JP2013140216A - 静電潜像現像用トナー及びその製造方法、静電潜像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、並びに、画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂と金属顔料とを含み、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、120℃における損失弾性率G”(120℃)と貯蔵弾性率G’(120℃)との比である動的損失正接(tanδ=G”(120℃)/G’(120℃))が0.5以上2.0以下である静電潜像現像用トナー。
【選択図】なし
Description
即ち、請求項1に係る発明は、
結着樹脂と金属顔料とを含み、
ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、
120℃における損失弾性率G”(120℃)と貯蔵弾性率G’(120℃)との比である動的損失正接(tanδ=G”(120℃)/G’(120℃))が0.5以上2.0以下である静電潜像現像用トナーである。
80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が1.0×104dN/m2以上1.0×106dN/m2未満である請求項1に記載の静電潜像現像用トナーである。
前記トナーの平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長く、
前記トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60%以上である請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーである。
平均最大厚さCと平均円相当径Dとの比(C/D)が0.001以上0.5以下の範囲にある請求項3に記載の静電潜像現像用トナーである。
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーを少なくとも含む静電潜像現像用現像剤である。
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーを収容するトナーカートリッジである。
請求項5に記載の静電潜像現像用現像剤を収容すると共に、前記静電潜像現像用現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
像保持体表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記静電潜像を請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーによりトナー像として現像する現像工程と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、
を有する画像形成方法である。
前記記録媒体の十点平均粗さRzが、1μm以下である請求項9に記載の画像形成方法である。
結着樹脂粒子を分散した結着樹脂粒子分散液、及び、金属顔料を分散した金属顔料分散液を少なくとも混合した混合液に金属系凝集剤を添加し、加熱することにより前記結着樹脂粒子及び前記金属顔料を少なくとも含む凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、
前記凝集粒子を含む混合液に前記金属系凝集剤を構成する金属イオンとキレート錯体を形成するキレート剤を添加するキレート剤添加工程と、
前記キレート剤添加工程の後に加熱により前記凝集粒子を融合する融合工程と、
を含む請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法である。
本実施形態の静電潜像現像用トナー(以下、本実施形態のトナーと称することがある)は、結着樹脂と金属顔料とを含み、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、120℃における損失弾性率G”(120℃)と貯蔵弾性率G’(120℃)との比である動的損失正接(tanδ=G”(120℃)/G’(120℃))を0.5以上2.0以下としたトナーである。
光輝性のトナーの例としては、上記特許文献1に記載の静電荷像現像用トナーが知られている。しかしながら、このようなトナーは顔料として金属粉末を多量に含有するため、長期間にわたって画像形成を行うと、画像表面に露出した金属粉末により定着ロール表面が傷つけられる場合がある。このような表面が傷んだ定着ロールで定着すると定着画像に荒れが発生して画質が低下し、光輝性を有する画像を長期間にわたり得ることができなくなる場合がある。この傾向は表面が平滑なメディア(コート紙やラベル・パッケージに利用されるようなフィルム系メディア)に印刷する場合、より顕著になる。
一方、比(A/B)が100を超えると、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎ、正反射光成分が大きいために見る角度によって黒っぽく見えてしまう。また、比(A/B)が100を超えるトナーは、製造も困難である。
ここで、まず入射角および受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°および+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm2にて、トナー載り量が4.5g/cm2のベタ画像を形成する。尚、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業社製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。尚、反射率Aおよび反射率Bは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
(1)トナーの平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い
(2)トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60%以上である
図1に示すトナー2は、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の金属顔料4を含有している。
そのため、このトナー中に含有される鱗片状の金属顔料のうち上記(2)に示される「トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす金属顔料は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する金属顔料の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。また、入射光に対して乱反射する金属顔料の割合が抑制されると、見る角度により反射光強度が大きく変化するため、より理想的な光輝性が得られる。
トナーの動的損失正接を制御することにより、長期にわたり光輝性を維持できる。定着器により未定着トナー画像へ加えられる熱の一部は用紙等の記録媒体に吸収されるため、実際の定着の際に未定着トナー画像にかかる熱は定着器の設定温度の7乃至8割程度である。よって、温度120℃における損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比である動的損失正接(tanδ=G”/G’)が0.5以上であることで、光輝性を発現するのに十分な金属顔料の配向性を確保されると共に、2.0以下であることで、定着の際にトナーが溶融しすぎて露出した金属顔料により定着ロール表面が傷つけられるのが防止される。
本実施形態においては、レオメータ(レオメトリックサイエンティフィック社製:ARESレオメータ)を使用し、直径8mmのパラレルプレートを用い、周波数1Hzの条件で、昇温測定を行った。ゼロ点調整温度90℃、プレート間ギャップ3.5mm、サンプルセットを140℃で行い、室温(25℃)まで冷却した後、初期測定歪み0.01%、測定開始温度30℃で、昇温速度1℃/分で加熱し、1℃毎に昇温時の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、及び、tanδを測定した。
温度上昇とともに検出トルクが10gcm程度になるように歪みを調節し、最大歪みを20%までとし、検出トルクが測定保証値の下限を下回った時点で測定終了とした。
本実施形態において、貯蔵弾性率G’(80℃)は1.0×105dN/m2以上8.0×105dN/m2以下が好ましく、2.0×105dN/m2以上5.0×105dN/m2以下がさらに好ましい。
(1) 結着樹脂としてポリエステル樹脂やスチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂等の分子中にエステル基を有する樹脂を用い、金属イオンによりエステル基同士をイオン架橋することでトナー弾性率を調整する。
(2) トナーの製造方法として乳化凝集法等の湿式法を採用し、結着樹脂としてポリエステル樹脂やスチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂等の分子中にエステル基を有する樹脂を用い、金属系凝集剤によりトナーを構成する結着樹脂粒子等の構成材料を凝集させるに際して該金属系凝集剤を構成する金属イオンとキレート錯体を形成するキレート剤を添加することで金属イオンの濃度を調整する。これにより、エステル基同士のイオン架橋の程度を調整し、トナー弾性率を調整する。
(3) 結着樹脂として後述の結晶性ポリエステル樹脂を用いるに際して該結晶性ポリエステル樹脂のSP値を調整することにより、該結晶性ポリエステル樹脂とその他の結着樹脂(非晶性樹脂)との馴染みやすさを調整する。一般に、結晶性ポリエステル樹脂のSP値を大きくすることでトナーの弾性率は小さくなりやすく、SP値を小さくすることでトナーの弾性率は大きくなりやすい。
(4) 結着樹脂の重量平均分子量を調整する。一般に、重量平均分子量を大きくすることでトナーの弾性率は大きくなりやすく、重量平均分子量を小さくすることでトナーの弾性率は小さくなりやすい。
(5) トナー中に無機粒子を添加する。無機粒子を添加することでトナーの弾性率は大きくなりやすい。
(6) 貯蔵弾性率G’(80℃)については、トナー中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性樹脂の量によっても調整される。一般に、結晶性樹脂の量を多くすることでトナーの弾性率は小さくなりやすく、結晶性樹脂の量を少なくすることでトナーの弾性率は大きくなりやすい。
[上記式中、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)で、E=Σeiで表される。なお、eiは蒸発エネルギーである。また、Vは分子容(cm3/mol)で、V=Σvi(vi:モル体積)で表される。]
本実施形態のトナーに用いられる、金属顔料としては、例えば、以下のものが用いられる。アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄を被覆した雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、金属蒸着された薄片状ガラス粉など、金属を含有し光輝性を有する顔料ならば特に制限はない。なお、本実施形態において「光輝性」とは、本実施形態のトナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、定着画像の表面の平滑性が高く、さらなる光輝性を実現可能なポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種または2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
本実施形態のトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上25質量%以下がより好ましい。
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
上記スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分および/またはスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
アルコール由来構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて離型剤を含有してもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
本実施形態のトナーには、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
・平均最大厚さCおよび平均円相当径D
前記(1)に示すとおり、本実施形態のトナーは、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが好ましい。尚、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.5以下の範囲にあることがより好ましく、0.01以上0.2以下の範囲が更に好ましく、0.05以上0.1以下の範囲が特に好ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナーの強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、金属顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方0.5以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1000個のトナーについて、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
前記(2)に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60%以上であることが好ましい。更には、上記数が70%以上95%以上であることがより好ましく、80%以上90%以下であることが特に好ましい。
上記の数が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
なお、トナー中のイオン架橋の量は、凝集粒子形成工程の実施中や実施前後において、金属イオンとキレート錯体を形成するキレート剤を添加することにより(キレート剤添加工程)、余剰の金属イオンをトナー中から取り除くことで制御することが、トナー粒度分布制御の観点からも好ましい。
また、凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、結着樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する被覆層形成工程を実施した場合には、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程の実施中や実施前後においてキレート剤を添加すればよい。
凝集粒子形成工程等において凝集剤を多めに用いて凝集粒子形成の進行を促進させるのは、微粉トナーの発生を抑制する観点から好ましい態様である。しかし、凝集剤を多めに用いるとトナーに含まれる金属イオンの量が多くなり、トナーの帯電性等の特性に悪影響を与えるおそれがある。しかし、余剰の金属イオンをキレート剤を用いることにより除去すれば、トナーの特性に悪影響を与えることなくトナー微粉の発生が抑制される。
本実施形態においては、トナー表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子等、公知の粒子が使用し得る。
本実施形態の静電潜像現像用現像剤(以下、本実施形態の現像剤と称することがある)は、本実施形態のトナーを少なくとも含んでいればよく、本実施形態のトナーをそのまま一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記静電潜像を本実施形態のトナーによりトナー像として現像する現像装置と、前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、を有するものであればよく、前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を定着する定着装置や、必要に応じてクリーニングブレード等を用いたクリーニング手段、除電手段等を含んでいていても良い。
本実施形態の画像形成装置により、像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像を本実施形態のトナーによりトナー像として現像する現像工程と、前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、を有する画像形成方法が実施される。
同図において、本実施形態の画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性および電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
なお、記録媒体の十点平均粗さRzは、JIS B0601(1994年度)に準拠した方法で測定される。具体的には、例えば、(株)東京精密社製、表面粗さ形状測定機サーフコム1400により、測定することができる。また、測定条件は、カットオフ:0.8mm、測定長:2.4mm、トラバーススピード:0.3mm/sである。
図3は、本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態のプロセスカートリッジは、前述の本実施形態の現像剤を収容すると共に、該現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えることを特徴としている。
・ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物:469部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:137部
・テレフタル酸:152部
・フマル酸:75部
・ドデセニルコハク酸:114部
・ジブチル錫オキサイド:4部
モノマー成分の添加量、樹脂抜き出し時の軟化温度を表1のように変更した以外は結着樹脂1と同様にして、結着樹脂2を得た。
・結着樹脂1:300部
・メチルエチルケトン:150部
・イソプロパノール:50部
・10%アンモニア水溶液:10.6部
結着樹脂の種類、メチルエチルケトン、イソプロパノール、アンモニア水の量を表2のように変更した以外は樹脂粒子分散液1と同様にして、樹脂粒子分散液2を得た。
<結晶性樹脂粒子分散液の調製>
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸225部と、1,9−ノナンジオール160部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.8部と、を入れ、その後減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下として、機械撹拌により180℃、5時間撹拌し、かつ、還流して反応を進行させた。反応の間、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において、230℃まで徐々に昇温し、2時間撹拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量が29,000になったところで、減圧蒸留を停止し結晶性ポリエステル樹脂を得た。
次いで、この結晶性ポリエステル樹脂100部と、メチルエチルケトン40部、イソプロピルアルコール30部をセパラブルフラスコに入れ、これを75℃で充分混合、溶解した後、10%アンモニア水溶液を6.0部滴下した。
加熱温度を60℃に下げ、撹拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度6部/minで滴下し、液が均一に白濁したのち、送液速度25部/minに上げ、総液量が400部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒の除去を行い、結晶性樹脂粒子分散液を得た。得られた結晶性樹脂粒子分散液の体積平均粒径は168nm、固形分濃度は11.5%であった。
・パラフィンワックスHNP9(日本精蝋(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:1700部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、平均粒径が0.18μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:31.1%)を調製した。
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去した後、以上を混合し、溶解し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、金属顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる金属顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
・樹脂粒子分散液1:250部
・樹脂粒子分散液2:250部
・結晶性樹脂粒子分散液:116部
・離型剤分散液:62部
・金属顔料分散液:270部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
その後、層流を形成するための2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、攪拌回転数を857rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
用いる樹脂粒子分散液1、樹脂粒子分散液2、結晶性樹脂粒子分散液の量、キレート剤の種類・量、凝集中の撹拌回転数、融合温度を表3記載のように変更した以外はトナー1と同様にして、トナー2乃至32を作製した。
・結着樹脂1:450部
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):22部
・パラフィンワックスHNP9(日本精蝋(株)製):15.6部
以上を計量した後、75Lヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合した。得られた混合物をスクリュー押出機TEM48BS(東芝機械社製)で加熱溶融させ、さらに混練した。混練の完了後、得られた混練物を冷却し、固化させた。固化した混練物を先ず最初にピンクラッシャーにより粗砕を行い、ハンマーミルで破砕(平均径300μm)した後、さらに続けて、流動層型粉砕機AFG400(アルピネ社製)で微粉砕した。微粉砕の完了後、微小粒子及び粗大粒子を除去するため、慣性式分級機EJ30により得られた微粉砕粒子を分級し、トナー33を得た。得られたトナー33の体積平均粒子径は13.0μmであった。
得られたトナーを用いて下記評価を実施した。また、各トナーにおける比(A/B)、120℃におけるtanδ、G’(80℃)、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数の、観察される全金属顔料に対する割合(±30°範囲の金属顔料数)、比(C/D)を求めた。評価結果と共にこれら値を表4及び表5に示す。
得られた各トナーを一成分現像剤として用い、富士ゼロックス(株)社製Color 1000 Pressの現像器に充填し、コート紙(OKトップコート+紙、表面粗さRz=1.98μm、王子製紙(株)社製)およびラベル紙(OPP50C(A)PAT11LL、表面粗さRz=0.27μm、リンテック社製)上に、定着温度180℃(プレッシャーロール温度100℃)にて、トナー載り量が7.0g/cm2のベタ画像を100000枚形成した。
4:やや粒子感、光学的効果がある。
3:普通の感覚
2:ぼけた感じがする
1:全く粒子感、光学的効果がない。
5000枚目のラベル紙について、ベタ画像中心を谷折し、その部分に3MPa(300g/cm2)の荷重を10秒間掛け、先端ベタ、画像の破壊状況を目視で確認し、下記の基準で評価した。
○:折り曲げ部の先端ベタ画像に、軽微な欠損部があるが実使用上問題ない。
△:折り曲げ部の先端ベタ画像に、若干の目視で確認される欠損部がある。
×:折り曲げ部の先端ベタ画像に、明らかな欠損部があり、実使用上問題となる。
4 金属顔料
20 感光体ドラム
21 帯電装置
22 露光装置
24 転写装置
25 クリーニング装置
28 記録紙
30 現像装置
31 現像ハウジング
32 現像用開口
33 現像ロール
34 電荷注入ロール
40 トナー
107 感光体(像保持体)
108 帯電ローラ
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115 定着装置(定着手段)
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体)
Z 静電潜像
Claims (11)
- 結着樹脂と金属顔料とを含み、
ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であり、
120℃における損失弾性率G”(120℃)と貯蔵弾性率G’(120℃)との比である動的損失正接(tanδ=G”(120℃)/G’(120℃))が0.5以上2.0以下である静電潜像現像用トナー。 - 80℃における貯蔵弾性率G’(80℃)が1.0×104dN/m2以上1.0×106dN/m2未満である請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記トナーの平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長く、
前記トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる金属顔料の数が、観察される全金属顔料のうち60%以上である請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。 - 平均最大厚さCと平均円相当径Dとの比(C/D)が0.001以上0.5以下の範囲にある請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
- 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーを少なくとも含む静電潜像現像用現像剤。
- 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーを収容するトナーカートリッジ。
- 請求項5に記載の静電潜像現像用現像剤を収容すると共に、前記静電潜像現像用現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。 - 像保持体表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記静電潜像を請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーによりトナー像として現像する現像工程と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、
を有する画像形成方法。 - 前記記録媒体の十点平均粗さRzが、1μm以下である請求項9に記載の画像形成方法。
- 結着樹脂粒子を分散した結着樹脂粒子分散液、及び、金属顔料を分散した金属顔料分散液を少なくとも混合した混合液に金属系凝集剤を添加し、加熱することにより前記結着樹脂粒子及び前記金属顔料を少なくとも含む凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、
前記凝集粒子を含む混合液に前記金属系凝集剤を構成する金属イオンとキレート錯体を形成するキレート剤を添加するキレート剤添加工程と、
前記キレート剤添加工程の後に加熱により前記凝集粒子を融合する融合工程と、
を含む請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
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