JP5803843B2 - 高炭素鋼材の製造方法 - Google Patents
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Description
Al2O3(s)=2Al+3O ・・・(5)
また、(4),(5)式で決定される平衡酸素濃度は、各反応における平衡関係式からそれぞれ下記(6),(7)式で表される。(6),(7)式における[%O]Alおよび[%O]Cは、それぞれ(4)式および(5)式の平衡関係式より導出される式であり、各反応が生じ得るOの下限を示している。すなわち、溶存酸素濃度が[%O]Al以下であり、かつ[%O]C以上の条件では、熱力学的にはAl2O3が生成せず、C脱酸のみが生じる条件となる。したがって、本発明者らは、C脱酸によりAl2O3を還元させるためには、(6)式で決まる酸素濃度を、(7)式で決まる酸素濃度より低くし、かつ溶存酸素濃度を(8)式を満たす条件とする必要があることを見出した。ただし、本発明の条件では全ての条件において[%O]C<[%O]Alを満たしているため、[%O]<[%O]Alを満たせばC脱酸によりAl2O3を還元できる条件となる。
[%O]Al=(C7(定数)/[%Al]2)2/3 ・・・(7)
[%O]C<[%O]<[%O]Al ・・・(8)
ここで、[%O]Al:Alの酸化反応から求まる溶鋼中O濃度、[%O]C:Cの酸化反応から求まる溶鋼中O濃度、C6:定数、[%Al]:sol.Al濃度、C7:定数、PCO:CO分圧、%C:C濃度、[%O]:溶存酸素濃度である。
溶鋼成分を、質量濃度で、C:0.7〜1.2%、Si:0.03〜1.2%、Mn:0.05〜1.8%、sol.Al:0.002〜0.03%、O(溶存酸素):0.003%以下であるとともに、O(溶存酸素)とsol.Alの関係が(1)式を満足するように調整し、かつ、
該溶鋼上のスラグ成分を、質量濃度で、CaOとAl2O3との合計が80%以上、SiO2:3.0%以下、T.Fe+MnO:1.0%以下、CaO/Al2O3=1.5〜4.0になるように調整した後に、
溶鋼還流脱ガス装置の真空槽内圧力を1.0(kPa)未満に保ちつつ、(2)式を満たす時間還流処理を施すこと
を特徴とする、高炭素鋼材の製造方法。
10×W/Q≦tc≦30×W/Q ・・・(2)
ここで、溶鋼還流量:Q(ton/min)は、下記(3)式で計算される値であり、[%O]:溶存酸素濃度(質量%)、[%Al]:sol.Al濃度(質量%)、tc:還流処理時間(min)、W:前記溶鋼の質量(ton)、G:還流ガス流量(NL/min)、D:浸漬管径(m)、P:吹き込み位置での静圧(kPa)、Pvac:真空槽内圧力(kPa)である。
1.本発明における用語の定義
「還流型脱ガス装置」とは、一般的にRHと呼称される真空槽を要する溶鋼処理装置である。「還流処理」とは、溶鋼成分とスラグ成分とを所定の範囲に調整した後、還流型脱ガス装置の真空槽内圧力を1.0(kPa)未満に保ちつつ、還流処理時間tc(min)以上の時間還流させる処理のことを指す。
[C:0.7〜1.2質量%]
Cは、鋼の強度を決める重要元素である。本発明はAlキルド鋼のようなAl濃度の高い鋼種への適用も想定しており、低C濃度では効率よくC脱酸を活用できない可能性があるため、C濃度の下限を0.7質量%とする。また、C濃度が高いほどC脱酸の効果は大きくなるが、C濃度が1.2質量%を超えると母材の硬度が固くなり過ぎるため、加工性が著しく低下してしまう。また、Cを、1.2質量%を超えて含有させてしまうと還流処理後に脱炭処理を行う必要性が生じるため、本発明でのC濃度の上限は1.2質量%とする必要がある。
[Si:0.03〜1.2質量%]
Siは、鋼材の焼き入れ性および強度を高める重要な元素であるため、還流処理前に予め0.03質量%は含有させる必要がある。しかし、Si濃度が1.2質量%を上回るとSi脱酸がAl脱酸より優勢となり、SiO2系酸化物が大量に生成し、かつ本発明におけるC脱酸によるAl2O3の還元反応を阻害する可能性があるため、1.2質量%を上限とする。
MnもSiと同様に、鋼材の強度を高める重要な元素であるため、還流処理前に予め0.05質量%は含有させる必要がある。しかし、Mn濃度が高過ぎると、Siと同様にMnO系酸化物が大量に生成する可能性があるため、1.8質量%を上限とする。
C脱酸によりAl2O3を還元させるためには、Oとsol.Alの関係が上式を必ず満たしている必要がある。したがって、還流処理前のsol.Al濃度に応じて、還流処理前における溶存酸素濃度を、上式を満たす水準まで低減する必要がある。
sol.Al濃度が0.002質量%未満の溶鋼において、Al2O3クラスターは殆ど生成しないと考えられ、クラスターの生成は問題とならないと考えられるため、sol.Al濃度を0.002質量%以上とした。一方、sol.Al濃度が高過ぎるとC脱酸によりAl2O3を還元できなくなるため、Al濃度は0.03質量%以下である必要がある。ただし、C脱酸によるAl2O3の還元効果はAl濃度が低いほど高くなるため、望ましくは0.02質量%以下とするのがよい。
Oが高過ぎると溶鋼中の酸化物個数が大きく増大し、清浄性が著しく悪化するため、仮に(1)式を満たしている条件であっても減圧処理前のOを0.003質量%以下とする必要がある。したがって、操業において、Oが0.003質量%以下であることを、固体電解質による酸素濃淡電池を測定原理とする酸素プローブを用いて確認する必要がある。
3.鋼材の機械特性の観点から鋼中に含有することが許容される成分濃度範囲
本発明で溶製するクラスターの少ない鋼には、対象となる溶鋼に製品に必要な機能を付加する目的で、合金元素を含有させることも原理的に許容される。具体的には、Feの一部に加えて、Cr:1.7質量%以下、Mo:1.0質量%以下、V:0.3質量%以下、Ni:2.0質量%以下を含有させてもよい。また、不可避的不純物としてP:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、Mg:0.002質量%以下、Ca:0.002質量%以下、N:0.02質量%以下を含有させていてもよい。
[CaO+Al2O3:80質量%以上]かつ[CaO/Al2O3=1.5〜4.0]
本発明では、繊細な脱酸コントロールを必要とするために、還流処理を開始する前のスラグ組成を適切にコントロールしなければならない。スラグを構成する基本的な成分をCaOとAl2O3とし、CaOとAl2O3との合計質量がスラグ全質量中の80%以上を占め、かつCaOとAl2O3との比(CaO/Al2O3)が1.5〜4.0の範囲になるよう調整することで、他のスラグ中の低級酸化物であるSiO2、T.Fe、MnO濃度を厳しく制限することと併せて、本発明に係る繊細な脱酸コントロールが可能になる。
本発明では、繊細な脱酸コントロールを必要とするために、スラグ中の低級酸化物であるSiO2、T.Fe、MnO濃度を厳しく制限する必要がある。低級酸化物であるSiO2濃度が高いと、溶鋼中Alを再酸化してしまうため、溶鋼中のAl2O3量が増加してしまう。そのため、溶鋼再酸化によるAl2O3の生成を抑制するためにSiO2の上限を3.0質量%以下とする必要がある。
SiO2と同様に、T.FeおよびMnO濃度が高いと溶鋼中Alを再酸化してしまうため、溶鋼中のAl2O3量が増加してしまう。したがって、溶鋼再酸化によるAl2O3の生成を抑制することを目的として、T.FeおよびMnO濃度の合計を1.0質量%以下とした。
本発明において、溶鋼は還流型脱ガス装置にて還流処理される。転炉等の精錬容器から取鍋に出鋼され、還流型脱ガス装置まで搬送されて還流処理を行う前に、上記の溶鋼成分範囲に調整する目的で、合金等の添加、あるいは取鍋精錬等の前工程を行うことが望ましい。具体的には、取鍋精錬工程等で脱酸,脱硫および合金添加を実施することによって溶鋼を所定の組成に調整することである。
本発明の効果を確認するため、後述するように、還流処理前に酸素プローブを用いて溶存酸素濃度を測定した後、還流処理直前、還流処理直後において溶鋼サンプルを採取した。採取した溶鋼のボンブサンプルを切断し、樹脂埋め、研磨した後に切断面を光学顕微鏡で観察し、検鏡範囲内(=200mm2)におけるAl2O3系酸化物の個数を計測した。本解析において、光学顕微鏡で得られた画像に対して、画像処理ソフトを用いて、二値化処理を施すことで酸化物の個数、大きさ、および位置データを得た。
Claims (1)
- 溶鋼還流型脱ガス装置を用いて高炭素鋼を製造する方法であって、
溶鋼成分を、質量濃度で、C:0.7〜1.2%、Si:0.03〜1.2%、Mn:0.05〜1.8%、sol.Al:0.002〜0.03%、O(溶存酸素):0.003%以下であるとともに、O(溶存酸素)とsol.Alの関係が下記(1)式を満足するように調整し、かつ、
該溶鋼上のスラグ成分を、質量濃度で、CaOとAl2O3との合計が80%以上、SiO2:3.0%以下、T.Fe+MnO:1.0%以下、CaO/Al2O3=1.5〜4.0になるように調整した後に、
溶鋼還流脱ガス装置の真空槽内圧力を1.0(kPa)未満に保ちつつ、下記(2)式を満たす時間還流処理を施すこと
を特徴とする、高炭素鋼材の製造方法。
[%O]<0.0001×[%Al]-2/3 ・・・(1)
10×W/Q≦tc≦30×W/Q ・・・(2)
ここで、溶鋼還流量:Q(ton/min)は、下記(3)式で計算される値であり、[%O]:溶存酸素濃度(質量%)、[%Al]:sol.Al濃度(質量%)、tc:還流処理時間(min)、W:前記溶鋼の質量(ton)、G:還流ガス流量(NL/min)、D:浸漬管径(m)、P:吹き込み位置での静圧(kPa)、Pvac:真空槽内圧力(kPa)である。
Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/Pvac)}1/3・・・(3)
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JP2012181625A JP5803843B2 (ja) | 2012-08-20 | 2012-08-20 | 高炭素鋼材の製造方法 |
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JP6214493B2 (ja) | 2014-08-21 | 2017-10-18 | 株式会社神戸製鋼所 | 鋼中Ti濃度の制御方法 |
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