JP2013129798A - 光反射部材用樹脂組成物、光反射部材及び発光素子 - Google Patents

光反射部材用樹脂組成物、光反射部材及び発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性、成形性に優れ、硬化後の反射率が高く、高温で長時間使用しても黄変が少なく反射率の低下が小さい、光反射部材に好適に用いられる光反射部材用樹脂組成物、このものを硬化してなる光反射部材、並びに、この光反射部材を備える発光素子を提供する。
【解決手段】式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物A、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有する、25℃において液状の光反射部材用樹脂組成物、この光反射性樹脂組成物を硬化してなる、波長450nmの光線の反射率が80%以上である光反射部材、並びに、該光反射部材を備える発光素子。
Figure 2013129798

【選択図】なし

Description

本発明は、テトラヒドロインデン骨格を有する脂環式ジエポキシ化合物、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有する光反射部材用樹脂組成物、光反射部材、並びに、発光素子に関する。
近年、LED等の光半導体素子は、高効率で発光するとともに駆動特性や点灯繰り返し特性に優れるため、インジケーターや光源として幅広く利用されている。特に、白色LEDは、表示装置のバックライトやカメラのフラッシュとして広く応用されており、更には、省電力で寿命が長いことから次世代の照明装置としても期待されている。こうした発光装置には、照射方向の光の取り出し効率を高めるため、発せられた光を反射する材料(リフレクタ)が搭載される。
ところで、白色LEDは、白色光のほか、透過紫外光及び熱などに変換されるものであるが、白色光に変換されなかった透過紫外光や熱は、リフレクタ等を劣化させる要因となるため、輝度低下の原因となっていた。
そこで、このような問題を解決すべく、特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、及び、白色系顔料を含む無機充填剤を含有し、硬化後の熱伝導率が約1〜約100W/mKである、LEDベアチップ搭載用基板に用いる樹脂組成物が開示されている。特許文献1においては、エポキシ樹脂は特に限定されず(段落(0017))、実施例において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が使用されている。
特許文献2には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、無機充填剤、白色顔料、及びカップリング剤を含有し、特定の光反射率及び熱伝導率を有し、熱硬化前には室温において加圧成形可能である光反射用熱硬化性樹脂組成物が開示されている。特許文献2においては、エポキシ樹脂は特に限定されず(段落(0016))、実施例において、トリグリシジルイソシアヌレートが使用されている。
また、特許文献3には、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び窒化ホウ素を含有する樹脂組成物と基材を含有するプリプレグが開示されている。
しかしながら、これらの文献記載の組成物は、反射率及び/又は熱伝導率には優れるものの、粘度が高く、成形性に劣るという問題があった。また、近年におけるLED素子の高出力化及び短波長化に伴い、エポキシ樹脂が短波長の光を吸収して、光半導体素子の黄変や反射率の低下を招くという問題があった。さらに、エポキシ樹脂の硬化物を高温(150℃)で数日間保管すると黄変や反射率の低下が生じる場合があるという問題も有していた。
これらの問題を解決すべく、硬化物の黄変が少ないとされる非芳香族系の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを用いることも考えられるが、この化合物は、分子中にエステル結合を有するものであるため、空気中の水分等の影響でエステル基が加水分解され易く、硬化物の着色の原因となる場合があった。
特開2003−277479号公報 特開2006−140207号公報 特開2007−284596号公報
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、分散性と成形性に優れ、硬化後の反射率が高く、高温で長時間使用しても、黄変が少なく反射率の低下が小さい光反射部材用樹脂組成物、このものを硬化してなる光反射部材、及び、この光反射部材を備える発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、後述するテトラヒドロインデン骨格を有する式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物A、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有する、25℃において液状の光反射部材用樹脂組成物は、分散性と成形性に優れ、その硬化物は反射率が高く、高温で長時間使用しても黄変が少なく反射率の低下が小さいものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(6)の光反射部材用樹脂組成物、(7)の光反射部材、及び(8)の発光素子が提供される。
(1)下記式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物A、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有する、25℃において液状の光反射部材用樹脂組成物。
Figure 2013129798
(式中、R〜R12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
(2)前記脂環式ジエポキシ化合物Aが、ガスクロマトグラフィーにより検出される、2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体のうち、エキソ−エキソの立体配置を有する立体異性体の含有量が、ガスクロマトグラフィーによるピーク面積の割合で、前記4つの立体異性体の合計量中80%以上のものであることを特徴とする(1)に記載の光反射部材用樹脂組成物。
(3)前記脂環式ジエポキシ化合物Aが、テトラヒドロインデンジエポキシドであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光反射部材用樹脂組成物。
(4)前記白色顔料が平均粒径0.1〜5μmの酸化チタンであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
(5)前記白色顔料の含有量が、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、50〜200質量部であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
(6)さらに、前記白色顔料以外の無機充填剤を、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、1000質量部以下含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の光反射性樹脂組成物を硬化してなる、波長450nmの光線の反射率が80%以上である光反射部材。
(8)(7)に記載の光反射部材を備える発光素子。
本発明によれば、分散性、成形性に優れ、硬化物の反射率が高く、高温で長時間使用しれても黄変が少なく反射率の低下が小さい光反射部材用樹脂組成物、この光反射部材用樹脂組成物を硬化してなる光反射部材、及び、この光反射部材を用いて形成される発光素子が提供される。
凹状のリフレクタを有する本発明の発光素子の一例を示す図であり、図1(A)は、図1(B)のX−X線断面図であり、図1(B)は発光半導体素子及び金線を省略した平面図である。 平面状のリフレクタを有する本発明の発光素子の一例を示す断面図である。
以下、本発明を、1)光反射部材用樹脂組成物、2)光反射部材、及び、3)発光素子に項分けして詳細に説明する。
1)光反射部材用樹脂組成物
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、下記式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物A(以下、「脂環式ジエポキシ化合物A」ということがある。)、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有するものであって、25℃において液状であることを特徴とする。
〈脂環式ジエポキシ化合物A〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物においては、エポキシ樹脂として、下記式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物Aを用いる。
Figure 2013129798
前記式(I)中、R〜R12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
前記R〜R12のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等の炭素数2〜10のアルキリデン基;等が挙げられる。
これらの中でも、R〜R12としては、耐熱性と反射性とに優れる硬化物を得ることができることから、互いに独立して、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、R〜R12の全てが水素原子であるのが特に好ましい。
前記一般式(I)においてR〜R12の全てが水素原子である場合、当該一般式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物はテトラヒドロインデンジエポキシドである。
本発明においては、さらに、エポキシ樹脂として、ガスクロマトグラフィーにより検出される、前記テトラヒドロインデン骨格を有する脂環式ジエポキシ化合物Aが有する2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体のうち、エキソ−エキソの立体配置を有する立体異性体の含有量が、ガスクロマトグラフィーによるピーク面積の割合で、前記4つの立体異性体の合計量中80%以上であるものが好ましい。
前記脂環式ジエポキシ化合物Aの4つの立体異性体の、ガスクロマトグラフィーによる定量分析は、例えば、下記の測定条件で行うことができる。
測定装置:HP6890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−1(ヒューレットパッカード社製)、長さ30m、内径0.25mm、膜厚1.0μm
液相 100%−ジメチルポリシロキサン
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:1.0mL/分
検出器:FID
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
昇温パターン(カラム):40℃で3分間保持、10℃/分で300℃まで昇温
スプリット比:200
サンプル:0.4μL
また、ガスクロマトグラフィーで検出される脂環式ジエポキシ化合物Aの4つの立体異性体の構造はH−NMRや13C−NMRで帰属することができる。
脂環式ジエポキシ化合物Aは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、下記に示すように、対応する環状ポリオレフィン化合物(下記式(II)で表される化合物)を、酸化剤により酸化(エポキシ化)する方法が挙げられる。
Figure 2013129798
(式中、R〜R12は前記と同じ意味を表す。)
酸化剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、脂肪族過カルボン酸、有機過酸化物等が挙げられる。
酸化剤の使用量は、環状ポリオレフィン化合物に対して等モル以上、好ましくは、1〜2倍モルである。
エポキシ化反応は、溶媒中で行うのが好ましい。用いる溶媒としては、水;アセトン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;等が挙げられる。
反応温度は、0℃以上用いる溶媒の沸点以下、好ましくは20〜50℃である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常1〜100時間、好ましくは2〜50時間である。
反応終了後は、例えば、貧溶媒で沈殿させる方法、エポキシ化物を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、又は、直接脱溶媒法等を行うことにより、目的とするエポキシ樹脂を得ることができる。
上記反応により得られる式(I)で表される化合物は、通常、エンド−エンド立体異性体、エンド−エキソ立体異性体、エキソ−エンド立体異性体及びエキソ−エキソ立体異性体の4つの立体異性体の混合物である(S.J.Okobytyy et al, Jornal of Molecular Structure;THEOCHEM,730,125(2005))。
前記4つの立体異性体のうち、エキソ−エキソ立体異性体の含有量が、ガスクロマトグラフィーによるピーク面積の割合で、4つの立体異性体の合計量中80%以上である脂環式ジエポキシ化合物(以下、「高純度脂環式ジエポキシ化合物A」ということがある。)は、前記式(I)で表される化合物の4つの立体異性体混合物を、蒸留やカラムクロマトグラフィー等の公知の精製方法に供し分離・精製することで得ることができる。中でも、当該混合物を、後述の<脂環式ジエポキシ化合物A1の精製例>に記載の方法に従って分離・精製するのが好ましい。
エキソ−エキソ立体異性体の含有量が、ガスクロマトグラフィーによるピーク面積の割合で、4つの立体異性体の合計量中80%以上、好ましくは95%以上である高純度脂環式ジエポキシ化合物Aを含有する組成物を用いることにより、高温で長時間使用しても黄変がより少なく、反射率の低下がより小さい硬化物を得ることができる。なお、本発明の高純度脂環式ジエポキシ化合物中、エキソ−エキソ立体異性体以外の3つの立体異性体の存在割合は特に限定されるものではない。
〈硬化剤〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物には、前記脂環式ジエポキシ化合物Aを後に硬化するため、硬化剤を用いる。
用いる硬化剤としては、本発明の脂環式ジエポキシ化合物Aを、熱や光により硬化させ得るエポキシ樹脂用の硬化剤であれば、特に制約はない。
例えば、酸無水物系硬化剤やフェノール系硬化剤等が挙げられ、脂環式ジエポキシ化合物Aをより容易に硬化させることができることから、酸無水物系硬化剤が好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、分子中に脂肪族環又は芳香族環を1個又は2個有するとともに、酸無水物基を1個又は2個有する、炭素原子数4〜25個、好ましくは8〜20個程度の酸無水物が好適である。
酸無水物系硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂用硬化剤として慣用されているものの中から任意に選択して使用することができ、常温で液状のものが好ましい。具体的には、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
また、後述する本発明の光反射部材に悪影響を与えない範囲で、常温で固体の酸無水物系硬化剤、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等を使用することができる。常温で固体の酸無水物系硬化剤を使用する場合には、常温で液状の酸無水物系硬化剤に溶解させ、常温で液状の混合物として使用することが好ましい。
以上の硬化剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、本発明の目的とする効果がより得られやすいことから、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物が好ましい。メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸とを併用する場合、その割合(質量比)はメチルヘキサヒドロ無水フタル酸:ヘキサヒドロ無水フタル酸が、通常50:50〜90:10、好ましくは60:40〜80:20である。
市販されている酸無水物系硬化剤としては、例えば、商品名「リカシッド(登録商標)HH」、「リカシッド(登録商標)MH」、「リカシッド(登録商標)MH−700」、「リカシッド(登録商標)HNA−100」、「リカシッド(登録商標)SA(コハク酸無水物等)」[以上、新日本理化社製]、「HN−5500E」、「HN−7000」[以上、日立化成工業社製]、グルタル酸無水物(ジャパンエポキシレジン社製)、コハク酸無水物等が挙げられる。
硬化剤の使用割合は、硬化剤としての効果を発揮しうる有効量であれば特に制限はないが、通常エポキシ当量1当量に対して、酸無水物当量として0.5〜1.5当量の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜1.2当量の範囲である。
〈硬化促進剤〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、前記硬化剤と共に硬化促進剤を用いる。硬化促進剤としては、脂環式ジエポキシ化合物Aの硬化反応を促進する機能を有する化合物であれば、特に制約されない。
硬化促進剤の具体例としては、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類;1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤;トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系硬化促進剤;テトラブチルホスホニウムジエチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化物;が挙げられる。更には、高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、アミンをエポキシ樹脂等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤;イミダゾール系、リン系、ホスフィン系促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤;アミン塩型潜在性硬化促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型の潜在性硬化促進剤;紫外線や放射線等の活性エネルギー線によりプロトンを発生する光解離型の光カチオン重合型の潜在性硬化促進剤;等に代表される潜在性硬化促進剤等も使用することができる。
これらの中でも、より本発明の目的とする効果が得られやすいことから、4級ホスホニウム塩類、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩が好ましく、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホロジチオエート(日本化学工業社製 PX−4ET)やメチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート(日本化学工業社製 PX−4MP)が特に好ましい。
以上の硬化促進剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化促進剤の使用割合は、硬化促進効果が得られる量であれば特に制限はないが、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
〈白色顔料〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、高い白色度を持たせて、光の反射率を高めるため、白色顔料を含有する。
白色顔料としては、屈折率が比較的大きな(通常、1.8以上)化合物の微粉末からなり、外見が白色をなす顔料であれば、特に制限されない。
本発明では従来から公知の白色顔料を用いることができる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、硫酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、リトボン、鉛白等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、光反射性の観点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンとしては、ルチル型の酸化チタン、アナターゼ型の酸化チタンのいずれを用いてもよいが、光反射性の観点から、ルチル型の酸化チタンがより好ましい。また、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等が配合された酸化チタンの複合顔料や、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛等で酸化チタンが被覆された抗白亜性チタン白等であってもよい。
白色顔料の平均粒径は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.1〜1μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径が0.1μm未満であると粒子が凝集しやすく、分散性が悪くなる傾向があり、5μmを超えると反射特性が十分に得られなくなる傾向がある。
白色顔料の含有量は、前記脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、50〜200質量部であるのが好ましい。特に光反射部材用樹脂組成物に好ましく含有される、後述する無機充填剤を含有する場合には、50〜100質量部であるのがより好ましい。白色顔料の含有量があまりに少ないと、光反射率が不十分となる一方で、あまりに多いと、発光素子等を製造する際、搬送時等に、割れ、欠けが発生しやすく、また、加工する際に折損等の不具合が発生するおそれがある。
〈無機充填剤〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、その流動性や熱伝導性等を制御する観点から、さらに、光反射性を阻害しない、上記白色顔料以外の無機充填剤(以下、「無機充填剤」ということがある。)を含有することが好ましい。
無機充填剤としては、それ自体の着色力、隠蔽力が小さい、体質顔料;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物;カーボンナノチューブ;等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ粉、微粉ケイ酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等が挙げられる。
これらの無機充填剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら無機充填剤の形状は特に限定されないが、平均粒径は4〜40μmであり、特には7〜35μmであることが好ましい。無機充填剤の含有量は、前記脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、通常1000質量部以下、100〜800質量部であることが好ましく、200〜600質量部であることが更に好ましい。
なかでも、成形後のリフレクタの熱伝導性を確保するという点から、本発明の光反射部材用樹脂組成物には、熱伝導率20W/mK以上の無機充填剤を用いることが好ましく、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、カーボンナノチューブ等を好適に用いることができる。これらの中でも、分散性、流動性、成形性の点からアルミナを用いることが特に好ましい。
〈シランカップリング剤〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物には、樹脂成分と、白色顔料及び無機充填剤との接着性を高めるために、所望によりシランカップリング剤をさらに添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のアルキルシラン;γ−ウレイドメチルトリエトキシシラン等のウレイドシラン;等が挙げられる。
これらは1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、白色顔料及び無機充填剤との合計量100質量部に対して0.05〜5質量部であるのが好ましく、0.1〜2.5質量部であるのがより好ましい。
〈反応調整剤〉
さらに、本発明の光反射部材用樹脂組成物には、所望により水酸基を有する化合物を反応調整剤として添加することができる。水酸基を有する化合物を添加することにより、本発明の光反射部材用樹脂組成物の硬化反応をより緩やかに進行させることができる。水酸基を有する化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン等のグリセリン類;などが挙げられる。
反応調整剤の使用量は、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
〈他のエポキシ化合物〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、光反射部材としての特性を損なわない範囲で、脂環式ジエポキシ化合物Aの他に、他のエポキシ基含有化合物(以下、「他のエポキシ化合物」という。)を含有していてもよい。
他のエポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等の、ビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、リモネンジエポキシド、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステル及びそのε−カプロラクトン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステル及びそのε−カプロラクトン付加物等の、前記脂環式ジエポキシ化合物A以外の脂環式エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の水添ノボラック型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂等の含複素環エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの他のエポキシ化合物はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、より本発明の目的とする効果が得られ易いことから、前記脂環式ジエポキシ化合物A以外の脂環式エポキシ樹脂や水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
他のエポキシ化合物の配合量は、用いるエポキシ化合物の全量中、通常50質量%以下である。他のエポキシ化合物の配合量が、用いるエポキシ化合物の全量中50質量%を超えると本発明の目的とする効果が得られにくくなる。
〈他の添加剤〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物には、得られる硬化物の光透過性や耐黄変性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の各種添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、前記白色顔料及び前記無機充填剤以外の充填剤、難燃剤、前記白色顔料及び前記無機充填剤以外の着色剤、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、蛍光体、イオン吸着体、染料、顔料、低応力化剤、可撓性付与剤、離型剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等が挙げられる。
〈光反射部材用樹脂組成物の調製〉
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、脂環式ジエポキシ化合物A、硬化剤、硬化促進剤、白色顔料、及び、所望により前記白色顔料以外の無機充填剤等のその他の成分を、公知の方法に従って混合し、撹拌することにより調製することができる。
撹拌、混合の際の温度は、配合する硬化剤や硬化促進剤の種類等によっても異なるが、通常、10〜60℃程度に設定されるのが好ましい。調製時の設定温度が10℃未満では、粘度が高すぎて均一な撹拌、混合作業が困難になる場合があり、逆に、調製時の温度が高すぎると、硬化反応が起き、樹脂組成物の粘度が高くなってしまうおそれがある。
混合、撹拌には、例えば、三本ロール、ニーダー、万能撹拌機、ボールミル、プラネタリミキサー、ホモジナイザー、ホモディスパーザー等の公知の混合、撹拌装置を用いることができる。混合、撹拌は、脂環式ジエポキシ化合物Aと前記各成分とが均一になるまで行えばよい。
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、25℃において液状であることを要する。
25℃において液状であるとは、25℃においてペースト状である、或いは粘性流動性を有することを意味する。より具体的には、25℃における粘度が0.1〜2Pa・s程度であるのが好ましい。
粘度は、従来公知の粘度計により測定することができる。
本発明においては、組成物中のエポキシ化合物として低粘度の脂環式エポキシ化合物Aを用いるので、前記硬化剤、硬化促進剤、白色顔料等を、上記した使用量の範囲で適宜用いることにより、25℃において液状である樹脂組成物を簡便に調製することができる。
本発明の光反射材用樹脂組成物は、白色顔料や前記白色顔料以外の無機充填剤を従来と同程度の量を含有していても、分散性に優れ、低粘度で、成形性に優れるものである。
分散性が優れることは、例えば、組成物中に含まれる白色顔料や前記白色顔料以外の無機充填剤の粒度を、粒ゲージを用いて評価することにより確認することができる。具体的には、組成物を、粒ゲージの溝の深い方に乗せ、スクレパーにより溝の浅い方へ引いて、スジ発生の有無を確認し、スジ発生がないことで確認することができる。
3)光反射部材
本発明の光反射部材は、本発明の光反射部材用樹脂組成物を硬化してなるものであって、波長450nmの光線の反射率が80%以上のものである。
光反射部材用樹脂組成物の硬化方法としては、特に限定されず、用いる硬化剤や硬化促進剤に応じて適宜選択すればよいが、加熱による硬化方法(熱硬化方法)や光等の活性エネルギー線照射による硬化方法(光硬化方法)等、従来公知の方法を用いることができる。なかでも本発明の目的とする効果が得られ易い点から、熱硬化方法を用いることが好ましい。
熱硬化方法の場合、硬化温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは100〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。また、急激な硬化反応の進行は内部応力によるクラックの発生を誘引するため、ステップキュアで硬化を行うことが好ましい。具体的には、1次硬化を100〜130℃で1〜3時間程度、2次硬化を130〜180℃の範囲で2〜6時間程度行うことで、クラックの発生が無い硬化物を得ることができる。
高温下での酸化劣化による黄変を防止する観点から、本発明の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。
本発明の光反射部材は、後述の実施例に示すように、反射率が高く、耐熱試験後も反射率の低下が小さい。
本発明の光反射部材の反射率が高いことは、例えば、波長450nmにおける反射率を分光色差計にて測定することにより確認することができる。
本発明の光反射部材の波長450nmにおける反射率は、80%以上、好ましくは85%以上である。
本発明においては、エポキシ化合物として、前記高純度脂環式エポキシ化合物Aを用いることにより、耐熱試験後の反射率の低下をより小さいものとすることができる。
耐熱試験としては、例えば、180℃に温度設定した恒温槽中に12時間静置する試験が挙げられる。この耐熱試験後の反射率の低下率は、通常8%以下である。
本発明の光反射部材は、熱伝導率に優れる。熱伝導率に優れることは、例えば、迅速熱伝導率計を用いて、非定常熱線比較法により熱伝導率(単位:W/mK)の測定を行なうことによって確認することができる。本発明の光反射部材の熱伝導率は、通常0.1〜10W/mKであり、好ましくは1〜10W/mKである。
本発明の光反射部材は、上記のような特性を有するため、LED素子の光反射部材として好適に用いることができる。特に、発光時の発熱が著しい高輝度LED素子用の光反射部材として有用であり、LED素子の長寿命化に貢献することができる。
4)発光素子
本発明の発光素子は、本発明の光反射部材を備えることを特徴とする。
発光素子としては、発光半導体素子の発光を反射するリフレクタや白色基板等の光反射部材を備える発光素子であれば特に制限されない。その光反射部材の形状は、発光半導体装置の態様に応じて選択される。光反射部材は、前述の通り、本発明の光反射部材用樹脂組成物をトランスファー成形法や圧縮成型法等によりリフレクタ形状に成形、硬化することによって形成することができる。
例えば、リフレクタとしては、発光半導体素子電極と外部電極とを接続するリード上、又は該リード及び発光半導体素子電極を実装するダイパッド上に設けられて、内部に発光半導体素子を収容可能なリング壁体状に形成された凹形状であるリフレクタ;発光半導体素子を実装するダイパッドと、発光半導体素子電極と外部電極とを接続するリードとの間の空隙部を充満する状態に形成された平面状のリフレクタ;等が挙げられる。
図1及び2に、本発明の発光素子の一例を示す。
図1は、発光半導体素子用の凹状リフレクタを備える発光素子の一例を示し、図1(A)は、図1(B)のX−X線断面図であり、図1(B)は発光半導体素子及び金線を省略した平面図である。
図1中、1はリフレクタ、2はリードフレーム、3は発光半導体素子、4はダイボンド材、5は金線、6は発光半導体素子3を封止する透明封止樹脂を示す。
リフレクタ1は、発光半導体素子を実装するダイパッドと、発光半導体素子電極と外部電極とを接続するリードとを有する金属リードフレームの上記ダイパッドとリードとの間の空隙部分に充満、介在された部分、及び上記ダイパッド及びリード上に内部に発光半導体素子及び金線を収容し得るリング壁体状部分が一体に成形された凹形状のものである。
図2は、上記ダイパッドとリードとの間の空隙部分を充満、介在した平面状のリフレクタを示すものである。符号は図1の場合と同様である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
(製造例1)
<脂環式ジエポキシ化合物A1の合成>
温度計を備えた3つ口反応器において、窒素気流中、3a,4,7,7a−テトラヒドロインデン 40.0g(0.333mol)をアセトン 400mLに溶解させ、さらに、炭酸水素ナトリウム 201.3g(0.240mol)及び蒸留水 400mLを加えた。得られた混合液を水浴で10℃に冷却した後、オキソン(登録商標)−過硫酸塩化合物(和光純薬工業社製) 327.4g(0.532mol)を加え、反応液の内温が20〜30℃の間になるように水浴温度を調整しながら2時間攪拌した。その後、反応液を0℃に冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液300mL、蒸留水300mL、及び飽和食塩水300mLを加え、n−ヘキサン500mLで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物を真空乾燥させることで、脂環式ジエポキシ化合物A1(粗生成物)を41.5g得た(収率82%)。
得られた脂環式ジエポキシ化合物A1をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、脂環式ジエポキシ化合物A1が有する2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体(すなわち、エキソ−エキソの立体配置を有する立体異性体、エキソ−エンドの立体配置を有する立体異性体、エンド−エキソの立体配置を有する立体異性体、エンド−エンドの立体配置を有する立体異性体の4種の立体異性体)の質量比は、エキソ−エキソ体:エキソ−エンド体:エンド−エキソ体:エンド−エンド体=53.5:22.9:21.6:2.0であった(エキソ−エキソ立体異性体の含有量:53.5%)。
本合成例及び後述の精製例におけるガスクロマトグラフィーの測定条件等は、以下に記載の通りである。
測定装置:HP6890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−1(ヒューレットパッカード社製)、長さ30m、内径0.25mm、膜厚1.0μm
液相 100%−ジメチルポリシロキサン
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:1.0mL/分
検出器:FID
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
昇温パターン(カラム):40℃で3分間保持、10℃/分で300℃まで昇温
スプリット比:200
サンプル:0.4μL
<脂環式ジエポキシ化合物A1の精製例>
上記合成例で得られた粗生成物41.5gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:4(容積比))により精製することで、脂環式ジエポキシ化合物A1の精製物を17.0g、収率41%で得た。
得られた精製物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、エキソ−エキソの立体配置を有する立体異性体の含有量は99.2%であった。以上より、4つの立体異性体のうちエキソ−エキソ立体異性体の含有量が99.2%である高純度脂環式ジエポキシ化合物A1が得られた。なお、立体異性体の構造はNMRで同定した。同定結果を下記表1に示す。表1中、上段は、13C−NMRスペクトルのケミカルシフト値(CDCl、TMS,δppm)を示し、下段は、H−NMRスペクトルのケミカルシフト値(CDCl3、TMS,δppm)を示す。
Figure 2013129798
[実施例1]
容器内に、前記高純度脂環式ジエポキシ化合物A1 100部、硬化剤として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との70:30の混合物〔リカシッド(登録商標)MH−700G、新日本理化社製〕170部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール〔キュアゾール(登録商標)2E4MZ、四国化成工業社製〕0.5部、反応調整剤としてエチレングリコール2部、及び、無機充填剤として、シランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン〔KBM−403、信越化学工業社製〕で表面処理したアルミナ500部を入れ、これに、白色顔料として平均粒子径0.25μmのルチル型酸化チタン〔タイベーク(登録商標)CR−90、石原産業社製〕80部、及びシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン〔KBM−403 信越化学工業社製〕1部を加えて、プラネタリーミキサーにて10分間攪拌し、樹脂組成物1を調製した。硬化剤の酸無水物とエポキシ樹脂の当量比は酸無水物当量/エポキシ当量として0.9であった。
得られた樹脂組成物1を、予め離型フィルムで被覆した1対のガラス基板の間(3mmのスペーサーで間隔が調整されている)に注入し、1次硬化を120℃のオーブン中で2時間、さらに2次硬化を150℃のオーブン中で4時間実施して厚さ3mmの硬化物1を得た。
得られた樹脂組成物1及び硬化物1につき、下記試験を行った。その試験結果を表2に示す。
<分散性>
実施例1で得た樹脂組成物1中に含まれる白色顔料や無機充填剤の粒度を、双溝0〜25μmの粒ゲージ(コーティングテスター工業社製)を用いて評価した。具体的には、評価用組成物を、粒ゲージの溝の深い方に乗せ、スクレパーにより溝の浅い方へ引いて、スジ発生の有無を確認し、スジ発生がない場合を○、スジ発生がある場合を×、と評価した。評価結果を下記表2に示す。
<粘度>
実施例1で得た樹脂組成物1の25℃における粘度を、ハイシェアレイト粘度計(商品名:CAP2000+、ブルックフィールド社製)にて、CAP−03コーンスピンドルを用いて測定した。測定結果を下記表2に示す。
<初期反射率>
実施例1で得た硬化物1の波長450nmにおける反射率を分光色差計(商品名:SE−2000、日本電色工業社製)にて測定した。測定結果を下記表2に示す。
<耐熱試験後の反射率>
実施例1で得た硬化物1を、180℃に温度設定した恒温槽中に12時間静置した後、前記初期反射率と同様の方法により反射率を測定した。測定結果を下記表2に示す。
<熱伝導率>
実施例1で得た硬化物1を用いて、迅速熱伝導率計(商品名:QTM−500、京都電子工業社製)により、熱伝導率(単位:W/mK)の測定を行なった。なお、熱伝導率の測定は、非定常熱線比較法により行なった。測定結果を下記表2に示す。
[実施例2]
実施例1において、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1 100部の代わりに、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1 50部、及び、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル化学工業社製〕50部を用い、硬化剤のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物の使用量を170部から142部に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2及び硬化物2を得た。
得られた樹脂組成物2及び硬化物2につき、実施例1と同様の試験を行った。その試験結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1において、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1の代わりに、脂環式ジエポキシ化合物A1(粗生成物)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物3及び硬化物3を得た。
得られた樹脂組成物3及び硬化物3につき、実施例1と同様の試験を行った。その試験結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1の代わりに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔セロキサイド(登録商標)2021P ダイセル化学工業社製)を用い、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物の使用量を170部から113部に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物1r及び硬化物1rを得た。
得られた樹脂組成物1r及び硬化物1rにつき、実施例1と同様の試験を行った。その試験結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1の代わりに、4、4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの重縮合した水添物〔jER(登録商標)YX8000、三菱化学社製〕を用い、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物の使用量を170部から83部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2r及び硬化物2rを得た。
得られた樹脂組成物2r及び硬化物2rにつき、実施例1と同様の試験を行った。その試験結果を表2に示す。
Figure 2013129798
上記表2から、実施例で得られた樹脂組成物1〜3は、分散性に優れ、低粘度であり、また実施例で得られた樹脂組成物を硬化させて得た硬化物1〜3は、初期反射率が高く、耐熱試験後も反射率が大きく低下することがなく、熱伝導率にも優れていることがわかる。
また、高純度脂環式ジエポキシ化合物A1を用いた場合(実施例1,2)の方が、脂環式ジエポキシ化合物A1を用いた場合(実施例3)よりも、耐熱試験後の反射率の低下が抑えられることがわかる。
一方、エポキシ樹脂として、脂環式ジエポキシ化合物A1を用いない比較例1,2の樹脂組成物1r、2rは、分散性に劣り、粘度が高く、その硬化物は、耐熱試験後の反射率の低下が大きく、熱伝導率の低いものであった。
本発明の光反射部材用樹脂組成物は、LED素子をはじめとする発光素子の長寿命化への貢献が期待できる。
1・・・リフレクタ(本発明の光反射部材)
2・・・リードフレーム
3・・・発光半導体素子
4・・・ダイボンド材
5・・・金線
6・・・透明封止樹脂

Claims (8)

  1. 下記式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物A、硬化剤、硬化促進剤、及び白色顔料を含有する、25℃において液状の光反射部材用樹脂組成物。
    Figure 2013129798
    (式中、R〜R12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
  2. 前記脂環式ジエポキシ化合物Aが、ガスクロマトグラフィーにより検出される、2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体のうち、エキソ−エキソの立体配置を有する立体異性体の含有量が、ガスクロマトグラフィーによるピーク面積の割合で、前記4つの立体異性体の合計量中80%以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の光反射部材用樹脂組成物。
  3. 前記脂環式ジエポキシ化合物Aが、テトラヒドロインデンジエポキシドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光反射部材用樹脂組成物。
  4. 前記白色顔料が、平均粒径0.1〜5μmの酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
  5. 前記白色顔料の含有量が、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、50〜200質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
  6. さらに、前記白色顔料以外の無機充填剤を、脂環式ジエポキシ化合物A 100質量部に対し、1000質量部以下含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光反射部材用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光反射性樹脂組成物を硬化してなる、波長450nmの光線の反射率が80%以上である光反射部材。
  8. 請求項7に記載の光反射部材を備える発光素子。
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