」と評価した。
表2より次のように考察することができる。即ち、実験No.1〜8は、取鍋精錬におけるガス撹拌条件を規定の通りとすると共に、脱ガス処理後のスラグ組成を規定範囲内に制御していることから、所望の介在物組成が得られて、疲労特性のバラツキが部位によらず抑制されていることがわかる。これに対し実験No.9〜20は、取鍋精錬におけるガス撹拌条件、脱ガス処理後のスラグ組成の少なくともいずれかが規定範囲外であるため、所望の介在物組成が得られず、結果として疲労特性のバラツキが、半径方向、高さ方向の少なくともいずれかで生じた。
詳細には、実験No.9および11は、スラグ塩基度が規定範囲を下回っているため、また実験No.10および12は、スラグ塩基度が規定範囲を上回っているため、いずれも所望の介在物を確保できず、疲労特性のバラツキが生じた。
実験No.13〜16は、不活性ガスの吹き込みを1箇所のみから行い(取鍋精錬におけるガス流量比Rがゼロであり)、また実験No.13は、更にスラグ塩基度が規定範囲を下回っているため、所望の介在物を確保できず、疲労特性のバラツキが生じた。
実験No.17は、ガス流量比Rが高く、かつスラグ塩基度が低いため、また、実験No.18および19は、取鍋精錬におけるガス流量比Rが高く、かつスラグ塩基度が規定範囲を上回っているため、いずれも所望の介在物を確保できず、疲労特性のバラツキが生じた。
実験No.20は、ガス流量比Rが高いため、所望の介在物を確保できず、疲労特性のバラツキが生じた。

Claims (1)

  1. 転炉または電気炉から出鋼された溶鋼に対し、ガス撹拌による取鍋精錬を行い、次いで脱ガス処理を行う工程を含む鍛造用鋼の製造方法において、
    前記ガス撹拌による取鍋精錬は、
    取鍋の底部に設けられた2つの底吹き用プラグから不活性ガスを吹き込みながら行うものであって、
    一方の底吹き用プラグのガス流量と他方の底吹き用プラグのガス流量に差を設け、
    2つの底吹き用プラグの各ガス流量が下記式(1)を満たすようにすると共に、2つの底吹き用プラグのガス流量の合計を、溶鋼1ton当たり0.8〜1.8NL/minとし、かつ、
    前記脱ガス処理後のスラグ組成が、3.5≦CaO/SiO2(質量比)≦20を満たすようにスラグの成分調整を行うことを特徴とする鍛造用鋼の製造方法。
    0.1≦R≦0.25 …(1)
    [ただし、式(1)において、
    R=Q/(Q+Q
    R:ガス流量比
    :ガス流量が小さい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)
    :ガス流量が大きい底吹き用プラグのガス流量(NL/min)を示す。]
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