JP2014215051A - アルミ合金判別方法およびアルミ合金判別設備 - Google Patents

アルミ合金判別方法およびアルミ合金判別設備 Download PDF

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藤 由 章 加
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茂 紀 神ノ田
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口 智 弘 山
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Abstract

【課題】被選別試料をアルミニウム合金の系統別に精度良く判別することができるアルミ合金判別方法を提供する。
【解決手段】アルミ合金判別方法は、第1判別工程および第2判別工程を備えている。第1判別工程においては、被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを、被選別試料を透過したX線の強度を測定することによって判別する。第2判別工程においては、被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むかどうかを、被選別試料から放出される蛍光X線の強度を測定することによって判別する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金を合金系統別に判別する方法に関する。特に本発明は、銅などの第1の添加元素を含むアルミニウム合金、例えばADC12のアルミニウム合金と、亜鉛などの第2の添加元素を含むアルミニウム合金、例えば7000系統のアルミニウム合金とを判別することができる方法に関する。また本発明は、アルミニウム合金を判別してアルミニウム合金を合金系統別に選別する設備に関する。
アルミニウムは極めてリサイクル性に優れた材料である。例えばリサイクルによる二次地金への溶解エネルギーは、新地金の溶解エネルギーの3〜5%に過ぎない。このため、リサイクルシステムを効率よく運用することにより、アルミニウムを、地球環境に優しい材料かつ製造原価の小さい材料として広範囲に利用できる。
アルミニウムあるいはアルミニウム合金は、現状においても、省資源化の観点および低コスト化の観点から、一般にリサイクルされている。このため従来から、迅速かつ大量にアルミニウムおよびアルミニウム合金からなる廃棄物を、他の廃棄物から選別して回収する技術が開発されてきた。
たとえば、特許文献1には、一般的な金属選別回収装置が開示されている。開示されている金属選別回収装置は、ストックヤードに貯蔵された廃棄物を前処理後に破砕し、発泡成形材を分離した後、残った重い廃棄物から鋼片またはアルミニウム片を分離するものである。金属選別回収装置は、磁力選別機を用いて鉄系金属を選別し、渦電流選別機を用いて非鉄系金属を選別するよう構成されている。選別された非鉄系金属は、さらに色選別機および比重検出選別機を用いることによって、銅片およびアルミニウム片に選別される。また、渦電流選別機で非金属として分離されたものについても、風力選別機を用いることによって、非金属として分離されたものの中から金属小片を選別し、その後、振動式選別機を用いて金属小片から銅片およびアルミニウム片を回収する。
開示されている金属選別回収装置によれば、廃棄物からアルミニウムを、ほぼ全自動で高純度に選別回収することができる。
なお、特許文献1には、色選別機の代わりに、金属の種類によってX線の透過具合が異なることを利用するX線式選別機を用いた例が記載されている。開示されているX線式選別機は、X線検出センサの前に設けられた形状センサを用いて破砕片の厚さを測定して、単位厚さあたりの透過X線強度を算出し、次に材質毎に予め取得したデータと照合して、破砕片の材質を推定するものである。
従来のリサイクル方法やリサイクル設備においては一般に、アルミニウムおよびアルミニウム合金は、合金系統別に関わりなく一緒に混合されて回収されていた。この場合、回収されたアルミニウムおよびアルミニウム合金は、成分分析するために溶解され、そして成分調整された後に再利用される。
一方、アルミニウム合金においては、合金系統によって添加元素の含有量が大きく異なる。例えば、自動車のエンジンなどを作製するための鋳造材として用いられるアルミニウム合金は、銅や亜鉛などの重金属成分を添加元素として多く含んでいる。一方、サッシなどを作製するための展伸材として用いられるアルミニウム合金は、重金属成分を多くは含んでいない。このため、様々な合金系統別を混合して溶解してしまうと、鋳造材の組成および展伸材の組成のいずれからもずれたアルミニウム合金が主に得られることになる。この場合、成分調整に要する時間やコストが大きくなり、また、溶解に要するエネルギーも大きくなってしまう。このため、アルミニウム合金を合金系統別に回収することが好ましい。このためには、アルミニウムおよびアルミニウム合金を合金系統別に区別して判別する方法や設備が必要になる。
このような課題を考慮して、例えば特許文献2は、アルミニウム合金の合金系統ごとにX線吸収率が僅かに異なること、つまりX線透過強度が低下するアルミニウム合金はいずれも銅や亜鉛などのアルミニウムより重い金属を多く含んでいること、さらに、X線透過強度の測定結果がばらつきをもって分布すること、に注目して、測定結果に対して統計的処理を施して僅かの差異を検出することにより、鋳造材に由来するアルミニウム合金と展伸材に由来するアルミニウム合金とを精度良く判別することができる方法を提案している。
特開平7−256231号公報 特開2012−73080号公報
重金属を多く含むアルミニウム合金は、ADC10やADC12などの、多くの銅を添加元素として含むものと、ADC10Z、ADC12Zや7000系統など、多くの亜鉛を添加元素として含むものとに主に分類される。ところで銅と亜鉛とは、周期表において隣り合う元素である。このため、特許文献2のように被選別試料を透過したX線を測定する場合、銅を含むアルミニウム合金における測定結果と、亜鉛を含むアルミニウム合金における測定結果との間の差異はわずかである。すなわち、特許文献2に記載の方法によっては、銅を含むアルミニウム合金と亜鉛を含むアルミニウム合金とを精度良く判別することが困難であると考えられる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、銅と亜鉛のような、透過X線によっては判別が困難な添加元素を精度良く判別することができ、これによって、添加元素を多く含むアルミニウム合金が含まれた被選別試料を合金系統別に精度良く判別することができるアルミ合金判別方法およびアルミ合金判別設備を提供することを目的とする。
本発明は、被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であるかどうかを判別するアルミ合金判別方法であって、
被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを判別する第1判別工程と、前記第1判別工程においてアルミニウム合金として判別された被選別試料が、所望量の第1の添加元素を含むかどうかを判別する第2判別工程と、を備え、
前記第1判別工程は、アルミニウム合金からなる第1校正用試料を準備する工程と、前記第1校正用試料について、前記第1校正用試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、エネルギーの異なる2つのX線に係る透過強度を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記第1校正用試料における測定結果を配置する工程と、前記第1校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を前記透過強度平面上に画定して、該透過強度平面を、前記判定領域となる中密度領域と、前記高密度判定線より外側の高密度領域と、前記低密度判定線より外側の低密度領域と、に分ける工程と、被選別試料について、前記2つのX線を用いて単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、前記被選別試料における測定結果を、前記高密度領域と、前記中密度領域と、前記低密度領域に分類する第1分類工程と、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第1閾値より小さく、かつ、前記中密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第2閾値より大きいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断する第1判断工程と、を有し、
前記第2判別工程は、前記被選別試料にX線を照射して、前記被選別試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、測定された蛍光X線の強度が所定の第1添加元素用閾値より大きい時に、前記被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むと判断する第2判断工程と、を有する、アルミ合金判別方法である。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記第1判別工程は、アルミニウム合金以外の異物が付着したアルミニウム合金からなる異物付着試料を準備する工程と、前記異物付着試料について、前記異物付着試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、エネルギーの異なる2つのX線に係る透過強度を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記異物付着試料における測定結果を配置する工程と、前記異物付着試料に関する測定結果を示す点の集合のうち低強度側に位置する集合を含む低強度領域を、前記透過強度平面上に画定する工程と、をさらに有していてもよい。この場合、前記第1分類工程は、前記被選別試料における測定結果を、前記高密度領域と、前記中密度領域と、前記低密度領域と、前記低強度領域に分類し、前記第1判断工程は、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる割合が所定の第1閾値より小さく、前記中密度領域に含まれる割合が所定の第2閾値より大きく、かつ前記低強度領域に含まれる割合が所定の第3閾値より小さいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断してもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記第1判別工程は、アルミニウム以外の金属を主成分とする第1対比用試料を準備する工程と、前記第1対比用試料について、前記第1対比用試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記第1対比用試料における測定結果を配置する工程と、前記第1校正用試料に関する測定結果の分布と、前記第1対比用試料に関する測定結果の分布とを対比して、前記第1校正用試料と前記第1対比用試料とを判別するための前記第1閾値を決定するとともに、前記中密度領域に含まれる前記第1校正用試料の測定結果の割合に基づいて前記第2閾値を決定する工程と、をさらに有していてもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記第2判別工程は、第1の添加元素を含む第2校正用試料、および第2の添加元素を含む第2対比用試料を準備する工程と、前記第2校正用試料にX線を照射して、前記第2校正用試料から放出された蛍光X線のうち前記第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、前記第2対比用試料にX線を照射して、前記第2対比用試料から放出された蛍光X線のうち前記第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、前記第2校正用試料における測定結果と前記第2対比用試料における測定結果とを対比して、前記第1添加元素用閾値を決定する工程と、をさらに有していてもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記第1の添加元素が銅であってもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金が、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金であってもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法は、前記第2判別工程において所望量の第1の添加元素を含まないと判断された被選別試料が、所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する第3判別工程をさらに備えていてもよい。この場合、前記第3判別工程は、前記被選別試料について、エネルギーの異なる2つのX線を用いて単位面積毎の透過X線の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記被選別試料が所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する工程、または、前記被選別試料にX線を照射して、前記被選別試料から放出された蛍光X線の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記被選別試料が所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する工程を有する。
本発明によるアルミ合金判別方法において、前記第2の添加元素が亜鉛であってもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法は、前記第1判別工程の前に実施され、前記被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整える工程をさらに備えていてもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法は、前記第2判別工程の前に実施され、前記被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整える工程をさらに備えていてもよい。
本発明によるアルミ合金判別方法の前記第1判別工程において、エネルギーの異なる2つのX線に係る測定は、1つの第1X線線源を用いて試料を照射して、試料を透過したX線を2本のX線検出リニアセンサを用いて測定するものであって、該X線検出リニアセンサの1本に一部のX線を吸収する減衰板をかぶせることにより、エネルギーの異なる2つのX線を試料に照射することと同様の効果をもたらすものであってもよい。
本発明は、被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であるかどうかを判別するアルミ合金判別設備であって、
被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを判別する第1判別装置と、前記第1判別装置によってアルミニウム合金として判別された被選別試料が、所望量の第1の添加元素を含むかどうかを判別する第2判別装置と、を備え、
前記第1判別装置は、被選別試料およびアルミニウム合金からなる第1校正用試料にX線を照射する第1X線線源装置と、前記被選別試料および前記第1校正用試料について、各試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定するX線センサと、エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面において、前記被選別試料における測定結果を、高密度領域と、中密度領域と、低密度領域に分類するとともに、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第1閾値より小さく、かつ、前記中密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第2閾値より大きいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断する第1判定部と、を有し、
前記第1判別装置においては、前記第1校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を前記透過強度平面上に画定することにより、該透過強度平面が、前記判定領域となる前記中密度領域と、前記高密度判定線より外側の前記高密度領域と、前記低密度判定線より外側の前記低密度領域と、に分けられており、
前記第2判別装置は、前記被選別試料にX線を照射する第2X線線源装置と、前記被選別試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する蛍光X線センサと、測定された蛍光X線の強度が、所定の第1添加元素用閾値より大きい時に、前記被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むと判断する第2判定部と、を有する、アルミ合金判別設備である。
本発明によるアルミ合金選別設備は、廃棄物の中から非金属品を排除して金属廃棄物を前記被選別試料として前記第1判別装置に供給する金属選別機をさらに備えていてもよい。
本発明によるアルミ合金選別設備において、前記金属選別機は、前記非金属品に加えて、鉄を主成分とする鉄製品を前記廃棄物の中から排除して、鉄製品を除く金属廃棄物を前記被選別試料として前記第1判別装置に供給するよう構成されていてもよい。
本発明によれば、被選別試料を透過したX線を利用した測定と、被選別試料から放出される蛍光X線を利用した測定とを組み合わせることにより、被選別試料をアルミニウム合金の系統別に精度良く判別することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るアルミ合金選別設備の構成の概略を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る透過型X線選別機の構成を概念的に説明する斜視図である。 図3は、透過型X線選別機を用いてX線透過状態を測定する原理を説明する図面である。 図4は、X線透過状態の測定結果を求める手法を説明する図面である。 図5は、第1校正用試料における透過X線の強度の測定結果をプロットした例を示す図面である。 図6は、透過型X線選別機を用いてアルミニウム合金とアルミニウム合金以外の金属とを選別する原理を示す図面である。 図7は、透過型X線選別機を用いた判別に用いる第1閾値および第2閾値を決める原理を説明する図面である。 図8は、異物付着試料における透過X線の強度の測定結果をプロットした例を示す図面である。 図9は、異物付着試料のデジタルカメラ写真の一例を示す図である。 図10は、異物付着試料のX線写真の一例を示す図である。 図11は、異物付着試料における透過X線の強度の分布を、単位面積毎に高密度領域、中密度領域、低密度領域または低強度領域に分類した結果を示す図である。 図12は、本発明の一実施形態に係る蛍光X線選別機の構成を概念的に説明する斜視図である。 図13は、蛍光X線選別機を用いて銅試料および亜鉛試料を測定した結果の一例を示す図である。 図14は、蛍光X線選別機を用いて被選別試料からADC12を選別した場合の品位、収率、分離効率および除去率を、その際に用いた第1添加元素用閾値に対してプロットした結果を示す図である。 図15は、アルミ合金選別設備を用いて被選別試料から所定のアルミニウム合金を判別するための判別手順の一例を示すフローチャートである。 図16は、透過型X線選別機において用いられる低密度領域L、中密度領域M、高密度領域H、第1閾値および第2閾値を決定する手順の一例を示すフローチャートである。 図17は、透過型X線選別機において用いられる低強度領域Dおよび第3閾値を決定する手順の一例を示すフローチャートである。 図18は、透過型X線選別機を用いて被選別試料からアルミニウム合金を判別するための判別手順の一例を示すフローチャートである。 図19は、蛍光X線選別機において用いられる第1添加元素用閾値を決定する手順の一例を示すフローチャートである。 図20は、蛍光X線選別機を用いて、所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金を被選別試料から判別するための判別手順の一例を示すフローチャートである。 図21は、アルミ合金選別設備を用いた判別手順の一変形例を示すフローチャートである。 図22は、透過型X線選別機の構成の変形例を概念的に説明する斜視図である。 図23は、図22に示す透過型X線選別機を備えるアルミ合金選別設備を用いた判別手順の一例を示すフローチャートである。 図24は、蛍光X線選別機の構成の変形例を概念的に説明する斜視図である。 図25は、図24に示す蛍光X線選別機を備えるアルミ合金選別設備を用いた判別手順の一例を示すフローチャートである。
以下、図1乃至図20を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態におけるアルミ合金選別設備61全体について説明する。
アルミ合金選別設備
図1は、本実施の形態におけるアルミ合金選別設備61の構成の概略を示すブロック図である。図1に示すように、アルミ合金選別設備61は、篩装置63、金属選別機65、透過型X線選別機67および蛍光X線選別機69を備えている。
篩装置63は、廃棄物を篩にかけることによって、廃棄物のうち20〜120mm角の範囲内の寸法を有するものを選別するよう構成されたものである。篩装置63を用いることによって、篩装置63の下流側に位置する後述する各選別機によっては精度良く選別することが困難である、20mm角以下の細かい廃棄物や120mm角以上の粗い廃棄物を除去することができる。なお篩装置63に供給される廃棄物としては、例えば、自動車のエンジンのスクラップ材や、自動車の車体のスクラップ材などが挙げられる。また、アルミニウム合金の他に鉄、銅、ゴム、プラスチックスなどを含んで構成される市中スクラップ材が篩装置63に供給されてもよい。
金属選別機65は、篩装置63によって選別された廃棄物の中から非金属品を排除して、金属廃棄物を判別して選別回収するよう構成されたものである。金属選別機65は、例えば、アルミニウム合金や銅合金などの金属廃棄物に渦電流を発生させることにより、廃棄物の中から金属廃棄物を回収する渦電流選別機を含んでいる。金属選別機65によって選別された金属廃棄物は、後段に位置する透過型X線選別機67に被選別試料として供給される。
また金属選別機65は、磁力を利用することによって、鉄を主成分とする鉄製品を廃棄物の中から排除する磁力選別機をさらに含んでいてもよい。これによって、透過型X線選別機67に供給される被選別試料に鉄製品が含まれないようにすることができ、このことにより、透過型X線選別機67の負荷を軽減することができる。このため、透過型X線選別機67を用いることによって回収されるアルミニウム合金の回収速度を高めることや、透過型X線選別機67を小型化することが可能になる。なお磁力選別機は、上述の渦電流選別機と別体のものであってもよく、若しくは、上述の渦電流選別機と一体のものとして構成されていてもよい。
透過型X線選別機67は、被選別試料の中から、アルミニウム合金以外を含む被選別試料を排除して、アルミニウム合金からなる被選別試料を判別して回収するよう構成されたものである。アルミニウム合金以外を含む被選別試料としては、例えば、銅合金からなる被選別試料や、アルミニウム合金片に銅などのアルミニウム以外の金属片が付着した被選別試料を挙げることができる。なお本願においては、アルミニウム合金以外の金属片のことを異物と称することもある。また本願においては、透過型X線選別機67が第1判別装置と称されることもある。
蛍光X線選別機69は、透過型X線選別機67によって選別された、アルミニウム合金からなる被選別試料の中から、所望量の第1の添加元素を含む被選別試料を判別して回収するよう構成されたものである。第1の添加元素としては、例えば銅を挙げることができる。例えば蛍光X線選別機69は、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を判別して回収するよう構成されている。より具体的には、蛍光X線選別機69を用いることによって、ADC12やADC10など、アルミニウム合金ダイカスト(die-cast)に分類されるアルミニウム合金を判別して回収することができる。なお本願においては、蛍光X線選別機69が第2判別装置と称されることもある。
このように本実施の形態によるアルミ合金選別設備61においては、透過型X線選別機67と蛍光X線選別機69とが組み合わされて用いられる。透過型X線選別機67は、透過X線を利用して被選別試料を分析するものであるため、被選別試料のバルク特性、例えば被選別試料の物質密度を精度良く検出することができる。一方、蛍光X線選別機69は、被選別試料から放出される蛍光X線を利用して被選別試料を分析するものであるため、被選別試料の表面近傍の化学組成を精度良く検出することができる。本実施の形態によれば、異なる特徴を有する2種類の選別機を組み合わせて用いることにより、従来は困難であった判別を可能にすることができる。以下、透過型X線選別機67および蛍光X線選別機69についてそれぞれ詳細に説明する。
透過型X線選別機
はじめに透過型X線選別機67について説明する。図2は、透過型X線選別機67の構成を概念的に説明する斜視図である。
透過型X線選別機67は、元素番号の大きな金属ほどそのX線透過率が小さいことを利用して金属の種別を判別するものである。透過型X線選別機67は、試料21を搬送するベルトコンベア1と、ベルトコンベア1の上方に設けられ、被選別試料21にX線を照射する第1X線線源3と、ベルトコンベア1の下に設けられ、試料21を透過したX線の強度を試料21の単位面積毎に測定する2連のX線センサ5と、測定結果に基づいて試料21の判別を行う第1判定部7と、を有している。なお試料21とは、透過型X線選別機67において透過X線強度が測定されるもの全般を指す用語である。透過型X線選別機67には、試料21として、上述の被選別試料や、後述する第1校正用試料、第1対比用試料、異物付着試料などが供給される。
2連のX線センサ5は、平行に配置された第1X線検出リニアセンサ9および第2X線検出リニアセンサ11を含んでいる。第1X線検出リニアセンサ9は、X線入射面に金属板(減衰板)13を被せることによって、試料21を透過したX線を弱化させた後にその強度を測定するように構成されている。2つのX線検出リニアセンサ9,11は、同じ型式のセンサであり、X線検出素子を線上に並べ、各素子の測定結果を走査して順次出力する構造を有する。各素子においては、素子毎に測定位置が決まっている。各素子は、試料21の単位面積部分を透過したX線の強度に応じた測定信号を出力する。
金属板13としては、X線が透過する際にX線強度を適度に減衰させる機能を有する様々な部材を用いることができる。例えば金属板13として、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、真踰など、薄く加工可能な金属から構成された板を、測定対象に合わせて用いることができる。
試料21がベルトコンベア1によって搬送されているので、X線検出リニアセンサ9,11は、試料21の全面積にわたって透過X線強度を測定することができる。
なお、減衰板を透過して弱化したX線を検出する第1X線検出リニアセンサ9によって分析された試料21の単位面積の位置と、減衰板を透過しない強いX線を検出する第2X線検出リニアセンサ11によって分析された試料21の単位面積の位置との対応付けを容易にするため、X線検出リニアセンサ9,11は、ベルトコンベア1の移送方向と直交するように配置されていることが好ましい。
第1X線線源3から放射されるX線15は、ベルトコンベア1上の試料21が載置されている領域を広く照射する。一方、X線検出リニアセンサ9,11が検出するX線は、線上に並んだ検出素子列に入射するX線に限られる。従って、試料21に照射されるX線は、スリット光17,19とみなすことができる。また、第1X線検出リニアセンサ9に入射するX線は、金属板13のX線吸収特性に基づいて変成されるので、X線スリット光17,19は、実質的に互いにエネルギーの異なるX線で形成されたものとみなすことができる。
図3および図4は、透過型X線選別機67において、試料21上のある点におけるX線透過状態を検知する手法を説明する図面である。
X線の透過量は試料の厚みの影響を受ける。このため透過型X線選別機67においては、異なる特性を有する2つのX線、例えば上述のように異なるエネルギーを有する2つのX線を試料21に照射している。この場合、2つの透過X線強度を測定することができ、このため後述するように、試料21の厚みの影響を軽減することができる。なお、X線の測定ではX線放射のゆらぎやX線測定のゆらぎが無視できない。この点を考慮して、1つの試料について多数の測定を行って、結果を統計的に処理することにより、測定の信頼性を向上させてもよい。
図3および図4に示すように、透過型X線選別機67に供給される試料21は、ベルトコンベア1によってX線センサ5の位置に運ばれる。はじめに、X線センサの第1X線検出リニアセンサ9が、所定の位置23における試料21のX線透過状態を測定する。次に第2X線検出リニアセンサ11が、ベルトコンベア1により移動してきた試料21の、上述の位置23に対応する位置25におけるX線透過状態を測定する。
第1X線検出リニアセンサ9が位置23におけるX線透過状態を測定した時点から所定の時間Δだけ経過した後に、第2X線検出リニアセンサ11が位置25におけるX線透過状態を測定することにより、試料21中の同じ位置について、2つの異なる強度のX線を照射したときのそれぞれのX線透過強度を測定することができる。所定の時間Δは、センサ列の間隔Dをベルトコンベア1の速度vで割ることによって算出される。
対象となる複数の試料21について2つの異なるX線を照射して得た各単位面積毎のX線透過強度の測定値を、各試料の全面積にわたり所定の透過強度平面にプロットする。
ここで透過強度平面とは、弱化したX線を検出する第1X線検出リニアセンサ9が測定した透過X線強度(弱)を縦軸に設定し、強いX線を検出する第2X線検出リニアセンサ11が測定した透過X線強度(強)の測定出力を横軸に設定することにより得られる2次元座標面である。透過強度平面のスケールは、横軸および縦軸、いずれも、それぞれのセンサの検出範囲に整合されている。したがって、縦軸と機軸の目盛りは物理単位と直接の関わりはない。
上述のように、X線透過率は、元素番号の大きな金属ほど小さくなる。一方、本実施の形態における透過強度平面上においては、試料に含有される元素のX線透過率が低いほど、強度が異なる2つのX線におけるX線透過量の差が大きくなり、このため、測定結果が座標面上で左上側に分布する。反対に、試料に含有される元素のX線透過率が高いほど、測定結果が座標面上で右下側に分布する。
次に、上記の透過強度平面を利用した選別方法の一例について説明する。はじめに、判別したい材料からなる第1校正用試料を用いて、後述する判別領域を含む判別用グラフを描く。次に、判別対象となる試料の測定結果を、同一の透過強度平面上にプロットする。この場合、測定結果のプロットが判別領域から外れるかどうかに基づいて、判別対象となる試料が、判別したい材料からなるものであるかどうかを判断することができる。
図5は、測定値における厚みの影響について検証するため、厚み1mm(t1),3mm(t3),7mm(t7),12mm(t12)または25mm(t25)を有する5つの第1校正用試料における透過X線強度を、第1X線検出リニアセンサ9および第2X線検出リニアセンサ11を用いて測定した結果をプロットした結果を示すものである。ここでは第1校正用試料として、サッシ材として多用される合金番号6063のアルミニウム合金から構成された第1校正用試料を用いた。
なお、図5等のグラフでは、第1X線検出リニアセンサ9による測定値と第2X線検出リニアセンサ11による測定値について、X線が全く透過しない状態が零点となり、ベルト上に試料が載っていない状態の測定値がフルスケール位置に、すなわち目盛が1023の位置になるように正規化して表示している。
測定結果は、照射X線のゆらぎやX線透過経路のゆらぎなどに起因するばらつきを持つ。このため図5に示すように、所定の厚みを有する試料の測定結果のプロットはそれぞれ塊状に分布している。一方、測定結果を全体的に眺めると、測定結果は、試料の厚い方から薄い方に向かって、原点と右上の端点とを結ぶ弓形の曲線に沿って分布している。このように、合金番号6063のアルミニウム合金で作られた第1校正用試料の測定値は、厚みに応じて図5に表された弓形曲線に沿って変化する。
透過型X線選別機67を用いた判別方法においては、測定値のばらつきを考慮して、図5に示すように、第1校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を、透過強度平面上に画定する。図5に示す例において、判定領域は、合金番号6063のアルミニウム合金の測定値の大部分がその中に含まれるように画定されている。図5に示す判別領域を用いる場合、判別対象となる試料の測定結果のプロットが判別領域から外れるかどうかに基づいて、判別対象となる試料が、合金番号6063のアルミニウム合金からなるものであるかどうかを判断することができる。
なお図5においては、1種類のアルミニウム合金、すなわち合金番号6063のアルミニウム合金を第1校正用試料として用いて判別領域を画定する例を示したが、これに限られることはなく、第1校正用試料は、判別条件に応じて適宜選択される。例えば本実施の形態において、透過型X線選別機67は上述のように、被選別試料の中からアルミニウム合金以外を含む被選別試料を排除して、アルミニウム合金からなる被選別試料を判別して回収するよう構成されている。この場合、第1校正用試料として、様々な合金系統のアルミニウム合金で作成されたアルミニウム合金を用いてもよい。表1は、代表的な合金番号におけるアルミニウム合金の組成を示すものである。
表1に示すように、アルミニウム合金の組成は、合金系統に応じて大きく異なる。従って、1種類のアルミニウム合金のみを第1校正用試料として用いる場合、他の合金系統に属するアルミニウム合金の測定結果が判別領域の外側に分布するということが生じ得る。従って、本実施の形態の場合のように、アルミニウム合金以外を含む被選別試料を排除するために透過型X線選別機67を用いる場合、第1校正用試料として、複数の合金系統から選択された複数の種類の第1校正用試料を用いることが好ましい。
図6は、複数の種類のアルミニウム合金を第1校正用試料として用いた場合に、図5と同様の図を作成した結果を示すものである。また図6においては、銅からなる試料に関する測定結果も併せて示されている。
図6においては、第1校正用試料の測定結果が「アルミプロット群」として示されており、また、銅からなる試料に関する測定結果が「銅プロット群」として示されている。また図6においては、アルミプロット群を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域が、透過強度平面上に画定されている。図6に示す例においては、上述のように第1校正用試料が複数の種類のアルミニウム合金を含むため、判別領域の幅が図5の場合に比べて広くなっている。一方、銅プロット群の大部分は、判別領域よりも左上側に位置している。このような測定結果に基づいて、アルミニウム合金と銅合金とを判別することができる。
ところで上述のように、X線の測定では、X線放射のゆらぎやX線測定のゆらぎがある程度存在する。この結果、図6に示されているように、銅プロット群の一部が、判定領域内に位置することがある。この場合、排除されるべき銅合金が誤ってアルミニウム合金として判別されて回収され、この結果、回収された試料の品位が低下してしまうことが考えられる。また、回収されるべきアルミニウム合金についても、測定のゆらぎに起因してその測定結果が判定領域の外側に位置することになり、この結果、アルミニウム合金の回収率が低下してしまうことが考えられる。このようなゆらぎの影響を軽減するための方法の一例について、以下に説明する。なお「品位」とは、例えば、複数の種類の金属を含む被選別試料の中からアルミニウム合金を判別して回収するように透過型X線選別機67が設定されている場合に、透過型X線選別機67によってアルミニウム合金として選別された被選別試料全体の重量に対する、アルミニウム合金として選別された被選別試料のうち実際にアルミニウム合金からなる被選別試料の重量の比率である。また「回収率」とは、透過型X線選別機67に供給される被選別試料に含まれる、アルミニウム合金からなる被選別試料の重量に対する、透過型X線選別機67によってアルミニウム合金として選別された被選別試料のうち実際にアルミニウム合金からなる被選別試料の重量の比率である。
以下に説明する方法は、判定領域の内側や外側に位置する測定結果の比率が所定の閾値を超えるかどうかに基づいて被選別試料を判別するという、統計的な観点を取り込んだものである。図7は、判定のための閾値を決定する原理を概念的に説明するための図である。
透過型X線選別機67を用いて1つの試料を測定する場合、試料21の全域における測定結果は、X線照射やX線測定におけるゆらぎなどに起因する変動のため、正規分布で表され得るような、中央の確率が高く周辺の確率が低い分布を示す。なお被選別試料は、組成の異なる複数のアルミニウム合金を含んでいる。この場合、合金ごとに測定結果がばらつく。すなわち、様々なアルミニウム合金からなる被選別試料の測定結果は、図中に複数の実線で示すように、互いに僅かにずれた分布を示す。一方、銅合金からなる試料は、アルミニウム合金よりも小さいX線透過率を有しており、このため図7において点線で示すように、その測定結果は高密度側に偏って分布する。
本件発明者らは、測定した被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを、測定結果の分布状態に基づいた統計的手法を用いて判断することを提案する。最も順当な統計的手法としては、分布の平均値や中央値に基づいてどちらの群に属するかを判定する方法を使用することができる。しかし本実施形態では、本件発明者らが開発した、アルゴリズムが単純で即断性に優れた方法を用いて、オンラインで高速に測定して判定することを可能にした。
本実施形態で用いる統計的手法では、アルミニウム合金からなる第1校正用試料に係る測定結果を透過強度平面にプロットしたときの分布状態に基づいて、組成の差およびX線測定の不確定性に基づくゆらぎを勘案した上で、アルミニウム合金と判定するための判定領域を定める。図7に示すように、判定領域の高密度側の境界値を高密度判定線と呼び、低密度側境界閾値を低密度判定線と呼ぶ。また、高密度判定線より高密度側の領域を高密度領域Hと呼び、低密度判定線より低密度側の領域を低密度領域Lと呼び、両者に挟まれた判定領域を中密度領域Mと呼ぶ。
本手法においては、被選別試料を多数回測定して得られた結果のプロットが高密度領域Hに含まれる割合と、中密度領域Mに含まれる割合とを求めて、これらの割合と第1閾値および第2閾値との比較に基づいて、被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを判断するようにする。具体的には、高密度領域Hに含まれる割合が第1閾値より小さく、かつ、中密度領域Mに含まれる割合が第2閾値より大きいときに、被選別試料がアルミニウム合金であると判断する。
第1閾値としては、アルミニウム合金の測定結果が高密度側にゆらいだとしても、銅合金などアルミニウム以外の金属を主成分とする合金とアルミニウム合金とを区別できるような値が設定される。また第2閾値としては、アルミニウム合金の測定結果が低密度側にゆらいだとしても、アルミニウムより軽い金属やプラスチックスなどとアルミニウム合金とを区別できるような値が設定される。このように2つの閾値を用いて判別を実施することにより、アルミニウム合金を高い精度で判別することができる。
なお上述の説明では、第1閾値および第2閾値が、第1校正用試料の測定結果に基づいて決定される例を示したが、これに限られることはない。被選別試料に含まれ得る合金のうち排除されるべき合金が予め判明している場合、当該排除されるべき合金をより確実に排除するという観点に基づいて、第1閾値および第2閾値を決定してもよい。例えば、排除されるべき合金の大半が、銅を主成分とする銅合金である場合、銅合金を第1対比用試料として準備し、この第1対比用試料に関する測定結果に基づいて、第1閾値および第2閾値を決定してもよい。
例えば図7に示す例においては、銅合金に関する測定結果のうち高密度領域Hに含まれる測定結果の割合に基づいて、第1閾値を決定してもよい。同様に、銅合金に関する測定結果のうち中密度領域Mに含まれる測定結果の割合に基づいて、第2閾値を決定してもよい。
なお上述の説明では、第1閾値が高密度領域Hに関連して設定される例を示した。しかしながら、第1閾値を低密度領域Lに関連して設定してもよい。この場合、低密度領域Lに含まれる割合が第1閾値より小さく、かつ、中密度領域Mに含まれる割合が第2閾値より大きいときに、被選別試料がアルミニウム合金であると判断する。このような設定は、被選別試料のうち排除されるべき合金の大部分が、アルミニウムよりも原子番号の小さい金属を主成分とする合金であることが予想される場合に有効である。なお第1閾値を低密度領域Lに関連して設定する場合、上述の第1対比用試料としては、アルミニウムよりも原子番号の小さい金属を主成分とする合金を用いることができる。
上述のように、第1閾値および第2閾値の具体的な値は、第1校正用試料の測定結果や第1対比用試料の測定結果に基づいて適宜設定される。例えば上述の特許文献2の場合と同様に、第1閾値および第2閾値をそれぞれ24%および46%に設定してもよい。
ところで、透過型X線選別機67に供給される被選別試料には、単一の合金からなるものだけでなく、1つの合金に他の合金が付着したものも含まれている。例えば、銅線や鉄のビスなどアルミニウム合金以外の金属や合金からなる異物が、アルミニウム合金からなる片に付着したものが、被選別試料として透過型X線選別機67に供給されることがある。以下の説明において、このような被選別試料を異物付着試料と称することもある。異物付着試料がアルミニウム合金として回収されると、異物に起因して、回収されたアルミニウム合金の組成が変化することになる。従って、透過型X線選別機67において異物付着試料が排除されることが好ましい。しかしながら、異物付着試料の大部分がアルミニウム合金によって構成されている場合、透過型X線選別機67を用いて異物付着試料を測定した結果の大部分が中密度領域M内に含まれることが考えられる。この場合、上述の第1閾値および第2閾値を用いた方法によっては、異物付着試料を排除することが困難である。
ここで本件発明者らは、鋭意研究の結果、後述する低強度領域Dを透過強度平面上にさらに画定することにより、異物付着試料の排除を実現できることを見出した。以下、本件発明者らが見出した方法について説明する。なお本実施の形態において、アルミニウム合金に付着する異物としては、アルミニウムよりも原子量の大きい元素である鉄や銅などが想定されている。
図8は、異物付着試料における透過X線の強度の測定結果をプロットした例を示す図である。異物付着試料の測定においては、異物が付着している部分(以下、異物付着部分とも称する)を透過するX線は、異物だけでなくアルミニウム合金をも透過した後にX線センサ5に到達する。このため図8に示すように、異物付着試料における測定結果のプロットの大部分は、中密度領域Mに含まれている。一方、X線のうち異物付着部分を透過したX線のエネルギーは、異物が付着していない部分(以下、非異物付着部分とも称する)を透過したX線のエネルギーに比べて、異物に起因して大きく弱められる。このため、図8に示すように、異物付着試料に関する測定結果を示す点の集合は、非異物付着部分の測定結果の点の集合と、非異物付着部分の測定結果の点の集合よりも低強度側に位置する、異物付着部分の測定結果の点の集合と、に分けられる。図8において、異物付着部分の測定結果の点の集合の大部分を含む領域が、低強度領域Dとして透過強度平面上に画定されている。低強度領域Dは、縦軸、横軸、透過X線強度(強)=100の直線、および透過X線強度(弱)=100の直線によって囲まれた領域として画定されている。このような低強度領域Dを新たに画定することにより、被選別試料の測定結果のうち低強度領域Dに含まれる測定結果の割合に基づいて、被選別試料に異物が付着しているかどうかを判断することが可能になる。なお、低強度領域Dの画定方法が特に限られることはなく、異物付着部分の測定結果の点の分布状態に応じて適宜決定される。
図8に示す例によれば、透過強度平面は、上述の低密度領域L、中密度領域Mおよび高密度領域Hと、新たに画定された低強度領域Dとに分けられる。この場合、被選別試料を選別するときには、はじめに、被選別試料を測定して得られた結果のプロットを、低密度領域L、中密度領域M、高密度領域Hまたは低強度領域Dのいずれかに分類する。そして、高密度領域Hに含まれる割合が上述の第1閾値より小さく、中密度領域Mに含まれる割合が上述の第2閾値よりも大きく、かつ、低強度領域Dに含まれる割合が所定の第3閾値よりも小さいときに、被選別試料がアルミニウム合金であると判断される。すなわち、被選別試料が、アルミニウム合金以外の合金からなるものではなく、かつ、被選別試料に異物が付着していないということを同時に判断することができる。
図11は、透過型X線選別機67を用いて異物付着試料の各単位面積を上述の領域L,M,H,Dのいずれかに分類した結果の一例を示す図である。図9および図10には、図11に示す測定の対象となった異物付着試料のデジタルカメラ写真およびX線写真が示されている。図10に示すように、異物付着試料は、アルミニウム合金からなる片と、アルミニウム合金からなる片に付着した細長状の異物21bと、を含んでいる。
第3閾値は、想定される異物の組成および寸法や、測定のゆらぎなどを考慮して適宜設定される。例えば第3閾値を0.01%に設定することができる。なお図11に示す例においては、低密度領域L、中密度領域M、高密度領域Hおよび低強度領域Dに含まれる測定結果の割合がそれぞれ3.9%、67.7%、21.0%および7.4%となっている。この場合、第1閾値および第2閾値が上述のように24%および46%に設定されていると、第1閾値および第2閾値を利用した方法によっては異物付着試料を排除することができない。一方、第3閾値を利用した方法を用いれば、異物付着試料を適切に排除することができる。
蛍光X線選別機
次に透過型X線選別機69について説明する。図12は、蛍光X線選別機69の構成を概念的に説明する斜視図である。
蛍光X線選別機69は、金属や合金にX線などの励起光を照射した際に金属の表面近傍から放出される蛍光X線の波長やスペクトルが金属の種別や合金の組成に応じて異なることを利用して、金属の種別や合金の組成を分析するものである。図13は、銅から放出された蛍光X線のスペクトル、および亜鉛から放出された蛍光X線のスペクトルを併せて示す図である。
蛍光X線選別機69は、試料41を搬送するベルトコンベヤ51と、ベルトコンベア51の上方に設けられ、試料41にX線を照射する第2X線線源43と、試料41から放出される蛍光X線の強度を測定する蛍光X線センサ45と、測定結果に基づいて試料41の判別を行う第2判定部47と、を有している。なお試料41とは、蛍光X線選別機69において蛍光X線の強度が測定されるもの全般を指す用語である。蛍光X線選別機69には、試料41として、透過型X線選別機67によって選別された被選別試料や、後述する第2校正用試料、第2対比用試料などが供給される。
以下、本実施の形態における蛍光X線選別機69の使用方法の一例について説明する。本実施の形態においては、上述のように、蛍光X線選別機69を、所望量の第1の添加元素を含む被選別試料を判別して回収するために利用する。このため蛍光X線選別機69の上述の第2判定部は、被選別試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度が所定の第1添加元素用閾値より大きい時に、被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むと判断するよう、構成されている。なお「第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度」とは、被選別試料から放出される蛍光X線のうち、第1の添加元素から放出される蛍光X線に対応するスペクトルや波長を有する成分の強度のことである。例えば図13に示す例において、銅から放出される蛍光X線は、蛍光X線の成分をkeVに変換した場合に8.1〜8.2keVの範囲内にピークが存在するようなスペクトルを示す。従って、図13に示す例において、「第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度」とは、蛍光X線の成分をkeVに変換した場合に当該ピーク近傍で測定される成分の強度、例えば7.75〜8.35keVの範囲内の成分の強度のことである。
第1添加元素用閾値は、所定量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金を適切に判別して回収するとともに、第1の添加元素以外の元素(以下、第2の添加元素とも称する)、例えば亜鉛を含むアルミニウム合金を適切に排除することができるよう、設定される。以下、第1添加元素用閾値を決定する方法の一例について説明する。
はじめに、蛍光X線選別機69自体の校正を実施するための試料として、第1の添加元素のみから構成された第1添加元素試料を準備する。第1添加元素試料は、標準化された表面積を有するものであり、例えば1インチ×1インチの表面積を有するものである。次に、第1添加元素試料に対して第2X線線源43からX線を照射し、そして、第1添加元素試料から放出された蛍光X線の強度を、蛍光X線センサ45を用いて測定する。このときに測定された強度は、基準強度として記録される。その後、基準強度に所定の定数を掛けることによって、上述の第1添加元素用閾値を決定する。例えば、選別対象が、1重量%以上の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であり、かつ被選別試料の表面積が第1添加元素試料の表面積とほぼ同等である場合、第1添加元素用閾値を理想的には基準強度×0.01に設定することができる。なお現実には、測定誤差などを考慮して、第1添加元素用閾値を基準強度×0.025やこれよりも大きい値に設定することもある。測定誤差の原因としては、蛍光X線のデータ数(カウント数)が十分でないこと、ベルトコンベア51の汚れなどに起因する誤検出が存在すること、および、蛍光X線センサ45の暗電流などに起因してカウント数に揺らぎやばらつきが発生することなどが挙げられる。
ところで図13に示すように、銅から放出される蛍光X線のスペクトルのピークと、亜鉛から放出される蛍光X線のスペクトルのピークとは近接している。このため図13に示すように、銅から放出される蛍光X線のスペクトルと、亜鉛から放出される蛍光X線のスペクトルとは部分的に重なっている。この場合、銅は含まないが亜鉛を含むアルミニウム合金からなる被選別試料が蛍光X線選別機69によって測定されると、銅(第1の添加元素)に対応する蛍光X線の強度がある程度観測されてしまうことになる。すなわち、銅(第1の添加元素)は含まないが亜鉛(第2の添加元素)を含むアルミニウム合金からなる被選別試料が、蛍光X線選別機69によって誤って回収されてしまう可能性がある。このような可能性を可能な限り小さくするため、以下に説明するように、第2校正用試料および第2対比用試料の測定結果に基づいて上述の第1添加元素用閾値を決定してもよい。
本手法においては、第1の添加元素を含む第2校正用試料と、第2の添加元素を含む第2対比用試料と、を準備する。例えば1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を判別することが意図されている場合、第2校正用試料として、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を準備することができる。また、被選別試料として蛍光X線選別機69に供給され得るアルミニウム合金のうち、最も多くの亜鉛を含むアルミニウム合金を、第2対比用試料として準備することができる。その後、第2校正用試料にX線を照射して、第2校正用試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素(銅)に対応する蛍光X線の強度を測定する。同様に、第2対比用試料にX線を照射して、第2対比用試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素(銅)に対応する蛍光X線の強度を測定する。次に、第2校正用試料における測定結果と第2対比用試料における測定結果とを対比することにより、第2校正用試料は回収されるが第2対比用試料は排除されるような第1添加元素用閾値を決定する。このようにして第1添加元素用閾値を決定することにより、所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金を精度良く判別して回収することができる。
なお一般に、第1添加元素用閾値を低く設定するほど、第1の添加元素を含むアルミニウム合金の回収率は高くなるが、回収された被選別試料の品位は低くなる。すなわち、回収された被選別試料の中に、第2添加元素を含む被選別試料が混ざり易くなる。反対に、第1添加元素用閾値を高く設定するほど、回収された被選別試料の品位は高くなるが、第1の添加元素を含むアルミニウム合金の回収率は低くなる。すなわち、所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金が排除されてしまう確率が高くなる。このように、回収率と品位とは一般にトレードオフの関係にある。図14は、蛍光X線選別機69を利用した判別および回収を、様々な第1添加元素用閾値を用いて実施した際の、品位、回収率、除去率および分離効率の評価結果の一例を示す図である。ここで「除去率(%)」とは、蛍光X線選別機69に供給した被選別試料に含まれる異物量(所望量の第1の添加元素を含まないアルミニウム合金の量)に対する、第1の添加元素を含むアルミニウム合金として蛍光X線選別機69によって選別された被選別試料に含まれる異物量の比率を、100から引いた値である。また「分離効率(%)」とは、回収率(%)−(100−除去率(%))として算出される値である。
ここで、第2校正用試料および第2対比用試料を用いて第1添加元素用閾値を決定する上述の方法によれば、回収率および品位の両方を考慮して最適な第1添加元素用閾値を決定することができる。
アルミ合金判別方法
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、上述のアルミ合金選別設備61を用いて、被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であるかどうかを判別する、アルミ合金判別方法について説明する。図15は、アルミ合金選別設備61を用いて、1重量%以上の第1の添加元素を含むアルミニウム合金を判別するための判別手順の一例を示すフローチャートである。
(篩工程)
はじめに、自動車のエンジンのスクラップ材や自動車の車体のスクラップ材を含む廃棄物を、篩装置63に供給する。篩装置63は、廃棄物のうち20〜120mm角の範囲内の寸法を有するものを選別する。
(金属選別工程)
次に、篩装置63によって選別された廃棄物を金属選別機65に供給する。金属選別機65は、渦電流選別機を用いて、廃棄物の中から金属廃棄物を回収する。金属選別機65は、磁力選別機を用いて廃棄物の中から鉄製品を排除する工程をさらに実施してもよい。金属選別機65によって選別された廃棄物は、被選別試料として透過型X線選別機67に供給される。
(第1判別工程)
次に、透過型X線選別機67を用いて実施する第1判別工程について説明する。第1判別工程は、第1校正用試料および第1対比用試料の測定結果に基づいて第1閾値および第2閾値を決定する工程(図16参照)と、異物付着試料の測定結果に基づいて第3閾値を決定する工程(図17参照)と、第1閾値、第2閾値および第3閾値を利用して被選別試料からアルミニウム合金を判別して回収する工程(図18参照)と、を含んでいる。以下、各工程について説明する。
〔第1閾値および第2閾値を決定する工程〕
本工程においては、はじめに、図16に示すように、様々な厚さを有する第1校正用試料および第1対比用試料を準備する(S11)。第1校正用試料としては、例えば、様々な合金系統のアルミニウム合金が用いられ、例えば合金番号6063のアルミニウム合金が用いられる。また第1対比用試料としては、アルミニウム以外の金属を含む合金が用いられ、例えば銅合金が用いられる。次に、準備した第1校正用試料および第1対比用試料を順次透過型X線選別機67にかけて、エネルギーの異なる2つのX線を照射して単位面積毎の透過X線強度を測定する(S12)。その後、単位面積毎の測定結果を、透過強度平面に配置する(S13)。透過強度平面は、2つの透過X線強度を2つの軸とする2次元座標面である。なお、測定結果を透過強度平面に配置する工程は、コンピュータの中で行えばよい。
測定結果をプロットした透過強度平面において、第1校正用試料に関する測定結果の分布濃度が大きな領域を囲うことにより、帯状の判別領域を画定することができる。また、判別領域を挟む高密度判定線と低密度判定線を引くことにより、透過強度平面を、高密度判定線と低密度判定線によって挟まれた中密度領域Mと、高密度判定線の外側にある高密度領域Hと、低密度判定線の外側にある低密度領域Lとに分ける(S14)。
次に、判別領域と第1対比用試料の測定結果の分布とを対比して、第1校正用試料と第1対比用試料とを判別するための上述の第1閾値を決定するとともに、中密度領域に含まれる第1校正用試料の測定結果の割合に基づいて、第1対比用試料であることを判定するための上述の第2閾値を決定する(S15)。例えば第1閾値および第2閾値をそれぞれ45%および45%に決定する。このようにして、被選別試料からアルミニウム合金を判別するための第1閾値および第2閾値を決定することができる。
〔第3閾値を決定する工程〕
本工程においては、図17に示すように、はじめに、銅などの異物が付着したアルミニウム合金からなる異物付着試料を準備する(S21)。次に、エネルギーの異なる2つのX線を異物付着試料に照射して、単位面積毎の透過X線強度を測定する(S22)。その後、単位面積毎の測定結果を透過強度平面上に配置する(S23)。その後、異物付着試料に関する測定結果を示す点の集合のうち低強度側に位置する集合を含む領域を、低強度領域Dとして画定する(S24)。また、低強度領域Dに含まれる異物付着試料の測定結果の割合に基づいて、第3閾値を決定する(S24)。例えば第3閾値を0.01%に決定する。このようにして、異物が付着したアルミニウム合金を被選別試料から排除するための第3閾値を決定することができる。
〔被選別試料からアルミニウム合金を判別する工程〕
本工程においては、はじめに、被選別試料をベルトコンベア1上に供給する。ベルトコンベア1に載置されX線センサ5の位置まで搬送された被選別試料は、移動中に2つの実質的に異なるX線スリット光によって照射される。これによって、適当な大きさの単位面積毎の透過X線強度が測定される(S31)。
被選別試料の全域にわたる多数の測定点で測定された単位面積毎の2つのX線強度測定値に基づいて、透過強度平面上における測定点の位置を、高密度領域H、中密度領域M、低密度領域Lまたは低強度領域Dに分類する(S32、第1分類工程)。次に、測定点が低強度領域Dに含まれる割合と、上述の第3閾値とを対比する(S33、第1判断工程)。測定点が低強度領域Dに含まれる割合が第3閾値より小さい場合、被選別試料に異物が付着していないと判断する(S34)。一方、測定点が低強度領域Dに含まれる割合が第3閾値より大きい場合、被選別試料に異物が付着していると判断する(S35)。
異物が付着していないと判断された被選別試料については、次に、測定点が高密度領域Hに含まれる割合と上述の第1閾値とを対比し、また、測定点が中密度領域Mに含まれる割合と上述の第2閾値とを対比する(S36、第1判断工程)。測定点が高密度領域Hに含まれる割合が第1閾値より小さく、かつ、測定点が中密度領域Mに含まれる割合が第2閾値より大きい場合、被選別試料が、選別対象の金属から、すなわちアルミニウム合金から構成されていると判断する(S37)。それ以外の場合、被選別試料が選別対象の金属から構成されていないと判断する(S38)。このようにして、透過型X線選別機67を用いて、異物が付着しておらず、かつアルミニウム合金から構成されている被選別試料を判別して回収することができる。
(第2判別工程)
次に、蛍光X線選別機69を用いて実施する第2判別工程について説明する。第2判別工程は、第2校正用試料および第2対比用試料の測定結果に基づいて第1添加元素用閾値を決定する工程(図19参照)と、第1添加元素用閾値を利用して、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を被選別試料から判別して回収する工程(図20参照)と、を含んでいる。以下、各工程について説明する。
〔第1添加元素用閾値を決定する工程〕
本工程においては、はじめに、図19に示すように、同等の表面積を有する第1添加元素試料、第2校正用試料および第2対比用試料およびを準備する(S41)。第1添加元素試料としては純銅が用いられる。第2校正用試料としては、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金が用いられる。また第2対比用試料としては、銅の含有量が1重量%未満であるアルミニウム合金が用いられる。例えば、多数の被選別試料からランダムに選択した試料の銅の含有量を、携帯型蛍光X線分析計などを用いて調べ、そして、調べられた試料のうち、銅の含有量が1重量%である試料を第2校正用試料として用い、銅の含有量が1重量%未満である試料を第2対比用試料として用いることができる。
次に、第1添加元素試料にX線を照射し、第1添加元素試料から放出される蛍光X線の強度を基準強度として記憶する。また第2校正用試料にX線を照射する。このときに第2校正用試料から放出された蛍光X線のうち、銅に対応する蛍光X線の強度を測定する。同様に、第2対比用試料にX線を照射する。このとき、第2対比用試料から放出された蛍光X線のうち、銅に対応する蛍光X線の強度を測定する(S42)。その後、第2校正用試料における測定結果と第2対比用試料における測定結果とを対比して、第1添加元素用閾値を決定する(S42)。例えば第1添加元素用閾値を、基準強度×0.04に決定する。このようにして、アルミニウム合金に含まれる銅の濃度を検知するための第1添加元素用閾値を決定することができる。なお、第2校正用試料および第2対比用試料としてそれぞれ複数、例えば数百個(数kg)の試料を利用し、そして、各試料の測定結果の平均を、第2校正用試料および第2対比用試料の測定結果として採用してもよい。
〔1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を判別する工程〕
本工程においては、はじめに、被選別試料をベルトコンベア51上に供給する。ベルトコンベア51に載置され蛍光X線センサ45の位置まで搬送された被選別試料には、第2X線線源43から放射されたX線が照射され、この結果、被選別試料が蛍光X線を放出する。この際、被選別試料から放出された蛍光X線のうち銅に対応する強度を測定する(S51)。
次に、測定された強度と、上述の第1添加元素用閾値とを対比する(S52、第2判断工程)。測定された強度が第1添加元素用閾値より大きい場合、被選別試料が1重量%以上の銅を含んでいると判断する(S53)。一方、測定された強度が第1添加元素用閾値より小さい場合、被選別試料が1重量%以上の銅を含んでいないと判断する(S54)。このようにして、蛍光X線選別機69を用いて、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を判別して回収することができる。
第1の比較の形態
次に、本実施の形態の効果を、第1の比較の形態と比較して説明する。第1の比較の形態としては、透過型X線選別機のみを用いて被選別試料の判別および回収を実施する場合を考える。
透過型X線選別機は、上述のように、元素番号の大きな金属ほどそのX線透過率が小さいことを利用して金属の種別を判定するものである。このため、銅と亜鉛のように、原子番号の近い元素を精度良く区別することができない。一方、自動車などから生じる廃棄物には、ADC12に分類されるアルミニウム合金のような、銅を多く含むものだけではなく、7000系に分類されるような、亜鉛を多く含むものも存在する。このため、透過型X線選別機のみを用いた場合、ADC12のアルミニウム合金と7000系のアルミニウム合金とを精度良く区別することができないと考えられる。
第2の比較の形態
次に、第2の比較の形態として、蛍光X線選別機のみを用いて被選別試料の判別および回収を実施する場合を考える。
蛍光X線選別機は蛍光X線を利用するものであるため、被選別試料のうち蛍光X線選別機によって分析され得る部分は、被選別試料の表面近傍の部分に限定される。一方、自動車などから生じる廃棄物には、銅線や鉄のビスなど、アルミニウム合金以外の合金からなる異物が、アルミニウム合金からなる片に付着したものも含まれる。また異物は、被選別試料の表面から離れた部分に存在していることもある。しかしながら、蛍光X線選別機を用いて検出される蛍光X線には、被選別試料の表面から離れた部分に起因する蛍光X線はほとんど含まれない。従って、蛍光X線選別機によっては、被選別試料の表面から離れた部分に存在する異物を検出することができない。このため蛍光X線選別機のみを用いた場合、異物が付着したアルミニウム合金を適切に排除することができないと考えられる。また蛍光X線選別機は、上述のように、測定された強度が第1添加元素用閾値より大きいかどうかに基づいて、被選別試料が所定量の銅を含んでいるかどうかを判断するものである。この場合、所定量の銅を含むアルミニウム合金だけでなく、銅や、銅を含む重金属合金も、所定量の銅を含むアルミニウム合金として蛍光X線選別機によって選別されることが考えられる。すなわち、銅や、銅を含む重金属合金を適切に排除することができないと考えられる。
一方、本実施の形態によるアルミ合金選別設備61は、透過型X線選別機67と蛍光X線選別機69とを組み合せて利用するものである。この場合、透過型X線選別機67を利用することによって、被選別試料の表面から離れた部分に存在する異物を検出することができる。また、蛍光X線選別機69を利用することによって、被選別試料に含まれている銅および亜鉛を精度良く検出することができる。従って本実施の形態によれば、自動車などから生じる廃棄物から、所望量の銅、例えば1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を精度良く判別して回収することができる。より具体的には、図15に示すように、被選別試料から、ADC12等のアルミダイカストや2000系のアルミニウム合金を判別して回収するとともに、1000系、3000系、4000系、5000系、6000系や7000系などのアルミニウム合金を排除することができる。
例えば本実施の形態によれば、アルミ製のエンジンの廃棄物を原料とした場合に、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を、回収率97.3%、品位95.2%で回収することができる。また、アルミ製の車体の廃棄物を原料とした場合に、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金を、回収率93.0%、品位95.1%で回収することができる。これらの回収率および品位の数値は、従来の技術では実現困難であったものである。
なお蛍光X線選別機69による判別の精度を高めるため、図15に示すように、蛍光X線選別機69を用いる上述の第2判別工程を、同一の被選別試料に対して繰返し実施してもよい。例えば、1回目の第2判別工程において1重量%以上の銅を含むものとして選別されたアルミニウム合金に対して、2回目の第2判別工程をさらに実施してもよい。これによって、蛍光X線選別機69によって回収されるアルミニウム合金の品位を向上させることができる。若しくは、1回目の第2判別工程において1重量%以上の銅を含まないものとして選別されたアルミニウム合金に対して、2回目の第2判別工程をさらに実施してもよい。これによって、蛍光X線選別機69によって回収されるアルミニウム合金の回収率を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第3判別工程がさらに実施される例)
上述の本実施の形態においては、第1判別工程および第2判別工程を実施する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第2判別工程において所望量の第1の添加元素を含まないと判断された被選別試料が、所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する第3判別工程をさらに実施してもよい。以下、第2の添加元素が亜鉛である場合の例について説明する。
本変形例においては、図21に示すように、蛍光X線選別機69を用いた第2判別工程において排除された1000系、3000系、4000系、5000系、6000系や7000系などのアルミニウム合金について、所望量の亜鉛を含むかどうかをさらに判別し、そして、所望量の亜鉛を含むアルミニウム合金を回収する。例えば7000系に分類するアルミニウム合金など、2重量%以上の亜鉛や3重量%以上の亜鉛を含むアルミニウム合金を判別して回収する。このような第3判別工程をさらに実施することにより、被選別試料から、所望量の銅を含むアルミニウム合金、および所望量の亜鉛を含むアルミニウム合金の両方を精度良く判別して回収することができる。このため、アルミニウム合金のリサイクルシステムをさらに効率良く運用することができる。
なお、第3判別工程は、透過型X線選別機67によって実施されてもよく、若しくは蛍光X線選別機69によって実施されてもよい。
第3判別工程が透過型X線選別機67によって実施される場合、上述の第1校正用試料として、7000系のアルミニウム合金、すなわち所望量の亜鉛(第2の添加元素)を含むアルミニウム合金が用いられ得る。例えば、4〜5重量%の亜鉛を含む、合金番号7N01のアルミニウム合金や、5.1〜6.1重量%の亜鉛を含む、合金番号7075のアルミニウム合を、第1校正用試料として用いることができる。また上述の第1対比用試料として、所望量の亜鉛(第2の添加元素)を含まないアルミニウム合金が用いられ得る。なお第3判別工程で用いられる透過型X線選別機67には、先行して実施される第2判別工程によって銅を含むアルミニウム合金が回収された後の被選別試料が供給される。従って、第3判別工程においては、銅と亜鉛とを精度良く区別することが求められない。このため、透過型X線選別機67を用いた場合であっても、所望量の亜鉛を含むアルミニウム合金を精度良く判別して回収することができる。
第3判別工程が蛍光X線選別機69によって実施される場合、上述の基準強度として、純亜鉛からなる第2添加元素試料からの蛍光X線の強度の測定結果が用いられ得る。また上述の第2校正用試料として、所望量の亜鉛(第2の添加元素)を含むアルミニウム合金が用いられ得る。
(試料厚調整装置が透過型X線選別機に設けられる例)
透過型X線選別機67は、被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整えるための試料厚調整装置をさらに有していてもよい。試料厚調整装置は、図23に示すように、透過型X線選別機67を用いた判別および回収を実施する前に被選別試料の厚みを所定厚に整えるよう、利用される。試料厚調整装置は、例えば図22に示すように、間隙を調整した1対の回転ローラ31,33から構成されている。以下、試料厚調整装置を設けることの背景および効果について説明する。
本件発明者らは、鋭意研究の結果、被選別試料が、厚みが不連続であったり湾曲や空隙が存在したりするような不定形状を有する場合、被選別試料におけるX線透過距離等の変動が生じ、この結果、透過したX線の強度を変動させ、このことにより、測定点を領域別に分類する作業に場合に誤りを生じさせることがあることを見出した。
これに対して本変形によれば、透過型X線選別機67に供給された試料27は、回転ローラ31,33を通ることによって、厚みが整えられた試料29としてベルトコンベア1上に載置される。厚みが整えられた試料29は、ベルトコンベア1によって運ばれて、第1X線線源3からのX線が照射される試料21となる。この場合、試料21の厚みはほぼ所定の厚みになっており、かつ、測定時における試料21の姿勢もほぼ一律になっている。このため、試料21を透過したX線の強度は、基本的に試料21の材質の相違のみに依存するようになる。すなわち、測定結果から、試料21の厚みや形状に依存する要素を取り除くことができる。これによって、透過型X線選別機67を用いた第1判別工程における判別精度を向上させることができる。
(試料厚調整装置が蛍光X線選別機に設けられる例)
なお上述の変形例においては、試料厚調整装置が透過型X線選別機67に設けられる例を示したが、これに限られることはなく、同様の試料厚調整装置が蛍光X線選別機69に設けられていてもよい。この場合、試料厚調整装置は、図25に示すように、蛍光X線選別機69を用いた判別および回収を実施する前に被選別試料の厚みを所定厚に整えるよう、利用される。試料厚調整装置は、透過型X線選別機67に設けられる試料厚調整装置と同様に、間隙を調整した1対の回転ローラ53,55から構成されていてもよい(図24参照)。以下、試料厚調整装置を蛍光X線選別機69に設けることの背景および効果について説明する。
上述のように、蛍光X線選別機69は、被選別試料の表面近傍の化学組成を検出するためのものである。従って、被選別試料の表面形状が湾曲していたり、表面形状の起伏が大きくなっていたりする場合、蛍光X線選別機69における測定結果に、表面形状の影響が現れることが考えられる。
これに対して本変形によれば、蛍光X線選別機69に供給された試料57は、回転ローラ53,55を通ることによって、厚みが整えられた試料59としてベルトコンベア51上に載置される。厚みが整えられた試料59は、ベルトコンベア51によって運ばれて、第2X線線源43からのX線が照射される試料41となる。この場合、試料41の表面形状はほぼ平坦になっており、かつ、測定時における試料41の姿勢もほぼ一律になっている。このため、試料41から放射される蛍光X線の強度は、基本的に試料41の材質の相違のみに依存するようになる。すなわち、測定結果から、試料41の形状に依存する要素を取り除くことができる。これによって、蛍光X線選別機69を用いた第2判別工程における判別精度を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
3 第1X線線源
5 X線センサ
7 第1判定部
9 第1X線検出リニアセンサ
11 第2X線検出リニアセンサ
13 金属板(減衰板)
43 第2X線線源
45 蛍光X線センサ
47 第2判定部
L 低密度領域
M 中密度領域
H 高密度領域
D 低強度領域
61 アルミ合金選別設備
63 篩装置
65 金属選別機
67 透過型X線選別機(第1判別装置)
69 蛍光X線選別機(第2判別装置)

Claims (14)

  1. 被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であるかどうかを判別するアルミ合金判別方法であって、
    被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを判別する第1判別工程と、
    前記第1判別工程においてアルミニウム合金として判別された被選別試料が、所望量の第1の添加元素を含むかどうかを判別する第2判別工程と、を備え、
    前記第1判別工程は、
    アルミニウム合金からなる第1校正用試料を準備する工程と、
    前記第1校正用試料について、前記第1校正用試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    エネルギーの異なる2つのX線に係る透過強度を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記第1校正用試料における測定結果を配置する工程と、
    前記第1校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を前記透過強度平面上に画定して、該透過強度平面を、前記判定領域となる中密度領域と、前記高密度判定線より外側の高密度領域と、前記低密度判定線より外側の低密度領域と、に分ける工程と、
    被選別試料について、前記2つのX線を用いて単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    前記被選別試料における測定結果を、前記高密度領域と、前記中密度領域と、前記低密度領域に分類する第1分類工程と、
    前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第1閾値より小さく、かつ、前記中密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第2閾値より大きいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断する第1判断工程と、を有し、
    前記第2判別工程は、
    前記被選別試料にX線を照射して、前記被選別試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、
    測定された蛍光X線の強度が所定の第1添加元素用閾値より大きい時に、前記被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むと判断する第2判断工程と、を有する、アルミ合金判別方法。
  2. 前記第1判別工程は、
    アルミニウム合金以外の異物が付着したアルミニウム合金からなる異物付着試料を準備する工程と、
    前記異物付着試料について、前記異物付着試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    エネルギーの異なる2つのX線に係る透過強度を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記異物付着試料における測定結果を配置する工程と、
    前記異物付着試料に関する測定結果を示す点の集合のうち低強度側に位置する集合を含む低強度領域を、前記透過強度平面上に画定する工程と、をさらに有し、
    前記第1分類工程は、前記被選別試料における測定結果を、前記高密度領域と、前記中密度領域と、前記低密度領域と、前記低強度領域に分類し、
    前記第1判断工程は、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる割合が所定の第1閾値より小さく、前記中密度領域に含まれる割合が所定の第2閾値より大きく、かつ前記低強度領域に含まれる割合が所定の第3閾値より小さいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断する、請求項1に記載のアルミ合金判別方法。
  3. 前記第1判別工程は、
    アルミニウム以外の金属を主成分とする第1対比用試料を準備する工程と、
    前記第1対比用試料について、前記第1対比用試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定する工程と、
    エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面に、前記第1対比用試料における測定結果を配置する工程と、
    前記第1校正用試料に関する測定結果の分布と、前記第1対比用試料に関する測定結果の分布とを対比して、前記第1校正用試料と前記第1対比用試料とを判別するための前記第1閾値を決定するとともに、前記中密度領域に含まれる前記第1校正用試料の測定結果の割合に基づいて前記第2閾値を決定する工程と、をさらに有する、請求項1または2に記載のアルミ合金判別方法。
  4. 前記第2判別工程は、
    第1の添加元素を含む第2校正用試料、および第2の添加元素を含む第2対比用試料を準備する工程と、
    前記第2校正用試料にX線を照射して、前記第2校正用試料から放出された蛍光X線のうち前記第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、
    前記第2対比用試料にX線を照射して、前記第2対比用試料から放出された蛍光X線のうち前記第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する工程と、
    前記第2校正用試料における測定結果と前記第2対比用試料における測定結果とを対比して、前記第1添加元素用閾値を決定する工程と、をさらに有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  5. 前記第1の添加元素が銅である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  6. 前記所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金が、1重量%以上の銅を含むアルミニウム合金である、請求項5に記載のアルミ合金判別方法。
  7. 前記第2判別工程において所望量の第1の添加元素を含まないと判断された被選別試料が、所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する第3判別工程をさらに備え、
    前記第3判別工程は、前記被選別試料について、エネルギーの異なる2つのX線を用いて単位面積毎の透過X線の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記被選別試料が所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する工程、または、前記被選別試料にX線を照射して、前記被選別試料から放出された蛍光X線の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記被選別試料が所望量の第2の添加元素を含むかどうかを判別する工程を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  8. 前記第2の添加元素が亜鉛である、請求項7に記載のアルミ合金判別方法。
  9. 前記第1判別工程の前に実施され、前記被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整える工程をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  10. 前記第2判別工程の前に実施され、前記被選別試料を所定の最大厚さを有する板状に整える工程をさらに備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  11. 前記第1判別工程において、エネルギーの異なる2つのX線に係る測定は、1つの第1X線線源を用いて試料を照射して、試料を透過したX線を2本のX線検出リニアセンサを用いて測定するものであって、該X線検出リニアセンサの1本に一部のX線を吸収する減衰板をかぶせることにより、エネルギーの異なる2つのX線を試料に照射することと同様の効果をもたらすものである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアルミ合金判別方法。
  12. 被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むアルミニウム合金であるかどうかを判別するアルミ合金判別設備であって、
    被選別試料がアルミニウム合金であるかどうかを判別する第1判別装置と、
    前記第1判別装置によってアルミニウム合金として判別された被選別試料が、所望量の第1の添加元素を含むかどうかを判別する第2判別装置と、を備え、
    前記第1判別装置は、
    被選別試料およびアルミニウム合金からなる第1校正用試料にX線を照射する第1X線線源装置と、
    前記被選別試料および前記第1校正用試料について、各試料の試料面の複数の位置で、エネルギーの異なる2つのX線に係る単位面積毎の透過X線の強度を測定するX線センサと、
    エネルギーの異なる2つのX線に係る透過量を2軸とする2次元座標で規定される透過強度平面において、前記被選別試料における測定結果を、高密度領域と、中密度領域と、低密度領域に分類するとともに、前記高密度領域または前記低密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第1閾値より小さく、かつ、前記中密度領域に含まれる測定結果の割合が所定の第2閾値より大きいときに、前記被選別試料がアルミニウム合金であると判断する第1判定部と、を有し、
    前記第1判別装置においては、前記第1校正用試料に関する測定結果を示す点の分布濃度が大きな領域を高密度判定線と低密度判定線で挟むようにした判定領域を前記透過強度平面上に画定することにより、該透過強度平面が、前記判定領域となる前記中密度領域と、前記高密度判定線より外側の前記高密度領域と、前記低密度判定線より外側の前記低密度領域と、に分けられており、
    前記第2判別装置は、
    前記被選別試料にX線を照射する第2X線線源装置と、
    前記被選別試料から放出された蛍光X線のうち第1の添加元素に対応する蛍光X線の強度を測定する蛍光X線センサと、
    測定された蛍光X線の強度が、所定の第1添加元素用閾値より大きい時に、前記被選別試料が所望量の第1の添加元素を含むと判断する第2判定部と、を有する、アルミ合金判別設備。
  13. 廃棄物の中から非金属品を排除して金属廃棄物を前記被選別試料として前記第1判別装置に供給する金属選別機をさらに備える、請求項12に記載のアルミ合金判別設備。
  14. 前記金属選別機は、前記非金属品に加えて、鉄を主成分とする鉄製品を前記廃棄物の中から排除して、鉄製品を除く金属廃棄物を前記被選別試料として前記第1判別装置に供給するよう構成されている、請求項13に記載のアルミ合金判別設備。
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