JP2013133396A - 着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、耐オゾン性、耐光性、及び耐湿性に優れ、かつ印画濃度の観点で優れる着色組成物を提供することを目的とする。また、該着色組成物を含むインクジェット記録用インク、及び該インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
下記一般式(1)で表される化合物と、
下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を含む着色組成物。
Y21及びY22は、各々独立に、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェノキシ基を表す。
Xは2価の連結基を表す。
M4は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Y31は、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、又はモルホリノ基を表す。
M5は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
X31は下記一般式(5−1)で表される基を表す。
[2]
前記一般式(1)におけるnが4である、上記[1]に記載の着色組成物。
[3]
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、上記[1]又は[2]に記載の着色組成物。
[4]
前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[5]
前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[6]
前記n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[7]
前記n103、及びn203が、0を表す、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[8]
前記Mが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[9]
前記R21、R22、及びR31が、各々独立に、水素原子又は無置換のアルキル基である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[10]
前記Y21、Y22、及びY31が、各々独立に、塩素原子、ヒドロキシル基又は無置換のアミノ基である上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[11]
一般式(1)で表される化合物の含有率が1〜20質量%である上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[12]
一般式(4)で表される化合物、及び一般式(5)で表される化合物の合計の含有率が1〜20質量%である上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[13]
一般式(1)で表される化合物の含有量と、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物の合計の含有量との質量比が9/1〜1/9である上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[14]
上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
[15]
上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の着色組成物、又は上記[14]に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
まず、本発明において、置換基群Aについて定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
R101、R102、及びR103が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、原材料の入手性、合成の容易性の観点から、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基、アシルアミノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
前記アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記アルキル基は無置換のアルキル基であることが好ましい。
前記アシルアミノ基は、モノアシルアミノ基であることが好ましい。
R104及びR105が1価の置換基を表す場合、該1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換又は無置換のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。
吸収特性及び耐オゾン性の観点から、R104及びR105は水素原子であることが好ましい。
n101、及びn102がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR101、及びR102は同じであっても異なっていてもよい。
n103が2以上の数を表す場合は、複数のR103は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、Mが水素原子である場合は遊離酸の形態であり、Mがカウンターカチオンの場合は塩の形態である。
塩を形成するカウンターカチオンとしては、1価のカウンターカチオンが挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンなどが好ましい。
有機カチオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム等が挙げられる。
原材料の入手性、染料の水溶性、インクジェットインクとして用いた場合の他の染料との二次色作成時の光沢発生抑制の観点から、アルカリ金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。特にナトリウムイオンは安価であることから好ましい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であることが好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩であることがより好ましく、ナトリウム塩であることが更に好ましい。
前記一般式(1)中、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。すなわち、前記一般式(1)で表される化合物が塩の形態であるとは、全てのスルホ基が塩となっている場合、及び、一部のスルホ基が遊離酸の形態で、かつ一部のスルホ基が塩となっている場合を含む。また、塩を形成するカウンターカチオンも一種でも複数種でもよい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であることが好ましく、全てのスルホ基が塩となっている場合がより好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物は、窒素原子に隣接して導入されたスルホ基の立体障害によって、窒素原子への酸化性ガス(酸素やオゾン)の攻撃を阻害可能であるため、耐オゾン性及び耐光性の観点で特に優れるものと考えられる。
一般式(3)におけるn201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、原材料の入手性、合成の容易さの観点から、1〜4の数が好ましく、2〜4の数が好ましく、2又は3が更に好ましい。
従来公知のキサンテン染料の合成法に準じてキサンテン染料を合成した後に、もしくは市販されているキサンテン染料を用いて、クロロスルホン酸/オキシ塩化リン併用によってクロロスルホニル化した後に、アルカリ加水分解することで合成することができる(下記スキーム参照)。詳細は後述する実施例で例示する。
Y21及びY22は、各々独立に、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェノキシ基を表す。
Xは2価の連結基を表す。
M4は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記アルキル基が環状アルキル基である場合はシクロヘキシル基が好ましい。
前記アルキル基としては、直鎖、又は分岐のアルキル基がより好ましい。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
ヒドロキシル基、又はシアノ基が置換する場合、アルキル基としてはエチル基が最も好ましい。
前記アルキル基が置換したアミノ基としては、モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基が挙げられ、該アルキル基としては直鎖又は分岐が好ましい。好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が置換したモノ又はジアルキルアミノ基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が置換したモノ又はジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が置換したモノ又はジアルキルアミノ基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基が置換したモノ又はジアルキルアミノ基である。
該置換基としては、アルキル基、又はアリール基が好ましい。
前記アルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。
前記アルキル基が直鎖、又は分岐アルキル基である場合は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
前記アルキル基が直鎖、又は分岐アルキル基である場合は、更に置換基を有していてもよく、該更なる置換基としては、アルキルアミノ基、アリール基、スルホ基、カルボキシル基、又はヒドロキシル基が好ましい。前記アルキル基が更なる置換基を有する場合、スルホ基、カルボキシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有するアルキル基であるか、アリール基を有するアルキル基(アラルキル基)であるか、又は、アルキルアミノ基を有するアルキル基であることが好ましい。
スルホ基又はカルボキシル基を有する、モノ又はジアルキルアミノ基の具体例としては、例えば2−スルホエチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基、2−カルボキシエチルアミノ基、1−カルボキシエチルアミノ基、1,2−ジカルボキシエチルアミノ基又はジ(カルボキシメチル)アミノ基等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基の具体例としては、例えばヒドロキシエチルアミノ基、ジヒドロキシエチルアミノ基等が挙げられる。
−N(H)m(−A−)nN(H)m−、又は
−O−A−O−
(式中、Aは2価の炭素数1〜20の炭化水素残基であり、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含んでもよく、nは1又は2、mは1又は0を示し、nが1の時mは1を示し、nが2の時mは0を示す)で表される基が挙げられる。
上記Aの2価の炭素数1〜20の炭化水素残基としては例えば、異項原子(例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を1〜2個含んでもよい炭素数1〜15の2価の脂肪族基、異項原子(例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を1〜3個含んでもよい2価の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜10の芳香属基および前記脂肪族基と前記芳香族基が結合してできる2価の基が挙げられる。これらの基は置換基(スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、芳香族基の時は炭素数1〜10のアルキル基等)を有していてもよい。
2価の芳香属基としてはフェニレン(−C6H4−)、ナフチレン(−C10H6−)等の炭素数6〜10の芳香族基を挙げることができる。
前記脂肪族基と前記芳香族基が結合してできる2価の基としてはキシリレン(−CH2−C6H4−CH2−)等を挙げることができる。
上記Aとしてより好ましいのものとしては、ジメチレン、ヘキサメチレン、1,3−キシリレン、メチレンジシクロヘキサン−4,1−ジイル、メチレンビス(2−メチルシクロヘキサン−4,1−ジイル)、シクロヘキサン−1,3−ジイル−ジメチレンが挙げられる。
なお、式−N(H)m(−A−)nN(H)m−において、nが2であり、mが0である場合の基としては上記1,4−ピペラジンジイル(−NC4H8N−)などが挙げられる。
前記一般式(4)中、M4が水素原子である場合は遊離酸の形態であり、M4がカウンターカチオンの場合は塩の形態である。
塩を形成するカウンターカチオンとしては、1価のカウンターカチオンが挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンなどが好ましい。
有機カチオンとしては、アルキルアミン若しくはアルカノールアミンに水素イオンが付加したカチオンが挙げられ、該アルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられ、該アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
溶解性の観点から、アルカリ金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。特にナトリウムイオンは安価製造の観点から好ましい。
前記一般式(4)中、M4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。すなわち、前記一般式(4)で表される化合物が塩の形態であるとは、全てのスルホ基が塩となっている場合、及び、一部のスルホ基が遊離酸の形態で、かつ一部のスルホ基が塩となっている場合を含む。また、塩を形成するカウンターカチオンも一種でも複数種でもよい。
また、スルホ基以外の基で塩の形態となり得るもの(例えばカルボキシル基)については上記と同様である。
一般式(4)の化合物において、例えば、Xにおいて両末端にアミノ基を有する化合物を得るには、下記式(4−6)の化合物(式中R21は前記と同じ意味を示す)2モルと2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)2〜2.4モルとを水中で、pH3〜7、5〜35℃、2〜8時間反応させて得られる1次縮合物である式(4−7)の化合物(式中R21は前記と同じ意味を示す)に、下記式(4−8)のジアミノ化合物1モルを、pH4〜10、5〜90℃、10分〜5時間反応させることにより、Yが塩素原子で、架橋基Xの両末端がアミノ基である式(4−9)の化合物(式中R21、R22、m、n、Aは前記と同じ意味を示す)が2次縮合物として得られる。
なお、縮合の順序は各種化合物の反応性に応じ、適宜定められ、上記に限定されない。本発明の前記式(4−10)で示されるアントラピリドン化合物の具体例は先の表1に多数含まれているが、本発明における好ましい化合物を、表1に示した化合物も含めて下記表2に示す。なお、下記具体例において、スルホ基は塩の状態であっても良い。
Y31は、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、又はモルホリノ基を表す。
M5は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
X31は下記一般式(5−1)で表される基を表す。
Y31としては、耐湿性の観点から、塩素原子、ヒドロキシル基、又はアミノ基が好ましく、ヒドロキシル基又はアミノ基がより好ましく、ヒドロキシル基が更に好ましい。
アルキル基の場合、色相を考慮すると、R32及びR36のうち少なくとも一方がアルキル基であり、それ以外は水素原子であることが好ましい。また該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基が好ましい。
M’は水素原子又はアルカリ金属イオンであることが好ましい。
これらの中の2個が水素原子以外の基である場合、R32とR36又はR33とR35が水素原子以外の基である場合が好ましく、3個が水素原子以外の基であるときは、R32、R34及びR36が水素原子以外の基であるのが好ましい。より好ましくは、R32〜R36のうち、1〜3個が−COOM’であり、他が水素原子である場合である。更に好ましくはR32、R33又はR35の少なくとも1つが−COOM’である場合である。
前記一般式(5)中、M5が水素原子である場合は遊離酸の形態であり、M5がカウンターカチオンの場合は塩の形態である。
塩を形成するカウンターカチオンとしては、1価のカウンターカチオンが挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンなどが好ましい。
有機カチオンとしては、アルキルアミン若しくはアルカノールアミンに水素イオンが付加したカチオンが挙げられ、該アルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられ、該アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
水溶性の観点から、アルカリ金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。特にナトリウムイオンは安価製造の観点から好ましい。
前記一般式(5)中、M5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。すなわち、前記一般式(5)で表される化合物は塩の形態であるとは、全てのスルホ基が塩となっている場合、及び、一部のスルホ基が遊離酸の形態で、かつ一部のスルホ基が塩となっている場合を含む。また、塩を形成するカウンターカチオンも一種でも複数種でもよい。
また、スルホ基以外の基で塩の形態となり得るもの(例えばカルボキシル基)については上記と同様である。
一般式(5)のアントラピリドン化合物は、例えば次の方法により製造される。即ち、下記式(5−2)
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含有する。上記一般式(4)又は上記一般式(5)で表される化合物は、そのいずれかであってもよく、両方が含まれていてもよい。一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種とを併用することで、相互作用(励起エネルギーの分子間エネルギー移動による失活、印画媒体での浸透性制御など)による相乗効果により、良好な堅牢性と良好な印画濃度とを両立することが可能となる。
本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種とを溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、本発明の着色組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記本発明の化合物(混合物)を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。
必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フイルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。
ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
化合物(1A)の合成
150mLの三ツ口フラスコにクロロスルホン酸(アクロス社製)60g、オキシ塩化リン(フィッシャー社製)6.2gを加え、室温で攪拌しているところに、アシッドレッド289(中外化成製、CHUGAI AMINOL FAST PINKR)9.54gを慎重に加えた後、70℃に加温し、1時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、氷水300gでクエンチし、析出した結晶をろ別し、冷飽和食塩水で洗浄した。得られた結晶を150mLの水に分散させ、2mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて、pHが9.0で一定になるまで滴下を続けた。pHの変化がなくなったところで、0.2mol/Lの希塩酸を用いてpHを8.5に調整し、透析チューブを用いて脱塩を行い、GF/Fフィルター(ワットマン社製)で塵取りを行い、60℃の送風乾燥機で乾燥し、緑色光沢結晶6gを得た。希薄水溶液での吸収極大波長は529nmであった。以下の条件で測定したLC−MSスペクトルは、保持時間7.12分、8.32分、10.08分の3つの成分を観測し、かつその分子量はいずれも894(Posi: 895[M+1]+、Nega:446.2[M−2H]2−)を示した。
カラム GenesisC18(100×4.6mm)
温度 40℃
溶離液A 10mM酢酸アンモニウム水溶液
溶離液B 10mM酢酸アンモニウム アセトニトリル/水(90/10)溶液
グラジエント 0分(B濃度5%)、2分(B濃度5%)、25分(B濃度50%)、30分(B濃度95%)、31分(B濃度5%)、40分(B濃度5%)
流速 1.0mL/分
検出波長 200〜700nm
MS(レンジ)200〜1200
注入量 10μL
下記化合物(5A)、(5B)、及び(5C)は、国際公開第04/104108号を参照して合成した。
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液を調製した。
一般式(4)の化合物(下記化合物(4A)) 3.0g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
染料及び染料添加量を、下記表4に示すように変更した以外は、実施例1のインク液の調製と同様にして、実施例2〜16及び比較例1〜4のインク液を調製した。比較用の染料としてC.I.アシッドレッド289(AR289)を用いた。
以上の各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表4に示した。
なお、表4において、耐オゾン性、耐光性、耐湿性は、各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSON))に画像を記録した後で評価したものである。印画濃度は各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)で普通紙(Canon社製普通紙(GF500、Canon)に画像を記録した後で評価したものである。
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、前記画像を形成したフォト光沢紙を7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(8万5千ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci−Cf)/Ci}×100%)を算出し評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定した。
色素残存率は、反射濃度が1、1.5及び2.0の3点で測定した。いずれの濃度においても色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満の場合をB、すべての濃度で80%未満の場合をCとして三段階で評価した。
インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いマゼンタ−ホワイトのチェック柄の印画物を得た。印画後、24時間乾燥を行ったチェック柄の印画物を80℃70%RHの条件で3日間放置し、着色部分からホワイト部分へのにじみの程度を目視で評価し、ほとんどにじまない場合をA、ややにじむ場合をB、明らかににじむ場合をCとして、三段階で評価した。
印画濃度100%における反射濃度を画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、印画濃度が2.2以上の場合をA、2.0以上2.2未満の場合をB、2.0未満の場合をCとして、三段階で評価した。
Claims (15)
- 下記一般式(1)で表される化合物と、
下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を含む着色組成物。
Y21及びY22は、各々独立に、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェノキシ基を表す。
Xは2価の連結基を表す。
M4は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M4はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Y31は、塩素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、又はモルホリノ基を表す。
M5は水素原子又はカウンターカチオンを表す。M5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
X31は下記一般式(5−1)で表される基を表す。
- 前記一般式(1)におけるnが4である、請求項1に記載の着色組成物。
- 前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記n103、及びn203が、0を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記Mが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記R21、R22、及びR31が、各々独立に、水素原子又は無置換のアルキル基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記Y21、Y22、及びY31が、各々独立に、塩素原子、ヒドロキシル基又は無置換のアミノ基である請求項1〜9のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(1)で表される化合物の含有率が1〜20質量%である請求項1〜10のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(4)で表される化合物、及び一般式(5)で表される化合物の合計の含有率が1〜20質量%である請求項1〜11のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(1)で表される化合物の含有量と、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物の合計の含有量との質量比が9/1〜1/9である請求項1〜12のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の着色組成物、又は請求項14に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
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