JP2013136019A - アルミ合金判別方法と判別装置および選別設備 - Google Patents

アルミ合金判別方法と判別装置および選別設備 Download PDF

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Abstract

【課題】合金系別にアルミニウム合金を判別する方法および装置と、それを利用したアルミ合金選別設備を提供する。
【解決手段】回収するアルミ合金からなる校正用試料と排除するアルミ合金からなる対比用試料について、エネルギーの異なるX線の単位面積毎の透過X線強度測定結果を透過強度平面にプロットし、校正用試料に係るプロットの大多数を含む判定領域を画定し、校正用試料のプロットのうち判定領域より高密度の高密度領域における割合が対比用試料と選別できるような第1閾値と、判定領域における割合がアルミ合金と選別できるような第2閾値を決めておいて、厚みを調整した被選別試料について異なるエネルギーのX線に係る単位面積毎の透過X線強度測定値に係るプロットが高密度領域に含まれる割合を第1閾値と、判定領域に含まれる割合を第2閾値と比較して、被選別試料の系別を判定して回収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミ合金を合金系統別に判別する方法と選別する設備に関し、特に鋳造材由来のアルミニウム合金と展伸材由来のアルミニウム合金とを選別回収するだけでなく、展伸材アルミニウム合金をさらにその系統別に選別回収するためのアルミ合金判別方法と選別設備に関する。
アルミニウムは極めてリサイクル性に優れた材料であって、リサイクルによる二次地金への溶解エネルギーは新地金の溶解エネルギーの3〜5%に過ぎない。このため、リサイクルシステムを効率よく運用することにより、アルミニウムはエネルギー消費の少ない地球環境に優しい材料かつ製造原価の小さい材料として広範囲に利用できる。
アルミニウムあるいはアルミニウム合金は、現状においても、省資源化の観点と低コスト化の観点とからリサイクルされることが一般的である。このため、従来から、迅速かつ大量にアルミニウムおよびアルミニウム合金を他の金属から選別して回収する技術が開発されてきた。
たとえば、特許文献1には、比較的一般的な金属選別回収装置が開示されている。開示された金属選別回収装置は、ストックヤードに貯蔵された廃棄物を前処理後に破砕し発泡成形材を分離して残った重い廃棄物を処理して銅片またはアルミニウム片を分離する。
金属選別回収装置では、磁力選別機により鉄系金属を選別し、渦電流選別機により非鉄系金属を選別する。非鉄金属は、さらに色選別機と比重検出選別機のそれぞれで銅片、アルミニウム片を選別する。また、渦電流選別機で非金属として分離されたものも、風力選別機で金属小片を選別し、振動式選別機にかけて銅片とアルミニウム片を回収する。
開示された金属選別回収装置によれば、アルミニウムは、廃棄物から、ほぼ全自動で、高純度に選別回収することができる。
なお、特許文献1には、色選別機の代わりに、金属の種類によってX線の透過具合が異なることを利用するX線式選別機を用いた例が記載されている。開示されたX線式選別機は、X線検出センサの前に形状センサを設けて、破砕片の厚さを測定して、単位厚さあたりの透過X線強度を算出し、材質毎に予め取得したデータと照合して、破砕片の材質を推定するものである。
アルミニウム合金は合金種によって添加元素の含有量が異なるのであるが、従来の金属選別回収装置では、アルミニウム合金を合金種毎に選別して回収することはできなかったため、回収したアルミ等は、合金種にかかわらず混合して溶融し、成分組成の調整をすることにより、品位の低い二次合金や鋳物合金としてリサイクルされてきた。
こうして回収したアルミ等から再生した鋳造材は、主として自動車の内燃エンジンに利用されてきた。自動車の生産量は大きく、アルミニウム合金鋳造材の需要が大きいため、回収されたアルミニウムおよびアルミ合金は十分消化されてきた。
ところが、近年、自動車エンジンは漸次に脱石油燃料化され、内燃エンジンは電気モータ等に代替されていく趨勢にあって、近い将来、鋳造材需要の減退によりアルミニウムリサイクルは成立しなくなるおそれがある。
このように、将来を案ずると、回収アルミ類は自動車以外の需要先を開拓する必要に迫られている。需要を拡大するためには、自動車需要に頼る鋳造材としての再利用だけでは難しく、展伸材由来の回収アルミニウム合金を展伸材として供給できるようにする必要がある。
アルミニウム合金はアルミニウムに添加される金属の組成により合金種が決まり、合金種毎に適切な用途が決まっているので、高品位のアルミニウム合金にとって不純物になる金属が混入すると品位が低下して、高品位が求められるアルミ合金としてリサイクル使用することができない。従来は、廃棄物から選別回収されたアルミニウムおよびアルミニウム合金は、合金種に関わりなく一緒に混合されてリサイクルされるため、混合されたアルミニウム合金に成分として不足する元素を加えることにより組成調整できる低品位の二次合金地金や鋳造材として再利用するしかなかった。
たとえば、合金番号6063のアルミニウム合金は、添加成分の少ない高品位な合金で展伸性能に優れサッシなどに利用される展伸材になる。合金番号6063の合金は、取り外した窓枠として建築廃材中に大量に含まれるが、大量のサッシが廃棄物として回収されても、現状ではアルミニウムおよびアルミニウム合金の種別を区別して選別回収する適当な手段がないため、また、同時に回収される鋳造品などと混ざるので、他のものと一緒に溶解して低品位の二次合金地金や鋳造材にする他になかった。
しかし、廃棄物中のアルミニウムおよびアルミニウム合金について、合金系別に選別回収することができれば、回収アルミニウム合金類のほとんどを将来需要の限られる低価格の鋳造材として再生するのではなく、回収された合金の系別に従ってたとえばサッシ材など大量の需要が見込める材料として再利用することもできるようになる。
また、従来のリサイクルではアルミスクラップから二次合金地金を製造するために、成分分析および成分調整するための溶解工程を経る必要があり、この溶解工程が比較的大きなエネルギーを消費する。これに対して、たとえばサッシ廃棄物をサッシ材として再利用する場合は、サッシ廃棄物から異物を選別除去してサッシ用アルミニウム合金のみを処理することができれば、二次合金地金の製造工程の溶解エネルギー大幅に節減すると共に再生工程を大幅に短縮することができる。
このため、アルミニウムおよびアルミニウム合金を合金系別に、たとえばサッシ用展伸材とその他の展伸材または鋳造材とに分けて、回収することが好ましい。このためには、アルミニウムおよびアルミニウム合金を合金系別に区別して判定する方法が必要になる。
しかし従来は、区別なく市中から回収されてきた一般廃棄物中の種々のアルミニウムおよびアルミニウム合金を合金系別に区別して判定する適当な方法がなく、合金の種類に従って選別回収することができなかった。
なお、特許文献2には、使用済み自動車のアルミニウム展伸材とアルミニウム鋳造材を分離して回収することにより、回収したアルミニウム展伸材を再び自動車用アルミニウム展伸材として再生するリサイクル方法とリサイクルプラントが開示されている。
開示された方法では、使用済み自動車において展伸材が使用されている部分が明確に知られているところから、第1選別工程で、解体するときに、アルミニウム鋳物の部分や混入するとアルミニウム合金を低品位にする鉄やケイ素などの不純物要因を取り除いて、残りの部分を処理対象として選別する。
第2選別工程では、第1選別工程で選別された部分を破砕して、磁選などの周知の手法により、アルミニウムを主成分とする破砕片を選別する。既に第1選別工程でアルミニウム展伸材の使用率が大きい部分のみになっているので、第2選別工程で選別された破砕片からは、高品位のアルミニウム材料を再生することができる。そこで、続く素材製造工程では、第2選別工程で選別された破砕片を溶解して、自動車用アルミニウム展伸材用素材を製造することができる。
特許文献2に開示されたアルミニウム展伸材の回収システムは、自動車に使用される部材を熟知した作業者が展伸材の選別を手作業により行うものであって、ストックヤードに集積された一般の廃棄物のようにアルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物が混合している状態から、アルミニウム展伸材を自動的に選別する目的で使用することはできない。
さらに、特許文献3には、アルミニウム合金破砕金属片に対して展伸材と鋳造材に由来するものを自動的に識別し、その結果に基づいて選別することが可能な自動識別装置が開示されている。
開示された方法は、破砕片の形態に基づいて展伸材に由来するものと鋳造材に由来するものとを多変量解析法の一種である判別分析法を用いて識別するもので、重量、体積、面積、縦寸法、横寸法、最大高、重心高などを測定して、判別分析に用いる変数を算定し、これらの変数を予め登録した大量のケースデータに照らし合わせて判定する。ケースデータは、過去において実際に得られた展伸材および鋳造材について測定した結果を蓄積したものである。
開示方法は、廃自動車のシュレッダー処理施設で廃棄されるアルミニウム破砕片のように、種類の限られた同じ形態の廃棄物が繰り返し発生するプロセスに適用するときに大きな成果が得られるが、アルミニウム合金展伸材の本質的な特性に基づく手法ではないので、一般廃棄物や出所を特定しない産業廃棄物など、廃棄物に含まれるアルミニウム合金展伸材の形態が特定できない場合には、十分な判別率を達成することが難しい。
特開平7−256231号公報 特開2003−277837号公報 特開2009−262009号公報
従来、アルミニウムおよびアルミニウム合金を他の金属から分離して回収する方法は実用化されているが、アルミニウム合金の種類別に選別して回収する、精度が高く効率よい手段が知られていなかった。
たとえば、特許文献2に開示された選別方法は、熟練作業員による第1選別工程に依存するもので、自動化に困難がある。また、特許文献3に開示された判定方法は、各方向から撮影した外形画像を扱う複雑な画像処理と高度な判定アルゴリズムを実行する必要があるうえ、サンプルとして収集した破砕片の形態データと照合して判定するためサンプルと異なる形状をもつ破砕片があれば的確な判定を行うことができない。
このように、アルミニウム合金の種類別に分けて判定する適当な方法が得られないため、アルミニウム合金の種類別に選別して回収する設備を提供することができなかった。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、展伸材として利用できる重金属添加物が少ない高品位のアルミニウム合金系別をその他のアルミニウム合金系別から選別するアルミ合金判別方法及び判別装置を提供すること、特に、展伸材として利用できるアルミニウム合金系別を高い効率で選別して回収するアルミ合金選別設備を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明に係るアルミ合金判別方法は、
(1)回収の対象となる重金属添加物が少ない高品位のアルミニウム合金系別で構成される第1アルミ合金からなる校正用試料と、排除の対象となるその他のアルミニウム合金系別で構成される第2アルミ合金からなる対比用試料を準備する工程と、
(2)校正用試料と対比用試料を同じ厚さに整える工程と、
(3)校正用試料および対比用試料のそれぞれにおいて試料面の複数の位置でエネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
(4)エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量をそれぞれ軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に単位面積毎の測定結果を配置する工程と、
(5)校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を透過強度平面中に画定して、透過強度平面を判定領域となる中密度領域と、高密度判定線より外側の高密度領域と、低密度判定線より外側の低密度領域に分ける工程と、
(6)対比用試料に関する測定結果の分布と対比して、高密度領域または低密度領域に含まれる校正用試料に関する測定結果の割合に基づいて校正用試料と対比用試料の選別をする第1閾値を決め、中密度領域に含まれる校正用試料に関する測定結果の割合から校正用試料であることを判定する第2閾値を決める工程と、
(7)先の工程で求めた透過強度平面における判定領域と第1閾値と第2閾値を記憶させる工程と、
を含んでなる判定基準制定工程を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るアルミ合金判別方法は、
(11)被選別試料を所定の厚さに整える工程と、
(12)被選別試料においてエネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
(13)単位面積毎の2つのX線強度測定値を、判定基準制定工程において記憶された透過強度平面における判定領域によって決められる、高密度領域と中密度領域と低密度領域に分類する工程と、
(14)判定基準制定工程において記憶された第1閾値と第2閾値に基づいて、高密度領域または低密度領域に含まれる割合が第1閾値より小さくて、中密度領域に含まれる割合が第2閾値より大きいときに、被選別試料が回収対象品であると判定する工程と、
を含むことを特徴とする。
従来のX線透過型判別方法は、たとえばアルミニウムと銅など、混在した異種金属間の選別に利用されてきた。しかし、アルミニウム合金の異なる系同士に対しては、アルミニウム合金間の透過X線強度の差は十分に大きくはないうえ、廃棄物の厚さは大きな範囲にわたって変化するため、単なる透過X線の強度差に基づいて、アルミニウム合金の成分差を検知し選別することは難しい。
これに対して、本発明のアルミ合金判別方法は、アルミニウム合金の系統によってはX線吸収率が僅かに異なること、つまりX線透過強度が低下するアルミニウム合金はいずれも銅や亜鉛などのアルミニウムより重くX線透過率の小さい金属を多く含んでいること、さらに上記のX線透過型判別方法における単位面積毎の測定結果がばらつきをもって分布すること、に注目して、校正用試料を使って得た判別領域と閾値を利用して測定値の分布の微小な統計的相違を検出することにより、鋳造材に由来するアルミニウム合金と展伸材に由来するアルミニウム合金を合金系別に判別することを可能としたものである。
本発明に係るアルミ合金判別方法では、試料の全面にわたり単位面積毎に、異なるエネルギーを有する2つのX線を照射して透過したX線強度を測定し、2種類のX線透過強度を横軸と縦軸にする座標面からなる透過強度平面上に、測定により得られたX線透過強度をプロットする。なお、これらの作業を含む判定作業は、コンピュータの中で仮想的に行えばよく、途中の過程や結果を人が見る必要はない。
ここで、異なるエネルギーを有する2つのX線は、X線線源装置から直接に照射するX線と、減衰板を透過させてエネルギーを減衰させたX線とで実現することができる。
厚みの異なる複数の試料について測定した場合、縦軸に減衰板を通って弱められたX線の強度を、また横軸に減衰板を通さない強いX線の強度を取って測定結果をプロットすると、測定のばらつきにより試料ごとのプロットはある程度分散するが、試料の厚みが厚くなるにしたがって原点から座標面の右上に向かって上に膨らむ弓形の曲線上にプロットが分布するグラフが得られる。このグラフでは、試料に含有される元素のX線透過率が低いほど座標面上で左上側に描かれ、X線透過率が高いほど右下側に描かれる。
したがって、この測定方法を用いて、選別したい材料からなる標準材料について判別用グラフを描いた上に、元素構成の異なる材料の測定点をプロットすれば、含有される元素に基づいて、多くのプロットが判別用グラフから外れた位置に現れることを利用することにより、目的外の材料であることを正しく判別することができる。
なお、単位面積とは、試料の面積を分割して測定するときに対象とする、少なくともX線センサーの1つの素子が検知する範囲を包含する適宜の面積である。
本発明に係るアルミ合金判別方法は、試料厚調整装置と、ベルトコンベアと、ベルトコンベアの上に設けた1つのX線線源と、ベルトコンベアの下にX線線源と対応して2本のX線検出リニアセンサをベルトコンベアの移動方向に直交する方向に並列に設けたX線検出器と、測定信号を用いて演算することにより試料の判別を行う判定回路とを備えるアルミ合金判別装置により実施することができる。
X線検出器は、2本のX線検出リニアセンサの一方の検出面に減衰板を置いてX線強度を減衰させることにより、2本のセンサで互いに異なるX線における透過強度を測定することができる。減衰板は、X線が透過する際にX線強度を適度に減衰させる機能を有するものであって、金属板など各種の材料を利用することができ、薄い銅板であってもよい。さらに、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、真鍮など、薄く加工可能な金属の板を測定対象に合わせて選択することができる。
このように、一方のX線照射光路に減衰板のX線透過特性を加味することにより、実質的に、被測定物を透過する2つのX線の間にエネルギー差を与えたと同じ効果をもたらすことができる。
この測定方法では、ベルトコンベアで搬送している試料にX線を照射し2本のX線検出リニアセンサで試料を透過したX線を測定した結果を用いて、演算により試料中の同じ位置に当たる単位測定面積に関する2つのX線透過強度の測定値を対応させることができる。2つの測定位置を対応させるには、ベルトコンベアが2本のX線検出リニアセンサ間の距離を走行する時間を使って距離差を補正すればよい。こうして、試料の全面にわたり単位面積毎に、強さの異なる2つのX線の透過強度を測定することができる。
異なる金属同士を判定するために有効に利用できる透過強度平面中の判定曲線は、校正用試料を使って校正することにより求めることができる。また、判定に用いる閾値は、校正用試料に係る測定値の分布および排除対象の材料で形成する対比用試料に係る測定値の分布に基づき、選別成績の良い値を試行錯誤により決定する。
厚みの異なる試料についても対応できる判定曲線を準備する場合は、厚さが異なる校正用試料を準備する。複数の試料について、エネルギーが異なる2つのX線を照射して透過したX線強度を測定して、測定結果を2つのX線の透過量を2軸とする2次元座標にプロットすると、プロットは厚さの変化に従い弓形の曲線に沿って分布する。
ただし、照射X線のゆらぎやX線透過経路のゆらぎなどのため、同じ厚さの測定点でも、X線強度の測定値は多少のばらつきを示す。そのため、グラフ上には、ある程度の幅を持ったプロット群が形成される。したがって、判定領域は、多くの測定点を包含させるため、幅を持った帯の形になるように決める必要がある。
異なる金属同士を判別するような簡単なケースでは、被判別試料の全面における測定点が100%判定領域に含まれることをもって選別対象の金属材であると判定することができる。しかし、測定点が近い位置にばらつく合金同士を対象とするときなどは、判定領域の幅をあまり大きくすると排除すべき金属が紛れ込みやすくなるので、判定領域の幅を適当に抑えた上で、両材料の差を統計的に判定する方がより信頼性が高くなる。すなわち、高密度判定線と低密度判定線に挟まれた中密度領域を判定領域として、判定領域を外れる測定点が存在しても多くの測定点が判定領域に含まれるときは、校正用試料の材質からなる材料であると統計的に判定することができる。
試料を所定の厚さに整えてアルミ合金判別する場合には、その所定厚に調整した校正用試料と、同じ厚さに調整した対比用試料を用いて判定曲線を作成する。ふたつの試料について、エネルギーが異なる2つのX線を照射して透過したX線強度を測定して、2つのX線の透過量を2軸とする2次元座標(透過強度平面)に測定結果をプロットすると、校正用試料と対比用試料ではプロットの分布する領域にずれが生じる。そこで、両者の差異を判定することができる判定領域と判断のための閾値を見出して、判定用の指標とする。
本発明のアルミ合金判別方法では、判定領域となる中密度領域に分類される測定結果の割合が統計的に求めた第2閾値(たとえば46%)より大きいことを検証することにより回収対象とするアルミニウム合金(第1アルミ合金)である蓋然性を判定し、さらに、高密度領域に分類される測定結果の割合が統計的に求めた第1閾値(たとえば24%)より小さいことを検証することにより重金属を多く含む別種のアルミニウム合金(第2アルミ合金)を排除して、合格した材料を選別対象のアルミニウム合金と判断する。
アルミニウム合金同士では、X線透過率の差が小さいのでより精密な手法を用いる必要がある。そこで、排除対象の第2アルミ合金からなる対比用試料を準備し、対比用試料に対して校正用試料と同じ測定をして、その測定結果と校正用試料に関する測定結果と対比して、判定領域の位置および第1閾値、第2閾値を調整することにより、第1アルミ合金と第2アルミ合金の間の選別性能を向上させたものである。
本発明の方法により現状で選別できるアルミニウム合金(第1アルミ合金)は、アルミニウムに重金属成分をあまり含まない、たとえば合金番号1000系のアルミニウムと、合金番号3000系、5000系および6000系の重金属を含まないアルミニウム合金であり、主として展伸材由来の廃棄物が含まれる。
これら系別のアルミニウム合金は、重金属を僅かしか含まないので、回収後融合して組成調整することにより、適宜のアルミニウム合金として再生することができる。
また、排除されるアルミニウム合金(第2アルミ合金)は、銅を数%含む合金番号2000系と亜鉛を数%含む7000系の合金である。
第2アルミ合金は、銅や亜鉛がアルミニウムよりX線を多く吸収するので、同じ厚さなら透過X線強度に関する測定結果が上記2次元座標面において、より左上側に位置することになる。
なお、ここで排除されたものは、観点を変えると、精度良く選別された第2アルミ合金である。
アルミニウム合金同士を判定するために利用する透過強度平面中の判定曲線は、校正用試料を使って校正することにより求めることができる。また、判定に用いる閾値は、校正用試料に係る測定値の分布および排除対象の材料(第2アルミ合金)で形成する対比用試料について求めた測定結果に基づいて決定する。
排除の対象となる第2アルミ合金は、第1アルミ合金よりX線透過率が低い高密度金属であるから、測定値のプロット位置は上記2次元座標面において第1アルミ合金より高密度側である左上側に偏る。
そこで、第1閾値は、第1アルミ合金に関する測定結果が統計的ゆらぎのため高密度領域に含まれる割合が大きくなる場合にも第1閾値を超えない値であって、第2アルミ合金に関しては統計的ゆらぎのため高密度領域に含まれる測定結果が減少しても第1閾値以下にならないような値であることが好ましい。
また、第2閾値は、第1アルミ合金に関する測定結果が統計的ゆらぎのため中密度領域に含まれる割合が小さくなっても第2閾値以下にならないような値を選択することが好ましい。
第2アルミ合金と対比して判定領域と閾値を決定すれば、第1アルミ合金と第2アルミ合金の間の測定結果における分布が近接している場合でも、相互間の小差を検知して、十分な確度で選別回収することができる。
なお、第1アルミ合金の判定確度をより大きくするためには、十分な回数の試行錯誤を繰り返して決めることが望ましい。
以上のように、本発明のアルミ合金判別方法は、校正用試料を使って得た判別領域と閾値を利用することにより、測定値の分布の統計的相違を検出して、アルミニウム合金の系別を判定できるようにしたものである。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るアルミ合金選別設備は、先に説明した本発明に係るアルミ合金判別装置と、他の廃棄物からアルミニウム合金を選別してX線透過型金属判別機にアルミニウム合金を供給する前処理設備を備える。
アルミ合金判別装置は、上記説明の通り、試料厚調整装置とアルミニウム合金選別を行うX線透過型金属判別機を備え、X線透過型金属判別機は、ベルトコンベアとX線線源とX線検出器と判定回路と配分装置を備える。
本発明に係るアルミ合金選別設備における前処理設備は、所定寸法以上の廃棄物を選別して供給する篩装置と、所定寸法以上の廃棄物から非金属品を排除する金属選別機と、金属選別機から供給された金属廃棄物からアルミニウムおよびアルミニウム合金を選別して供給するアルミニウム選別機を含むことが望ましい。
なお、試料厚調整装置を、金属廃棄物からアルミニウムおよびアルミニウム合金を選別するために使用するX線透過型金属判別機の上流に配置した場合は、アルミニウム合金同士の選別を行うX線透過型金属判別機の直前に置いた試料厚調整装置は省略することができる。
また、アルミニウム選別機としてX線透過型金属判別機が適しており、2連のX線センサの出力を用い、ベルトコンベアの搬送距離に基づいて、試料の同じ位置における単位面積毎の透過X線の強度を算定し、単位面積毎の2つのX線強度を、アルミニウムおよびアルミニウム合金の校正用試料を用いて予め校正して求めたアルミニウムとアルミニウム合金を他の金属から選別できるようにしたアルミニウム領域から外れたときにアルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属と判定して排除するものであることが好ましい。なお、前処理装置に設けるX線透過型金属判別機は、粗い選別を行うものであり、処理対象には硬い金属類も含まれることがあるので、厚みを調整しない試料を直接扱っても良い。
本発明のアルミ合金判別方法とこれを用いたアルミ合金選別設備は、廃棄物からアルミニウムとアルミニウム合金を選別して得られたアルミスクラップを供給して、展伸材由来のアルミ合金や鋳造材由来のアルミ合金を合金系別に選別して回収することにより、アルミニウム回収におけるエネルギーと作業工程を著しく節減させることができる。
本発明の1実施形態に係るアルミ合金判別方法を実施する金属選別機の構成を概念的に説明する斜視図である。 本実施形態のアルミ合金判別方法においてX線透過状態を測定する原理を説明する図面である。 本実施形態のアルミ合金判別方法における測定結果を求める手法を説明する図面である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法において校正用試料の測定値をプロットした例を示す図面である。 アルミ合金判別方法により銅とアルミを選別する原理を示す図面である。 アルミ合金の化学成分表である。 排除対象のアルミ合金について試行した測定結果をプロットしたグラフである。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法において判定に使う領域と閾値を決める原理を説明する図面である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法におけるアルミ合金の判定結果例を示す表である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法において校正用試料の測定値を分類した状態を示す図面である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法においてプレスにより試料の厚みを一定化する効果を確認するための試験結果例を示す表である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法における判定基準を決める手順を説明する流れ図である。 本実施形態に係るアルミ合金判別方法における判定手順を説明する流れ図である。 本発明の1実施形態に係るアルミ合金選別設備の処理手順を表す流れ図である。
以下、本発明に係るアルミ合金判別方法及びアルミ合金選別設備について、実施形態に基づき図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の1実施形態において使用するX線透過型金属判別機の構成を概念的に説明する斜視図である。
本実施形態に係るアルミ合金判別方法は、金属が元素番号の大きいほどX線透過率が小さいことを利用して金属の種別を判定するもので、図1に示すようなX線透過型金属判別機を使用することにより実施することができる。本実施形態におけるX線透過型金属判別機は、1対の回転ローラ31,33を備えたクラッシャーなどの試料厚調整装置と、試料21を搬送するベルトコンベア1と、ベルトコンベア1の上方に設けたX線線源3と、ベルトコンベア1の下に設けて試料21を透過してきたX線の強度を測定する2連のX線センサ5と、測定信号を用いて演算することにより試料の判別を行う判定回路7とを備える。
被測定対象の試料27は、間隙を調整した1対の回転ローラ31,33の間でプレスされて所定の厚さを有する試料29となってベルトコンベア1の上に供給される。
2連のX線センサ5は、第1X線検出リニアセンサ9と第2X線検出リニアセンサ11を平行に配置したもので、第1X線検出リニアセンサ9はX線入射面に金属板(減衰板)13をかぶせて試料21を透過したX線を弱化させて強度測定するようになっている。2つのX線検出リニアセンサ9,11は同じ型式のセンサで、X線検出素子を線上に並べ、各素子の測定結果を走査して順次出力する構造を有する。各素子は、素子毎に測定位置が決まっており、試料21の単位面積部分を透過して来たX線の強度に応じた測定信号を出力する。
試料21はベルトコンベア1により移動しているので、X線検出リニアセンサ9,11は、試料21の全面積にわたって透過X線強度を測定することになる。
なお、減衰板を透過して弱化したX線を検出する第1X線検出リニアセンサ9と減衰板を透過しない強いX線を検出する第2X線検出リニアセンサ11の測定位置を対応させやすくするために、X線検出リニアセンサ9,11は、ベルトコンベア1の移送方向と直交するように配置することが好ましい。
X線線源3から放射されるX線15は、ベルトコンベア1上の試料21が搭載される領域を広く照射するが、X線検出リニアセンサ9,11が検出するX線は、線上に並んだ検出素子列に入射するX線に限られるので、照射X線はスリット光17,19とみなすことができる。また、第1X線検出リニアセンサ9に入射するX線は金属板13のX線吸収特性により変成されるので、X線スリット光17,19は実質的に互いに特性の異なるX線で形成されたものとみなすことができる。
図2と図3は本実施形態で使用するX線透過型金属判別機において、試料21上のある点におけるX線透過状態を検知する手法を説明する図面である。
X線透過型金属判別機は、金属の元素番号が大きいほどX線透過率が小さくなることを利用して、金属の種別を判定する。
本実施形態では試料を試料厚調整装置に掛けて所定の厚さに調整して、異なる特性を有するX線を照射して得た2つの透過X線強度測定結果を用いて厚みの影響を軽減する手法を利用している。また、X線の測定ではX線放射のゆらぎやX線測定のゆらぎが無視できないため、1つの試料について多数の測定を行い、結果を統計的に処理することにより信頼性を確保している。
図2および図3に示すように、装置に供給される試料27は、回転ローラ31,33で厚みを整えた上でベルトコンベア1に供給され、X線センサ5の位置に運ばれる。
X線センサ5の第1X線検出リニアセンサ9が試料21のある位置23におけるX線透過状態を測定した後に、第2X線検出リニアセンサ11がベルトコンベア1により移動してきた試料21の元の位置23に対応する位置25におけるX線透過状態を測定する。
第1X線検出リニアセンサ9が位置23におけるX線透過状態を測定した時点から、センサ列の間隔Dをベルトコンベア1の速度vで割って得られる所定の時間Δだけ経過した後に第2X線検出リニアセンサ11で位置25におけるX線透過状態を測定することにより、試料21中の同じ位置について2つの異なる強度のX線を照射したときのそれぞれのX線透過強度測定値を取得することができる。
対象とする試料21について2つの異なるX線を照射して得た各単位面積毎のX線透過強度の測定値を、試料の全面積にわたり所定の透過強度平面にプロットする。
ここで、透過強度平面とは、弱化したX線を検出する第1X線検出リニアセンサ9が測定した透過X線強度(弱)を縦軸に、強いX線を検出する第2X線検出リニアセンサ11が測定した透過X線強度(強)の測定出力を横軸にした2次元座標面である。透過強度平面の縦軸は、X線検出センサを金属板13でカバーすることにより実質的に弱いX線を照射した場合に対応させたものである。透過強度平面のスケールは、横軸および縦軸、いずれも、それぞれのセンサの検出範囲と整合させている。したがって、縦軸と横軸の目盛りは物理単位と直接の関わりはない。
図4は、この測定値における厚みの影響を見るため、サッシ材として多用される合金番号6063のアルミニウム合金について厚み1mm,3mm,7mm,12mm,25mmとした5つの校正用試料を準備し、これら試料にX線を照射して、第1X線検出リニアセンサと第2X線検出リニアセンサで測定した結果を、試料全面について、透過強度平面にプロットしたものである。
なお、図4等のグラフでは、第1X線検出リニアセンサによる測定値と第2X線検出リニアセンサによる測定値について、X線が全く透過しない状態が零点となり、ベルト上にX線を遮蔽する試料が載っていない状態の測定値がフルスケール位置にくるように正規化して表示している。
測定結果は照射X線のゆらぎやX線透過経路のゆらぎなどのためばらつきを持つため、測定結果のプロットは塊状に分布するが、試料の厚い方から薄い方に向かって、原点と右上の端点を結ぶ弓形の曲線にそって分布することが分かる。
このように、合金番号6063のアルミニウム合金で作られたサンプルの測定値は、厚みにつれて図4に表された弓形曲線に沿って変化する。
ここで、測定値のばらつきを考慮し、弓形曲線に高密度判定線と低密度判定線とで挟まれた判定領域を設定することによって、合金番号6063のアルミニウム合金の測定値の大部分が判定領域に含まれるようにすることができる。
なお、試料のアルミニウム合金より原子量が大きくX線透過率の小さい材料の測定結果は、強度が異なる2つのX線におけるX線透過量の差が大きくなるため、図に示された弓形曲線より左上側にプロットされ、原子量が小さくX線透過率の大きい材料では弓形曲線の右下側にプロットされる。
したがって、たとえば銅のようにアルミニウム合金とX線透過率が異なる金属であれば、上記の手法により2つの金属を区別することができる。
図5は、各種のアルミニウム合金で作成した試料について測定した結果と、銅の試料について同じ手順で測定した結果を、同じ透過強度平面上に一緒にプロットした図面である。
図に見るように、銅の測定結果はアルミニウム合金の測定結果より透過強度平面上左上側に大きくそれていて、アルミニウム合金のための判定領域に含まれる割合は小さい。
このように、測定結果が判定領域にある程度含まれはするが、比較的高い確率でアルミニウム合金と銅とを判別することができるので、このX線透過型判別方法は、混在した異種金属間の選別に利用されてきた。しかし、アルミニウム合金の異なる系同士に対してはX線透過率の差が小さいため適用が困難であった。
ところが、発明者らの研究の結果、アルミニウム合金についても、添加された重金属の存在を利用し、上記のX線透過型判別方法に今般開発したさらに綿密な判定手順を適用することにより、用途に対応する種別間で区別することができることが判明した。
図6は、アルミ合金の化学成分表である。表は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の系別を代表する合金について、合金の種類毎に決められた化学成分を表している。
図6の表によると、合金番号1050のアルミニウムはもちろん、熱交換器用材などに用いられる合金番号3003、建築用サッシなどに用いられる合金番号6063、溶接構造材などに使用される合金番号5083のアルミニウム合金は、アルミニウムより原子量が大きい重金属の含有量が少ないことが分かる。
一方、ジュラルミンの名称で知られる合金番号2024には銅が3.8〜4.9%含まれること、溶接構造用材料となる合金番号7N01には亜鉛が4.0〜5.0%含まれることが示されている。
このように、1000系のアルミニウムおよび6000系、3000系、5000系のアルミニウム合金は、アルミニウム以外の金属をあまり含まないので、回収後互いに混合しても、合金母材として適宜の金属を混入して成分調整することにより、広く各種のアルミニウム合金を得ることができる。
なお、合金番号6063は、サッシとして大量に廃棄されるので、まとめて回収すれば簡単な処理でサッシ用の展伸材として再利用することができる。
そこで、重金属をあまり含まないアルミニウムおよびアルミニウム合金の群を回収対象として第1アルミ合金と呼び、重金属を含むアルミニウム合金の群を排除対象として第2アルミ合金と呼んで区別するものとすると、第1アルミ合金と第2アルミ合金では、重金属の含有量が異なるためX線透過率が異なり、先のアルミ合金判別方法を適用したときに、測定結果のプロットが透過強度平面上僅かに偏る。
図7は、第2アルミ合金の代表として、合金番号2024について、先に説明した手順で測定した結果を透過強度平面にプロットした結果を示す。図面には、図4に示した合金番号6063に適合する判定領域が記入されている。
図7によると、合金番号2024の測定結果のプロット群は、合金番号6063のものより僅かに左上側、すなわち高密度側にずれていることが分かる。
しかし、合金番号2024の測定結果は、プロットの多くが合金番号6063の判定領域に含まれていて、先のアルミ合金判別方法では単純に両者の別を判定することはできない。
そこで発明者らは鋭意研究を行うことにより、対象とするアルミ合金を限定し、統計的な観点を取り込んで判定領域と判定水準を適宜に調整することにより、判定を可能にすることができた。
図8は、本実施形態のアルミ合金判別方法において判定領域と判定のための閾値を決める原理を概念的に説明する図面である。
本判別方法により1つの試料を測定したとき、試料全面にわたる測定結果は、X線照射やX線測定におけるゆらぎなどのため変動して、正規分布で表せるような中央の確率が高く周辺の確率が低い分布を示す。第1アルミ合金には組成の異なる複数のアルミニウム合金が含まれるので、合金ごとに測定結果がばらついて、図中に複数の実線で示すように互いに僅かにずれた分布を示す。
一方、第2アルミ合金は重金属を含有するため第1アルミ合金よりX線透過率が小さくなり、図中に破線で表わすように、高密度側に偏った測定結果分布を示す。なお、第2アルミニウム合金も、第1アルミ合金と同様、組成の変化に伴い分布がずれる。
そこで、測定したアルミ合金試料が、第1アルミ合金と第2アルミ合金のいずれに属するものであるかを、測定結果の分布状態から統計的手法によって判定することが好ましい。最も順当な統計的手法として、分布の平均値や中央値に基づいてどちらの群に属するかを判定する方法を使用することができる。しかし、本実施形態では、本発明者らが開発した、アルゴリズムが単純で即断性に優れた方法を用いて、オンラインで高速に測定して判定することを可能にした。
本実施形態で用いる統計的手法では、第1アルミ合金の標準試料に係る測定結果を透過強度平面にプロットしたときの分布状態に基づいて、組成の差とX線測定の不確定性に基づくゆらぎを勘案した上で、第1アルミ合金と判定するための判定領域を定める。図に示すように、判定領域の高密度側境界値を高密度判定線、低密度側境界閾値を低密度判定線と呼び、高密度判定線より高密度側を高密度領域H、低密度判定線より低密度側を低密度領域L、両者に挟まれた判定領域を中密度領域Mと呼ぶ。
弁別対象合金で形成された被測定試料について、多数回測定して得られた結果のプロットが高密度領域Hに含まれる高密度割合と、中密度領域Mに含まれる中密度割合を求めて、これらの割合に基づいて合金の種類を判定するようにする。
このため、標準サンプルや比較試料に関する実測結果の分布状態を観察し、第1アルミ合金の測定が高密度側にゆらいでも、第2アルミ合金とは区別できるような高密度割合を見いだして第1閾値とする。さらに第1アルミ合金の測定結果が低密度側にゆらいでも、アルミニウムより軽い金属やプラスチックスなどではないと判定できるような中密度割合を見いだして、第2閾値とする。
そして、廃棄物片から第1アルミ合金を選別するときは、対象とする廃棄物片の全面について測定した結果から高密度領域Hに含まれる測定点の割合を算出する。
高密度領域Hに含まれる測定点の割合が第1閾値より小さい場合には、廃棄物片は第2アルミ合金ではなく、第1アルミ合金である可能性が高い。さらに、中密度領域Mに含まれる測定点の割合が第2閾値より大きければ、第1アルミ合金より低密度のプラスチックスなどである可能性を排除することができる。
本実施形態のアルミ合金判別方法では、強弱2つのX線の透過強度を強弱の組み合わせとして捉えて、透過強度平面上で高密度領域Hと中密度領域Mと低密度領域Lに分類し、それぞれに属する測定点の割合を閾値と比較することにより判定するものであるから、判定のアルゴリズムは単純で演算手数は簡単であって、オンラインで即座に判定することができる。
また、X線透過強度の測定結果に対して2つの基準を用いて判定することにより、第1アルミ合金を高い確度で判別することができる。
なお、判定領域を規定する高密度判定線と低密度判定線および第1閾値と第2閾値は、判定成績を左右する重要な指標であるが、透過強度平面における測定点分布をどのように規定するかによって変化する。またこれらの指標は、判別対象群や判別装置などによっても変化するので、実際に使用する構成について試行錯誤により求める必要がある。
図9は、各種組成の標準試料について、本実施形態のアルミ合金判別方法を適用したときに、測定結果が各領域に含まれた割合を示した表である。試料の厚みは、1mmから30mmまで、いろいろである。表に示した数値は、測定結果から測定点が高密度領域(H)と中密度領域(M)と低密度領域(L)のそれぞれに含まれた割合を示す。
測定対象の試料はすべて選別対象となる第1アルミ合金でできているので、これらのデータをすべて含む条件で判定をする必要がある。このためには、判定領域となる中密度領域(M)の範囲を適当に決めるが、それだけでは正確な判定が難しいので、測定結果の分布に係る指標を取り込んでいる。
本実施形態では、中密度領域(M)に含まれる第1アルミ合金測定結果の割合は、すべてのケースで、46%以上となっている。しかし、排除したい第2アルミ合金である合金番号2024と合金番号7N01について測定した結果をみると、ほとんどのケースで46%以下になっているが、46%を超えるケースも存在する。
一方、第2アルミ合金では高密度領域(H)に含まれる測定結果の割合が大きく、測定結果の分布がゆらいでも、その値が24%までは低下しないことが確認できた。
このように、中密度領域(M)に含まれる割合について下限を定める第2閾値を46%とする上に、高密度領域(H)に含まれる測定点の割合について上限を定める第1閾値を24%に設定して、2つの基準を満たすことを条件とすることにより、第1アルミ合金と第2アルミ合金を区別することができることが分かった。
図9の最下欄には、選別対象合金と排除対象合金の試料を用いて試行錯誤により選択された閾値を用いて判定した結果、合金種の全試料が第1アルミ合金とされた場合に○、第2アルミ合金とされた場合に×を記入している。
第1アルミ合金に含まれる合金番号1000,3003,5083,6063はすべて条件を満たして第1アルミ合金と判定され、第2アルミ合金に含まれる合金番号2024と7N01はすべて条件を満たさず第2アルミ合金と判定されている。このように、本実施形態の判別方法において適正な閾値を使うことにより、試行対象の試料をすべて第1アルミ合金と第2アルミ合金に正しく選別することができた。
上記標準試料を用いたアルミ合金判別方法において妥当な判定領域と適正な閾値を利用することにより、それぞれを合金番号6031などの第1合金と鋳造合金とに的確に選別することができることが分かった。この方法により、緻密で均等な形状の試料における厚みの影響は補正可能であるが、さらに厳密には、厚みが不連続であったり湾曲や空隙が存在したりするような不定形の試料の場合には、試料におけるX線透過距離等の変動が透過したX線の強度を変動させて測定点を領域別に分類する場合に誤りを生じさせることがあり、判別精度が低下する要因になる。また、図4などに示したように、高密度判定線や低密度判定線は厚みの変化にしたがって変化するので、判定アルゴリズムが複雑になる。
このため、本実施形態では、図1などに示したように、回転ローラ31,33でなる試料厚調整装置を備えて、選別する試料をX線センサに掛ける前にプレスして試料の最大厚みが所定の厚さになるように調整するようにしている。対象物がほぼ所定の厚み程度になされ、測定時における姿勢も一律になり、透過したX線強度が基本的に材質の相違のみに依存するため、判別精度が向上する。
図10は、所定の厚さに調整した試料について判別状況を説明する概念図である。
たとえば、厚さが3mmになるように試料をプレスした後に試験に供するようにした場合、第1X線検出センサ9と第2X線検出センサ11から得られる測定値に基づいて測定点の位置を透過強度平面にプロットすると、6000系の試料については中密度領域(M)を中心にして高密度領域(H)と中密度領域(M)に洩れるように分布し、7000系の試料については高密度領域(H)に分布の中心をおいて中密度領域(M)に跨るように分布する。
測定点の分布は試料の厚さに応じた比較的狭い所定の領域に限られ、また、分布の幅もゆらぎが少なく高密度判定線や低密度判定線および第1閾値や第2閾値が決め易くなり、判定の精度が向上する。また、高密度判定線や低密度判定線は、狭い領域内では直線近似することにより、判定アルゴリズムにおける演算負荷が減少する。
図11は、プレスにより試料の最大厚みを一定化する効果を確認するための試験結果を表した表である。
試験では、回収したい第1合金として合金番号6063の厚さ70mm−10mm程度のサンプル60個、合金番号6063に樹脂が付いたサンプル6個、および、これと対比する排除したいビス付き合金番号6063のサンプル6個、排除したい第2合金のアルミ鋳物のサンプル6個、排除したい鉄や亜鉛などのサンプル42個の合計120個のサンプルを用意した。これらサンプルを、試料厚調整装置を通さず原形のままアルミ合金判別装置に掛けた場合(第1ケース)、試料厚調整装置で10mm厚にした後でアルミ合金判別装置に掛けた場合(第2ケース)、及び3mm厚にした後でアルミ合金判別装置に掛けた場合(第3ケース)の回収率及び品位を比較した。
この結果、回収目的のサンプル66個のうち、第1ケースでは、第1合金に分類されたものが36個、第2合金に分類されたものが16個、非アルミに分類されたものが14個となったのに対して、第2ケース(10mm)では、第1合金に分類されたものが53個、第2合金に分類されたものが6個、非アルミに分類されたものが7個、第3ケース(3mm)では、第1合金に分類されたものが55個、第2合金に分類されたものが5個、非アルミに分類されたものが6個となった。
これに対して、排除したいビス付きのサンプルと鉄や亜鉛などのサンプルは、全てのケースで正しく判定されている。また、アルミ鋳物のサンプル6個は、第1ケースでは全てが第2合金と正しく判定された。なお、第2ケースでは2個が第1合金と誤判定され、第3ケースでは1個が第1合金と誤判定されたが、誤判定は試料の厚み調整に関わらない理由による可能性が高い。
以上の結果、回収目的のサンプルをアルミと判定して回収し得た割合(回収率)が、第1ケースのプレス前のサンプルを対象にすると78.7%であったのに対して、第2ケースの10mm厚に調整した場合で89.4%(向上率11.7%)、第3ケースの3mm厚のときに90.9%(向上率12.2%)であった。
また、回収目的を第1合金(合金番号6063)として回収し得た割合は、第1ケースで54.5%であったのに対して、第2ケースで80.3%(向上率25.8%)、第3ケースで83.3%(向上率28.8%)であった。
なお、第1合金と判定したサンプルに他の金属類が混入すると回収した廃棄物の品位が低下するが、上記試験の結果では回収物の品位は、第1ケースで純度100%であったのに対して、第2ケースでは鋳物が混入したため96.4%、第3ケースでは同じく98.2%であった。
このように、試料厚調整装置を用いて試料の最大厚さを所定の値に整えた後で判別装置に掛けるようにすることで、試料の厚さによる判定のゆらぎを抑えて判定精度の顕著な向上が期待できることが分かった。さらに、試料厚調整装置は、試料内部の質を均一化し、試料表面に付着していた不純物を剥離することによって、判定精度を向上させる効果も有する。
したがって、本実施形態のアルミ合金判別方法および選別設備では、X線透過率を測定する前に試料をプレスして厚みを一定にする工程を備えるようにした。
図12と図13は、上記手法を利用した本実施形態のアルミ合金判別方法の手順を説明するフロー図である。図12は、X線透過強度の測定結果を用いて判定するために予め求めておく判定基準を決める手順、また、図13は、個々の対象物について回収と排除の判定をする手順を説明している。
本実施形態のアルミ合金判別方法では、廃棄物について判定を行う前に、判定基準を決定する。判定基準は判定領域を画定する高密度判定線と低密度判定線、および第1閾値と第2閾値により定まる。その後に、判定対象試料について測定し、判定基準に従って判定する。
判定基準を決定するためには、まず、所定の厚さを有する第1アルミ合金製校正用試料と第2アルミ合金製対比用試料を準備する(S11)。プレスなどの試料厚調整装置により対象物の厚さを一定に調整する場合は、その厚さの校正用試料と対比用試料を準備すればよい。また、適宜な形状を有する試料は、試料厚調整装置によって所定の最大厚さを有する板状に形成することができる。
準備した校正用試料と対比用試料を順次X線透過型金属判別機にかけて、エネルギーの異なる2つのX線を照射して単位面積毎の透過X線強度を測定する(S12)。単位面積毎の測定結果に基づいて測定点を、図10に示したように、透過強度平面にプロットする(S13)。透過強度平面は、2つの透過X線強度を2つの軸とする2次元座標面である。なお、測定結果を透過強度平面に配置する工程及びその結果は、人の目に届く必要はなく、コンピュータの中で行えばよい。
厚みの異なる複数の校正用試料を用いた場合は、測定結果をプロットした透過強度平面において、測定結果の分布濃度が大きな領域を結ぶことにより帯状になった判別領域を画定することができる(S14)。また、試料の厚さを一定に調整する場合は、多数の測定位置における結果から透過強度平面における分布状態を観察して、分布の濃い部分を囲む領域を画定して判別領域とする。
ついで、判別領域を挟む高密度判定線と低密度判定線を引いて、透過強度平面を、高密度判定線と低密度判定線に挟まれた中密度領域Mと、高密度判定線の外側の高密度領域Hと、低密度判定線の外側の低密度領域Lとに分ける(S15)。
対比用試料測定結果の分布と対比して、高密度領域Hに含まれる校正用試料の測定結果の割合に基づいて校正用試料と対比用試料の選別をする第1閾値を決める(S16)。ついで、中密度領域Mに含まれる校正用試料の測定結果の割合から第1アルミ合金であることを判定する第2閾値を決める(S17)。
こうして、X線透過型金属判別機により被選別試料の仕分けを行うための判定基準を決める。
測定条件に対応する判定基準が決まった後に、対象とする被選別試料について測定して判定を行う。
図13に示す通り、被選別試料は、X線透過型金属判別機に設けられた試料厚調整装置により一定の厚さの試料に調整してベルトコンベアの上に供される(S21)。ベルトコンベアに搭載されX線センサの位置まで搬送された試料は、移動中に2つの実質的に異なるX線スリット光に照射され、適当な大きさの単位面積毎の透過X線強度が測定され、出力される(S22)。
試料の全域にわたる多数の測定点で測定された単位面積毎の2つのX線強度測定値の組に基づき測定点の透過強度平面上の位置を高密度領域Hと中密度領域Mと低密度領域Lに分類する(S23)。測定点が高密度領域Hに含まれる割合が先に定めた第1閾値より小さくて、中密度領域Mに含まれる割合が先に定めた第2閾値より大きいときには(S24)、被選別試料が回収対象品であると判定する(S25)。また、この条件のいずれかが満たされない場合は、被選別試料は排除すべき物と判定する(S26)。
被選別試料の判定をした後に、被選別試料が残っていれば判定工程の初めに戻って判定を繰り返し、すべての被選別試料について判定が済んだら、作業を終了する(S27)。
図14は、本発明の1実施形態に係るアルミ合金選別設備における処理手順の流れを説明する流れ図である。
従来、迅速かつ大量にアルミニウムおよびアルミニウム合金と他金属を選別するアルミ合金選別設備はあったが、アルミニウム合金を迅速かつ大量に合金系を区分して選別する技術は見られなかった。
本実施形態のアルミ合金選別設備は、上記説明したアルミ合金判定方法を利用したX線透過型金属判別機を組み込んで、市中から回収された廃棄物などから得られるミックスメタルから選別して得たアルミニウム合金破砕片をさらに選別して、いわゆるアルミニウム合金展伸材を回収するものである。
本実施形態のアルミ合金選別設備に使用するX線透過型金属判別機は、試料厚調整装置とベルトコンベアとX線線源装置とX線センサと判定装置と分配装置を備える。
試料厚調整装置は、供給されたアルミニウムおよびアルミニウム合金の被選別試料を一定の厚みに調整してベルトコンベアの上に送り出す。
ベルトコンベアは、試料厚調整装置から供給される被選別試料をX線センサの位置を通って分配装置まで搬送する。
X線線源装置は、ベルトコンベアの上方に設けられる。
X線センサは、ベルトコンベアの下に設けられ、X線線源装置で放射され被選別試料を透過してきたX線の強度を測定する2本のX線検出リニアセンサを並列に並べたものであって、一方のX線検出リニアセンサには金属板がかぶせられていて、被選別試料を透過したX線がさらに金属板を透過して弱化したX線の強度を検出するようになっている。
判定装置は、第1アルミ合金の校正用試料を用いて予め校正して求めた第2アルミ合金との選別を可能とする高密度領域と中密度領域と低密度領域、および第1閾値と第2閾値を付属する記憶装置内に記憶している。
判定装置は、実質的に強度の異なるX線の透過強度を検出した2連のX線センサの出力を入力して、X線検出リニアセンサの距離とセンサベルトコンベアの搬送速度に基づいて、2つのX線について試料の同じ位置における単位面積毎の透過強度を算定する。単位面積毎の2つのX線透過強度に基づいて、2つの透過強度を軸とする透過強度平面に測定点を配置する。透過強度平面は、高密度領域と中密度領域と低密度領域とが設定されている。
透過強度平面における測定点の位置を、高密度領域と中密度領域と低密度領域とに分類する。その結果、全体の測定点数に対して高密度領域に含まれる測定点の割合が所定の第1閾値より小さくて、中密度領域に含まれる割合が所定の第2閾値より大きいときに、第1アルミ合金と判定する。測定された試料がベルトコンベアの終端位置に到達したときに、判定結果に従って第1アルミ合金を第1貯留槽に、他のアルミ合金を第2貯留槽に分配させる指令を発生する。
分配装置は、判定装置の指令に従ってエアノズルを駆動するなどして試料を選別対象側と非対象側の貯留槽に分配する。
本実施形態のアルミ合金選別設備は、篩と渦電流金属選別機と第1と第2の2式のX線透過型金属判別機を備えて、篩で選別した10mm角以上の破砕片に対して、3段階の選別を施して、アルミニウム合金展伸材を回収する。
図12を参照すると、アルミニウムの他に、鉄、銅、ゴム、プラスチックスなどを含んで構成される市中スクラップから得られるミックスサンプルは、篩にかけて10mm角以上の大きさを持った破砕片を選別する。10mm角以下の細かい破砕片は選別機で精度よく分離することが難しいので、除去する。
篩で10mm角以上の破砕片に整えられたミックスサンプルは、1段階目の選別として渦電流金属選別機にかけて、ゴムや木くずや樹脂などの非金属類を除去し、各種金属だけで構成されるミックスメタルを選別する。
選別されたミックスメタルは、2段階目の選別としてアルミ選別用に条件設定された第1X線透過型金属判別機にかけることにより、アルミ以外の金属と大きな異物が付いたアルミニウム類を除去して、アルミニウムおよびアルミニウム合金の破片で構成されるアルミスクラップを分離する。
アルミニウム類のみが集合したアルミスクラップは、3段階目の選別として、先に説明した本発明のアルミ合金判別方法に従って、試料厚調整装置を用いて最大厚さを所定の値に整えたアルミ板に変成された後に、X線透過量に基づいて合金系別の選別ができるように構成された第2X線透過型金属判別機にかけることにより、合金番号6063などのアルミニウムより重い金属成分が少ないアルミニウム合金を分離して回収する。
なお、試料厚調整装置は、第1X線透過型金属判別機の前に設置して、第1X線透過型金属判別機における判別工程から試料を等厚の板状に形成して供給し、メタルミックスからアルミニウムおよびアルミニウム合金を精度よく選別するようにしても良い。
本実施形態のアルミ合金選別設備は、合金番号6063等のアルミニウム合金を展伸材主原料として十分利用できる高い品位で回収することができる。再生された合金番号6063のアルミニウム合金は、展伸材として、たとえば窓枠サッシとして再利用することができる。
なお、最後の3段階目の選別で得られるアルミニウム合金には、1000系、3000系、5000系、6000系のアルミニウム合金も混入する可能性があるが、これらの成分はいずれもアルミニウム以外の成分金属の含有量が小さく、合金番号6063の再生工程において歩留り向上に資するので、混在させても特に支障がない。
最後に除去されるアルミニウム合金は、2000系や7000系のアルミニウム合金やアルミダイキャストである。これらのアルミニウム合金は、鋳造材として再生利用することができる。
なお、本発明のアルミ合金判定方法およびこれを使用したアルミ合金選別設備は、合金番号6063の再生に限らず、1000系、3000系、5000系のアルミニウム合金を目的として判別するようにすることもできる。また、逆の観点からすると、2000系や7000系のアルミニウム合金を精度良く判別することも可能にするものでもある。
本発明に係るアルミ合金判定方法およびこれを使用したアルミ合金選別設備は、アルミ合金廃棄物から展伸材を選択的に回収することができるので、回収したアルミ類を展伸材として再生することを可能として再利用先を拡大し、かつ、展伸材の再生工程における溶融エネルギーと作業工程を著しく節減させることができる。
1 ベルトコンベア
3 X線線源
5 X線センサ
7 判定回路
9 第1X線検出リニアセンサ
11 第2X線検出リニアセンサ
13 金属板
15 照射されるX線
17,19 X線スリット光
21 試料
23,25 測定位置
27,29 試料
31,33 回転ローラ

Claims (7)

  1. 回収の対象となる重金属添加物が少ないアルミニウム合金系別で構成される第1アルミ合金からなる校正用試料と排除の対象となるその他のアルミニウム合金系別で構成される第2アルミ合金からなる対比用試料を準備する工程と、
    前記校正用試料と前記対比用試料を同じ最大厚さを有する板状に整える工程と、
    前記校正用試料および前記対比用試料のそれぞれにおいて試料面の複数の位置でエネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記単位面積毎の測定結果を配置する工程と、
    前記校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を前記透過強度平面上に画定して、該透過強度平面を前記判定領域となる中密度領域と、前記高密度判定線より外側の高密度領域と、前記低密度判定線より外側の低密度領域に分ける工程と、
    前記対比用試料に関する測定結果の分布と対比して、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる前記校正用試料に関する測定結果の割合に基づいて前記校正用試料と前記対比用試料の選別をする第1閾値を決め、前記中密度領域に含まれる前記校正用試料に関する測定結果の割合から前記校正用試料であることを判定する第2閾値を決める工程と、
    先の工程で求めた前記透過強度平面における判定領域と第1閾値と第2閾値を記憶させる工程と、
    を含んでなる判定基準制定工程を備えるアルミ合金判別方法。
  2. さらに、被被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整える工程と、
    前記被選別試料において前記エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    前記測定された単位面積毎の2つのX線強度測定値を前記高密度領域と前記中密度領域と前記低密度領域に分類する工程と、
    前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる割合が前記第1閾値より小さくて、前記中密度領域に含まれる割合が前記第2閾値より大きいときに、前記被選別試料が回収対象品と判定する工程とを含む、
    請求項1記載のアルミ合金判別方法。
  3. 前記エネルギーの異なる2つのX線に係る測定手順は、1つのX線線源により被測定物を照射して、該被測定物を透過したX線を2本のX線検出リニアセンサにより測定するものであって、該X線検出リニアセンサの1本に一部のX線を吸収する減衰板をかぶせることにより、強度の異なるX線を照射したと同様の効果をもたらすことを特徴とする請求項1または2記載のアルミ合金判別方法。
  4. アルミニウムおよびアルミニウム合金の被選別試料を受け入れて最大厚さを一定に調整して供給する試料厚調整装置と、
    該試料厚調整装置から供給された前記被選別試料を搬送するベルトコンベアと、
    該ベルトコンベアの上方に設けたX線線源装置と、
    前記ベルトコンベアの下に設けて透過してきたX線の強度を測定する2本のX線検出リニアセンサを並列に並べた2連のX線センサであって、一方のX線検出リニアセンサはセンサにかぶせた減衰板を透過させてX線強度を弱化させて検出するようにしたX線検出器と、
    前記2連のX線センサの出力を用い、前記ベルトコンベアの搬送距離に基づいて、試料の同じ位置における単位面積毎の透過X線の強度を算定し、単位面積毎の2つのX線強度に基づいて測定点を透過強度平面に配置し、該測定点が重金属添加物が少ないアルミニウム合金系別で構成される第1アルミ合金の校正用試料を用いて予め校正して求めたその他のアルミニウム合金系別で構成される第2アルミ合金との選別を可能とする高密度領域と中密度領域と低密度領域とのいずれに属するかを分類して、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる割合が所定の第1閾値より小さくて前記中密度領域に含まれる割合が所定の第2閾値より大きいときに、前記第1アルミ合金と判定し、測定された試料が前記ベルトコンベアの終端位置に到達したときに前記判定結果に従って第1アルミ合金を第1貯留槽に他のアルミ合金を第2貯留槽に分配させる指令を発生する判定装置と、
    該判定装置の指令に従って前記試料を選別対象側と非対象側に分配する分配装置と
    を有するアルミ合金判別装置。
  5. 請求項4記載のアルミ合金判別装置を備え、
    さらに、アルミニウムおよびアルミニウム合金の廃棄物を他の廃棄物から選別して回収し、前記アルミ合金判別装置の試料厚調整装置に供給する前処理設備と、
    を備えるアルミ合金選別設備。
  6. 前記前処理設備は、
    篩い分けして供給される所定寸法以上の廃棄物から非金属品を排除して金属廃棄物を供給する金属選別機と、
    該金属選別機から供給された金属廃棄物からアルミニウムおよびアルミニウム合金を選別して供給するアルミニウム選別機を含む、請求項5記載のアルミ合金選別設備。
  7. 前記アルミニウム選別機は、2連のX線センサの出力を用い、ベルトコンベアの搬送距離に基づいて、試料の同じ位置における単位面積毎の透過X線の強度を算定し、単位面積毎の2つのX線強度を透過強度平面に配置して、アルミニウムおよびアルミニウム合金の校正用試料を用いて予め校正して求めた判別曲線より高密度の領域に配置されたときにアルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属と判定して排除するX線透過型金属判別機である、請求項6記載のアルミ合金選別設備。
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