JP2009007598A - 一体型クランク軸 - Google Patents

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Abstract

【課題】疲労特性および耐水素割れ性に優れた一体型クランク軸を提供する。
【解決手段】鍛造用鋼塊を熱間鍛造することにより製造される一体型クランク軸であって、前記鍛造用鋼塊は、鋳型により形成され、鋼塊下部において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DBOT)が、10〜80個/cmであり、鋼塊上部において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DTOP)が、20〜90個/cmであり、鋼断面において観察される長径40μm以上の介在物の密度が、鋼塊下部、鋼塊上部の双方において5個/cm以下であり、かつ(DTOP)/(DBOT)≧[S]/18を満たす。
【選択図】図8

Description

本発明は、鍛造用鋼塊から製造される一体型クランク軸に関するものである。本発明の一体型クランク軸は、機械、船舶、発電器等の産業分野で広く有効に活用されるものであり、特に回転運動部品のように高い疲労強度が要求される部品に適している。
特許文献1には、船舶のクランク軸の耐水素割れ性を向上させるため、鋼中に含まれる最大弦長が1μm以上の介在物の円形度の平均値(以下、平均円形度という。)が0.5以上、最大弦長が20μm以上の介在物の個数が100mmあたり40個未満で、その平均円形度が0.25以上、および最大弦長が1〜10μmの介在物の個数が100mmあたり100個以上とする鍛造用鋼が記載されている。
特許文献2には、クランクシャフトの被削性及び耐摩耗性を向上させる目的で、C:0.62〜0.80%、Si:0.60%以下、Mn:0.30〜1.80%、S:0.04〜0.35%、Cr:0.05〜0.50%、Al:0.005%未満、O:0.0020%以下、残部Fe及び不可避不純物からなり、熱間鍛造後の組織が初析フェライト分率3%以下のパーライト主体であり、且つ厚み20μm以下の硫化物系介在物を含有する鋼材が記載されている。
特開2006−336092号公報 特開2002−194502号公報
船舶用の部品において、近年特に問題となるのは、水素性の欠陥による水素割れと、介在物欠陥による疲労強度の低下である。しかしながら、上記従来の技術では、被削性及び耐摩耗性には優れていても、過酷な使用環境下でも破壊し難い十分な疲労特性、及び十分な耐水素割れ性を有する鍛造用の鋼塊を製造するには至っていない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、疲労特性及び耐水素割れ性の双方に優れた一体型クランク軸を提供することを目的とする。
水素割れを防止するためには、通常は鋼材中の水素を捕捉するMnS系介在物を鋼材中に分布させる。しかし、MnS系の介在物は、耐水素割れ性を向上する一方で、鋼材の疲労強度を低下させてしまう。したがって、このようなトレードオフの関係にある耐水素割れ性と、疲労強度の双方を同時に向上させることは非常に難しい。
このような状況下、本発明者らは、水素割れの原因となる鋼中の水素濃度が、一つの鋼塊の中でも、鋼塊下部よりも鋼塊上部において高いことを見出した。更に研究を進めたところ、鋼塊上部・下部における介在物密度の比と、介在物の形成に関連が深いS(硫黄)の濃度とが一定の関係を満たすとき、鋼塊の疲労強度を低下させることなく、鍛造用鋼塊の水素割れを防止できることを突き止め、本発明を完成させた。
上記目的を達成し得た本発明の一体型クランク軸は、
鍛造用鋼塊を熱間鍛造することにより製造される一体型クランク軸であって、前記鍛造用鋼塊は、鋳型により形成され、鋼塊下部(重力方向の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位)において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DBOT)が、10〜80個/cmであり、鋼塊上部(前記鋼塊下部の反対側の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位)において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DTOP)が、20〜90個/cmであり、鋼断面において観察される長径40μm以上の介在物の密度が、前記鋼塊下部、前記鋼塊上部の双方において5個/cm以下であり、かつ下記(1)式を満たすものを用いる。
但し、[S]は、鋼中のSの含有量(質量ppm)を示す。
上記一体型クランク軸は、
C:0.2〜0.6%(質量%の意味。以下、同じ。)
Si:0.05〜0.5%
Mn:0.2〜1.2%
Ni:0.1〜3.5%
Cr:0.9〜2.5%
Mo:0.1〜0.7%
V:0.005〜0.2%
Al:0.01〜0.1%
S:0.005%以下(0%を含まない)
Ti:0.005%以下(0%を含まない)
O:0.0015%以下(0%を含まない)
を含み、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鍛造用鋼塊より製造されるものであることが推奨される。
本発明によれば、鋼塊下部における微小介在物の密度と、鋼塊上部における微小介在物の密度と、鋼塊下部・鋼塊上部における粗大介在物の密度を調整し、かつ鋼塊上部・下部における介在物密度の比と、鋼中のS濃度とが一定の関係を満たすことにより、疲労特性及び耐水素割れ性に優れた鍛造用鋼塊を製造することができる。そして、この鍛造用鋼塊を熱間鍛造することにより疲労特性及び耐水素割れ性に優れた一体型クランク軸を製造することができる。
例えば、現状のクランク軸には、1シリンダー当たり2000kWの出力に対応する負荷が想定されているが、今後の大型船舶用のクランク軸等では、燃費向上を目的としたエンジンの小型化、軽量化の要望に応えるため、これに耐える疲労特性を備える必要がある。そのためにはクランク軸のサイズに関わらず耐久限度比(疲労強度/引張強度)が0.45以上必要であるが、本発明により、この要件を満たすクランク軸を提供することができる。
造塊法により製造される鋼塊は、図1に示すように、沈殿晶帯である鋼塊下部と、最終凝固部である鋼塊上部において介在物の密度が高くなる。したがって、鋼塊下部や鋼塊上部では、鋼塊の耐水素割れ性や疲労特性が顕著に反映される部分であり、鋼塊の特性を特定する部位として適している。
なお、本発明においては、図2に示すように、
鋼塊下部:鋼塊の重力方向の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位
鋼塊上部:鋼塊下部の反対側の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位
とそれぞれ定義する。
(鋼塊下部の微小介在物の密度(DBOT):10〜80個/cm
上記のように、鋼中に微小な介在物を分散させることにより、耐水素割れ性を向上させることができるが、この効果を有効に発揮させるためには、鋼塊下部の鋼断面で観察される微小介在物(長径5〜10μm)を10個/cm以上(より好ましくは20個/cm以上、さらに好ましくは30個/cm以上)とする必要がある。一方、微小介在物といえども、多く含みすぎると、図3〜図5の走査型電子顕微鏡写真に示すように、介在物群を形成し、粗大介在物と同様に疲労破壊の起点となってしまう。したがって、鋼断面で観察される微小介在物は、80個/cm以下(より好ましくは70個/cm以下、さらに好ましくは60個/cm以下)とする必要がある。
なお実際には、5μm未満の介在物も耐水素割れ性を持つから、5μm未満の介在物も微小介在物としてカウントすることも考えられる。しかし、5μm未満の介在物は、5〜10μmの介在物とほぼ同様の分布特性を持つことから、5〜10μmの介在物の個数をカウントするだけでも、耐水素割れ性を判定するには十分である。よって、5μm未満の介在物をカウントの対象から外すことにより、追試の利便性を向上させた。
(鋼塊上部の微小介在物の密度(DTOP):20〜90個/cm
鋼塊上部では、鋼断面で観察される微小介在物(長径5〜10μm)を20個/cm以上(より好ましくは30個/cm以上、さらに好ましくは40個/cm以上)とする必要がある。また、上記のように、微小介在物といえども多く含みすぎると介在物群を形成し、粗大介在物と同様に疲労破壊の起点となってしまう。したがって、鋼断面で観察される微小介在物は、90個/cm以下(より好ましくは80個/cm以下、さらに好ましくは70個/cm以下)とする必要がある。
(粗大介在物の密度:5個/cm以下)
粗大介在物は、疲労破壊の起点となってしまうため、鋼塊上部および鋼塊下部の双方において、鋼断面で観察される粗大介在物(長径40μm以上)を5個/cm以下(より好ましくは4個/cm以下、さらに好ましくは3個/cm以下)とする必要がある。
( (DTOP)/(DBOT)≧[S]/18 )
本発明者らが鋼塊の水素濃度について調べたところ、図6に示すように、鋼塊下部よりも鋼塊上部において水素濃度が高いことを見出した。また、鋼塊上部での耐水素割れ性及び耐久限度比についても調査した。その結果を図7に示す。図7は、縦軸に(DTOP)/(DBOT)、横軸に[S]をとり、耐水素割れ性及び耐久限度比が所定の基準を満たしたものを(●)、満たさなかったものを(×)として、それぞれプロットしたものである。(●/×)の判定基準は、後述する表1〜3における「総合評価」の(●/×)の判定基準と同じである。
[S]は、鋼中のSの濃度(質量ppm)を示すものである。図7から、(DTOP)/(DBOT)=[S]/18で示される直線を境に、直線の上側に(●)のケース、下側に(×)のケースがそれぞれ出現していることがわかる。
図7では、鋼中のS濃度が高い領域では、(DTOP)/(DBOT)の値が高くなければ、即ち、鋼塊下部に比較して鋼塊上部の微小介在物濃度が高くなければ、鋼塊上部において水素割れが発生してしまうことを表している。しかし、注目すべきことに、鋼中のS濃度が低い領域では、(DTOP)/(DBOT)の値が高くなくとも、水素割れは発生していない。例えば、(DTOP)/(DBOT)の値が1を下回るような場合であっても水素割れは発生していない。
例えば、鋼中のS濃度が0.003%の場合、鋼塊中に許容される水素値は、1.5ppmであるのに対して、S濃度が0.001%になると、許容される水素値は、1.0ppmと非常に低い値となる。通常、1本の鋼塊から、1本のクランク軸を製造する場合、水素値の範囲は、0.5〜1.8ppm程度である。
後述するように、本発明者らは、水素値を1.2ppm以下に抑えるプロセスも可能としたため、S濃度を0.003%以下としても、水素割れを発生させずに鍛造用鋼塊を製造することが可能となった。これにより、S濃度を更に低減する余地が生まれた。
通常は、疲労特性を向上させようとしてS濃度を低くすると水素割れを起こしやすくなるが、図7からは、S濃度を低くしても(DTOP)/(DBOT)≧[S]/18という条件さえ満足すれば耐水素割れ性と疲労特性は保たれることになる。これにより、鋼塊の疲労特性と耐水素割れ性のバランスを従来よりも改善することができるものと考えられる。
(熱間鍛造)
上記造塊工程によって得られた鍛造用鋼塊は、その後、熱間鍛造によって丸棒等の中間製品の形状に成型される。成形後、成分や欠陥、清浄度等について中間検査を経た後、再度、熱間鍛造を行なうことによって、一体型クランク軸やジャーナル等の大型製品形状に成型される。引き続き、要求される製品特性に応じた熱処理を施した後、機械加工による仕上げをして最終製品とされる。
上記鍛造用鋼塊から、一体型クランク軸を製造するための具体的手順としては、次の様な工程が挙げられる。即ち、凝固が完了した鋼塊を鋳型から取り出し、熱間鍛造を行なうための準備として、好ましくは1150℃以上、より好ましくは1180℃以上、さらに好ましくは1200℃以上に加熱する。その後、鍛錬比3以上の熱間鍛造によって丸棒状若しくは段付け形状に加工する。この鋼塊鍛造に当たっては、内在欠陥圧縮のために、鋼塊高さ方向に圧縮した後に所定長さまで鍛伸しても良い。熱間鍛造の後、一体型クランク軸の形状に加工する。尚、一体型クランク軸の成形鍛造に当たっては、スロー部を1個ずつ成型しても良いし、全体を型入れすることによって、複数のスロー部を同時に成型しても良い。成型鍛造後には、仕上げ用の機械加工を施して所定寸法の一体型クランク軸とする。また、熱間鍛造によって段付き形状に加工したものを、機械加工することによって一体型クランク軸としても良い。また、一体型クランク軸の片端面部あるいは両端面部にフランジを有する構造としても良い。スロー部の数は、例えば3個以上12個以下とする。
(鋼塊の化学成分)
本発明は、以上説明したように、鋼材中に存在する介在物の大きさや密度を制御したところに特徴を有しており、鋼の基本組成は特に制限されないが、クランク軸として求められる強度や靭性、更には疲労特性を満足するには、鋼材の一般的技術水準に照らして下記基本組成を満たすことが望ましい。
(C:0.2〜0.6%)
Cは強度向上に寄与する元素であり、クランク軸に十分な強度を確保するには、例えば0.2%以上、より好ましくは0.25%以上、更に好ましくは0.3%以上含有させるのがよい。しかしC量が多過ぎるとクランク軸の靭性を劣化させるので、例えば0.6%以下、より好ましくは0.55%以下、更に好ましくは0.5%以下に抑える。
(Si:0.05〜0.5%)
Siは、強度向上元素として作用し、クランク軸に十分な強度を確保するには、例えば0.05%以上、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.15%以上含有させるのがよいが、多過ぎると逆V偏析が著しくなって清浄な鋼塊が得られ難くなるので、例えば0.5%以下、より好ましくは0.45%以下、さらに好ましくは0.4%以下とする。
(Mn:0.2〜1.2%)
Mnも焼入れ性を高めると共に強度向上に寄与する元素であり、十分な強度と焼入れ性を確保するには、例えば0.2%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上含有するものが望ましいが、多過ぎると逆V偏析を助長する場合もあるので、例えば1.2%以下、好ましくは1.1%以下、より好ましくは1%以下とする。
(Ni:0.1〜3.5%)
Niは、靭性向上元素として有用な元素であり、例えば0.1%以上、好ましくは0.2%以上含有させることが奨励されるが、Ni量が過剰になるとコストアップとなるので、3.5%以下、好ましくは3%以下とする。
(Cr:0.9〜2.5%)
Crは焼入れ性を高めると共に靭性を向上させる有効な元素であり、それらの作用は例えば0.9%以上、好ましくは1.1%以上、さらに好ましくは1.3%以上含有させる。しかし多過ぎると逆V偏析を助長して高清浄鋼の製造を困難にする場合があるので、例えば、2.5%以下、好ましくは2.3%以下、より好ましくは2.1%以下とする。
(Mo:0.1〜0.7%)
Moは、焼入れ性、強度、靭性の全ての向上に有効に作用する元素であり、それらの作用を有効に発揮させるには、例えば0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは0.25%以上含有させる。しかし、Moは平衡分配係数が小さくミクロ偏析(正常偏析)を生じ易くするので、例えば0.7%以下、好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.5%以下とする。
(V:0.005〜0.2%)
Vは、析出強化及び組織微細化効果があり、鋼材の高強度化に有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、Vを例えば0.005%以上、好ましく0.01%以上は含有させることが推奨される。但し、過剰に含有させても上記効果は飽和してしまい、経済的に無駄であるので、0.2%以下、より好ましくは0.15%以下とする。
(Al:0.01〜0.1%)
Alは、製鋼工程における脱酸元素として有効であり、また鋼の耐割れ性にも有効である。従って、Al量は、例えば0.01%以上、好ましくは0.015%以上含有させることが奨励される。一方、Alは、AlN等の形でNを固定し、NおよびV等の配合による鋼の強化作用を阻害する他、種々の元素とも結合し、非金属介在物や金属間化合物を生成し、鋼の靭性を低下させる場合もあるので、好ましくは、例えば0.1%以下、より好ましくは0.08%以下とする。
(S:0.005%以下(0%を含まない))
Sは、鍛造用鋼中で粗大な介在物を形成し易いため、クランク軸の疲労強度を低下させる場合がある。したがって、鋼中のSの含有量は、例えば0.005%以下、好ましくは0.0045%以下、より好ましくは0.004%以下、さらに好ましくは0.0035%以下とする。
一方、鍛造用鋼中に微細なS系介在物が一定密度以上含まれる場合、鋼中に多数の応力場が形成され、固溶限を超えた鋼中の余剰水素を捕捉しやすく、鋼の耐水素割れ性を改善する効果がある。
このようなS系介在物を確保するために、鋼中のSの含有量を、好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0004%以上、一層好ましくは0.0006%以上、さらに好ましくは0.0008%以上とする。
S含有量は、溶製時のスラグ組成を制御することによって調整できる。具体的には、スラグ中のCaO濃度とSiO濃度の比(CaO/SiO:以下、「C/S」と記載することがある)を高くすることにより鋼中のS含有量を低下させることができる。また、補足的手段として、CaO濃度とAl濃度の比(CaO/Al:以下、「C/A」と記載することがある)も高くすることにより、鋼中のS含有量を低下させることができる。逆に、S含有量を多くしたい場合は、C/Sおよび/またはC/Aが小さくなるようにスラグ組成を調整する。
(Ti:0.005%以下(0%を含まない))
Tiは、鋼中で粗大な窒化物を形成し、クランク軸の疲労強度を低下させてしまう場合がある。したがって、鋼中のTiの含有量は、例えば0.005%以下、好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.003%以下とする。
なお、Tiは、TiN、TiC、Tiのような微細介在物を構成して鋼中に分散し、固溶限を超えた鋼中の余剰水素を吸蔵捕捉し、鋼の耐水素割れ性を改善する効果がある。このようなTi系介在物を確保する場合は、鋼中のTiの含有量を、例えば0.0002%以上、好ましくは0.0004%以上、より好ましくは0.0006%以上とする。
Ti含有量については、副原料中の不純物Ti含有量が多い合金(低品位合金)と、不純物Ti含有量が少ない合金(高品位合金)との使用量比を調節することにより調整できる。
(O:0.0015%以下(0%を含まない))
O(酸素)は、SiO、Al、MgO、CaO等の酸化物を形成し、介在物となって鋼塊の疲労強度を低下させる元素である。したがって、Oは極力低減することが好ましく、トータル酸素量は、0.0015%以下、より好ましくは0.001%以下とする。
本発明で使用される鍛造用鋼の好ましい基本成分は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、該鍛鋼中には不可避的な不純物の含有が許容される。不可避的不純物としては、例えば、Pや、N等が挙げられ、例えばPは、0.03%以下となることが好ましく、0.02%以下となることがより好ましい。また、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で更に他の元素を積極的に含有させた鍛造用鋼を使用することも可能である。
積極添加が許容される他の元素の例としては、焼入れ性改善効果を有するB、固溶強化元素または析出強化元素であるW,Nb,Ta,Cu,Ce,Zr,Teなどが挙げられ、それらは単独で或いは2種以上を複合添加できる。これらの添加元素は、例えば、合計量で0.1%程度以下であることが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
鋳型に注入する溶鋼の清浄度を上げて、鋼塊下部において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DBOT)を10〜80個/cm程度、鋼塊上部において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DTOP)を20〜90個/cm程度、長径40μm以上の介在物の密度を5個/cm程度以下とするためには、次に説明する方法により鋼を精錬することが推奨される。
この精錬方法は、転炉又は電気炉から出鋼された溶鋼に対し1回目の2次精錬を行い、該1回目の2次精錬終了後の溶鋼に対して脱ガス処理を行い、該脱ガス処理後の溶鋼に対して2回目の2次精錬を行うことにより高清浄鋼を製造するものである。
すなわち、スラグ巻き込みに起因する介在物が少なく、高い清浄度を備えた高清浄鋼を製造するためには、転炉により製造された溶鋼に対して、2次精錬処理→脱ガス処理→2次精錬処理という順序で、2回の2次精錬を行うことが有効である。
1回目の2次精錬処理は溶鋼成分の所定のものとする処理であって、脱ガス処理は溶鋼内に存在する水素等のガス成分の除去を行う処理であるため、両処理とも溶鋼表面に浮かぶスラグの巻き込みを極力抑制しながらも、攪拌動力密度を大きくする必要がある。
一方、2回目の2次精錬処理には、脱ガス処理で一旦溶鋼中に巻き込んだスラグを浮上分離させる機能を主に担わせており、溶鋼を加熱保持しつつ新たなスラグ巻き込みが発生しないように低攪拌動力密度で攪拌を行う必要性がある。
具体的には、1回目の2次精錬処理では、攪拌動力密度が5W/ton以上(好ましくは10W/ton以上)、60W/ton以下(好ましくは50W/ton以下)となるように吹き込みガスの流量を調整すると共に、前記脱ガス処理後のスラグ組成が、CaO/SiO≧3.5且つCaO/Al=1.5〜3.5且つT.Fe+MnO≦1.0質量%となるようにスラグ調整を行なう。なお、T.Feは、鉄原子のトータル量の意味である。
脱ガス処理では、当該脱ガス処理の中期(途中)までは攪拌動力密度が50W/ton以上、好ましくは60W/ton以上で、200W/ton以下、好ましくは180W/ton以下となるように吹き込みガスの流量を調整し、その後の脱ガス処理(中期以降)は攪拌動力密度が140W/ton以下、好ましくは120W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整する。
2回目の2次精錬処理では、攪拌動力密度が25W/ton以下、好ましくは20W/ton以下(0W/tonを除く)となるように吹き込みガスの流量を調整する。
より詳細には、次の手順による。
まず、転炉や電気炉から取鍋に出鋼された溶鋼は、2次精錬装置へ運ばれ、1回目の2次精錬処理(以降、LF−Iと記載することもある)が施される。具体的には、アーク放電を発生させることにより溶鋼をT=1600℃程度まで加熱しつつ、フラックス供給手段を用いてフラックスを投入し、さらに、ガス吹き込み手段からArガスを吹き込んで溶鋼を攪拌する。溶鋼の攪拌強度としては、下記式(2)で計算される攪拌動力密度εが5〜60W/tonとなるようにArガスの流量を調整する。
なお、攪拌動力密度εの計算において、底吹きガスの吹き込み前温度T(Arガスの吹き込み前温度)は常温(298K)とし、底吹きガスの吹き込み後温度T(Arガスの吹き込み後温度)は溶鋼温度Tとしている。
転炉や電気炉から受鋼した取鍋を最初に精錬するLF−Iにおいては、溶鋼の加熱および成分調整が主であり、このときに適切な攪拌を行わなければ、溶鋼成分および溶鋼温度の均一化ができない。しかしながら、過剰な溶鋼攪拌は、成分と温度が均一でもスラグを巻込みやすく、後の欠陥源になり得る可能性が大きい。よって、攪拌動力密度εが5〜60W/tonとしている。これにより、スラグ巻込みを防止しつつ溶鋼の成分、温度の均一化が図れるようになる。
ε:攪拌動力密度(W/ton)
:底吹きガスの吹き込み前温度(常温(298K))
:溶鋼温度(K)
:溶鋼量(ton)
ρ:溶鋼密度(kg/m
:底吹きガス流量(Nl/min)
:底吹きガスの吹き込み後温度(K)
P:雰囲気圧力(torr)
:溶鋼深さ(m)
例えば、1回目の2次精錬処理(LF−I)において、取鍋のサイズや実際の溶鋼装入量M等、幾つか条件は異なるものの、Q/Mを0.30〜3.75Nl/min・tonとすることで、攪拌動力密度εが4.7〜67.2W/tonとなっている。
なお、LF−Iにおいて、フラックスの種類や量は、後述する真空脱ガス処理終了後(言い換えれば、2回目の2次精錬処理スタート時)におけるスラグの組成が、
(i)SiOの質量に対してCaOの質量が3.5倍以上となる、
(ii)Alの質量に対してCaOの質量が1.5〜3.5倍となる、
(iii)スラグ組成中のT.Feの質量とMnOの質量の総和が、スラグの全質量の
1.0%以下となる、
の3つの条件を同時に満たすように、加熱温度を制御したり、副原料(フラックス)の投入量を調整したりする。
1回目の2次精錬処理が完了した溶鋼は、取鍋ごと真空脱ガス装置に搬送され、当該溶鋼に対して真空脱ガス処理(以降、VDと記載することもある)が施される。
詳しくは、排気装置を作動させ、排気管を通じて取鍋内であって溶鋼上方のガスを排気することにより、取鍋内の雰囲気圧力Pを0.5Torr程度の真空状態に近づける。加えて、ガス吹き込み手段からArガスを吹き込んで溶鋼を攪拌する。以上のような方法により、溶鋼内に存在する水素等のガス成分の除去が行われる。
VDの時間は全体で約20分程度であり、その前半(処理時間の中期以前、前半10分)では、攪拌動力密度εが50〜200W/tonとなるように底吹きガスの流量Qを調整し、後半(処理時間の中期以降、後半10分)は攪拌動力密度εが140W/ton以下(0W/tonは除く)となるように底吹きガスの流量Qを調整する。
VDにおいては、成分調整がほぼ完了した溶鋼から、水素を除去する処理が行われるが、このときも、溶鋼内へのスラグ巻込み防止と脱水素とが両立できる攪拌動力密度εを採用することが好ましい。そこで、VD処理時間の前半で、攪拌動力密度εが50〜200W/tonとすることにより、スラグの巻込みを最小限に抑えつつ、脱水素を効率よく行うことができる。加えて、VD後半では、攪拌動力密度εを140W/ton以下に抑えると、巻き込んだスラグの浮上分離が促進されるようになる。
さらに、本実施形態の場合、VD後の溶鋼に対して2回目の2次精錬(以降、LF−IIと記載することもある)を行うことにより、高清浄鋼の製造を可能とする。
すなわち、真空脱ガス処理が完了した溶鋼を、取鍋ごと2次精錬処理装置に搬送し、溶鋼に対して2回目の2次精錬処理を施す。具体的には、アーク放電を発生させることにより溶鋼をT=1600℃程度まで加熱しつつ、ガス吹き込み手段からArガスを吹き込んで溶鋼を攪拌する。溶鋼の攪拌強度としては、式(2)で計算される攪拌動力密度εが25W/ton以下(0W/tonは除く)となるようにArガスの流量Qを調整する。
このように、再度LF処理(LF−II)を行うことにより、VD途中から行った「巻き込んだスラグおよび脱酸生成物の浮上分離」をさらに促進させることができる。このとき、LF−IIにおける攪拌動力密度εは、新たなスラグ巻き込みを防止するために25W/ton以下であることが必要である。この攪拌動力密度εで溶鋼の加熱・保持を行うことで、確実なスラグ、脱酸生成物の浮上分離が可能である。
なお、前述した如く、LF−IIにおけるスラグ成分は、
(i)塩基度、すなわちCaO/SiO≧3.5、
(ii)CaO/Al=1.5〜3.5、
(iii)T.Fe+MnO≦1.0質量%、
であるため、スラグ中の酸化物による溶鋼成分の再酸化が確実に防げるようになっている。
以上述べた高清浄鋼の製造方法を採用することにより、スラグ巻き込みに起因する介在物が少ない、高清浄鋼を製造することが可能となる。
得られた高清浄の溶鋼を、下注ぎ造塊法により10〜90トンクラス(全高2〜4m)の鋳型に注入し鋼塊を製造した。凝固した鋼塊を脱型した後、約1300度まで加熱し熱間鍛造を施し断面直径150〜700mmの鍛造材に仕上げた。熱間鍛造は、鋼塊本体をプレス機により伸ばした後、専用工具を用いて丸断面に成形することにより行った。
表1〜3には、LF−Iにおける攪拌動力密度ε、VD前半の攪拌動力密度ε、VD後半の攪拌動力密度ε、LF−IIにおける攪拌動力密度εを種々変更した条件(条件1〜20)に対して、さらに、塩基度(CaO/SiO)、CaO/Al、T.Fe+MnO(質量%)の値を変えて行った試験(試験番号1〜59)の諸条件と、得られた鋼塊の上部・下部から切り出した試験片の物性データを示す。
なお、表1〜3中、「成分・温度均一化」の欄には、鋼塊の鋳込み初期〜末期のC成分のばらつきを(ΔC)、温度のばらつきを(ΔT)としたとき、ΔC≦0.01%かつΔT≦20℃の場合は(○)を記入し、その他の場合は(×)を記入している。
「水素の除去」の欄には、精錬終了直前に水素濃度[H]を測定し、[H]≦1.2ppmの場合は(○)を記入し、[H]>1.2ppmの場合は(×)を記入している。
「スラグ巻き込み」の欄には、溶鋼サンプルの検鏡面観察において長径5μm以上で、かつ、Ca濃度5%以上の介在物の観察視野1cm当たりの個数が30以下である場合は(○)を記入し、30を超える場合は(×)を記入している。
表1〜3には、各試験片の鋼中S濃度(質量ppm)、鋼塊上部に相当する部分の微小介在物(長径5〜10μm)の密度(DTOP)、鋼塊下部に相当する部分の微小介在物(長径5〜10μm)の密度(DBOT)、鋼塊上部に相当する部分の粗大介在物(長径40μm以上)の密度、鋼塊下部に相当する部分の粗大介在物(長径40μm以上)の密度を示す。介在物の個数は、試験片の検鏡面1cm当たりの介在物数をEPMA(日本電子製JXA−8900L)によって調べた。
なお、試験片の鋼中化学成分は、C:0.3%、Si:0.25%、Mn:0.55%、Ni:1.6%、Cr:1.6%、Mo:0.25%、V:0.01%、Al:0.03%、S:0.002%、Ti:0.003%、O:0.0013%、P:0.01%であった。
また、(DBOT)/(DTOP)×鋼中S濃度(質量ppm)の値(この値が18以下の場合、式(1)が満足される)、最大介在物の大きさ(○は、最大サイズ(φ球径換算)<0.5mm、△は、0.5mm<最大サイズ≦1.0mm、×は、最大サイズ>1.0mmを示す。)、清浄度を示す。なお、鋼塊の上部(T)、下部(B)の区別が記載されていない項目については、鋼塊上部に関する試験結果を示したものである。
但し、清浄度の欄には、DIN 3規格の、DIN K(3)≦15を○、DIN K(3)>15を×との基準を定め、鋼塊上部で○、かつ鋼塊下部で○の場合は、清浄度の欄を○、いずれか一方が○、他方が×の場合は、清浄度の欄を△、双方×の場合は、清浄度の欄を×とした。
また、表1〜3には、鋼塊上部・下部における耐久限度比、鋼塊上部・下部における水素割れの試験結果を記載している。
(耐久限度比)
後述する引張強度試験、疲労強度試験の結果から、耐久限度比=疲労強度/引張強度を求めた。耐久限度比は、表1〜3に鋼塊上部(T)・鋼塊下部(B)別に示している。
また、耐久限度比≧0.45の場合は(○)、0.40≦耐久限度比<0.45の場合は(△)、耐久限度比<0.40の場合は(×)として耐久限度比の良否を判定した結果も表1〜3に併せて記載する。
(引張強度)
鍛圧後の丸棒の鋼材中心部付近から、φ6mm×ゲージ長さ30mm(各2本)引張試験片を採取し、常温にて引張試験(JIS Z 2204、2241)を実施した。試験結果は、表1〜3に鋼塊上部(T)・下部(B)別に単位[MPa]で示している。
(疲労強度)
以下に示す試験片を用いて回転曲げ疲労試験を行った。試験結果は、表1〜3に鋼塊上部(T)・下部(B)別に単位[MPa]で示している。
試験片 : 直径10mm平滑試験片
試験方法 : 回転曲げ疲労試験(応力比=−1,回転数:3600rpm)
疲労強度評価方法: 階差法
階差応力 : 20MPa
試験片本数 : 各5本
各試験片の疲労強度=(破断応力)−(階差応力)
(耐水素割れ性)
4MHzの周波数で超音波探傷試験(UT)を実施した(より詳細には、「鍛鋼品の欠陥」,日本鋳鍛鋼会,鍛鋼研究部会偏,P32−33)。鋼塊の中間部(1/3〜1/5R)から水素割れを示す欠陥エコーが検出された場合は、耐水素割れ性に劣る(×)、検出されなかった場合は耐水素割れ性に優れる(○)とした。但し、鋼塊幅方向の側面(表層)を0R、中心を1/2Rとしたときに、中心部(1/2〜1/3R)、中間部(1/3〜1/5R)、表層部(0R〜1/5R)と各部位を定義した。
「総合評価」の欄は、鋼塊上部・下部における耐久限度比、鋼塊上部・下部における水素割れの試験結果が全て(○)の場合には(●)を記入し、その他の場合は(×)を記入している。
なお、表3の試験番号41、49、55では、鋼塊下部の粗大介在物の数が基準よりも低くなっているにもかかわらず耐久限度比(B)が(×)になっているのは、これらの試験片では水素割れが発生し、この割れに起因して疲労強度が低下したためである。
また、図8(a)は、縦軸に鋼塊上部に相当する部分の微小介在物(長径5〜10μm)の密度(DTOP)、横軸に鋼塊上部に相当する部分の粗大介在物(長径40μm以上)の密度をとり、総合評価が(●)であったものを(●)で示し、耐久限度比、水素割れの試験結果のいずれかにおいて(×)のものを(×)で示した。(DTOP)が20個/cmを下回る場合は水素割れが発生し、(×)となっている。
また、(DTOP)が90個/cmを上回る場合、及び長径40μm以上の介在物の密度が5個/cmを上回る場合は、所定の耐久限度比が得られておらず、(×)となっている。
また、図8(b)には、縦軸に鋼塊下部に相当する部分の微小介在物(長径5〜10μm)の密度(DBOT)、横軸に鋼塊下部に相当する部分の粗大介在物(長径40μm以上)の密度をとり、総合評価が(●)であったものを(●)で示し、耐久限度比、水素割れの試験結果のいずれかにおいて(×)のものを(×)で示した。(DBOT)が10個/cmを下回る場合は水素割れが発生し、(×)となっている。
また、(DBOT)が80個/cmを上回る場合、及び長径40μm以上の介在物の密度が5個/cmを上回る場合は、所定の耐久限度比が得られておらず、(×)となっている。
図1は、造塊法により製造される鋼塊の凝固の状態を示す図である。 図2は、造塊法により製造される鋼塊を示す図である。 図3は、鋼断面を2000倍で観察したSEM写真である。 図4は、鋼断面を200倍で観察したSEM写真である。 図5は、鋼断面を200倍で観察したSEM写真である。 図6は、鋼塊上部および鋼塊下部における水素濃度を示す図である。 図7は、鋼塊の水素割れ及び耐久限度比に関する評価結果を示す図であって、縦軸に鋼塊上部および鋼塊下部における微小介在物密度の比、横軸に鋼中S濃度をとったものである。 図8は、鋼塊の耐久限度比の良否、及び水素割れの有無を示す図であって、(a)は鋼塊上部、(b)は鋼塊下部に関するものである。

Claims (2)

  1. 鍛造用鋼塊を熱間鍛造することにより製造される一体型クランク軸であって、前記鍛造用鋼塊は、鋳型により形成され、鋼塊下部(重力方向の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位)において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DBOT)が、10〜80個/cmであり、鋼塊上部(前記鋼塊下部の反対側の端部であって、該端部から鋼塊全高の20%以内の部位)において鋼断面で観察される長径5〜10μmの介在物の密度(DTOP)が、20〜90個/cmであり、鋼断面において観察される長径40μm以上の介在物の密度が、前記鋼塊下部、前記鋼塊上部の双方において5個/cm以下であり、かつ下記(1)式を満たす鍛造用鋼塊であることを特徴とする一体型クランク軸。
    但し、[S]は、鋼中のSの含有量(質量ppm)を示す。
  2. C:0.2〜0.6%(質量%の意味。以下、同じ。)
    Si:0.05〜0.5%
    Mn:0.2〜1.2%
    Ni:0.1〜3.5%
    Cr:0.9〜2.5%
    Mo:0.1〜0.7%
    V:0.005〜0.2%
    Al:0.01〜0.1%
    S:0.005%以下(0%を含まない)
    Ti:0.005%以下(0%を含まない)
    O:0.0015%以下(0%を含まない)
    を含み、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鍛造用鋼塊より製造される請求項1記載の一体型クランク軸。
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