JP2013127278A - 伝動ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】プーリへのベルト取り付けが容易であり、高負荷のレイアウトでもベルト張力を維持でき、かつ耐屈曲疲労性を向上できる伝動ベルトを提供する。
【解決手段】ベルト本体と、ベルト長手方向に延びて前記ベルト本体に埋設される心線とを含む伝動ベルトにおいて、前記心線を、ポリエステル繊維を含むポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド繊維を含むポリアミド系マルチフィラメント糸を含む複数本の糸を混撚りした子縄を含む複数本の糸を上撚りした撚糸コードで構成し、この撚糸コードの上撚り係数を3〜7に調整し、かつ伝動ベルトの引張弾性率を20〜35N/(mm・%)に調整する。80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力は1.4〜2.2cN/dtexであってもよく、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力は1.0〜1.8cN/dtexであってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動装置などの動力伝動に用いられる伝動ベルトに関する。
動力伝動に用いられるVリブドベルトには、ゴム組成物で形成された本体に繊維で形成された撚りコードが心線として埋設されている。撚りコードは、ベルト張力の大部分を担う部材であって、その特性は、繊維種、撚り数、撚り方向、繊度などの組み合わせにより定まる。このような構造を有するVリブドベルトは、自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータ等の補機駆動の動力伝動用として広く用いられている。これらのドライブシステムへ伝動ベルトを装着するには、プーリを軸間距離が小さくなる方向に移動させて伝動ベルトを掛架した後、プーリを元の位置まで戻して張力を付与することが一般であった。
ところが、近年では装置のコンパクト化に伴う設置スペースの減少の要請により、軸間距離を固定したレイアウトで使用されるケースが多くなっている。このレイアウトでは、軸間距離を固定したままベルトを取り付ける必要がある一方で、取り付け後はベルト自体がスリップしない程度の張力を維持する必要がある。そのため、レイアウト周長に対してベルト周長を短くし、ベルトを伸張(例えば1〜5%)させてプーリにベルトを取り付けて張力を付与していた。この種のベルトとしては、取付時にベルトを伸張させる必要があるため、引張弾性率を低くしたベルトが用いられる。
特表2004−532959号公報(特許文献1)には、ポリアミド66撚り加工コードを用い、ベルトの引張弾性率を7000〜10000N/mm/mmに設定した自動車用低弾性ベルトが開示されている。この文献には、ベルトをプーリに延伸装着することによって取り付けることができ、駆動装置の設計寿命全体を通して所望の張力を維持することができると記載されている。また、このベルトは、引張弾性率を低くしているのでベルトの取付性は良好であり、比較的負荷の小さい補機(例えば、ウォータポンプなど)の駆動は可能である。
しかし、オルタネータなどの負荷が大きい補機を駆動させるにはベルトの引張弾性率を高くする必要があり、特許文献1の低弾性ベルトでは走行時の張力低下(特に100℃などの高温)が大きく、スリップが発生した。そこで、低弾性繊維と高弾性繊維とを組み合わせた撚りコードを心線に用いて、引張弾性率を向上させたVリブドベルトが提案されている。
特開2010−106898号公報(特許文献2)には、心線として低弾性材質であるポリアミド繊維と高弾性材質であるポリエステル繊維との組み合わせ、ベルト弾性率が15000〜45000N/mm/mmであるVリブドベルトが開示されている。この文献には、前記Vリブドベルトは、心線の飛び出しやベルト分解が抑制されるとともに、低弾性タイプのVリブドベルトであるにも拘わらず、自動車の補機であるオルタネータ、コンプレッサー等の高負荷補機を伝動できると記載されている。さらに、この文献には、930dtexのポリアミド66繊維と1110dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とを下撚り数22.8回/10cmで混撚りして子縄とし、この子縄3本を上撚り数9.9回/10cmで上撚りした心線コードが製造されている。
特開2003−194152号公報(特許文献3)には、心線がポリアミド繊維で形成されたマルチフィラメント糸と、PET繊維で形成されたマルチフィラメント糸とを混撚して子縄とし、この子縄を複数本束ねて下撚り方向と逆方向に上撚りした撚りコードであり、かつ2%伸張させるのに必要な応力が250〜350N/リブであるVリブドベルトが開示されている。この文献では、ポリアミド66で構成された940dtexのマルチフィラメント糸と、PETで構成された1220dtexのマルチフィラメント糸とを下撚り数202回/mで混撚りして子縄とし、この子縄3本を上撚り数113回/mで上撚りされ、かつ上撚り係数が3.0である心線を含むVリブドベルトが調製されている。
ところで、ベルトが多軸レイアウト(例えば、プーリ数が3個以上)で使用される場合、ベルトは屈曲しながらプーリに巻き掛けられることになる。そのため、ベルト本体中に埋設される心線には引張弾性率や張力維持性以外に、耐屈曲疲労性が求められる。この耐屈曲疲労性が不十分であると、ベルト走行中に心線が早期に切断してベルトが寿命となる虞がある。
しかし、これらのVリブドベルトは、耐屈曲疲労性が十分でなく、例えば、多軸レイアウトでは、心線が早期に切断される傾向がある。
特表2004−532959号公報(請求項1、段落[0007]) 特開2010−106898号公報(特許請求の範囲、段落[0006]、実施例) 特開2003−194152号公報(請求項1、実施例)
従って、本発明の目的は、プーリへのベルト取り付けが容易であり、高負荷のレイアウトでもベルト張力を維持でき、かつ耐屈曲疲労性を向上できる伝動ベルトを提供することにある。
本発明の他の目的は、負荷に応じてベルトの引張弾性率を調整できる伝動ベルトを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、多重レイアウトであっても、心線の切断を抑制できる伝動ベルトを提供することにある。
本発明者は、特許文献2及び3におけるVリブドベルトが、耐屈曲疲労性を向上できない原因について鋭意検討した結果、以下の原因が判明した。すなわち、特許文献2及び3のVリブドベルトは、心線として低弾性糸と高弾性糸とを組み合わせているため、ベルトに張力を付与した場合、その張力は低弾性糸と高弾性糸とで均等に支持されず、伸びが小さい高弾性糸が主に負担することになる。そのため、高弾性糸は強い屈曲疲労を受けることになり、この部分で疲労が促進され、ひいては心線の早期切断へと繋がる。さらに、特許文献2のVリブドベルトでは、上撚り係数も低く、心線の耐屈曲疲労性が低い。
そこで、本発明者は、これらの知見を下に、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、心線として用いる混撚糸の繊維種、撚り数、撚り方向、繊度などを調整し(特に心線の混撚糸として撚り合わせるポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド系マルチフィラメント糸の伸張応力を近似させ)、混撚糸の上撚り係数及びベルト弾性率を特定の範囲に調整することにより、プーリへのベルト取り付けが容易であり、かつ耐屈曲疲労性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の伝動ベルトは、ベルト本体と、ベルト長手方向に延びて前記ベルト本体に埋設される心線とを含む。前記心線は、子縄を含む複数本の糸を上撚りした撚糸コードであり、前記子縄が、ポリエステル繊維を含むポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド繊維を含むポリアミド系マルチフィラメント糸を含む複数本の糸を混撚りした下撚り糸を含む。前記撚糸コードの上撚り係数が3〜7である。前記伝動ベルトの引張弾性率は20〜35N/(mm・%)である。
本発明の伝動ベルトにおいて、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力との比率は、前者/後者=1/2〜2/1であってもよい。80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力は1.4〜2.2cN/dtexであってもよく、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力は1.0〜1.8cN/dtexであってもよい。
本発明の伝動ベルトにおいて、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の10%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の10%伸張応力との比率は、前者/後者=1/3〜1.2/1であってもよい。80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の10%伸張応力は3.3〜4.1cN/dtexであってもよく、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の10%伸張応力は3.5〜4.3cN/dtexであってもよい。
本発明の伝動ベルトにおいて、ポリエステル系マルチフィラメント糸の150℃で30分間処理後の乾熱収縮率は3%以下であってもよい。前記ポリエステル系マルチフィラメント糸はポリアルキレンアリレート系繊維を含み、前記ポリアミド系マルチフィラメント糸は脂肪族ポリアミド系繊維を含んでもよい。
本発明には、ベルト本体と、ベルト長手方向に延びて前記ベルト本体に埋設される心線とを含み、かつ前記心線が、子縄を含む複数本の糸を上撚りした撚糸コードであり、前記子縄が、ポリエステル繊維を含むポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド繊維を含むポリアミド系マルチフィラメント糸を含む複数本の糸を混撚りした下撚り糸を含む伝動ベルトにおいて、前記撚糸コードの上撚り係数を3〜7に調整し、かつ前記伝動ベルトの引張弾性率を20〜35N/(mm・%)に調整することにより、伝動ベルトの耐屈曲疲労性を向上する方法も含まれる。この方法において、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力との比率を、前者/後者=1/2〜2/1に調整してもよい。
本発明では、伝動ベルトにおいて、心線として用いる混撚糸の繊維種、撚り数、撚り方向、繊度などを調整し、混撚糸の上撚り係数及びベルト弾性率が特定の範囲に調整されているため、プーリへのベルト取り付けが容易であり、高負荷のレイアウトでもベルト張力を維持でき、かつ耐屈曲疲労性を向上できる。特に、心線の混撚糸として撚り合わせるポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド系マルチフィラメント糸の伸張応力を近似させることにより、耐屈曲疲労性をさらに向上でき、例えば、多重レイアウトであっても、心線の切断を抑制できる。さらに、負荷に応じてベルトの引張弾性率を調整できる。そのため、製品設計が容易であり、低負荷及び高負荷のいずれにも対応できる。
図1は、本発明の伝動ベルトの一例を示す概略断面図である。 図2は、心線の撚り構成の態様を示すモデル図である。 図3は、実施例において心線の耐屈曲疲労性を評価するための測定方法を示す概略図である。 図4は、実施例において二軸走行試験を説明するための概略図である。 図5は、実施例で用いた原糸の応力−歪み曲線を示すグラフである。
[伝動ベルト]
本発明の伝動ベルトは、ベルト本体と、このベルト本体に埋設され、かつベルト長手方向に延びる心線とを含む。図1は、本発明の動力伝動用ベルトの一例であるVリブドベルトを示す概略断面図である。
この例では、Vリブドベルトは、ベルト本体の内周面(下面)に、ベルトの長手方向に沿って複数列で延びるリブ部9(図では4列)を有しており、このリブ部9の長手方向に対して直交する方向における断面形状は、ベルト外周側(リブ部を有さず、プーリと係合しない側)から内周側に向かって幅が小さくなる(先端に向かって先細る)逆台形状(断面V字形)である。Vリブドベルトは、積層構造を有しており、ベルト本体の内周側から外周側に向かって、前記リブ部9を有する圧縮層2、ベルト長手方向に心線1を埋設した接着層6、伸張層8が順次積層されている。前記圧縮層2は、ベルト幅方向に配向した複数の短繊維10を含む。
(心線)
心線は、子縄(下撚り糸)を含む複数本の糸を上撚りした撚糸コードである。前記子縄は、ポリエステル繊維を含むポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド繊維を含むポリアミド系マルチフィラメント糸を含む複数本の糸を混撚りした下撚り糸(混撚子縄)を含む。
ポリエステル系マルチフィラメント糸は、ポリエステル繊維のモノフィラメント糸(単糸)を含んでいればよく、複数種の単糸を組み合わせたマルチフィラメント糸であってもよいが、通常、同一の単糸(ポリエステル繊維)で形成されたマルチフィラメント糸である。
ポリエステル繊維としては、通常、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートなどのC2−4アルキレンアリレートを主たる構成単位とするポリアルキレンアリレート系繊維が使用される。ポリアルキレンアリレート系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維、ポリブチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維などが挙げられる。これらのポリエステル繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリエステル繊維のうち、PET系繊維が好ましい。PET系繊維を構成するPET系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリエステル系マルチフィラメント糸の平均繊度は、例えば、200〜3000dtex、好ましくは300〜2500dtex、さらに好ましくは500〜2000dtex(特に800〜1500dtex)程度である。マルチフィラメント糸を構成する糸(単糸)の本数は、例えば、100〜600本、好ましくは200〜550本、さらに好ましくは250〜500本程度であり、単糸の平均繊度は、例えば、1〜10dtex、好ましくは2〜8dtex、さらに好ましくは3〜7dtex程度である。
本発明では、ポリエステル系マルチフィラメント糸は、低弾性のポリエステル系繊維を用いるのが好ましい。低弾性のポリエステル系繊維を用いることにより、ポリアミド系繊維の弾性率と近似させることができ、耐屈曲疲労性を向上でき、プーリへの取り付けを容易にできる。
詳細には、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸を引っ張ったときの5%伸張応力(低伸張域の応力)は1.2〜3cN/dtex程度の範囲から選択でき、例えば、1.4〜2.2cN/dtex、好ましくは1.5〜2.1cN/dtex、さらに好ましくは1.6〜2cN/dtex(特に1.7〜1.9cN/dtex)程度である。5%伸張応力を前記範囲に調整することにより、ポリエステル系マルチフィラメント糸の低伸張域における弾性率を低下でき、プーリへの取り付けを容易にできる。5%伸張応力が低すぎると、ベルト取り付け時の張力低下(応力緩和)が大きくなり、逆に高すぎると、プーリへの取り付けが困難となる。
特に、このポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力と、後述するポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力との比率に近似させることにより、ベルトに張力が作用してもポリエステル系マルチフィラメント糸とポリアミド系マルチフィラメント糸とでこの張力を適切に負担することができ、心線の耐屈曲疲労性を向上させることができる。具体的には、ポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力と、ポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力との比率は、例えば、前者/後者=1/2〜2/1、好ましくは1/1.5〜1.8/1、さらに好ましくは1/1〜1.5/1(特に1.1/1〜1.3/1)程度である。両者の比率がこの範囲から外れると、ポリエステル系マルチフィラメント糸とポリアミド系マルチフィラメント糸とのバランスが悪くなり、心線の耐屈曲疲労性が低下する。
さらに、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸を引っ張ったときの10%伸張応力(中間伸張域の応力)は3〜5cN/dtex程度の範囲から選択でき、例えば、3.3〜4.1cN/dtex、好ましくは3.4〜4cN/dtex、さらに好ましくは3.5〜3.9cN/dtex(特に3.6〜3.8cN/dtex)程度である。10%伸張応力を前記範囲に調整することにより、ポリエステル系マルチフィラメント糸の中間伸張域における弾性率を低下でき、弾性率を適度に高めることができ、負荷の大きいレイアウトでもベルトの張力低下を効果的に抑制できる。10%伸張応力が低すぎると、走行時の張力が低下し、逆に高すぎると、プーリへの取り付けが困難となる。
特に、80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の10%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の10%伸張応力との比率は、例えば、前者/後者=1/3〜1.2/1、好ましくは1/2〜1.1/1、さらに好ましくは1/1.5〜1/1(特に1/1.2〜1/1)程度である。両者の比率がこの範囲から外れると、ポリエステル系マルチフィラメント糸とポリアミ系マルチフィラメント糸とのバランスが悪くなり、心線の耐屈曲疲労性が低下する虞がある。
ポリエステル系マルチフィラメント糸の破断強力は、例えば、3〜10cN/dtex、好ましくは5〜9cN/dtex、さらに好ましくは6〜8cN/dtex程度であってもよい。ポリエステル系マルチフィラメント糸の破断伸度は15%以上であってもよく、例えば、15〜50%、好ましくは16〜30%、さらに好ましくは17〜20%程度であってもよい。
なお、本明細書では、詳細には、マルチフィラメント糸の伸張応力、破断強力及び破断伸度は、後述する実施例に記載された方法で測定できる。
このような引張弾性(特に伸張応力)を有するポリエステル系マルチフィラメント糸は、例えば、ポリエチレンテレフタレート系繊維の共重合性単量体の割合や、紡糸条件などを調整してポリエステル系樹脂の結晶の大きさや配向性を制御し、結晶化度を低下させることにより、伸張応力の低下したマルチフィラメント糸を調製してもよい。
ポリエステル系マルチフィラメント糸の150℃で30分間処理後の乾熱収縮率は、ベルトの寸法安定性を向上できる点から、3%以下であってもよく、例えば、2.8%以下、好ましくは2.6%以下(例えば、2.0〜2.6%)、さらに好ましくは2.5%以下(例えば、2.1〜2.5%)であってもよい。ポリアミド系繊維(特に脂肪族ポリアミド繊維)は寸法変化(特に高湿度の寸法変化)が大きいが、ポリエステル系マルチフィラメント糸の乾熱収縮率を前記範囲(特に2.6%以下)に調整することにより、心線の寸法変化を抑制することができる。乾熱収縮率が大きすぎると、ベルトの寸法変化が大きくなる。乾熱収縮率は低いほど好ましいが、2.0%未満のポリエステル繊維の製造は困難である。
なお、本明細書では、詳細には、マルチフィラメント糸の乾熱収縮率は、後述する実施例に記載された方法で測定できる。
ポリアミド系マルチフィラメント糸は、ポリアミド繊維の単糸を含んでいればよく、複数種の単糸を組み合わせたマルチフィラメント糸であってもよいが、通常、同一の単糸(ポリアミド繊維)で形成されたマルチフィラメント糸である。
ポリアミド繊維としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミド及びその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミド繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリアミド繊維のうち、強靱性などの点から、脂肪族ポリアミド繊維が好ましく、耐熱性が高く、100℃などの高温下でもベルト張力を維持できる点から、融点230℃以上(例えば、240〜300℃程度)の脂肪族ポリアミド繊維(例えば、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維など)が特に好ましい。
ポリアミド系マルチフィラメント糸の平均繊度は、例えば、200〜3000dtex、好ましくは300〜2500dtex、さらに好ましくは500〜2000dtex(特に800〜1500dtex)程度である。単糸の本数は、例えば、100〜600本、好ましくは200〜550本、さらに好ましくは250〜500本程度であり、単糸の平均繊度は、例えば、1〜10dtex、好ましくは2〜8dtex、さらに好ましくは3〜7dtex程度である。
80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸を引っ張ったときの5%伸張応力(低伸張域の応力)は0.5〜2.5cN/dtex程度の範囲から選択でき、例えば、1.0〜1.8cN/dtex、好ましくは1.1〜1.9cN/dtex、さらに好ましくは1.2〜1.8cN/dtex(特に1.3〜1.6cN/dtex)程度である。
80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸を引っ張ったときの10%伸張応力(中間伸張域の応力)は3〜5cN/dtex程度の範囲から選択でき、例えば、3.5〜4.3cN/dtex、好ましくは3.6〜4.2cN/dtex、さらに好ましくは3.7〜4.1cN/dtex(特に3.8〜4.0cN/dtex)程度である。
混撚子縄は、前記ポリエステル系マルチフィラメント糸及び前記ポリアミド系マルチフィラメント糸を含んでいればよく、さらに他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻など)、再生繊維(レーヨン、アセテートなど)、合成繊維[ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポリスチレンなどのスチレン系繊維、ポリフルオロエチレンなどのフッ素系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系繊維、全芳香族ポリエステル繊維、全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、PBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維など]、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維など)などが挙げられる。これら他の繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これら他の繊維のうち、芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維、PBO繊維、炭素繊維、ガラス繊維などが汎用される。
混撚子縄は、ポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド系マルチフィラメント糸を1本ずつ含んでいればよく、例えば、複数本のポリエステル系マルチフィラメント糸及び/又は複数のポリアミド系マルチフィラメント糸、さらには他の繊維を含んでいてもよく、本数は限定されないが、通常、1本のポリエステル系マルチフィラメント糸と1本のポリアミド系マルチフィラメント糸を撚り合わせて下撚り糸(混撚子縄)とする。
撚糸コード(上撚り糸)は、前記混撚子縄を下撚り糸として含んでいればよく、撚り工程の回数は特に限定されず、下撚り糸を撚り合わせた上撚り糸だけでなく、例えば、下撚り、中撚り、上撚りの順に複数回の撚りを行ってもよい。これらのうち、簡便性などの点から、下撚り糸を撚り合わせた上撚り糸が好ましい。
撚糸コードにおいて、下撚り(又は中撚り)と上撚りとの撚り方向は、特に限定されず、下撚りと上撚りの撚り方向が互いに反対方向である諸撚りでもよく、同一方向であるラング撚りでもよい。これらのうち、上撚りの撚り戻りが起こり難く、撚りが安定している点から、諸撚りが好ましい。
上撚り(又は中撚り)するための糸は、前記混撚子縄の他に、ポリエステル系マルチフィラメント糸同士を撚り合わせた子縄、ポリアミド系マルチフィラメント糸同士を撚り合わせた子縄、前記他の繊維などを含んでいてもよい。これらのうち、適切なベルト弾性を付与できる点から、ポリアミド系マルチフィラメント糸同士を撚り合わせた子縄と組み合わせるのが好ましい。
撚糸コード(上撚り糸)全体において、下撚り糸(又は中撚り糸)の本数は2本以上であればよく、例えば、2〜8本、好ましくは2〜7本、さらに好ましくは2〜6本(特に3〜5本)程度であり、通常、3本である。
撚糸コード(上撚り糸)全体において、ポリエステル系マルチフィラメント糸とポリアミド系マルチフィラメント糸との本数割合は、適切なベルト弾性を付与でき、ベルト取付性を損なうことなく高負荷のレイアウトでも使用できる点から、前者:後者=4:1〜1:10程度の範囲から選択でき、例えば、前者/後者=2:1〜1:5、好ましくは1.5:1〜1:3、さらに好ましくは1:1〜1:2程度である。ポリエステル系マルチフィラメント糸の割合が多すぎると、プーリへの取り付け性が低下し、ポリアミド系マルチフィラメント糸の割合が多すぎると、高負荷のレイアウトでベルト張力維持性が低下する。
図2は、心線の撚り構成の態様を示すモデル図である。図2において、繊維1と繊維2の2本のマルチフィラメント糸を下撚りし、少なくともこの下撚り糸を1本含む3本を束ねて上撚りした態様が表されている。このような構成は2×3で表され、最初の数字は下撚り糸におけるマルチフィラメント糸の本数であり、後の数字は下撚り糸の本数である。
撚糸コードにおいて、下記式(1)で表される撚り係数(T.F.)は、上撚りの撚り係数と下撚り(又は中撚り)撚り係数とが異なっていてもよいが、撚りの安定性の点(撚り戻りが起こり難い点)から、上撚りの撚り係数と下撚り撚り係数とが略同一であるのが好ましい。
T.F.=[撚り数(回/m)×√繊度(Tex)]/960 (1)
撚糸コードの撚り係数(上撚り係数及び下撚り係数)は、心線の耐屈曲疲労性を向上でき、負荷に応じてベルトの引張弾性率を調整できる点から、例えば、3〜7、好ましくは3.5〜6.5、さらに好ましくは4〜6程度である。本発明では、心線の弾性率(ベルト弾性率)と耐屈曲疲労性とをバランスよく調整するため、特に上撚り係数は3〜7(特に4〜6)である。上撚り係数が小さすぎると、心線の耐屈曲疲労性が低下する虞があり、上撚り係数が大きすぎると、ベルトの引張弾性率が過度に低くなって、高負荷レイアウトに適用できない。
心線は、ゴムとの接着性を改善するため、接着処理を施してもよい。接着処理としては、繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成してもよい。なお、この接着処理に限らず、心線の繊維を、慣用の接着性成分、例えば、エポキシ化合物(エポキシ樹脂など)、イソシアネート化合物などの反応性化合物(接着性化合物)を有機溶媒に溶解させた樹脂系処理液に浸漬・加熱乾燥して前処理した後、RFL液で処理してもよい。RFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物(プレポリマー)をラテックスに混合した組成物である。ラテックスとしては、例えば、クロロプレン、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、NBRなどが例示できる。さらに、必要に応じて、RFL液で処理後、ゴム組成物を有機溶媒(トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなど)に溶解させた処理液でオーバーコーティング処理をしてもよい。
心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度である。
心線は、通常、ベルト本体中において、複数本の心線が、ベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に埋設されており、隣接する心線の間隔(スピニングピッチ)は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜1.5mm、さらに好ましくは1〜1.3mm程度である。
(圧縮層)
圧縮層は、ベルトの種類に応じて、適宜選択でき、例えば、ゴム成分と加硫剤又は架橋剤とを含むゴム組成物やポリウレタン樹脂組成物などが利用される。
ゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。
ポリウレタン組成物としては、例えば、ウレタンプレポリマーと硬化剤との硬化物(二液硬化型ポリウレタン)などが例示できる。
これらのうち、硫黄や有機過酸化物を含むゴム組成物(特に有機過酸化物加硫型ゴム組成物)で未加硫ゴム層を形成し、未加硫ゴム層を加硫又は架橋するのが好ましく、特に、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−α−オレフィン系ゴム)が好ましい。
エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−α−オレフィン系ゴム)としては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムなどが挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどの鎖状α−C3−12オレフィンなどが挙げられる。α−オレフィンは、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのα−オレフィンのうち、プロピレンなどのα−C3−4オレフィン(特にプロピレン)が好ましい。
ジエンモノマーとしては、通常、非共役ジエン系単量体、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが例示できる。これらのジエンモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
代表的なエチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム(エチレン−プロピレンゴム(EPR))、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDMなど))などが例示できる。好ましいエチレン−α−オレフィンエラストマーはEPDMである。
エチレン−α−オレフィンゴムにおいて、エチレンとα−オレフィンとの割合(質量比)は、前者/後者=40/60〜90/10、好ましくは45/55〜85/15(例えば、50/50〜82/18)、さらに好ましくは55/45〜80/20(例えば、55/45〜75/25)程度であってもよい。また、ジエンの割合は、4〜15質量%程度の範囲から選択でき、例えば、4.2〜13質量%(例えば、4.3〜12質量%)、好ましくは4.4〜11.5質量%(例えば、4.5〜11質量%)程度であってもよい。なお、ジエン成分を含むエチレン−α−オレフィンゴムのヨウ素価は、例えば、3〜40(好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜20)程度であってもよい。ヨウ素価が小さすぎると、ゴム組成物の加硫が不十分になって摩耗や粘着が発生し易く、またヨウ素価が大きすぎると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなると共に耐熱性が低下する傾向がある。
有機過酸化物としては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されている有機過酸化物、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)などが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、有機過酸化物は、熱分解による1分間の半減期が150〜250℃(例えば、175〜225℃)程度の過酸化物が好ましい。
加硫剤又は架橋剤(特に有機過酸化物)の割合は、ゴム成分(エチレン−α−オレフィンエラストマーなど)100質量部に対して、固形分換算で、1〜10質量部、好ましくは1.2〜8質量部、さらに好ましくは1.5〜6質量部(例えば、2〜5質量部)程度である。
ゴム組成物は、さらに加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系促進剤、チアゾ−ル系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ビスマレイミド系促進剤、ウレア系促進剤などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。加硫促進剤の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは2〜5質量部程度である。
ゴム組成物は、架橋度を高め、粘着摩耗などを防止するために、さらに共架橋剤(架橋助剤、又は共加硫剤)を含んでいてもよい。共架橋剤としては、慣用の架橋助剤、例えば、多官能(イソ)シアヌレート[例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)など]、ポリジエン(例えば、1,2−ポリブタジエンなど)、不飽和カルボン酸の金属塩[例えば、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウムなど]、オキシム類(例えば、キノンジオキシムなど)、グアニジン類(例えば、ジフェニルグアニジンなど)、多官能(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど]、ビスマレイミド類(N−N’−m−フェニレンビスマレイミドなど)などが挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。架橋助剤の割合(複数種を組み合わせる場合は合計量)は、固形分換算で、ゴム100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜8質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部程度である。
ゴム組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、増強剤(カーボンブラック、含水シリカなどの酸化ケイ素など)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイル、プロセスオイルなどのオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止材、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。なお、金属酸化物は架橋剤として作用してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤の割合は、種類に応じて慣用の範囲から選択でき、例えば、ゴム成分100質量部に対して増強剤(カーボンブラック、シリカなど)の割合は10〜200質量部(特に20〜150質量部)程度であってもよく、金属酸化物(酸化亜鉛など)の割合は1〜15質量部(特に2〜10質量部)程度であってもよく、軟化剤(パラフィンオイルなどのオイル類)の割合は1〜30質量部(特に5〜25質量部)程度であってもよく、加工剤(ステアリン酸など)の割合は0.1〜5質量部(特に0.5〜3質量部)程度であってもよい。
短繊維としては、前記心線の項で例示した繊維と同様の繊維を使用できる。これらの短繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエステル系繊維(PET繊維など)、ポリアミド繊維(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維など)などが汎用される。
短繊維は、ゴム組成物中での分散性や接着性を向上させるため、慣用の接着処理(又は表面処理)、例えば、RFL液などで処理してもよい。
短繊維の平均繊維長は、例えば、1〜20mm、好ましくは2〜15mm、さらに好ましくは3〜10mm程度であってもよい。短繊維の平均繊維径は、例えば、5〜50μm、好ましくは7〜40μm、さらに好ましくは10〜30μm程度である。短繊維の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは10〜35質量部程度である。
圧縮層中での短繊維の配向方向は、特に限定されず、ランダムな方向に配向してもよく、ベルト長手方向、ベルト幅方向などの所定の方向に配向してもよい。
圧縮層の厚みは、ベルトの種類に応じて適宜選択できるが、Vリブドベルトの場合、例えば、2〜25mm、好ましくは2.2〜16mm、さらに好ましくは2.5〜12mm程度である。
(接着層)
接着層にも前記圧縮層と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)などが使用できる。接着層のゴム組成物において、ゴム成分としては、前記圧縮層のゴム組成物のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤又は架橋助剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ、前記圧縮層のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。接着層のゴム組成物は、さらに接着性改善剤(レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、アミノ樹脂など)を含んでいてもよい。
また、接着層は、図1の態様に限定されず、例えば、図1において、接着層6を圧縮層2又は伸張層8のいずれか一方に設け、心線6を接着層6(圧縮層側)と伸張層8との間、もしくは接着層6(伸張層側)と圧縮層2との間に埋設する形態であってもよい。さらに、接着層は必須の構成要素ではなく、接着層を設けずに伸張層と圧縮層との間に心線を埋設してもよい。
接着層の厚みは、ベルトの種類に応じて適宜選択できるが、Vリブドベルトの場合、例えば、0.4〜3.0mm、好ましくは0.6〜2.2mm、さらに好ましくは0.8〜1.4mm程度である。
(伸張層)
伸張層は、前記圧縮層と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)で形成してもよく、帆布などの布帛(補強布)で形成してもよい。
補強布としては、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材などが挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90〜120°程度の広角度帆布や編布などが好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記短繊維と同様の繊維を利用できる。補強布は、前記RFL液で処理(浸漬処理など)した後、ゴム組成物を擦り込むフリクション・コーティング又は積層してゴム付帆布を形成してもよい。
これらのうち、ゴム組成物で形成された伸張層が好ましい。伸張層のゴム組成物において、ゴム成分としては、前記圧縮層のゴム組成物のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤又は架橋助剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ、前記圧縮層のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
ゴム組成物には、背面駆動時に背面ゴムの粘着により発生する異音を抑制するために、さらに圧縮層と同様の短繊維が含まれていてもよい。
さらに、背面駆動時の異音を抑制するために、伸張層の表面(ベルトの背表面)に凹凸パターンを設けてもよい。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどが挙げられる。これらのパターンのうち、織布パターンが好ましい。
伸長層の厚みは、ベルトの種類に応じて適宜選択できるが、Vリブドベルトの場合、例えば、0.4〜2mm、好ましくは0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.2mm程度である。
(伝動ベルトの引張弾性率)
伝動ベルトの引張弾性率は20〜35N/(mm・%)であり、好ましくは21〜32N/(mm・%)、さらに好ましくは22〜30N/(mm・%)[特に23〜28N/(mm・%)]程度である。ベルトの引張弾性率が小さすぎると、高負荷レイアウトでの張力維持性が悪く、ベルトが早期に寿命となる虞があり、逆に大きすぎると、プーリへのベルトの取付が困難となる。なお、本明細書では、詳細には、伝動ベルトの引張弾性率は、後述する実施例に記載された方法で測定できる。
[伝動ベルトの製造方法]
本発明の伝動ベルトの製造方法としては、慣用の方法を利用できる。例えば、円筒状の成形ドラムの周面に伸張層を形成するためのシートと接着層を形成するためのシートとを巻き付けた後、前記接着層を形成するためのシートの上に心線を螺旋状にスピニングし、さらに接着層を形成するためのシート、圧縮層を形成するためのシートを順次巻きつけて未加硫(又は未架橋)スリーブを得た後、これを加硫(又は架橋)してスリーブを得る方法などが挙げられる。なお、この方法では、心線は、接着層中において、厚み方向の略中央部に埋設されるが、心線の上に圧縮層を直接巻きつけることにより、接着層に埋設される心線を圧縮層との界面付近に埋設させてもよい。
この方法において、Vリブドベルトを製造する場合には、得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させながら、回転させた研削ホイールを走行中のスリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮層の表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨してもよい。さらに、このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断してVリブドベルトを製造してもよい。
さらに、Vリブドベルトの他の製造方法としては、次の方法も利用できる。すなわち、周面にリブ刻印を設けた円筒状の成形ドラムに、圧縮層を形成するためのシート、接着ゴム層を形成するためのシートをこの順序で巻き付ける。さらに心線をスピニングした後、伸張層を形成するためのシートを巻き付けて未加硫スリーブを形成する。その後、この未加硫スリーブを成形ドラムに押圧しながら加硫することで、圧縮層にリブを型付けする。得られた加硫スリーブにはリブが形成されているが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定の幅に切断してVリブドベルトを調製してもよい。
Vリブドベルトのさらに他の製造方法としては、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に伸張層を形成するためのシート、接着層を形成するためのシートを巻き付け、その上に心線をスピニングした後、さらに圧縮層を形成するためのシートを順次無端状に巻き付けて未加硫スリーブを形成する。その後、可撓性ジャケットを膨張させて、未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して加硫成形してもよい。得られた加硫スリーブにはリブ部が形成されているが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定の幅に切断してVリブドベルトを調製してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において用いた原料及び原糸、各物性における測定方法又は評価方法を以下に示す。なお、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[原料及び原糸]
低弾性PET原糸(低PET又は低弾性率PET):帝人ファイバー(株)製「P903B」、平均繊度1100dtex、マルチフィラメント糸、単繊維繊度5.7dtex)
高弾性PET原糸(高PET又は高弾性率PET):帝人ファイバー(株)製「P952NL」、平均繊度1100dtex、マルチフィラメント糸、単繊維繊度4.4dtex)
ポリアミド66原糸(N66):旭化成(株)製「TYPE T−5」、平均繊度940dtex、単繊維繊度6.7dtex
EPDMポリマー:デュポン・ダウエラストマージャパン(株)製「IP3640」、ムーニー粘度40(100℃)
含水シリカ:東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」、比表面積240m/g
レゾルシン・ホルマリン共重合物(レゾルシノール樹脂):レゾルシノール20%未満、ホルマリン0.1%未満のレゾルシン・ホルマリン共重合物
ポリメリックイソシアナート:MDI(メチレンビス(1,4−フェニレン)ジイソシアネート)をイソシアネートとするポリメリックイソシアナート(ポリメリックMDI)
カーボンHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」
老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
加硫促進剤MBTS:2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド
加硫促進剤CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
加硫促進剤TMTM:テトラメチルチウラム・モノスルフィド
有機過酸化物:化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14RP」
パラフィン系軟化剤:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
ポリアミド短繊維:旭化成(株)製「66ナイロン」
[原糸(マルチフィラメント糸)の評価]
(1)引張試験
原糸としては、低弾性PET原糸、一般的に用いられる高弾性PET原糸、ポリアミド66原糸を用いた。これらの原糸を80回/mの撚りを掛け、この撚った原糸について、JIS L 1013(2010)に準拠して、引張試験を行い、5%伸張時応力、10%伸張時応力、切断時の強力(破断強力)と伸び(破断伸度)を測定した。引張試験はチャック間距離250mm、引張速度300mm/分の条件で行った。なお、原糸に撚りを掛けたのは、原糸は複数本のフィラメントで構成されているため引き揃えが悪く、この状態で引張試験を行なうと測定データのバラツキが大きくなるためである。
(2)乾熱収縮率
1m長に切断した原糸を150℃に設定したオーブンに30分間入れ、その後原糸を取り出して約30分間室温で自然冷却させた後、この原糸の長さを測定して収縮長さ(初期長さ1m−熱収縮後の長さ)を求め、下記式に基づいて乾熱収縮率を算出した。
乾熱収縮率(%)=(収縮長さ/初期長さ1m)×100
[心線(処理ロープ)の評価]
(1)引張試験
チャック間距離250mmとして処理ロープを弛まない程度にチャックに固定し、引張速度300mm/分の条件で処理ロープを引っ張って100N時伸び(%)、200N時伸び(%)、切断時の強力(破断強力)と伸び(破断伸度)を測定した。
(2)屈曲疲労試験
屈曲疲労試験用の試験片は以下の方法で作製した。まず、下記の未加硫のEPDMゴムシート(厚み0.5mm)を円筒状の金型に巻き付け、この上に実施例及び比較例で調製した処理ロープをスパイラル状に巻き付けた後、さらにこの上に同じ未加硫のEPDMゴムシート(厚み0.5mm)を巻き付け、これにジャケットを被せて加熱することよって加硫(温度160℃、時間30分)し、加硫ゴムスリーブを作製した。そして、処理ロープが2本埋設され、且つカットした側面に処理ロープが露出しないように加硫ゴムスリーブを周方向にカッターでカットし、幅3mm、長さ50cm、厚み1.5mmの試験片を作製した。
屈曲疲労試験は、図3に示すように、上下に配置した一対の円柱形の回転バー(直径10mm)12a,12bに、作製した前記試験片13を屈曲させて巻き掛け、試験片13の一端をフレーム14に固定すると共に試験片13の他端に2kgの荷重15をかけ、一対の回転バー12a、12bを相対距離を一定に保ったまま、上下方向に1000回、5000回、10000回往復(ストローク:100mm、サイクル:100回/分)させることによって、回転バー12a、12bへの試験片13の巻き付け・巻き戻しを繰り返し、屈曲疲労させた。そして、オートグラフ((株)島津製作所製「AGS−J10kN」)を用いて、この屈曲後の試験片13を引張速度300mm/分の条件で引張り、試験片13の破断時の強力を測定した。一方、屈曲前の試験片13の破断時の強力を予め測定しておき、下記式に基づいて強力保持率を算出した。強力保持率が高いほど耐屈曲疲労性に優れることを意味する。
強力保持率(%)=(屈曲後の強力/屈曲前の強力)×100
(未加硫EPDMシート)
表1に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、厚み0.5mmの未加硫EPDEMゴムシートを作製した。
Figure 2013127278
[ベルトの評価]
(1)引張試験
上下に配置した一対の平プーリ(直径75mm)の中心位置を予め合わせておき、この位置を原点とする。次に、ベルト背面側が平プーリと接するように、実施例及び比較例で作製したベルトを一対の平プーリに掛け、一方の平プーリを移動させてベルトが弛まない程度に張力(約0.5N/mm)を掛ける。この状態にある平プーリの位置を初期位置とし、50mm/分の速度でベルトを引張り、ベルトの応力が350N/リブ(1リブ=3.56mm)に到達後、直ちに平プーリを初期位置まで戻す。この動作を2回繰り返し、2回目の応力−歪み曲線において比較的直線関係にある領域(15〜45N/mm)の直線の傾き(平均傾斜)をベルトの弾性率として算出した。
(2)熱収縮応力
熱収縮応力測定用の試験片は以下の方法で作製した。実施例及び比較例で作製したベルトの圧縮層と伸張層をスライサーにてスライスして取り除き、心線を埋設した残りの接着層を得る。この接着層に埋設される心線が5本となるように試験片両端部の不要部分を心線間に沿って心線が端面より露出しないようにカッターで切り取り、これを熱収縮応力を測定するための試験片とした。この試験片をチャック間距離200mmとして室温雰囲気下で弛まない程度にチャックに固定し、初荷重150Nを掛けた後、100℃に設定したオーブンに入れ、オーブンに入れてから30分後の応力を熱収縮応力として求めた。
(3)乾熱収縮率
上下に配置した一対の溝付きプーリ(直径100mm)に、ベルトのリブが嵌合するように、実施例及び比較例で作製したベルトを掛け、3kg/リブの荷重を付与したときのベルト長さを測定する。次に、このベルトを120℃に設定したオーブン内に60分間入れ、その後ベルトを取り出して室温雰囲気下に約30分間自然冷却する。冷却したベルトについて同様にベルト長さを測定し、ベルトの収縮長さ(収縮前のベルト長さ−収縮後のベルト長さ)を求め、下記式に基づいて乾熱収縮率を算出した。
乾熱収縮率(%)=(ベルトの収縮長さ/収縮前のベルト長さ)×100。
(4)二軸走行試験
この走行試験はベルトの張力維持性を評価する試験である。図4に示すように、直径120mmの駆動(Dr.)プーリと、直径120mmの従動(Dn.)プーリとからなる2軸走行試験機を用いて行なった。次に、各プーリに、実施例及び比較例で作製したVリブドベルトを掛架し、初張力が70N/リブとなるようにプーリの軸間距離を調整した後、駆動プーリの回転数4900rpm、従動プーリに3kWの負荷を付与し、雰囲気温度100℃の条件でベルトを500時間走行させた。張力保持率は、100時間走行後のベルト張力と500時間走行後のベルト張力を測定し、下記式に基づいて張力保持率を算出した。
張力保持率(%)=(500時間後の張力/100時間後の張力)×100。
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
(1)原糸の評価
原糸の5%伸張時応力、10%伸張時応力、破断強力、破断伸度、乾熱収縮率を測定した結果を表2に示す。また、応力−歪み曲線を図5に示す。
Figure 2013127278
低弾性PET原糸は高弾性PET原糸に比べて5%伸張時応力、10%伸張時応力の何れも小さく、ポリアミド66と同程度であった。また、乾熱収縮率を比較すると、低弾性PET原糸、ポリアミド66原糸、高弾性PET原糸の順に乾熱収縮率が高くなっており、従来の高弾性PET原糸に比べて乾熱収縮率が低いことが分かる。
(2)撚りコードの構成、処理
低弾性PET原糸、高弾性PET原糸、ポリアミド66原糸のうち、2種類又は1種類の2本を下撚りし、この下撚り糸を少なくとも1本含む3本を上撚りして、緒撚りの撚りコード(構成は2×3)を作製した。実施例1は、低弾性PET原糸とポリアミド66原糸とを1:1の本数割合(マルチフィラメント糸の本数割合)で構成し、上下撚り係数を3.0とした心線である。実施例2は、上下撚り係数を6.0とした以外は実施例1と同様である。実施例3は、低弾性PET原糸とポリアミド66原糸とを1:2の本数割合で構成し、上下撚り係数を4.0とした心線である。実施例4は、低弾性PET原糸とポリアミド66原糸とを1:5の本数割合で構成し、上下撚り係数を3.0とした心線である。比較例1は、高弾性PET原糸とポリアミド66原糸とを1:1の本数割合で構成し、上下撚り係数を3.0とした心線である。比較例2はポリアミド原糸66のみで構成され、上下撚り係数を3.0とした心線である。比較例3は高弾性PET原糸のみで構成する以外は比較例2と同様である。
これらの撚りコードを熱延伸するとともに接着処理(下記の樹脂系処理、RFL処理、オーバーコーティング処理の順に処理)を行って処理ロープ(心線)を作製した。熱延伸処理はRFL処理後の乾燥炉内(温度230℃)で行い、実施例1〜4は6.0%、比較例1は2.0%、比較例2及び3は2.5%の延伸率で行なった。得られた撚りコード(心線)の100N時伸び(%)、200N時伸び(%)、切断時の強力(破断強力)及び伸び(破断伸度)、強力保持率を測定した結果を表7に示す。
(樹脂系処理)
撚りコードを、プレディップ(P/D)処理液(ポリメリックイソシアナートを10質量%の割合で含むトルエン溶液)に浸漬した後、180℃で4分間熱処理した。
(RFL処理)
次に、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理液[レゾルシンとホルマリンとのプレポリマー4質量部(レゾルシン2.6質量部、ホルマリン1.4質量部)、ラテックス(スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン共重合体、日本ゼオン(株)製)17.2質量部、水78.8質量部を含む混合液]に浸漬し、230℃で2分間熱処理した。
(オーバーコーティング処理)
表3に示すゴム組成物(練りゴム)を、カレンダーロールにとおして圧延ゴムシートを作製したゴムシートをトルエンに溶解させてゴム糊(ゴムシート由来成分の割合10質量%)とし、さらに、このゴム糊とポリメリックイソシアネートとをトルエンに溶解して作製したオーバーコート(O/C)処理液(ゴム糊50質量部、ポリメリックイソシアネート1質量部、トルエン94質量部を含む混合液)に、RFL処理した心線を浸漬し、150℃で4分間熱処理した。
Figure 2013127278
(3)ベルト製造
Vリブドベルトの製造方法としては、以下のような公知の方法を用いた。まず、表面がフラットな円筒状の成形モールドに、下記の伸張層用シート(EPDM未加硫ゴムシート)を巻きつけ、この上に処理ロープを螺旋状にスピニングし、さらに下記の接着層用シート(EPDM未加硫ゴムシート)、下記の圧縮層用シート(EPDM未加硫ゴムシート)を順次巻き付けて成形体を作製した。その後、加硫用ジャケットを成形体の上から被せて金型を加硫缶に設置し、温度160℃、時間30分の条件で加硫した後、成形モールドから脱型して筒状の加硫ゴムスリーブを得た。そして、この加硫ゴムスリーブの外表面(圧縮層)を研削ホイールにより研磨して複数のリブを形成した後、カッターにより個々のベルトに切断して、Vリブドベルト(リブ数3、周長1100mm)に仕上げた。得られたベルトの弾性率、熱収縮応力、乾熱収縮率、張力保持率を測定した結果を表7に示す。
(伸張層用シート)
表4に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、伸張層を形成するためのゴムシートを1.0mmの厚みで作製した。
Figure 2013127278
(接着層を形成するためのゴムシート)
表5に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、接着層を形成するためのゴムシートを0.5mmの厚みで作製した。
Figure 2013127278
(圧縮層を形成するためのゴムシート)
表6に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、圧縮層を形成するためのゴムシートを3.0mmの厚みで作製した。
Figure 2013127278
Figure 2013127278
(心線の評価)
表7の結果から明らかなように、低弾性PET原糸を用いた実施例1〜4は延伸率を6.0%と高くして処理したが、高弾性PET原糸を用いた比較例1(延伸率2.0%)に比べると、100N時伸びと200N時伸びは高く、弾性率が低いことが分かる。
実施例1〜4を比較すると、撚り係数が高い実施例2は弾性率が最も低く、逆に撚り係数が小さい実施例1は弾性率が高い結果となった。また、ポリアミド66原糸の本数割合を大きくし、上下撚り係数を実施例1より高くした実施例3は、実施例1と実施例2との中間の弾性率となった。
耐屈曲疲労性の指標となる強力保持率を比較すると、実施例1及び2は比較例1に比べて強力保持率が高く、耐屈曲疲労性に優れているのが分かる。これは低弾性PET原糸とポリアミド66原糸との組合せが、高弾性PET原糸との組合せに対して良好であることを示している。特に、比較例1は比較例2のN66原糸と比較例3の高弾性PET原糸とを1:1の本数割合としたにも関らず、強力保持率が比較例3に比べて低くなっていることから、高弾性材質と低弾性材質との組合せが耐屈曲疲労性に関して不適当であることが分かる。実施例1、2はポリアミド66原糸のみを用いた比較例2に対して耐屈曲疲労性は劣るものの、高弾性PET原糸のみを用いた比較例3と同等であり、実使用上は問題にならないレベルである。
(ベルトの評価)
表7の結果から明らかなように、実施例1〜4のベルト弾性率は比較例1に比べて低かった。また、実施例1〜4を比較すると、ベルト弾性率は実施例2、実施例4、実施例3、実施例1の順に高くなっており、処理ロープと同様の傾向を示した。ベルト弾性率は比較例2が最も低く、比較例3が最も高くなっており、この傾向も処理ロープと同様であった。
実施例1〜4の熱収縮応力は比較例1に対して低い結果となったが、比較例2に比べると高く、100℃での張力維持性は、実施例2及び3は比較例2に比べて張力保持率が高く良好であった。また、実施例2は比較例3と同程度の張力保持率を示しており、張力維持性に問題はないことが分かる。実施例1〜4の乾熱収縮率は比較例1〜3に比べて高くなったが、これは延伸率を高く設定したためである。一般的に延伸率を高くすると乾熱収縮率は高くなる傾向にあるが、実施例1〜4の延伸率は比較例に比べて2〜3倍高いにも関らず、乾熱収縮率は2.5%前後の数値となった。これは、従来のPET原糸(高弾性PET原糸)に比べて、本発明で用いた低弾性PET原糸は極めて乾熱収縮率が低いためである。
本発明の伝動ベルトは、摩擦伝動ベルト、かみ合い伝動ベルト(歯付ベルト)などの各種伝動ベルトに利用でき、例えば、平ベルト、Vベルト、ラップドVベルト、Vリブドベルト、ローエッジVベルト、ローエッジコグドVベルトなどの摩擦伝動ベルト(特にVリブドベルト)に有用である。
1…心線
2…圧縮層
6…接着層
8…伸張層
9…リブ部
10…短繊維

Claims (7)

  1. ベルト本体と、ベルト長手方向に延びて前記ベルト本体に埋設される心線とを含む伝動ベルトであって、
    前記心線が、子縄を含む複数本の糸を上撚りした撚糸コードであり、
    前記子縄が、ポリエステル繊維を含むポリエステル系マルチフィラメント糸及びポリアミド繊維を含むポリアミド系マルチフィラメント糸を含む複数本の糸を混撚りした下撚り糸を含み、
    前記撚糸コードの上撚り係数が3〜7であり、かつ
    伝動ベルトの引張弾性率が20〜35N/(mm・%)である伝動ベルト。
  2. 80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力との比率が、前者/後者=1/2〜2/1である請求項1記載の伝動ベルト。
  3. 80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の5%伸張応力が1.4〜2.2cN/dtexであり、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の5%伸張応力が1.0〜1.8cN/dtexである請求項1又は2記載の伝動ベルト。
  4. 80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の10%伸張応力と、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の10%伸張応力との比率が、前者/後者=1/3〜1.2/1である請求項1〜3のいずれかに記載の伝動ベルト。
  5. 80回/mの撚りを掛けたポリエステル系マルチフィラメント糸の10%伸張応力が3.3〜4.1cN/dtexであり、80回/mの撚りを掛けたポリアミド系マルチフィラメント糸の10%伸張応力が3.5〜4.3cN/dtexである請求項1〜4のいずれかに記載の伝動ベルト。
  6. ポリエステル系マルチフィラメント糸の150℃で30分間処理後の乾熱収縮率が3%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の伝動ベルト。
  7. ポリエステル系マルチフィラメント糸がポリアルキレンアリレート系繊維を含み、ポリアミド系マルチフィラメント糸が脂肪族ポリアミド系繊維を含む請求項1〜6のいずれかに記載の伝動ベルト。
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