JP2013127017A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム成分と、水酸化アルミニウムと、1つの粒子に対して隣接する粒子が3つ以上の粒子を分岐粒子Zとしたとき、分岐粒子Zを含む分岐粒子間Z−Zの平均長W1が30〜400nmのストラクチャーシリカとを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】図2
Description
本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ウェットグリップ性能、乾きかけ路面でのグリップ性能、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。
本発明で使用するストラクチャーシリカ(直鎖シリカ)は、1つの粒子に対して隣接する粒子が3つ以上の粒子(以下、分岐粒子Zとする)を有し、分岐粒子Zとそれに隣接する粒子により分岐構造が形成される。分岐粒子Zとは、分岐粒子の概略説明図である図1における粒子のうちの粒子Zであり、3個以上の他の粒子と隣接している。なお、ストラクチャーシリカとしては、分岐構造を有するもの(例えば図2)と有しないものが挙げられるが、分岐構造を有しないストラクチャーシリカは、すぐに凝集してしまうため、実質的に存在しない。
なお、粒状シリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
本発明では、シリカ(ストラクチャーシリカ、使用する場合には粒状シリカも)とともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、メルカプト系のシランカップリング剤を好適に使用できる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、シリカ100質量部とは、ストラクチャーシリカと共に粒状シリカも使用する場合には両者の合計量を意味する。
水酸化アルミニウムとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
なお、本発明において、水酸化アルミニウムの平均一次粒子径は数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
本発明では、カーボンブラックを使用することが好ましい。これにより、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能が得られる。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、などが挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。なかでも、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましく、アロマ系プロセスオイルが更に好ましい。これにより、ウェットグリップ性能をより向上できる。軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部、より好ましくは70〜120質量部である。軟化剤の配合量が上記範囲内であると、ウェットグリップ性能、乾きかけ路面でのグリップ性能、耐摩耗性をよりバランス良く向上できる。なお、軟化剤には、油展ゴムに含まれる軟化剤も含まれる。
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含むことができる。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含むことができる。加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、可塑剤、加硫剤などのタイヤ用又は一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤及び添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
本発明のゴム組成物は、従来公知の製造方法により製造することができ、その製造方法が限定されるものではない。例えば、上記各成分をバンバリーミキサーや混練ロールなどの混練機を用いて、通常の方法及び条件で混練することによって製造することができる。
(I)ゴム成分と、水酸化アルミニウムと、直鎖シリカゾルと、必要に応じて、カーボンブラック、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、軟化剤、老化防止剤、ワックス等を80〜180℃(好ましくは90〜170℃)で3〜10分間混練するベース練り工程と、
(II)ベース練り工程により得られた混練物と、加硫剤と、加硫促進剤とを30〜70℃(好ましくは40〜60℃)で3〜10分間混練する仕上げ練り工程と、
(III)仕上げ練り工程により得られた未加硫ゴム組成物を150〜190℃(好ましくは150〜180℃)で5〜30分間加硫する加硫工程とを含む製造方法がより好ましい。
一次粒子の平均粒子径は、日本電子製透過電子顕微鏡JEM2100FXで撮影した写真において、目視で50個の一次粒子の粒子径(平均直径)を測定し、それらを平均した値を平均粒子径とした。
シリカ(二次粒子)の平均粒子径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、通常5×10−3質量%程度で行った。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
SBR:旭化成(株)製のタフデン4850(S−SBR、スチレン含有量:40質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイルを50質量部含有)
シリカゾルA:日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルIPA−ST−UP(細長い形状のイソプロパノール分散シリカゾル(直鎖シリカゾル)(動的光散乱法によって測定されたシリカ(二次粒子)の平均粒子径:40〜100nm)、シリカ含有率:15質量%)
シリカゾルB:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(粒状シリカ、N2SA:175m2/g)とイソプロパノールとを混合して調製したシリカゾル(粒状のイソプロパノール分散シリカゾル)、シリカ含有率:15質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(粒状シリカ、N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN110(N2SA:144m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のダイアナプロセスオイルX140(アロマ系プロセスオイル)
水酸化アルミニウム:昭和電工(株)製のハイジライトH−43(平均一次粒子径:1μm)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi363(下記式で表される化合物)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:11×7.10−5)を得た。
得られた試験用タイヤについて以下に示す試験方法により性能を評価した。
(実車評価)
散水車でコースに水を撒き、カ−トに試験用タイヤを装着し、1周約2kmのコースを8周走行して、比較例1のタイヤのグリップフィーリングを3点とし、5点満点でウェットグリップ性能を評価した。
次に、耐摩耗性、乾きかけ路面でのグリップ性能を評価するために、8周走行後、更に20周再走行した。そして、15周目以降の乾きかけ路面でのグリップ性能について、比較例1のタイヤのグリップフィーリングを3点として5点満点で、乾きかけ路面でのグリップ性能を評価した。
また走行後、摩耗外観を観察し、比較例1のタイヤの摩耗外観を3点として5点満点で耐摩耗性を評価した。
上記試験用タイヤのトレッドからサンプルを切り出し、該サンプル中に分散したシリカを透過型電子顕微鏡で観察し、シリカの平均一次粒子径(D)、分岐粒子Zを含む分岐粒子間Z−Zの平均長(図2におけるW1)、分岐粒子Zを含まない分岐粒子間Z−Zの平均長(図2におけるW2)、分岐粒子Zを含む分岐粒子間Z−Zの平均アスペクト比(W1/D)、分岐粒子Zを含まない分岐粒子間Z−Zの平均アスペクト比(W2/D)を算出した。数値は、30箇所を測定した平均値とした。なお、各例において、シリカゾルと共に、シリカ(従来からゴム組成物に配合されている粒状シリカ)を併用したことにより、ゴム組成物中に粒状シリカも存在する。そのため、ストラクチャーシリカが存在する場合には、ストラクチャーシリカのみを透過型電子顕微鏡で観察し、評価を行った。
Claims (11)
- ゴム成分と、水酸化アルミニウムと、1つの粒子に対して隣接する粒子が3つ以上の粒子を分岐粒子Zとしたとき、分岐粒子Zを含む分岐粒子間Z−Zの平均長W1が30〜400nmのストラクチャーシリカとを含むタイヤ用ゴム組成物。
- ゴム成分と、水酸化アルミニウムと、直鎖シリカゾルとを混練して得られるタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ストラクチャーシリカが、平均一次粒子径をDとしたとき、分岐粒子Zを含む分岐粒子間Z−Zの平均アスペクト比W1/Dが3〜100のものである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ストラクチャーシリカの平均一次粒子径Dが5〜1000nmである請求項1又は3に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- ゴム成分100質量部に対して、前記ストラクチャーシリカの含有量が1〜150質量部、水酸化アルミニウムの含有量が1〜50質量部である請求項1、3又は4に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- カーボンブラックを含む請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シリカ100質量部に対して、シランカップリング剤を1〜20質量部含む請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
- 高性能タイヤである請求項9記載の空気入りタイヤ。
- 競技用ウェットタイヤである請求項9記載の空気入りタイヤ。
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